JP3200805B2 - 燃料噴射ポンプ - Google Patents

燃料噴射ポンプ

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JP3200805B2
JP3200805B2 JP26407492A JP26407492A JP3200805B2 JP 3200805 B2 JP3200805 B2 JP 3200805B2 JP 26407492 A JP26407492 A JP 26407492A JP 26407492 A JP26407492 A JP 26407492A JP 3200805 B2 JP3200805 B2 JP 3200805B2
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宏明 加藤
政明 荻野
英克 矢代
佳範 細谷
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    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02MSUPPLYING COMBUSTION ENGINES IN GENERAL WITH COMBUSTIBLE MIXTURES OR CONSTITUENTS THEREOF
    • F02M59/00Pumps specially adapted for fuel-injection and not provided for in groups F02M39/00 -F02M57/00, e.g. rotary cylinder-block type of pumps
    • F02M59/20Varying fuel delivery in quantity or timing
    • F02M59/24Varying fuel delivery in quantity or timing with constant-length-stroke pistons having variable effective portion of stroke
    • F02M59/26Varying fuel delivery in quantity or timing with constant-length-stroke pistons having variable effective portion of stroke caused by movements of pistons relative to their cylinders
    • F02M59/265Varying fuel delivery in quantity or timing with constant-length-stroke pistons having variable effective portion of stroke caused by movements of pistons relative to their cylinders characterised by the arrangement or form of spill port of spill contour on the piston

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は燃料噴射ポンプにかかる
もので、とくに燃料の吸排孔としてメインポートおよび
サブポートをプランジャバレルに形成した燃料噴射ポン
プに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、燃料噴射ポンプの特性として、
エンジンの高速回転時に燃料の噴射タイミングを進ませ
る(進角させる)ことが望ましく、かつこうした噴射タ
イミングを調整するタイマー(自動進角装置)を別途に
用いることなく、燃料噴射ポンプ自体の構造によりタイ
ミング調整機構を有するものがある。
【0003】こうしたタイミング調整機構のうち、高速
回転時におけるプリフロー効果つまり燃料のフィードホ
ール(吸排孔)が閉じられる前に、動的効果(絞り効
果)により燃料が圧送される現象を利用して進角特性を
得ようとするものがある。
【0004】しかしながら、プリフロー効果によりエン
ジンの高速回転時の噴射タイミング特性が良好であって
も、このプリフロー効果によりエンジンの始動時やトル
ク点(低速・高負荷)の噴射タイミングが遅れる(遅角
する)などで、結果としてエンジンの最適タイミングを
実現することが困難であるという欠点があった。
【0005】したがって、高速回転時の進角と、始動時
の進角との両立が要望されることとなるとともに、エン
ジンの負荷状態(低負荷、高負荷)に応じて進角特性を
任意に設定可能な燃料噴射ポンプが要望されるに至っ
た。
【0006】従来の燃料噴射ポンプの自動進角装置とし
て、たとえば実開昭56−145666号などでは、燃
料の吸排孔に加えてその上方に補助孔を形成することに
より、エンジンの高速回転時に燃料の噴射タイミングを
進角させる機構について述べているが、エンジンの始動
時における進角特性については開示がない。
【0007】また特開昭57−212364号などで
は、始動時の燃料噴射タイミングについて述べてはいる
が、高速回転時におけるプリフロー効果との両立が不可
能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
諸問題にかんがみなされたもので、吸排孔としてメイン
ポートおよびサブポートを形成し、エンジンの高速回転
時のプリフロー効果を発揮可能であるとともに、始動時
の進角も可能で、エンジンの負荷状態(低負荷、高負
荷)に応じて進角特性を任意に設定可能な燃料噴射ポン
プを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、上記
サブポートに連通可能な上部サブリードと、メインポー
トに連通可能な上部メインリードとを形成することに着
目したもので、第一の発明は、ポンプハウジングと、こ
のポンプハウジングに取り付けるとともに、燃料溜まり
室に連通する燃料の吸排孔を形成したプランジャバレル
と、このプランジャバレル内に往復摺動可能かつ回動可
能に挿入するとともに、上記吸排孔に連通可能な位置に
傾斜リードを形成したプランジャとを有し、このプラン
ジャと上記プランジャバレルとの間に燃料圧室を形成す
るとともに、このプランジャの往復摺動により、上記燃
料溜まり室からこの燃料圧室内に燃料を吸い込み、圧送
する燃料噴射ポンプであって、上記プランジャバレルに
上記吸排孔として、より大きい直径のメインポートおよ
