JP3204019B2 - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置

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JP3204019B2
JP3204019B2 JP02315995A JP2315995A JP3204019B2 JP 3204019 B2 JP3204019 B2 JP 3204019B2 JP 02315995 A JP02315995 A JP 02315995A JP 2315995 A JP2315995 A JP 2315995A JP 3204019 B2 JP3204019 B2 JP 3204019B2
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    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B67/00Engines characterised by the arrangement of auxiliary apparatus not being otherwise provided for, e.g. the apparatus having different functions; Driving auxiliary apparatus from engines, not otherwise provided for
    • F02B67/04Engines characterised by the arrangement of auxiliary apparatus not being otherwise provided for, e.g. the apparatus having different functions; Driving auxiliary apparatus from engines, not otherwise provided for of mechanically-driven auxiliary apparatus
    • F02B67/06Engines characterised by the arrangement of auxiliary apparatus not being otherwise provided for, e.g. the apparatus having different functions; Driving auxiliary apparatus from engines, not otherwise provided for of mechanically-driven auxiliary apparatus driven by means of chains, belts, or like endless members
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吸気バルブ及び排気バ
ルブの少なくとも一方の開閉タイミング(バルブタイミ
ング)を変化させるための可変バルブタイミング機構を
搭載した内燃機関において、その運転状態に応じて同機
構を駆動制御するためのバルブタイミング制御装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジンのクランクシャフトの回
転に対するカムシャフトの回転の位相を変化させること
により、吸気バルブや排気バルブのバルブタイミング
(開閉タイミング)を任意に変化させることのできる可
変バルブタイミング機構が種々提案されている。このバ
ルブタイミングは、吸・排気バルブが開弁及び閉弁され
るときのクランクシャフトの回転角度(クランク角)で
表される。
【0003】この可変バルブタイミング機構の一つとし
て、特開平6−264705号公報には、エンジンの運
転状態に応じて吸気バルブ及び排気バルブ駆動用カムシ
ャフトの回転位相を変化させ、バルブタイミングを連続
的に変更可能とした技術が開示されている。この技術で
は、クランクシャフトに嵌合した駆動プーリとカムシャ
フト側に固定した被動プーリとの間にタイミングベルト
が掛装されている。前記被動プーリとカムシャフトとの
間にはエンジンの運転状態に応じてカムシャフトの回転
位相を調整するための油圧式位相調整機構が介装されて
いる。そして、吸気通路を通してエンジンへ吸入される
エアーフローメーター、クランク角センサ及びカム角セ
ンサ等により検出された外部出力信号を電子制御装置
(ECU)に入力することにより前記油圧式位相調整機
構を適正に制御してエンジンの運転状態に応じてバルブ
タイミングを好適に制御する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記可変バ
ルブタイミング機構を搭載したエンジンにおいては、エ
ンジンの急加速時又は急減速時の過渡時にタイミングベ
ルトの歯跳びによりバルブタイミングによってはピスト
ンとバルブが干渉(バルブスタンプ)する恐れがある。
すなわち、可変バルブタイミング機構によりバルブタイ
ミングが進められる(進角される)と、バルブがピスト
ンに近づき、両者の隙間が小さくなる。この隙間はバル
ブタイミングが最も大きく進角されたとき(最進角時)
に最小となる。そのため最進角時にタイミングベルトの
歯跳びによるバルブタイミングの進角によってピストン
とバルブが接触しないようにする必要がある。しかし、
この接触を阻止するため予めタイミングベルトの歯跳び
を考慮してバルブとピストンとの最小間隙を大きくする
と、燃料の燃焼に悪影響がでるばかりでなく、ピストン
のバルブリセス部が深くなってピストンの耐久性が低下
する。
【0005】本発明は前述した事情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、可変バルブタイミング機構を搭
載した内燃機関において、バルブとピストンとの最小間
隙を大きくすることなく、内燃機関の急加速時又は急減
速時の過渡時にタイミングベルトの歯跳びによるバルブ
スタンプを防止してピストン及びバルブの損傷を未然に
防止することができる内燃機関のバルブタイミング制御
装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1記載の発明は、図1に示すように、内燃機関
M1のクランクシャフトM2の回転にともない作動し、
燃焼室M3に連通する吸気通路M4及び排気通路M5を
開閉する吸気バルブM6及び排気バルブM7と、前記燃
