JP3201898B2 - 障害物検出装置 - Google Patents

障害物検出装置

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JP3201898B2
JP3201898B2 JP33383093A JP33383093A JP3201898B2 JP 3201898 B2 JP3201898 B2 JP 3201898B2 JP 33383093 A JP33383093 A JP 33383093A JP 33383093 A JP33383093 A JP 33383093A JP 3201898 B2 JP3201898 B2 JP 3201898B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、例えば車両に搭載し
て車両の進行方向に存在する先行車等の障害物の方向を
検出するのに有用な光学式の障害物検出装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】最近では上記車両の進行方向に存在する
先行車や障害物を検出し、先行車や障害物等の方向や距
離を測定する障害物検出装置として、レーザビームを利
用した光学式の障害物検出装置が多く使用されるように
なっている。
【0003】一般に、この種の装置は、例えば単一短パ
ルスのレーザ光を対象障害物(以下、対象物という)に照
射してその反射光を検出し、当該レーザ光の送信時とそ
の反射光受信時との間の時間間隔が光の往復時間である
事から、それを計時することによって測距を行うように
なっている。
【0004】ところが、例えば対象物が先行車両の場合
など当該対象物は任意に移動する。したがって、一般
に、上記のような車両の進行方向に存在する先行車や障
害物等を検出し、又先行車や障害物等までの距離を測定
する光学式の障害物検出装置においては、そのセンシン
グ領域を相当に広げる必要がある。
【0005】このような要請に対し、通常の光学系の発
光領域を広げるのでは、発光パワー密度の低下により十
分な受光強度が得難くなることから、従来より例えば細
い発光ビームを広角度でスキャニングすることによって
センシングする所謂ビームスキャン方式が知られてい
る。しかし、このビームスキャン方式では、発光ビーム
の位置(方向)と受光情報を高速かつ大量に処理する必要
があり、信号処理系が大規模なものとなり、高コストな
ものとなる欠点がある。そこで、最近では、例えば発光
素子を複数個備え、広角度の発光領域を得る所謂複数ビ
ーム方式が検討されている(例えば特開昭61−259
185号公報)。
【0006】この装置では、例えば送光器内にレーザダ
イオード等から成る複数の発光素子を設け、駆動回路で
駆動される各発光素子から3本の光ビームを集光レンズ
を通して放射するようになっている。また、受光器側に
おいては、上記3本の光ビームが先行車や障害物等の反
射体で反射して帰って来る光を、集光レンズを通して発
光素子で受光し、その出力信号を増幅回路を通して測距
回路に送り、該測距回路で、光の放射から受光までの伝
播遅延時間を基に上記反射体までの距離を測定する構成
となっている。このような複数の発光素子を備えた送光
器の構成によれば、広い範囲内での距離および方向の測
定が行えると共に、集光レンズ系が発光素子に共通であ
るので、装置全体を小形化できるメリットがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この複数ビー
ム方式の場合、レーザダイオード等の発光素子を複数個
備えることが不可欠である。しかし、現状のレーザダイ
オードの単価は受光素子に比べ非常に高価であり、複数
個設置することは量産品としてコスト高の装置となる。
また、発光素子が1つの場合、先行車両の存在する方向
に受光エリアを偏向させて効率よく先行車両を捕捉する
ことが出来ない問題がある。
【0008】本願発明は、このような問題点に鑑みなさ
れたものであって、例えば単価の安い受光素子を複数備
えることで所望の広いセンシング領域を確保でき、その
受光エリア内の各素子の受光強度が異なることを利用し
て先行車等の測定対象物の存在方向を推定し、その方向
に光学系を自動操作して測定対象物を正確に捕捉するこ
とができるようにした、小形、省スペース、低コストの
光学式障害物検出装置を提供することを目的とするもの
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1〜3各項
記載の発明は、それぞれ同目的達成のために、各々次の
