JP3203512B2 - 船舶のバラスト装置 - Google Patents

船舶のバラスト装置

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JP3203512B2
JP3203512B2 JP00158499A JP158499A JP3203512B2 JP 3203512 B2 JP3203512 B2 JP 3203512B2 JP 00158499 A JP00158499 A JP 00158499A JP 158499 A JP158499 A JP 158499A JP 3203512 B2 JP3203512 B2 JP 3203512B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、船舶の水上での姿勢を
正しく安定化させ、船舶の転覆等を防止する船舶のバラ
スト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】船舶の航海中の悪天候時の転覆事故は近
時においても後を絶たず、特に安価なプレジャーボート
が入手可能になってきた昨今、中、小型船舶の転覆遭難
事故の防止が喫緊の課題となっている。船舶は船体の浮
心を重心より高い位置に設定することにより水上に浮上
し、航行が可能となっている。そして、船体の重心位置
が高く浮心に近いほど傾いたときの復元力が弱く、低い
ほど復元力が強く、かつ船体は安定する。従来、水上で
大きな波を受けても大きな復元力を得て転覆を防止する
ために、大型船舶等はバラストタンクを設置させ、重心
高さや喫水を調整する機能をもつものがある。また、ロ
ーリングの防止のために、船底キール部分に固定バラス
トを取りつける構造のものが特殊船舶等において知られ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
いずれの構造についても中、小型船舶等についてはその
高速、小回りその他の機能性や低価格等の条件からバラ
ストタンクを設置させることは実用性に欠けるととも
に、船底に固定バラストを取りつける構造では船底形状
に沿って固定させる場合にはそれほどの復元機能を生じ
させず、必要時の遭難防止の確実性に欠けるおそれがあ
る。また、水中下方側に長く固定バラストを設ける場合
には港の水深や上架作業、船速等の制約から重量、喫水
に制限があり、極端に下方位置にウエイトを装備させた
船舶は現実的ではなく、また、実用上の問題があった。
【0004】本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなさ
れたものであり、その1つの目的は、船舶の通常航行時
には船舶の船底形状を保持しつつ、非常時に大きく船体
の重心位置を下げて大きな船舶の復元力を得て船体の転
回転覆を確実に防止することのできる船舶のバラスト装
置を提供することである。本発明の他の目的は軽量な機
構で重心位置を下げる作動機構を構成でき、船速の大幅
な低下を防止できる船舶のバラスト装置を提供すること
である。さらに本発明の他の目的は、ウエイト体を装着
してウエイト体を下方に変位駆動させて重心位置を下げ
た後でも簡単に通常の船舶の船底に沿った形状にウエイ
ト体を復帰格納させることのできる船舶のバラスト装置
を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、船本体12の船底40と下端が面一とな
るように船体内に埋没状に設けられ必要時に船体重心を
下方に変心させるウエイト体26と、ウエイト体を船体
側格納位置から垂下状に水中に吊支した状態に変位駆動
させる変位装置28と、を備え、変位装置28は、船体
に設けられ上部にエアーブース70を覆蓋させて内部に
密閉空間Sを形成させた筒部30と、筒部内に設けられ
上端側を密閉空間S側に臨ませて下方水中側に向けて伸
縮し下端側にウエイト体26を取りつけた伸縮ロッド3
2と、を有する伸縮機構64を含み、さらに、伸縮機構
64は、圧縮空気を保持するエアータンク68と、エア
ータンク68内の圧縮空気を必要に応じて筒内の密閉空
間側に圧送する弁機構(88)と、筒部30内における
伸縮ロッド32を退縮状態位置にロック保持するロック
機構110と、伸縮ロッド32の退縮状態ロック保持を
解除するとともに弁機構(82)を介してエアータンク
68内の圧縮空気を筒部内の密閉空間に圧送供給させる
ロック連係機構と、を含む船舶のバラスト装置10から
構成される。
【0006】また、上記船舶のバラスト装置の伸縮機構
64は筒部の筒壁内に埋め込み状に設けられたエアー通
路72と、少なくとも伸縮ロッド32の周壁に凹設され
て筒部の筒壁との間で密閉状に形成され同伸縮ロッド3
2の伸長作動時に該エアー通路72と連通する伸縮用空
気室56と、伸縮ロッド32の伸長動作時にはエアータ
ンク68とエアー通路72との連通を遮断してエアータ
ンクと筒部内の密閉空間S内に圧縮空気を圧送するとと
もに伸縮ロッド32の退縮動作時にはエアータンク68
とエアー通路72とを連通させて伸縮用空気室56内に
圧縮空気を圧送しさらに筒部内の上部の密閉空間Sと外
気を連通させる切替開閉部74と、を備えてなることと
してもよい。
【0007】また、上記船舶のバラスト装置の筒部30
は外筒34と、外筒に内蔵され下方水中側に向けて段階
状に伸縮する1個又は複数の内筒36と、を備えてなる
こととしてもよい。
【0008】
【実施例及び発明の実施の形態】以下添付図面に基づき
本発明の実施の形態とともに好適な実施例を説明する。
図1ないし図7は、本発明の第1実施例に係る船舶のバ
ラスト装置10aを示しており図1において、船本体1
2の上面側にはキャビンパネル14が設けられ、船内に
