本考案の一般的概念は、多数の異なる形態の実施形態で可能であるが、本開示が一般的考案概念の原理の単なる例示として考えるべきであることを理解した上で、図面に示されており、その特定の実施形態を詳細に本明細書で説明する。従って、本考案の一般的概念は、本明細書に示される特定の実施形態に限定されるものではない。さらに、米国特許第5,278,390号及び第6,441,342号の開示は、その全体が、参照により本明細書に組み込まれ、それらの文献は、特定の態様及び/又は一般的考案概念の進展のより良い理解を容易にするようなバックグラウンドを提供する。
以下の説明は、本明細書の開示を通して使用される代表的な用語の規定である。全ての用語の単数形及び複数形のいずれもが、それぞれの意味の範囲内に含まれる。
本明細書で使用されるような「回路」と同義である「ロジック」は、機能(複数可)又は動作を実行するためのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。例えば、所望の用途や必要性に基づいて、ロジックは、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は他のプログラムされた論理デバイス等のソフトウェア制御マイクロプロセッサ、個別ロジックを含んでもよい。いくつかの例では、ロジックは、ソフトウェアとして完全に具体化することもできる。
本明細書で使用される「ソフトウェア」又は「コンピュータ・プログラム」は、コンピュータやその他の電子機器に機能、動作を実行させる、及び/又は所望の方法で動作させるような、1つ又は複数のコンピュータ読み取り可能な命令及び/又は実行可能な命令を含むが、これらに限定されるものではない。指示は、動的にリンク付けされたライブラリーからの別個のアプリケーション又はコードを含むルーチン、アルゴリズム、モジュール又はプログラム等の各種の形態で具体化することができる。ソフトウェアは、スタンドアロンプログラム、関数呼び出し、サーブレット、アプレット、メモリに格納された命令、オペレーティングシステム又は他のタイプの実行可能命令の一部等の様々な形態で具体化することもできる。ソフトウェアの形態は、例えば、所望のアプリケーションの要件、アプリケーションが実行される環境、及び/又はデザイナー/プログラマーの要望等に依存することが当業者によって理解されるだろう。
本明細書で使用される「コンピュータ」又は「処理装置」は、データを格納し、検索し、及び処理するような、任意のプログラムされた又はプログラム可能な電子デバイスを含むが、これらに限定されるものではない。
ここで、本考案の一般的概念の様々な例示的な実施形態及びこの一般的考案概念を用いるアプリケーションを示す図面を参照すると、図1には、電気アーク溶接機10として標準的なオンボードコンピュータによって実現されるブロック図及びフローチャート又はプログラムが示される。例えば溶接機10は、オハイオ州クリーブランドのLincoin Electric Companyから販売されている電気アーク溶接機をベースとする電力波形(Power Wave)インバータとすることができる。標準的な技術に従って、溶接機10は、電流を電源12に導くような三相電気入力部L1、L2、L3を含む。コンピュータ制御されたオンボード制御装置は、インバータベースの電源を操作して、端子14に正電位と端子16に負電位とを形成する。
選択されたアーク溶接プロセスは、標準的な平滑用インダクタ18を有するように示された実際の溶接回路に、選択され以前に決定された波形を導くことによって実行される。溶接機10は、送り装置24により所望の速度で駆動されるリール22から前進する溶接ワイヤ20と、モータ26の速度で運転される溶接ワイヤとの間で電気アーク溶接プロセスを実行する。アークの熱によってワイヤ20及びワーク30が溶融され、ワイヤから溶融した金属がワーク上に堆積する。溶接プロセスの実際のパラメータを監視するために、シャント(分路)32(監視装置)は、ブロック34からの出力信号Iaをライン34a上に供給する。この信号は、任意の時点での実際のアーク電流を表している。同様に、ワイヤ20とワーク30との間の電圧が、ブロック36(監視装置)によって感知され、ライン36a上の出力Vaは、瞬間的なアーク電圧であり、第2の溶接パラメータを構成する。図1に示される溶接パラメータは、実際のアーク電流Ia及び実際のアーク電圧Vaである。
本考案を実施するための制御されるもう1つのパラメータは、モータ26の回転によるワイヤの送り速度(WFS)である。結果的に、溶接プロセスの外部から読み取り可能な3つの溶接パラメータは、ライン34aのアーク電流Ia、ライン36aのアーク電圧Va、及び後述するようにライン46bで読み取り可能なワイヤ送り速度WFSである。ライン46bのWFSが、送り装置のギヤボックスの駆動ロール24に、或いはまた、ワイヤに取り付けられた従動ホイールに接続されたタコメータ又はエンコーダ46c(監視装置)によって読み取られる。図1では、タコメータは、送りロールによって駆動されるように示されている。そのタコメータは、例えばモータ26の出力シャフトによっても駆動できる。
パワーウェーブ電気アーク溶接機は、一連の迅速に繰り返される波形状を形成するための波形生成器を含んでおり、各波形(例えば、電圧/電流波形の単一のシーケンス)は、溶接サイクルをサイクルタイムを用いて構成される。これらの溶接サイクルは、溶接プロセス中に繰り返されて、溶接時間を規定する。パワーウェーブ溶接機10の一実施形態が、Blankenshipに付与された米国特許第5,278,390号に示されており、ここで、溶接機は、コマンドライン42を介して電源12によって出力される個別の波形と、コマンドライン44を介してモータ26の速度とを制御する。コマンドライン44は、モータ電圧駆動PWMパルスをライン46aに出力するために、モータ26の制御装置46のマイクロプロセッサによって認識されるような信号を有する。実際には、ライン44上の情報は、デジタル化されており、ライン46a上のコマンド信号は、アナログである。波形発生装置40が、ライン42,44にデジタル信号を生成して、溶接機10によって実行されるような所望の溶接プロセスを制御する。外部パラメータIa,Va及びWFSは、適切な監視装置によって読み取ることができる。
波形発生装置40は、出力波形のそれぞれを、一連の時間セグメント化部分又は段階状態に分割又はセグメント化する。例示的な一実施形態では、モニタMは、波形の選択された1つのセグメント中のパラメータを読み取るための、とりわけ溶接機10のコンピュータにロードされたプログラムである。モニタMは、本考案の一般的概念の精神及び範囲から逸脱することなく、ソフトウェア、ハードウェア、及びこれらの組み合わせを用いて実現することができる。監視対象の波形部分が、波形発生装置40によって決定される。実際に、モニタMは、発生装置40によって出力された波形の様々な時間セグメント又は段階状態を監視する。実際には、波形発生装置40は、波形を形成するいくつかの時間セグメントを選択し、各種段階状態をコマンドインターフェイス70に出力する。その結果、コマンドインターフェイス70は、発生装置により出力された各波形の選択された時間セグメント中に、パラメータ測定値を生じさせる。コマンドインターフェイス70の情報やデータは、監視対象の段階状態、及び各種パラメータIa,Va及び/又はWFSの特定の値又はレベルを含む。
モニタMのインターフェイス70は、読み取られた溶接パラメータの値と一緒に処理される特定の段階状態を識別するようなデータを含む。インターフェイス70のデータは、レベルステージ81によって解析されて、レベルに基づくパラメータの関係が決定される。実際のパラメータが、発生装置40からの波形の選択された段階状態の間に、訓練された又は測定されたパラメータと比較される。波形の特定のセグメント又は段階状態の間に、レベル監視ステージ81は、ライン34a,36a,46bの実際のパラメータを読み取る。実際のパラメータのこれらの瞬間的な値が、報告ロジック82として識別される内部メモリに格納される。実際のパラメータの読み取りが、発振器84によって示されるように迅速に起こる。例示的な一実施形態では、実際のパラメータの読み取りが、パルス溶接について120kHzの速度で起こる。この速度は、調整することができる。しかしながら、この速度をより速くすればするほど、レベル測定の感度がより良くなる。レベルモニタ81は、最小又は最大レベルのいずれかからの実際の溶接パラメータの偏差も判定する。このように、実際の値を格納するだけでなく、最小レベル又は最大レベルと比較されるように、所与の段階状態についてのパラメータの実際の測定値の偏差を表すデータが、格納される。報告メモリやロジック82は、波形の所与の段階状態の間に設定レベルからの偏差を記録するだけでなく、波形の選択された段階状態の間に実際のレベルからの偏差を記録する。総溶接サイクルについて、これらの測定値は、溶接部の品質及び溶接部の欠陥について任意の傾向を決定するために累積され、カウントされ又は他に処理される。
例示的な一実施形態では、測定値(例えば、定期的に累積された測定値のセット)が、複数の基準に基づいて重み付けされる。測定値は、例えば、250ms毎に累積することができる。例示的な一実施形態では、セットは、期待値(例えば、所定の閾値、平均値)からの偏差の等級重み(magnitude)、及び対応する波形に対するその時間セグメントの時間寄与に基づいて重み付けされる。このような重み付け方法(例えば、図9に示され、以下で説明される重み付け方法900)は、例えば、レベル監視ステージ81において又は、類似の又は関連のデータ処理段階において実行することができる。
安定性監視ステージ91は、発振器94によって決定された迅速な速度でライン34a,36a,46b上の実際の溶接パラメータを読み取る。例示的な一実施形態では、実際のパラメータの読み取りは、パルス溶接について120kHzの速度で起こる。安定性監視ステージ91は、出力される波形の段階状態の間に、標準偏差又は絶対偏差についての実際の溶接パラメータを解析する。報告メモリやロジック92は、波形の所与の段階状態の間にこの偏差だけでなく、波形の選択された段階状態の間に実際の値を記録する。総溶接サイクルについて、これらの測定値は、溶接部の品質及び溶接部の欠陥についての傾向を決定するために累積され、カウントされ又は他に処理される。
例示的な一実施形態では、測定値(例えば、定期的に累積された測定値のセット)は、複数の基準に基づいて重み付けされる。測定値は、例えば、250ms毎に累積することができる。例示的な一実施形態では、セットは、期待値(例えば、所定の閾値、平均値)からの偏差の等級重み(大きさ)、及び対応する波形に対するその時間セグメントの時間寄与に基づいて重み付けされる。このような重み付け方法(例えば、図9に示され、以下で説明される重み付け方法900)は、例えば、安定性監視ステージ91において又は、類似の又は関連のデータ処理段階において実行することができる。
