JP3197399B2 - 粉粒体充填管の製造方法 - Google Patents

粉粒体充填管の製造方法

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JP3197399B2
JP3197399B2 JP20336993A JP20336993A JP3197399B2 JP 3197399 B2 JP3197399 B2 JP 3197399B2 JP 20336993 A JP20336993 A JP 20336993A JP 20336993 A JP20336993 A JP 20336993A JP 3197399 B2 JP3197399 B2 JP 3197399B2
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徹 小野
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は炭素鋼、ステンレス
鋼、銅合金、アルミニウム合金その他の金属管に粉粒体
を充填した粉粒体充填管の製造方法に関する。ここで、
粉粒体とは溶接用フラックス、酸化物超電導体、溶鋼用
添加剤等の粉粒体をいう。
【0002】
【従来の技術】粉粒体充填管の一つとして、溶接用フラ
ックス入りシームレスワイヤがある。このシームレスワ
イヤの製造では、帯鋼を所要の幅でスリッティングし、
スリット後の帯鋼を成形ロールによりU字形からO字形
に漸次成形する。この成形途中でU字形帯鋼の長手方向
に沿った開口からフィーダによりフラックスを帯鋼谷部
に供給する。ついで、O字形に成形すると同時に、開口
の相対するエッジ面を溶接により接合し、引き続いて縮
径する。さらに必要に応じて焼鈍したのちフラックスが
充填された管を所望の径に伸線、巻き取って製品とす
る。
【0003】上記溶接用フラックス入りワイヤの製造に
おける溶接法として、高周波誘導溶接法、高周波抵抗溶
接法等の高周波溶接が広く用いられている。これらの溶
接法は、いずれもほぼO字形に成形したところで、高周
波電流により発生するジュール熱により開口のエッジ面
を溶融温度まで加熱し、相対するエッジ面を一対のスク
イズロールにより圧接する。
【0004】ところで、フラックスを充填し溶接した管
を圧延、伸線等により縮径する際に、管外皮に割れが発
生することがある。そしてこの割れの原因として、次の
ように考えられている。溶接時に管状体の開口エッジ面
にフラックス粒子の一部が吸着する。すなわち溶接位置
では溶接電流によって発生した磁場により管状体の開口
エッジ部は磁極となる。したがってフラックス粒子のう
ちの強磁性成分は、磁力により吸引され開口エッジ部に
吸着される。このとき弱磁性成分も強磁性成分に伴われ
て開口エッジ部に吸着する。これら開口エッジ部に吸着
したフラックス粒子は、接合溶接部の介在物となり溶接
欠陥となる。そしてこの溶接欠陥により管縮径時に割れ
が発生する。縮径時の割れはそのまま製品すなわち溶接
用フラックス入りワイヤに持ち込まれ、溶接作業性を劣
化させる。
【0005】このような問題を解決する技術の一つに特
開昭54−109040号公報で開示された「粉末が充
填された管を製造する方法」がある。この技術は、管状
体いっぱいに充満されないようにして粉体を供給し、接
合溶接部と供給された粉体層表面との間に空隙すなわち
距離を設け、粉体が舞い上がって開口エッジ部に至らな
いようにしている。特開昭60−234794号公報で
開示された「溶接用複合ワイヤ」があり、比透磁率が
1.10以下の粉末原料の実質的に非磁性の粉体を充填
し、粉体が磁気吸引力により開口エッジ部に吸着するの
を防止する。また、特開昭60−234792号公報の
「フィラーワイヤの製造方法」があり、上層に非磁性材
料を下層に強磁性材料またはフェライト系材料を層状に
散布し、上層の非磁性材料層により強磁性材料またはフ