ように構成されている。
【0010】(1) 請求項1記載の発明の構成 該発明の障害物検出装置は、対象物に向けてパルスレー
ザ光を放射する発光部と、該発光部から放射されたパル
スレーザ光の内上記対象物を介して反射されるパルスレ
ーザ光を受光して各々受光パルス信号を出力する相互に
受光軸の方向が異なる複数の受光部と、該複数の受光部
から出力される各受光パルス信号の受光強度の大きさに
対応した信号レベルが所定の基準レベルを越える時刻の
差に基いて上記対象物の方向を検出する方向検出部とを
備えて構成されていることを特徴としている。
【0011】(2) 請求項2記載の発明の構成 該障害物検出装置は、対象物に向けてパルスレーザ光を
放射する発光部と、該発光部から放射されたパルスレー
ザ光の内上記対象物を介して反射されるパルスレーザ光
を受光して各々受光パルス信号を出力する相互に受光軸
の方向が異なる複数の受光部と、該複数の受光部から出
力される各受光パルス信号の受光強度の大きさに対応し
た信号レベルが所定の基準レベルを越える時刻の差に基
いて上記対象物の方向を検出する方向検出部と、上記受
光部から出力される受光パルス信号のレベルが所定の基
準レベルを越えた時点を上記反射レーザ光の到達時刻と
判定して上記発光部のレーザ光放射時刻から当該到達時
刻までの所要時間を計測する時間計測部と、該時間計測
部で計測された上記所要時間に基いて上記発光部又は受
光部から対象物までの距離を計測する距離計測手段とを
備えて構成されていることを特徴としている。
【0012】(3) 請求項3記載の発明の構成 該障害物検出装置は、距離計測手段が、計測ゲイン可変
手段を有し、計測距離が大きい時には計測ゲインを大き
くするようになっていることを特徴としている。
【0013】
【作用】そして、本願の上記請求項1〜3各項記載の発
明は、当該各構成に対応して各々次のように作用する。
【0014】(1) 請求項1記載の発明の作用 該発明の障害物検出装置の構成では、上述のように、対
象物に向けてパルスレーザ光を放射する発光部と、該発
光部から放射されたパルスレーザ光の内上記対象物を介
して反射されるパルスレーザ光を受光して各々受光パル
ス信号を出力する相互に受光軸の方向が異なる複数の受
光部と、該複数の受光部から出力される各受光パルス信
号の受光強度の大きさに対応した信号レベルが所定の基
準レベルを越える時刻の差に基いて上記対象物の方向を
検出する方向検出部とを備えていて、複数の受光部の受
光強度の大きさに応じた各受光パルス信号の所定のしき
い値に対する立上りエッジクロス点の時刻差から障害物
の存在方向を正確に検出判定する。
【0015】(2) 請求項2記載の発明の作用 該障害物検出装置の構成では、対象物に向けてパルスレ
ーザ光を放射する発光部と、該発光部から放射されたパ
ルスレーザ光の内上記対象物を介して反射されるパルス
レーザ光を受光して各々受光パルス信号を出力する相互
に受光軸の方向が異なる複数の受光部と、該複数の受光
部から出力される各受光パルス信号の受光強度の大きさ
に対応した信号レベルが所定の基準レベルを越える時刻
の差に基いて上記対象物の方向を検出する方向検出部
と、上記受光部から出力される受光パルス信号のレベル
が所定の基準レベルを越えた時点を上記反射レーザ光の
到達時刻と判定して上記発光部のレーザ光放射時刻から
当該到達時刻までの所要時間を計測する時間計測部と、
該時間計測部で計測された上記所要時間に基いて上記発
光部又は受光部から対象物までの距離を計測する距離計
測手段とを備えており、上述のように複数の受光部の受
光強度の大きさに応じた各受光パルス信号の所定のしき
い値に対する立上りエッジクロス点の時刻差から障害物
の存在方向を検出判定する一方、上記発光部から放射さ
れたパルスレーザ光の内上記対象物を介して反射される
パルスレーザ光を受光して、当該出力される受光パルス
信号のレベルが所定のしきい値を越えた時点を上記反射
レーザ光の到達時刻と判定して上記発光部のレーザ光放
射時刻から当該到達時刻までの所要時間を計測し、該計
測された所要時間に基いて上記発光部又は受光部から対
象物までの距離を正確に計測する。
【0016】(3) 請求項3記載の発明の作用 該発明の障害物検出装置の構成では、その基本構成によ
り上記請求項2記載の発明と同様の作用を実現するに際
し、さらに距離計測手段が、計測ゲイン可変手段を有
し、計測距離が大きい時には計測ゲインを大きくするよ
うになっていることから、上記しきい値を超える到達時
刻に差が生じにくくなる遠距離の場合にも正確な検出が
可能となる。
【0017】