いくつかの波形は、監視ステージ81又は監視ステージ91のいずれかを使用するときに、スキップすることができる。例示的な一実施形態では、シーケンスの開始後に、全ての波形が、波形の様々な選択された段階状態の間に、実際の溶接パラメータを解析するために監視される。溶接プロセスにおける所与の波形のいくつかの段階状態が監視され、結果が、レベル適合性、傾向及び安定性について解析するために各段階状態について個別に記録される。安定性を測定する場合に、標準偏差アルゴリズムが、Ia,Va及び/又はWFSを評価するためにモニタMで使用される。この情報は、総溶接サイクルを所定のサイクル時間を用いて形成するような波形の様々なセグメントのそれぞれを解析するために利用可能である。実際には、パルス波形中のピーク電流等の特定の段階状態が監視されて、パルス溶接プロセスの安定性及びレベル偏差が決定される。STT溶接プロセスでは、これらのセグメントは、溶接プロセスの外部条件に応じて経時的に変化するので、モニタMは、各波形についての短絡回数を記録する。短絡回数の変化によって、溶接技術者に調整を行うように知らされる。
図2及び図3に示されるように、標準波形発生装置40によって生成された一連の迅速に繰り返す波形は、時間の段階状態に分割される。出力される電流コマンド波形は、図3に示される時間セグメントAの固定持続時間を有するピーク電流102と、図3に示されるセグメントBの可変持続時間を含むバックグラウンド電流104とのパルス波形100である。波形は、コマンドインターフェイス70が、任意の時点で発生装置40によって処理された特定の段階状態を受信するように、時刻t1−t4でセグメントに分割される。破線110によって図3に示されるように、図1のシャント33からの実際のアーク電流は、波形100のコマンド電流信号からずれる。
段階状態A又は段階状態B等の選択した機能的な段階状態の間に、実際のアーク電流Iaは、発振器84又は発振器94によって決定される速度で読み取られる。実際には、これは、単一のソフトウェア発振器である。レベル監視ステージ81は、実際のパラメータ110と波形100のコマンドレベルとの間の縦方向の偏差を記録する。選択された段階状態の間で、安定性監視ステージ91は、実際のパラメータの統計的な標準偏差を読み取る。段階状態A及び段階状態Bは、パルス溶接プロセスについて通常監視される。しかしながら、t1−t2の間のランプアップ段階状態及び/又はt3−t4の間のランプダウン段階状態は、波形のこれらの段階状態の間に、実際のパラメータのアクティビティを制御又は少なくとも読み取るために監視される。示されるように、バックグラウンド時間セグメントBは、時刻t1の可変時間位置によって示されるように、可変の時間を有している。結果的に、監視対象の段階状態は、固定時間の持続時間又は可変の持続時間を有することができる。可変の持続時間の場合に、段階状態は、持続時間の終了まで監視される。報告ロジック82は、ある時間すなわちt4から、連続した時間すなわちt1までのレベルとしてこの終了を感知する。時間t1が時間t4に対して変化する際に、各波形のこの終了時間は、発生装置40の溶接モードを選択することによってインターフェイス70から取得されるような、既知の時間と比較されるレベルとして記録される。
モニタMは、波形の特定の選択された段階状態の間に、実際の溶接パラメータを監視する。しかしながら、モニタは、コンピュータを動作させて、ライン46a上でモータ26に入力される実際の入力等の内部信号の安定性及び/又はレベル特性を決定するために、プログラムも有している。ライン46a上の信号のこのような内部監視は、図5に示される信号を利用して、図4に示されるフローチャートに説明されている。
ワイヤ送り装置内のマイクロプロセッサは、誤差増幅器と同様のPID比較ネットワークであるサブルーチンを含む。このPID比較器は、模式的に図4のブロック152として示されており、この比較器は、ワイヤ送り速度WFSとライン44上のコマンド信号である第1の入力46bを有する。ライン46b上の実際のWFSは、送り装置のギヤボックスの駆動ロール24に、或いはまた、WFSを読み取るためにワイヤに取り付けられた従動ホイールに接続されたタコメータ又はエンコーダによって読み取られる。PIDの出力156は、送り装置のマイクロプロセッサでデジタル化されるような、パルス幅変調器158の入力での電圧レベルである。パルス幅変調器の出力は、送り装置24のワイヤ送り速度を制御するためのモータ26へのライン46a上でのコマンド信号である。
例示的な一実施形態によれば、モニタMは、図4に模式的に示されるような処理プログラムを含み、ここで、ライン156上の信号は、処理ブロック160によって読み取られ、図1に示した実施形態に関して上述したように、結果が、レベル監視ステージ81及び/又は安定性監視ステージ91の入力部に対してライン162上で出力される。その結果、ライン156上の内部信号は、1kHzを超える速度で迅速に読み取られ、この内部信号のレベル及び/又はこの信号の安定性がチェックされる。
図5に示されるように、パルス溶接についての波形100は、発生装置40からの連続した波形として延在する。ワイヤ送り速度に関して、ライン44上の発生装置40からのコマンド信号は、図5に示される形態を取る。その形態は、開始ランプアップ部分170及び終了ランプダウン部分172を含む。これらの2つの部分は、ライン44上のコマンド信号に急激な増加又は減少を引き起こす。ライン44上のコマンド信号のこれらの異常な部分の間に、テストの安定性の目的及び/又はライン156上のこの内部信号のレベル偏差のために使用されるような、一般的レベルのワイヤ送り速度コマンドが存在する。図5では、ワイヤ加速部170は、速度が安定化するまで保持される。この時間も監視される。他の内部信号は、図4及び図5に示されるような同じ概念を用いて監視することができる。レベル監視ステージは、ライン156上の信号が長時間に亘って最小値又は最大値を超えるかどうかを判定する。ワイヤ送り装置について、これは通常、送り装置システムにおけるジャムを示している。
図6には、レベル監視ステージの概念が示されており、ここで、閾値180が最大パラメータレベルであり、閾値182が最小パラメータレベルである。アーク電流として示されるパラメータが、過渡電流184によって示されるように閾値180を超える場合に、過電流のイベントが記録される。同様に、電流が、過渡電流186によって示されるように、最小レベル182未満である場合に、過小電流のイベントが記録される。さらに、これらのイベントは、複数の基準に基づいて重み付けすることができる。例示的な一実施形態では、各イベントは、期待値(例えば、所定の閾値、平均値)からの偏差の等級重み(大きさ)及び対応する波形に対するその時間セグメントの時間寄与に基づいて重み付けされる。このような重み付け方法(例えば、図9に示され、以下で説明される重み付け方法900)は、例えば、レベル監視ステージ81、安定性監視ステージ91、又は類似の又は関連のデータ処理段階において実行することができる。
重み付けイベントは、定期的にカウントされ又は他に累積されて、図1に示すように、レベル監視ステージ81の出力が提供される。重み付けイベントは、例えば250ms毎に累積することができる。その結果、レベル監視ステージ81は、プリセットした閾値を超える偏位184や、プリセットしたレベルを下回る偏位186を検出する。これらのレベルは、インターフェイス70の特定の段階状態によって設定される。波形の一部の段階状態は、閾値を含むレベル監視ステージ81を用いており、同じ波形の他の段階状態は、安定性の監視ステージ91を使用することができる。好ましくは、実際には、両方の監視ステージが、モニタMによって問い合わせされる波形の選択された段階状態について使用される。
図1に示される実施形態は、発生装置40からの波形の選択された段階状態の間に、又は図4及び図5の開示に関連して説明した総溶接の間に、内部制御信号の実際のパラメータのレベル及び/又は安定性を監視する。図1のモニタMは、これまで説明したように、作業の所定期間に亘った溶接機の溶接サイクル又は全ての動作を解析するのに使用する重み付けされたデータを提供する。データが決定され且つ格納された後で、様々な解析プログラムを使用して、このデータを処理する。1つの例示的な実施形態によれば、図7に示されるように、監視ステージ91からの重み付けされた安定性データは、2つのプログラムによって解析される。なお、記録、表示、処理介入や評価のために、様々なコンピュータ・プログラムの安定性データを解析することは当業者の一般的な範囲内である。
図7に示されるように、解析プログラム200は、モニタMの監視ステージ91の結果(すなわち、重み付けされた安定値)を使用する。例として、プログラム200は、図2及び図3に示されるように波形の電流ピーク部である、時間t2−t3の間の時間の段階状態の監視中に操作される。解析プログラム200は、ピーク電流の段階状態の間に、安定性ステージ91の結果を解析するために用いられる2つのシステムを示すようなコンピュータフローチャートとして示されており、ここで、ライン34aの実際の電流の統計的標準偏差が算出される。実際には、監視ステージ91が偏差を算出する前に、若干の遅延が存在する。段階状態t2−t3の間のIaを読み取るだけでなく、他のIaを無視するようなサンプル選択機能が、サンプル選択器又はフィルタ90aとして示される。フィルタ90aに組み込まれた時間セグメントt2−t3の開始時のこのプログラムの遅延によって、モニタが、出力波形の様々なステージの各レベルシフト中に経験するような、電流の変動を無視することが可能になる。
図7に示されるプログラムのフローチャートでは、監視ステージ91からの安定性出力は、ブロック210として示されたコンピュータ・プログラムによって読み取られ、その出力は、時間t3の存在よって決定された各波形の終了において、ライン210a上のロジックによって示されるようにリセットされる。その結果、各波形の安定性は、ブロック210によって捕捉される。この捕捉した安定性データは、2つの別個の解析プログラムに従って処理される。
第1のプログラムは、通過(パス)解析ルーチン212を含む。所与の波形の安定性が、ブロック212に設定された所望の閾値を通過した場合に、この情報が、ライン214に出力される。特定の波形が、所望の閾値より低い安定性である場合に、ロジック信号が、ライン216上に出現する。カウンタ220,222は、各溶接サイクルの間に、ライン224上のロジックによって有効にされる。その結果、溶接サイクル中に、各波形の安定性パス信号が、カウンタ220又はカウンタ222のいずれかでカウントされる。当然のことながら、各段階状態t2−t3の第1の部分が無視されて、パラメータIaを安定化させることが可能になる。2つのカウンタの結果は、読み取りブロック220a,222aによってそれぞれ示されるように読み取られ、記憶され又は他に保持される。例示的な一実施形態では、カウンタステージ222によって累積された不安定性が、所望の数値を超える場合に、溶接サイクルは、ブロック226によって示されるように、拒絶される。
