JP3205422B2 - 高吸収性ポリマー - Google Patents

高吸収性ポリマー

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JP3205422B2 JP8967993A JP8967993A JP3205422B2 JP 3205422 B2 JP3205422 B2 JP 3205422B2 JP 8967993 A JP8967993 A JP 8967993A JP 8967993 A JP8967993 A JP 8967993A JP 3205422 B2 JP3205422 B2 JP 3205422B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高吸収性ポリマー、詳
しくは、使い捨ておむつ等の吸収性物品の吸収材料とし
て用いた場合、体液等の多量の水性液体に対する初期吸
収速度が高く、しかも初期吸収後の吸収能の低下が無
く、吸収性ポリマーの保有している吸収能を充分に発揮
し得る高吸収性ポリマーに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
衛生材料(生理用ナプキン、紙オムツ等)の分野及び農
林業分野における吸水乃至保水材料としては、紙、パル
プ、海綿等が使用されてきたが、これらの材料はその吸
水能力が低く、しかも、これらの材料によって吸収され
た水は圧力が加わるとそのかなりの部分が容易にしぼり
出されてしまう。そこで、上述の材料に替わる吸水材料
として、近年、デンプン−アクリロニトリルグラフト重
合体の加水分解物、ポリアクリル酸ソーダ架橋体、変成
セルロースエーテル及びアクリル酸メチル/酢酸ビニル
共重合体の加水分解物等の吸収性ポリマーが提案され、
更にそれらの改良品も提案されている。
【0003】而して、吸収性ポリマーを得る従来の方法
としては、水溶性ポリマーを僅かに架橋して水不溶性に
する方法が主流であり、その架橋方法としては、次に示
す方法が提案されている。 1)製造条件の最適化により自己架橋を行う。 2)架橋剤を重合時又は重合後に添加して架橋を行う。 上述の方法で得られた吸水性ポリマーは、優れた性能を
示すものもあるが、吸収性ポリマーに要求される全ての
性能を満足するものではなかった。即ち、吸水性ポリマ
ーに対する要求性能としては、1)吸水量、2)吸水速度、
3)ゲル強度を挙げることができ、これらの性能の間には
下記の関係があると一般に認められているが、従来の吸
水性ポリマーは、下記関係のバランスを保持した構造を
有しており、各性能がそれぞれ若干犠牲になった構造の
ものとして製造されていた。
【0004】また、吸水性ポリマーに対する上記の要求
性能を改良することを目的とした発明も種々提案されて
おり、それらを開示する種々の公報がある。即ち、吸収
能の向上(吸水量の向上)を目的とした発明を開示する
ものとして、特開昭56−161413号公報及び特開
昭60−1205号公報等があり、また、主として、す
ばやく液体を吸収できる機能の向上(吸水速度の向上)
を目的とした発明を開示するものとして、特公昭60−
18690号公報、特公平3−74241号公報及び特
開昭61−9730号公報等があり、更に、膨潤後の粒
子強度の向上(ゲル強度の向上)を目的とした発明を開
示するものとして、特開昭60−185550号公報等
があり、吸水性ポリマーの改良に関する発明を開示する
ものとしては、上記の他にも、特開昭61−62463
号公報、特開昭63−28639号公報、特公平3−4
0623号公報及び特公平3−742141号公報等が
ある。
【0005】しかしながら、吸収性ポリマーについての
上述の従来の改良手段は、何れも、吸収性ポリマーが水
性液体と接して該水性液体を吸収した初期状態から膨潤
平衡状態に至る間の吸水性ポリマーの吸収能の改良に止
まっており、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の衛生
用品に実際に用いられた場合の吸収性ポリマーの機能向
上、特に、水性液体の初期吸収後、再度、水性液体を吸
収する場合の吸収能の向上については考慮されていな
い。
【0006】吸収性ポリマーを備えた衛生用品を使用し
た場合、該吸収性ポリマーは、水性液体と接すると、通
常、該水性液体を完全に吸収し、未だ吸収能を有した状
態で水性液体の吸収を停止し、その後新たに接した水性
液体を再度吸収するという機能を発揮するが、このよう
な実際の使用態様においては、該吸収性ポリマーそれぞ
れの吸収能が充分に発揮され難いため、優れた吸収能を
有する吸収性ポリマー(機器等による吸収能の測定値の
高い吸収性ポリマー)を用いたおむつや生理用ナプキン
であっても、それらが、吸収性に関して実際に優れた作
用効果を発揮し得るとは言い難い。
【0007】吸収性ポリマーの吸収能が、上述したよう
に充分に発揮され難くなる主たる原因としては、体液等
の水性液体を吸収して膨潤した吸収性ポリマー同志の相
互作用により生じる液体の吸収阻害現象(ゲルブロッキ
