JP3202828B2 - 消耗電極式ガスシールドアーク溶接の出力制御方法およびその溶接装置 - Google Patents
消耗電極式ガスシールドアーク溶接の出力制御方法およびその溶接装置Info
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Description
ドアーク溶接の出力制御方法およびその装置に関するも
のである。
式ガスシールドアーク溶接では、作業状況やワーク形状
に応じて溶接電流値を選定する。ところで、良好な溶接
結果を得るためには、溶接電流値に応じた適切なアーク
電圧が得られるように溶接機の出力電圧を設定する必要
がある。しかし、適切なアーク電圧は溶接電流値だけで
なく、作業環境や形態によっても異なる。このため、選
定した溶接電流値に対し、適正なアーク電圧が得られる
ように溶接機の出力電圧を設定するにはかなりの熟練と
技能の向上とが必要であり、初心者が容易に修得できる
ものではない。◆そこで、初心者でも熟練者と同等の溶
接結果が得られるようにするため、特開昭56−158
281号公報(以下、第1の従来技術という)には、予
め溶接電流と適正出力電圧の関係をデータベース化して
おき、溶接電流が選定されると溶接機の出力電圧が一元
的に設定される機能を設けた技術が開示されている。ま
た、特開昭60−128340号公報(以下、第2の従
来技術という)ならびに特開昭60−162577号公
報(以下、第3の従来技術という)には、溶接中の電流
と電圧波形の観測結果を所定の関数で演算し、演算した
値が最小となるように出力電圧を設定する技術が開示さ
れている。◆ところで、たとえば大形構造物を溶接する
時には、溶接ケーブルを延長することが多い。この場
合、適切なアーク電圧とするためには、溶接機の出力電
圧を高くし、延長した溶接ケーブルで発生する電圧降下
の影響を補正する必要がある。しかし、上記第1の従来
技術の場合、適切なアーク電圧として自動設定される出
力電圧は、所定の基準条件ならびに標準作業環境のもと
でデータとして選定されたものであるため、標準作業環
境から外れる場合は適正値とはならない。なお、アーク
電圧を検出するための検出線を溶接部まで配線すれば適
正値を得ることができるが、配線が増加すると操作性は
低下する。さらに、データとして選定されたものは特定
の熟練溶接作業者によって選定されたものであり、必ず
しも不偏的な適正値であるとは言えない。また、上記第
2ないし第3の従来技術の場合、延長ケーブル使用時の
電圧降下を補正することは可能であるが、所定の関数で
演算される値を最小とするには、出力電圧を操作して少
なくとも3個の演算値を求める必要があり、適正なアー
ク電圧を得る迄に時間を要する。◆上記した課題を解決
するため、本願出願人は、特願平4−128570号に
おいて、溶接中に測定される少くとも2種類の溶接波形
因子の値を前件部、また出力電圧の操作量を後件部と
し、予め定めた制御規則に従ってファジィ推論を実行す
ることにより出力電圧設定の増減操作量を決定するよう
にした消耗電極式ガスシールドアーク溶接の出力制御方
法を提案した。この技術により作業環境や形態の変化あ
るいは作業者の熟練の程度に拘らず、常に良好な溶接結
果を得ることができた。
により適正電圧が得られた後、次の作業が同一の条件を
用いる場合であっても、ファジィ推論を初めからやり直
さなければならず、適正条件を得るまでに不必要な時間
がかかった。◆本発明の目的は、上記した課題を解決
し、同一の溶接条件を用いる繰り返し溶接作業におい
て、作業性を向上することのできる消耗電極式ガスシー
ルドアーク溶接の出力制御方法を提供することにある。
を略定速度で送給し、短絡とアークを交互に繰返しなが
ら溶接をする消耗電極式ガスシールドアーク溶接の出力
制御方法において、溶接電源の外部特性を定電圧特性と
し、今回の溶接電流及び出力電圧の設定値が前回の溶接
電流及び出力電圧の設定値と同じであるとき、溶接中に
測定される短絡期間の標準偏差およびアーク期間の標準
偏差を前件部、また出力電圧の操作量を後件部として予
め定めた制御規則に従い所定のアーク状態を得るための
出力電圧の操作量を推論するファジィ推論を実行するこ
とにより適正な値に補正された前回の出力電圧の最終値
を今回の出力電圧値として溶接を開始することにより解
決される。
値、例えばツマミの位置、が同じであるとき、適正な値
に補正された前回の出力電圧の最終値を今回の出力電圧
値とするからファジィ推論に要する時間が不要となる。
構成例図である。◆同図において、1は商用交流を直流
に変換するための入力側整流器、2はパワー半導体素子
