JP3196784U - 擁壁構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】擁壁構造物を施工する施工現場において、壁面材と底面材をそれぞれかさばらない板状の部材として搬入し、施工現場で、壁面材と底面材を一体に組み立てて、搬送効率を向上させ、輸送コストを低減させるとともに、補強土擁壁の施工を改善する擁壁構造物を提供する。【解決手段】ともに板状であってメッシュ18を有する壁面材6と底面材3を使用し、壁面材6を底面材3に対して所定の角度で起立するように取り付けてL字型ユニット7を組み立てて、該L字型ユニット7を、擁壁構造物を構築する底面地盤10の上に設置し、L字型ユニット7の上に盛土して盛土構造体を形成することによって、補強土擁壁、斜面法尻土留工等の擁壁構造物を構築する。【選択図】図1

Description

本考案は、擁壁構造物に関するものである。
従来、補強土擁壁の構築においては、盛土構造体を複数段、順次下方から施工することが行われている。盛土構造体の施工では、L字型の壁面材を補強土擁壁の壁面側に向けて設置するとともに、壁面材に連結して敷網材を敷設し、壁面材の背面側であって敷網材の上に盛土を埋め込むことが行われている(特許文献1、2参照)。
特開2004−250913号公報 特開2010−112133号公報
従来の補強土擁壁の盛土構造体で使用されるL字型の壁面材は、工場で1枚のエキスパンドメタルの板を折り曲げて、L字型に加工したものを現地に搬送して搬入することが、当業者の常識となっていた。
しかし、L字型の壁面材はかさばってしまい、その搬送、搬出の作業だけでなく、補強土擁壁の盛土構造体を施工する際にも取り扱いが面倒である。特に、大きな寸法のL字型の壁面材は、搬送、搬出のための作業、補強土擁壁の盛土構造体を施工作業が困難となり、L字型の壁面材の寸法の大きさに限界があった。
また、L字型の壁面材は、単なる板材と異なり、L字型であるために、搬送手段(トラック輸送等の手段)においてデッドスペースが生じ、搬送効率が悪く、輸送コストが高くなる、という問題があった。
本考案は、上記従来の問題を解決することを目的とし、壁面材をかさばらないコンパクトな構造とすることで、搬送、搬出の作業だけでなく、補強土擁壁の盛土構造体を構築する際にも取り扱いを改善し、搬送手段(トラック輸送等の手段)においてデッドスペースを少なくして、搬送効率を向上させて輸送コストを低減させること可能とする擁壁構造物を実現することを課題とする。
本考案は上記課題を解決するために、L字型ユニットを、擁壁構造物を構築する底面地盤の上に設置し、該L字型ユニットの上に盛土して形成された盛土構造体を有する擁壁構造物であって、L字型ユニットは、擁壁構造物を施工する施工現場において、板状であってメッシュを有する壁面材、板状であってメッシュを有する底面材及び斜めタイ材を有し、壁面材を底面材に対して斜めタイ材を介して所定の角度で起立するように取り付けて組み立てられた構成であることを特徴とする擁壁構造物を提供する。
L字型ユニットは、壁面材の下端部が底面材のメッシュから突き出るように挿入され、突き出た壁面材の下端部が螺旋状のコイル内に入るように、該壁面材の下端部の周りに底面材のメッシュを通して該コイルが巻き付けられ、該コイル内に連結棒を壁面材の横幅にわたって挿入され、壁面材の下端部が底面材に取り付けられて成り、斜めタイ材は、その上端部が折り返され、さらにその先端が前方に曲げられて固定用フックが形成されているとともに、その下端部が折り返されて成る引っ掛け用フックが形成されており、該斜めタイ材は、固定用フックが壁面材に引っ掛けられ、引っ掛け用フックが底面材に引っ掛けられて、壁面材と底面材の間に架設され、壁面材を底面材に対して所定の角度に固定することが好ましい。
壁面材と底面材として、エキスパンドメタルを使用することが好ましい。