【発明の効果】以上の結果、本願発明の障害物検出装置
によると、常に適正な障害物の存在方向の検出が可能と
なり、障害物検出装置としての精度、信頼性が向上す
る。しかも、価格の高い発光素子は1個で足りるから、
低コストで済む。
【0018】
【実施例】以下、本願発明の構成と作用を図1〜図14
に示す実施例に基づいて詳細かつ具体的に説明する。
【0019】図1には同実施例に係る光学式の障害物検
出装置のシステム構成を示している。本実施例の場合、
この障害物検出装置は例えば車両に搭載されて前方走行
車両の位置と方向を検出するものとして構成されてい
る。
【0020】先ず図1における同装置は、大別してレー
ザーレーダヘッド1、時間計測ユニット20、信号処理
ユニット30の3つの部分に分れている。
【0021】レーザーレーダヘッド1は、LD(レーザ
ーダイオード)から成る1つの発光素子2、PD(ピンフ
ォトダイオード)から成る第1、第2の2つの受光素子
3,4とを有し、発光素子2の前側には発光用レンズ(集
光レンズ)5が配置され、第1、第2の受光素子3,4の
前側にはそれぞれ格子状のメカニカルフィルタ8を備え
た受光用レンズ(集光レンズ)6,7が配置されている。
9はLDの駆動回路、10は受光回路である。
【0022】上記1つの発光素子2と第1、第2の受光
素子3,4は、図2に示す如くターンテーブル14上に
載置され、それらに属するレンズ5,6,7及びメカニカ
ルフィルタ8もターンテーブル14上に搭載されてい
る。図2から理解されるように、発光素子2及びそのレ
ンズ5は、図1ではレーザーレーダヘッド1の片側に描
いてあるが、実際には図2の如く第1、第2の受光素子
3,4及びそのレンズ6,7の中間に位置するようになっ
ている。
【0023】時間計測ユニット20は、LDの駆動回路
に対するスタートパルスを発生するパルス発生部21
と、該スタートパルスにより計時を開始し受光回路10
からのスタートパルスで計時を終了する時間計測部22
と、電源部23とを各々有する。また、信号処理ユニッ
ト30は、上記時間計測部22で得られた時間データを
基に距離を算出する距離計測部31と、その結果を表示
する表示部32とを備えている。
【0024】更に、上記レーザーレーダヘッド1は、上
記ターンテーブル14を回転させて、第1、第2の受光
素子3,4の受光エリア43,44及び発光素子2の発光
エリア(図示せず)を図2から図4の如く偏向させるため
のサーボ機構11と、その駆動モータ12とを備えてい
る。尚、サーボ機構11の現在回転角度は駆動モータ1
2と連動するポテンショメータ13により検出されるよ
うになっている。
【0025】また信号処理ユニット30は、先行車の反
射体40を、常に図2の如く第1、第2の2つの受光素
子3,4の受光エリア43,44の重なり領域内に捕捉す
るようにターンテーブル14を回転させる制御手段とし
て、サーボ機構11の駆動モータ12に対し適切な指令
を与えるサーボ操作部33を備えている。このサーボ操
作部33は、具体的には、上記距離計測部31で計測さ
れ第1、第2の受光素子3,4毎の計測値の大小関係の
組合わせから、サーボ機構11に対し、その駆動モータ
12の回転の有無及び回転方向についての指令を与える
ようになっている。
【0026】次に上記構成の作用について説明する。
【0027】今、例えば図1において、時間計測ユニッ
ト20のパスル発生部21からレーザーレーダヘッド1
のLD駆動回路9にスタートパルスが出力される。する
と、LD駆動回路9は、スタートパルスのトリガーによ
り発光素子2たるLDを駆動し、レーザパルスは、第
1、第2の受光素子3,4の一方又は両方により受光さ
れて所定の出力電流を発生し、受光回路10で増幅され
た後、ストップパルスを時間計測部22に出力する。時
間計測部22ではパルス発生部21からのスタートパル
スと、受光回路10からのストップパルスとの間の時間
間隔を計測し、時間データとして距離計測部31に出力
する。距離計測部31では時間データから先行車との距
離を演算(換算)し、距離データとして車両の制御ユニッ
ト(ASC)34へ出力する。
【0028】ここで、第1、第2の受光素子3,4が反
射光を受光しないときは、距離計測部31における該当
する受光素子係数での距離計測値が「最大」となり、距離
データは“先行車がない"旨の信号して取り扱われる。
しかし、何がしかの距離計測値がある場合は“先行車あ
り"判断され、その旨の信号として取り扱われる。
【0029】次に、上記光学系の操作との関連について
説明する。
【0030】図2は左側の第2の受光素子4の受光エリ
