JP3203616U - 寒冷地用の住宅基礎 - Google Patents

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Abstract

【課題】地面の凍結を抑えることにより、深い掘削を行わずに構築可能なべた基礎を提供すること。【解決手段】住宅基礎10の床下をコンクリート12によって被覆するべた基礎を技術的前提として、地表面GLまたは地表面GLより下に、前記べた基礎の外周部14から外側に向かって略水平に突出させた断熱性翼板22を備える。地表面GLまたは地表面GL下において、断熱性翼板22を基礎の外周部14から外側に向かって略水平に突出させるので、冬季外気温が低下した場合でも、当該断熱性翼板が基礎周りの地盤への冷気の流入を防ぎ、地面凍結を防止する。このため、比較的浅い地面掘削によって作る所謂べた基礎であっても、基礎周りの凍結に晒されることがなく、地盤の沈降等に起因する微妙な位置ずれ等の問題を解消することが可能となる。【選択図】図1

Description

本考案は、低層階住宅の基礎として用いられるコンクリート基礎に係り、特に、寒冷地における所謂べた基礎の断熱構造に関する。
低層階の住宅のコンクリート基礎は、大別して、べた基礎と布基礎がある。べた基礎は、図5に示すように、住宅1の基礎の床下をコンクリート2によって被覆するものである。3は、垂直に立ち上げた外周部である。布基礎は、基礎の床下をコンクリート被覆しないタイプの基礎であるが、べた基礎と同様、垂直に立ち上げた外周部(3)を備える点では同じである。
布基礎は、構造が単純であるため建設コストを抑える利点がある。これに対し、べた基礎は、家を面で支えるので不同沈下が起こりにくいとされ、床下の湿度が安定する等の利点がある。但し、使用するコンクリート量が多いので、布基礎に較べて建築コストが若干嵩む。
ところで、従来、寒冷地の低層階住宅は、一般に布基礎が用いられた。これは、寒冷地における冬季の地面の凍結があるためで、寒い地方ほど凍結深度が深くなり、べた基礎の場合は、地面の凍結と緩みを繰り返すことで上下方向の位置ずれが生じやすいと考えられたためである。
従来、べた基礎の断熱構造としては、下記特許文献1が知られている。これは、垂直に立ち上げた外周部3の外側(基礎の内側空間と反対となる方向)に適宜の断熱材を設けるものである。
特開2001−81788
問題は、べた基礎の外周部の外側面に断熱材を設けても、寒冷地では、冬季に地面が凍結するので、地面の凍結と緩みとに起因する地盤の上下方向の位置ずれを完全には防止できない点にある。
このため、地面が凍結する寒冷地では、不同沈下が起こりにくいとされるべた基礎も採用され難く、専ら、布基礎が多用される傾向にある。
しかし、寒冷地における布基礎は、凍結深度を考慮する必要があるため、かなり深くまで地面の掘削を行い、背高の高い基礎の垂直部(立上部)を作る必要があった。
このような事情があるので、寒冷地においては、布基礎の構築も比較的煩雑となり、建築コストも嵩む傾向にある。
そこで、本考案の目的は、地面の凍結を抑えることにより、深い掘削を行わずに構築可能なべた基礎を提供する点にある。べた基礎は、従来、寒冷地では採用されにくかったが、住宅の室内温度を安定させる等、布基礎に比べて優れた利点をもつ。
前記目的を達成するため、本考案に係る寒冷地用の住宅基礎は、住宅基礎の床下をコンクリートによって被覆するべた基礎を技術的前提として、地表面または地表面より下に、前記べた基礎の外周部から外側に向かって略水平に突出させた断熱性翼板を備える(請求項1)。
地表面または地表面下において、断熱性翼板を基礎の外周部から外側に向かって略水平に突出させるので、冬季外気温が低下した場合でも、当該断熱性翼板が基礎周りの地盤への冷気の流入を防ぎ、地面凍結を防止する。
このため、比較的浅い地面掘削によって作る所謂べた基礎であっても、基礎周りの凍結に晒されることがなく、地盤の沈降等に起因する微妙な位置ずれ等の問題を解消することが可能となる。
べた基礎の外周部の外側面に断熱材を配する場合がある(請求項2)。
