JP3197052U - ガラス工芸品 - Google Patents

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Abstract

【課題】斬新な視覚効果を実現したガラス工芸品を提供する。【解決手段】板状ガラス部品14を周囲に配置し、その中央にボロシリケイト部品17を配置して、両者を鉛線11で接合することによってステンドグラスを製作する。ボロシリケイト部品17には、その周囲に一定厚さの縁部を形成しておき、この縁部を鉛線11のH字状断面の凹部にはめ込むことによって、支持する。鉛線11は、ボロシリケイト部品17の周囲を支持しているため、ボロシリケイト部品17の背面からは全体に均一に光が入射可能となっている。かかる構造とすることにより、板状ガラス部品14、ボロシリケイト部品17の良いところを活かし合った美観を備えたガラス工芸品を提供することができる。【選択図】図1

Description

本考案は、ガラス製のパーツを用いて形成されるガラス工芸品に関する。
ガラスを素材として用いるガラス工芸品には、いろいろな種類がある。ステンドグラスは、多くのガラス製のパーツを組み合わせて製作され、窓のような平面の造形だけでなく、ランプシェードのように3次元的な形状なども形成される。ガラス工芸品には、吹きガラスやバーナーワークと呼ばれる技法によるものなど、多数のパーツを組み合わせるのではなく、単一の部材で形成されるものもある。単一の部材で形成されるものとしては、他に、ボロシリケイトガラス(ホウケイ酸ガラス)を酸素バーナーで溶融して形成する工芸品もある。また、特許文献1に開示されているように、ガラスを素材とする装飾部品を、基板に固定して工芸品を製作することもある。
特開2013-182293号公報
ガラス工芸品は、種々の技法によって、多様な視覚効果を実現している。しかし、さらに多様な視覚効果の実現が望まれていた。本考案は、従来とは異なる斬新な資格効果を実現したガラス工芸品を提供することを目的とする。
本考案は、ガラス工芸品であって、
それぞれが略均一な厚さのガラス素材からなる板状ガラス部品と、
前記ガラス素材よりも最大厚さが厚い3次元形状をなすボロシリケイトガラスを用いたボロシリケイト部品と、を備え、
前記板状ガラス部品と、前記ボロシリケイト部品とを一部または全部において重ねることなく接合したガラス工芸品とすることができる。
本考案によれば、凹凸の少ない板状ガラス部品と、3次元形状のボロシリケイト部品とを接合することにより、板状ガラス部品のみでは表現できない立体感と、ボロシリケイト部品のみでは実現できない複雑な形状をともに備えたガラス工芸品を実現することができる。
本考案において、板状ガラス部品は、平らな部品としてもよいし、曲面状の部品としてもよい。また、透明、着色、スリガラスなど種々のガラス素材を用いることができる。
ボロシリケイト部品は、任意の形状をとることができる。また、ボロシリケイト部品の色も任意である。
板状ガラス部品とボロシリケイト部品との接合も、種々の方法を用いることができる。例えば、両者を接着してもよいし、接合用の部品を用いても良い。また両者を一部において重ねる構造としてもよい。
本考案において、
前記ボロシリケイト部品は、内部に3次元的に模様が形成されているものとしてもよい。
ボロシリケイトガラスは、酸素バーナーで溶融して形成する際に、その内部に種々の模様を3次元的に形成することができる。かかる技法で形成された模様を有するボロシリケイト部品を用いることにより、平面的な構成をなす板状ガラス部品と、立体的な構成をなすボロシリケイト部品との対比が、より一層、印象的な視覚効果を与えることができる。
また、本考案においては、
前記板状ガラス部品と、前記ボロシリケイト部品とは、前記ボロシリケイト部品の厚さ方向に光を透過させる孔を有する接合手段で接合されているものとしてもよい。
こうすることにより、ボロシリケイト部品の厚さ方向に光が透過し、よりその美観が強調される。
本態様において、孔は、ボロシリケイト部品の全体に光が透過する程度の大きさ、形状としてもよいし、一部に光が透過する大きさ、形状としてもよい。このように孔は、種々の態様をとることができるが、ボロシリケイト部品の平面形状と孔とを同じ形状とすることによって、ボロシリケイト部品に均一に光りが透過可能とすることがより好ましい。
また、本考案においては、
前記ボロシリケイト部品は、その周囲に所定厚さからなる縁部を有しており、
前記接合手段は、前記縁部を厚さ方向に挟み込んで支持するものとしてもよい。
こうすることによって、ボロシリケイト部品をしっかりと保持することができる。かかる支持方法としては、例えば、縁部に銅箔をとりつけ、その上からハンダを施すことによる方法とすることができる。この場合には、ハンダが接合手段の役割を果たすことになる。また別の態様として、接合手段として断面H字またはコ字状の部材を用意し、その凹部に縁部をはめ込む形で支持するようにしてもよい。