ア44内にだけ先行車の反射体40が位置する場合を、
また図4は左右両方の第1、第2の受光素子3,4の受
光エリア43,44内に反射体40が位置する場合を示
している。
【0031】説明の便宜上、最初は先行車の反射体40
が、図2の如く、第2受光素子4の受光エリア44内に
のみ位置するものとする。この場合、先行車の反射体4
0からの反射光は第2の受光素子4のみにより受光さ
れ、第1、第2の各受光素子3,4の出力状態は図3の
如くになる。このとき、距離計測部31における距離計
測値は、第1の受光素子3について「距離最大」、第2の
受光素子4について「距離小」の関係となる。そして、信
号処理ユニット30のサーボ制御部33は、上記距離計
測値の信号の大小関係から、先行車は左方向にあると推
定し、サーボ機構11に対しターンテーブル14を反時
計方向に回転させる「左移動指令」を与える。これによ
り、駆動モータ12が正回転し、ターンテーブル14が
図2の矢印方向に回転移動し、受光エリア43,44が
左に移動して行く。先行車の反射体40が、図4の如く
受光エリア43,44の重なり領域内に入ると、第1、
第2の各受光素子3,4の出力状態は図5の如くにな
り、距離計測値は第1、第2の受光素子3,4のいずれ
についても「距離小」の関係となる。ここで、サーボ制御
部33は「左移動指令」を停止する。
【0032】上記とは逆に、反射光が第1の受光素子3
のみにより受光された場合には、距離計測値は第1の受
光素子3について「距離小」、第2の受光素子4について
「距離最大」の関係の関係となり、サーボ制御部33は先
行車が右方向にあると判断して、サーボ機構11に対し
ターンテーブル14を時計方向に移動される「右移動指
令」を与える。これにより、駆動モータ12が逆回転
し、ターンテーブル14が図2から時計方向に回転移動
し、受光エリア43,44が右方向に移動する。先行車
の反射体40が、受光エリア43,44の重なり領域内
に入ると、距離計測値は第1、第2の受光素子3,4に
ついていずれも「距離小」の関係となり、その時点でサー
ボ制御部33は「右移動指令」を停止する。尚、距離計測
値が第1、第2の受光素子3,4についていずれも「距離
最大」の場合、サーボ制御部33はサーボ機構11に対
し何の指示与えない。
【0033】このように、第1、第2の2つの受光素子
3,4の系統について、共に何がしかの距離計測値があ
る状態、即ち上記「距離小」が得られるまでターンテーブ
ル14を回転変位させることにより、常に先行車をレー
ザーレーダヘッド1の光学系の真正面で捕捉することが
できる。従って、むやみに発光視野を広げることなく、
また、広範囲なスキャニングをして不必要なデータ処理
を行うこともなく、低コストに距離計測エリアを広げる
ことが可能となる。
【0034】ところで、このような光学式の障害物検出
装置において、上記第1、第2の受光素子3,4の受光
軸の方向を変えて設置すると、受光パルス信号の信号レ
ベル(受光強度)が相互に異なるようになり、受光信号の
パルス波形そのものが変化してそのピークレベル、パル
ス幅も異なってくる(図7の(a)参照)。
【0035】その結果、所定の基準レベルVsとのクロ
ス点で判定される当該受光パルス信号の立ち上がりエッ
ジによる到達時刻tもt1,t2と相互に異なることから、図
7および図8に示すように、それらの間の光の往復時間
t1,t2の差から対象物の存在する方向角度を知ることが
できる。
【0036】ところが、上記図1のように第1、第2の
2つの受光素子3,4を別体に構成し、個々に受光レン
ズ6,7を設けた構成では、それら2つの受光レンズ6,
7および受光素子3,4間の間隔が広いと対象物までの
距離が大きくなって方向角θが小さくなると測定精度が
低下して検出誤差を生じやすい。又、低コスト化および
コンパクト化の見地からも問題がある。
【0037】そこで、該問題を解決するために、さらに
例えば図6に示すように、上記第1、第2の受光素子3
および4を左右方向に並列一体化し、受光レンズを1枚
の受光レンズ67で共通化することにより、コンパクト
化および低コスト化を図りながら、しかもより小さな方
向角θの変化をも高精度に検出できるようにした構成が
採用される。しかし、該構成を採用した場合にも、図6
に示した点から明らかなように対象物の方向角θが左右
何れかに変化すると、上記第1、第2何れかの受光素子
3,4に入射する光の焦点が左右方向に移動して対象物
が受光レンズ6,7および受光素子3,4の光軸中心O−
O′上に存在する時のように無限小の点にはならず、光
軸中心O−O′からズレるに従って当該ズレ量に応じて