びより小さい直径のサブポートを、このサブポートの上
端縁が上記メインポートの上端縁以下となるように形成
し、上記プランジャの頭部には、該プランジャの回動に
ともなう所定範囲にわたってこのサブポートに連通可能
な上部サブリードと、上記メインポートに連通可能な上
部メインリードとを形成し、かつ上記プランジャの回動
にともなう所定範囲の中で上記メインポートが上記上部
メインリードの上端縁により閉鎖されても、上記サブポ
ートが上記上部サブリードに連通可能となるように当該
上部メインリードおよび上部サブリードを形成し、さら
に始動時における上記プランジャの回動位置では、この
上部メインリードを形成していない上記プランジャの上
端縁により上記メインポートを閉鎖可能とするととも
に、上記上部サブリードを形成していない上記プランジ
ャの上端縁により上記サブポートを閉鎖可能としたこと
を特徴とする燃料噴射ポンプである。
【0010】第二の発明は、低負荷時における上記プラ
ンジャの回動位置では、上記メインポートが上記メイン
リードの上端縁により閉鎖されても、上記サブポートが
上記上部サブリードと連通可能とし、高負荷時における
上記プランジャの回動位置では、上記上部メインリード
の上端縁により上記メインポートを閉鎖可能とするとと
もに、上記上部サブリードの上端縁により上記サブポー
トを閉鎖可能とし、さらに始動時における上記プランジ
ャの回動位置では、上記上部メインリードを形成してい
ない上記プランジャの上端縁により上記メインポートを
閉鎖可能とするとともに、上記上部サブリードを形成し
ていない上記プランジャの上端縁により上記サブポート
を閉鎖可能としたことを特徴とする燃料噴射ポンプであ
る。
【0011】第三の発明は、低負荷時における上記プラ
ンジャの回動位置では、上記上部メインリードの上端縁
により上記メインポートを閉鎖可能とするとともに、上
記上部サブリードの上端縁により上記サブポートを閉鎖
可能とし、高負荷時における上記プランジャの回動位置
では、上記メインポートが上記メインリードの上端縁に
より閉鎖されても、上記サブポートが上記上部サブリー
ドと連通可能とし、さらに始動時における上記プランジ
ャの回動位置では、上記上部メインリードを形成してい
ない上記プランジャの上端縁により上記メインポートを
閉鎖可能とするとともに、上記上部サブリードを形成し
ていない上記プランジャの上端縁により上記サブポート
を閉鎖可能としたことを特徴とする燃料噴射ポンプであ
る。
【0012】第四の発明は、始動時における上記プラン
ジャの回動位置では、上記上部メインリードを形成して
いない上記プランジャの上端縁により上記メインポート
を閉鎖可能とするとともに、上記上部サブリードを形成
していない上記プランジャの上端縁により上記サブポー
トを閉鎖可能とし、かつまた上記カムのカム速度が低速
度において上記プランジャが上記メインポートを閉鎖す
るように該カムのカムプロフィールを選択することを特
徴とする燃料噴射ポンプである。
【0013】第五の発明は、始動時における上記プラン
ジャの回動位置では、上記上部メインリードを形成して
いない上記プランジャの上端縁により上記メインポート
を閉鎖可能とするとともに、上記上部サブリードを形成
していない上記プランジャの上端縁により上記サブポー
トを閉鎖可能とし、かつまた上記傾斜リードのスピル側
においてその深さに部分的な段差を設けたことを特徴と
する燃料噴射ポンプである。
【0014】
【作用】本発明による燃料噴射ポンプにおいては、とく
に第一の発明によれば、メインポートに加えてサブポー
ト付きのプランジャバレル、ならびに上部サブリードお
よび上部メインリード付きのプランジャを採用したの
で、エンジンの負荷状態(低負荷、高負荷)に応じて進
角特性を任意に設定可能であり、とくにエンジンの高速
回転時のプリフロー効果を発揮可能であるとともに、始
動時の進角も可能である。
【0015】第二の発明によれば、高負荷時における上
記プランジャの回動位置では、上記上部メインリードお
よび上部サブリードの上端縁によってそれぞれ上記メイ
ンポートおよびサブポートを閉鎖可能としたので、プリ
ーフロー効果を高負荷側ではなくし、低負荷側のみで進
角させることができ、始動時の進角も可能である。
【0016】またこのときに、低速回転・高負荷側を進
角させるか遅角させるかについては、任意にこれを設定
可能である。
【0017】第三の発明によれば、低負荷時における上
記プランジャの回動位置では、上記上部メインリードお
よび上部サブリードの上端縁によってそれぞれ上記メイ
ンポートおよびサブポートを閉鎖可能としたので、プリ
ーフロー効果を低負荷側ではなくし、高負荷側のみで進
角させることができ、始動時の進角も可能である。
【0018】またこのときに、低速回転・低負荷側を遅
角させることもでき、同時に低速回転・高負荷側も遅角
させることもできる。
【0019】第四の発明によれば、カム速度が低速度に
おいて上記プランジャが上記メインポートを閉鎖するよ
うに該カムのカムプロフィールを選択したので、同一プ
リフローストロークでは、進角量を大きく取ることがで
き、始動時の進角も可能である。
【0020】第五の発明によれば、上記傾斜リードのス
ピル側においてその深さに部分的な段差を設けたので、
燃料のスピルをゆっくりとさせることによって残圧を高
くすることができ、プリフロー効果をより有効に利用す
ることができ、かつ初期噴射の低減によって騒音と窒素
酸化物の低減を期待することができ、始動時の進角も可
能である。
【0021】
【実施例】つぎに本発明の第一の実施例による燃料噴射
ポンプ1を図1ないし図5にもとづき説明する。
【0022】図1は燃料噴射ポンプ1の縦断面図、図2
は要部縦断面図であって、燃料噴射ポンプ1はポンプハ
ウジング2と、エンジン(図示せず)に連結したカム軸
3に取り付けたカム4と、噴射量のコントロールラック
5と、プランジャバレル6と、プランジャ7と、デリバ
リバルブ8と、デリバリバルブホルダー9とを有する。
【0023】カム4は、カム軸3を介してエンジンの駆
動を受け、タペットローラー10を介してプランジャ7
を上下方向に往復動させる。
【0024】コントロールラック5は、紙面に直角な方
向に移動することにより噴射量のコントロールスリーブ
11を介し、プランジャ7をその軸心を回転軸として所
定角度だけ回動させる。
【0025】プランジャバレル6は、ポンプハウジング
内に固定してこれを取り付け、その内部にプランジャ
7を往復動かつ回動可能に収容するとともに、ポンプハ
ウジング2との間に燃料溜まり室12を、デリバリバル
ブ8との間に燃料圧室13を形成している。