焼室M3に連通するシリンダM8内をクランクシャフト
M2の回転にともない往復動するピストンM9と、前記
クランクシャフトM2の回転にともない変化するクラン
ク角に対する、吸気バルブM6の開閉タイミングを所定
の角度範囲内で変更するための可変バルブタイミング機
構M10と、前記吸気バルブM6の開閉タイミングを検
出するタイミング検出手段M11と、前記内燃機関M1
の回転速度を含む運転状態を検出する運転状態検出手段
M12と、前記運転状態検出手段M12による運転状態
に応じたバルブM6の目標開閉タイミングを算出する目
標タイミング算出手段M13と、前記タイミング検出手
段M11による開閉タイミングを前記目標タイミング算
出手段M13による目標開閉タイミングに近づけるべく
前記可変バルブタイミング機構M10を駆動制御する制
御手段M14とを備えた内燃機関のバルブタイミング制
御装置において、前記運転状態検出手段M12により検
出された内燃機関M1の回転速度から該回転速度の変化
量を求める変化量算出手段M15と、前記変化量算出手
段M15による変化量が予め設定された判定値より大き
いときには、目標タイミング算出手段M13の目標開閉
タイミングを強制的に最遅角へと変更する目標タイミン
グ変更手段M16と、該目標タイミング変更手段M16
によって強制的に目標タイミングが変更された後に、前
記タイミング検出手段M11の検出により得られる進角
値Aが、前記可変バルブタイミング機構の正常な作動に
おいて発生し得るずれの範囲を外れることでタイミング
ベルトの歯跳び有り検出する歯跳び検出手段(図示略)
とを設けたことをその要旨とする。更に、請求項2記載
の発明は、請求項1記載の発明において、前記歯跳び検
出手段(図示略)によりタイミングベルトの歯跳び有り
と検出されたときに、吸気バルブM6の開閉タイミング
を最遅角に固定することをその要旨とする。
【0007】
【作用】この発明においては、図1に示すように、内燃
機関M1のクランクシャフトM2の回転にともない吸気
バルブM6及び排気バルブM7が作動し、吸気通路M4
及び排気通路M5を開閉する。又、前記回転にともない
ピストンM9がシリンダM8内を往復動する。そして、
ピストンM9とバルブM6(M7)とが周期的に互いに
接近及び離間する。両者M9,M6(M7)の間隔は、
クランクシャフトM2の回転に従って変化する。この間
隔が最小となった場合にも、バルブM6,M7とピスト
ンM9との接触が防止される。
【0008】加えて、前記内燃機関M1では、バルブM
6,M7の少なくとも一方の開閉タイミングが可変バル
ブタイミング機構M10により次のようにして変更され
る。まず、同機構M10が設けられた側のバルブM6,
M7の開閉タイミングがタイミング検出手段M11によ
って検出される。内燃機関M1の運転状態が運転状態検
出手段M12によって検出される。その運転状態に応じ
たバルブM6,M7の目標開閉タイミングが目標タイミ
ング算出手段M13によって算出される。開閉タイミン
グが目標開閉タイミングに近づくように、制御手段M1
4によって可変バルブタイミング機構M10が駆動制御
される。
【0009】前記のようにバルブM6,M7の開閉タイ
ミングが変更されると、それにともなって前記間隔が変
化する。一般に、吸気バルブM6に関しては、その開閉
タイミングが早められる(進角される)に従い、前記間
隔が狭められる。バルブM6,M7の開閉タイミングが
変更されて前記間隔が最も小さくなった場合にもバルブ
M6,M7とピストンM9との接触が防止される。
【0010】ところで、内燃機関M1のタイミングベル
トがプーリに適正に巻掛けられていても、急加速又は急
減速時に、タイミングベルトがタイミングプーリ上で歯
跳びする恐れがある。この場合にはバルブM6,M7の
開閉タイミングが所定のタイミングからずれるので、前
記間隔が変化する。この歯跳びを考慮してバルブM6,
M7とピストンM9との間隔を大きく設定すれば、両者
の干渉が防止されるが、ピストンM9頂部の強度低下や
燃焼性悪化の問題が新たに起こる。
【0011】これに対し、この発明では、運転状態検出
手段M12により検出された内燃機関M1の回転速度に
基づいて、その変化量が変化量算出手段M15によって
求められる。この際、内燃機関M1が通常の回転速度で
あれば、変化量はわずかであるが、急加速又は急減速さ
れた場合には変化量は大きくなる。
【0012】そこで、前記変化量が予め設定された判定
値より大きいときには、目標タイミング変更手段M16
によって、目標タイミング算出手段M13の目標開閉タ
イミングが強制的に変更される。そして、開閉タイミン
グが変更後の目標開閉タイミングに近づくように可変バ
ルブタイミング機構M10が制御されることで、バルブ
M6,M7がピストンM9側へ最大量変位する際のクラ
ンク角と、ピストンM9がバルブM6,M7側へ最大量
変位する際のクランク角との角度差が、バルブM6,M
7及びピストンM9の干渉時の角度差よりも大きくな
る。
【0013】このように、前記急加速又は急減速により
タイミングベルトとタイミングプーリとが歯跳びする
と、歯跳びなしの場合に比較してピストンM9とバルブ
M6(M7)との間隔が狭くなろうとするが、開閉タイ
ミングが変更されて両者M9,M6(M7)が接触しな
いように前記間隔が異常に狭められるのを阻止する。従
って、急加速又は急減速時の前記タイミングベルトとタ
イミングプーリとの歯跳びを考慮してバルブとピストン
との最小間隔を大きくしなくてもよく、これにともない
ピストンM9頂部の肉厚が大きくなる
【0014】
【実施例】以下、この発明を具体化した一実施例を図2
〜図11に従って説明する。図2及び図8に示すよう
に、車両には内燃機関としての4サイクルガソリンエン
ジン(以下、単にエンジンという)1が搭載されてい
る。エンジン1はシリンダブロック2及びシリンダヘッ
ド3を備えている。シリンダブロック2には、上下方向
へ延びる複数のシリンダ4が紙面の厚み方向へ並設さ
れ、各シリンダ4内にピストン5が往復動可能に収容さ
れている。ピストン5の外周には複数本の環状溝20a
が形成され、各環状溝20aにピストンリング20bが
装着されている。各ピストン5は、コネクティングロッ
ド6を介し共通のクランクシャフト7に連結されてい
る。各ピストン5の往復運動はコネクティングロッド6
によって回転運動に変換された後、クランクシャフト7
に伝達される。
【0015】図2に示すように、シリンダブロック2及
びシリンダヘッド3間において、各ピストン5の上側は
燃焼室8となっている。シリンダヘッド3には、その両