べた基礎の外周外側面に断熱材を配すれば、床下空間の温度低下を防止できるので、とくに冬季における住宅内空間の空調効率を向上させることが出来る。
断熱性翼板を上下方向に複数設ける場合がある(請求項3)。
上下方向に二段以上の断熱性翼板を配することで、地表面から地面下に伝わる冷気の遮断性を向上させることが出来る。断熱性翼板の経年劣化、地震等に起因する断熱性翼板の破損があった場合でも、一枚構造の場合に比べて凍結防止性能を長期にわたって高く維持できる確率が高まる。
本考案に係る住宅基礎によれば、地面の凍結を抑えることにより、深い掘削を行わずに構築可能なべた基礎を実現することが可能となる。
本考案に係る住宅基礎を例示する断面図である。 図1に示す住宅基礎の断熱性翼板を平面から例示する図である。 本考案に係る住宅基礎の他の実施形態を例示する断面図である。 実施形態に係る住宅基礎の他の垂直断熱材を例示する断面図である。 従来の住宅基礎の一例を示す断面図である。
図1は、本考案に係る住宅基礎を例示するものである。
まず全体構成を説明すると、この住宅基礎10は、砕石11の上にコンクリートスラブ12を設けるタイプの基礎(べた基礎)であり、垂直に立ち上げた外周部14を備える。べた基礎(12、14)は、従来から公知の適宜の作り方によって構築して良い。
本実施形態では、外周部14の外側面には断熱材20を設ける。この断熱材は、好ましくは、外周部14の全面(上端から下端まで)に配することが望ましい。
また、外周部14から外側に向かって略水平に突出させた断熱性翼板22を設ける。本実施形態のように、外周部14の外側面に断熱材20を設ける場合は、外周部14の断熱材20の表面から外側に向かって断熱性翼板22を設ければ良い。
次に、各部の構成を具体的に説明する。
外周部14の外側面に配する断熱材20は、型枠材として断熱樹脂製のものを使用する場合は、型枠材がそのまま断熱性能をもつので、コンクリート打設後も取り外さない当該型枠材がそのまま断熱材20として機能する。
木製の型枠材を使用する場合は、外周部14の養生が終わった後に、断熱材20を適宜の方法、例えば貼着により設けることが出来る。
断熱材20としては、各種の発泡樹脂を用いることが出来る。例えばEPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム)、XPS(押出法ポリスチレンフォーム)、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ポリエチレンフォーム等である。使用環境と利用コストのバランスを考慮して、最適な断熱材(20)を選択利用することが望ましい。型枠材に予め断熱樹脂が使用されている場合は、当該型枠材の断熱材をそのまま利用して構わない。
断熱性翼板22は、地表面GLまたは地表面GLよりも下に設ける。断熱性翼板22は、地表面GLから下に侵入する冷気によって地盤が凍結することを防止するものであるから、冬季における地盤の凍結を防止できる位置に配する。
地表面GLの近傍が凍結しても、深い部分の凍結を防止できればよいので、例えば、地表面GLの下10〜30cm程度の深さに配置して構わない。
地表面GLに配すると、冬季の冷気と夏季の暖気によって断熱性翼板22の経年劣化が進む可能性があるため、地表面GLの下に配し、冷気/暖気に直接晒される状態を避けることが望ましい。
断熱性翼板22は、地盤凍結を防止できる程度の肉厚をもった断熱素材で構成する。例えば、前記断熱材20と同様の各種の断熱素材を使用できる。
この断熱性翼板22は、例えば、外周部14の外側の地盤(転圧した地盤)の上に配した後に、さらに地盤土砂を被せて転圧するが、雨水や地震による影響で歪みや断裂損傷が生じないよう、好ましくは、断熱性翼板22の下面および/または上面に、断熱性翼板22を支える支持板を配する。
断熱性翼板22を適宜素材、例えば樹脂等で成形したケース体に納めて配置させても良い。ケース体に納めることにより、断熱性翼板22と地盤土砂とを直接接触させないようにすれば、断熱性翼板22の経年劣化を格段に遅延させることが出来、長期にわたって地盤凍結を防止できるからである。ケース体は、具体的には、例えば樹脂シート材、麻布、木板、樹脂板、金属板等を選択使用する。
