JP3199789B2 - 車両のスリップ制御装置 - Google Patents

車両のスリップ制御装置

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JP3199789B2 JP27063891A JP27063891A JP3199789B2 JP 3199789 B2 JP3199789 B2 JP 3199789B2 JP 27063891 A JP27063891 A JP 27063891A JP 27063891 A JP27063891 A JP 27063891A JP 3199789 B2 JP3199789 B2 JP 3199789B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両のスリップ制御装
置、特に、駆動輪の路面に対するスリップ率が所定値以
上になったとき駆動輪の駆動力を制御するスリップ制御
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両加速時等においては、駆動輪が過大
な駆動力によってスリップし、これにより加速性が低下
してしまうことがある。このため従来より、駆動輪の路
面に対するスリップ率が所定値以上になったとき、この
スリップ率を所定の目標スリップ率に近づけるよう駆動
輪の駆動力を制御する、いわゆるトラクション制御を行
うスリップ制御装置が提案されている。
【0003】さらに、車両の旋回走行時には直進走行時
に比して駆動輪にスリップが発生しやすくなることか
ら、特開平1−130019号公報には、車両の横加速
度により旋回走行にあることを検出し、この横加速度の
増大に応じてトラクション制御における制御開始用閾値
を減少補正することにより、大きなスリップの発生を未
然に防止するようにしたスリップ制御装置が提案されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のスリップ制御装置においては、次のような問題があ
る。すなわち、車両の横加速度は、車速の自乗に比例し
て増大するので、車速が大きくなると、たとえ舵角が小
さくても横加速度は非常に大きな値となる。このため、
実際には大きなスリップが発生するおそれがほとんどな
い小舵角時であっても、トラクション制御における制御
開始用閾値は必要以上に減少補正され、その結果駆動力
の低下が生じるので、運転者に失速感を与えてしまうこ
ととなる。このような問題は、上記制御開始用閾値の代
わりに制御目標値を減少補正するようにした場合にも同
様に生じる問題である。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、不必要な減少補正による駆動力の低下
を防止して適切なトラクション制御を行うことができる
車両のスリップ制御装置を提供することを目的とするも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る車両のスリ
ップ制御装置は、所定の設定車速以上の車速領域ではト
ラクション制御における制御目標値または制御開始用閾
値の減少補正を制限することにより、上記目的達成を図
るようにしたものである。
【0007】すなわち、請求項1に記載したように、ま
た、図1に示すように、駆動輪の路面に対するスリップ
率が所定値以上になったとき、上記スリップ率を所定の
目標スリップ率に近づけるよう上記駆動輪の駆動力を制
御する駆動力制御手段(A)と、車両の横加速度の増大
に応じて上記駆動力制御手段(A)の制御目標値を減少
補正する補正手段(B)と、を備えた車両のスリップ制
御装置において、上記補正手段(B)は、車両の横加速
度が大きいほど、上記駆動力制御手段の制御目標値が
さくなるように、該制御目標値を車両の横加速度に応じ
た補正係数により減少補正するものであり、所定の設定
車速以上の車速領域であってかつステアリング舵角が所
定の小舵角値よりも小さいときに、上記補正係数を一定
値とすることにより、上記補正手段による減少補正を制
限する補正制限手段(C)を備えていることを特徴とす
るものである。
【0008】また、請求項2に記載したように、上記補
正手段は、車両の横加速度が大きいほど、上記駆動力制
御手段の制御開始用閾値が小さくなるように、該制御開
始用閾値を車両の横加速度に応じた補正係数により減少
補正するものとしてもよい。