ング)が挙げられる。そして、このゲルブロッキング
は、吸収性ポリマーの初期吸収速度の大きさに比例して
一層顕著に起こると認められる。
【0008】即ち、吸収性ポリマーは、体液等の水性液
体と接すると該水性液体を吸収するが、その初期吸収速
度が高い程、水性液体と接する限られた狭い領域で短時
間で急速に膨潤、軟化し、しかも限られた狭い領域に多
量の水性液体が存在することとなる。その結果、吸収性
ポリマー同志が膨潤、軟化により相互に接触したり、あ
るいは該ポリマーがそれらの再配列などにより相互に密
着することにより、膨潤ポリマー間の空隙部が小さくな
り体液の通路としての空隙部が閉塞され、そこに液体の
層が形成され、所謂、ゲルブロッキングを呈することに
なる。従って、一度、水性液体を吸収した吸収性ポリマ
ーにおいては、上記ゲルブロッキングがバリヤーとして
作用するため、再び、水性液体と接した吸収性ポリマー
は、その吸収量が飽和状態に達していなくても吸収に寄
与しなくなる。
【0009】ゲルブロッキングを引き起こす主たる原因
としては、一般的に、吸収性ポリマーの膨潤状態におい
て、1)粒子間の空隙が減少すること、2)粒子の外壁
に粘性(タック性)が生じることが考えられる。また、
上述の理由により吸収性ポリマーの初期吸収速度の大き
いもの程、その大きさに比例してゲルブロッキングが生
じ易くなる。そのため、初期吸収速度の向上した吸収性
ポリマーを吸収性物品に用いても、吸収性物品のモレ抑
制効果に結び付くとは限らなかった。
【0010】尚、吸収性物品の吸収材料としては、初期
吸収速度の小さい吸収性ポリマーの方が、初期吸収速度
の高い吸収性ポリマーに比して種々の点で問題があるこ
とは説明を要する迄もなく周知である。また、吸収性物
品の吸収能を向上させるために、吸収性ポリマーを増量
させることが行われているが、このような構成において
は、吸収性ポリマーの粒子間距離が小さくなるため、吸
収性ポリマーは、ゲルブロッキングを起こし易い状態に
なっている。
【0011】従って、本発明の主たる目的は、人体から
排泄された体液(主に尿)等の多量の水性液体と接した
時の初期吸収速度が高く、しかも、初期吸収後にゲルブ
ロッキング等の吸収能阻害現象を生じず、膨潤後に吸収
能の低下が無く、吸収性ポリマーの保有している吸収能
を充分に発揮し得る高吸収性ポリマーを提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、種々検討
した結果、従来のアクリル酸アルカリ金属塩等の水不溶
性親水性架橋重合体粒子からなる吸収性ポリマーの表面
の架橋密度を高めたポリマーが、従来の吸収性ポリマー
に比して極めて優れた吸収能を発揮し、上記目的を達成
し得ることを知見した(第1の知見)。また、本発明者
等は、更に種々検討した結果、特定の構造からなるポリ
マーが、従来の吸収性ポリマーに比して極めて優れた吸
収能を発揮し、上記目的を達成し得ることも知見した
(第2の知見)。即ち、本発明者らは、吸収性ポリマー
の表面の架橋密度を高めたポリマーが、上記目的を達成
し得ることを知見すると共に、特定の構造からなるポリ
マーが、上記目的を達成し得ることも知見した。
【0013】本発明(第1発明)は、上記第1の知見に
基づいてなされたもので、下記の高吸収性ポリマーを提
供することにより、上記目的を達成したものである。
尚、以下、第1発明という場合には、次の発明をいう。
【0014】カルボキシル基又はカルボキシレート基を
有する水不溶性親水性架橋重合体粒子からなる吸収性ポ
リマーにおいて、上記水不溶性親水性架橋重合体粒子の
表面の架橋密度を高めることによって、該架橋重合体粒
子に下記i)〜iii)の吸収能を付与したことを特徴とする
高吸収性ポリマー。 i) 生理食塩水の平衡膨潤吸収量が40g/g(ポリマ
ー)以上である。 ii)ポリマー0.3gを生理食塩水により10秒間膨潤
させた吸収量が3ml以上である。 iii)ポリマー0.05gを断面積0.785cm2 の円筒
(内径10mmφ)に生理食塩水と共に充填し、該生理食
塩水によりポリマーを膨潤させ、平衡膨潤吸収量に達し
且つ膨潤ポリマーが沈降した後の生理食塩水5mlの液通
過時間が40秒以下である。
【0015】また、本発明(第2発明)は、上記第1の
知見に基づいてなされたもので、下記の高吸収性ポリマ
ーを提供することにより、上記目的を達成したものであ
る。尚、以下、第2発明という場合には、次の発明をい
う。
【0016】カルボキシル基又はカルボキシレート基を
有する水不溶性親水性架橋重合体粒子からなる吸収性ポ
リマーにおいて、上記水不溶性親水性架橋重合体粒子の
表面の架橋密度を高めることによって、該架橋重合体粒
子に下記i)〜iii)の吸収能を付与したことを特徴とする
高吸収性ポリマー。 i) 生理食塩水の平衡膨潤吸収量が40g/g(ポリマ
ー)以上である。 ii)ポリマー0.3gを生理食塩水により30秒間膨潤
させた吸収量が6ml以上である。 iii)ポリマー0.5gを断面積5.15cm2 の円筒(内
径25.6mmφ)に生理食塩水と共に充填し、該生理食