斜めタイ材の固定用フックは、壁面材のメッシュに引っ掛けられるとともに、先端が前方に曲げられた部分が壁面材の背面に当接されていることが好ましい。
L字型ユニットの上に盛土して形成された盛土構造体が、一段又は複数段、積み重ねられるようにして構築されていることが好ましい。
本考案によると、次のような効果が生じる。
これまでは工場で1枚のエキスパンドメタルの板を折り曲げて、L字型に加工したものを作業現場に搬入していたが、部材が、軽量でコンパクトなかさばらないシンプルな板材であるので、搬送、搬出の作業、補強土擁壁等の施工作業が大幅に改善でき、製造コスト、輸送コスト、施工コスト等が低減可能となる。
板材のまま現地に搬入し、作業現場で組み立てられる構成としたことで、大きな寸法のL字型の壁面材まで製作できるようになり、通常の規模の補強土擁壁だけでなく、大規模の補強土擁壁の施工作業もし易くなった。
既存のL字型の壁面材ではなく、板材を利用し組立て式にしたことで、異なる寸法の壁面材と底面材を組み合わせることで、多様なL字型の壁面材を適用することができ、多様な地形に適合した多様な形状の擁壁を構築することが可能となった。
本考案に係る擁壁構造物の実施例1を説明する図であり、(a)は実施例の擁壁構造物のL字型ユニットを示す側面図であり、(b)は(a)の要部Bの拡大図であり、(c)は(a)の要部Cの拡大図である。 (a)、(b)は、それぞれ上記実施例1の擁壁構造物を施工する工程を示す図である。 (a)、(b)は、それぞれ上記実施例1の擁壁構造物を施工する工程を示す図である。 上記実施例1によって擁壁構造物として構築する補強土擁壁を示す図であり、(a)は補強土擁壁における盛土構造体の最下段を示す断面図であり、(b)は完成した補強土擁壁を示す断面図である。 本考案に係る擁壁構造物の実施例2を説明する図であり、(a)は擁壁構造物として構築した斜面法尻土留工を示す断面図であり、(b)は(a)の要部Bの拡大図である。
本考案に係る擁壁構造物を実施するための形態を実施例に基づき図面を参照して、以下説明する。本明細書では、擁壁構造物を正面から見て、手前側を前方とし、奥側(背面側)を後方とし、左右を左右方向とする。
(実施例1)
本考案に係る擁壁構造物は、盛土構造体を複数段、積み重ねるようにして構築する補強土擁壁の施工に適用可能であり、その他、例えば、斜面から落下する落石、土砂を防護する斜面法尻土留工の施工にも適用可能である。
実施例1では、本考案に係る擁壁構造物を、補強土擁壁に適用した例について図1〜4を参照して説明する。従って、ここでの擁壁構造物は、補強土擁壁である。
実施例1の擁壁構造物1においては、擁壁構造物1を構成する盛土構造体2を施工するために、作業現場において、底面材3の前端部に壁面材6を立設し、図1(a)に示すような、底面材3と壁面材6とから成るL字型ユニット7を組み立てる。
そして、L字型ユニット7を、底面地盤10(図1(a)、図4(a)参照)又は下位の盛土構造体2(図4(b)参照)上に設置し、壁面材6と切土面12の間であって底面材3の上に盛土16を盛り込んで、盛土構造体2を施工する。
要するに、実施例1の擁壁構造物1においては、従来の擁壁構造物1の盛土構造体2の施工で使用したL字型の壁面材6は使用しないで、施工現場において、底面材3に対して、板材から成る壁面材6を立設し、L字型ユニット7を組み立てる。底面材3及び壁面材6は、それぞれ板状の鋼製のエキスパンドメタル(又は金属製の網材)を使用する。
そして、施工現場において組み立てたL字型ユニット7は、擁壁構造物1の最下段の盛土構造体2を構築する場合には、底面地盤10の上に設置し、2段目以上の盛土構造体2を構築する場合には、下位の盛土構造体2の上に設置する。
なお、最下段の盛土構造体2と2段目以上の盛土構造体2の構造及び施工は、同じであるから、ここでは、主に最下段の盛土構造体2について、その施工の工程に従って順次、詳細に説明する。