【0026】プランジャバレル6には、燃料の吸排孔と
して、メインポート14と、サブポート15とを形成し
てある。
【0027】図2に拡大して示すように、メインポート
14の上端縁14Aとサブポート15の上端縁15Aと
は同一高さないし同一水平位置にあり、かつ周方向にお
いて180度の間隔を開けてこれを形成してある。
【0028】なお、メインポート14の上端縁14Aと
サブポート15の上端縁15Aとの位置関係としては、
必要に応じてサブポート15の上端縁15Aがメインポ
ート14の上端縁14Aより下方に位置するように形成
することもできる。
【0029】プランジャ7は、プランジャバレル6内に
おいて往復動することにより燃料を燃料溜まり室12か
ら吸い込み、燃料圧室13で圧縮し、デリバリバルブ8
を開き、噴射管16(図1)を介して燃料噴射ノズル
(図示せず)に燃料を圧送する。
【0030】図3は、プランジャ7の頭部のリード展開
図であって、メインポート14およびサブポート15を
破線(始動時)および一点鎖線(低負荷および高負荷
時)で示して、互いの間の相対位置関係を示している。
【0031】このプランジャ7の頭部の周面には、燃料
圧室13に連通する縦方向燃料通路17と、縦方向燃料
通路17に連通する傾斜リード18と、傾斜リード18
に連通するとともに水平方向にカットした始動時噴射量
制限用切欠き19と、燃料圧室13に連通する上部メイ
ンリード20と、同じく燃料圧室13に連通する上部サ
ブリード21とを形成してある。
【0032】上部メインリード20および上部サブリー
ド21の領域は、エンジンの低負荷時から高負荷時に相
当し、プランジャ7の上端縁7Aの領域は始動時に相当
する。
【0033】プランジャ7はカム4の作用によりプラン
ジャバレル6内を上下往復運動するため、図3におい
て、上部メインリード20、上部サブリード21、縦方
向燃料通路17、傾斜リード18および始動時噴射量制
限用切欠き19とともに、定位置状態のメインポート1
4およびサブポート15に対して上下に移動する。
【0034】またプランジャ7はコントロールラック5
の作用によりプランジャバレル6内で回動するため、図
3において、上部メインリード20、上部サブリード2
1、縦方向燃料通路17、傾斜リード18および始動時
噴射量制限用切欠き19とともに、定位置状態のメイン
ポート14およびサブポート15に対して左右に移動す
る。
【0035】こうした構成の燃料噴射ポンプ1におい
て、プランジャ7の下降にともない、燃料溜まり室12
の燃料をメインポート14およびサブポート15から燃
料圧室13内に吸い込む。
【0036】プランジャ7の上昇にともない、プランジ
ャ7の上端縁7A、上部メインリード20の上端縁20
Aないし上部サブリード21の上端縁21Aにより、メ
インポート14ないしサブポート15が閉鎖されたとき
から燃料の圧縮を開始し、メインポート14が傾斜リー
ド18ないし始動時噴射量制限用切欠き19と係合した
ときに燃料の圧送を終了する。
【0037】すなわち、プランジャ7の下死点から燃料
の圧送開始までのストロークがプリストロークであり、
サブポート15の閉鎖からメインポート14の開放まで
のストロークが有効ストロークであり、上部サブリード
21の深さないし高さが低速に対する始動進角段差L1
である。 なお、上部メインリード20の深さないし高
さが高速に対する始動進角段差L2であり、この差(L
1−L2)がプリフローストロークすなわち進角段差L
3である。
【0038】より具体的には、エンジンの始動時にあっ
ては、メインポート14およびサブポート15は、上部
メインリード20あるいは上部サブリード21ではな
く、プランジャ7の上端縁7Aに対向可能である。
【0039】したがって、燃料の圧送の有効ストローク
は最大で、エンジン始動時に必要な燃料噴射量を確保可
能である。
【0040】上部メインリード20を形成することによ
り、プランジャ7の上端縁7Aが上端縁20Aに比較し
て上方に位置することになるため、始動時には定格高負
荷よりも進角する
【0041】エンジンの低負荷および高負荷運転時にあ
っては、メインポート14は上部メインリード20に、
サブポート15は上部サブリード21にそれぞれ対向可
能である。
【0042】アイドリングなどより低速状態では、メイ
ンポート14が傾斜リード18の図3においてより左方
に位置するため、有効ストロークが小さいとともに、サ
ブポート15が上部サブリード21と係合するため、サ
ブポート15が上部サブリード21の上端縁21Aによ
り閉鎖されてから実質的な燃料圧送が開始される。
【0043】回転数が上昇して高速運転となったときに
は、メインポート14が傾斜リード18の右方向に移動
した状態となり、有効ストロークは増加するとともに、
サブポート15における絞り効果によってサブポート1
5が上部サブリード21の上端縁21Aにより完全に閉
鎖される前に燃料の圧送が開始されるため、燃料の噴射
タイミングが進む(進角する)。
【0044】図4は、エンジンの回転数に対する燃料噴
射量の関係を示すN−Q特性図であって、コントロール
ラック5の位置を固定した各負荷状態での特性を示す。
図示のように低回転・高負荷状態の始動時においては、
コントロールラック5の移動に対して、燃料の噴射量が
増加する。
【0045】図5は、N−Q特性図において示すタイミ
ングマップである。図示のように始動時および高速時と
もに進角特性を得ることが可能となる。
【0046】また、上部メインリード20を形成するこ
とにより、プランジャ7の上端縁7Aが上端縁20Aに
比較して上方に位置することになるため、定格高負荷よ
りも始動時に進角すると同時に噴射量を増加することも
可能であるが、始動時の噴射量増加の必要がないときに
は、始動時噴射量制限用切欠き19を形成しておくこと
により対応可能である。
【0047】かくして、サブポート15を有するプリフ
ロー効果のプランジャ7を用いるとともに、上部メイン
リード20および上部サブリード21を適正位置に形成
したので、高速進角と始動時進角との両立を実現可能で
ある。
【0048】なお、始動時において高速・高負荷時より
もさらに進角させたい場合には、始動時でのメインポー
ト14およびサブポート15に対向してプランジャ7の
上端縁7Aをさらに上方に形成すればよい。
【0049】さらに、叙上の第一の実施例では、低負荷
時および高負荷時においてともにメインポート14に対
向して上部メインリード20を、またサブポート15に
対向して上部サブリード21をそれぞれ形成した場合を
示したが、低負荷時に進角するように上部メインリード