外側面と各燃焼室8とを連通させる吸気ポート9及び排
気ポート10がそれぞれ設けられている。これらのポー
ト9,10を開閉するために、シリンダヘッド3には吸
気バルブ11及び排気バルブ12がそれぞれ略上下方向
への往復動可能に支持されている。又、シリンダヘッド
3において、各バルブ11,12の上方には、吸気側カ
ムシャフト13及び排気側カムシャフト14がそれぞれ
回転可能に設けられている。各カムシャフト13,14
の端部に設けられたタイミングプーリ15,16は、タ
イミングベルト17によりクランクシャフト7に駆動連
結されている。
【0016】そして、クランクシャフト7が回転される
と、その回転がタイミングベルト17を介して両タイミ
ングプーリ15,16に伝達される。タイミングプーリ
15の回転にともない吸気側カムシャフト13が回転す
ると、その回転により吸気バルブ11が往復動し、吸気
ポート9が開閉される。又、タイミングプーリ16の回
転にともない排気側カムシャフト14が回転すると、そ
の回転により排気バルブ12が往復動し、排気ポート1
0が開閉される。
【0017】従って、クランクシャフト7の回転にとも
ないピストン5と吸・排気バルブ11,12とが周期的
に互いに接近及び離間する。そして、図8(排気バルブ
12のみ図示)に示すようにピストン5とバルブ11,
12との間隔d(バルブ11,12の下端と頂面5bと
の距離)が変化する。
【0018】吸気ポート9には、エアクリーナ18、ス
ロットルバルブ19、サージタンク21、吸気マニホル
ド22等を備えた吸気通路23が接続されている。エン
ジン1外部の空気(外気)は、燃焼室8へ向けて吸気通
路23の各部18,19,21,22を順に通過する。
【0019】スロットルバルブ19は軸24により吸気
通路23に回動可能に設けられている。軸24はワイヤ
等を介して運転席のアクセルペダル(図示しない)に連
結されており、運転者によるアクセルペダルの踏み込み
操作に連動してスロットルバルブ19と一体で回動され
る。この際のスロットルバルブ19の傾斜角度に応じ
て、吸気通路23を流れる空気の量(吸入空気量)が決
定される。サージタンク21は吸入空気の脈動(圧力振
動)を平滑化させるためのものである。
【0020】吸気マニホルド22には、各吸気ポート9
へ向けて燃料を噴射するインジェクタ25が取付けられ
ている。そして、各インジェクタ25から噴射される燃
料と吸気通路23内を流れる空気とからなる混合気は、
各燃焼室8内へ導入される。この混合気に着火するため
に、シリンダヘッド3には点火プラグ26が取付けられ
ている。
【0021】点火プラグ26はディストリビュータ27
によって分配された点火信号に基づいて駆動される。デ
ィストリビュータ27は、イグナイタ28から出力され
る高電圧をクランクシャフト7の回転角度に同期して点
火プラグ26に分配する。そして、燃焼室8内へ導入さ
れた混合気は点火プラグ26の点火によって爆発・燃焼
される。この際に生じた高温高圧の燃焼ガスによりピス
トン5が往復動し、クランクシャフト7が回転され、エ
ンジン1の駆動力が得られる。
【0022】排気ポート10には、排気マニホルド2
9、触媒コンバータ31等を備えた排気通路32が接続
されている。燃焼室8で生じた燃焼ガスは、排気通路3
2の各部材29,31を順に通ってエンジン1外部へ導
出される。触媒コンバータ31には、排気通路32を流
れる排気ガスを浄化するための三元触媒33が内蔵され
ている。
【0023】さらに、図8に示すように本実施例のエン
ジン1においては、ピストン5の頂面5bの外周部分に
バルブリセス部5aが設けられている。バルブリセス部
5aは、エンジン1の運転にともないピストン5が上死
点近傍まで上昇し、同ピストン5と吸・排気バルブ1
1,12とが干渉し合うのを防止するためのものであ
る。
【0024】図2に示すように、エンジン1には以下の
各種センサが取付けられている。シリンダブロック2に
は、エンジン1の冷却水の温度(冷却水温THW)を検
出するための水温センサ34が取付けられている。吸気
通路23においてエアクリーナ18の近傍には、吸入空
気の温度(吸気温THA)を検出するための吸気温セン
サ35が取付けられている。吸気通路23において、ス
ロットルバルブ19の近傍には、その軸24の回動角度
(スロットル開度TA)を検出するためのスロットルセ
ンサ36が設けられている。サージタンク21には、そ
の内部の圧力(吸気圧PM)を検出するための吸気圧セ
ンサ37が取付けられている。排気通路32の途中に
は、排気ガス中の残存酸素濃度を検出するための酸素セ
ンサ38が取付けられている。
【0025】ディストリビュータ27には、クランクシ
ャフト7の回転に同期して回転するロータ(図示しな
い)が内蔵されている。ディストリビュータ27には、
ロータの回転からクランクシャフト7の回転速度(エン
ジン回転速度)NEを検出するための回転速度センサ3
9が設けられている。又、ディストリビュータ27に
は、ロータの回転からクランクシャフト7の基準位置を
所定の割合で検出するための気筒判別センサ40が設け
られている。
【0026】さらに、エンジン1には、クランクシャフ
ト7上のロータと電磁ピックアップとからなるクランク
角センサ41が設けられている。ロータは磁性体からな
り、その外周に複数の歯が等角度毎に形成されている。
電磁ピックアップはクランクシャフト7の回転にともな
い、ロータが回転して歯がその電磁ピックアップの前方
を通過する毎に、パルス状のクランク角度信号を発生す
る、そして、気筒判別センサ40による基準位置信号の
発生後に、クランク角センサ41からのクランク角度信
号の発生数を計測することでクランクシャフト7の回転
角度(クランク角)を検出することが可能である。
【0027】本実施例では、上記スロットルセンサ36
及び回転速度センサ39が、運転状態検出手段として用
いられている。吸気側カムシャフト13とタイミングプ
ーリ15との間には、可変バルブタイミング機構(以下
単に「VVT」という)46が設けられている。VVT
46は、タイミングプーリ15(クランクシャフト7)
の回転に対するカムシャフト13の回転の位相を変化さ
せて、吸気バルブ11のバルブタイミングを連続的に変
更するための機構であり、油圧により駆動される。
【0028】次に、VVT46の構成を図3〜図6に従
って説明する。吸気側カムシャフト13は、そのジャー
ナル47において、シリンダヘッド3及びベアリングキ
ャップ48間で回転可能に支持されている。カムシャフ