塩水によりポリマーを膨潤させ、平衡膨潤吸収量に達し
且つ膨潤ポリマーが沈降した後の生理食塩水50mlの液
通過時間が150秒以下である。
【0017】更に、本発明(第3発明)は、上記第2の
知見に基づいてなされ、上記目的を達成した発明とし
て、下記の高吸収性ポリマーを提供するものである。
尚、以下、第3発明という場合には、次の発明をいう。
【0018】カルボキシル基又はカルボキシレート基を
有する水不溶性親水性架橋重合体粒子を構成粒子とする
団粒化物からなる高吸収性ポリマーであって、下記要件
(a)〜(d)を有する構造からなることを特徴とする
高吸収性ポリマー。 (a)上記各構成粒子はそれらの間に、上記団粒化物の
外部と実質的に連通している空隙部を有する状態で集合
している。 (b)上記空隙部の総和量が0.2cc/g(ポリマー)
以上である。 (c)上記団粒化物は、不定形度Pが1.2以上の非球
形状である。 (d)上記団粒化物の平均粒径d50(積算粒径50%の
粒子径)が100〜500μmである。
【0019】以下に、第1及び第2発明の高吸収性ポリ
マーについて、その製造方法と共に説明する。尚、「高
吸収性ポリマー」という場合には、従来の「吸収性ポリ
マー」と区別するために、本発明(第1発明、第2発明
及び第3発明)の高吸収性ポリマーのみを意味する。ま
た、本発明において、「吸収量」と「吸水量」、及び
「吸収速度」と「吸水速度」は、それぞれ同義語であ
る。
【0020】本発明でいう「カルボキシル基又はカルボ
キシレート基を有する水不溶性親水架橋重合体粒子から
なる吸収性ポリマー」とは、特公平3−74241号公
報及び特公昭54−30710号公報等に記載の方法等
により得られる従来の吸収性ポリマーを意味するもの
で、カルボキシル基又はカルボキシレート基を有する水
不溶性親水性架橋重合体粒子からなるものであれば、そ
の製造方法等には特に制限されないが、カルボキシル基
(又はカルボキシレート基)を有する水不溶性親水性架
橋重合体の好ましい例としては、カルボキシル基含有水
溶性エチレン性不飽和モノマーを重合させたものが挙げ
られる。
【0021】カルボキシル基含有水溶性エチレン性不飽
和モノマーとしては、ポリアクリル酸(及びその塩)、
及びポリメタクリル酸(及びその塩)等を好ましいもの
として例示することができ、またアクリル酸又はメタク
リル酸に、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、
2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレート等のモノマーを適宜
共重合させたものも使用し得る。
【0022】而して、第1及び第2発明の高吸収性ポリ
マーは、上記のカルボキシル基又はカルボキシレート基
を有する水不溶性親水性架橋重合体粒子(以下、「架橋
重合体粒子」という場合には、この粒子をいう)からな
る吸収性ポリマーの表面の架橋密度を、該高吸収性ポリ
マーが前記i)〜iii)の吸収能を発揮するに充分な程度に
高めたものである。尚、単に「吸収性ポリマー」という
場合には、主として上記の架橋重合体粒子からなる吸収
性ポリマーを意味する。
【0023】第1及び第2発明の高吸収性ポリマーは、
上記i)の吸収能を備えているため、多量の水性液体を
吸収保持でき、上記ii)の吸収能を備えているため、初
期吸収時に迅速に水性液体を吸収可能であり、また、上
記iii)の吸収能を備えているため(ゲルブロッキングを
生じないため)、水性液体を一度吸収保持後にも、その
吸収能を低下させることなく、再度水性液体をポリマー
の有している平衡膨潤吸収量迄吸収保持可能である。
【0024】また、第1及び第2発明の高吸収性ポリマ
ーは、ポリマーの生理食塩水に対する可溶部量が5重量
%以下(対ポリマー)であることが、所期の目的を達成
する上で好ましい。
【0025】尚、第1及び第2発明における前記i)〜ii
i)の吸収能の測定は、具体的には、それぞれ下記〜
の測定法により行った。また、ポリマーの上記可溶部量
は、下記の測定法により算出した。 〔高吸収性ポリマーの平衡膨潤吸収量の測定法〕 ポリマー約1gを大過剰の生理食塩水(0.9%食塩
水)中に分散して、該ポリマーをその吸水量が平衡膨潤
状態になる迄膨潤させた後、生理食塩水を80メッシュ
の金網で濾過し、得られた膨潤ポリマーの重量(W)を
測定し、この値を吸水前のポリマー重量W0 で除して得
られる値、即ち、W/W0 の値を、前記i)の吸収量
(g/g)とした。
【0026】〔高吸収性ポリマーの吸収速度を表わす
吸収量の測定法〕 DW法を実施する装置として一般的に知られている図1
に示す装置1(DemandWettability Tester) を用い、図
1に示す如く、生理食塩水Wの液面を等水位にセットし
たポリマー散布台2(70mmφ、No. 2濾紙をガラスフ
ィルターNo. 1に置いた台)上に、ポリマーPを0.3
g散布し、ポリマーを散布した時点の吸収量を0とし、
10秒後及び30秒後の吸収量(この吸収量は、生理食