で構成されたインバータ回路で、上記直流を高周波交流
に変換する。3は溶接トランスでその入力側はインバー
タ回路2に接続されている。4は溶接トランス3の出力
側に接続された出力側整流器で、上記インバータ回路2
で作り出す高周波交流を再び直流に変換する。5は直流
リアクタで、出力側整流器4で整流された直流出力を平
滑する。6はワイヤで、ワイヤ送給装置7により溶接部
に供給される。8は母材。9は溶接電流設定器で、ワイ
ヤ6の送給速度を設定するためのものである。なお、イ
ンバータ回路2は外部特性が定電圧特性となるように制
御される。◆10は出力電圧設定器で、出力電圧V0を
設定するためのものである。11は判定器で、以下〜
の機能を備えている。◆ :溶接電流設定器9に設定された電流値の記憶。◆ :出力電圧設定器10に設定された出力電圧値V0の
記憶。◆ :出力電圧設定器10で設定された出力電圧V0と、
後述するファジィ制御器22から出力される出力電圧の
操作量△Vとを合成し、その結果を新たな出力電圧VL
として記憶すると共に、出力電圧VLをパルス幅制御回
路12に出力。 :今回設定された出力電圧値V0nと前回設定された出
力電圧値V0n-1との比較。:今回設定された溶接電流
Inと前回設定された溶接電流In-1との比較。◆ :出力電圧値V0n=V0n-1で、かつ溶接電流In=I
n-1のときには、出力電圧値をVLとして出力。◆ パルス幅制御回路12は判定器11からの信号に基づき
駆動回路13を介してインバータ回路2の出力を制御す
る。14は電圧検出器。15は電圧検出器14のサンプ
リング条件設定器。16は判定電圧設定器。17は短絡
かアークかを判定する判定器で、サンプリング条件設定
器15で設定されるサンプリング間隔およびサンプリン
グ時間に従って、電圧検出器14で計測される溶接電圧
υと判定電圧設定器16で設定された判定電圧Vjの大
小を比較する。そして、判定器17は、υ≦Vjのとき
には短絡期間であることの判定信号をTs測定器18
へ、またυ>Vjのときには、アーク期間であることの
判定信号をTa測定器19へ、それぞれ出力する。◆上
記Ts測定器18およびTa測定器19は、短絡とアー
クが交互に繰返される各短絡周期毎に、それぞれの時間
の計測値(TsおよびTaの値)を、短絡期間の標準偏
差sTsの演算器20ならびにアーク期間の標準偏差sTa
の演算器21へ入力する。なお、演算器20は、上記T
s測定器18の出力を用いて、Tsの総和ΣTsおよび
Tsの平方和ΣTs2の演算、ならびにTsの個数Nの
カウントを行い、標準偏差sTsの値を下記の式1により
算出し、その値をファジィ制御器22へ出力する。演算
器21も上記演算器20と同様にして標準偏差sTaの値
を下記の式2により算出し、その値をファジィ制御器2
2へ出力する。◆
成する因子である標準偏差sTs、sTaおよび後件部を構
成する因子△V(出力電圧操作量)のファジィ変数とメ
ンバシップ関数の基本パターン、ならびにこれらの因子
についての推論規則を入力するためのものである。
る。なお、溶接条件は全く設定されていないものとす
る。◆溶接電源をオンしたら、先ず、判定器11に内蔵
されている溶接電流設定器9用のカウンタ(m)および
出力電圧設定器10用のカウンタ(n)をリセットする
(S100)。次に電流値Iおよび出力電圧値V0を設
定する(S110)。アーク起動信号により、溶接が開
始され、判定器11は設定されている電流値Iおよび出
力電圧値V0を記憶する(S120)。そして、mの値
を判断し(S130)、m=0すなわちファジィ推論に
よる適正電圧の設定が全く行なわれていない状態のとき
には、アークデータのサンプリングを行ない(S14
0)、短絡期間およびアーク期間の標準偏差を求め(S
150,S160)、これらの値に基づいてファジィ推
論を実行し、出力電圧の操作量△Vを求める(S17
0)。そして、判定器11は出力電圧設定器10に設定
された出力電圧値V0と操作量△Vとを合成し、その結
果を新たな出力電圧VLとして記憶すると共に、出力電
圧VLをパルス幅制御回路12に出力する(S18
0)。そして、操作量△Vと予め定められた許容値△V
R値とを比較し(S190)、△V≧△VRの場合にはn
=n+1として(S200)S140に戻る。また、△
V<△VRの場合には、ファジィ推論を終了するととも
に出力電圧VLを記憶する(S210)。そして、出力
電圧をVLとして溶接終了を待つ(S220)。そし
て、溶接終了信号により、m=m+1,n=n+1とす
る(S230)。なお、ファジィ制御器22の推論の詳
細については説明を省略する。
