JP3197046B2 - 走行フイルムの端部折り重ね装置 - Google Patents

走行フイルムの端部折り重ね装置

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JP3197046B2
JP3197046B2 JP3934092A JP3934092A JP3197046B2 JP 3197046 B2 JP3197046 B2 JP 3197046B2 JP 3934092 A JP3934092 A JP 3934092A JP 3934092 A JP3934092 A JP 3934092A JP 3197046 B2 JP3197046 B2 JP 3197046B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は走行フイルムの端部折り
重ね装置に関し、さらに詳しくは走行するフイルムの端
部を連続的にかつ安定して2重又は3重に折り重ねる装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】クリップテンターによりフイルムを延伸
する際に、極めて薄物ではフイルム端部近傍でのフイル
ム破断がしばしば発生し、この破断が操業性を著しく低
下させている。二軸延伸フイルムの主な用途はビデオテ
ープ、コンデンサー等で、広幅でなおかつ長尺で継ぎ目
のない製品が要求されるため、破断が発生すると生産性
が大幅に低下する。また、一度フイルムが破断すると破
れ屑の処分、設備の再点検などのため、製造停止のロス
時間が短い場合でも数分間、長い場合には数十分にも及
び、しかもこの間タイからの樹脂押し出しを継続させる
場合があり、樹脂のロスにもなる。
【0003】薄い熱可塑性樹脂フイルムをテンターによ
り安定して製造するために、特公昭63―92434号
公報に示されているように、フイルムのクリップ把持部
の厚さを厚くしたり、特公昭63―94818号公報に
示されているように、複数の未延伸フイルムを重ね合わ
せて延伸する方法が考案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高強度
フイルムを得るため、縦、横方向の逐次二軸延伸フイル
ムを更に縦、横方向に延伸する際、フイルムのクリップ
把持部の厚さをコントロールするのは困難であるし、二
軸延伸工程中にフイルムの端部を切り落とす工程がある
場合には、フイルムのクリップ把持部の厚さをコントロ
ールできない。また、フイルムを重ね合わせて延伸する
方法は、表裏の温度差に起因する物性の不均一や、延伸
途中での剥離、また剥離時の破断が懸念される。そして
多大な設備投資が必要である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる欠点
を解消し、薄い延伸フイルム、特に高強度フイルムを安
定して製造する方法を開発すべく鋭意研究した結果、2
個の回転可能な円板を組合せたフイルム端部折り重ね装
置が安定してフイルム端部を2重又は3重に折り重ね得
ること、そしてこの折り重ね部をテンタークリップで把
持して横方向に延伸するとフイルム破断を防止できるこ
とを知見し、本発明に到達した。
【0006】すなわち、本発明は、走行するフイルムの
幅方向に位置をずらして2個の回転可能な円板A,B
を、これらの面とフイルム面とがほぼ平行するように設
け、これら円板をそれぞれ独立に水平方向、垂直方向に
移動させる手段を備えた支持具で支持し、フイルムセン
ター側の円板A及び/又はフイルム端部側の円板Bを水
平方向、垂直方向に移動させて該円板Aの上面と円板B
の下面との間に、或は円板Aの下面と円板Bの上面との
間に、フイルム端部が走行するようにし、次いで円板B
を垂直方向に移動させてフイルム端部を折り曲げ、さら
に円板Bをフイルムセンター方向に該円板Bと円板Aと
の一部がフイルムを介して重なる位置まで水平移動させ
ることでフイルム端部を連続的に折り重ねるようにした
ことを特徴とする走行フイルムの端部折り重ね装置であ
る。
【0007】図1は本発明の走行フイルムの端部折り重
ね装置でフイルム端部を折り返す前の状態を示す概略図
であり、図2は該装置でフイルム端部を折り重ねた状態