【0009】上記「駆動力制御手段」は、特定の制御手
段に限定されるものではなく、例えば、エンジン出力を
制限することにより、あるいは駆動輪に制動力を作用さ
せることにより、さらにはこれら両者により、駆動力の
制御を行うようにすることができる。
【0010】
【発明の作用および効果】上記構成に示すように、請求
項1記載の発明によれば、補正手段により車両の横加速
度の増大に応じて駆動力制御手段の制御目標値が減少補
正されるようになっているので、車両旋回走行時に大き
なスリップが発生するのを未然に防止することができ
る。しかも、この減少補正は、所定の設定車速よりも低
い車速領域か、又は該設定車速以上の車速領域であって
かつステアリング舵角が所定の小舵角値以上かのいずれ
か一方のときにそのまま行われる一方、上記設定車速以
上の車速領域であってかつステアリング舵角が上記小舵
角値よりも小さいときには補正制限手段により制限され
るようになっているので、実際にはスリップが発生する
おそれがほとんどない小舵角時等に必要以上に減少補正
されてしまうのを未然に防止することができる。
【0011】また、請求項2記載の発明によれば、補正
手段により車両の横加速度の増大に応じて駆動力制御手
段の制御開始閾値が減少補正されることで、上記請求項
1と同様の作用が得られる。
【0012】したがって、本発明によれば、不必要な減
少補正による駆動力の低下を防止して適切なトラクショ
ン制御を行うことができ、これにより、運転者に失速感
を与えるのを防止することができる。
【0013】
【実施例】以下、添付図面を参照しながら、本発明の実
施例について説明する。
【0014】図2は、本発明に係る車両のスリップ制御
装置の一実施例を示す構成概要図である。
【0015】図2に示すように、このスリップ制御装置
が設けられる車両は、左右の前輪1、2が従動輪、左右
の後輪3、4が駆動輪とされており、エンジン5の出力
トルクが変速機6からプロペラシャフト7、差動装置8
および左右の駆動輪9、10を介して左右の後輪3、4
に伝達されるようになっている。
【0016】そして、上記各車輪1〜4には、これらの
車輪1〜4と一体回転するディスク11a〜14aと、
制動圧の供給を受けて、これらのディスク11a〜14
aの回転を制動するキャリパ11b〜14bなどでなる
ブレーキ装置11〜14とがそれぞれ設けられており、
さらに、これらのブレーキ装置11〜14を制動操作さ
せるブレーキ制御システム15が設けられている。
【0017】このブレーキ制御システム15は、運転者
によるブレーキペダル16の踏込力を増大させる倍力装
置17と、この倍力装置17によって増大された踏込力
に応じた制動圧を発生させるマスターシリンダ18とを
有している。このマスターシリンダ18から導かれた前
輪用制動圧供給ライン19、20が左右の前輪1、2に
おけるブレーキ装置11、12のキャリパ11b、12
bにそれぞれ接続されている。そして、上記マスターシ
リンダ18で発生するブレーキペダル16の踏込力に応
じた制動圧が、各前輪用制動圧供給ライン19、20を
介して左右の前輪1、2におけるブレーキ装置11、1
2にダイレクトに供給され、これらの制動圧に応じた制
動力で前輪1、2がそれぞれ制動されるようになってい
る。
【0018】上記倍力装置17には、ポンプ21からの
作動圧を供給する作動圧供給ライン22と、該倍力装置
17で生じた余剰のブレーキオイルをリザーバタンクに
戻すリターンライン23とが接続されており、また、倍
力装置17から導かれた第1制動圧供給ライン24と、
上記作動圧供給ライン22のポンプ吐出側から分岐され
た第2制動圧供給ライン25とには、電磁式の第1、第
2開閉弁26、27がそれぞれ設置されている。第1制
動圧供給ライン24には、上記第1開閉弁26と並列に
逆流防止用のチェック弁28が設置されている。また、
上記第1、第2制動圧供給ライン24、25は点Xで合
流されて、その合流点Xから左右の後輪3、4における
ブレーキ装置13、14のキャリパ13b、14bに後
輪用制動圧供給ライン29、30が導かれている。これ
らの制動圧供給ライン29、30上には、電磁式の開閉
弁31、32とリリーフ弁33、34とがそれぞれ設置
されている。
【0019】一方、エンジン5の吸気通路35には運転
者によって操作されるアクセルペダル36に連結された
メインスロットル弁37と、スロットル開度調節アクチ