塩水Wの水位の低下量を示すビュレットの目盛りで測定
される)を測定し、この測定値を前記ii)の吸収量(m
l)とした。
【0027】−(1)〔生理食塩水の液通過時間(ゲ
ルブロッキング性の評価を示すファクター)の測定法〕 第1発明における前記iii)の吸収性の測定は、この測定
法によった。この測定法は、液通過速度が極めて高いポ
リマーに対して適している。図2に示す装置10〔内径
10.0mm、長さ約300mm(円筒部分)のガラス円筒管か
らなるビューレット〕に、ポリマー0.05gを充填
し、過剰の生理食塩水を用い、ポリマーを平衡膨潤さ
せ、液面を液量20mlに合わせてコックをし、膨潤した
ポリマーPが、図示の如く充分に沈降したことを確めて
コックを開き、生理食塩水Wが図で示す2本の評線L
(液量15mlの液面)とM(液量10mlの液面)との間
(液量5ml)を通過する時間を測定し、この測定値を前
記iii)の液通過時間(秒)とした。
【0028】−(2)〔生理食塩水の液通過時間(ゲ
ルブロッキング性の評価を示すファクター)の測定法〕 第2発明における前記iii)の吸収性の測定は、この測定
法によった。この測定法は、液通過速度が高いポリマー
に対して適している。図2に示す装置10よりもスケー
ルの大きいが、図2に示す装置10と同様な装置(内径
25.6mm、長さ約500mm(円筒部分)のコック付き
ガラス円筒フィルター)にポリマー0.5gを充填し、
過剰の生理食塩水を用い、ポリマーを平衡膨潤させ、液
面を液量200mlのところに合わせてコックをし、膨潤
したポリマーPが図2に示す如く充分に沈降したことを
確かめてコックを開き、生理食塩水Wが図2に示す2本
の標線L(液量150mlの液面)とM(液量100mlの
液面)との間(液量50ml)を通過する時間を測定し、
この測定値を前記iii)の液通過時間(秒)とした。
【0029】〔高吸収性ポリマーの可溶部量の測定
法〕 高吸収性ポリマー1gを300mlのビーカーに精密に計
り、生理食塩水150mlを加え、時々かき混ぜ約15時
間室温に放置して該ポリマーを膨潤させる。その後膨潤
ポリマー約30ml(Aml)を採り、マルサン超遠心分離
器(佐久間製作所、50s−2型、角度型ローター1
s)にて40,000rpm (105,400G)25
℃、2時間処理した後、その上済み液を採り、濾過し、
濾液を希釈して100mlとする。その50mlを100ml
の三角フラスコに採り、0.005Nメチルグリコール
キトサン溶液を10ml加え、更にアンモニア水でpHを
約11に調整した後、これにトルイジンブルー溶液を2
〜3滴加える。過剰のメチルグリコールキトサンを0.
0025N−ポリビニル硫酸カリウム溶液の色が青色か
ら赤紫色に変化するまで滴定する。別に同様の方法で空
試験を行い、次式〔数1〕による計算値を可溶部ポリマ
ー量(%)とした。
【0030】
【数1】
【0031】第1及び第2発明の高吸収性ポリマーは、
前記i)〜iii)の吸収能が付与されるように、前記架橋重
合体粒子の表面の架橋密度の高められたもので、その製
造方法には制限されないが、例えば、次に説明する製造
方法により製造することができる。
【0032】第1及び第2発明の高吸収性ポリマーの一
製造方法に用いられるカルボキシル基又はカルボキシレ
ート基を有する水不溶性親水性架橋重合体粒子として
は、前記特公平3−74241号公報及び前記特公昭5
4−30710号公報等に記載の方法等により得られる
吸収性ポリマー、即ち、前記架橋重合体粒子に属する従
来の吸水ポリマー、例えば、カルボキシル基含有水溶性
エチレン性不飽和モノマーを重合させたものを用いるこ
とができる。尚、これらのポリマーを、製造後その反応
系から取り出すことなく用いることも出来る。
【0033】上記架橋重合体粒子は、その粒径に制限さ
れず、上述の従来の吸収性ポリマーをそのまま用いるこ
とができるが、粒径100〜500μmの吸収性ポリマ
ーを用いるのが好ましい。
【0034】第1及び第2発明の高吸収性ポリマーの製
造に際して上記架橋重合体粒子を分散させる分散媒とし
ては、上記の従来の吸収性ポリマーにより得る際に用い
られる分散媒、即ち、炭化水素又はハロゲン芳香族炭化
水素、具体的には、ベンゼン、エチルベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メ
チルシクロヘキサン、シクロオクタン、デカリン等の脂
環族炭化水素、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、オクタ
ン等の脂肪族炭化水素、クロルベンゼン、ブロムベンゼ
ン、ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が挙げ
られ、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシ
クロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、クロルベンゼン、