は機関部16と機関部16の出力軸に連結された連結シ
ャフト18が設けられ、船底後部側にはプロペラ20が
設置されている。またプロペラ20の後方側には舵22
が縦方向を軸として軸回りに変位可能に設けられてい
る。実施例において船本体12の推力装置は機関部16
を船体内に内蔵させプロペラ20を水中側に突設させた
船内外機として構成されている。そして、船内におい
て、縦方向に下方変心機構24が設置されている。下方
変心機構24はウエイト体26とウエイト体26を船体
側格納位置から水中に吊支した状態に変位駆動させる変
位装置28を備えている。
【0009】図2、3において、本実施例の変位装置2
8は、筒部30と同筒部30内に設けられ、下方水中側
に向けて伸縮し下端側にウエイト体26を取りつけた伸
縮ロッド32とを含む。実施例において、筒部30は外
筒34と外筒34内に二重筒状に設けられて下方に向け
て伸縮する内筒36を備えている。図3において、外筒
34は例えば、金属からなり上下端側を開放させた中空
円筒体から形成されている。
【0010】図3において、外筒34はその下端が船底
壁40に下端開口を面一状となるように縦方向に船内に
設けられている。外筒34の下端側からやや上方位置に
は外筒34の内径よりも小さな小径部42を形成するよ
うに内側方向に段付き状に周状に凸設した凸条部44が
設けられている。これによって外筒34の下端側から凸
条部の下壁側にかけてウエイト体収納空間43が形成さ
れている。凸条部44の内径に密着して外筒34内部に
縦方向にスライド可能に金属製等からなる内筒36が設
けられている。この内筒36は中空上下端側を開放した
中空円筒形状に形成されており、その下端は凸条部44
の下端面と面一状となるように平面状に設けられてい
る。更にこの内筒36の円筒内部には該内筒36の長手
方向にスライド自在に伸縮ロッド32が設けられてい
る。伸縮ロッド32の下端側には該ロッドから下端側を
拡大させるように設けた短円筒状のウエイト体26が一
体的に取り付けられている。
【0011】ウエイト体26は外筒34の下端側の凸条
部44よりも下方側、すなわち、ウエイト体収納空間4
3内に密着状に収納し得るように形成されている。内筒
36は外筒34に対してスライド自在に上下方向に移動
出来るとともに下端側にウエイト体26を取り付けた伸
縮ロッド32は内筒36内にあって縦方向に伸縮自在に
スライド出来るようになっている。これによって、伸縮
ロッド32を下方側に向けて最も伸長させた状態では図
6に示すように外筒34と内筒36と伸縮ロッド32に
よって全体を段階状に伸長させるようになっている。
【0012】実施例において、内筒36は1個のみ設け
られているが、2個あるいはそれ以上設けるようにして
伸縮ロッド32の最伸長時のウエイト体26の位置が船
本体12に対してより下方側に位置させ得るようにして
もよい。
【0013】図5、図6にも示すように、外筒34内に
スライド自在に設けられた内筒36とこの内筒36内に
縦方向に摺動自在に設けられた伸縮ロッド32は所定の
伸長位置で下方移動を規制されるように設けられてお
り、内筒36は伸長方向端となる下端側にストッパ壁4
6を備えている。このストッパ壁46の中央部にロッド
用孔48が形成されており、このロッド用孔48を挿通
するように内筒36内にスライド自在に伸縮ロッド32
が配設されている。内筒36の復帰方向端となる上端側
には同内筒36の外径から外周方向に周状に突設したス
トッパ受部50が一体的に設けられており、このストッ
パ受部50の外周が外筒34の内壁に接摺して縦方向に
摺動自在に設けられている。
【0014】一方、伸縮ロッド32の復帰側端となる上
端側には、同伸縮ロッド32の外径よりも拡大したロッ
ド基端52が一体的に設けられており、このロッド基端
52が内筒36の内径壁に摺動しつつ縦方向にスライド
自在に設けられている。そして、伸縮ロッド32の下端
側に断面略T字状となるように例えば300Kgないし
400Kg程度のウエイト体26が一体的に設けられて
いる。
【0015】図3、図5、図6に示すように、外筒34
内径壁と内筒36外径壁との間には伸縮用空気室54が
形成されるとともに内筒36の内径側と伸縮ロッド32
との外径壁側には伸縮用空気室56が形成されるように
なっている。これによって、内筒あるいは伸縮ロッドが
外筒あるいは内筒から抜け出さないように伸長位置を規
制するとともに相互の伸縮動作を行なえるようにしてい
る。このとき、内筒36が外筒34に内蔵された状態で
下方に伸長する場合に外筒34の凸条部44と内筒36
のストッパ受部50とが衝合した状態でその最伸長端位
置が規制されるとともに、内筒36のストッパ壁46と
伸縮ロッド32のロッド基端52が衝合することによっ
て、同伸縮ロッド32の内筒36に対する最下方伸長位
置が規定される。
【0016】図に示すように、内筒36のストッパ受部
50にはゴムシール部材58が埋め込み固定されるとと
もに外筒34の凸条部44にはゴムシール部材60が埋
め込み固定されている。また、外筒34の凹部内や、ス
トッパ壁46や、伸縮ロッド32のロッド基端52部分
にもゴムシール部材が配置されている。これによって、
外筒34と内筒36及び、内筒36と伸縮ロッド32の
内外を気密保持しながら内筒36や伸縮ロッド32がそ
れぞれ上下方向に向けて伸縮移動するようになってい
る。
【0017】図6において、伸縮ロッド32のロッド基
端52の外周には、周状にロック受け溝62が凹設形成
されている。筒部30と筒部30内に設けられ下方水中
側に向けて伸縮し下端側にウエイト体26を取り付けた
伸縮ロッド32とにより伸縮機構64が構成されてい
る。伸縮機構64は基本的には下端側にウエイト体26