および上部サブリードの相対位置を選択する(第二の発
明)、あるいは高負荷時に進角するように上部メインリ
ードおよび上部サブリードの相対位置を選択する(第三
の発明)こともできる。
【0050】まず、低負荷時に進角するように上部メイ
ンリードおよび上部サブリードを形成する実施例につい
て述べるが、その前に、プリフロー効果のプランジャを
有する燃料噴射ポンプとして図6に示すようなものを考
える。
【0051】以下、図1ないし図5と同様の部分には同
一符号を付し、その詳述はこれを省略して説明する。
【0052】図6はこの燃料噴射ポンプの要部縦断面
図、図7はそのリード展開図、図8は標準的な燃料噴射
ポンプのN−Q特性図、図9はプリフロー効果のプラン
ジャを有する燃料噴射ポンプのN−Q特性図、図10は
プリフロー効果のプランジャ7を有する燃料噴射ポンプ
のタイミングマップである。
【0053】図6および図7に示すように、上部サブリ
ード21は常用時および始動時にわたってサブポート1
5と対向可能である。
【0054】なお、以下の説明および図面において、
「常用時」とは、アイドリング等の低速回転から高速回
転およびハイアイドリング(高速・高負荷の定格回転領
域をこえたときにガバナーにより燃料噴射量を低下させ
ること)を含む、始動時以外の低負荷時および高負荷時
を示す。
【0055】図8に示すように、プリフロー効果のプラ
ンジャを装備していない標準的な燃料噴射ポンプにおい
ては、負荷の高低にかかわらず、回転数に対してほぼ一
定の燃料噴射量を確保している。
【0056】しかしながら、プリフロー効果のプランジ
ャでは、図9に示すように、N−Q特性が右上がり(同
一コントロールラック5の位置において高速側で噴射量
が増加する)となり、とくに高負荷(全負荷)のトルク
カーブをガバナーにより制御することができないエンジ
ンにとっては、大きな欠点となる。
【0057】なお、既述のように、プリフロー効果のプ
ランジャを有する燃料噴射ポンプ(図6)においては、
図10のタイミングマップに示すように、高負荷および
低負荷において回転数が上昇するにしたがってそのプリ
フロー効果により高速側でタイミングが進角する。
【0058】こうした図9に示すようなN−Q特性の右
上がりを回避し、高負荷のN−Q特性を標準的な燃料噴
射ポンプ並みにフラットにするためには、低負荷時にお
いて進角するように上部メインリードおよび上部サブリ
ードを形成した実施例(図11、図12、および図1
3)を採用する。
【0059】図11は、本発明の第二の実施例における
リード展開図であって、この実施例では図示のように、
常用時の、低負荷時においてはメインポート14に段差
形状の上部メインリード22の低負荷時側上端縁22A
を対向させてある。
【0060】この低負荷時側上端縁22Aは、プランジ
ャ7の上端縁7Aより始動進角ストローク分だけ低い位
置にこれを形成してある。
【0061】また高負荷時のメインポート14には、上
部メインリード22の高負荷時側上端縁22Bを対向さ
せてある。
【0062】さらに、低負荷時および高負荷時のサブポ
ート15には前記上部サブリード21をそれぞれ対向さ
せてある。
【0063】この上部サブリード21および高負荷時側
上端縁22Bは、低負荷時側上端縁22Aよりプリフロ
ーストローク分だけ低い位置にこれを形成してある。
【0064】始動時には、メインポート14およびサブ
ポート15にプランジャ7の上端縁7Aをそれぞれ対向
させてある。
【0065】図12は、本発明の第三の実施例における
リード展開図であって、図示のように第二の実施例を一
部変更したものであり、サブポート15側の構成は同一
であるが、前記上部メインリード22の低負荷時側上端
縁22Aはこれを形成せず、低負荷時および高負荷時に
メインポート14が対向するように傾斜状の上部メイン
リード23を形成してある。
【0066】ただしこの上部メインリード23は、低負
荷から高負荷に向かって下方に傾斜している傾斜上端縁
23Aを有する。
【0067】図13は、本発明の第四の実施例における
リード展開図であって、図示のように第二および第三の
実施例を一部変更したものであり、上部メインリード2
2の低負荷時側上端縁22Aおよび高負荷時側上端縁2
2Bはこれらを形成しているが、傾斜上端縁23Aと同
様の傾斜上端縁22Cを形成するとともに、上部サブリ
ード21の上端縁21Aを高負荷時側上端縁22Bより
高く形成してある。
【0068】図11、図12、および図13の各実施例
のように構成することにより、高負荷時において、低負
荷時よりも有効ストロークが長くなるため、低速回転で
あっても噴射量が増加し、図14に示すように、高負荷
でのN−Q特性を標準的な燃料噴射ポンプ並み(図8)
とすることができる。
【0069】噴射量については、中負荷時も高負荷時と
同様にある程度改善されるが、低負荷時にメインポート
14が上部メインリード22の低負荷時側上端縁22A
(あるいは図12の第三の実施例では傾斜上端縁23
A)に係合してもサブポート15が上部サブリード21
の上方に位置するため、図15のタイミングマップに示
すように、プリフロー効果による進角は高負荷ではなく
なり、低負荷時の側でプリフローストロークが最大とな
り、高速・低負荷時に最大の進角が得られ、低負荷時に
おいてのみ、プリフロー効果のプランジャを有する燃料
噴射ポンプと同様に、進角することができる。
【0070】なお始動時においては、メインポート14
およびサブポート15がプランジャ7の上端縁7Aによ
り閉鎖されることとなるので、低負荷時および高負荷時
によりもさらに進角する。
【0071】たとえば、アングライヒカットを形成した
デリバリバルブ8とプリフロー効果のプランジャとの組
み合わせによる従来の燃料噴射ポンプでは、低負荷での
進角特性を犠牲として高負荷のN−Q特性を改善しよう
とするものであるが、こうした実施例によれば、低負荷
でのプリフロー効果による進角特性を犠牲とせずに、図
14に示すように高負荷のN−Q特性を、標準的な燃料
噴射ポンプ並みにフラットにすることができる。
【0072】かくして、プリフロー効果によるアイドリ
ング音の低減、ハイアイドリングの失火および青白煙の
防止を可能とするとともに、高負荷のN−Q特性のフラ
ット化による適正トルク(低速トルクの向上)が可能と
なる。
【0073】なお、図12に示した本発明の第三の実施
例、および図13に示した第四の実施例のように、傾斜
した上部メインリード23、あるいは上部サブリード2
2部分に傾斜上端縁22Cを形成するような場合には、
この上部メインリード23や傾斜上端縁22Cの傾斜の
程度や方向を調整することにより、低負荷時から高負荷