図7に示されるコンピュータ・プログラム200の第2の解析の実装が、ブロック230として示されている。これは、溶接サイクル中に有効にされるプログラムである。全ての波形の間に累積される溶接サイクルの総不安定性が、総数として解析され、ここで、100が、最も安定したアークである。この安定アキュムレータ及び解析ステージの出力が、ブロック236によって示されるように読み取られ、格納され又は他に保持される。読み取りステージ234が、設定された安定性を下回っている場合に、その後、溶接サイクルが、ブロック238によって示されるように拒絶される。当業者であれば、安定性ステージ91からモニタMの結果を解析するための他のプログラムを設計することができる。コンピュータ・プログラム200は、取得された重み付けされた安定性データを解析するための2つの実装形態を表す。2つの実装形態は、アーク安定性の性質や溶接部の品質問題に依存して選択的に有効にすることができ(一方又は他方のいずれか、或いは両方)、モニタは検出するように構成される。可変パルスに亘った安定性が取得できないので、波形の選択された段階状態のみで安定性を読み取ることが有利である。
別の例示的な実施形態によれば、モニタMのレベル監視ステージ81の結果を解析するためのコンピュータ・プログラム(すなわち、重み付けされた読み取り値)が、図8に示されている。この図示した実施形態では、レベル解析プログラム250は、フィルタ80cを用いた最小監視ステージ81a、及びフィルタ80dを用いた最大監視ステージ81bとして識別されるような2つの独立したルーチンにおいて、監視レベルステージ81からの出力を処理する。これらのステージのいずれかは、個別に使用するかすることができ、実際には、これらのステージが、組み合わされる。サブセクション81aは、イベントである図6に示される過渡部186の決定に関連しており、実際のパラメータは、閾値の最小値182を下回る。発生装置40からのライン202a上の最小レベルは、ステージ81aがプログラムステップ252によって選択された場合に、使用される。これらのイベントは、示されるような溶接サイクルのそれぞれについてブロック254でカウントされる。カウンタは、ライン254a上のロジックによる溶接サイクルの間に有効にされる。カウンタ254は、溶接サイクルで使用され作動される波形の合計である。波形の数は、ライン258で示されるように発生装置40の出力からの時間t3の発生をカウントすることにより取得される。以前に示したように、段階状態の第1の部分は、一般に、特定の段階状態の開始時に正常な不一致を除去するように無視される。ブロック260は、カウンタ256からの数値Nで割った監視ステージ81aからの累積最小イベント186を分割するためのコンピュータフローチャートのサブルーチンである。これは、サブルーチン262に提供された、溶接サイクルの間の最小過渡部の平均値を提供する。最小過渡部の平均値が、ブロック262aで示されるように読み取られ、格納され、又は他に出力される。この平均値が、波発生装置によって、或いはプログラムステップ264によって提供された特定の閾値数を超える場合に、プログラムルーチン266は、溶接サイクルが許容できないと判断する。許容可能な場合は、何も動作も行われない。しかしながら、この平均値が単に番号264に近づいていると許容可能なルーチン266が判断した場合に、警告信号が、ブロック266aによって提供される。総ての許容不可能性が、ルーチン266bによって溶接拒絶信号で提供される。当業者であれば、それが設定された閾値に関連する場合に、実際のパラメータの最小電流偏差又は過渡部の解析を行うための他のコンピュータ・プログラムを考案することができる。
図8では、最大監視ステージ81bが、最小ステージ81aと連動して動作する。最大レベルは、発生装置40からのライン202b上にあり、この最大レベルは、ステージ81bがプログラム270によって選択されたときに使用される。同様のデータ情報及びプログラムは、同じ番号を保持する。カウンタ272は、段階状態t2−t3の間に、イベント84の数をカウントする。サブルーチン280は、溶接サイクル中に形成された各種の波形状の間に、イベント184の平均値を提供する。ブロック282におけるこの平均値は、ブロック282aで示されるように読み取られ、格納され、又は他に使用される。ブロック286では、許容可能なサブルーチンが処理され、発生装置40により出力されたブロック284によって示される数値又は他にコンピュータ・プログラムによって実行された数値が、ブロック282からの平均値と比較され、平均値がブロック284によって示される設定した数値に近づいたときに、ブロック286aによって示されるような警告信号が提供される。その数値に達した場合に、拒絶サブルーチンが、ブロック286bによって示されるように実行される。
実際には、ステージ81aとステージ81bとが一緒に実現され、ブロック262及び282からの両方の過渡部の平均値が、読み取り許容数によって解析されて、特定の溶接サイクルの警告及び/又は拒絶を与える。結果として、実際には、最小レベル偏差が解析され、最大レベル偏差が解析され、総レベル偏差が解析される。この全てが、図8に模式的に示されるようなコンピュータ・プログラムによって達成される。レベルステージ81a,81bは、報告ロジック82と一緒に議論されるように格納され及び/又は表示されるレベル条件を出力する。レベルステージ81a,81bによって出力されるレベル条件は、本明細書で説明するように、重み付けすることができる。
上記を考慮すると、等級重みと時間寄与重みとの使用によって、パラメータの安定性のより正確な測定値が提供され、こうして、全体的な溶接品質が提供される。こうして、数値又はスコアを容易に理解することによって、溶接部の全体的な品質を定量化するために計算することができる。例示的な一実施形態では、0〜100又は0%〜100%の間の溶接スコアは、図1に示される例示的な実施形態によって監視されるように、監視対象の溶接条件又はパラメータに基づいて、溶接部について算出される。このような重み付け方法(例えば、図9に示され、以下で説明する重み付け方法900)は、例えば、レベル監視ステージ81、安定性監視ステージ91、又は類似の又は関連のデータ処理段階において実行することができる。
例示的な一実施形態によれば、重み付け方法900が、図9に示される。重み付け方法は、例えば、モニタMにおいて実現することができる。重み付け方法900の最初のステップ902において、溶接サイクルの波形は、一連の時間セグメント化された部分又は段階状態に分割される。次に、ステップ904において、段階状態の少なくとも1つに対応する溶接パラメータ(例えば、電圧、アンペア数)が、所定の速度でサンプリングされる。例示的な一実施形態では、サンプリング速度は120kHzである。例示的な一実施形態では、サンプリング速度は、120kHz以上である。例示的な一実施形態では、サンプリング速度を使用して、割り込みサービスルーチン(ISR)の処理の割り込みを生成することができる。
サンプリングされた溶接パラメータを使用して、溶接データを算出する。例示的な重み付け方法900において、溶接データは、実行回数、電圧の和、電圧の二乗和、アンペア数の合計、及びアンペア数の二乗和を含む。実行回数は、ゼロから始まり、各サンプリング期間(例えば、全て120kHz)に1つずつ増加する。電圧の和及びアンペア数の合計は、ゼロから始まり、各サンプリング周期でそれぞれ、サンプリングされた電圧とサンプリングされたアンペア数とによって増加する。同様に、電圧の二乗和及びアンペア数の二乗和が、ゼロから始まり、各サンプリング期間でそれぞれ、サンプリングされた電圧の二乗とサンプリングされたアンペア数の二乗とによって増加する。
所定のサンプリング期間の後に、ステップ906において、サンプリングされた溶接データが、(以下に説明されるように)さらなる処理のために通過され、溶接データ値がゼロにリセットされ、サンプリング処理(すなわち、ステップ904)が繰り返される。例示的な一実施形態では、サンプリング期間は、250ミリ秒である。サンプリングされた溶接部の各収集データが、解析パケットを形成する。解析パケット(例えば、250ms毎)をさらに処理した後に、追加の溶接データは、対応する段階状態の現在の溶接品質の評価を表すことが可能である。この追加の溶接データは、グラフ化及び/又は平均化することができる。溶接部の長さ(すなわち、溶接サイクル)に亘ったこれらの評価の平均値は、溶接部の全体的な品質指標を提供する。
サンプリングされた段階状態のそれぞれについて、ステップ906で発生するような各解析パケットの溶接データの更なる処理が、追加の溶接データの算出にもたらされる。追加の溶接データは、実行回数、電圧平均、電圧二乗平均平方根(RMS)、電圧分散、アンペア数の平均値、アンペア数のRMS、及びアンペア数の分散を含む。追加の溶接データの実行回数の値が、溶接データの実行回数の値からコピーされる。電圧平均値は、(溶接データからの)電圧の和を実行回数で割ったものとして算出される。電圧のRMSが、(溶接データからの)電圧の二乗和を実行回数で割って得られた商の平方根として算出される。電圧分散は、電圧RMSから電圧平均値を引いたものとして算出される。アンペア数の平均値は、(溶接データからの)アンペア数の合計を実行回数で割ったものとして算出される。アンペア数のRMSは、(溶接データからの)アンペア数の二乗和を実行回数で割って得られた商の平方根として算出される。アンペア数の分散は、アンペア数のRMSからアンペア数の平均値を引いたものとして算出される。
ステップ906の後に、その後の処理は、現在の溶接が、溶接品質パラメータを決定する際に使用されるトレーニング溶接、又は溶接品質パラメータに対して評価される通常の溶接であるかどうかに依存する。従って、ステップ908において、現在の溶接が、トレーニング溶接か、又は通常の溶接であるかどうかが判定される。例示的な一実施形態では、デフォルト条件は、溶接が、(例えば、ユーザ入力によって)他に示されない限り、通常の溶接である。
現在の溶接が、トレーニング溶接であるとステップ908で判定された場合に、以下の追加の溶接データ値が、トレーニング溶接のかなりの部分(例えば、20〜30秒)について保存される:そのデータ値は、実行回数、電圧平均値、電圧分散、アンペア数の平均値、及びアンペア数の分散であり、他の溶接データ値及び追加の溶接データ値は、無視することができる。トレーニング溶接のかなりの部分がトレーニング期間である。例示的な一実施形態では、トレーニング期間は、少なくとも80個の連続する解析パケット(すなわち、サンプリング期間)に相当する。