ェライト系材料が開口エッジ部に吸引されるのを抑制す
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開昭54−
109040号のものでは強磁性原料粉を僅かでも含む
粉体の舞い上がりに対してほとんど効果はなく、特開昭
60−234794号のものでは強磁性原料粉を全く含
有することができない。また特開昭60−234792
号のものでは上層は非磁性材料のみ、下層は強磁性材料
(またはフェライト系材料)のみの完全分離方式である
ことから、縮径途中に管外皮の応力除去のための焼鈍、
あるいは脱水素のための熱処理を施した場合に、強磁性
材料粉(鉄粉等)同志が焼結して塊状となり、その結果
その後の縮径にさいし管外皮に局部的な薄肉化現象が生
じて断線を誘発するようになる。このように上記従来技
術はいずれも実用上の問題点を有し、管縮径時の外皮割
れ発生を防止するという課題は依然として残されてい
た。外皮割れは一度発生すると、最初は微小な割れで
も、管の縮径サイズが小さくなるにしたがって管長手方
向に延び、製品サイズではもはや無視できない程度の長
さとなる。
【0007】そこで、この発明は、健全な接合溶接部を
得ることにより管縮径時の外皮割れをなくして製品歩留
りの向上を図ることができ、しかも製品品質の良好な溶
接用粉粒体充填管の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の溶接用フラッ
クス入りワイヤの製造方法は、金属帯板を管状体に成形
する途中で管状体に粉粒体を供給し、管状体の両エッジ
面を高周波溶接により接合し、粉粒体が充填された溶接
管を縮径する粉粒体充填管の製造方法において、前記粉
粒体は強磁性原料粉と弱磁性原料粉を所定の配合比で構
成した粉粒体を基本処方とし、該基本処方を強磁性原料
粉と弱磁性原料粉を配合した第1種分割処方粉粒体と弱
磁性原料粉を配合した第2種分割処方粉粒体とに少なく
とも2分割して構成した複数の分割処方粉粒体であっ
て、前記第1種分割処方粉粒体を下層側に、第2種分割
処方粉粒体を上層側にして管状体に供給することを特徴
としている。また前記第1種分割処方粉粒体、第2種分
割処方粉粒体における 弱磁性原料粉同志の配合比を基
本処方粉粒体における弱磁性原料粉同志の配合比とした
ことを特徴としている。
【0009】管状体内に供給される粉粒体は、粉粒体充
填管の使用目的に合わせて各種の原料粉が選択され、そ
のままの状態すなわち非造粒であるいは造粒して使用さ
れるる。たとえば、溶接用フラックス入りワイヤに使用
されるフラックスでは、 ・スラグ生成剤としてルチールサンド、マグネシアクリ
ンカー等 ・アーク安定剤としてケイ酸ソーダ、チタン酸カリ等 ・脱酸剤・合金剤として低C−Fe−Si,Fe−Si
−Mn,Al−Mg等 の弱磁性原料粉が性能剤として配合され、また溶着速度
の向上、フラックス充填率の調整、溶接作業性のために
鉄粉、酸化鉄等の強磁性原料粉が調整剤として配合され
る。溶接性能剤、調整剤として選択された各種原料粉お
よびフラックス中の配合率は、所望の溶接用フラックス
入りワイヤに合わせて予め設計されており、この発明で
はこれを基本処方粉粒体(フラックス)という。
【0010】通常、造粒する場合にはすべてのフラック
ス粒子中にすべての原料粉が含有され、また非造粒の場
合にはすべての原料粉がそれぞれ単一粉として配合され
る。従って造粒する場合は鉄粉、酸化鉄、鉄合金等の強
磁性原料粉が他の弱磁性原料粉と共にフラックス粒子を
構成し、また非造粒の場合は鉄粉、酸化鉄、鉄合金等の
強磁性原料粉がそのままの状態で配合されている。すな
わち造粒、非造粒フラックスのいずれの場合にも高周波
溶接時に磁極化した開口エッジ面にフラックス粒子が磁
着する危険性は十分存在する。このように磁場の影響を
受けやすいというフラックス粒子自身の特質から、これ