を取り付けた伸縮ロッド32を下方水中側に向けて伸長
駆動させるだけの機構でよい。伸縮用空気室54の空気
を単に水中側に逃がすようにしてもよく、この場合には
内筒36のストッパ壁46に空気逃がし穴を形成するだ
けでよい。
【0018】伸縮機構64は伸縮ロッド32を伸縮駆動
させる伸縮駆動機構66を備えている。本実施例におい
て、伸縮駆動機構66はエアータンク68とエアーブー
ス70とエアー通路72と切替開閉部74と、を備えて
いる。すなわち、図6に示すように外筒34の筒壁内に
はエアー通路72aが例えばワイヤカット工法等によっ
て筒壁の内部に埋め込み状に設けられており、このエア
ー通路72aは外筒34の上端側のL字状のフランジ部
内を経て上方に連通するように設けられているとともに
下端側は凸条部44の立ち上がり側壁から伸縮用空気室
54側に連通するように設けられている。更に、内筒3
6の筒壁内には長手方向に沿って、エアー通路72bが
同筒壁の内部に埋め込み状に設けられており、同通路の
上端側は伸縮用空気室54に連通するとともにその下端
側は内筒36と伸縮ロッド32との間に形成される伸縮
用空気室56に連通するようになっている。これらのエ
アー通路72a、72bは図5に示すように内筒36及
び伸縮ロッド32を全て退縮して船体内に格納した状態
の場合にも連通するようになっている。
【0019】一方、図3、4に示すように筒部30の上
端側には下端を開口した中空の箱形のエアーブース70
が同筒部30の基端側となる上端側を密閉して覆蓋する
ようにボルト等によって固定されている。図において、
エアーブース70は図示しないゴムシールによってその
内外が気密にされており同エアーブース70内は気密室
として構成されている。エアーブース70の一端側寄り
にはエアータンク68が着脱用ブラケット76を介して
着脱可能に設けられている。このエアータンク68内に
は圧縮空気例えば1平方センチメートルあたり30キロ
グラム程度の圧縮空気が保持されている。そして、この
エアータンク68と外筒34内に埋め込み形成されたエ
アー通路72の接続ポート78との間には連通パイプ8
0が介設され、両者は連通している。この連通パイプ8
0の中間位置には図に示すように切替開閉部74が介設
されている。
【0020】実施例において、切替開閉部74は、例え
ば3ポジションー5ポートタイプのメカニカルバルブ8
2から構成されており、エアータンク68内の圧縮空気
の圧送、停止を行うとともにエアータンク68内の圧縮
空気をエアーブース70の内部空間Sまたはエアー通路
72側等に切り替え連通させる。バルブ82の下端側に
は大気開放用の開口を有するサイレンサー84が連通し
て設けられている。そしてこのバルブ82はエアータン
ク68とエアーブース70内を連通させるとともに外筒
34のエアー通路72に連通する連通パイプ80をサイ
レンサー84の大気開口側に連通させる状態と、エアー
タンク68と連通パイプ80を連通させるとともにエア
ーブース70内をサイレンサー84の大気開放側に連通
させる状態と、を切り替えるものである。図7において
バルブ82とエアーブース70とは連通路69を介して
連通している。
【0021】図4、7、8において、バルブ82の本体
には上方側に突設した突設軸83にL字状に横方向に連
結させた作動ピン120が設けられており、この作動ピ
ン120は図7に示すように突設軸83の上端側に枢支
されて図7上矢示方向に回動し得るようになっている。
また、突設軸83はバルブ82に基部が回動可能に軸支
されており、同バルブ82に内蔵された図8に示すよう
な3P5ポート型の弁機構に連結されている。突設軸8
3の回動動作によってエアータンク68とエアーブース
70内あるいはエアータンク68とエアー通路72側と
の切替を行うようになっている。この作動ピン120の
L字状の突設端は後述するロック機構110の操作ハン
ドル118の反時計方向回動時に同操作ハンドル118
の端部とつき当たるような位置に突設形成されている。
【0022】更に、図4、6に示すようにエアーブース
70内にはウインチ機構86が設けられている。このウ
インチ機構86はエアーブース70内に回転自在に装架
されたウインチドラム88とこのウインチドラム88に
巻き取り巻きもどし自在に巻装されたワイヤー等からな
る索条90を備えており、この索条90は伸縮ロッド3
2のロッド基端52に連結固定されている。実施例にお
いて、ウインチ機構86は後述するロック機構に連係し
て設けられており、基本的には、伸縮ロッド32の縮長
用に設けられる。これによって、具体的に、伸縮ロッド
32の伸長及び縮長動作を実現させることが出来る。伸
縮ロッド32に一端側を固定された索条90と、索条の
他端側を巻き取り巻き戻し可能に取りつけられたウイン
チドラム88を備えて退縮装置91が形成される。作動
して下端側に変位したウエイト体を確実に巻きあげて船
体の格納位置に確実に復帰動作させる。
【0023】図4において、エアーブース70内には、
ウインチドラム88の一端側を支持するように、ドラム
軸を回転自在に軸支する図示しない軸受や歯車機構を備
えた退縮装置91としての巻き取り装置が設けられてい
る。巻き取り装置はエアーブース70の外面側に設けら
れた手動ハンドル94に連結されており、必要に応じて
この手動ハンドル94を回動させることにより、ウイン
チ機構86を介して伸縮ロッド32を縮長方向即ち上方
に引き上げて復帰させる動作を行わせる。更に、ウイン
チドラム88の他端側には、図示しない軸受を内蔵した
軸受や歯車機構とともにクラッチが設けられている。こ
れらの軸受や歯車機構やクラッチはケース体98内に内
蔵されており、このケース体98には更に油圧駆動装置