その後、ステップ910において、溶接品質パラメータは、トレーニング期間の間に、保存された追加の溶接データ値を用いて算出される。例えば、以下の溶接品質パラメータが、サンプリングされた段階状態のそれぞれについて算出される:そのパラメータは、品質の実行回数の平均値、品質の実行回数の標準偏差、品質の電圧平均値、品質の電圧標準偏差、品質のアンペア数の平均値、品質のアンペア数の標準偏差、品質の電圧分散平均、品質の電圧分散の標準偏差、品質のアンペア数の分散平均、及び品質のアンペア数の分散標準偏差である。
品質の実行回数の平均値は、トレーニング期間中に処理された全ての解析パケットからの実行回数の平均値として算出される。実行回数は、整数に四捨五入することができる。品質の実行回数の標準偏差は、高品質の実行回数の平均値に対するトレーニング期間中に処理された各解析パケットからの実行回数の標準偏差として算出される。品質の電圧平均値は、トレーニング期間中に処理された全ての解析パケットからの電圧平均の平均値として算出される。品質の電圧標準偏差は、品質の電圧平均値に対するトレーニング期間中に処理された各解析パケットからの電圧平均値の標準偏差として算出される。品質のアンペア数の平均値は、トレーニング期間中に処理された全ての解析パケットのアンペア数の平均の平均値として算出される。品質のアンペア数の標準偏差は、品質のアンペア数の平均値に対するトレーニング期間中に処理された各解析パケットからのアンペア数の平均値の標準偏差として算出される。品質の電圧分散平均は、トレーニング期間中に処理された全ての解析パケットからの電圧分散の平均値として算出される。品質の電圧分散の標準偏差は、品質の電圧分散に対するトレーニング期間中に処理された各解析パケットからの電圧分散の標準偏差として算出される。品質のアンペア数の分散平均は、トレーニング期間中に処理された全ての解析パケットからのアンペア数の分散の平均値として算出される。品質のアンペア数の分散標準偏差は、品質のアンペア数の分散に対するトレーニング期間中に処理された各解析パケットからのアンペア数の分散の標準偏差として算出される。上述したように、確認された良好な又は他に許容可能な溶接部の提供に基づいて、これらの品質パラメータは、ベンチマークとして使用されて、後続の溶接部を測定又は他に評価することができる。
現在の溶接は、トレーニング溶接とは対照的に、ステップ908において評価すべき溶接(すなわち、その品質の評価を必要とする溶接)であることが判定された場合は、溶接データ又は追加の溶接データのいずれも、保存する必要がない。その代わりに、様々な品質の算出された結果が、取得され、且つ保存される。これらの品質の算出は、ステップ914において、様々な外れ値の存在を最初に検出することを含む。外れ値は、データポイント又は値が寄与するような平均値から閾値距離よりも大きいデータポイント又は値である。例示的な一実施形態では、外れ値は、平均値から標準偏差の3倍の範囲外に存在する値となる。
重み付け方法900において、ステップ914で求めた外れ値は、実行外れ値、電圧の外れ値、電圧分散の外れ値、アンペア数の外れ値、及びアンペア数の分散外れ値を含む。監視対象の段階状態のそれぞれについて、解析パケットのそれぞれを評価して、これらの外れ値のいずれかの存在を検出する。
解析パケットが、以下の関係を満たしている場合に、実行外れ値とみなされる:(実行回数−品質の実行回数の平均値)の絶対値>(3x品質の実行回数の標準偏差)。解析パケットが、以下の関係を満たしている場合に、電圧外れ値とみなされる:(電圧の平均値−品質の電圧平均値)の絶対値>(3x品質の電圧標準偏差)。解析パケットが、以下の関係を満たしている場合に、電圧分散の外れ値とみなされる:(電圧分散−品質の電圧分散の平均値)の絶対値>(3x品質の電圧分散の標準偏差)。解析パケットが、以下の関係を満たしている場合に、アンペア数の外れ値とみなされる:(アンペア数の平均値−品質のアンペア数の平均値)の絶対値>(3x品質のアンペア数の標準偏差)。解析パケットが、以下の関係を満たしている場合に、アンペア数の分散外れ値とみなされる:(アンペア数の分散−品質のアンペア数の分散平均)の絶対値>(3x品質のアンペア数の分散標準偏差)。
これらの外れ値を検出した後に、各外れ値の2つのステップ(すなわち、ステップ916及び918から)の重み付けの和は、対応する解析パケットについての品質指標を算出する際に使用される。
外れ値のそれぞれを重み付けする第1のステップ(すなわち、ステップ916)は、3つの標準偏差の限界に対する外れ値の等級重み(大きさ)によって決定される。一般的に、データポイント又は値の約0.3%が、3つの標準偏差の限界から外れる可能性があり、こうして、外れ値とみなされる。外れ値の重み付けは、その外れ値が3つの標準偏差の限界を超えるように増加するにつれて増加する。外れ値は、4つの標準偏差で全100%の重み付けをされ、5つの標準偏差で最大200%の重み付けをされる。一般的に、通常のデータセットに生じる完全に(すなわち100%)重み付けされた外れ値の確率は、15787分の1の確率である。
このように、ステップ916において、外れ値のそれぞれが、このアプローチに従って重み付けされる。各実行外れ値に適用される重みは、最大重み付け値が2.0であるように、(3つの標準偏差の限界/品質の実行回数の標準偏差を超える量の)絶対値として算出される。各電圧外れ値に適用される重みは、最大重み付け値が2.0であるように、(3つの標準偏差の限界/品質の電圧標準偏差を超える量の)絶対値として算出される。各電圧分散の外れ値に適用される重みは、最大重み付け値が2.0であるように、(3つの標準偏差の限界/品質の電圧分散の標準偏差を超える量の)絶対値として算出される。各アンペア数の外れ値に適用される重みは、最大重み付け値が2.0であるように(3つの標準偏差の限界/品質のアンペア数の標準偏差を超える量の)絶対値として算出される。各アンペア数の分散外れ値に適用される重みは、最大重み付け値が2.0であるように、(3つの標準偏差の限界/品質のアンペア数の分散の標準偏差を超える量の)絶対値として算出される。
外れ値のそれぞれを重み付けする第2のステップ(すなわち、ステップ918)は、外れ値の段階状態の実行回数によって決定される。特に、各外れ値の値は、外れ値の段階状態の実行回数によって乗算され、それによって全体的な波形に対する段階状態の時間寄与が考慮される。このように、より大きな実行回数を有する段階状態(すなわち、実行時間)は、対応するより重い重み付けを外れ値に提供する。その結果、特定の外れ値の実行時間が増加するにつれて、外れ値の重みも増加する。
ステップ916及び918において、外れ値の重みは、最終的な重み付けされた実行外れ値や、最終的な重み付けされた電圧の外れ値、最終的な重み付けされた電圧分散外れ値、最終的な重み付けされたアンペア数の外れ値、及び最終的な重み付けされたアンペア数の分散外れ値を含むような最終的な重み付けされた外れ値のセットを生成する。これらの最終的な重み付けされた外れ値は、ステップ920で合計されて、各解析パケットについて合計された最終的な重み付けされた外れ値を生成する。その後、解析パケットのそれぞれについての品質指標の決定は、ステップ922において、完全な品質値−(マイナス)最終的な重み付けされた外れ値の和を、完全な品質値によって割って取得された商として算出される。完全な品質値は、外れ値のカテゴリの数(すなわち、この場合は5)を乗じた解析パケットの実行回数に等しい。
こうして、瞬間的な品質指標(すなわち、現在の完成した解析パケットの瞬間的な品質指標)は、溶接プロセス中に決定され、且つ溶接機に通信され又は他に利用することができる。このように、潜在的な問題は、溶接が完了した後のみとは対照的に、任意の是正処置を取るには非常に遅過ぎる場合に、それら潜在的な問題が、すなわち溶接プロセスの間に発生したときに、検出される。
また、溶接プロセス中の任意の時点までに集計された品質指標の平均値は、その時点までの溶接部の品質指標を決定するために平均化される。例えば、溶接プロセスが完了した後に、個別の品質指標の全てが、全体的な品質指標、スコア、グレード、完成した溶接部の格付け等を取得するために平均化される。溶接部の全体的な品質指標は、許容可能な溶接部の最小品質指標値を反映するような(例えば、トレーニング溶接に由来する)所定の品質指標と比較される。
このように、溶接部の品質は、正確に、効率的に、一貫して、及び/又は自動的に、リアルタイムで又はほぼリアルタイム判断することができる。これは、溶接部の目視検査は、その品質を測定するのに必ずしも十分ではなく、且つオペレータが、全体的な溶接品質に影響を与えるような、溶接プロセス中の偏差又は他の問題を検出又は他に評価していない可能性があるため、特に有利である。
いくつかの例示的な実施形態では、溶接部の品質指標(すなわち、溶接スコア)は、実質的に同じ条件で、及び自動化された(例えば、ロボット)溶接プロセス中等の実質的に同一のアーク溶接プロセスに従って繰り返し製造された溶接部を評価するための効果的なツールである。各溶接について、瞬間的な、定期的、及び/又は全体的な溶接スコアを算出することにより、自動化された品質管理プロセスを、アーク溶接プロセスに適合させることができる。特に、許容可能な溶接スコアの最小値又は許容可能な溶接スコアの範囲は、溶接条件及びアーク溶接プロセスに従って、閾値として最初に同定される。その後、各溶接部は、閾値に対して迅速に比較された(瞬間的な、定期的な、及び/又は全体的な)溶接スコアを有しており、且つ溶接が許容可能である又は拒絶すべきかどうかを正確に決定する。さらに、生産工程又は生産工程のセットについて溶接スコアの全体の傾向を評価することにより、製造プロセスにおける問題を、より容易に同定することができ、及び/又は製造プロセスを、より容易に最適化することができる。
概念的な製造ライン1000が、図10に示されており、ここで、第1の溶接スコアS1 1002、第2の溶接スコアS2 1004、及び第3の溶接スコアS3 1006が、それぞれ、一体型モニタM1016を含む溶接機や溶接ステーション1014によって、第1のワークWP1 1008、第2のワークWP2 1010、及び第3のワークWP3 1012上で実行される溶接部に関連付けられる。当業者であれば、異なる溶接を、同じワークに対して行なえることを理解するであろう。
溶接スコアは、次に、所定の許容可能な溶接スコア閾値と比較されて、溶接部のそれぞれが、許容可能か又は拒絶すべきかどうかが決定される。この比較は、溶接機/溶接ステーションによって、又は別のデバイスによって、又は別の場所(例えば、評価ステーション1018)で行うことができる。例示的な一実施形態では、溶接スコアと閾値との間の比較が、手動で行われる。例示的な一実施形態では、自動及び手動の比較が行われる。例示的な一実施形態では、溶接スコアを使用して、対応する溶接部の手動検査が保証されているかどうかが判定される。例示的な一実施形態では、溶接スコアを少なくとも部分的に使用して、製造ラインの全体的な効率が決定される。