クロルベンゼンが好ましい。
【0035】また、第1及び第2発明の高吸収性ポリマ
ーを逆相懸濁重合法を利用して製造する際に用いられる
保護コロイドとしては、例えば、ソルビタン脂肪酸エス
テル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エ
ステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルエーテル等の非イオン界面活性剤、あるいはセル
ロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロ
ースブチレート、セルロースアセテートフタレート、エ
チルセルロース、ベンジルセルロース、エチルヒドロキ
シエチルセルロース、酸化ポリエチレン、無水マレイン
化ポリエチレン、無水マレイン化ポリブタジエン等の高
分子保護コロイドが挙げられる。
【0036】また、第1及び第2発明の高吸収性ポリマ
ーの製造に用いられる架橋剤としては、例えば、エチレ
ングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリ
コールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジ
ルエーテル等のポリグリシジルエーテル、エピクロルヒ
ドリン、α−メチルクロルヒドリン等のハロエポキシ化
合物、グルタールアルデヒド、グリオキザール等のポリ
アルデヒド、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチ
レングリコール等のポリオール及びエチレンジアミン等
のポリアミン類を挙げることができるが、3官能以上の
官能基を有する架橋剤が特に好ましい。
【0037】而して、第1及び第2発明の高吸収性ポリ
マーを得るための製造方法の具体的な実施態様として
は、例えば、次の実施態様が挙げられる。 1.前記架橋重合体粒子を、前記分散媒と水との混合溶
媒(混合比率;水/溶剤=50〜5/50〜95)中に
分散させ加温し、これに前記架橋剤を添加し、該架橋剤
と前記架橋重合体粒子とをさらに接触反応させて、前記
架橋重合体粒子の表面の架橋密度を高める方法。 2.水溶性開始剤を含有したカルボキシル基(又はカル
ボキシレート基)を有する親水性モノマー水溶液を保護
コロイドの存在下、非水溶媒中に分散・懸濁させて重合
し、前記架橋重合体粒子を得た後、該架橋重合体粒子の
溶液中の含水量を10〜40wt%にコントロールした
後、架橋剤を加え該架橋剤と更に接触反応させて表面を
さらに架橋する方法。
【0038】また、本発明の方法を実施する際の前記架
橋剤の使用量は、前記架橋重合体粒子に対し、1,00
0ppm〜10,000ppmが好ましく、この範囲で
上記使用量を調整することにより、架橋重合体粒子の架
橋密度を目的とする高吸収性ポリマーを得るに適したも
のとすることができる。
【0039】次に、第3発明の高吸収性ポリマーについ
て説明する。第3発明の高吸収性ポリマーは、前記架橋
重合体粒子を構成粒子とする団粒化物からなるものであ
って、前記(a)〜(d)を有する構造からなってい
る。第3発明の高吸収性ポリマーを構成する上記構成粒
子は、前述の第1発明の高吸収性ポリマーを構成する架
橋重合体粒子と実質的に同じ成分で構成され得るが、第
2発明の高吸収性ポリマーにおける構成粒子は、構造
(物理的構造)的には前記架橋重合体粒子とは異なった
ものとなっている。
【0040】第3発明の高吸収性ポリマーにおいては、
前記(a)のように、上記各構成粒子が、それらの間
に、上記団粒化物の外部と実質的に連通している空隙部
を有する状態で集合しており、高吸収性ポリマーが、水
性液体と接した際に、該水性液体が該高吸収性ポリマー
内に上記空隙部から吸収され易いようになっている。
【0041】また、第3発明の高吸収性ポリマーにおい
ては、前記(b)のように、上記空隙部の総和量が0.
2cc/g以上、好ましくは0.3cc/g以上であり、
0.2cc/g未満であると、液の一時ストックとしての
機能が低下し、充分な初期吸速度を得難くなる。膨潤後
のポリマー粒子のゲル強度を考慮すると、空隙部の総和
量が多すぎると、ゲル強度が低下し、膨潤ポリマーが小
さな圧力により崩壊してしまうため、空隙部の総和量は
1.0cc/g以下であることが好ましい。尚、上記空隙
部の総和量は、水銀圧入ポロシメーター(島津製作所、
オートポア9220型)を用いて測定した。この測定法
は、物質を濡らさない水銀の特性により、圧力と水銀が
浸入し得る最小の空隙径とが反比例の関係のあり、また
水銀圧入量は空隙容積に等しいという原理を利用したも
のである。
【0042】また、第3発明の高吸収性ポリマーは、前
記(c)のように、不定形度Pが1.2以上の非球形状
であり、このような非球形状であるため、膨潤後、粒子
の再配列や密着による空隙の減少を防止することができ
る。上記不定形度Pが1.2より小さいと膨潤粒子にお
ける表面凹凸の変形値が不充分となり、膨潤粒子間での
空隙維持できず、ゲルブロッキングを惹き起す。尚、上