100が接続されている。また、ケース体98内に内蔵
されたクラッチに連結されて外部に突出して切替レバー
102が取りつけられており、この切替レバーを回動操
作することによりクラッチを切り替えて手動ハンドル9
4によるウインチドラム88の手動巻き上げ回動状態
と、同ウインチドラム88と外部ハンドル102や軸受
との連結を解除して自由回転させる状態と、油圧モータ
によるウインチドラム88の油圧巻き取り状態とを相互
に切り替えさせるようになっている。これによって、伸
縮ロッド32の縮長復帰動作は、エアータンク68内の
圧縮空気圧をエアー通路72を介して実現できるととも
に手動ハンドル94によりウインチドラム88を回動さ
せて巻きあげる方法と油圧駆動モーターにより自動的に
巻きあげる方法が確保されている。
【0024】なお、図4中、104はバルブ82とエア
ータンク68の間に設けられたエアーパイプに介装され
たレギュレータであり、エアータンク82内の圧力を1
平方センチメートルあたり5ないし7キログラム程度に
減圧して連通パイプ80側に供給するようにしている。
また、106は同レギュレータ104とバルブ82の間
にエアーパイプを介して介設されたリュブリケータであ
り、エアーブース70から筒部30内あるいはエアー通
路72内に所要の潤滑を行うものである。また、エアー
ブース70にはエアー解放コック108が設けられてお
り、手動ハンドル94によるウエイト体26の手動巻き
上げ時等のエアーブース70内の圧縮空気圧を解放して
巻き上げ動作を円滑に行い得るようにさせる。
【0025】更に、図4、6、7において、操作ハンド
ル118にはエアーブース70の内部に連係するように
ロック機構110に連係してロック連係機構が形成され
ている。ロック機構110は、エアーブース70をその
内部に向けて貫通するように気密状に取り付け固定され
た作動軸114と、作動軸114の先端側に連結され作
動軸114の回転に同期してエアーブース70の貫通方
向に向けて進退移動する保持ロッド116と、作動軸1
14の基部側に連結され、エアーブース70の外部に設
けられた操作ハンドル118と、を備えている。すなわ
ち、エアーブース70には軸受を内蔵した軸受筒112
が取り付け固定されており、この軸受筒112に軸支さ
れて回動自在に作動軸114がエアーブース70を貫通
するように設けられている。そして、エアーブース70
の内部側であって作動軸の突出端近傍に内部にねじ溝を
刻設させたナット体113が取りつけられている。そし
て、このナット体13に基部の外周側にねじ溝を形成さ
せた保持ロッド116が螺合され、かつ、該保持ロッド
116の基端側が作動軸114の先端部に連結されてい
る。そして、操作ハンドル118を図4上、反時計方向
に回動させることにより保持ロッド116がエアーブー
ス70の中央部に向けて直線的に移動するとともに、操
作ハンドル118を時計方向に回動させることによりこ
の保持ロッド116は直線状に退縮移動する。このロッ
ク機構110は三方切替弁としてのバルブ82と協働し
てロック連係機構を構成する。
【0026】そして、バルブ82の作動ピン120のL
字状の突設端は図7上L字状に倒した状態ではロック機
構110の操作ハンドル118の反時計方向回動時に同
操作ハンドル118の端部とつき当たるような位置に突
設形成されている。図6において、伸縮ロッド32が縮
長位置にあるときにロック機構110の保持ロッド11
6が最も進出することによりロック受け溝62に保持ロ
ッド116の先端がロック係合して伸縮ロッド32の縮
長位置状態を確実に保持することになる。バルブ82の
作動ピン120を起立状態に起こせば操作ハンドル11
8の回動軌跡から退避し、該操作ハンドル118を回し
ても作動ピン120と干渉しないようになっている。す
なわち、操作ハンドル118は作動ピンの横倒し状態で
はその回動時に該作動ピンに当着するとともに、作動ピ
ンを起立させた状態では当らないように設けられてい
る。
【0027】次に本実施例の船舶のバラスト装置10a
の作用について説明する。図1、図3に示すように、通
常の走行状態では船舶のバラスト装置10aは内筒36
及び伸縮ロッド32を最上端側に縮長させ、このとき、
図5に示すように伸縮ロッド32の基端52に設けたロ
ック受け溝62に保持ロッド116の先端が突入して係
止保持している。
【0028】このとき、図3、図5に示すようにウエイ
ト体26の下端は外筒34の下端側と面一状となるよう
に収納されており、外筒34とウエイト体26との間は
シール部材124が設けられて水密が保持されているの
で外筒34下端側の凹部内には多少の海水が侵入したと
しても水流自体が生ぜず、従って海水などのマイナスイ
オンと水流による電食作用が生じないようにして耐食が
施されている。
【0029】エアーブース70内は気密状態に保持され
ており、更に、ケース体98内のクラッチはウインチド
ラム88がフリーに回転し得るように設定されている。
水上の航行中に、船舶が大波や衝突事故等に遭遇し船体
を安定化させる必要があるときには、直ちに変位装置2
8を作動させてウエイト体26を船体側格納位置から垂
下状に水中に吊支した状態に変位駆動させる。即ち、例
えば操船者が図4上、略横倒し状態の位置から操作ハン
ドル118を反時計方向に回動させると図5、図6に示
すようにロック機構110の作動軸114がエアーブー
ス70から退避するように後退しこれに伴って、その先
端に取り付けられた保持ロッド116も後退する。この
とき、伸縮ロッド32のロッド基端52のロック受け溝
62と保持ロッド116との係合が解除され伸縮ロッド
32はロック機構110から解除されてフリーの状態と
なる。