第1、第2の受光素子3,4の受光強度自体の大きさも
相互に変化する。
【0038】したがって、該光軸中心O−O′からの入
射光軸のズレに応じた第1、第2の受光素子3,4の受
光強度の変化を各検出回数毎に検出して、それらの変化
(遅れ)に基く光の往復時間t1,t2の差を演算するととも
に、該演算値の微分値がゼロであるか否かを判定するよ
うにすると、上記各受光素子3,4の受光面上に入射光
の焦点を結ばせるようにすることなく、対象物の方向を
正確に検出することができるようになる。
【0039】図9のフローチャートは、このような観点
から図6の構成を採用して対象物40の存在方向を正確
に検出するようにした障害物検出装置の検出制御の内容
を示している。
【0040】すなわち、先ずステップS1で図7に示す
上記第1、第2の受光素子3,4による上記受光強度の
差に応じた光の往復時間(到達時間)計測データt1,t2
読み出す。
【0041】そして、ステップS2で、上記光の往復時
間t1とt2の差t1−t2=tf(n)を演算する(図8参照)。
【0042】次に、ステップS3に進み、該演算値tf(n)
の微分値(tf(n)−tf(n−1))が0よりも大(正)であるか
小(負)であるかを判定する。その結果、YESの同微分
値tf(n)−tf(n−1)が0よりも大きい正の時は、さらに
ステップS4に進んで、上記ステップS2の演算値tf(n)
自体が0(図8のゼロクロス点=対象物の方向角を示す)
であるか否かを判定する。
【0043】その結果、YESと判定されると、ステッ
プS5に進んで対象物の存在確認判定を行う。この結
果、対象物の存在方向θ1が正確に検出される。
【0044】他方、上記ステップS3でNO、又はステ
ップS4でNOと判定された場合は、それぞれステップ
6に進んで、対象物存在未確認の判定を行う。このよ
うに第1、第2の受光素子3,4によって検出された光
の往復時間t1,t2の差の微分値が負の場合には、対象物
の方向角θ2を検出しないようにすることによって、真
の対象物とそうでない対象物の2つの対象物が存在した
時の誤検出を防止することができる。
【0045】一方、上記図6のような構成の障害物検出
装置で対象物の方向を検出する場合にも、例えば図10
および図11に示すように近距離の場合に比べて遠距離
の場合には、上述した第1、第2の各受光素子3,4の
受光パルス信号の信号レベルが「しきい値Vs」を超える
時刻に殆んど差がなくなってきて、正確な方向判定を行
ない難くなる問題が生じる。
【0046】そこで、本実施例では、さらに例えば図1
4のフローチャートに示すように、距離計測時の時間積
分ゲインを可変調整し得るように構成されている。
【0047】すなわち、先ずステップS1で距離計測に
必要な各種のデータを入力する。次にステップS2にす
すんで、今回の受光による距離計測が第1回目のもので
あるか否かを判定する。
【0048】その結果、YESの時はステップS3に進
んで当該第1回目の受光によるパルス信号出力に基いて
距離データLA(図13の(a)参照)を演算する。
【0049】その後、さらにステップS4に進み、該演
算値LAが所定のしきい値LBよりも大であるか否かを
判定する。その結果、YESと判定された時は、ステッ
プS5に進んで、図13の(A)から(B)に示すように距
離計測のための時間積分ゲインGをGAからGA′に所
定値アップする。
【0050】その上で、ステップS6に進んで、再度距
離計測のためのデータ入力処理を行ない、さらにステッ
プS7で第2回目の受光による距離計測であることを確
認する。
【0051】その結果、YESの時は最終的にステップ
8に進んで、当該新な時間積分ゲインGA′で時間積
分することによって算出した距離データLA′を距離デ
ータとして設定する。
【0052】一方、上記ステップS4の判定で、第1回
目の受光による距離演算データLAが上記しきい値LB
以下の時は、時間積分ゲインGを大きくするまでもなく
略正確な距離データを得ることができることから、ステ
ップS9に移って最終的な距離演算データをLAに設定
して距離計測制御をを終える。
【0053】従って、該構成によれば、例えば上記図1
0および図11に示すように近距離の場合に比べて遠距
離の場合に、上述した第1、第2の受光素子3,4の受
光パルス信号の信号レベルが「しきい値Vs」を超える時
刻に殆んど差がなくなってきたとしても、略正確な方向
判定を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本願発明の実施例に係る障害物検出装
置のシステム構成を示す制御回路である。