ュエータ38に連結されたサブスロットル弁39とが設
置されており、これらのスロットル弁37、39の開度
を調節することにより、エンジン5の吸入空気量が可変
制御されてエンジン出力が調節されるようになってい
る。
【0020】スリップ制御装置は、電子制御式のコント
ロールユニット(以下「ECU」という。)40を備え
ており、このECU40によりトラクション制御を行う
ようになっている。このトラクション制御は、駆動輪で
ある後輪3、4の路面に対するスリップ率が所定値以上
になったとき、上記スリップ率を所定の目標スリップ率
に近づけるよう各後輪3、4の駆動力を制御するもので
あるが、この駆動力の制御は、具体的には、エンジン出
力を制限すること(エンジン制御)および後輪3、4に
制動力を作用させること(ブレーキ制御)により行われ
るようになっている。
【0021】このECU40には、各車輪1〜4の回転
速度を検出する車輪速センサ41〜44からの信号と、
エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ45か
らの信号と、左後輪3のブレーキ装置13に通じる後輪
用制動圧供給ライン29における開閉弁31の下流側に
設置されて該ブレーキ装置13に供給される制動圧を検
出する第1圧力センサ46と、右後輪4のブレーキ装置
14に通じる後輪用制動圧供給ライン30における開閉
弁32の下流側に設置された該ブレーキ装置14に供給
される制動圧を検出する第2圧力センサ47と、上記ア
クセルペダル36の踏込量を検出するアクセルポジショ
ンセンサ48からの信号と、ステアリング舵角を検出す
る舵角センサ49からの信号とが入力されるようになっ
ており、ECU40は、これらの信号に基づいて、上記
ブレーキ制御システム15における開閉弁26、27、
31、32およびリリーフ弁33、34の作動と、上記
サブスロットル弁29の開度を調節する上記スロットル
開度調節アクチュエータ38の作動とを制御するように
なっている。
【0022】上記ECU40からの制御信号により、図
示のように、第1制動圧供給ライン24上の第1開閉弁
26が開き、第2制動圧供給ライン25上の第2開閉弁
27が閉じ、かつ後輪用制動圧供給ライン29、30上
の開閉弁31、32が開かれている場合には、倍力装置
17で発生されるブレーキペダル16の踏込力に応じた
制動圧が、第1制動圧供給ライン24を介して左右の後
輪3、4におけるブレーキ装置13、14に供給され、
これらの制動圧に応じた制動力で後輪3、4がそれぞれ
制動される。一方、ECU40は、ブレーキ制御による
トラクション制御を行う場合は、上記第1開閉弁26を
閉ざすと共に、第2開閉弁27を開動させる。したがっ
て、ポンプ21で発生される作動圧が倍力装置17を介
することなく、制動力として後輪用制動圧供給ライン2
9、30に供給される。
【0023】そして、上記各車輪速センサ41〜44か
らの信号により例えば左側の後輪3のスピン状態を検出
したとき、つまり従動輪である前輪1、2の回転速度を
平均した平均前輪速VFを基準として駆動輪である後輪
3の回転速度が大きいことを検出したときには、一方の
後輪用制動圧供給ライン29上の開閉弁31およびリリ
ーフ弁33をデューティ制御によって開閉することによ
り、スリップの状態に応じた制動圧で該後輪3に制動力
を付与する。なお、右側の後輪4のスピン状態が検出さ
れたときには、他方の後輪用制動圧供給ライン30上の
開閉弁32およびリリーフ弁34がデューティ制御によ
って開閉されて、スリップの状態に応じた制動圧で該後
輪4に制動力が付与されることになる。つまり、本実施
例においては、左右の後輪3、4に負荷される制動力が
独立して制御されるようになっている。
【0024】上記ECU40は、また、トラクション制
御における制御目標値および制御開始用閾値を決定する
ために必要な摩擦係数推定処理を行うようになってい
る。
【0025】この摩擦係数推定処理の概略を説明する
と、例えば左後輪3については次のようにして行われ
る。すなわち、ECU40は、上記車輪速センサ41、
42からの信号が示す左右の前輪1、2の回転速度から
求めた平均前輪速VFが所定の下限値VO(例えば5km
/h)より小さいか否かを判定し、平均前輪速VFが下
限値VO以上のときには、この平均前輪速VFとこれから
求めた前輪加速度AFとによって路面摩擦係数μLを推定
する。