記不定形度Pは、高吸収性ポリマー粒子の粗度を表現す
るもので、下記〔数2〕により定義される。また、上記
不定形度Pを算出する際の投影粒子の実面積(S)及び
周辺長(l)は、高吸収性ポリマー粒子を、日本アビオ
ニクス社IVイメージプロセッサEXCELで、投影粒
子として観察して、測定した。
【0043】
【数2】
【0044】
【数3】
【0045】また、第3発明の高吸収性ポリマーは、前
記(d)のように、平均粒径として積算粒径の50%の
粒子径の値d50が100μm以上、好ましくはd50が1
50μm以上で、d50が500μm以下であり、微粉が
多くなると、膨潤後の再配列などにより空隙部を減少さ
せるので、ゲルブロッキングを生じ易くなり、また、粒
径が大き過ぎると、吸収体に応用した場合、ポリマーの
膨潤後の違和感を生じ易くなる。
【0046】第3発明の高吸収性ポリマーは、その製造
方法には制限されないが、前述の第1及び第2発明の高
吸収性ポリマーの製造方法によって製造することができ
る。尚、第1及び第2発明における「カルボキシル基又
はカルボキシレート基を有する水不溶性親水架橋重合体
粒子」及び「カルボキシル基含有水溶性エチレン性不飽
和モノマー」等の説明は第3発明に適用される。
【0047】
【作用】第1及び第2発明の高吸収性ポリマーは、体液
等の多量の水性液体(主として尿)と接すると、従来の
吸収性ポリマーと同様に水性液体を吸収して膨潤する。
そして、第1発明の高吸収性ポリマーによれば、その表
面の架橋密度が高められているため、膨潤の際には、ポ
リマー間の空隙部が閉塞され難く、また、膨潤後には、
膨潤ポリマーの表面のタック性(ベタツキ)が抑制さ
れ、膨潤ポリマー同志がブロッキングを起し難く、ま
た、接触している膨潤ポリマー同志が一部付着し合った
としても、膨潤ポリマー間に空隙部を残した状態で付着
し合い、上記空隙部が水性液体の通路となり、水性液体
の高吸収性ポリマー全体への拡散が膨潤ポリマーによっ
てて阻害されることが無くなるものと考えられる。しか
も、高吸収性ポリマーそれぞれの表面の架橋構造が、該
表面に接触した水性液体を該高吸収性ポリマーの内部に
吸引するのを助長し易い構造となっているため、吸収速
度が高くなると考えられる。従って、第1及び第2発明
の高吸収性ポリマーによれば、前記i)〜iii)の吸収能を
発揮するものと推察される。
【0048】また、第3発明の高吸収性ポリマーは、前
記(a)〜(d)を有する構造の団粒化物からなってい
るため、第3発明の高吸収性ポリマーにおいても、前記
(a)〜(d)により実質的に第1及び第2発明の高吸
収性ポリマーの上述の作用と同様な作用を生じ、前記i)
〜iii)の吸収能を発揮するものと推察される。
【0049】
【実施例】
実施例1 攪拌機、還流冷却器、滴下濾斗及び窒素ガス導入管を備
えた500mlの4つ口丸底フラスコに、シクロヘキサン
230ml、ソルビタンモノステアレート(スパン60)
1.4gを仕込み、これらを攪拌し均一溶液とした。こ
れとは別に三角フラスコ中で、アクリル酸モノマー30
gを、水39gに溶解した苛性ソーダ13.4gで中和
した。このアクリル酸モノマー水溶液中のモノマー濃度
は45%(水分量55%)となった。次いで、このモノ
マー水溶液中に過硫酸カリウム0.1gを加えて溶解し
た。このモノマー水溶液を、シクロヘキサン等を仕込ん
だ上記の4つ口丸底フラスコ中に、窒素雰囲気下に滴下
した後、これを70〜75℃に昇温させ、重合を開始さ
せた。
【0050】次いで、共沸脱水(シクロヘキサンは還
流)によりシクロヘキサン中に懸濁しているポリマー中
の水分量を35%、27%、20%にそれぞれコントロ
ールした。この後それぞれにエチレングリコールジグリ
シジルエーテル0.03gを水1mlに溶解した水溶液を
73℃で添加し、この温度下に2時間保持した後シクロ
ヘキサンを除去し、得られたポリマーを80〜100℃
で減圧下に乾燥し、それぞれ下記〔表1〕に記載の高吸
収性ポリマーA、B及びC(本発明品)を得た。
【0051】実施例2 上記実施例1で得た上記高吸水性ポリマーA、B及びC
それぞれ40gを、再び500mlの4つ口丸底フラスコ
中に、シクロヘキサン230mlと共に入れ、水を添加
し、それぞれの水分含量を35%、27%及び20%に
コントロールし、それぞれを75℃に昇温させた。一定
温度になった後、それぞれにエチレングリコールジグリ
シジルエーテル(ポリマーに対し2500ppm)を添
加した。その後、これを75℃に3時間保持した後、シ
クロヘキサンを除去し、得られたポリマーをそれぞれ8
0〜100℃で減圧下に乾燥し、それぞれ下記〔表1〕
に記載の高吸収性ポリマーD、E及びF(本発明品)を
得た。
【0052】実施例3 上記実施例1において、重合後、架橋剤(エチレングリ
コールジグリシジルエーテル)を水分コントロール後添
加する代わりに、架橋剤を予めモノマー水溶液に添加し
た以外は、上記実施例1において上記高吸収性ポリマー
Aを得た場合と全て同様にして下記〔表1〕に記載の高