S130に戻る。そして、m≠0であることを確認し、
電流値ImとIm-1とを比較し(S250)、Im≠Im-1
の場合には溶接条件が変更されているため、S100に
戻る。また、Im=Im-1の場合には引続き出力電圧値V
mとVm-1とを比較し(S260)、Vm≠Vm-1の場合に
は溶接条件が変更されているから、S100に戻る。ま
た、Vm=Vm-1の場合にはS220に移り、出力電圧を
VLとする。◆なお、本実施例では、△V<△VRの場合
には出力電圧VLを記憶するとともにファジィ推論を終
了させたが、ファジィ推論をそのまま続行させ、△V≧
△VRとなったときにのみ出力電圧VLを記憶し直すよう
にしてもよい。また、S250およびS260において
全く変化がないことを判定基準としたが、ある幅を持た
せ、Im≒Im-1あるいはVm≒Vm-1を判定基準とするよ
うにしてもよい。さらに、判定器11のメモリを不揮発
性のものとすれば、例えばいったん溶接電源をオフし、
翌日全く同一の条件で作業を再開する場合に効果があ
る。
設定する電流値Iおよび出力電圧値V0が操作されない
限り前回のファジィ推論結果をそのまま採用するように
したから、同一の溶接条件を用いる繰り返し溶接作業に
おいて、作業性を向上することができるという効果があ
る。
タ 6 ワイヤ 10 出力電圧設
定器 11 判定器 12 パルス幅
制御回路 14 電圧検出器 15 サンプリ
ング条件設定器 16 判定電圧設定器 17 判定器 18 Ts測定器 19 Ta測定
器 20,21 演算器 22 フ
ァジィ制御器 23 設定器
Claims (2)
- 【請求項1】 ワイヤを略定速度で送給し、短絡とアー
クを交互に繰返しながら溶接をする消耗電極式ガスシー
ルドアーク溶接の出力制御方法において、溶接電源の外
部特性を定電圧特性とし、今回の溶接電流及び出力電圧
の設定値が前回の溶接電流及び出力電圧の設定値と同じ
であるとき、溶接中に測定される短絡期間の標準偏差お
よびアーク期間の標準偏差を前件部、また出力電圧の操
作量を後件部として予め定めた制御規則に従い所定のア
ーク状態を得るための出力電圧の操作量を推論するファ
ジィ推論を実行することにより適正な値に補正された前
回の出力電圧の最終値を今回の出力電圧値として溶接を
開始することを特徴とする消耗電極式ガスシールドアー
ク溶接の出力制御方法。 - 【請求項2】ワイヤを略定速度で送給し、短絡とアーク
を交互に繰返しながら溶接をする消耗電極式ガスシール
ドアーク溶接の溶接装置において、溶接電源の外部特性
を定電圧特性とし、短絡期間の標準偏差およびアーク期
間の標準偏差の算出手段と、その算出手段の算出結果を
入力として予め定めた制御規則に従い所定のアーク状態
を得るための出力電圧の操作量を推論するファジィ制御
器と、溶接電流の設定器と、出力電圧の設定器と、記憶
した前回の溶接電流および出力電圧の設定器の設定値
と、今回の溶接電流および出力電圧の設定器の設定値を
比較する機能と溶接中に設定された出力電圧に操作量を
加算して新たな出力電圧として記憶する機能とを持ち上
記ファジィ制御器、溶接電流の設定器、出力電圧の設定
器及び溶接電源の出力電圧設定値の増減を行う手段に接
続された判定器を備え、今回の溶接電流及び出力電圧の
設定値が前回の溶接電流及び出力電圧の設定値と同じで
あるとき、予め定めた制御規則に従い所定のアーク状態
を得るための出力電圧の操作量を推論するファジィ推論
を実行することにより適正な値に補正された前回の出力
電圧の最終値を今回の出力電圧値として溶接を開始する
ように構成したことを特徴とする消耗電極式ガスシール
ドアーク溶接の溶接装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07409693A JP3202828B2 (ja) | 1993-03-31 | 1993-03-31 | 消耗電極式ガスシールドアーク溶接の出力制御方法およびその溶接装置 |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH06277839A JPH06277839A (ja) | 1994-10-04 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3202828B2 (ja) |
-
1993
- 1993-03-31 JP JP07409693A patent/JP3202828B2/ja not_active Expired - Fee Related
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