【0026】ここで、路面摩擦係数μとしては、極低μ
路を示す1から高μ路を示す5までの5段階に区分され
た数値のどれかが選択されるようになっている。
【0027】一方、ECU40は、平均前輪速VFが上
記下限値VOよりも小さいと判定したときには、上記セ
ンサ43からの信号が示す左後輪速VRLから求めた後輪
加速度ARLが所定の基準値AO(例えば2G)を超えて
いるか否かを判定して、超えていると判定したときに
は、エンジン回転数センサ45からの信号が示すエンジ
ン回転数Nに応じた左後輪3についての路面摩擦係数μ
Lを推定するようになっている。一方、後輪加速度ARL
が上記基準値AOよりも小さいと判定したときには、路
面摩擦係数μLとして固定値(例えば3)を選択する。
【0028】なお、右後輪4についても同様にして路面
摩擦係数μRが推定されるようになっている。
【0029】ECU40によるトラクション制御は、左
右の後輪3、4ごとに独立して行われるようになってお
り、例えば左後輪3については次のようにして行われ
る。
【0030】すなわち、まず、ECU40は、予め路面
摩擦係数μLをパラメータとして設定したテーブルか
ら、エンジン制御開始用閾値SEOとエンジン制御目標値
Eとブレーキ制御開始用閾値SBOとブレーキ制御目標
値SBとを読み出す。
【0031】ここで、路面摩擦係数μとエンジン制御の
開始用閾値SEOおよび目標値SE、ブレーキ制御の開始
用閾値SBOおよび目標値SBとの関係を示すと表1のよ
うになる。なお、本実施例においては、エンジン制御開
始用閾値SEOはエンジン制御目標値SEと同じ値に設定
されており、ブレーキ制御開始用閾値SBOはブレーキ制
御目標値SBと同じ値に設定されている。
【0032】
【表1】
【0033】上記表1において各制御開始用閾値SEO
BOおよび各制御目標値SE、SBは、左後輪3の路面に
対するスリップ率に対応する値として設定されている。
【0034】ECU40は、上記車輪速センサ43から
の信号が示す左後輪速VRLおよび車輪速センサ41、4
2からの信号が示す平均前輪速VFから、次式(1)に
より左後輪3に対する第1スリップ率S1を算出する。
【0035】S1=(VRL−VF)/VRL …(1) ECU40は、この第1スリップ率S1が、図3に示す
ように、エンジン制御開始用閾値SEOを超えた時点(t
1)でエンジン制御を開始し、エンジン制御目標値SE
得られるようにスロットル開度調節アクチュエータ38
を介してサブスロットル弁39をフィードバック制御す
る。これにより、エンジン5の出力トルクが上記エンジ
ン制御目標値SEに収束するように制御されることにな
る。
【0036】このエンジン制御によってもスリップ状態
が解消せずに左後輪速VRLが上昇し続けた場合には、上
記第1スリップ率S1がブレーキ制御開始用閾値SBO
超えた時点(t2)で、後輪3のブレーキ装置13に制
動圧が供給され、エンジン制御とブレーキ制御の両方を
併用した制御が行われる。なお、制動圧は第1スリップ
率S1が上記ブレーキ制御目標値SBとなるようにフィー
ドバック制御される。
【0037】そして、第1スリップ率S1がブレーキ制
御目標値SBにまで低下した時点(t3)で、ブレーキ制
御が停止されて制動圧が減圧される。なお、エンジン制
御は所定の終了条件が満足されるまで行われる。
【0038】なお、右後輪4についても同様にして上記
制御が行われる。すなわち、ECU40は上記車輪速セ
ンサ44からの信号が示す右後輪速VRRから、平均前輪
速VFを差し引いてこれを右後輪速VRRで除して右後輪
4に対する第2スリップ率S2を算出する。そして、こ
の第2スリップ率S2が、上記と同様にして設定された
エンジン制御開始用閾値SEOを超えた時点でエンジン制
御を開始し、エンジン制御目標値SEが得られるように
スロットル開度調節アクチュエータ38を介してサブス
ロットル弁39をフィードバック制御する。このエンジ
ン制御によってもスリップ状態が解消せずに右後輪速V
RRが上昇し続け、第2スリップ率S2が上記と同様にブ
レーキ制御開始用閾値SBOを超えた時点でエンジン制御
とブレーキ制御の両方を併用した制御が行われる。そし
て、第2スリップ率S2がブレーキ制御目標値SBにまで
低下した時点で、ブレーキ制御が停止されて制動圧が減
圧されることになる。
【0039】本実施例においては、車両の旋回走行時に
は直進走行時に比して駆動輪である後輪3、4にスリッ