例示的な一実施形態では、1つ以上の評価ステーション1018は、製造ライン1000に沿って位置しており、製造プロセスの指定されたステージでの溶接部を測定する。溶接部の溶接スコアが所定の許容可能な溶接スコア閾値を満たしているか又は超えていると評価ステーション1018が判断した場合に、評価ステーション1018は、受け入れ溶接コマンド1020を発行することにより、溶接部を受け入れる。受け入れ溶接コマンド1020に応答して、許容可能な溶接部を含むワークは、更なる処理のために製造ライン1000に沿って進むことが可能になる。
逆に、溶接部の溶接スコアが所定の許容可能な溶接スコア閾値を下回ると評価ステーション1018が判断した場合に、評価ステーション1018は、溶接拒絶コマンド1022を発行することにより、溶接を拒絶する。溶接拒絶コマンド1022に応答して、許容できない溶接部を含むワークが、製造ライン1000の順路から外され、又は他に製造ライン1000から取り外される(例えば、手動で取り外される)。その後、拒絶された溶接部を含むワークは、例えば、拒絶された溶接部を修復する又は他に補修する、又はワークを完全にリサイクルするようなさらなる処理に供することができる。
例示的な一実施形態では、各受け入れ溶接コマンド1020及び/又は溶接拒絶コマンド1022が、後で確認や解析のために記録され、又は他に格納される。このように、溶接プロセス及び/又は製造プロセスに関する傾向を、より容易に同定することができ、次に、その傾向によって、溶接プロセスを利用する製造ラインの全体的な効率を容易に増加させることができる。
いくつかの例示的な実施形態では、溶接について計算された品質指標(すなわち、溶接スコア)は、指示を提供するか、他にアーク溶接プロセスを手動で実行するオペレータを教えるように革新的なアプローチで使用することができる。特に、オペレータが、溶接機(例えば、電気アーク溶接機10)を使用して溶接部を形成する際に、瞬間的な及び/又は定期的な溶接スコアが、溶接機によって(例えば、溶接機のモニタMを介して)溶接部について決定され、且つ溶接部の現在の品質に関するオペレータへの直接的なフィードバックを提供するために使用される。上述したように、これらの溶接スコアは、溶接部の単なる目視検査と比較して、溶接品質をより正確に反映するような重み付けされた統計的な測定値に基づいている。特に、溶接スコアは、所定の許容可能な溶接スコア又は許容可能な溶接スコアの範囲に対して比較され、是正措置がオペレータに必要であるかどうかが決定される。さらに、溶接スコアは、経時的に評価されて、(例えば、溶接スコアの継続的な減少によって証明されるように)許容可能な溶接スコアから離れる方向に移動するような傾向が存在するどうかが決定される。
例示的な一実施形態では、指示1100の方法が、図11に示される。方法1100は、ステップ1102において、オペレータによって溶接プロセスの実行が開始される。
溶接プロセスの間に、溶接スコアは、溶接部の現在の段階状態を反映するために、ステップ1104において、(1つ又は複数のサンプリングされたパラメータ又は他に測定されたパラメータに基づいて)定期的に算出される。溶接スコアは、溶接部の現在の段階状態を反映する瞬間的な測定値として、又は溶接プロセス中の時間(測定値に対応する)所定期間に亘った溶接部の段階状態を反映するようないくつかの測定値の平均値として算出することができる。例示的な一実施形態では、溶接スコアは、溶接部の現在の全体的な段階状態を反映するような、溶接プロセスの開始から取得された全ての測定値を平均値することによって算出される。
次に、溶接スコアが、ステップ1106において、所定の溶接スコア閾値と比較される。溶接スコア閾値は、良好な又は他に許容可能な溶接段階状態についての最小溶接スコアである。溶接スコアが、溶接スコア閾値以上である場合に、溶接部の現在の段階状態は、ステップ1108において良好であると判定される。そうでない場合に、溶接部の現在の段階状態は、ステップ1108において不良と判定される。
溶接の現在の段階状態が良好である場合に、オペレータには、ステップ1110において、溶接が良好であるという指標が提供され、この指標は、溶接プロセスが適切に実行されていることを示唆する。その後、溶接の現在の段階状態が、後で確認、解析、及び/又は他の使用のために、ステップ1112において、記録される。上述したように、指示1100の方法は、次に、オペレータによって実行される溶接プロセスの監視を継続する。
溶接の現在の段階状態が悪い場合に、オペレータには、ステップ1114において、溶接が不良であるという指標が提供され、この指標は、溶接プロセスが不適切に実行されていることを示唆する。その後、溶接の現在の段階状態が、後で確認、解析、及び/又は他の使用のために、ステップ1118において、記録される。上述したように、指示1100の方法は、次に、オペレータによって実行される溶接プロセスの監視を継続する。
上述した指標は、溶接プロセス中にオペレータに通知するのに十分な任意の方法でオペレータに提供することができる。例示的な一実施形態では、指示は、溶接機に一体化された又は溶接機に近接するディスプレイ装置上等に、視覚的にオペレータに提供される。例示的な一実施形態では、指示は、オペレータが着用した保護バイザー又はヘッドギアに視覚的に表示される。例示的な一実施形態では、指示は、溶接機に一体化された又は溶接機に近接するスピーカ等を介して、聴覚的にオペレータに提供される。例示的な一実施形態では、指示は、オペレータが着用した保護ヘッドギアに聴覚的に再生される。
例示的な一実施形態では、溶接部の現在の段階状態が悪い場合に、オペレータがどのような是正措置を取るべきであるかの指示を、ステップ1116において受け取る。例示的な一実施形態では、指示が、溶接プロセス中にリアルタイムで提供される。指示は、例えば、ワークに対する電極(すなわち、ワイヤ)位置の推奨変更位置、又はワークに対するワイヤの移動速度の推奨変更速度を含むことがある。
様々な装置や技術を使用して、検証された良好な溶接部をもたらすような、溶接プロセス中のオペレータ及び/又は溶接条件をモデリングする、及び得られたモデルデータを使用して同様の条件下で同様の溶接プロセスを実行する他のオペレータを評価するために、取るべき可能な是正措置を決定することができる。人工知能及び関連するシミュレーションが、このようなモデルを構築するために使用することもできる。さらに、センサが、このようなモデルを構築するために使用することができる。
例示的な一実施形態では、1つ又は複数のセンサを使用して、例えば、ワークの現在の温度、供給されるシールドガスのレベル、及び/又はシールドガスの組成等の、溶接プロセスの態様を決定する。例示的な一実施形態では、1つ又は複数のセンサを使用して、例えば、風の条件及び/又は湿度条件等の溶接プロセスに影響を与えるような環境条件を決定する。例示的な一実施形態では、1つ又は複数のセンサを使用して、例えば、ワークからオペレータの手までの距離及び/又はワークからオペレータへの手の角度等の溶接プロセスに影響を与えるようなオペレータ条件を決定する。これら又は他のセンサからのデータは、データをモデル化するために比較され、オペレータがどのような是正措置を取るべきかの指示を同定する。
例示的な一実施形態では、是正措置の指示は、溶接機に一体化された又は溶接機に近接するディスプレイ装置上等に、オペレータに視覚的に提供される。例示的な一実施形態では、指示は、オペレータが着用した保護バイザー又はヘッドギアに視覚的に表示される。例示的な一実施形態では、指示は、溶接機に一体化された又は溶接機に近接するスピーカ等を介して、オペレータに聴覚的に提供される。例示的な一実施形態では、指示は、オペレータが着用した保護ヘッドギアに聴覚的に再生される。
こうして、指示1100の方法は、溶接プロセス中にオペレータにリアルタイムのフィードバックを提供し、それによって、オペレータは、溶接が良い条件から悪い条件に向けていつ頃移動するか、溶接が悪い条件から良い条件に向けていつ頃移動するかを容易に知ることになる。さらに、指示1100の方法は、溶接部の現在の(従って全体的な)条件を改善することを意図した是正措置を提案することができる。溶接条件の変化が、多くの場合、オペレータの動作に起因しているので、(推奨された是正措置を含む)指示1100の方法によって提供されるフィードバックは、オペレータにとって良好な溶接技術を教える。さらに、オペレータの良好な溶接技術は、良好な溶接の段階状態の継続的な確認により補強される。
指示1100の方法又はこれらの態様は、容易に適合させることができ、又は他にシミュレートされた溶接プロセスに適用させることができる。例示的な一実施形態では、指示1100の方法は、バーチャルリアリティ技術を利用した溶接シミュレータに適用される。
いくつかの例示的な実施形態では、オペレータによって実行される溶接について計算された品質指標(すなわち、溶接スコア)は、グレード(評価)が一般的な教育においてどの様に使用されるかと同様にして、特定の溶接機、溶接プロセス、又は溶接コースに関してオペレータを認定する革新的なアプローチで使用することができる。例えば、指示1100の方法又はこれらの態様に従って算出された溶接スコア(例えば、全体的な溶接スコア)が、オペレータを認定するための便利なプラットフォームを提供する。オペレータは、溶接機、溶接プロセス、又は溶接コースに関して認定された所定の溶接スコア閾値を超えるような溶接スコアを取得する必要がある。オペレータが認定に失敗した場合に、指示1100の方法は、オペレータに対して改善を必要とする分野を同定することができる。本明細書で説明されるように、(例えば、溶接機において又は溶接機の外部で実行されるソフトウェアによって提供される)追加的な機能は、オペレータを認定するのに有用である他のパラメータを測定するために使用することができる。例えば、指示1100の方法は、溶接プロセス中又は経過中に、オペレータが実際の溶接にどの位の時間を費やしたかを追跡することを含むように変更することができる。別の例として、指示1100の方法は、溶接プロセス中又は経過中に、オペレータによって使用される消耗品(例えば、ワイヤ)の量を追跡することを含むように変更することができる。
オペレータを認定するために使用することに加えて、溶接スコア(及び他のパラメータ)は、あるオペレータを別のオペレータと区別するためにも使用することができる。例えば、2人のオペレータの両方が合格点を達成し、特定の溶接機、溶接プロセス、又は溶接コースに関して認定されたにもかかわらず、2つのオペレータのスコアが、大幅に異なる場合がある。従って、はるかに高いスコアを持つ認定されたオペレータが、より低いスコアを有する別の認定されたオペレータと比較して選択することができる。