まで様々な工夫(特開昭54−109040、特開昭6
0−234794、特開昭60−234792等)が提
案されたにも係わらず依然として実用的に満足する成果
は得られていないのが実情である。
【0011】この発明では図1に示すように、このよう
な強磁性原料粉と弱磁性原料粉とから構成される基本処
方フラックスFを強磁性原料粉と弱磁性原料粉を配合し
た処方フラックス (第1種分割処方) F1 と強磁性原料
粉を含有しない弱磁性原料粉だけからなる処方フラック
ス (第2種分割処方) F2 の複数グループに分ける。そ
して管状体1内の下層側に第1種分割処方フラックスF
1 を供給し、上層側に第2種分割処方フラックスF2 を
供給する。これにより磁場の影響を受けやすい上層側に
位置するフラックスの磁気感受性を低減させるととも
に、下層側に位置する強磁性原料粉の磁場による舞い上
がりを上層側の第2種分割処方フラックスF2 の遮蔽に
より抑制する。従って強磁性成分である鉄粉を比較的多
く配合したフラックスを管状体内に供給する場合でも、
高周波溶接時に磁極化した管状体1の開口エッジ面2に
フラックス粒子が磁着することがない。ここで強磁性原
料粉とは強磁性体(鉄粉、ニッケル粉、コバルト粉)の
原料粉をいい、弱磁性原料粉とは強磁性体以外の原料粉
(化合物として、あるいは合金として強磁性成分を含有
するものも含む)をいう。
【0012】また管状体内の下層側に強磁性原料粉と弱
磁性原料粉を混合した状態、つまり強磁性原料粉を分散
させて供給すると、フラックスを充填した管を縮径する
途中で管外皮の応力除去焼鈍、あるいは管内フラックス
の脱水素熱処理を施す場合にも、強磁性材料(鉄粉等)
同志が焼結して塊状とならず、その後の縮径時に管外皮
に局部的な薄肉化現象が生じることによる断線の発生を
回避できる。
【0013】また粉粒体充填管が溶接用フラックス入り
ワイヤの場合には、管状体内の上層側のみでなく下層側
にも溶接性能剤としての弱磁性原料粉(スラグ生成剤、
アーク安定剤、脱酸剤・合金剤)を供給して管内全体に
性能剤が行き渡るようにし、しかも溶接調整剤としての
強磁性原料粉(鉄粉等)を下層側に集中的に供給する。
このようにして製造された溶接用フラックス入りワイヤ
を溶接に供すると充填フラックスの通電性が向上し、フ
ラックス突出長の短縮化、溶着速度の向上等が図れるこ
とから良好な溶接作業性を期待し得る。
【0014】次に、管内に充填すべき予め設計された基
本処方フラックスを第1種分割処方フラックスと第2種
分割処方フラックスとに分割する方法について説明す
る。基本的には、 基本処方フラックス …強磁性原料粉+弱磁性原料
粉 第1種分割処方フラックス…強磁性原料粉+弱磁性原料
粉 第2種分割処方フラックス…弱磁性原料粉 であるが、弱磁性原料粉としてスラグ生成剤、アーク安
定剤、脱酸剤・合金剤等の複数の性能剤が配合されてい
ることから弱磁性原料粉の具体的な分割態様はさらに別
れる。すなわち、基本処方フラックスの配合原料粉を 強磁性原料粉 … X 弱磁性原料粉 … スラグ生成剤 A、B アーク安定剤 C 脱酸剤・合金剤 E、F としたとき、表1に示すように大略3つの分割パターン
に分類される。
【0015】
【表1】
【0016】分割パターン1は基本処方に配合したすべ
ての弱磁性原料粉を第1種と第2種に配合した例、分割
パターン2は基本処方の弱磁性原料粉を構成するすべて
の性能剤を第1種と第2種に配合した例、分割パターン
3は基本処方の弱磁性原料粉を構成する性能剤を異なら
せて第1種と第2種に配合した例である。いずれの場合
も分割処方フラックス(第1種、第2種)における各原
料粉X、A、B…のトータル配合率は基本処方フラック
スにおける各原料粉の配合率と一致する。すなわち、基
本処方フラックスを第1種分割処方フラックスと第2種
分割処方フフラックスに分割比率(wt%) が、 第1種:第2種=n1 :n2 (但し、n1 +n2 =10