プが発生しやすくなることに鑑み、上記ECU40が、
車両の横加速度Gにより旋回走行にあることおよびその
程度を検出し、この横加速度Gの増大に応じてトラクシ
ョン制御における制御開始用閾値SEO、SBOおよび制御
目標値SE、SBを減少補正するようになっており、これ
により、大きなスリップの発生を未然に防止するように
なっている。
【0040】上記横加速度Gは、ECU40において次
式(2)により算出されるようになっている。
【0041】 G=V2×(1/R)×(1/127) …(2) ここに、Vは車速(車体速)であって、その値としては
平均前輪速VFが用いられる。Rは、車両の旋回半径で
あって、次式(3)によって算出される値である。
【0042】 R=Min(VFL、VFR)×T÷|VFL−VFR|+T/2 …(3) ここに、Min(VFL、VFR)は、従動輪である前輪1、
2の車輪速VFL、VFRのうち小さい方の車輪速を意味
し、また、|VFL−VFR|は両車輪速VFL、VFRの差の
絶対値であり、さらに、Tは車両のトレッド(たとえば
1.7m)である。
【0043】上記制御開始用閾値SEO、SBOおよび制御
目標値SE、SBの減少補正は、横加速度Gが大きくなる
ほど低くなるように設定された補正係数kを演算して、
この補正係数kを制御開始用閾値SEO、SBOおよび制御
目標値SE、SBに掛けることによって行われるようにな
っている。その際、上記ECU40は、車両の横加速度
Gをパラメータとして設定された表2に示すような補正
係数テーブルを備えており、このテーブルに基づいて補
正係数kを演算するようになっている。
【0044】
【表2】
【0045】上記減少補正を無制限に行うようにした場
合には、次のような問題が生じる。すなわち、車両の横
加速度Gは、上記の式(1)からも明らかなように、車
速Vの自乗に比例して増大するので、車速Vが大きくな
ると、たとえばステアリング舵角θHが小さくても横加
速度Gは非常に大きな値となる。このため、実際には大
きなスリップが発生するおそれがほとんどない小舵角時
であっても、トラクション制御における制御開始用閾値
EO、SBOおよび制御目標値SE、SBは必要以上に減少
補正され、その結果駆動力の低下が生じるので、運転者
に失速感を与えてしまうこととなる。
【0046】このため、本実施例においては、上記EC
Uは、さらに、所定の設定車速VT(例えばVT=60k
m/h)以上の車速領域では、上記減少補正を制限する
ようになっており、これにより、不必要な減少補正によ
る駆動力の低下を防止して適切なトラクション制御を行
うことができるようにしている。
【0047】上記減少補正を制限するための具体的構成
は、本実施例においては、車両の横加速度Gが所定値G
T(例えばGT=0.2G)以下であるときのみ減少補正
を許容し、上記所定値GT以上になったときには、減少
補正の補正係数kを上記所定値GTに対応する補正係数
T(例えばkT=0.85)に固定するようになってい
る。
【0048】次に、本実施例の作用について説明する。
【0049】ECU40は、後輪3、4の路面に対する
スリップ率S1、S2がエンジン制御開始用閾値SEO以上
になると、これらスリップ率S1、S2をエンジン制御目
標値SEに近づけるようエンジン制御を行い、さらに、
上記スリップ率S1、S2がブレーキ制御開始用閾値SBO
以上になると、これらスリップ率S1、S2をブレーキ制
御目標値SBに近づけるようブレーキ制御を行う。
【0050】さらに、ECU40は、このようなトラク
ション制御を行いながら、次のような補正制御および補
正制限制御を行う。
【0051】すなわち、図4にフローチャートで示すよ
うに、ステップS1で車速Vが所定の設定車速VT以上
であるか否かの判定を行い、設定車速VT以上であれ
ば、ステップS2で車両の横加速度Gが所定値GT以上
であるか否かの判定を行う。ステップS1の判定結果ま
たはステップS2の判定結果のいずれかにおいてNOの
場合には、ステップS3で補正係数kを補正係数テーブ
ル(表2参照)に基づいて演算する。つまり、車両の横
加速度Gがあまり大きくないときには、車速Vの大小に
かかわりなく、横加速度Gの増大に応じて制御開始用閾
値SEO、SBOおよび制御目標値SE、SBを減少補正す
る。一方、ステップS1およびS2の判定結果が共にY
ESの場合には、補正係数kをkT(すなわち補正係数
テーブルにおいて横加速度GTに対応して設定された補