ト13の外周においてジャーナル47の前方(図3及び
図5の左方)近傍には、タイミングプーリ15が相対回
動可能に装着されている。タイミングプーリ15の外周
には多数の外歯49が形成され、ここにタイミングベル
ト17が掛装されている。上述したようにクランクシャ
フト7の回転は、このタイミングベルト17を介してタ
イミングプーリ15に伝達される。
【0029】カムシャフト13の前端には、インナキャ
ップ51が中空ボルト52及びピン53により一体回転
可能に取付けられている。タイミングプーリ15には、
蓋54を有するカバー55がボルト56及びピン57に
より一体回転可能に取付けられている。このカバー55
によりカムシャフト13の前端部及びインナキャップ5
1の全体が覆われている。
【0030】タイミングプーリ15及びカムシャフト1
3は、カバー55及びインナキャップ51間に介在され
たリングギヤ58によって連結されている。リングギヤ
58は略円環状をなし、タイミングプーリ15、カバー
55及びインナキャップ51によって囲まれた空間S内
に前後方向への往復動可能に収容されている。リングギ
ヤ58の内外周には多数の歯58a,58bが設けられ
ている。これに対応して、インナキャップ51の外周及
びカバー55の内周には多数の歯51a,55bが設け
られている。これらの歯58a,58b,51a,55
bは、いずれもその歯すじがカムシャフト13の軸線に
対し交差したヘリカル歯となっている。そして、歯51
a,58aが互いに噛合し、歯55b,58bが互いに
噛合している。これらの噛合により、タイミングプーリ
15の回転は、カバー55、リングギヤ58、インナキ
ャップ51を介してカムシャフト13に伝達される。
又、各歯58a,58b,51a,55bがヘリカル歯
であることから、リングギヤ58が前後方向へ移動する
と、インナキャップ51及びカバー55に捩じり力が付
与され、その結果、カムシャフト13がタイミングプー
リ15に対し相対回動する。
【0031】空間Sにおいて、リングギヤ58の前側は
第1の油圧室59をなし、後側は第2の油圧室61をな
している。各油圧室59,61に潤滑油による油圧を供
給するために、図2に示すように、エンジン1に既設の
オイルポンプ62が利用されている。オイルポンプ62
はクランクシャフト7に駆動連結されており、エンジン
1の運転にともない作動してオイルパン63から潤滑油
を吸引及び吐出する。吐出された潤滑油中の異物、金属
粉等はオイルフィルタ64によって除去される。そし
て、オイルフィルタ64を通過した潤滑油の油圧が各油
圧室59,61に供給される。
【0032】図3及び図5に示すように、オイルポンプ
62は後述する第1の供給路により第1の油圧室59に
連通されている。すなわち、シリンダヘッド3及びベア
リングキャップ48には、上下方向へ延びるヘッド油路
66が形成されている。ベアリングキャップ48には、
ヘッド油路66と平行に油孔67が形成されている。カ
ムシャフト13のジャーナル47において油孔67と対
応する箇所には、ジャーナル溝68が全周にわたって形
成されている。
【0033】カムシャフト13にはその軸線に沿って延
びるシャフト油路69が形成されている。シャフト油路
69は、その途中に配置されたボール71により前後に
区画されている。カムシャフト13には、ジャーナル溝
68及びシャフト油路69を連通させる油孔72が貫設
されている。シャフト油路69の前側は、中空ボルト5
2の中心孔52aを通じて第1の油圧室59に連通され
ている。そして、前述したヘッド油路66、油孔67、
ジャーナル溝68、油孔72、シャフト油路69及び中
心孔52aにより第1の供給路が構成されている。
【0034】オイルポンプ62は後述する第2の供給路
により第2の油圧室61に連通されている。すなわち、
ベアリングキャップ48には、油孔67と平行に油孔7
4が形成されている。カムシャフト13のジャーナル4
7において油孔74と対応する箇所には、ジャーナル溝
75が全周にわたって形成されている。カムシャフト1
3には、シャフト油路69と平行にシャフト油路76が
形成されている。シャフト油路76の後端はジャーナル
溝75に接続され、前端は、カムシャフト13及びイン
ナキャップ51間に設けられた油孔77を介して第2の
油圧室61に接続されている。そして、前述したヘッド
油路66、油孔74、ジャーナル溝75、シャフト油路
76、油孔77により第2の供給路が構成されている。
【0035】第1の供給路及び第2の供給路の途中に
は、各油圧室59,61に供給される油圧の大きさを調
整するために、電磁式のリニアソレノイドバルブ(LS
V)78が設けられている。
【0036】図3及び図4に示すように、LSV78の
ケーシング79には、その内外を連通させる第1のポー
ト81、第2のポート82、第3のポート83、第4の
ポート84及び第5のポート85がそれぞれ設けられて
いる。第1のポート81は油孔67に接続され、第2の
ポート82は油孔74に接続されている。第3及び第4
のポート83,84は、ベアリングキャップ48に形成
された油孔86を介してオイルパン63に接続されてい
る。第5のポート85は、ヘッド油路66、オイルフィ
ルタ64等を介してオイルポンプ62に接続されてい
る。
【0037】ケーシング79の内部には、円筒状の4つ
の弁体87aを備えたスプール87が往復動可能に収容
されている。スプール87は、その前後(図4の左右)
両側に設けられたスプリング88及び電磁ソレノイド8
9の作動により軸方向へ移動される。
【0038】例えば図6に示すように、スプール87が
前方(図の左方)へ移動されると、第5のポート85が
第1のポート81に連通されるとともに、第2のポート
82が第4のポート84に連通される。これらの連通に
より、ヘッド油路66に供給された油圧が、LSV78
から油孔67、ジャーナル溝68、油孔72、シャフト
油路69及び中心孔52aを通じて第1の油圧室59に
供給される。この油圧がリングギヤ58に前側から加え
られると、同リングギヤ58が第2の油圧室61内の潤
滑油に抗して後方へ移動しながら回動する。この回動を
ともなう移動により、インナキャップ51及びカバー5
5に捩じり力が付与される。
【0039】その結果、タイミングプーリ15に対する
カムシャフト13の回転位相が変えられ、吸気バルブ1
1のバルブタイミングが進角される。すなわち、図9
(b)に示すように吸気バルブ11の開弁開始時期が早
められ、吸気バルブ11と排気バルブ12とが共に開い
ている期間(バルブオーバラップ)が拡大される。リン