0 ) となるように分割し、基本処方フラックスの原料粉A
(配合率:Na(wt%))を第1種分割処方と第2種分割処
方に振り分けた場合において、原料粉Aの分割処方フラ
ックス第1種、第2種での配合率(wt%) をそれぞれNa
1、Na2としたとき、 Na =Na1・n1 /100 +Na2・n2 /100 となるように原料粉Aを基本処方から分割処方へと分割
配合する。
【0017】一般的に、粉粒体を構成する各原料粉が管
内全体に分散して存在していることが機能性材料として
の粉粒体充填管に望まれる場合が多い。溶接用フラック
ス入りワイヤにおいても溶接性能剤を構成する各原料粉
が管内全体に分散しているほうが溶接作業性にとって好
ましい。このような場合には、上記の分割パターンのう
ち分割パターン1を採用することが推奨される。そして
この分割パターン1の望ましい態様としては、第1種分
割処方フラックスおよび第2種分割処方フラックスにお
ける弱磁性原料粉同士の配合比を基本処方フラックスに
おける弱磁性原料粉同士の配合比とすることが望まれ
る。すなわち、弱磁性原料粉A、B、C、…、の基本処
方フラックスにおける配合率をNa 、Nb 、Nc 、…
第1種分割処方フラックスにおける配合率をNa1、Nb
1、Nc1、…、第2種分割処方フラックスにおける配合
率をNa2、Nb2、Nc2、…、とすると、 Na :Nb :Nc :…=Na1:Nb1:Nc1:…=Na2:
Nb2:Nc2:… のように等配合比とすることが望ましい。各配合率は次
式で表される。 (第1種分割処方フラックス) 強磁性原料粉Xの配合率 Nx1= (Nx ・100)/n1 (但し、Nx はXの基本処方フラックスにおける配合
率) 弱磁性原料粉Aの配合率(B、C、… も同様) Na1=f1 ( Na,Nx,n1) ={Na ・100 ・ (n1-Nx)}/{n1 ・(100−Nx)} (第2種分割処方フラックス) 弱磁性原料粉Aの配合率(B、C、… も同様) Na1=f2 ( Na,Nx)= (Na ・100)/(100−Nx) 表2は、この第1種、第2種分割処方フラックスにおけ
る強磁性原料粉および弱磁性原料粉の配合率を示したも
のである。また図2はこの関係を図式化して示したもの
である。
【0018】
【表2】
【0019】
【作用】この発明では、強磁性原料粉と弱磁性原料粉と
から構成される基本処方を強磁性原料粉と弱磁性原料粉
を配合した粉粒体(第1種分割処方)と強磁性原料粉を
含有しない弱磁性原料粉だけからなる粉粒体(第2種分
割処方)の複数グループに分ける。そして管状体内の下
層側に第1種分割処方粉粒体を供給し、上層側に第2種
分割処方粉粒体を供給する。これにより磁場の影響を受
けやすい上層側に位置する粉粒体の磁気感受性が低減で
き、かつ下層側に位置する強磁性原料粉の磁場による舞
い上がりを上層側の第2種分割処方粉粒体の遮蔽によっ
て抑制できる。従って強磁性成分である鉄粉を配合した
粉粒体を管状体内に供給する場合でも、高周波溶接時に
磁極化した管状体のエッジ面に粉粒体粒子が磁着するこ
とがない。従って粉粒体中の磁性粒子が管状体のエッジ
面に磁着することに起因する管の割れは実質的になくな
る。また管状体内の下層側に強磁性原料粉と弱磁性原料
粉を混合した状態、つまり強磁性原料粉を分散させて供
給しているので、粉粒体を充填した管を縮径する途中で
管外皮の応力除去焼鈍、あるいは管内粉粒体の脱水素熱
処理を施した場合にも、強磁性材料(鉄粉等)同志が焼
結して塊状とならず、その後の縮径時において管外皮に
局部的な薄肉化現象が生じることによる断線の発生を回
避できる。
【0020】
【実施例】以下、溶接用フラックス入りワイヤの製造を
実施例として説明する。図3は溶接用フラックス入りワ
イヤ製造装置の主要部の構成図である。図3に示すよう
に、オープン管(管状体)1の送り方向に沿って成形ロ