【0030】そして、操作ハンドル118が略横倒し位
置から約90度程度回動するとバルブ82の作動ピン1
20に当着し、この状態からさらに強制的に反時計方向
に操作ハンドル118を回動させると、図9実線示のよ
うにバルブ82の切替開閉部74が、エアーブース70
内にエアータンク68の圧縮空気を供給するように開弁
するとともに、エアー通路72側の連通パイプ80をサ
イレンサー84側に切り替えて大気開放状態とさせる。
すると、レギュレータ104によって減圧調整された圧
縮空気はエアーブース70内に供給されエアーブース7
0内が瞬時に高圧となる。これによって、内筒36のス
トッパ受部50のブース内側の面及び伸縮ロッド32の
ロッド基端52のブース内側の面に圧力がかかり、これ
ら内筒36及び伸縮ロッド32を下方に押し下げる大き
な力が加えられる。これによって、内筒36及び伸縮ロ
ッド32が瞬時に下方に押しさげられ図6、図9に示す
ようにそれぞれ内筒36のストッパ受部50と外筒34
の凸条部44が衝合するまで伸長するとともに伸縮ロッ
ド32は外径を拡大させたロッド基端52が内筒36の
ストッパ壁46の内面側に衝合するまで伸長する。ここ
において、船体の重心位置が即時にかつ確実に下方に移
動することとなりこれによって船体は安定し大きな波等
を側面側等から受けても常に安定した状態を保持しつつ
船本体12の転回あるいは転覆を確実に防止させること
が可能となる。
【0031】危険等を回避し終えてウエイト体26を船
体側格納位置に復帰させるときには、三方切替弁のバル
ブ82の作動ピン120を上方に引き上げて図7上反時
計回り方向に回動させ、操作ハンドル118はそのまま
の状態にして操作ハンドルにより強制的に回動させられ
た方向とは逆方向に回動させることにより、図9の鎖線
示のようにエアータンク68内の圧縮空気がエアー通路
72側に連通するとともに、エアーブース70内は、バ
ルブ82のサイレンサー84側に連通して大気開放状態
となるように切り替えられる。このとき、操作ハンドル
118は動かされていないので図4上から90度反時計
方向に回動させ、保持ロッド116を退縮させた位置に
ある。バルブ82の作動ピン120を切り替えることに
よりレギュレータ104を介して圧縮空気がエアー通路
72内に供給され、同通路の最下端である内筒36のス
トッパ壁46内面側と伸縮ロッド32のロッド基端52
内面側との対向面側に圧縮空気を供給させることによっ
て伸縮ロッド32を上方向に押し上げる力が作用し、ま
た、同様に外筒34の凸条部44内面側と内筒36のス
トッパ受部50内面側との対向面側に圧縮空気を供給す
ることによって内筒36を上方向に押し上げる力が作用
して、このことにより内筒36及び伸縮ロッド32の伸
長動作とは逆方向に逆の順でこれら内筒36と伸縮ロッ
ド32が上方向に押し上げられ、最終的には図3、図5
に示すように外筒34内に内筒36と伸縮ロッド32が
完全に収納されて、ウエイト体26が格納位置に復帰さ
れる。
【0032】そして、操作ハンドル118を図4上時計
方向回りに回動させることによりボルト体114がエア
ーブース70内中央側に進出し図4の横倒し状の元の位
置に操作ハンドル118が位置するときには保持ロッド
116の先端が伸縮ロッド32のロッド基端52のロッ
ク受け溝62内に突入して伸縮ロッド32の外筒34へ
の収納状態を確実に保持するものである。こうして、再
びウエイト体26を船体側格納状態に格納させて船底形
状に沿った状態にさせることによって、通常通りの水上
の走行を行うことが出来る。
【0033】なお、エアータンク68内の圧縮圧が低下
しているような場合には、クラッチを手動ハンドル94
の効き状態側に操作させて圧縮エアーの解放コック10
8を操作してブース内を大気圧に開放させて大気圧状態
とし、この状態で手動ハンドル94を巻き上げ方向に回
動させてウインチドラム88と索条90を介して伸縮ロ
ッド32を上方に引き上げることによって復帰動作を行
わせるようにしてもよい。更に、ウエイト体26が例え
ば300Kgないし400Kgあるいはより重量体とし
て構成させている場合には、クラッチの切替レバー10
2を切り替えて油圧モーターを駆動させることによりウ
インチドラム88を回動させて伸縮ロッド32を引き上
げるようにしてもよい。
【0034】なお、前記した実施例のウエイト体の形
状、外筒、内筒、伸縮ロッドの径、大きさ、長さ、材質
等は任意に選定してよい。漁船、レジャー船、その他の
小型船舶、その他の船舶等について本発明の船舶のバラ
スト装置を適用してもよい。船本体はFRP船、アルミ
ニウム船、鉄鋼船、木造船等任意の本体について適用で
きる。また、上記実施例は単胴式の船艇のタイプについ
て説明しいているが例えば双胴型の船体に対しても本発
明のバラスト装置を適用し得る。
【0035】次に図11、図14に基づいて本発明の参
考例としての船舶のバラスト装置10bについて説明す
るが第1実施例と同一部材には同一符号を付しその詳細
な説明は省略する。この参考例において船は甲板から前
方にかけて大きく開放しキャビン部分が船尾側に配置さ
れた例えば貨物船、作業船あるいは漁船タイプの船から
構成されている。本参考例において、変位装置28は横
長状態で船本体12に格納されかつ一端側を枢着されて
自由端側を船体から垂下状に出し入れ可能に設けられた
横長ウエイト体126とこの横長ウエイト体126の係
脱機構128とを備えている。即ち、船本体12の船底
部には船本体12の前後方向に長く格納凹部132が形
成されており、この格納凹部132内に収納されるよう
に横長ウエイト体126が設けられている。
【0036】図12、図14において、横長ウエイト体
126の一端側は船本体12側から突設された軸134