を示す概略図である。図1,2において、11は回転可
能な円板A、12は回転可能な円板B、13は走行する
フイルム、14は円板Aの支持具、15は円板Bの支持
具、をそれぞれ示す。円板A11は支持具14の先端に
取付けられ、また円板B12は支持具15の先端に取付
けられている。これら円板の取付け方法は、円板が回転
可能な状態にあれば特に制限されず、例えばモーター等
で強制的に回転させる状態で取付けても良く、またベア
リング等で支持し走行フイルムに回転駆動させる状態で
取付けても良い。モーター等で強制的に回転させる場
合、円板のフイルム端部側が走行フイルムと同じ方向、
同じ速度で回転するようにする。円板の直径は、好まし
くは60〜300mm、更に好ましくは80〜150m
mである。円板の厚みは、好ましくは1〜10mm、更
に好ましくは2〜5mmである。円板の材質は、鋼、ア
ルミニウム、樹脂であっても良いが、好ましくは金属で
あり、更に好ましくはステンレスである。
【0008】本発明での円板の移動機構としては、送り
ネジを使用した直動機構であっても良いし、エアシリン
ダを用いた直動機構であっても良い。またリンク機構を
用いた回動機構であっても良い。この移動機構によっ
て、円板A、円板Bを独立して水平方向、垂直方向に移
動させる。
【0009】本発明の折り重ね装置を用いての走行フイ
ルム端部の折り重ねは、通常次のステップをとって行
う。
【0010】先ず、支持具14を水平方向及び/又は垂
直方向に移動させて円板A11を走行フイルム13の上
面に配置し、また支持具15を水平方向及び/又は垂直
方向に移動させて円板B12を走行フイルム13の端部
下面側に配置する。ここで、図1から理解できるよう
に、円板A11の先端と円板B12の先端とが重ならな
いようにする。
【0011】次に、円板B12を垂直方向に移動させて
走行フイルム13の端部と接触させる。このとき、円板
A11、円板B12はモーター等で強制的に回転させて
もよいし、またフイルム13との接触で回転させてもよ
い。走行フイルム13の端部と接触した状態の円板B1
2は、さらに、この下面が円板Aの上面より上になる迄
垂直方向に移動させ、次いでフイルムセンター方向(円
板Aの方向)に水平移動させる。この水平移動で円板B
12の下面と円板A11の上面とが重なり、フイルム端
部が折り重ねられる。この水平移動の長さで折り重ね幅
を調整することができる。フイルム端部を2重に折り重
ねる場合は円板B12の水平移動のみでよいが、3重に
折り重ねる場合には円板B12の水平移動とともに折り
重ね幅に見合う長さで円板A11をフイルムセンター方
向に水平移動させることが好ましい。この3重に折り重
ねた状態を示すのが図2である。そして図2に示す状態
に円板A11、円板B12を維持しながら、フイルムを
走行させると、フイルム端部を3重に折り重ねることが
連続的にかつ安定に実施できる。
【0012】図1,図2は円板A、円板Bを上部からの
支持具で支持した場合を示しているが、円板A、円板B
は下部から支持具で支持することもできる。この場合、
円板A、円板Bの垂直方向の動動が、上部から支持の場
合とは逆になる。
【0013】図1、図2は、また、フイルムの一つの端
部を折り重ねる場合を示しているが、この折り重ね装置
をフイルムの他の端部に設けて該端部を折り重ねること
ができる。通常、本発明の折り重ね装置をフイルムの両
端部に設け、該両端部を同時に折り重ねる。
【0014】本発明の走行フイルムの端部折り重ね装置
には、円板よりフイルム走行の下流側に、折り重ねたフ
イルム端部を抑え込むロールまたは円板を設けることが
できる。この抑え込みロールまたは円板を折り重ねられ
たフイルム端部が通ると、折り重ね部がより一層安定す
る。折り重ね部の安定化は他の手段、例えば折り目を加
熱定着させる手段を用いてもよい。
【0015】本発明の走行フイルムの端部折り重ね装置
は、また、テンターの入口に設け、折り重ねたフイルム
端部をテンタークリップで把持するようにすることが好
ましい。ここで、テンターとは、クリップで未延伸フイ
ルム、縦一軸延伸フイルム、または二軸延伸フイルムの
両端部を把持して、縦横同時二軸延伸あるいは横延伸、
または横延伸せずに熱固定もしくは弛緩熱処理するもの
である。