ール群3、サイドロール5およびフラックス供給装置4
1、42が配置されている。成形ロール3の上流側に
は、予成形ロール(図示しない)が設けられている。成
形途中のオープン管1内にはまずフラックス供給装置4
1から下層を形成する第1種分割処方フラックスF1 が
供給され、引き続いてフラックス供給装置42から上層
を形成する第2種分割処方フラックスF2 が供給され
る。フラックスF1 、F2 を供給されたオープン管1
は、フィンパスロール6、シームガイドロール7を通過
し、溶接ゾーンに入る。図4は第2種分割処方フラック
スF2 を供給した直後の図3IV−IV線断面図、また図5
は溶接ゾーンでの図3V−V線断面図であり、図示のご
とく上層側の第2種分割処方フラックスF2 は下層側の
第1種分割処方フラックスF1 を覆った状態になるよう
にして層状供給される。高周波誘導溶接装置8はワーク
コイル9およびスクイズロール10を備えている。ワー
クコイル9には電源12から、高周波溶接電流が供給さ
れる。溶接された管11は切削バイト13により外面側
の余盛りビード14が切削され(内面ビード16は管内
に残留する)、圧延ロール群15で圧延され、さらに焼
鈍を施しながら圧延装置および伸線装置(いずれも図示
しない)により外径1.0〜2.0 mm 程度の製品サイ
ズまで縮径される。
【0021】このような高周波誘導溶接により幅w=3
0〜150mm、厚さt=1〜5mm程度の鋼帯を外径do
=10〜50mm程度の管に造管する。このときの溶接条
件として 高周波電流の周波数 f=300〜800
kHz 入熱量(EpIp) P=50〜500kV
A ワークコイル〜溶接点間の距離 L=10〜100mm アペックス角(V収束角) θ=3〜15° 程度のものが採用され、溶接速度(造管速度)V=10
〜200m/min 程度の速度で造管が行われる。
【0022】このような高周波溶接では、高周波溶接電
流の供給により管状体内に磁場が発生して開口エッジ部
が磁極となるから、フラックス表面層に存在する磁性粒
子は舞い上がって開口エッジ部に磁着しやすくなる。こ
の発明では、ルチール等の弱磁性原料粉とともに鉄粉等
の強磁性原料粉を配合した第1種分割処方フラックスを
下層側に供給し、次に弱磁性原料粉だけを配合した第2
種分割処方フラックスを上層側に供給することにより、
そのままでは磁気吸引力により開口エッジ部へと舞い上
がる第1種分割処方フラックスを、吸引力の影響を受け
ない第1種分割処方フラックスの遮蔽作用により抑える
(図4、図5)。
【0023】つぎに、上記装置により製造した溶接用フ
ラックス入りワイヤの割れ発生結果について説明する。
【0024】板厚2.5mm、幅75.0mmの鋼帯(SP
HC,C=0.05%)を、外径25.5mm、内径2
0.5mmの管に成形した。成形途中でフラックスを充填
率10〜20%で充填し、オープン管を連続的に突合せ
接合した。このときワークコイルに供給した高周波電流
の周波数は500kHz 、入熱量(EpIp)P=160kV
A、溶接速度Vは35m/min 、ワークコイル〜溶接点
距離は30mm、アペックス角は7°であった。溶接した
外径25.5mmの管を圧延ロール群により途中1回の連
続焼鈍を施して外径4.0mmまで縮径し、管外皮の焼鈍
および充填フラックスの脱水素のための加熱処理、めっ
き処理を施してコイルに巻き取った。ついで孔ダイスま
たはローラダイス等により仕上伸線し、管外径1.2mm
〜1.6mmの製品サイズまで縮径して製品ワイヤの割れ
発生状況を調べた。
【0025】使用した基本処方フラックスの原料粉(強
磁性原料粉(鉄粉)+弱磁性原料粉)とその配合率を表
3に示す。表3に示す4種類の基本処方を表1の分割パ
ターンに従って分割し、表4に示す第1種(強磁性原料
粉(鉄粉)+弱磁性原料粉)、第2種(弱磁性原料粉)
の分割処方フラックスを準備した。分割処方フラックス