いくつかの例示的な実施形態では、溶接について計算された品質指標(すなわち、溶接スコア)及び他の関連するパラメータ及び情報は、複数の訓練生に溶接技術、プロセス、プログラム、コース等を教えるインストラクターを補助するために使用することができる。溶接クラスは、多くの場合、理論的な構成要素と実用的な構成要素とを含む。理論的な構成要素は、教室や類似の設定で講義、ディスカッション、又はデモの形で一般的に教えられる。典型的に、溶接学校や訓練生を教育する他の環境において、クラスの実用的な構成要素は、工場内の溶接ステーションと同様に、ブース等の個別の場所を含む。各訓練生は、コースの実用的な構成要素を実行するために自分のブースが割り当てられる。
また、各訓練生がクラスの理論的な構成要素にどの位の時間を費やしているのかを、例えば、各訓練生のクラスの出席及び/又は理論的な構成要素に関連する議論中の参加を追跡することにより、概算するのでインストラクターにとってむしろ容易である。しかしながら、インストラクターは全ての時間に亘って全てのブースにいないため、各訓練生が、クラスの実用的な構成要素に実際にどの位時間を費やすかを測定することはインストラクターにとって困難である。例えば、ブースは、インストラクターの視線が一度に単一のブース、すなわちインストラクターが現在存在するようなブースにのみ向けられるように構築及び/又は配置してもよい。他のブースの訓練生は、インストラクターに知られることなく、溶接以外の何か(例えば、食事、睡眠、電話で話すこと)をやっている可能性がある。任意の時点で、どの訓練生がインストラクターの個人的な関心から最も恩恵を受けるであろうことを容易に決定することもインストラクターにとっては困難である。このように、インストラクターは、別の訓練生がインストラクターの個人的な関心に対してより大きな関心を向ける必要があるにもかかわらず、一人の訓練生に時間を捧げることに終始してしまう可能性がある。
例示的な一実施形態によれば、アーク溶接プロセス等の溶接技術、プロセス、プログラム、コース等を学習する訓練生を監視するシステム1200が、図12に示されている。システム1200は、8つのブース1204,1206,1208,1210,1212,1214,1216,1218が配置されるような教室やショップ等の指示1202の領域を含む。ブースのそれぞれは、溶接機を含む。特に、第1の溶接機W1 1220は第1のブース1204に位置しており、第2の溶接機W2 1222は第2のブース1206に位置しており、第3の溶接機W3 1224は第3のブース1208に位置しており、第4の溶接機W4 1226は第4のブース1210に位置しており、第5の溶接機W5 1228は第5のブース1212に位置しており、第6の溶接機W6 1230は第6のブース1214に位置しており、第7の溶接機W7 1232は第7のブース1216に位置しており、第8の溶接機W8 1234は第8のブース1218に位置している。さらに、訓練生が各ブースに割り当てられる。特に、第1の訓練生S1 1236は第1のブース1204で作業するように割り当てられており、第2の訓練生S2 1238は第2のブース1206で作業するように割り当てられており、第3の訓練生S3 1240は第3のブース1208で作業するように割り当てられており、第4の訓練生S4 1242は第4のブース1210で作業するように割り当てられており、第5の訓練生S5 1244は第5のブース1212で作業するように割り当てられており、第6の訓練生S6 1246は第6のブース1214で作業するように割り当てられており、第7の訓練生S7 1248は第7のブース1216で作業するように割り当てられており、第8訓練生S8 1250は、第8のブース1218で作業するように割り当てられている。
指示1202の領域は、インストラクター1252が、訓練生と対話するためにあるブースから別のブースに自由に移動できるように位置している。
例示的な一実施形態では、溶接機W1,W2,W3,W4,W5,W6,W7,W8のそれぞれは、図1に示した溶接機10等の一体化されたモニタMを含む。訓練生が溶接機を使用して溶接を形成するときに、瞬間的及び/又は定期的な溶接スコアは、(モニタMを介して)溶接機によって溶接について決定され、且つ溶接部の現在の品質に関して訓練生への直接的なフィードバックを提供するために使用される。本明細書で説明するように、これらの溶接スコアは、溶接部の単なる目視検査と比較して、溶接品質をより正確に反映するような、重み付けされた統計的測定値に基づいている。具体的には、溶接スコアは、所定の許容可能な溶接スコア又は(例えば、以前のベースラインの溶接から確認された)許容可能な溶接スコアの範囲と比較されて、是正措置が訓練生に必要であるかどうかが判断される。さらに、溶接スコアは、(例えば、溶接スコアの継続的な減少によって証明されるように)許容可能な溶接スコアから離れる方向に移動する傾向が存在するかどうかを決定するために経時的に評価される。
溶接機W1,W2,W3,W4,W5,W6,W7,W8のそれぞれは、ネットワーク1256を介して生産監視システム(PMS)1254と通信する。ネットワーク1256は、有線又は無線ネットワークであってもよい。例示的な一実施形態では、ネットワーク1256は、イーサネット・ネットワークである。
PMS1254は、本考案の一般的概念の精神及び範囲から逸脱することなく、ソフトウェア、ハードウェア、及びこれらの組み合わせを用いて実行することができる。例示的な一実施形態では、PMS1254は、ディスプレイ装置1258及びこのディスプレイ装置1258に接続されたデータ記憶装置1260等の周辺機器と一緒に、汎用コンピュータ(例えば、PC)上で動作するソフトウェアとして実装される。例示的な一実施形態では、PMS1254は、モニタMの場合のように、溶接機のそれぞれと一体化されたロジックを含むことができる。上述したように、PMS1254は、ネットワーク1256を介して溶接機W1,W2,W3,W4,W5,W6,W7,W8とのデータ通信を行う。
PMS1254は、例えば、記録された各溶接部の統計データを備えた、短期及び長期の溶接ログを収集するように動作可能である溶接データ収集及び監視ツールである。PMS1254は、また、ワイヤ消費量等の他の製造関連のパラメータ及び条件を追跡することもできる。システム1200において、PMS1254は、溶接機W1,W2,W3,W4,W5,W6,W7,W8のそれぞれからデータを収集して、溶接部を形成する際にそれぞれの訓練生S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7,S8が費やす時間の量を決定する。訓練生S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7,S8のそれぞれによって費やされる時間の量(すなわち、溶接時間)は、PMS1254によって、後の検索及び使用のためにデータ記憶装置1260に保存することができる。さらに、PMS1254は、ネットワーク1256を介して溶接機W1,W2,W3,W4,W5,W6,W7,W8のそれぞれから溶接スコアを受け取り、次に、その溶接スコアは、PMS1254によって、後の検索及び使用のためにデータ記憶装置1260に保存することができる。このように、PMS1254は、複数の評価期間に亘って複数の訓練生についての溶接時間及び溶接スコアのログを生成して格納することができ、これらのログは、訓練生を教育し且つ評価する際にインストラクター1252にとって多大なリソースとすることができる。
さらに、PMS1254は、リアルタイムで、ディスプレイ装置1258上に訓練生S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7,S8それぞれの現在の溶接スコアと組み合わされた、訓練生S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7,S8それぞれの現在の溶接時間を表示することができる。このように、インストラクター1252は、ディスプレイ装置1258を確認することにより、各訓練生とそれぞれの溶接部との現在の段階状態の瞬間的な且つ正確な評価を得ることができる。これによって、インストラクター1252が、最大の関心を示すようなこれら訓練生との関係で訓練生を指導する時間をより良く比例させることを可能にする。
システム1200において、溶接時間及び溶接スコアは、例えば、数値データ及び/又はグラフィックデータとして任意の方法で表示することができる。例示的な一実施形態では、PMS1254は、ウェブブラウザを介して、データへのアクセス、データの表示、レポートの作成等をサポートするようなウェブベースのユーザインターフェイスを提供する。
システム1200は、多数の訓練生だけでなく、複数のインストラクターにも対応するために容易に拡張可能である。
例示的な一実施形態では、アーク溶接プロセス等の溶接技術、プロセス、プログラム、コース等を学習する訓練生を監視する方法1300が、図13に示される。方法1300は、ステップ1302においてアーク溶接プロセスを実行する複数の訓練生を含む。例示的な一実施形態では、訓練生は、実質的に同一の条件下で実質的に同時に同じアーク溶接プロセスを実質的に行なう。
アーク溶接プロセス中に、溶接スコアが、ステップ1304において、各訓練生について(1つ以上のサンプリングされた又は他に測定されたパラメータに基づいて)定期的に算出されて、訓練生の溶接部の現在の段階状態を反映する。溶接スコアは、訓練生の溶接部の現在の段階状態を反映するような瞬間測定値として、又はアーク溶接プロセス中の(測定値に対応する)一定時間に亘って訓練生の溶接部の段階状態を反映するようないくつかの測定値の平均値として算出することができる。例示的な一実施形態では、訓練生の溶接スコアは、アーク溶接プロセスを開始してから取得された全ての測定値を平均化することによって算出され、この溶接スコアは、訓練生の溶接部の現在の全体的な段階状態を反映する。
方法1300の評価期間中に、アーク溶接プロセスを行うのに費やした各訓練生の時間の量(すなわち、実際の溶接時間)が、ステップ1306において決定される。各訓練生の溶接機から収集された操作データを使用して、訓練生の溶接時間を決定することができる。
各溶接スコアは、ステップ1308においてその対応する訓練生に関連付けられる。同様に、各溶接時間は、ステップ1308においてその対応する訓練生に関連付けられる。各訓練生に割り当てられた溶接機からの識別情報(例えば、シリアル番号)を使用して、溶接機から収集された及び/又は溶接機によって生成されたデータ(例えば、溶接スコア、溶接時間)をそれぞれの訓練生に関連付けることができる。