グギヤ58の後方への移動は、これがタイミングプーリ
15に接触したところで規制される。リングギヤ58が
タイミングプーリ15に接触して停止したとき、吸気バ
ルブ11の開弁開始時期が最も早くなる。
【0040】一方、図4に示すように、LSV78のス
プール87が後方(図の右方)へ移動されると、第5の
ポート85が第2のポート82に連通されるとともに、
第1のポート81が第3のポート83に連通される。す
ると、ヘッド油路66に供給された油圧が、LSV78
から油孔74、ジャーナル溝75、シャフト油路76及
び油孔77を通じて第2の油圧室61に供給される。こ
の油圧がリングギヤ58に後側から加えられることによ
り、同リングギヤ58が第1の油圧室59内の潤滑油に
抗して前方へ移動しながら回動する。この回動をともな
う移動により、インナキャップ51及びカバー55に捩
じり力が付与される。
【0041】その結果、タイミングプーリ15に対する
カムシャフト13の回転位相が変えられ、吸気バルブ1
1のバルブタイミングが遅角される。すなわち、図9
(a)に示すように、吸気バルブ11の開弁開始時期が
遅らされバルブオーバラップが縮小され負となる。リン
グギヤ58の前方への移動は、これがカバー55に接触
することで規制される。リングギヤ58がカバー55に
接触して停止したとき、吸気バルブ11の開弁開始時期
が最も遅くなり、バルブタイミングが最遅角状態とな
る。
【0042】上記のようにVVT46が構成されてお
り、同VVT46を駆動させることにより、吸気バルブ
11のバルブタイミング、ひいてはバルブオーバラップ
が、図9(a)に示す状態と、図9(b)に示す状態と
の間で任意に変更可能である。
【0043】VVT46により変更される吸気バルブ1
1のバルブタイミングを検出するために、エンジン1に
は図2に示すようにカム角センサ42が設けられてい
る。同センサ42は、吸気側カムシャフト13上のロー
タと電磁ピックアップとからなる。ロータは磁性体から
なり、その外周に複数の歯が等角度毎に形成されてい
る。電磁ピックアップはカムシャフト13の回転にとも
ない、ロータが回転して歯がその電磁ピックアップの前
方を通過する毎に、パルス状のカム角度信号を発生す
る。
【0044】このカム角度信号と前記クランク角度信号
は、VVT46によってカムシャフト13の回転位相が
変更されたとき、その変更量を求めるために用いられ
る。すなわち、カム角度信号に対応するクランク角度信
号の発生から、予め定めた別の回転速度信号の発生まで
に要する時間が計測され、その時間に基づきクランクシ
ャフト7に対する吸気側カムシャフト13の回転位相の
変化量(変位角θ)が算出される。この変位角θは吸気
バルブ11の開閉タイミングに相当する。
【0045】又、車室内前部のインストルメントパネル
には警告灯30が組み込まれている。警告灯30は、エ
ンジンの急加速又は急減速時にタイミングベルト17の
歯跳びが生じた場合に点灯される。
【0046】上述した各種センサ34〜42の検出値に
基づき各インジェクタ25、イグナイタ28、警告灯3
0及びLSV78を駆動制御するために、電子制御装置
(以下単に「ECU」という)91が設けられている。
ECU91は図7に示すように、タイミング検出手段、
目標タイミング算出手段、回転数変化量(ΔNE)算出
手段、制御手段、変位角(θ)算出手段及び目標タイミ
ング変更手段としての中央処理装置(CPU)92、読
み出し専用メモリ(ROM)93、ランダムアクセスメ
モリ(RAM)94、バックアップRAM95、タイマ
99、外部入力回路96及び外部出力回路97を備えて
いる。これらの各部92〜97,99は互いにバス98
によって接続されている。ROM93は所定の制御プロ
グラムや初期データを予め記憶している。CPU92は
その制御プログラム及び初期データに従って各種演算処
理を実行する。RAM94はCPU92による演算結果
を一時的に記憶する。バックアップRAM95は、EC
U91に対する電源供給が停止された後にも、RAM9
4内の各種データを保持するために、バッテリ(図示し
ない)によってバックアップされている。
【0047】外部入力回路96には、前述した水温セン
サ34、吸気温センサ35、スロットルセンサ36、吸
気圧センサ37、酸素センサ38、回転速度センサ3
9、気筒判別センサ40、クランク角センサ41及びカ
ム角センサ42がそれぞれ接続されている。一方、外部
出力回路97には、各インジェクタ25、イグナイタ2
8、警告灯30及びLSV78がそれぞれ接続されてい
る。
【0048】そして、CPU92は外部入力回路96を
介して入力される各センサ34〜42の検出信号を入力
値として読み込む。又、CPU92はその入力値に基づ
き、各インジェクタ25、イグナイタ28、警告灯30
及びLSV78の作動を制御し、燃料噴射量制御、点火
時期制御、バルブタイミング制御等を実行する。
【0049】例えば、CPU92は燃料噴射制御に際
し、回転速度センサ39によるエンジン回転速度NE
と、吸気圧センサ37による吸気圧PMとをそれぞれ読
み込む。CPU92は、クランク角センサ41によるク
ランク角とカム角センサ42によるカム角とに基づき、
クランクシャフト7に対する吸気側カムシャフト13の
回転位相の変化量(変位角θ)を算出する。
【0050】CPU92はエンジン回転速度NE、吸気
圧PM及び変位角θに基づき、1回の吸入行程で各シリ
ンダ4に充填される空気の質量を求める。そして、その
空気質量に応じた燃料の基本噴射時間を演算し、これを
各種補正係数によって補正して噴射時間を求める。CP
U92は噴射時間に応じた駆動信号を外部出力回路97
を介してインジェクタ25に出力する。この信号に応じ
インジェクタ25の開弁時間が制御され、その時間に応
じた量の燃料が同インジェクタ25から噴射される。
【0051】次に、CPU92により実行されるバルブ
タイミング制御の処理内容を、図11を中心に説明す
る。このバルブタイミング制御ルーチンは、エンジン1
の急加速又は急減速時に「1」に設定されるとともに、
タイミングベルト17がタイミングプーリ15上で歯跳
びしていないとき「0」に設定されるフラグFに基づい
て行われる。
【0052】最初に、ステップ101において、回転速
度センサ39により検出されたエンジン1の回転速度N
Eが電子制御装置ECU91に入力される。次に、ステ
ップ102において、前記回転速度NEによりエンジン
1の回転速度の変化量ΔNEが現在のエンジンの回転速
度NEn (r/min)と前回の測定時のエンジン回転