ボロシリケイト部品は、酸素バーナーで溶融しながら多様な形状を形成することが可能であり、縁部も比較的精度良く形成できる利点がある。
また、本考案においては、
前記板状ガラス部品は、前記ボロシリケイト部品を中心に、その周囲に配置されているものとしてもよい。
こうすることにより、ボロシリケイト部品の立体感をより際立たせることができ、美観に優れたガラス工芸品を実現することができる。
また、本考案においては、
前記ボロシリケイト部品を前記厚さ方向から見たときの平面積は、前記板状ガラス部品全体の平面積よりも小さいものとしてもよい。
こうすることにより、板状ガラス部品に対して、ボロシリケイト部品に匹敵する存在感を持たせることができ、全体としてバランスに優れたガラス工芸品を実現することができる。
また、本考案においては、
前記ボロシリケイト部品は、前記厚さ方向の一方の面が平坦に形成されているものとしてもよい。
ボロシリケイト部品を例えば、半球状などとする態様である。こうすることにより、平坦な面から光を均一に入射させることができ、ボロシリケイト部品の美しさを活かしたガラス工芸品を実現することができる。
また、本考案のガラス工芸品は、
複数色の複数枚の前記板状ガラス部材を備えたステンドグラスとして形成されたものとしてもよい。
本考案は、この他、ランプシェードのように全体として3次元的な形状のガラス工芸品としてもよい。また、アクセサリーのように比較的小型のガラス工芸品としてもよい。
本考案においては、上述した特徴を全て備えている必要はなく、適宜、一部を省略したり、組み合わせたりして構成してもよい。
本考案は、上述のガラス工芸品としての態様に限らず、種々の態様をとることができる。例えば、本考案は、
それぞれが略均一な厚さのガラス素材からなる板状ガラス部品と重ねることなく接合されることでガラス工芸品を形成するためのボロシリケイトガラスで製作されたボロシリケイト部品であって、
前記ガラス素材よりも最大厚さが厚い3次元形状をなし、
その周囲には、前記接合の際、挟み込んで支持するための所定厚さからなる縁部が形成されているボロシリケイト部品としてもよい。
かかるボロシリケイト部品においても、上述した種々の特徴を備えることができる。
実施例としてのガラス工芸品を例示する説明図である。 実施例としてのガラス工芸品を例示する説明図である。 ボロシリケイト部品の接合方法を示す説明図である。
図1は、実施例としてのガラス工芸品を例示する説明図である。ステンドグラス10として構成された例を示した。
ステンドグラス10は、板状ガラス部品14と、ボロシリケイト部品17とを、鉛線11で接合して構成されている。図の煩雑化を回避するため、板状ガラス部品14、鉛線11の符号は、一部についてのみ代表して付した。
板状ガラス部品14は、吹きガラスに用いられ1300〜1400℃程度で軟化する素材を用いている。本実施例では、吹きガラスの技法によって一旦、シリンダー状に形成されたガラス素材を、展開したものを使用した。このように形成された板状ガラス部品14は、一方の面に細かな凹凸が形成され、光の乱反射や透過ムラによって、独特の風合いを表すことができる利点がある。
板状ガラス部品14は、種々の色や透明度の部品が用意されており、ボロシリケイト部品17の周囲に配置されている。組み合わせは、任意である。また本実施例では、花をモチーフにした形状で配置されているが、この形状も任意に決めることができる。
ボロシリケイト部品17は、ボロシリケイトまたはホウケイ酸ガラスと呼ばれ約2500℃という高温で軟化するガラス素材を用いて形成されている。図1の例では、ボロシリケイト部品17は、裏面(図1の下側の面)が半球状となっている。ボロシリケイト部品17の最大厚さは、板状ガラス部品14よりも厚いため、ステンドグラス10の中央部分が凸状になり、板ガラス部品14による平面的な構成に、アクセントを与えることができる。
板状ガラス部品14と、ボロシリケイト部品17とは、鉛線11で接合されている。鉛線11は、後述するとおり、ボロシリケイト部品17の周囲に形成された縁部を支持している。つまり、ボロシリケイト部品17を支持する部分の鉛線11は、ボロシリケイト17の形状に合わせて円形をなしており、鉛線11だけを見れば、ボロシリケイト部品17がはまる部分に合わせた孔が開いている状態となっている。この結果、ボロシリケイト部品17の半球の裏面側は鉛線11に遮られない状態となり、均一に光が入射できるようになっている。このように光が均一に入射できるようにすることによって、ボロシリケイト部品17の美しさをより強調することができる。