【図2】図2は、同装置のレーザヘッドの第1の回転位
置と受光エリアの向きとの関係を示す概略図である。
【図3】図3は、図2の状態におけるレーザヘッドの発
光素子と受光素子相互の発光、受光タイミングを示すタ
イムチャートである。
【図4】図4は、同装置のレーザヘッドの第2の回転位
置と受光エリアの向きとの関係を示す概略図である。
【図5】図5は、図4の状態におけるレーザヘッドの発
光素子と受光素子相互の発光、受光タイミングを示すタ
イムチャートである。
【図6】図6は、同装置の第1、第2の2組の各受光素
子に対する対象物からの反射光の入射角のズレを説明す
る説明図である。
【図7】図7は、上記図6に示した入射角のズレに基づ
いて生じる第1、第2各受光素子のパルス出力波形の変
化とそれに対応して発生する光往復時間(到達時間)の誤
差を説明するタイムチャートである。
【図8】図8は、上記発光素子から第1、第2の各受光
素子までの光往復時間の差とそれに対応した対象物の方
向角および距離計測のための時間積分ゲインの関係を示
す説明図である。
【図9】図9は、同装置の対象物検出制御の内容を示す
フローチャートである。
【図10】図10は、同装置の計測距離の遠近に対応し
た光往復時間と対象物の方向角の関係を示す特性図であ
る。
【図11】図11は、同装置の計測距離の遠近に応じた
受光パルス信号波形を示す信号波形図である。
【図12】図12は、同装置の第1、第2の受光素子の
出力パルスと時間積分の関係を示すタイムチャートであ
る。
【図13】図13は、同装置の時間積分ゲインの可変制
御方法を示すタイムチャートである。
【図14】図14は、同時間積分ゲインの可変制御内容
を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1はレーザーレーダヘッド、2は発光素子、3は第1の
受光素子、4は第2の受光素子、10は受光回路、20
は時間計測ユニット、21はパルス発生部、22は時間
計測部、30は信号処理ユニット、40は反射体であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−109847(JP,A) 特開 平6−109846(JP,A) 特開 昭54−67394(JP,A) 実開 平4−61085(JP,U) 特許2542065(JP,B2) 特許2575852(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01S 7/48 - 7/51 G01S 17/00 - 17/95

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対象物に向けてパルスレーザ光を放射す
    る発光部と、該発光部から放射されたパルスレーザ光の
    内上記対象物を介して反射されるパルスレーザ光を受光
    して各々受光パルス信号を出力する相互に受光軸の方向
    が異なる複数の受光部と、該複数の受光部から出力され
    る各受光パルス信号の受光強度の大きさに対応した信号
    レベルが所定の基準レベルを越える時刻の差に基いて上
    記対象物の方向を検出する方向検出部とを備えてなる障
    害物検出装置。
  2. 【請求項2】 対象物に向けてパルスレーザ光を放射す
    る発光部と、該発光部から放射されたパルスレーザ光の
    内上記対象物を介して反射されるパルスレーザ光を受光
    して各々受光パルス信号を出力する相互に受光軸の方向
    が異なる複数の受光部と、該複数の受光部から出力され
    る各受光パルス信号の受光強度の大きさに対応した信号
    レベルが所定の基準レベルを越える時刻の差に基いて上
    記対象物の方向を検出する方向検出部と、上記受光部か
    ら出力される受光パルス信号のレベルが所定の基準レベ
    ルを越えた時点を上記反射レーザ光の到達時刻と判定し
    て上記発光部のレーザ光放射時刻から当該到達時刻まで
    の所要時間を計測する時間計測部と、該時間計測部で計
    測された上記所要時間に基いて上記発光部又は受光部か
    ら対象物までの距離を計測する距離計測手段とを備えて
    なる障害物検出装置。
  3. 【請求項3】 距離計測手段は、計測ゲイン可変手段を
    有し、計測距離が大きい時には計測ゲインを大きくする
    ようになっていることを特徴とする請求項2記載の障害
    物検出装置。
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