一旦、溶接スコア及び溶接時間が、それぞれの訓練生に関連付けられると、この情報は、ステップ1310において、任意の方法で出力することができる。例えば、全ての訓練生のレポート、訓練性のそれぞれの溶接スコア、及び溶接時間が、モニタ等のディスプレイ装置に出力することができる。別の例として、訓練生の情報と訓練性それぞれの溶接スコア及び溶接時間とが、後の検索及び使用のためにディスクドライブ又はフラッシュドライブ等のデータ記憶装置に記録及び格納することができる。例示的な一実施形態では、情報は定期的に出力される。例示的な一実施形態では、情報は、評価期間の終了時に出力される。
溶接スコア及び/又は溶接時間を使用して、訓練生についての追加の識別情報を生成することができる。例えば、訓練生についての溶接スコア及び/又は溶接時間を、所定の閾値と比較することができる。このように、訓練生についての溶接スコア及び/又は溶接時間に基づいて、合格又は不合格の判定が、訓練生の溶接部について決定することができる。
いくつかの例示的な実施形態では、溶接部について計算された溶接スコアは、溶接プロセスの潜在的なコスト削減を同定するために革新的なアプローチで使用することができる。例示的な一実施形態では、コスト分析(例えば、費用対効果の分析、費用対利益の分析)が、溶接プロセスに従って行われる一連の溶接部に基づいて、溶接プロセスについて行われる。図14A−図14Bに示されるように、例示的な溶接部に対応するデータ1400は、コスト分析を行う際に使用することができる。
最初に、全体的な溶接品質に影響を与えるような複数の溶接条件1402が選択される。例えば、図14A及び図14Bにおいて、溶接条件1402には、ワイヤの特性(例えば、ワイヤ組成1404、線径、コーティング)、ワーク特性(例えば、ワーク組成1406、ワークの厚さ)、シールドガス流量1408、シールドガス組成物1410、及び/又はワーク予熱温度1412が含まれる。次に、これらの溶接条件1402のうちの1つが、1414で示されるように、一連の溶接部に亘って変化する一方、残りの全ての溶接条件1402が、1414で示されるように、一連の溶接部に亘って全体で、固定される。
一連の各溶接部について、溶接スコア1416は、現在の溶接条件1402,1414に基づいても算出される。溶接部スコア1416は、溶接条件下で形成された溶接部の全体的な品質の尺度を表す。上述したように、これらの溶接スコアは、溶接部の単なる目視検査と比較して、溶接品質をより正確に反映するような重み付けされた統計的測定に基づいている。
さらに、一連の各溶接部について、溶接部を形成するコストが決定される。例示的な一実施形態では、コストは、溶接の金銭的コスト1418として表されるような、溶接部の製造に関連する金銭的な支出を含む。例示的な一実施形態では、コストは、溶接の時間コスト1420として表されるような、溶接部を完成するために必要な合計時間を含む。一連の各溶接部は、その対応する溶接スコア及びコストに関連付けられる。
図14A及び図14Bはそれぞれ、一連の溶接部の2つの溶接用データ1400を含んでおり、溶接条件1402の中で、ワイヤ組成1404、ワーク組成1406、シールドガス組成1410及びワーク予熱温度1412が、1414に示されるように、一連の溶接部に亘って固定される一方、シールドガス流量1408が、1414に示されるように、一連の溶接部に亘って変化する(例えば、徐々に増加又は減少する)。
図14Aに対応する溶接部について、aの金銭的コスト1418、bの時間コスト1420、及びcの溶接スコア1416が、算出され又は他に決定される。図14Bに対応する溶接部について、dの金銭的コスト1418、eの時間コスト1420、及びfの溶接スコア1416が、算出され又は他に決定される。こうして、a<d、b<e、及びc=fと決定された場合に、コスト削減と時間削減との両方が、図14Bのシールドガス流量1408と比較して、図14Aのシールドガス流量1408によって全体的な溶接品質の低下なしに実現されるので、図14Aのシールドガス流量1408が、図14Bのシールドガス流量1408よりも優れていると推定することができる。代わりにa<d、b>>e、及びc=fと決定された場合に、図14Aのシールドガス流量1408は、全体的な溶接品質の低下なしにコスト削減を提供するが、図14Bのシールドガス流量1408と比較して、時間コストの実質的な増加を提供すると推定することができる。
このように、ユーザは、影響(インパクト)を容易に特定し、変更された溶接条件が、一連の、こうして対応する溶接プロセスに全体的な溶接品質を有する。このように、ユーザは、溶接条件を(どのようにして)変化させることによって、ユーザが、より望ましい溶接品質、より望ましいコスト、又はこれら両方を取得することを可能にするかどうかを決定することができる。結果として、より多くの溶接が行われ、且つ対応するデータが解析されると、全体的な溶接プロセスの1つ以上の溶接条件の影響を容易に決定し且つ評価することができ、それによって、より多くの情報を含むコスト削減の決定(例えば、お金、時間、及び品質のトレードオフ)を行うことができる。
コスト分析は、追加の一連の溶接を含むように拡張することができ、ここで様々な溶接条件が、異なる一連の溶接で変更される。このように、ユーザは、所望の値、すなわち所望の結果(例えば、許容可能な溶接品質及び許容可能なコスト)を達成するための複数の溶接条件の設定を識別することができる。溶接条件についてのこれらの所望の値又は設定は、次に、同じ溶接機及び溶接プロセスについての後続の検索及び使用のために、溶接機及び溶接プロセスに関連付けられたプロファイルに保存することができ、それによって、ユーザが、所望の結果を再び達成する可能性を増加させる。
例示的な一実施形態では、このような複数のプロファイル(すなわち、選択された溶接パラメータ及び/又は溶接条件のセット)が、プリセットとして保存され、それによって、プロファイルは、溶接プロセスを開始するユーザによってアクセスすることができる。例示的な一実施形態では、複数のプリセットは、各プリセットに対応する溶接スコアと一緒にユーザに提示される。各溶接スコアは、プリセットに関連付けられた溶接パラメータ及び溶接条件を用いて以前に取得された溶接部の全体的な品質を定量化する。上述したように、これらの溶接スコアは、溶接の単なる目視検査と比較して、溶接品質をより正確に反映するような重み付けされた統計的測定値に基づいている。ユーザは、次に、溶接プロセスを実行するためのプリセットのいずれかを選択することができ、それによって、ユーザが、プリセットに関連付けられた溶接パラメータ及び溶接条件を用いて以前に生成された、同一又は実質的に同様の溶接を達成する可能性を増加させる。例示的な一実施形態では、ユーザインターフェイスは、ユーザが、このユーザによって入力された基準と一致しないプリセットを除外する、例えば入力閾値を下回る関連する溶接スコアを有するこれらのプリセットを除外する、ことを可能にするように設けられている。
例示的な一実施形態によれば、図15には、プリセット1500が示されている。プリセット1500のそれぞれは、プリセットの識別番号1502、溶接条件のセット1504、溶接機の情報1506、溶接プロセスの情報1508、金銭的なコスト1510、時間コスト1512、及び関連する溶接スコア1514を含む。プリセット番号01を有する第1のプリセット1516は、値a,b,c,d,eを有する溶接条件1504及び溶接機Mと関連付けられる。第1のプリセット1516は、溶接プロセスOに対応する。ユーザが、溶接条件a,b,c,d,eの下で溶接機Mを用いて溶接プロセスOを実行するために、第1のプリセット1516(すなわち、プリセット01)を選択する場合に、ユーザは、金銭的コストの概算t、時間コストの概算v、及び溶接スコアの概算xを有するような溶接プロセスから生じる溶接部を予期できる。プリセット1500は、溶接条件1504、溶接機1506及び/又は溶接プロセス1508の異なる組合せに関連付けられるような第2のプリセット1518等の追加のプリセットを含むことができる。
本明細書に既に説明した監視対象の溶接パラメータに加えて、追加の溶接パラメータは、波形の1つ以上の段階状態を監視することができ、追加の品質パラメータは、溶接部の欠陥をより正確に検出し且つ同定するために、その追加の溶接パラメータから算出することができる。追加の溶接パラメータは、溶接トーチ又はガン位置、アーク溶接プロセスによって発生する音レベル、アーク溶接プロセスによって発生する音の少なくとも1つの周波数、及びアーク溶接プロセスによって発生する音のパルス速度を含むことができる。さらに追加の溶接パラメータは、アーク溶接プロセスによって発生する可視光のレベル、アーク溶接プロセスによって発生する可視光の少なくとも1つの周波数、及びアーク溶接プロセスによって発生する可視光のパルス速度を含む。さらに追加の溶接パラメータは、アーク溶接プロセスによって発生する赤外線のレベル、アーク溶接プロセスによって発生する赤外線の少なくとも1つの周波数、アーク溶接プロセスによって発生する赤外線のパルスの速度、ワイヤ送りモータの電流レベルを含む。
一実施形態によれば、追加の溶接パラメータは、このような溶接パラメータを検出するための適切なセンサ又は監視装置によって感知される。例えば、音はマイクによって感知することができ、可視光は光検出器によって感知することができ、赤外線は赤外線検出器によって感知することができ、ワイヤ送りモータの電流は、電流シャントによって感知することができる。トーチの位置は、例えば、撮像センサ又は磁気センサを含む1つ又は複数のタイプの感知技術を使用して感知することができる。センサは、例えば、溶接トーチ、溶接ヘルメットを含む様々な場所に、又は一般的な溶接領域に位置してもよい。追加の感知された溶接パラメータが、モニタMに入力され、他の溶接パラメータが本明細書で以前に説明したようにどの様に入力され且つ処理される方法と同様に、モニタMによって処理されてもよい。処理された監視対象の他の溶接パラメータは、ワークの温度、シールドガスのレベル、シールドガスの組成、ワーク付近の風速、ワーク付近の湿度レベル、及び動作位置を含む。
モニタMは、追加の監視対象の溶接パラメータに基づいて、複数の品質パラメータの統計値を算出するように(例えば、図16に示されるアップグレードされたモニタM’のように)構成してもよい。「平均値」、「標準偏差」、「分散平均」、及び「分散標準偏差」の様々な品質パラメータの統計値が、本明細書で以前に説明したように、これらの品質パラメータの統計値が、電圧及び電流についてどの様に算出されるかという方法と類似した方法で、波形の1つ又は複数の段階状態の様々な追加の溶接パラメータについて算出することができる。すなわち、追加の監視対象の溶接パラメータに基づく品質パラメータは、QVA、QVSD、QVVA、及びQVVSDが、監視対象の電圧についてどの様に算出されるか、及びQIA、QISD、QIVA、及びQIVSDが、監視対象の電流についてどの様に算出されるかの方法と同様の方法で算出することができる。