時にいたる領域あるいは低速から高速にいたる領域での
進角度を制御することができる。
【0074】図9にもとづき前述したN−Q特性の右上
がりを回避し、高負荷のN−Q特性を標準的な燃料噴射
ポンプ並みにフラットにすることができる他の実施例を
図16ないし図18を示す(第三の発明)。
【0075】図16は、本発明の第五の実施例における
リード展開図であって、この実施例では図示のように、
メインポート14には低負荷時および高負荷時ともに上
部メインリード20を対向させてある。
【0076】サブポート15には、段差形状の上部サブ
リード24を対向させてあるが、低負荷時にはその低負
荷時側上端縁24Aに、高負荷時にはその高負荷時側上
端縁24Bにそれぞれ対向させてある。
【0077】なお始動時には、メインポート14および
サブポート15ともにプランジャ7の上端縁7Aに対向
させてある。
【0078】図17は、本発明の第六の実施例における
リード展開図であって、図示のように上部サブリード2
4の高負荷時側上端縁24Bの代わりに傾斜上端縁24
Cを形成するとともに、高負荷時においてサブポート1
5をプランジャ7の上端縁7Aに対向させてある。
【0079】図18は、本発明の第七の実施例における
リード展開図であって、図示のようにサブポート15を
傾斜状の上部サブリード25に対向させてある。
【0080】この上部サブリード25は、低負荷側から
高負荷側に向かって上方に傾斜する傾斜上端縁25Aを
有する。
【0081】図16ないし図18の各実施例のように構
成することにより、図11ないし図13の実施例と同様
に、高負荷時において、低負荷時よりも有効ストローク
が長くなるため、噴射量が増加し、図14に示すよう
に、高負荷でのN−Q特性を標準的な燃料噴射ポンプ並
み(図8)とすることができる。
【0082】噴射量については、中負荷時も高負荷時と
同様にある程度改善されるが、低負荷時にメインポート
14が上部メインリード20の上端縁20Aに係合して
もサブポート15が上部サブリード24、25の上方に
位置するため、低負荷側でプリフローストロークが最大
となる。
【0083】また、高負荷時ではメインポート14およ
びサブポート15がともに、上部サブリード24の低負
荷時側上端縁24Aより上方の高負荷時側上端縁24B
や傾斜上端縁24C(あるいは図18の第七の実施例で
は傾斜上端縁25Aのより右上方の位置)に対向可能で
あり、低負荷時と同様に、進角することができる。
【0084】したがって、図19のタイミングマップに
示すように、高速・低負荷、高速・高負荷、および低速
・高負荷において最大の進角が得られ、プリフロー効果
による進角を確保可能である。
【0085】なお始動時においては、メインポート14
およびサブポート15がプランジャ7の上端縁7Aによ
り閉鎖されることとなるので、低負荷時および高負荷時
によりもさらに進角する。
【0086】したがって、図19に示すようにタイミン
グマップにおいては、高負荷時のタイミングが、ハイア
イドリングのタイミングと同じで進角する点が図15の
タイミングマップとは異なる。
【0087】こうした各実施例によっても、低負荷での
プリフローによる進角特性を犠牲とせずに、高負荷のN
−Q特性を標準的な燃料噴射ポンプ並みにフラットにす
ることができる(図14参照)。
【0088】かくして、プリフロー効果によるアイドリ
ング音の低減、ハイアイドリングの失火および青白煙の
防止を可能とするとともに、高負荷のN−Q特性のフラ
ット化による適正トルク(低速トルクの向上)が可能と
なるとともに、定格高負荷のタイミングの進角により、
出力を向上可能であり、また低速高負荷のタイミングの
進角によりトルクを向上可能である。
【0089】本発明における噴射タイミングを任意に選
択可能な実施例についてさらに説明する。
【0090】図20は、本発明の第八の実施例における
リード展開図であって、図示のように、メインポート1
4を傾斜状の上部メインリード26に対向させてある。
【0091】上部メインリード26は、低負荷側から高
負荷側に向かって上方に傾斜する傾斜上端縁26Aを有
する。
【0092】この実施例においては、高負荷側でプリス
トロークが最大となり、高速・高負荷で最大の進角を得
ることができる。
【0093】ただし、低負荷時にはメインポート14が
傾斜上端縁26Aの左下方に位置することとなるので、
燃料噴射のタイミングは遅角する。
【0094】したがって、図21のタイミングマップに
示すように、高速・高負荷時においてのみ進角特性を得
ることができる。
【0095】なお始動時には、メインポート14および
サブポート15がプランジャ7の上端縁7Aにより閉鎖
されることとなるので、高負荷時によりもさらに進角す
る。
【0096】図22は、本発明の第九の実施例における
リード展開図であって、図示のように、サブポート15
を傾斜状の上部サブリード27に対向させてある。
【0097】上部サブリード27は、上部メインリード
20の上端縁20Aと同一位置の低負荷時側上端縁27
Aと、低負荷側から高負荷側に向かって下方に傾斜する
傾斜上端縁27Bと、高負荷時側上端縁27Cとを有す
る。
【0098】この実施例においては、高負荷側でプリス
トロークが最大となり、高速・高負荷で最大の進角を得
ることができる。
【0099】また低負荷時においても、低負荷時側上端
縁27Aが上部サブリード27の最上位置にあるので、
進角可能である。
【0100】ただし、低速・高負荷時には、最下方位置
にある高負荷時側上端縁27Cにサブポート15が対向
することとなるので、燃料噴射のタイミングは遅角す
る。
【0101】したがって、図23のタイミングマップに
示すように、高速・高負荷時および低負荷時において進
角特性を得ることができる。
【0102】なお本発明においては、低負荷から高負荷
にいたる傾斜上端縁の傾斜度を選択することによりタイ
ミングマップにおける進角度の程度を制御することがで
きる。
【0103】図24は、本発明の第十の実施例における
リード展開図であって、図示のように、メインポート1
4を低負荷時にプランジャ7の上端縁7Aに対向させる
とともに、高負荷時には傾斜状の上部メインリード28
に対向させてある。
【0104】上部メインリード28は、低負荷側から高
負荷側に向かって下方に傾斜する傾斜上端縁28Aを有
する。
【0105】ただし、この傾斜上端縁28Aの最下方端
は、上部サブリード21の上端縁21Aと同一位置では
なく、それよりも所定高さだけ高い位置にこれを設けて
ある。
【0106】この実施例においては、低負荷側でプリス
トロークが最大となり、高速・低負荷で最大の進角を得