速度NEn-1 (r/min)に基づいてCPU92によ
り算出される。このとき、回転速度の変化量ΔNEは、
実際には(NEn −NEn-1 )を回転速度測定間隔(r
/min2 )で除算した値となるが、この回転速度測定
間隔は一般に一定であり、(ΔNE=NEn −N
n-1 )で表すことにする。
【0053】次に、CPU92はステップ103におい
て、前記回転速度の変化量ΔNEが急加速の判定値Rよ
りも大きいか否かを判定する。この判定条件が成立して
いると、CPU92はステップ104において、リニア
ソレノイドバルブ(LSV)78を制御するデューティ
を零に設定して、電磁ソレノイド89への通電電流を零
にし、VVT46を最遅角制御し、前述したようにバル
ブタイミングを最遅角状態とする。
【0054】続いて、ステップ105において、CPU
92はチェックモード入りを指示すると共にタイマ99
をスタートさせ、フラグFを「1」に設定する。そし
て、CPU92はステップ106においてチェックモー
ドか否か及びフラグFが「1」か否かを判断し、チェッ
クモード及びフラグFが「1」の場合にはステップ10
7においてタイマ99がタイムアップしたか否かを判断
する。このタイマ99による設定時間はVVT46の最
遅角制御が完了するのに必要な時間に予め設定されてい
る。そして、タイムアップしている場合には、CPU9
2はステップ108において、クランク角センサ41に
よるクランク角と、カム角センサ42によるカム角とを
用いて実際の進角値Aを算出する。すなわち、カム角度
信号に対応するクランク角度信号の発生から、予め定め
た別のクランク角度信号の発生までに要する時間を計測
し、その時間に基づきクランクシャフト7の回転に対す
る吸気側カムシャフト13の回転位相の進角値A(変化
量)を算出する。
【0055】次に、CPU92はステップ109で前記
進角値Aが予め設定したセンシング誤差Pよりも大きい
か否かを判定する。このセンシング誤差Pは真のタイミ
ングと検出タイミングとの加工、組付、ベルト又はチェ
ーン等の誤差、集積、ピックアップ出力波形の立ち上が
り形状と、タイミング検出値設定誤差等、正常な作動で
あっても発生し得るずれを想定して設定されている。
【0056】ステップ109の判定条件が成立している
場合(A>P)、CPU92はステップ110でタイミ
ングベルト17がタイミングプーリ15上で数歯歯跳び
した状態と判断し、前述したリニアソレノイドバルブ
(LSV)78を制御するデューティを零に固定して、
電磁ソレノイド89への通電電流を零に維持し、VVT
46を最遅角状態に保持する。その後、CPU92はス
テップ111において、警告灯30を点灯させるための
駆動信号を出力する。この信号に応じて警告灯30が点
灯されるため、運転者はこの警告灯30の状態を見るこ
とにより、タイミングベルト17がプーリ15上で歯跳
びしたことを確認できる。
【0057】一方、ステップ109の判定条件が成立し
ていない場合(A≦P)、CPU92はタイミングベル
ト17がタイミングプーリ15上で歯跳びしていないと
判断し、ステップ112でフラグFが「0」に設定さ
れ、リターンとなる。
【0058】このように、エンジン1が急加速された時
には吸気バルブ11のバルブタイミングが、そのときに
とり得る最も遅いタイミングに変更されるとともに、タ
イミングベルト17のタイミングプーリ15上での歯跳
びの有無が検出される。
【0059】一方、前述したステップ103でエンジン
1が急加速でないと判断された場合には、ステップ11
3で急減速か否かが判断される。そして、変化量ΔNE
が急減速判定値Sよりも大きくて急減速と判断された場
合には、前述したステップ104に移行される。急減速
でないと判断された場合にはCPU92はステップ10
6へ移行し、前述したステップ107〜112を実行す
る。
【0060】ところで、前述したように前記ステップ1
09の判定条件が成立していると、CPU92はVVT
46の作動によりバルブタイミングが過剰に進角された
場合、吸気バルブ11がピストン5に接触するおそれが
あると判断し、バルブタイミングを最遅角時の値に固定
する。換言すると、バルブタイミングが進角側の値に変
更されるのを禁止する。
【0061】すなわち、吸気バルブ11とピストン5と
の干渉を防ぐには、VVT46によるバルブタイミング
の変更範囲を制限すればよい。ここで、図10に示すよ
うに、吸気バルブ11とピストン5とが接触するときの
バルブタイミングを特性線L0で表す。又、吸気バルブ
11がピストン5側へ最大量変位する(バルブリフト量
が最大となる)際のクランク角と、ピストン5が吸気バ
ルブ11側へ最大量変位する(上死点近傍)際のクラン
ク角との角度差をβで表す。進角値Aが予め設定したセ
ンシング誤差Pよりも小さいとき、すなわち、タイミン
グベルト17がプーリ15上で歯跳びしていない正常の
場合のバルブタイミング(図10の特性線L1)に比較
して実際のバルブタイミング(図10の特性線L2)が
進角値A分だけ進角側へずれているときには、角度差β
が、吸気バルブ11とピストン5とが接触するときの角
度差β0 よりも大きくすればよい。この条件を満たすバ
ルブタイミングはある角度範囲(特性線L0とL2との
間)にわたり存在するが、本実施例では最遅角時のバル
ブタイミングを採用している。
【0062】ところで、エンジン1が通常運転されてい
る間のバルブタイミングの目標値への制御は、一般には
現状と目標の偏差に対して制御デューティを出力し、進
角速度が設定されることにより行われる。すなわち、C
PU92はスロットルセンサ36によって検出されたス
ロットル開度TAと、回転速度センサ39によって検出
されたエンジン回転速度NEとを読み込む。続いて、C
PU92は前記スロットル開度TA及びエンジン回転速
度NEに基づき、予め規定されたマップを参照してその
ときの運転状態に適した目標変位角θVTA を算出する。
CPU92は予め規定されたマップを参照し、前記目標
変位角θVTA に対応したLSV78の目標制御量DVを
算出する。そして、CPU92は前記目標制御量DVに
基づいてLSV78の開度を制御することによりVVT
46の駆動を制御し、このルーチンを一旦終了する。そ
の結果、バルブオーバラップがエンジン1の運転状態に
応じて任意に調整及び変更される。
【0063】さて、CPU92は前述したステップ10
8で進角値算出手段として機能し、エンジンの急加速時
又は急減速時にバルブタイミングの実際の進角値Aを求
める。CPU92はステップ104,108,109,