断熱性翼板22と断熱材20は、必ずしも接続させる必要はない。分離配置させた後に、コーキング等の適宜手段によって隙間を埋めることは出来るからである。取り外し不要の断熱型枠材を使用する場合は、当該型枠材に係合、接着、ネジ止め等の適宜方法によって接続させることが出来る。
断熱性翼板22は、転圧した基礎地盤に沿って略水平に配するが、地盤凍結を防止できれば良いので、若干の傾斜角度が生じても構わない。地盤の性質等により、転圧面が完全水平にならない場合も生じ得るからである。
かかる構成によれば、断熱性翼板22が冷気を遮断して、地盤の深い部分の凍結を確実に防止するので、地盤凍結に起因する住宅基礎10の沈下/傾斜を解消することが出来る。
寒冷地における凍結深度は、例えば60〜120cmとされるが、それよりも深く地面を掘削して基礎を構築するのは、工事費も嵩み、技術的な難易度も増大するところ、本考案に係る基礎構造によれば、比較的浅い深度の基礎構造であっても凍結に起因する問題が生じ難い。
また、外周部14の外側に断熱材20を配するので、外周部14のコンクリート劣化を防止でき、さらに床下温度の低下を防止できるので、住宅内の温度調節に要するエネルギー効率も良い。灯油燃費の改善、空調装置の電気代の節減等が可能となる。
図3に示すように、断熱性翼板22は、上下方向に二段構成としても良い。上段の断熱性翼板22の下に、若干の離隔寸法をもって下段の断熱性翼板22−2を設ける構成である。
断熱性翼板22、22−2の素材は、主として発泡樹脂系のものであるが、土中に土砂と接触させる状態で配したときは、劣化によって痩せる(肉薄化する)場合もあるし、大きな地震があった場合は破断損傷する可能性がある。
このため、上下方向に二段構成としておけば、一部に肉薄化による断熱性の劣化や破断損傷が生じたときでも、より長期にわたって地面凍結を保証することが可能となる。上下方向に二段構成とすることにより、冷気の遮断確率が高くなるからである。
本考案に係る住宅基礎は、前記実施形態のものに限定されない。
例えば、図4に示すように、断熱性翼板22の先端または先端近傍から略鉛直に下方に向かって垂直断熱材32を設けても良い。垂直断熱材32の素材は、前記断熱材20と同様のものを選択使用することが出来る。
このような垂直断熱材32を設けることにより、住宅基礎10の外周部14まわりの地盤に対する冷気の影響を減らし、住宅基礎10まわりの地盤凍結の可能性を解消することが出来る。垂直断熱材32は、断熱性翼板22と同様に若干の離隔寸法をもたせた二重構造としても良い。
住宅基礎10の最下部の深度が、いわゆる凍結深度よりも浅い位置にある場合は、垂直断熱材を、当該凍結深度の深さ(またはそれ以下の深さ)まで延設すれば、基礎まわりの凍結は確実に防止できる。つまり、垂直断熱材32の最下端部を、住宅基礎10の最下端部よりも深い位置に設計しても構わない。
敷地面積が十分に広い場合は、断熱性翼板22の突出寸法を大きくすることによって地盤凍結を防止できるが、敷地面積が狭い場合は、垂直断熱材32を配することによって地盤の凍結防止性能を高めることが出来る。
10 住宅基礎
11 砕石
12 コンクリートスラブ
14 外周部
20 断熱材
22、22−2 断熱性翼板
32 垂直断熱材
GL 地表面

Claims (3)

  1. 住宅基礎の床下をコンクリートによって被覆するべた基礎であって、
    当該べた基礎は、
    地表面または地表面より下に、
    前記べた基礎の外周部から外側に向かって略水平に突出させた断熱性翼板を備えることを特徴とする寒冷地用の住宅基礎。
  2. べた基礎の外周部の外側面に断熱材を配することを特徴とする請求項1記載の寒冷地用の住宅基礎。
  3. 断熱性翼板を上下方向に複数設けることを特徴とする請求項1または請求項2記載の寒冷地用の住宅基礎。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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