吸収性ポリマーG(本発明品)を得た。
【0053】実施例4 アクリル酸72.1gを18.0gの水で希釈し、冷却
しつつ30wt%の水酸化ナトリウム水溶液98.9gで
中和した後、2.8wt%2,2’−アゾビス(2−アミ
ジノプロパン)ジヒドロクロリド水溶液10.7gを加
えて均一溶液とし、モノマー/開始剤水溶液を作った。
別に、還流冷却管、滴下漏斗、攪拌棒、及び窒素導入管
を備えた500mlフラスコにシクロヘキサン283mlを
取り、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸エステ
ルナトリウム塩〔平均エチレンオキシド付加モル数=
2〕の25wt%水溶液2.2gを加えて攪拌(300rp
m)・分散させ、フラスコを窒素置換した後、75℃に昇
温した。これに前述のモノマー/開始剤水溶液を、30
分間に渡り滴下し、滴下完了後、75℃で1.5時間、
さらに80℃で4時間攪拌・重合させた。
【0054】重合終了後、生成物を分別し、減圧下に乾
燥することにより、88.4gのアクリル酸(ナトリウ
ム)重合体を得た。得られた重合体は、ふるい法による
平均粒径が400μmの歪な形状をした顆粒状粒子で、
嵩密度は0.41g/mlであった。また、前記重合体の
粒子表面は、数〜20μmの不定形粒子が互いに融着し
たような構造をしており、表面の凹凸が極めて著しいも
のであった。得られた重合体(本発明品Q)について平
衡膨潤吸水量、吸水速度を表す吸水量及び生理食塩水の
液通過時間等を、それぞれ測定した。それらの結果を下
記〔表1〕に示す。
【0055】実施例5 アクリル酸72.1gを32.0gの水で希釈し、冷却
しつつ30wt%の水酸化ナトリウム水溶液98.9gで
中和した後、2.8wt%過硫酸カリウム水溶液10.7
gを加えて均一溶液とし、モノマー/開始剤水溶液を作
った。別に、還流冷却管、滴下漏斗、攪拌棒、及び窒素
導入管を備えた500mlのフラスコにシクロヘキサン2
83mlを取り、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫
酸エステルナトリウム塩〔平均エチレンオキシド付加モ
ル数=3〕の25wt%水溶液1.5gを加えて攪拌(3
00rpm)・分散させ、フラスコを窒素置換した後、75
℃に昇温した。これに前記モノマー/開始剤水溶液を3
0分間に渡り滴下した。この際、同時に、エポキシ系二
官能性架橋剤として、エチレングリコールジグリシジル
エーテル)0.058gをシリンジを用いて徐々に滴下
した。滴下完了後、75℃で1.5時間、さらに80℃
で4時間攪拌・重合させた。
【0056】重合終了後、生成物を分別し、減圧下に乾
燥することにより、88.4gのアクリル酸(ナトリウ
ム)重合体を得た。得られた重合体は、ふるい法による
平均粒径が400μmの歪な形状をした顆粒状粒子で、
嵩密度は0.41g/mlであった。前記重合体の粒子表
面は、数〜20μmの不定形粒子が互いに融着したよう
な構造をしており、表面の凹凸が極めて著しいものであ
った。得られた重合体(本発明品R)について、平衡膨
潤吸水量、吸水速度を表す吸水量及び生理食塩水の液通
過時間等を、それぞれ測定した。それらの結果を下記
〔表1〕に示す。
【0057】実施例6 アクリル酸72.1gを18.0gの水で希釈し、冷却
しつつ30wt%水酸化ナトリウム水溶液98.9gで中
和した後、5.2wt%過硫酸カリウム5.6gを加えて
均一溶液とし、モノマー/開始剤水溶液を作った。別
に、還流冷却管、滴下漏斗、攪拌棒、及び窒素導入管を
備えた500mlのフラスコにシクロヘキサン283mlを
取り、ドデシルグルコシド(糖縮合度:1.25)1.
8gを加えて攪拌(300rpm)・分散させ、フラス
コを窒素置換した後、75℃に昇温した。これに前述の
モノマー/開始剤水溶液を30分間に渡り滴下し、滴下
完了後、75℃で1.5時間、さらに80℃で4時間攪
拌・重合させた。
【0058】重合終了後、生成物を分別し、減圧下に乾
燥することにより、88.4gのアクリル酸(ナトリウ
ム)重合体を得た。得られた重合体は、平均粒径:65
0μmの歪な形状をした顆粒状粒子で、嵩密度は0.3
0g/mlであった。また、前記重合体粒子表面は、数〜
20μmの不定形粒子が互いに融着したような構造をし
ており、表面の凹凸が極めて著しいものであった。得ら
れた上記重合体(本発明品S)について平衡膨潤吸水
量、吸水速度を表す吸水量及び生理食塩水の液通過時間
等を、それぞれ測定した。それらの結果を下記〔表1〕
に示す。
【0059】実施例7 アクリル酸72.1gを18.0gの水で希釈し、冷却
しつつ30wt%の水酸化ナトリウム水溶液98.9gで
中和した後、2.8wt%過硫酸カリウム10.7gを加
えて均一溶液とし、モノマー/開始剤水溶液を作った。
別に、還流冷却管、滴下漏斗、攪拌棒、及び窒素導入管
を備えた500mlフラスコにシクロヘキサン283mlを
取り、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド0.