(1)底面材3及び壁面材6を、それぞれ施工現場に搬入する。施工現場おいて、底面材3の前端部に対して壁面材6を直交するようにして、図1(a)、(b)、図2(a)に示すように、壁面材6の下端部17を底面材3のメッシュ18内に噛み合わせ突き出るように挿入する。
(2)底面材3のメッシュ18にから下方に突き出た壁面材6の下端部17の周りに、図1(b)、図2(b)に示すように、螺旋状に成形されたコイル21を、底面材3のメッシュ18を通して壁面材6の横幅方向全体にわたって、回転させながら取り付ける。これによって、壁面材6の下端部17は、螺旋状のコイル21内に入った状態となり、コイル21は、壁面材6と底面材3のメッシュ18に係合する。
(3)コイル21内にその一端から連結棒22を、図1(b)、図3(a)に示すように、底面材3の横幅方向の全体にわたるように差し入れる。これによって、壁面材6の下端部17を底面材3に固定するための連結固定は完了する。連結棒22として鉄筋棒を使用する。
(4)図示はしないが、壁面材6の後面に吸出し防止マットを取り付ける。この吸出し防止マットは、壁面材6から盛土16が前方に漏れ出ないために設けられるのであって、不織布や樹脂ネットを使用する。吸出し防止マットは、植生マットとしても機能する。
(5)壁面材6と底面材3との間に、横幅方向(擁壁構造物を正面から見て横方向)に間隔をおいて、複数(本実施例では2本)の鋼製の斜タイ材25を斜めに架設して、図1(a)に示すように、壁面材6が所定の起立角度(本実施例1では略90度)になるように固定する。
斜タイ材25は、その上端には固定用フック26が形成されており、その下端には引っ掛け用フック27が形成されている。
固定用フック26は、斜タイ材25の上端部28が下方に折り返され、さらに折り返された上端部28の先端にフック開口29が開く方向への折り曲げ部30が形成されている。引っ掛け用フック27は、斜タイ材25の下端部31が上方に折り返されて形成されている。
2本の斜タイ材25を、それぞれその固定用フック26を、壁面材6の網目から前方に突き出すとともに、折り曲げ部30が、図1(a)、図3(b)に示すように、壁面材6の背面に当接するようにして、壁面材6に掛ける。
そして、壁面材6の網目から前方に突き出した固定用フック26と壁面材6の間に、図1(c)に示すように、鋼製で棒状の腹起し材35を、側方(横方向)から挿入して取り付ける。これによって、斜タイ材25は、壁面材6に強固に係合されて固定される。
さらに、引っ掛け用フック27を底面材3に引っ掛けて、壁面材6が底面材3に対して、所定の起立角度となるように組み立てる。以上の工程によって、L字型ユニット7が完成する。
(6)このようなL字型ユニット7を、図示はしないが、擁壁構造物1を構築する底面地盤10(又は下位の盛土構造体2)の上に横幅方向に複数間隔をおいて設置し、隣接するL字型ユニット7を互いに結束バンド(図示せず)で互いに結合する。
(7)これらのL字型ユニット7と切土面12の間であって、底面地盤10(又は下位の盛土構造体2)の上に盛土16を埋め込んでいくことで、図4(a)に示すような最下段の盛土構造体2(又は2段目以上の盛土構造体2(図4(b)参照)が構築される。
(8)以上のような盛土構造体2を最下段から、順次、上方に向けて、同様な工程で複数段構築することで、図4(b)に示すように、盛土構造体2が複数積み重ねられて成る擁壁構造物1の全体が完成する。
従来のL字型の壁面材を使用した擁壁構造物は、L字型の壁面材を製造するために、エキスパンドメタルなどの平坦な壁面材をL字型に折り曲げる必要があり、そのための製造工程、製造装置、工具等が必要であった。しかしながら、本考案に係る擁壁構造物によれば、L字型ユニット7を施工現場で組み立てる際に、ボルト等の固定具は必要なく、またそのための作業具(ドライバ等)は不要であり、作業が簡易化し、コストも低減する。
(実施例2)