によって枢着されており、図12に示すように横長格納
状態からその自由端側を約90度回動させた垂下状態と
なるように回動可能に設けられている。図14におい
て、横長ウエイト体126の枢着端側にはドライベアリ
ング等の潤滑不要形の軸受136が取り付けられてお
り、この軸受孔内を軸134が貫通して横長ウエイト体
126の一端側を回動自在に枢着させている。軸134
の基部側には図示しないオーリングが取り付けられて格
納凹部132と船体内側との水密を保持するとともに同
格納凹部132の側壁側にはスラストワッシャ138が
設けられて横長ウエイト体126の軸方向の横ぶれを規
制している。横長ウエイト体126の下端側と船本体1
2にはゴムパッキン139が横長ウエイト体126の全
長方向にわたって張設されており、格納凹部132内へ
の水の侵入を防止して水流を生じさせないようにし電食
を防止してウエイト体の耐食性を向上させている。格納
凹部132は下面側を開口させた断面コ字状のステンレ
ス製の長箱体の内側に形成されている。
【0037】一方、図13において、横長ウエイト体1
26の自由端側端部には隅部を斜め方向に切欠させるよ
うな切欠凹部140が設けられ、更にこの切欠凹部14
0に連続して受け溝142が形成されている。この横長
ウエイト体126の船体格納位置近傍に係脱機構128
が設けられている。この参考例において、係脱機構12
8は船本体12に設けられた移動ロッド146と移動ロ
ッド146の下端側に設けられ横長ウエイト体126の
切欠凹部140により形成される作動空隙148内に配
置され移動ロッド146の上下動作によって横長ウエイ
ト体126の受け溝142に係脱動作する係脱アーム1
44を備えている。即ち、船本体12の船底壁部156
を縦方向に貫通し下端側を作動空隙148に臨ませるよ
うに穴を穿穴させこの穴内に縦方向にスライド可能に移
動ロッド146を配設している。そして移動ロッド14
6の下端には中央部を枢着部150として枢着され横長
状に配置された係脱アーム144が同枢着部150を枢
支軸として揺動自在にT字状に接続されている。この係
脱アーム144の一端側は横長ウエイト体126の受け
溝142内に出入し得るようになるとともに係脱アーム
144の他端側は船本体12の格納凹部132内の上壁
133に当接し得るようになっている。
【0038】一方、移動ロッド146の上下動作を行わ
せる駆動機構154が設けられている。移動ロッド14
6の上端側は船本体12の船底壁部156から上方側に
その上端を突出して設けられている。一方この移動ロッ
ド146の近傍には船底壁部156本体から上方に突設
した支持ブラケット158が固定されており、この支持
ブラケット158に固定させた支持軸160には梃の原
理を構成するように直状の作動レバー162の中間部分
が軸支されこれによって支持軸164を軸として同作動
レバー162の両端側が回動するように回動可能に設け
られている。そして、この作動レバー162の一端側に
は長孔166が横長方向に形成されるとともに、移動ロ
ッド146の上端に固定したピン168がこの作動レバ
ー162の長孔166内に嵌挿している。これによっ
て、作動レバー162の他端側(図10上左端側)を支
持軸164回りに回動させることにより移動ロッド14
6を上下動させるようになっている。そして、図13の
係脱アーム144の一端側を横長ウエイト体126の受
け溝142内に持ち上げ状に係合させるようにした場合
には作動レバー162は横長方向に固定的に配置される
一方、作動レバー162を支持軸164回りに時計回り
方向に回動させることにより移動ロッド146を介して
係脱アーム144の枢着位置が下方に移動することによ
り同係脱アーム144の右端側と受け溝142との係合
が外れ、横長ウエイト体126の自由端側はフリーの状
態となって軸受136に軸支された状態でその自由端側
を下方水中側に垂下状に変位させるようになっている。
【0039】図13において、作動レバー162の左端
側には同レバーの横倒し状態をロックあるいは解除する
ロック機構としてのフック170が回動自在に取り付け
られている。更に、図12において、横長ウエイト体1
26の自由端側を水中側の垂下状態から船体格納状態に
させる復帰装置174が設けられている。図において、
船本体12の格納凹部132の略中央部位置には船本体
12の壁156を縦方向に貫通させて下端側を格納凹部
132に連通させるように縦孔176が穿孔されてい
る。縦孔176の上端開口位置には巻き戻し回動するウ
インチドラムを有するウインチ機構177が設置されて
おり、ウインチドラムに巻き取り巻き戻し可能に金属ワ
イヤー等の索条175が一端側を縦孔176に通係させ
るとともにその端部を横長ウエイト体126の略中央位
置に固定させて設けられている。これによってウインチ
機構177を動作させることによって横長ウエイト体1
26の復帰動作を自動的に行わせることが可能となる。
ここに、復帰装置174はウインチ機構177とウイン
チ機構に連係し、一端側を横長ウエイト体126に固定
された索条175と、を含む。
【0040】この参考例において、復帰装置174のウ
インチ機構177のウインチドラムをフリー回転状態に
設定しておくとともに作動レバー162を図13に示す
ように横倒し状態にしてフック170を施錠状態とし同
作動レバー162を回動しないようにロック保持してお
く。このとき、移動ロッド146は上方に持ち上げられ
た状態となっており、従って、係脱アーム144の左端
側は船本体12の格納凹部132の隅部上壁133側に
当接するとともに同係脱アーム144の右端側は横長ウ
エイト体126の受け溝142内に嵌入して同横長ウエ
イト体126を持ち上げ状に保持し横長ウエイト体を船