110において目標タイミング変更手段として機能し、
前記進角値Aが予め設定されたセンシング誤差Pより大
きいときには、吸気バルブ11がピストン5側へ最大量
変位する際のクランク角と、ピストン5が吸気バルブ1
1側へ最大量変位する際のクランク角との角度差が、吸
気バルブ11及びピストン5の干渉時の角度差よりも大
きくなるように、LSV制御デューティを零に固定し、
バルブタイミングを最遅角状態に保持する。
【0064】次に、本実施例の作用及び効果について説
明する。エンジン1のクランクシャフト7の回転にとも
ない吸気バルブ11が作動し、吸気通路23を開閉す
る。又、前記回転にともないピストン5がシリンダ4内
を往復動する。そして、ピストン5と吸気バルブ11と
が周期的に互いに接近及び離間する。両者5,11の間
隔dは、クランクシャフト7の回転に従って変化する。
この間隔dが零又は負となった場合には、吸気バルブ1
1の傘部がバルブリセス部5a内に入り込み、吸気バル
ブ11とピストン5との接触が防止される。加えて、前
記エンジン1では、吸気バルブ11のバルブタイミング
がVVT46により変更される。この変更にともなって
前記間隔dが変化する。吸気バルブ11に関しては、そ
のバルブタイミングが早められる(進角される)に従
い、前記間隔dが狭められる。従って、バルブリセス部
5aは、吸気バルブ11のバルブタイミングが変更され
て前記間隔dが最も小さくなった場合にも吸気バルブ1
1とピストン5とが接触しないだけの深さを有している
ことになる。
【0065】ところで、エンジン1の急加速時又は急減
速時において、タイミングベルト17がタイミングプー
リ15上で数歯歯跳びして、吸気バルブ11のバルブタ
イミングが所定のタイミングからずれると、その歯跳び
によっても前記間隔dが変化する。この歯跳びを考慮し
てバルブリセス部5aを深く設定すれば、吸気バルブ1
1とピストン5との干渉が防止されるが、ピストン5頂
部の強度低下や燃焼性悪化の問題が新たに起こる。
【0066】これに対し、本実施例では、エンジン1が
急加速又は急減速と判断されたとき、ステップ104に
おいてVVT46が最遅角制御される。このためバルブ
リセス部5aを深く設定しなくても、吸気バルブ11と
ピストン5との干渉が防止される。又、本実施例ではエ
ンジン1が急加速又は急減速と判断されたとき、ステッ
プ108において進角値Aが求められる。この際、タイ
ミングベルト17がタイミングプーリ15上で歯跳びし
なければ進角値Aはわずかであるが、歯跳び状態になる
と進角値Aは大きくなる。
【0067】そこで、前記進角値Aがセンシング誤差P
より大きいときには、LSV78(VVT46)の制御
デューティが零に固定されて電流が零に固定されること
で、吸気バルブ11がピストン5側へ最大量変位する際
のクランク角と、ピストン5が吸気バルブ11側へ最大
量変位する際のクランク角との角度差βが、吸気バルブ
11及びピストン5の干渉時の角度差β0 よりも大きく
なる。
【0068】このように、前記歯跳びにより、正常時に
比較してピストン5と吸気バルブ11との間隔dが狭く
なっても、両者5,11が接触しないようにバルブタイ
ミングが変更される。従って、歯跳びを考慮してバルブ
リセス部5aを深くしなくてもよい。従って、バルブリ
セス部を深く設定することでピストンとバルブとの干渉
を防止する場合に比べ、本実施例では、ピストン5の環
状溝20aとバルブリセス部5aとによって挟まれた箇
所Bの肉厚が大きくなる。このため、同箇所Bの剛性を
確保し、ピストン5頂部の耐久性の向上を図ることがで
きる。又、バルブリセス部5aが浅くてすむので、ピス
トン5頂部の形状を簡素化し、同形状に起因する燃焼の
悪化を未然に防止できる。
【0069】特に、本実施例では、エンジン1の急加速
又は急減速時における吸気バルブ11が最も遅いタイミ
ングに制御される。そして、実際の進角値Aがセンシン
グ誤差Pよりも大きいときには、タイミングベルトの歯
跳びがあったと見なされ、バルブタイミングが最遅角に
固定される。このため、吸気バルブ11のバルブタイミ
ングが急加速時に早められることがない。すなわち、タ
イミングベルト17が歯跳び状態でエンジン1が運転さ
れても、吸気バルブ11のバルブタイミングが最も遅い
タイミングに維持される。このタイミングでは、ピスト
ン5と吸気バルブ11との間隔dが最も広くなり、バル
ブリセス部5aにてピストン5と吸気バルブ11との干
渉が防止される。つまり、バルブリセス部5aの深さに
は、もともとバルブタイミングの進角による吸気バルブ
11とピストン5との間隔dの変化が見込まれているの
で、前記のようにバルブタイミングが進角されなければ
吸気バルブ11とピストン5の干渉は起こらない。
【0070】従って、歯跳びを考慮してバルブリセス部
5aを深くしなくても、バルブタイミングを最遅角に制
御するだけで前記干渉が防止される。歯跳びに対応する
ための複雑な制御は不要であり、その分、制御の簡略化
を図ることができる。
【0071】なお、タイミングベルト17の歯跳び時に
は、吸気バルブ11のバルブタイミングが前記のように
最も遅いタイミングに保持されるが、そのことが原因で
車両の走行に支障をきたすことはない。
【0072】本発明は前記実施例以外にも次のように変
更して具体化してもよい。 (1)本発明は、吸気バルブ11のバルブタイミング
を、急加速又は急減速時に最進角と最遅角との中間の値
に調整するようにしたエンジン1にも適用できる。この
場合、進角値Aがセンシング誤差Pより大きいとき、吸
気バルブ11とピストン5とが接触する場合に比べ、同
バルブ11がピストン5側へ最大量変位する際のクラン
ク角と、ピストン5がバルブ11側へ最大量変位する際
のクランク角との角度差が大きくなるようにVVT46
を駆動制御する必要がある。
【0073】(2)前記実施例の警告灯30を省略する
とともに、図11のステップ111の処理を省略しても
よい。又、警告灯30の点灯にかえて、タイミングベル
ト17の歯跳びに関する情報(コード番号等)をバック
アップRAM95に記憶する。そして、整備工場等での
点検時に前記情報を故障診断装置によって読み出すよう
にしてもよい。このようにすれば、容易に歯跳びを点検
できる。
【0074】(3)排気側カムシャフト14にVVTを
設け、そのVVTにより排気バルブ12のバルブタイミ
ングのみを変更するようにしてもよい。又、吸気側及び
排気側の両カムシャフト13,14にVVTをそれぞれ
設け、それらのVVTにより吸気バルブ11及び排気バ