【0016】テンターで少なくとも横方向に延伸するプ
ロセス、すなわち横延伸もしくは同時二軸延伸または熱
固定もしくは弛緩熱処理するプロセスとして、未延伸フ
イルムを横延伸もしくは同時二軸延伸または熱固定もし
くは弛緩熱処理する方法、未延伸フイルムを縦及び横方
向に延伸した後、テンターで横延伸もしくは同時二軸延
伸または熱固定もしくは弛緩熱処理する方法、未延伸フ
イルムを縦及び横方向に延伸した後、再度縦方向に延伸
し、しかる後にテンターで横延伸または熱固定もしくは
弛緩熱処理する方法などが挙げられる。本発明の装置は
あらゆるプロセスにおいて適用可能であるが、特に縦、
横、再縦に延伸されたフイルムを更に横延伸する場合に
好適である。
【0017】前記テンターの入口には、通常エツジポジ
ションコントローラー(EPC)が設けられているが、
本発明の走行フイルムの端部折り重ね装置は、円板が該
EPCと連動して動くようにすることが好ましい。この
EPCとは、テンターに供給されるフイルムの端部位置
をセンサーでとらえ、テンター入口のクリップ噛み込み
位置を自動的に調整するものであり、従来から知られて
いるものを用いることができる。
【0018】円板とエッジポジションコントローラーと
を連動させておくと、走行フイルムの端部位置が経時的
に変動しても、この変動に円板の位置が追従し、フイル
ム端部が円板からはずれることを防止することができ、
同時に折り重ね部をテンタークリップが確実に噛込むこ
とができる。
【0019】本発明の走行フイルムの端部折り重ね装置
を、フイルム横延伸装置に組込んだ一例を図3、図4に
示す。
【0020】図3は横延伸装置の全体をテンター上部か
らみた図である。図4は横延伸装置の入り口部をテンタ
ー横からみた図である。図3,図4において、21は円
板対、22はニップロール、23はテンタークリップ、
24はオーブン、25は熱可塑性樹脂フイルム、26は
EPCセンサーである。図3、図4において円板対はテ
ンター入り口部に設置している。
【0021】本発明の走行フイルムの端部折り重ね装置
に供するフイルムの厚みは特に限定されるものではない
が、従来の延伸方法では破断が多い、薄いフイルムほど
効果が大きい。更にセンター部の厚みが20μm以下の
フイルムが好ましく、特にこの厚みが15μm以下のフ
イルムが最適である。
【0022】本発明におけるフイルムを構成する熱可塑
性樹脂とは、フイルムが二軸延伸可能な特性を有する熱
可塑性樹脂であればいずれであってもよい。その代表例
としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
フタレート、ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカル
ボキシレート、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、
ナイロン6、ナイロン66等があげられる。これらの
中、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン―2,
6―ナフタレンジカルボキシレートが好ましい。
【0023】
【実施例】以下実施例を掲げて本発明を更に説明する。
【0024】
【実施例1及び比較例1】固有粘度0.65のポリエチ
レンテレフタレートを280℃で溶融し、口金より40
℃の冷却ロール上に押し出し、直ちに冷却して未延伸フ
イルムを得た。これを速度の異なるロールを用いて縦方
向に80℃で2.0倍延伸し、次いでテンターにより横
方向に100℃で3.0倍延伸し、更に110℃で熱固
定し二軸延伸フイルムを得た。この二軸延伸フイルムを
再度縦方向に140℃で4.0倍延伸し、テンターによ
り再度横方向に150℃で1.6倍延伸し、厚み6μm
の二軸延伸フイルムを得た(比較例1)。
【0025】前記の再縦延伸後のフイルムを図1、図
2、図3、図4に示す折れ重ね手段を施し、フイルム端
部を上側に3重に折り重ね、この折り重ね部分をテンタ
ークリップに噛み込ませて、把持させて再横延伸する以
外は、比較例1と同様に行って二軸延伸フイルムを得た
(実施例1)。
【0026】これらの製膜特性を表1に示す。
【0027】
【実施例2及び比較例2】実施例1と同様にして得た未