本体12の壁156内に埋め込み状に格納した状態に保
持している。
【0041】通常航行時にはこの状態を保持するが例え
ば非常時には作動レバー162のフック170を解除し
て作動レバー162のフック側端部を上方に持ち上げる
と移動ロッド146が下降し係脱アーム144の枢着部
150が下方に変位することにより、係脱アーム144
の右端側が横長ウエイト体126の受け溝142から係
合を次第に解除する方向に移動し、終には両者の係合が
外れて横長ウエイト体126の自由端側は完全にフリー
状態となる。これによって、横長ウエイト体126の他
端側である枢着部150を軸として軸回りに横長ウエイ
ト体126が反時計方向回りに回動し約90度程度回動
した垂下状態で静止する。これによって、船全体の重心
位置が下方に変位することとなり船舶の浮心位置と重心
位置との距離を大きくさせることによって船全体を安定
化させ大きな横波等に対しても容易には転回しない安定
化した状態を保持させることが出来る。
【0042】そして、横長ウエイト体126を復帰させ
る場合には、復帰装置174のウインチ機構177を駆
動させて索条90を引き上げることにより図12の鎖線
示状態から横長ウエイト体126が時計方向回りに回動
し図11に示すように横長の船体格納位置に復帰するこ
ととなる。そして、横長格納位置に横長ウエイト体12
6を格納させた状態で作動レバー162を図13上、反
時計方向回りに回動させることにより移動ロッド146
を上方に引き上げる。移動ロッド146の下端側にその
中央部を軸支された係脱アーム144は作動空隙148
内を上方に移動しつつその右端側を横長ウエイト体12
6の切欠凹部140に案内されながらその端部を受け溝
142に係合させるとともに同係脱アーム144の他端
側は格納凹部132の上壁133に当接させた位置で停
止する。この状態で横長ウエイト体126の自由端側は
ロック係止された状態となり船体側格納状態を確実に保
持されることとなる。そしてロック用のフック170を
回動させてロックさせることにより通常の航行を行わせ
ることが可能となる。なお、参考例では格納凹部132
を船体内に埋め込み状に設けるようにしているが図15
に示すように船本体のキール部から水中下方側にステン
レス等の箱枠を突設形成させこの凹部内に横長ウエイト
体126を格納させ一端側を枢着させてその自由端側を
水中下方側に垂下状に回動あるいは復帰可能に取り付け
るようにしてもよい。
【0043】次に図16に基づいて船舶のバラスト装置
の他の参考例10cを説明するが前記した参考例と同一
部材には同一符号を付しその詳細な説明は省略する。こ
の参考例において、船体内に埋め込み状に設けられた格
納凹部132、この格納凹部132に一端を枢支されて
他端の自由端側を回動自在に設けられた横長ウエイト体
126及びこの横長ウエイト体126の自由端側を係脱
可能に係止させる係脱機構128が設けられている点は
前記した第1の参考例と同様である。
【0044】この第2の参考例においては横長ウエイト
体126を船体格納状態と自由端側垂下状態とに任意に
可変移動させる横長ウエイト体駆動装置178が設けら
れている。横長ウエイト体駆動装置178は、横長ウエ
イト体を船体格納状態と自由端側垂下状態とに任意に可
変駆動させる。この参考例においては、図16に示すよ
うに、支持フレーム180によって、油圧シリンダ18
2が船本体の格納凹部132内に斜めに配置されており
同油圧シリンダ182内で油圧駆動により進退スライド
自在にロッド184が格納凹部182内に突出するよう
に設けられている。そして、ロッド184の先端は横長
ウエイト体の中間より枢着端寄り位置に油圧駆動により
ロッド184を伸縮させることによって横長ウエイト体
126を船体格納状態と自由端側垂下状態とに強制的に
可変駆動させるようになっている。図中、186はシリ
ンダ内に油圧用液体を供給する油圧ポンプである。これ
によって、横長ウエイト体126の自由端側をロック解
除状態にして油圧駆動を行うことにより迅速に横長ウエ
イト体126を水中内の垂下状態即ち縦方向状態に変位
させることが出来るとともに復帰時にも油圧駆動により
労力を要せずして自動的に船体内格納状態に復帰させる
ことが可能となる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の船舶のバ
ラスト装置によれば船本体と、船本体に設けられ必要時
に船体重心を下方に変心させる下方変心機構とを有し、
下方変心機構は、ウエイト体と、ウエイト体を船体側格
納位置から垂下状に水中に吊支した状態に変位駆動させ
る変位装置とを備えているので、通常はウエイト体を船
体側格納状態に保持させるとともに必要に応じてウエイ
ト体を垂下状に水中に吊支させることにより船体の重心
位置を下方に変位させることができ、これによって、船
本体を水上において確実に安定させることができ船舶の
転回あるいは転覆事故等を確実に防止することが可能で
ある。
【0046】また、変位装置は船体に設けられた筒部
と、筒部内に設けられ下方水中側に向けて伸縮し下端側
にウエイト体を取りつけた伸縮ロッドとを含む伸縮機構
から構成することにより、緊急時の変位機構によるウエ
イト体の下方へのウエイト体の移動が円滑かつ確実に行
われることとなり、船体の重心移動が迅速かつ確実に行
われ、緊急時の船舶の安定化の実現を行うことが可能で
ある。
【0047】また、筒部は外筒と、外筒に内蔵され下方
水中側に向けて段階状に伸縮する1個または複数個の内
筒とを備えているので、全体を小型かつコンパクトに構
成することができ、船体内への設置の自由度を高くする
ことが出来るとともに、下方へ伸縮されるウエイト体の