55gを加えて攪拌(300rpm)・分散させ、フラ
スコを窒素置換した後、75℃に昇温した。これに前述
のモノマー/開始剤水溶液を30分間に渡り滴下し、滴
下完了後、75℃で1.5時間、さらに80℃で4時間
攪拌・重合した。
【0060】重合終了後、生成物を分別し、減圧下に乾
燥することにより、88.4gのアクリル酸(ナトリウ
ム)重合体を得た。得られた重合体は、粒径100〜1
500μm(平均粒径:800μm)の歪な形状をした
顆粒状粒子で、嵩密度は0.54g/mlであった。ま
た、前記重合体粒子表面は、数〜20μmの不定形粒子
が互いに融着したような構造をしており、表面の凹凸が
極めて著しいものであった。得られた上記重合体(本発
明品T)について平衡膨潤吸水量、吸水速度を表す吸水
量及び生理食塩水の液通過時間等を、それぞれ測定し
た。それらの結果を下記〔表1〕に示す。
【0061】比較例1 上記実施例1において、シクロヘキサン等を仕込んだ上
記の4つ口丸底フラスコ中の溶液を70〜75℃に昇温
し、これにモノマー水溶液をチッソ雰囲気下に1.5時
間かかって滴下重合した後、70〜75℃下に0.5時
間保ち、重合を終了させた以外は、上記実施例1におい
て上記高吸収性ポリマーA〜Cを得た場合とそれぞれ全
て同様にして下記〔表2〕に記載の吸収性ポリマーH、
I及びJ(比較品)を得た。
【0062】比較例2 上記比較例1において、分散媒としてスパン60の代わ
りにエチルセルロースN−200を1.94g用いた以
外は、上記比較例1において上記吸収性ポリマーH〜I
を得た場合とそれぞれ全て同様にして下記〔表2〕に記
載の吸収性ポリマーK、L及びM(比較品)を得た。
【0063】比較例3 市販の3種の架橋ポリアクリル酸ソーダ(商品名:アロ
ンザップRSII、アクアキープ10SH−P、及びアク
アリックCAW−4)をそれぞれ吸収性ポリマーN、
O、P(比較品)とした。下記〔表2〕参照。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【発明の効果】本発明の高吸収性ポリマーは、人体から
排泄された体液(主に尿)等の多量の水性液体と接した
時の初期吸収速度が高く、しかも、初期吸収後にゲルブ
ロッキング等の吸収能阻害現象を生じず、膨潤後に吸収
能の低下が無く、吸収性ポリマーの保有している吸収能
を充分に発揮し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】高吸収性ポリマーの吸収速度を表わす吸収量の
測定法をその装置の概要と共に示す図である。
【図2】生理食塩水の液通過時間(ゲルブロッキング性
の評価を示すファクター)の測定法をその装置の概要と
共に示す図である。
【符号の説明】
W 生理食塩水 P ポリマー I ポリマーの吸収速度を表わす吸収量の測定装置 10 生理食塩水の液通過時間の測定装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中西 浩文 栃木県芳賀郡市貝町市塙4594 (56)参考文献 特公 平1−53974(JP,B2) 欧州特許出願公開450922(EP,A 1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 3/24

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシル基又はカルボキシレート基
    を有する水不溶性親水性架橋重合体粒子からなる吸収性
    ポリマーにおいて、 上記水不溶性親水性架橋重合体粒子の表面の架橋密度を
    高めることによって、該架橋重合体粒子に下記i)〜iii)
    の吸収能を付与したことを特徴とする高吸収性ポリマ
    ー。 i) 生理食塩水の平衡膨潤吸収量が40g/g(ポリマ
    ー)以上である。 ii)ポリマー0.3gを生理食塩水により10秒間膨潤
    させた吸収量が3ml以上である。 iii)ポリマー0.05gを断面積0.785cm2 の円筒
    (内径10mmφ)に生理食塩水と共に充填し、該生理食
    塩水によりポリマーを膨潤させ、平衡膨潤吸収量に達し
    且つ膨潤ポリマーが沈降した後の生理食塩水5ccの液通
    過時間が40秒以下である。
  2. 【請求項2】 上記iii)における液通過時間が20秒以
    下であることを特徴とする請求項1記載の高吸収性ポリ
    マー。
  3. 【請求項3】 カルボキシル基又はカルボキシレート基
    を有する水不溶性親水性架橋重合体粒子からなる吸収性
    ポリマーにおいて、 上記水不溶性親水性架橋重合体粒子の表面の架橋密度を
    高めることによって、該架橋重合体粒子に下記i)〜iii)
    の吸収能を付与したことを特徴とする高吸収性ポリマ
    ー。 i) 生理食塩水の平衡膨潤吸収量が40g/g(ポリマ
    ー)以上である。 ii)ポリマー0.3gを生理食塩水により30秒間膨潤
    させた吸収量が6ml以上である。 iii)ポリマー0.5gを断面積5.15cm2 の円筒(内
    径25.6mmφ)に生理食塩水と共に充填し、該生理食
    塩水によりポリマーを膨潤させ、平衡膨潤吸収量に達し
    且つ膨潤ポリマーが沈降した後の生理食塩水50mlの液
    通過時間が150秒以下である。
  4. 【請求項4】 請求項3の上記ii)における吸収量が9
    ml以上であることを特徴とする請求項3記載の高吸収性
    ポリマー。
  5. 【請求項5】 請求項3の上記iii)における液通過時間
    が75秒以下であることを特徴とする請求項3又は4記
    載の高吸収性ポリマー。
  6. 【請求項6】 ポリマーの生理食塩水に対する可溶部量
    が、5重量%以下(対ポリマー)であることを特徴とす
    る請求項1〜5の何れかに記載の高吸収性ポリマー。
  7. 【請求項7】 カルボキシル基又はカルボキシレート基
    を有する水不溶性親水性架橋重合体粒子を構成粒子とす
    る団粒化物からなる高吸収性ポリマーであって、下記要
    件(a)〜(d)を有する構造からなることを特徴とす
    る高吸収性ポリマー。 (a)上記各構成粒子はそれらの間に、上記団粒化物の
    外部と実質的に連通している空隙部を有する状態で集合
    している。 (b)上記空隙部の総和量が0.2cc/g(ポリマー)
    以上である。 (c)上記団粒化物は、不定形度Pが1.2以上の非球
    形状である。 (d)上記団粒化物の平均粒径d50(積算粒径50%の
    粒子径)が100〜500μmである。
  8. 【請求項8】 ポリマーの生理食塩水に対する可溶部量
    が、5重量%以下(対ポリマー)であることを特徴とす
    る請求項7記載の高吸収性ポリマー。
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