ることができる。
【0107】また高負荷時においても、傾斜上端縁28
Aの下方への傾斜角度が小さいので、メインポート14
が比較的早く傾斜上端縁28Aと係合可能であるため、
進角可能ではあるが、その進角度は、図25のタイミン
グマップに示すように高速・低負荷時よりも小さいもの
となる。
【0108】なお低速時には、低負荷・高負荷にかかわ
らず、メインポート14が上部メインリード28と係合
しても、サブポート15が上端縁21Aより上方に位置
するので、燃料噴射のタイミングは遅角する。
【0109】かくして本発明においては、サブポート1
5を有するプリフロー効果のプランジャ7を用いるとと
もに、上部メインリードおよび上部サブリードを適正位
置に形成したので、高速進角および負荷によるタイミン
グの選択と、始動時進角との両立を実現可能である。
【0110】叙上の各実施例で説明した本発明(第一な
いし第三の発明)においては、たとえば図5のようなタ
イミングマップに示すように、エンジンの回転数と、燃
料の噴射量ないしは負荷との関係の二次元的な領域にお
いて燃料噴射の進角および遅角を制御することができ、
各種エンジンからの要請に応じて必要な進角あるいは遅
角を得ることが可能である。
【0111】つぎに、上部サブリードと前記カム4のカ
ムプロフィールとの関係について述べる(第四の発
明)。
【0112】前述の実開昭56−145666号におい
ては、小径のサブポートにより、プリフロー効果を持た
せ、高速でのタイミングを進角させる点に特徴がある
が、進角特性とカムプロフィールとの関係については触
れていない。
【0113】カム4をそのプロフィールで分類すれば、
図26に示すアークカム30、図27に示す接線カム3
1および図28に示すグライヒカム32(アークカム3
0と接線カム31との組み合わせ)がある。
【0114】図29は、アークカム30、接線カム31
およびグライヒカム32のカム角度に対するカム速度の
関係をそれぞれ示すグラフ、図30はカム角度に対する
プランジャ7のリフトの関係を示すグラフである。
【0115】図30に示すように、接線カム31および
グライヒカム32(とくに接線カム31)では、カム角
度に対するプランジャ7のリフトの勾配が大きいため
に、メインポート14が閉鎖されてからサブポート15
が閉鎖されるまでのプリフローストロークに対しての進
角特性が有効に得られていない。
【0116】なお、カム角度とカム速度との関係を示す
グラフで示せば、図31および図32に示すように、同
一のプリフローストロークでは、アークカム30の方が
接線カム31に比較して進角量が大きい。
【0117】また、図示のように、接線カム31の場合
には、アークカム30に比較してメインポート14の閉
鎖時点のカム速度が大きい。
【0118】一般的に、接線カム31の場合にはその接
線部31A(図27)にメインポート14およびサブポ
ート15の閉鎖部分があり、カム速度としては1.0m
m/deg以上がメインポート14の閉鎖時点となって
いる。
【0119】したがって本発明においては、アークカム
30のアーク部30A(図26)にメインポート14の
閉鎖時点を設け、カム速度を0.85mm/deg以下
とするとともに、既述のようなサブポート15付きのプ
リフロー効果を有するプランジャ7を採用する。
【0120】なお、こうした低速度カムはアークカム3
0に限定せず、メインポート14の閉鎖時点を、カム速
度が0.85mm/deg以下とするものであればよ
い。
【0121】以下に、カム角度とカム速度との関係を示
すグラフにより、本発明における低速のカム速度を有す
る各種のカムプロフィールの例を示す。
【0122】図33は、カムプロフィールの第一の例を
示すグラフである。図34は、カムプロフィールの第二
の例を示すグラフである。図35は、カムプロフィール
の第三の例を示すグラフである。図36は、カムプロフ
ィールの第四の例を示すグラフである。図37は、カム
プロフィールの第五の例を示すグラフである。図38
は、カムプロフィールの第六の例を示すグラフである。
いずれの例においてもメインポート14の閉鎖時点は、
カム速度が0.85mm/deg以下とするものであ
【0123】かくして本発明によれば、低速度カムプロ
フィールとサブポート15付きプリフロー効果のプラン
ジャ7、望ましくはさらに上部サブリード付きのプラン
ジャ7との組み合わせにより、メインポート14閉鎖の
時点のカム速度を下げて、効率の良い進角特性を得るこ
とができる。
【0124】すなわち、プランジャ7の下降によってメ
インポート14およびサブポート15から燃料の吸入が
開始され、プランジャ7の下死点でのメインポート14
の開口面積によって燃料圧室13への燃料のチャージが
決定され、プリストロークが小さすぎるとメインポート
14の開口面積が少なくなり、燃料圧室13への燃料の
チャージが十分ではないままに燃料の圧送が開始される
こととなり、燃料圧室13内の圧力の上昇が遅れるた
め、燃料の噴射が安定せず、タイミングが遅れ、噴射量
が減少するなどの不都合が生ずる。
【0125】したがって、メインポート14の閉鎖を低
速度に下げることはカムプロフィールによらなければな
らず、既述のように同一プリフローストロークでは、進
角量を大きく取ることができる。あるいは同一進角では
プリフローストロークは小さくても良い。つまり、両者
の比(進角量/プリフローストローク)を大きく取るこ
とができる。
【0126】つぎに、プランジャ7の周面に形成した前
記傾斜リード18の形状について述べる(第五の発
明)。
【0127】たとえば図6に示した、サブポート15付
きのプリフロー効果のプランジャ7においては、高速回
転時において前記噴射管16内の残圧を安定的に維持す
るために、ダンピングバルブ(図示せず)を設けた、あ
るいはアングライヒカット(図示せず)付きの、あるい
はまた等圧弁(図示せず)付きのデリバリバルブ8とす
ることが考えられる。
【0128】ダンピングバルブを用いた構成としては、
デリバリバルブ8の上部にデリバリバルブスプリングと
は別にダンピングバルブを設け、燃料の吐出を緩やかに
するものである。
【0129】しかしながら、こうしたダンピングバルブ
による効果はエンジンの回転全域において働き、とくに
効果のある高速回転域では、高負荷でも低負荷でも燃料
の吐出を悪化させる問題がある。
【0130】とくに高速回転・高負荷では、燃料の噴射
期間が長くなり、スモークの悪化などの問題がある。
【0131】またアングライヒカット付きのデリバリバ
ルブ8においては、低速回転・低負荷における残圧の上
昇が大きく、図39のタイミングマップに示すように、