下方への変位伸縮位置を出来るだけ下げることができ、
これによって重心位置を可能な限り低い位置にさせる結
果、船舶をより安定した状態に保持させることが可能で
ある。
【0048】また、伸縮機構は伸縮ロッドを伸縮駆動さ
せる伸縮駆動機構を備え、伸縮駆動機構は、圧縮空気を
保持するエアータンクと、筒部の基端部を密閉し覆蓋す
るエアーブースと、筒部内に形成された伸縮用空気室に
連通され外気側に連通するように設けられたエアー通路
と、圧縮空気の圧送、停止を行うとともにエアータンク
内の圧縮空気をエアーブース側とエアー通路側とに切り
替え連通させる切替開閉部を備えているので、伸縮機構
の伸縮ロッド作動を空気圧機構により構成することがで
き、装置全体の軽量化を達成させるとともに、伸縮ロッ
ドの伸長及び復帰動作を行うことが出来る。従って、復
帰作業時に労力を必要とすることがなく、かつ、復帰作
業も円滑かつ簡単に行うことが可能である。
【0049】また、エアー通路は筒部内に埋め込み状に
形成されているので、内筒と伸縮ロッドとの伸縮機構で
あってかつその伸長及び復帰動作を伸縮ロッドの海中側
への伸長動作であるにも拘らず確実に実現することが出
来る。
【0050】また、伸縮ロッドに一端側を固定された索
条と、索条の他端側を巻き取り巻き戻し可能に取りつけ
られたウインチドラムとを含む退縮装置を備えているの
で、例えば、動力装置が故障したような場合でも手動等
によりウインチドラムを回動させて確実に伸縮ロッドの
船体側格納状態への格納復帰動作を行うことが出来る。
【0051】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る船舶のバラスト装置
を船本体内に設置させた船全体の側面説明図である。
【図2】同実施例の船舶のバラスト装置の斜視説明図で
ある。
【図3】同船舶のバラスト装置の縦断面説明図である。
【図4】同船舶のバラスト装置の要部拡大一部切り欠き
斜視説明図である。
【図5】内筒及び伸縮ロッドを最も縮長させて格納状態
に保持した状態の断面説明図である。
【図6】内筒及び伸縮ロッドを最も下方側に伸直させた
状態の断面説明図である。
【図7】切替開閉部を示す要部拡大一部省略断面説明図
である。
【図8】主に切替開閉部を説明する概略要部構成説明図
である。
【図9】切替開閉部の作動説明フロー図である。
【図10】図6の状態の全体の側面図である。
【図11】本発明の第1の参考例にかかる船舶のバラス
ト装置を船本体内に設置させた船全体の側面説明図であ
る。
【図12】図11の船舶のバラスト装置の要部断面説明
図である。
【図13】係脱機構の要部を説明する拡大断面説明図で
ある。
【図14】横長ウエイト体の枢着部の断面説明図であ
る。
【図15】第1の参考例の変形例にかかる船底のキール
部から更に下方に突設形成させた箱枠内に横長ウエイト
体を設置した場合の軸部の概略断面説明図である。
【図16】第2の参考例に係る船舶のバラスト装置の要
部拡大一部省略断面説明図である。
【符号の説明】
10 船舶のバラスト装置 12 船本体 24 下方変心機構 26 ウエイト体 28 変位装置 30 筒部 32 伸縮ロッド 34 外筒 36 内筒 64 伸縮機構 66 伸縮駆動機構 68 エアータンク 70 エアーブース 72 エアー通路 74 切り替え開閉部 88 ウインチドラム 90 索条 126 横長ウエイト体 128 係脱機構 174 復帰装置 178 横長ウエイト体駆動装置

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船本体の船底と下端が面一となるように
    船体内に埋没状に設けられ必要時に船体重心を下方に変
    心させるウエイト体と、ウエイト体を船体側格納位置か
    ら垂下状に水中に吊支した状態に変位駆動させる変位装
    置と、を備え、 変位装置は、船体に設けられ上部にエアーブースを覆蓋
    させて内部に密閉空間を形成させた筒部と、筒部内に設
    けられ上端側を密閉空間側に臨ませて下方水中側に向け
    て伸縮し下端側にウエイト体を取りつけた伸縮ロッド
    と、を有する伸縮機構を含み、 さらに、伸縮機構は、圧縮空気を保持するエアータンク
    と、 エアータンク内の圧縮空気を必要に応じて筒内の密閉空
    間側に圧送する弁機構と、 筒部内における伸縮ロッドを退縮状態位置にロック保持
    するロック機構と、 伸縮ロッドの退縮状態ロック保持を解除するとともに弁
    機構を介してエアータンク内の圧縮空気を筒部内の密閉
    空間に圧送供給させるロック連係機構と、を含む船舶の
    バラスト装置。
  2. 【請求項2】 伸縮機構は筒部の筒壁内に埋め込み状に
    設けられたエアー通路と、少なくとも伸縮ロッドの周壁
    に凹設されて筒部の筒壁との間で密閉状に形成され同伸
    縮ロッドの伸長作動時に該エアー通路と連通する伸縮用
    空気室と、伸縮ロッドの伸長動作時にはエアータンクと
    エアー通路との連通を遮断してエアータンクと筒部内の
    密閉空間内に圧縮空気を圧送するとともに伸縮ロッドの
    退縮動作時にはエアータンクとエアー通路とを連通させ
    て伸縮用空気室内に圧縮空気を圧送しさらに筒部内の上
    部の密閉空間と外気を連通させる切替開閉部と、を備え
    てなる請求項1記載の船舶のバラスト装置。
  3. 【請求項3】 筒部は外筒と、外筒に内蔵され下方水中
    側に向けて段階状に伸縮する1個又は複数の内筒と、を
    備えてなる請求項1または2記載の船舶のバラスト装
    置。
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