延伸フイルムを、縦方向に95℃で3.6倍延伸して一
軸延伸フイルムを得、テンターにより横方向に120℃
で4.0倍延伸し、厚み3μmの二軸延伸フイルムを得
た(比較例2)。
【0028】前記一軸延伸フイルムに図1、図2、図
3、図4に示す折れ重ね手段を施し、フイルム端部を上
側に3重に折り重ね、この折り重ね部分をテンタークリ
ップに噛み込ませて、把持させて再横延伸する以外は、
比較例2と同様に行って二軸延伸フイルムを得た(実施
例2)。
【0029】これらの製膜特性を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】以上の結果から、本発明の折り重ね装置に
より、フイルム端部を長手方向に連続的に折り重ね、該
折り重ね部をテンタークリップに把持させた後、横延伸
すれば、フイルム端部からの破断が起こりにくくなるこ
とがわかる。
【0032】また、比較例での破断の原因には、テンタ
ーにはいる前の縦延伸工程でのフイルム幅変動のため、
フイルム端部のクリップ外れを起こした場合も約30%
含まれているが、実施例ではフイルム幅変動によるクリ
ップ外れは発生していない。
【0033】
【発明の効果】本発明の装置を用いれば、熱可塑性フイ
ルムをテンターにより製造する際、フイルム端部からの
破断が起こりにくくなり、またEPCで追いかけきれな
いフイルム幅変動も、フイルムを折り重ねることで吸収
することができ、薄い高強度フイルムを安定して製膜で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 フイルム端部を折り返す前の円板とフイルム
端部の状態を示す概略図である。
【図2】 フイルム端部を折り返した後の円板とフイル
ム端部の状態を示す概略図である。
【図3】 横延伸装置の全体をテンター上部からみた図
である。
【図4】 横延伸装置の入り口部をテンター横からみた
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 廣岡 良顕 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝人株式会社 相模原研究センター内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 53/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走行するフイルムの幅方向に位置をずら
    して2個の回転可能な円板A,Bを、これらの面とフイ
    ルム面とがほぼ平行するように設け、これら円板をそれ
    ぞれ独立に水平方向、垂直方向に移動させる手段を備え
    た支持具で支持し、フイルムセンター側の円板A及び/
    又はフイルム端部側の円板Bを水平方向、垂直方向に移
    動させて該円板Aの上面と円板Bの下面との間に、或は
    円板Aの下面と円板Bの上面との間に、フイルム端部が
    走行するようにし、次いで円板Bを垂直方向に移動させ
    てフイルム端部を折り曲げ、さらに円板Bをフイルムセ
    ンター方向に該円板Bと円板Aとの一部がフイルムを介
    して重なる位置まで水平移動させることでフイルム端部
    を連続的に折り重ねるようにしたことを特徴とする走行
    フイルムの端部折り重ね装置。
  2. 【請求項2】 円板より下流側に、折り重ねたフイルム
    端部を抑え込むロールまたは円板を設けた請求項1記載
    の走行フイルムの端部折り重ね装置。
  3. 【請求項3】 円板がフイルムのエッジジションコン
    トローラと連動して動くようにした請求項1記載の走行
    フイルムの端部折り重ね装置。
  4. 【請求項4】 走行フイルムの端部折り重ね装置は、
    ンター法によるフイルム横延伸装置の入口に設けられる
    ものであって、かつフイルム横延伸装置は折り重ねたフ
    イルム端部をテンタークリップで把持する機構を備えた
    ものであることを特徴とする請求項1記載の走行フイル
    ムの端部折り重ね装置。
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