高速回転・低負荷のタイミングよりも、低速回転・低負
荷の方がより進角するという問題がある。
【0132】したがって、図6のようなサブポート15
付きプリフロー効果のプランジャ7では、残圧を安定的
に得るために、ダンピングバルブ、あるいはアングライ
ヒカット付きデリバリバルブ8とした場合には、これら
のかかえる問題も含んでしまうために、にわかには採用
することが困難である。
【0133】さらに等圧弁は、その構造が複雑でコスト
大となる問題がある。
【0134】こうした問題を解決するために本発明にお
いては、図40および図41に示すように、傾斜リード
18の深さを一様ではなく、その一部に部分的な段部を
形成することとする。
【0135】すなわち、図40はプランジャ7の周面を
示す側面展開図、図41は図40のXXXXI−XXX
XI線断面図であって、傾斜リード18の低負荷側のス
ピル側のみをより浅い段部リード33に形成した部分二
段傾斜リード34とする。
【0136】こうした構成のプランジャ7とすれば、と
くに高速回転・低負荷時においてプランジャ7の上昇に
ともない、メインポート14がまず比較的浅い段部リー
ド33に連通するため、噴射管16側からの燃料のスピ
ル速度が小さく、急激に残圧が低下せずにこれを安定さ
せることが可能であり、高速回転・低負荷時のプリフロ
ー効果による進角をより大きく得ることができるととも
に、噴射を安定させることができる。
【0137】なお、段部リード33の形成領域を選択す
ることにより負荷域を選択して残圧を制御し、サブポー
ト15付きのプランジャ7と組み合わせることによっ
て、安定した大きなプリフロー効果による進角を得るこ
とができる。
【0138】したがって、アイドリングタイミングを遅
らせ、アイドリング音および窒素酸化物の低減が可能
で、ハイアイドリングの冷寒時、失火および青白煙の防
止、さらには、低負荷域で噴射期間が延び、音と窒素酸
化物の低減に効果がある。
【0139】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、サブポー
ト付きのプリフロー効果を有するプランジャとしたの
で、高速進角および始動時進角の両立を可能とするとと
もに、必要に応じて上部メインリードおよび上部サブリ
ード等の形成位置ないし範囲を選択し、各種の噴射タイ
ミングを選択可能で、カムのカムプロフィール、部分二
段傾斜リードとの組み合わせにより燃料噴射ポンプ特性
を向上させることが可能である。
【0140】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例による燃料噴射ポンプ1
の縦断面図である。
【図2】同、燃料噴射ポンプ1の要部縦断面図である。
【図3】同、プランジャ7の頭部のリード展開図であ
る。
【図4】同、エンジンの回転数に対する燃料噴射量の関
係を示すN−Q特性図である。
【図5】同、N−Q特性図において示すタイミングマッ
プである。
【図6】プリフロー効果のプランジャ7を有する燃料噴
射ポンプの要部縦断面図である。
【図7】同、リード展開図である。
【図8】プリフロー効果のプランジャ7を有していない
標準的な燃料噴射ポンプのN−Q特性図である。
【図9】プリフロー効果のプランジャ7を有する燃料噴
射ポンプのN−Q特性図である。
【図10】プリフロー効果のプランジャ7を有する燃料
噴射ポンプのタイミングマップである。
【図11】本発明の第二の実施例におけるリード展開図
である。
【図12】本発明の第三の実施例におけるリード展開図
である。
【図13】本発明の第四の実施例におけるリード展開図
である。
【図14】同、第二、第三、第四の実施例のN−Q特性
図である。
【図15】同、タイミングマップである。
【図16】本発明の第五の実施例におけるリード展開図
である。
【図17】本発明の第六の実施例におけるリード展開図
である。
【図18】本発明の第七の実施例におけるリード展開図
である。
【図19】同、第五、第六、第七の実施例のタイミング
マップである。
【図20】本発明の第八の実施例におけるリード展開図
である。
【図21】同、タイミングマップである。
【図22】本発明の第九の実施例におけるリード展開図
である。
【図23】同、タイミングマップである。
【図24】本発明の第十の実施例におけるリード展開図
である。
【図25】同、タイミングマップである。
【図26】アークカム30の側面図である。
【図27】接線カム31の側面図である。
【図28】グライヒカム32の側面図である。
【図29】アークカム30、接線カム31およびグライ
ヒカム32のカム角度に対するカム速度の関係をそれぞ
れ示すグラフである。
【図30】アークカム30および接線カム31のカム角
度に対するプランジャ7のリフトの関係を示すグラフで
ある。
【図31】アークカム30の、カム角度とカム速度との
関係を示すグラフである。
【図32】接線カム31の、カム角度とカム速度との関
係を示すグラフである。
【図33】本発明におけるカム4のカムプロフィールの
第一の例を示すグラフである。
【図34】同、カムプロフィールの第二の例を示すグラ
フである。
【図35】同、カムプロフィールの第三の例を示すグラ
フである。
【図36】同、カムプロフィールの第四の例を示すグラ
フである。
【図37】同、カムプロフィールの第五の例を示すグラ
フである。
【図38】同、カムプロフィールの第六の例を示すグラ
フである。
【図39】従来のアングライヒカット付きのデリバリバ
ルブ8のN−Q特性図において示すタイミングマップで
ある。
【図40】本発明における部分二段傾斜リード34を形
成したプランジャ7の周面を示す側面展開図である。
【図41】図40のXXXXI−XXXXI線断面図で
ある。
【符号の説明】