ルブ12のバルブタイミングをそれぞれ変更するように
してもよい。
【0075】(4)前記実施例では、吸気バルブ11の
バルブタイミングを連続的に変更するために油圧にて駆
動されるVVT46を使用したが、ステップモータ等の
アクチュエータにより駆動されるVVTを使用してもよ
い。
【0076】(5)本発明は、カムシャフト13,14
以外のバルブ駆動装置、例えば同カムシャフト13,1
4に代えて電磁駆動バルブを用い、その作動により吸・
排気バルブを開閉駆動するようにしたエンジンにも適用
可能である。
【0077】上記実施例から把握できる請求項以外の技
術思想について、以下にその効果とともに記載する。請
求項1において、タイミングベルト17の歯跳びに関す
る情報(コード番号等)を記憶する記憶手段を設けた内
燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0078】この制御装置では、整備工場等での点検時
に前記情報を故障診断装置によって読み出すことがで
き、容易に歯跳びを点検できる。
【0079】
【発明の効果】以上詳述したようにこの発明では、内燃
機関が急加速又は急減速と判断された時には、バルブが
ピストン側へ最大量変位する際のクランク角と、ピスト
ンがバルブ側へ最大量変位する際のクランク角との角度
差が、バルブ及びピストンの干渉時の角度差よりも大き
くなるように目標開閉タイミングを強制的に変更するよ
うにしている。
【0080】このため、内燃機関の急加速又は急減速時
において、タイミングベルトがタイミングプーリ上で歯
跳びしてバルブの開閉タイミングが予め設定されたタイ
ミングとは異なり、正常時に比較してピストンとバルブ
との間隔が狭くなるのを抑制して、両者の干渉を防止で
きる。従って、歯跳びを考慮してピストンとバルブとの
間隔を大きくしなくてもすみ、ピストン頂部の剛性低下
や燃焼性悪化を未然に防止することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の概念構成図。
【図2】 この発明を具体化した一実施例において、エ
ンジン及びその周辺装置を示す概略構成図。
【図3】 一実施例において、吸気バルブを最も遅いタ
イミングで作動させるために、リングギヤを移動範囲の
前端位置に保持したときのVVTの部分断面図。
【図4】 図3の状態を得るために、スプールを移動範
囲の後端位置に保持したときのLSVの部分断面図。
【図5】 一実施例において、吸気バルブを最も進んだ
タイミングで作動させるためにリングギヤを移動範囲の
後端位置に保持したときのVVTの部分断面図。
【図6】 図5の状態を得るために、スプールを移動範
囲の前端位置に保持したときのLSVの部分断面図。
【図7】 一実施例におけるECUの内部構成等を示す
ブロック図。
【図8】 一実施例における排気バルブとピストンのバ
ルブリセス部との関係を示す部分断面図。
【図9】 (a),(b)は一実施例において、吸気バ
ルブ及び排気バルブが開かれる期間を説明するバルブタ
イミングダイヤグラム。
【図10】 一実施例におけるクランク角と吸・排気バ
ルブのバルブリフト量との関係を示す特性図。
【図11】 一実施例において、CPUにより実行され
る「バルブタイミング制御ルーチン」を示すフローチャ
ート。
【符号の説明】
1…内燃機関としてのエンジン、4…シリンダ、5…ピ
ストン、7…クランクシャフト、8…燃焼室、11…吸
気バルブ、12…排気バルブ、13…吸気バルブ駆動機
構としての吸気側カムシャフト、14…排気バルブ駆動
機構としての排気側カムシャフト、23…吸気通路、3
2…排気通路、42…タイミング検出手段としてのカム
角センサ、46…可変バルブタイミング機構(VV
T)、92…タイミング検出手段、目標タイミング算出
手段、制御手段、進角値算出手段、変位角算出手段、目
標タイミング変更手段としてのCPU、A…進角値、θ
…開閉タイミングに相当する変位角、θVTA …目標開閉
タイミングに相当する目標変位角、P…センシング誤
差。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関のクランクシャフトの回転にと
    もない作動し、燃焼室に連通する吸気通路及び排気通路
    を開閉する吸気バルブ及び排気バルブと、 前記燃焼室に連通するシリンダ内をクランクシャフトの
    回転にともない往復動するピストンと、 前記クランクシャフトの回転にともない変化するクラン
    ク角に対する、吸気バルブの開閉タイミングを所定の角
    度範囲内で変更するための可変バルブタイミング機構
    と、 前記吸気バルブの開閉タイミングを検出するタイミング
    検出手段と、 前記内燃機関の回転速度を含む運転状態を検出する運転
    状態検出手段と、 前記運転状態検出手段による運転状態に応じたバルブの
    目標開閉タイミングを算出する目標タイミング算出手段
    と、 前記タイミング検出手段による開閉タイミングを前記目
    標タイミング算出手段による目標開閉タイミングに近づ
    けるべく前記可変バルブタイミング機構を駆動制御する
    制御手段とを備えた内燃機関のバルブタイミング制御装
    置において、 前記運転状態検出手段により検出された内燃機関の回転
    速度から該回転速度の変化量を求める変化量算出手段
    と、 前記変化量算出手段による変化量が予め設定された急加
    速又は急減速の判定値より大きいときには、目標タイミ
    ング算出手段の目標開閉タイミングを強制的に最遅角へ
    変更する目標タイミング変更手段と、 該目標タイミング変更手段によって強制的に目標タイミ
    ングが変更された後に、前記タイミング検出手段の検出
    により得られる進角値Aが、前記可変バルブタイミング
    機構の正常な作動において発生し得るずれの範囲を外れ
    ることでタイミングベルトの歯跳び有りを検出する歯跳
    び検出手段とを設けた内燃機関のバルブタイミング制御
    装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の内燃機関のバルブタイミ
    ング制御装置において、 前記歯跳び検出手段によりタイミングベルトの歯跳び有
    りと検出されたときに、前記吸気バルブの開閉タイミン
    を最遅角に固定することを特徴とする内燃機関のバル
    ブタイミング制御装置。
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