図2は、実施例としてのガラス工芸品を例示する説明図である。オブジェ20としての構成例を示した。このオブジェ20は、図中に示した本体部分の下側にスタンドが形成されており、机上などに飾っておくことができるガラス工芸品である。
オブジェ20は、板状ガラス部品24と、ボロシリケイト部品27とを、鉛線21で接合して構成されている。図1と同様、板状ガラス部品24、鉛線21の符号は、一部についてのみ代表して示した。
板状ガラス部品24は、図1と同様、比較的低い温度で軟化する素材を用いた。オブジェ20では、板状ガラス部品24は、全て無職透明の素材としてある。また、それぞれの板状ガラス部品24の周囲には、カットグラスの技法を用いて彫刻が施してあり、これによって平面的な構成の中にも立体感を併せ持った美観を実現している。
ボロシリケイト部品27は、花びらのように配置された複数の板状ガラス部品24の中央に取り付けられている。ボロシリケイト部品27は、図1と同様、半休状の形状である。図2の表面側に突出した形状となっている。
ボロシリケイト部品27の内部には、花のような模様28が3次元的に形成されている。酸素バーナーで溶融しながら形を形成する過程で、種々の模様を内部に3次元的に形成することができるのがボロシリケイトの大きな特徴である。本実施例では、花のような模様の例を示したが、これに限らず種々の模様を形成可能である。
板状ガラス部品24と、ボロシリケイト部品27とは、図1と同様、鉛線21で接合されている。また、図1と同様、鉛線21は、ボロシリケイト部品27の形状に合わせた円形の孔になっているため、ボロシリケイト部品27には、均一に光が入射できるようになっている。
図3は、ボロシリケイト部品の接合方法を示す説明図である。図3(a)はボロシリケイト部品27の単体の形状を表す斜視図である。図示するように、ボロシリケイト部品27には、内部に模様28が形成されるとともに、その周囲に一定厚さの縁部29が形成されている。この例では、半球状をなすボロシリケイト部品27の裏面と、縁部29の裏面とは、同一平面となっている。両者に段差をもたせるようにしてもよい。ボロシリケイト部品27の厚さ方向のどの位置に縁部29を形成するかによって、板状ガラス部品24に対するボロシリケイト部品27の突出具合を変えることができ、これによって美観の異なるガラス工芸品となる。
図3(b)は、ボロシリケイト部品27の直径を含む垂直断面を表す断面図である。ボロシリケイト部品27、鉛線21、板状ガラス部品24を組み付けた状態を示している。
図示する通り、鉛線21は、断面がH字状をなしている。板状ガラス部品24の厚さは、H字の凹部とほぼ等しい。また、ボロシリケイト部品27に形成された縁部29の厚さもH字の凹部とほぼ等しい。従って、板状ガラス部品24および縁部29を、この凹部にはめ込むことにより、両者をしっかりと接合することができる。
先に説明した通り、鉛線21は、ボロシリケイト部品27の縁部29を支持する。従って、図示するように、ボロシリケイト部品27の裏面側からは、光が均一に入射することができる。こうすることによって、内部の模様28をより一層、美しく見せることが可能となる。
図3では、図2のオブジェ20を例にとって、板状ガラス部品24とボロシリケイト部品27との接合方法を示したが、図1の場合も同様である。
以上で説明したガラス工芸品によれば、板状ガラス部品14、24と、ボロシリケイト部品17、27とを組み合わせて用いることにより、両者の良いところを活かした新しい美観を実現することができる。
本考案は、実施例で例示した態様に限らず、種々の変形例を構成することもできる。
(1)実施例のステンドグラス10、オブジェ20は、いずれも平板状の板状ガラス部品14、24を用いた例を示したが、曲面状の板状ガラス部品を用いるようにしてもよい。
(2)ガラス工芸品は、ステンドグラス10、オブジェ20の他、ランプシェードのように全体が立体的な形状をなすものであってもよいし、アクセサリーのように小型のものであってもよい。
(3)ボロシリケイト部品17、27は、半球状、即ち一方の面が平坦になっているものを例示したが、球状など平坦な面が存在しない形状としてもよい。また、半球や球などに限らず、涙型など種々の形状とすることができる。
(4)実施例では、鉛線11、21で接合する例を示したが、ハンダを用いて接合してもよい。例えば、図3に示した縁部29や、板状ガラス部品24の縁の近傍を銅箔で覆い、この部分をハンダで接合するようにしてもよい。また、別の方法として、板状ガラス部品14、24とボロシリケイト部品17、27とを接着剤などで貼り合わせる方法をとってもよい。
10…ステンドグラス
11、21…鉛線
14、24…板状ガラス部品
17、27…ボロシリケイト部品
20…オブジェ
28…模様
29…縁部