は表1に示す各基本処方の原料粉を混合して造粒し、あ
るいは混合したままの非造粒状態とした。各原料粉の粒
度は250μm以下、また造粒フラックスの粒度は15
00μm以下であった。
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】
【表5】
【0029】割れの評価は伸線後の外径1.2〜1.6
mmφの製品ワイヤ100km(ワイヤ20kg巻スプール×
37)の全長にわたってワイヤ外皮の渦流探傷試験(E
CT)を実施して割れの有無と位置を確認し、割れ信号
が出たとき該当部分を拡大鏡で観察してワイヤ長手方向
の割れの存在を確認することにより実施した。割れの存
在が全く確認できないとき、これを良好(○)とした。
また、割れがあるとその割れの開口から表面処理中ある
いは伸線中に処理液がワイヤ中に浸入して製品の品質を
劣化させる傾向にあることから、割れの発生を1箇所で
も確認した場合にはこれを不良(×)とした。
【0030】表4において、実験No. 1〜9は本発明の
実験例である。 実験No. 1…基本処方F−1を分割パターン1(弱磁性
原料粉:等配合比…請求項2対応)により、第1種と第
2種に分割比率 第1種:第2種=50:50で分割し
たフラックス(第1種:造粒、第2種:造粒)を使用し
た。第1種を下層側に、第2種を上層側にしてフラック
ス充填率12%で供給した。 実験No. 2…基本処方F−1を分割パターン1(弱磁性
原料粉:非等配合比)により、第1種と第2種に分割比
率 第1種:第2種=40:60 で分割したフラック
ス(第1種:非造粒、第2種:非造粒)を使用した。1
種を下層側に、第2種を上層側にしてフラックス充填率
11%で供給した。 実験No. 3…基本処方F−2を分割パターン1(弱磁性
原料粉:等配合比…請求項2対応)により、第1種と第
2種に分割比率 第1種:第2種=60:40で分割し
たフラックス(第1種:造粒、第2種:造粒)を使用し
た。第1種を下層側に、第2種を上層側にしてフラック
ス充填率15%で供給した。 実験No. 4…基本処方F−2を分割パターン2により、
第1種と第2種に分割比率 第1種:第2種=50:5
0 で分割したフラックス(第1種:造粒、第2種:非
造粒)を使用した。第1種を下層側に、第2種を上層側
にしてフラックス充填率15%で供給した。 実験No. 5…基本処方F−3を分割パターン1(弱磁性
原料粉:等配合比…請求項2対応)により、第1種と第
2種に分割比率 第1種:第2種=40:60で分割し
たフラックス(第1種:造粒、第2種:造粒)を使用し
た。第1種を下層側に、第2種を上層側にしてフラック
ス充填率17%で供給した。 実験No. 6…基本処方F−3を分割パターン3により、
第1種と第2種に分割比率 第1種:第2種=50:5
0 で分割したフラックス(第1種:造粒、第2種:造
粒)を使用した。第1種を下層側に、第2種を上層側に
してフラックス充填率17%で供給した。 実験No. 7…基本処方F−4を分割パターン1(弱磁性
原料粉:等配合比…請求項2対応)により、第1種と第
2種に分割比率 第1種:第2種=50:50で分割し
たフラックス(第1種:造粒、第2種:造粒)を使用し
た。第1種を下層側に、第2種を上層側にしてフラック
ス充填率20%で供給した。 実験No. 8…基本処方F−4を分割パターン1(弱磁性
原料粉:等配合比…請求項2対応)により、第1種と第
2種に分割比率 第1種:第2種=60:40に分割
し、さらに第1種を下層側上層用と下層側下層用に鉄粉
量(鉄粉量:下層側上層用<下層側下層用)を異ならせ
て分割比率 下層側上層用:下層側下層用=1:1 で
分割したフラックス(第1種:造粒、第2種:非造粒)
を使用した。第1種を下層側に、第2種を上層側にして
フラックス充填率20%で供給した。この例のように下
層側に供給する第1種分割処方フラックスをさらに分割