1 燃料噴射ポンプ 2 ポンプハウジング 3 カム軸 4 カム 5 噴射量のコントロールラック 6 プランジャバレル 7 プランジャ 7A プランジャ7の上端縁 7B プランジャ7の上端縁 8 デリバリバルブ 9 デリバリバルブホルダー 10 タペットローラー 11 噴射量のコントロールスリーブ 12 燃料溜まり室 13 燃料圧室 14 メインポート(燃料吸排孔) 14A メインポート14の上端縁 15 サブポート(燃料吸排孔) 15A サブポート15の上端縁 16 噴射管 17 縦方向燃料通路 18 傾斜リード 19 始動時噴射量制限用切欠き 20 上部メインリード 20A 上部メインリード20の上端縁 21 上部サブリード 21A 上部サブリード21の上端縁A 22 上部メインリード 22A 上部メインリード22の低負荷時側上端縁 22B 上部メインリード22の高負荷時側上端縁 22C 上部メインリード22の傾斜上端縁 23 傾斜状の上部メインリード 23A 上部メインリード23の傾斜上端縁 24 上部サブリード 24A 上部サブリード24の低負荷時側上端縁 24B 上部サブリード24の高負荷時側上端縁 24C 上部サブリード24の傾斜上端縁 25 傾斜状の上部サブリード 25A 上部サブリード25の傾斜上端縁 26 傾斜状の上部メインリード 26A 上部メインリード26の傾斜上端縁 27 傾斜状の上部サブリード 27A 上部サブリード27の低負荷時側上端縁 27B 上部サブリード27の傾斜上端縁 27C 上部サブリード27の高負荷時側上端縁 28 傾斜状の上部メインリード 28A 上部メインリード28の傾斜上端縁 30 アークカム 30A アークカム30のアーク部 31 接線カム 31A 接線カム31の接線部 32 グライヒカム 33 より浅い段部リード 34 部分二段傾斜リード L1 上部サブリード21の深さないし高さ(低速に対
する始動進角段差) L2 上部メインリード20の深さないし高さ(高速に
対する始動進角段差) L3 プリフローストロークすなわち進角段差(L1−
L2)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 細谷 佳範 埼玉県東松山市箭弓町3丁目13番26号 株式会社ゼクセル 東松山工場内 (56)参考文献 特開 昭62−291465(JP,A) 実開 昭48−23816(JP,U) 実開 昭63−200667(JP,U) 特公 昭47−29209(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02M 59/26 310

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポンプハウジングと、 このポンプハウジングに取り付けるとともに、燃料溜ま
    り室に連通する燃料の吸排孔を形成したプランジャバレ
    ルと、 このプランジャバレル内に往復摺動可能かつ回動可能に
    挿入するとともに、前記吸排孔に連通可能な位置に傾斜
    リードを形成したプランジャとを有し、 このプランジャと前記プランジャバレルとの間に燃料圧
    室を形成するとともに、 このプランジャの往復摺動により、前記燃料溜まり室か
    らこの燃料圧室内に燃料を吸い込み、圧送する燃料噴射
    ポンプであって、 前記プランジャバレルに前記吸排孔として、より大きい
    直径のメインポートおよびより小さい直径のサブポート
    を、このサブポートの上端縁が前記メインポートの上端
    縁以下となるように形成し、 前記プランジャの頭部には、該プランジャの回動にとも
    なう所定範囲にわたってこのサブポートに連通可能な上
    部サブリードと、前記メインポートに連通可能な上部メ
    インリードとを形成し、かつ前記プランジャの回動にと
    もなう所定範囲の中で前記メインポートが前記上部メイ
    ンリードの上端縁により閉鎖されても、前記サブポート
    が前記上部サブリードに連通可能となるように当該上部
    メインリードおよび上部サブリードを形成し、かつまた
    低負荷時における前記プランジャの回動位置では、前記
    メインポートが前記上部メインリードの上端縁により閉
    鎖されても、前記サブポートが前記上部サブリードと連
    通可能とし、 高負荷時における前記プランジャの回動位置では、前記
    上部メインリードの上端縁により前記メインポートを閉
    鎖可能とするとともに、前記上部サブリードの上端縁に
    より前記サブポートを閉鎖可能とし、さらに始動時にお
    ける前記プランジャの回動位置では、前記上部メインリ
    ードを形成していない前記プランジャの上端縁により前
    記メインポートを閉鎖可能とするとともに、前記上部サ
    ブリードを形成していない前記プランジャの上端縁によ
    り前記サブポートを閉鎖可能としたことを特徴とする燃
    料噴射ポンプ。
  2. 【請求項2】 ポンプハウジングと、 このポンプハウジングに取り付けるとともに、燃料溜ま
    り室に連通する燃料の吸排孔を形成したプランジャバレ
    ルと、 このプランジャバレル内に往復摺動可能かつ回動可能に
    挿入するとともに、前記吸排孔に連通可能な位置に傾斜
    リードを形成したプランジャとを有し、 このプランジャと前記プランジャバレルとの間に燃料圧
    室を形成するとともに、 このプランジャの往復摺動により、前記燃料溜まり室か
    らこの燃料圧室内に燃料を吸い込み、圧送する燃料噴射
    ポンプであって、 前記プランジャバレルに前記吸排孔として、より大きい
    直径のメインポートおよびより小さい直径のサブポート
    を、このサブポートの上端縁が前記メインポートの上端
    縁以下となるように形成し、 前記プランジャの頭部には、該プランジャの回動にとも
    なう所定範囲にわたってこのサブポートに連通可能な上
    部サブリードと、前記メインポートに連通可能な上部メ
    インリードとを形成し、かつ前記プランジャの回動にと
    もなう所定範囲の中で前記メインポートが前記上部メイ
    ンリードの上端縁により閉鎖されても、前記サブポート
    が前記上部サブリードに連通可能となるように当該上部
    メインリードおよび上部サブリードを形成し、かつまた
    低負荷時における前記プランジャの回動位置では、前記
    上部メインリードの上端縁により前記メインポートを閉
    鎖可能とするとともに、前記上部サブリードの上端縁に
    より前記サブポートを閉鎖可能とし、 高負荷時における前記プランジャの回動位置では、前記
    メインポートが前記上部メインリードの上端縁により閉
    鎖されても、前記サブポートが前記上部サブリードと連
    通可能とし、さらに始動時における前記プランジャの回
    動位置では、前記上部メインリードを形成していない前
    記プランジャの上端縁により前記メインポートを閉鎖可
    能とするとともに、前記上部サブリードを形成していな
    い前記プランジャの上端縁により前記サブポートを閉鎖
    可能としたことを特徴とする燃料噴射ポンプ。
JP26407492A 1992-09-08 1992-09-08 燃料噴射ポンプ Expired - Lifetime JP3200805B2 (ja)

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