Claims (9)

  1. ガラス工芸品であって、
    それぞれが略均一な厚さのガラス素材からなる板状ガラス部品と、
    前記ガラス素材よりも最大厚さが厚い3次元形状をなすボロシリケイトガラスを用いたボロシリケイト部品と、を備え、
    前記板状ガラス部品と、前記ボロシリケイト部品とを、一部または全部において重ねることなく接合したガラス工芸品。
  2. 請求項1記載のガラス工芸品であって、
    前記ボロシリケイト部品は、内部に3次元的に模様が形成されているガラス工芸品。
  3. 請求項1または2記載のガラス工芸品であって、
    前記板状ガラス部品と、前記ボロシリケイト部品とは、前記ボロシリケイト部品の厚さ方向に光を透過させる孔を有する接合手段で接合されているガラス工芸品。
  4. 請求項1〜3いずれか記載のガラス工芸品であって、
    前記ボロシリケイト部品は、その周囲に所定厚さからなる縁部を有しており、
    前記接合手段は、前記縁部を厚さ方向に挟み込んで支持するガラス工芸品。
  5. 請求項1〜4いずれか記載のガラス工芸品であって、
    前記板状ガラス部品は、前記ボロシリケイト部品を中心に、その周囲に配置されているガラス工芸品
  6. 請求項1〜5いずれか記載のガラス工芸品であって、
    前記ボロシリケイト部品を前記厚さ方向から見たときの平面積は、前記板状ガラス部品全体の平面積よりも小さいガラス工芸品。
  7. 請求項1〜6いずれか記載のガラス工芸品であって、
    前記ボロシリケイト部品は、前記厚さ方向の一方の面が平坦に形成されているガラス工芸品。
  8. 請求項1〜7いずれか記載のガラス工芸品であって、
    複数色の複数枚の前記板状ガラス部材を備えたステンドグラスとして形成されたガラス工芸品。
  9. それぞれが略均一な厚さのガラス素材からなる板状ガラス部品と重ねることなく接合されることでガラス工芸品を形成するためのボロシリケイトガラスで製作されたボロシリケイト部品であって、
    前記ガラス素材よりも最大厚さが厚い3次元形状をなし、
    その周囲には、前記接合の際、挟み込んで支持するための所定厚さからなる縁部が形成されているボロシリケイト部品。

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