してより下層に位置するフラックスほど鉄粉量を多く配
合させる処置は、基本処方フラックスが比較的多くの鉄
粉量を配合する場合に適用して効果がある。 実験No. 9…基本処方F−2を分割パターン1(弱磁性
原料粉:等配合比…請求項2対応)により、第1種と第
2種に分割比率 第1種:第2種=40:60に分割
し、さらに第2種を上層用と下層側下層用に分割比率
上層用:下層側下層用=2:1 で分割したフラックス
(第1種:造粒、第2種:造粒)を使用した。第1種を
下層側上層に、第2種を上層側と下層側下層にしてフラ
ックス充填率17%で供給した。この例のように第2種
分割処方フラックスをさらに分割して最下層にも配する
処置は、基本処方フラックスを構成する溶接性能剤とし
ての各原料粉を管内全体に分散させる上でより一層の効
果が望める。
【0031】これらの実験例では、上層側に供給した第
2種分割処方フラックス(弱磁性原料粉)が下層側に供
給した第1種分割処方フラックス(強磁性原料粉(鉄
粉)+弱磁性原料粉)を遮蔽し、上層の重量圧により抑
える。そのため下層側の第1種分割処方フラックス粒子
が管内に生じた磁場によって舞い上がり管エッジ面に磁
着することがなく、この磁着に起因する管外皮の割れは
発生しなかった。また鉄粉Xを弱磁性原料粉A、B、
C、D、E、F、Gとともに混合し分散させた状態で供
給していることから、加熱処理により鉄粉が焼結するこ
とがなく、この焼結に起因する断線の発生はなかった。
またこの溶接用フラックス入りワイヤを用いて溶接を行
ったところ、良好な溶接作業性が実現できた。
【0032】これに対して、実験No. 10〜13は比較
例であり、それぞれ基本処方フラックス(強磁性原料粉
(鉄粉)+弱磁性原料粉)F−1、F−2、F−3、F
−4を1層充填した。これらの実験例では、管エッジに
面するフラックス表層部に磁性粒子(鉄粉あるいは鉄粉
を含有する造粒粒子)が存在するため、この磁性粒子が
管内に生じた磁場の影響を直接的に受けて舞い上がり管
エッジ面に磁着した結果、管外皮に割れが発生し製品歩
留りを下げた。
【0033】また表示しないが、これら実験例の他に基
本処方フラックス(強磁性原料粉(鉄粉)+弱磁性原料
粉)F−1(鉄粉配合率:10%)を強磁性原料粉(鉄
粉)と弱磁性原料粉とに分離した2種類のフラックスを
準備し、強磁性原料粉(鉄粉)を下層、強磁性原料粉
A、B、C、D、E、F、Gを上層になるように供給す
る比較例も実験した。この実験例では、上層の強磁性原
料粉層がその重量圧により下層の鉄粉層を抑えるので、
磁性粒子が管エッジ面に磁着することに起因する管外皮
の割れは発生しなかった。しかし鉄粉を下層に単独供給
していることから、加熱処理によって鉄粉が焼結して塊
状になり、それ以降の管縮径時(とくに仕上げ伸線時)
に断線が頻発し製品歩留りを下げた。
【0034】
【発明の効果】この発明によれば、強磁性原料粉と弱磁
性原料粉とから構成される基本処方を強磁性原料粉と弱
磁性原料粉を配合した分割処方粉粒体(第1種分割処
方)と強磁性原料粉を含有しない弱磁性原料粉だけから
なる分割処方粉粒体(第2種分割処方)の複数グループ
に分け、管状体内の下層側に第1種分割処方粉粒体を供
給し、上層側に第2種分割処方粉粒体を供給するので、
磁場の影響を受けやすい上層側に位置する粉粒体の磁気
感受性が低減され、かつ下層側に位置する強磁性原料粉
の磁場による舞い上がりを上層側の第2種分割処方粉粒
体の遮蔽による重量圧によって抑制できる。従って強磁
性成分である鉄粉を配合した粉粒体を管状体内に供給す
る場合でも高周波溶接時に磁極化した管状体のエッジ面
に粉粒体粒子が磁着することがなくなり、磁性粒子がエ
ッジ面に磁着することに起因する管の割れは実質的に解
消される。また管状体内の下層側に強磁性原料粉と弱磁
性原料粉を混合した状態、つまり強磁性原料粉を分散さ
せて供給しているので、粉粒体を充填した管を縮径する