実施例2では、本考案に係る擁壁構造物を、斜面から落下する落石、土砂を防護する斜面法尻土留工の施工に適用した例について、図5を参照して説明する。従って、ここでの擁壁構造物1は、斜面法尻土留工である。実施例1と同じ部材等は同じ符号を用いる。
実施例2の擁壁構造物41は、図5(a)に示すように、法面等のような斜面42の下端の裾部の底面地盤10の上に構築され、通常は、複数の盛土構造体2ではなく、一段の盛土構造体2から成る。
実施例2における擁壁構造物41は、壁面材6が、図5(a)、(b)に示すように、上方に向け後方に傾斜して取り付けられているが、擁壁構造物41の構造は、実施例1の説明中の(1)〜(7)で説明する構造と略同じであるので、ここでは、特に詳細な説明は省略する。
但し、盛土16は、図5(a)に示すように、壁面材6の上端まで盛り込まず、壁面材6の中程の高さまで盛り込み、壁面材6の背後には、落下してきた落石43、土砂等を収容するスペースが残されている構成とする。
以上、本考案に係る擁壁構造物を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本考案はこのような実施例に限定されるものではなく、実用新案登録請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
本考案に係る擁壁構造物は上記のような構成であるから、補強土擁壁、斜面法尻土留工、その他、造成地の擁壁等の各種の擁壁構造物に適用可能である。
1 擁壁構造物
2 盛土構造体
3 底面材
6 壁面材
7 L字型ユニット
10 底面地盤
12 切土面
16 盛土
17 壁面材の下端部
18 メッシュ
21 コイル
22 連結棒
25 斜タイ材
26 固定用フック
27 引っ掛け用フック
28 斜タイ材の上端部
29 フック開口
30 折り曲げ部
35 腹起し材
41 擁壁構造物
42 斜面
43 落石

Claims (5)

  1. L字型ユニットを、擁壁構造物を構築する底面地盤の上に設置し、該L字型ユニットの上に盛土して形成された盛土構造体を有する擁壁構造物であって、
    L字型ユニットは、擁壁構造物を施工する施工現場において、板状であってメッシュを有する壁面材、板状であってメッシュを有する底面材及び斜めタイ材を有し、壁面材を底面材に対して斜めタイ材を介して所定の角度で起立するように取り付けて組み立てられた構成であることを特徴とする擁壁構造物。
  2. L字型ユニットは、壁面材の下端部が底面材のメッシュから突き出るように挿入され、突き出た壁面材の下端部が螺旋状のコイル内に入るように、該壁面材の下端部の周りに底面材のメッシュを通して該コイルが巻き付けられ、該コイル内に連結棒を壁面材の横幅にわたって挿入され、壁面材の下端部が底面材に取り付けられて成り、
    斜めタイ材は、その上端部が折り返され、さらにその先端が前方に曲げられて固定用フックが形成されているとともに、その下端部が折り返されて成る引っ掛け用フックが形成されており、該斜めタイ材は、固定用フックが壁面材に引っ掛けられ、引っ掛け用フックが底面材に引っ掛けられて、壁面材と底面材の間に架設され、壁面材を底面材に対して所定の角度に固定することを特徴とする請求項1に記載の擁壁構造物。
  3. 壁面材と底面材として、エキスパンドメタルを使用することを特徴とする請求項1又は2に記載の擁壁構造物。
  4. 斜めタイ材の固定用フックは、壁面材のメッシュに引っ掛けられるとともに、先端が前方に曲げられた部分が壁面材の背面に当接されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の擁壁構造物。
  5. L字型ユニットの上に盛土して形成された盛土構造体が、一段又は複数段、積み重ねられるようにして構築されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の擁壁構造物。
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