例えば、モニタMは、音質レベルの平均値(QSLA)、音質レベルの標準偏差(QSLSD)、音質レベルの分散平均(QSLVA)、及び音質レベルの分散標準偏差(QSLVSD)等の所定期間に亘った1つ又は複数の段階状態の溶接プロセス中に、音質レベルのパラメータを算出するように構成される。モニタMは、音質周波数の平均値(QSFA)、音質周波数の標準偏差(QSFSD)、音質周波数の分散平均(QSFVA)、及び音質周波数の分散標準偏差(QSFVSD)等の所定期間に亘った1つ又は複数の段階状態について、音質の周波数パラメータを算出するようにも構成される。また、モニタMは、音質パルス速度の平均値(QSPRA)、音質パルス速度の標準偏差(QSPRSD)、音質パルス速度の分散平均(QSPRVA)、及び音質パルス速度の分散標準偏差(QSPRVSD)等の所定期間に亘った1つ又は複数の段階状態について、音質パルス速度のパラメータを算出するようにも構成される。溶接プロセスの音は、ワイヤ電極とワークとの間のアークによって発生する。特定の音響特性は、溶接波形の特定の段階状態中に発生する傾向がある。
モニタMは、品質可視光レベルの平均値(QVLLA)、品質可視光レベルの標準偏差(QVLLSD)、品質可視光レベルの分散平均(QVLLVA)、及び品質可視光レベルの分散標準偏差(QVLLVSD)等の所定期間に亘った1つ又は複数の段階状態の溶接プロセス中に、可視光レベルの品質パラメータを算出するように構成される。モニタMは、品質可視光の周波数平均値(QVLFA)、品質可視光の周波数標準偏差(QVLFSD)、可視品質光の周波数分散平均(QVLFVA)、及び品質可視光の周波数分散標準偏差(QVLFVSD)等の所定期間に亘った1つ又は複数の段階状態について、可視光の周波数品質パラメータを算出するようにも構成される。また、モニタMは、品質可視光のパルス速度平均値(QVLPRA)、品質可視光のパルス速度標準偏差(QVLPRSD)、品質可視光のパルス速度分散平均(QVLPRVA)、及び品質可視光のパルス速度分散標準偏差(QVLPRVSD)等の所定期間に亘った1つ又は複数の段階状態について、可視光のパルス速度品質パラメータを算出するようにも構成される。溶接プロセスの可視光は、ワイヤ電極とワークとの間のアークによって発生する。
モニタMは、品質赤外線レベルの平均値(QIRLLA)、品質赤外線レベルの標準偏差(QIRLLSD)、品質赤外線レベルの分散平均(QIRLLVA)、及び品質赤外線レベルの分散標準偏差(QIRLLVSD)等の所定期間に亘った1つ又は複数の段階状態の溶接プロセス中に、赤外線レベルの品質パラメータを算出するように構成される。モニタは、品質赤外線の周波数平均値(QIRLFA)、品質赤外線の周波数標準偏差(QIRLFSD)、品質赤外線の周波数分散平均(QIRLFVA)、及び品質赤外線の周波数分散の標準偏差(QIRLFVSD)等の所定期間に亘った1つ又は複数の段階状態について、赤外線周波数品質パラメータを算出するようにも構成される。また、モニタMは、品質赤外線のパルス速度平均値(QIRLPRA)、品質赤外線のパルス速度標準偏差(QIRLPRSD)、品質赤外線のパルス速度分散平均(QIRLPRVA)、及び品質赤外線のパルス速度の分散標準偏差(QIRLPRVSD)等の所定期間に亘った1つ又は複数の段階状態について、品質赤外線のパルス速度パラメータを算出するようにも構成される。溶接プロセスの赤外線は、ワイヤ電極とワークとの間のアークによって発生する。
モニタMは、品質ワイヤ送りモータの電流平均値(QWFMIA)、品質ワイヤ送りモータの電流標準偏差(QWFMISD)、品質ワイヤ送りモータの電流分散平均(QWFMIVA)、及び品質ワイヤ送りモータの電流分散標準偏差(QWFMIVSD)等の所定期間に亘った1つ又は複数の段階状態の溶接プロセス中に、品質ワイヤ送りモータの電流パラメータを算出するように構成される。ワイヤ送りモータ電流は、溶接プロセス中のワイヤ送り装置のモータによって生成される。接触チップが摩耗し、又は間違った接触チップが使用されている場合に、モータ電流のシフト又はスパイクが、特定の段階状態の間に観察される。
再度、「平均値」、「標準偏差」、「分散平均」、及び「分散標準偏差」の様々な品質パラメータ統計値は、本明細書で以前に説明したように、これらの品質パラメータの統計値が、電圧及び電流についてどの様に算出されるかの方法と同様の方法で、様々な追加の溶接パラメータについて算出することができる。また、一実施形態によれば、各所定期間について算出された品質パラメータのそれぞれの値が、対応する期待品質パラメータ値と比較されて、算出された品質パラメータ値と期待品質パラメータ値との間の差が所定の閾値を超えるかどうかが決定される。この差が閾値を超える場合に、算出された品質パラメータ値は、この差に基づいて等級重みで重み付けされ、及び/又は段階状態を含む波形に対するその段階状態の時間的寄与に基づく時間寄与重みで重み付けすることができる。
本考案の一実施形態によれば、(重み付けされた又は重み付けされていない)品質パラメータ及び/又は溶接パラメータを使用して、アーク溶接プロセスを診断することができる。図16には、アーク溶接プロセスを診断するためのシステム1600の一実施形態の概略ブロック図が示されている。システム1600は、アーク溶接システムの一部に対応しており、且つモニタMと同様であるが、本明細書で説明する追加の溶接パラメータをさらに監視し、さらに対応する追加的な品質パラメータを算出するように構成されるアップグレードされたモニタM’1610を含む。システム1600は、アップグレードされたモニタM’1610と動作可能に通信する診断ロジック回路(DLC)1620も含む。
図16に示されるように、算出された品質パラメータ及び/又は監視対象の溶接パラメータ、又はこれらのいくつかのサブセットが、診断結果を生成するためのパラメータで動作するようなDLC1620に渡される。一実施形態によれば、DLC1620は、品質パラメータを分析することにより、溶接部の局所的な又は連続的な欠陥を最初に同定する。局所的な欠陥は、溶接プロセス中の比較的短い期間(例えば、2秒)に亘って発生する欠陥である。連続的な欠陥は、溶接プロセスの時間全体(例えば、20秒)に本質的に亘って発生する欠陥である。欠陥のいくつかの例としては、溶接部のガス含有物(例えば、多孔、ブローホール(気泡)、ワームホール(虫状気孔))、ワークの溶け落ち、ワークへの浸透の欠如、飛びはね(スプラッタ)、未充填の接合部、アンダーカット、溶接の割れ、溶接部に含まれるボイド、及び溶融不足が挙げられる。このようなタイプの欠陥は、当該技術分野で周知である。他のタイプの欠陥も同様に想定し得る。
欠陥の原因として考えられるいくつかの例としては、シールドガスの不足、ワークまでの距離に対して短い接触チップ、ワークまでの距離に対して長い接触チップ、詰まったノズル、ワーク表面の汚染、非常に遅い移動速度、非常に速い移動速度、非常に遅いワイヤ送り速度、非常に速いワイヤ送り速度、ワーク又は電極の硫黄含有量、電極又はワークからの過度の湿気、及び非常に小さな電極の角度が挙げられる。他のタイプの欠陥の原因も同様に想定し得る。
溶接手順の訓練中に、欠陥が、欠陥の原因と相関しており、DLC1620は、1つ以上の考えられる原因を欠陥に適切に関連付けるようにそれに応じてプログラムされる。従って、通常の(非トレーニングの)溶接手順を行う間に、DLC1620は、1つ以上の検出された欠陥についての1つ又は複数の考えられる原因を示唆することが可能である。欠陥及び1つ以上の原因が、オペレータに報告され、このオペレータが、問題を修正することができる。DLC1620は、例えば、欠陥の原因を特定するために、決定ツリーとしてプログラムすることができる。
一例として、システム1600は、品質パラメータを分析することにより、溶接プロセス中に発生した連続する2つの欠陥として、特定の段階状態で発生する多孔、及び特定の他の段階状態で発生する飛びはね(スプラッタ)を検出することができる。DLC1620は、それぞれの段階状態における2つの連続的な欠陥の発生を、溶接プロセス全体を通したシールドガスの不足に相関させることができる。オペレータは、その後、ガスタンクのバルブが、溶接プロセス中にスイッチをオフにしたままであることを気付くことができる。
図17には、溶接機が、溶接部を形成するために、前進ワイヤとワークとの間の実際の溶接パラメータを形成することによりアーク溶接プロセスを実行する際に、電気アーク溶接機を監視することによって図16のシステム1600を使用してアーク溶接プロセスを診断する方法1700のフローチャートが示されている。溶接プロセスは、溶接機の電源へのコマンド信号によって制御される。方法1700のステップ1710において、一連の迅速に繰り返される波形が、生成され、各波形は、溶接サイクルをサイクルタイムを用いて構成される。ステップ1720において、波形が段階状態に分割される。ステップ1730において、1つ又は複数の段階状態に発生する複数の溶接パラメータは、溶接プロセス中に所定期間に亘って繰り返される問合せ速度で測定される。
方法1700のステップ1740において、複数の品質パラメータは、溶接プロセス中の溶接パラメータの測定値に基づいて、段階状態のそれぞれについて算出される。ステップ1750において、複数の品質パラメータ及び複数の溶接パラメータのうちの少なくとも1つを分析して、溶接部の1つ以上の局所的又は連続的な欠陥のうちの1つ又は複数の考えられる原因を決定することによって、アーク溶接プロセスを診断する。
要約すると、アーク溶接システム及び方法が、開示される。システムは、波形の段階状態に従って、溶接プロセス中の変数を監視するステップと、それに応じて変数を重み付けするステップと、溶接部の欠陥を検出するステップと、欠陥の考えられる原因を診断するステップと、溶接部の全体的な品質を定量化するステップと、良好な溶接部を示すデータを取得及び使用するステップと、自動化溶接プロセスの生産及び品質管理を改善するステップと、適切な溶接技術を教えるステップと、溶接プロセスのコスト削減を特定するステップと、異なる溶接プロセス又はアプリケーションのためのプリセットとして使用されるような最適な溶接の設定を導出するステップとを含む、ことが可能である。
上述した特定の実施形態は、実施例として与えられている。与えられた開示から、当業者は、一般的な考案概念及び付随する利点を理解するだけでなく、開示された構造及び方法に対する明らかな様々な変更及び修正を見つけることもできるだろう。例えば、一般的な考案概念は、手動溶接プロセス又は自動(例えばロボット)溶接プロセスのいずれかに典型的に限定されるものではなく、代わりにいずれにも容易に適応可能である。さらに、本考案の一般的概念は、様々な溶接プロセス及び技術(例えば、スティック溶接やTIG溶接等のアーク溶接の全てのバリエーション)に容易に適合可能である。従って、添付の請求項によって規定されるように、本考案の一般的概念の精神及び範囲内に入るような全ての変更及び修正、並びに等価物を網羅することが求められている。