正係数)に固定する。つまり、車速Vが大きくかつ横加
速度Gも大きいときには、上記減少補正が制限される。
【0052】以上詳述したように、本実施例によれば、
上記減少補正を行うことにより、車両旋回走行時に大き
なスリップが発生するのを未然に防止することができ、
しかも一定条件下では、上記減少補正の制限を行うこと
により、実際には大きなスリップが発生するおそれがほ
とんどない小舵角時等に必要以上に減少補正がなされる
ことによって駆動力の低下が生じるのを防止することが
できる。
【0053】なお、上記実施例においては、車両の横加
速度Gを車両諸元から算出するようにしたが(式
(2)、(3)参照)、加速度センサを車体に装着して
横加速度Gを直接検出するようにしてもよいことはもち
ろんである。
【0054】上記実施例においては、車両の横加速度G
が所定値GT以上になったとき、減少補正の制限を行う
ようにしたが、これに代えて、図5に示すように、ステ
アリング舵角θHが所定値θHT以上であるか否かの判
定を行い(ステップS2)、この判定結果がNOのとき
(すなわち小舵角時)に、減少補正の制限を行うように
してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両のスリップ制御装置の構成を
示すブロック図
【図2】本発明に係る車両のスリップ制御装置の一実施
例を示す構成概要図
【図3】上記実施例の作用(トラクション制御の基本制
御)を示すタイムチャート
【図4】上記実施例の作用(補正制御および補正制限制
御)を示すフローチャート
【図5】本発明に係る車両のスリップ制御装置の他の実
施例を示す、図4と同様の図
【符号の説明】
1、2 前輪 3、4 後輪(駆動輪) 5 エンジン 8 差動装置 13、14 ブレーキ装置 15 ブレーキ制御システム 36 アクセルペダル 38 スロットル開度調節アクチュエータ 39 サブスロットル弁 40 ECU(駆動力制御手段、補正手段、補正制限手
段) 41〜44 車輪速センサ 46 第1圧力センサ 47 第2圧力センサ 48 アクセルポジションセンサ 49 舵角センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 29/02 311 F02D 45/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動輪の路面に対するスリップ率が所定
    値以上になったとき、上記スリップ率を所定の目標スリ
    ップ率に近づけるよう上記駆動輪の駆動力を制御する駆
    動力制御手段と、車両の横加速度の増大に応じて上記駆
    動力制御手段の制御目標値を減少補正する補正手段と、
    を備えた車両のスリップ制御装置において、 上記補正手段は、車両の横加速度が大きいほど、上記駆
    動力制御手段の制御目標値が小さくなるように、該制御
    目標値を車両の横加速度に応じた補正係数により減少補
    正するものであり、 所定の設定車速以上の車速領域であってかつステアリン
    グ舵角が所定の小舵角値よりも小さいときには、上記補
    正係数を一定値とすることにより、上記補正手段による
    減少補正を制限する補正制限手段を備えていることを特
    徴とする車両のスリップ制御装置。
  2. 【請求項2】 駆動輪の路面に対するスリップ率が所定
    値以上になったとき、上記スリップ率を所定の目標スリ
    ップ率に近づけるよう上記駆動輪の駆動力を制御する駆
    動力制御手段と、車両の横加速度の増大に応じて上記駆
    動力制御手段の制御開始用閾値を減少補正する補正手段
    と、を備えた車両のスリップ制御装置において、 上記補正手段は、車両の横加速度が大きいほど、上記駆
    動力制御手段の制御開始用閾値が小さくなるように、該
    制御開始用閾値を車両の横加速度に応じた補正係数によ
    り減少補正するものであり、 所定の設定車速以上の車速領域であってかつステアリン
    グ舵角が所定の小舵角値よりも小さいときには、上記補
    正係数を一定値とすることにより、上記補正手段による
    減少補正を制限する補正制限手段を備えていることを特
    徴とする車両のスリップ制御装置。
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