途中で管外皮の応力除去焼鈍、あるいは管内粉粒体の脱
水素熱処理を施した場合にも、強磁性材料(鉄粉等)同
志が焼結して塊状となることがないので、その後の縮径
時において管外皮に局部的な薄肉化現象が生じることに
よる断線の発生を回避できる。
【0035】また粉粒体充填管が溶接用フラックス入り
ワイヤの場合には、管状体内の上層側のみでなく下層側
にも溶接性能剤としての弱磁性原料粉(スラグ生成剤、
アーク安定剤、脱酸剤・合金剤)を供給して管内全体に
性能剤が行き渡るようにし、しかも溶接調整剤としての
強磁性原料粉(鉄粉等)を下層側に集中的に供給する。
このようにして製造された溶接用フラックス入りワイヤ
を溶接に供すると充填フラックスの通電性が向上し、フ
ラックス突出長の短縮化、溶着速度の向上等が図れるこ
とから良好な溶接作業性を期待し得る。
【0036】この結果、製品歩留りの向上を図ることが
でき、しかも品質良好な粉粒体充填管を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】基本処方フラックスと第1種、第2種分割処方
フラックスの関係を示す説明図である。
【図2】弱磁性原料粉同志を等配合比にして分割する場
合の説明図である。
【図3】この発明の粉粒体充填管を製造するための装置
例を示すもので、溶接用フラックス入りワイヤの製造装
置の主要部の構成図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図であり、フラックス供給
位置における管状体の断面図を示す。
【図5】図3のV−V線断面図であり、ワークコイル位
置における管状体の断面図を示す。
【符号の説明】
1 オープン管(管状体) 2 開口エッジ面 3 成形ロール群 41 フラックス供給装置(下層用) 42 フラックス供給装置(上層用) 5 サイドロール 6 フィンパスロール 7 シームガイドロール 8 高周波溶接装置 9 ワークコイル 10 スクイズロール 11 溶接された管 12 電源 15 圧延ロール群 F 基本処方フラックス F1 第1種分割処方フラックス F2 第2種分割処方フラックス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 晴次 東京都中央区築地三丁目5番4号 日鐵 溶接工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−55089(JP,A) 特開 平3−207598(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 35/40

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属帯板を管状体に成形する途中で管状
    体に粉粒体を供給し、管状体の両エッジ面を高周波溶接
    により接合し、粉粒体が充填された溶接管を縮径する粉
    粒体充填管の製造方法において、前記粉粒体は強磁性原
    料粉と弱磁性原料粉を所定の配合比で構成した粉粒体を
    基本処方とし、該基本処方を強磁性原料粉と弱磁性原料
    粉を配合した第1種分割処方粉粒体と弱磁性原料粉を配
    合した第2種分割処方粉粒体とに少なくとも2分割して
    構成した複数の分割処方粉粒体であって、前記第1種分
    割処方粉粒体を下層側に、第2種分割処方粉粒体を上層
    側にして管状体に供給することを特徴とする粉粒体充填
    管の製造方法
  2. 【請求項2】 前記第1種分割処方粉粒体、第2種分割
    処方粉粒体における弱磁性原料粉同志の配合比を基本処
    方粉粒体における弱磁性原料粉同志の配合比とした請求
    項1記載の粉粒体充填管の製造方法
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