JP3196635B2 - 潤滑性ならびにプレス成形後の耐食性および外観に優れた溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

潤滑性ならびにプレス成形後の耐食性および外観に優れた溶融亜鉛めっき鋼板

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JP3196635B2 JP08007296A JP8007296A JP3196635B2 JP 3196635 B2 JP3196635 B2 JP 3196635B2 JP 08007296 A JP08007296 A JP 08007296A JP 8007296 A JP8007296 A JP 8007296A JP 3196635 B2 JP3196635 B2 JP 3196635B2
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    • C23C28/00Coating for obtaining at least two superposed coatings either by methods not provided for in a single one of groups C23C2/00 - C23C26/00 or by combinations of methods provided for in subclasses C23C and C25C or C25D

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、その表面上に潤
滑油等を塗布しなくても潤滑性に優れ、ならびに、プレ
ス成形後の耐食性および外観に優れた溶融亜鉛めっき鋼
板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶融亜鉛系めっき鋼板は、その優れた耐
食性から、各種の産業分野において広く使用されてい
る。このような溶融亜鉛系めっき鋼板を、複写機等の事
務機器、音響機器、家庭電器製品等の材料として裸使用
する場合には、種々のプレス成形が施され、また、モー
ターカバー、カートリッジ式タンク等の材料として裸使
用する場合には、絞り成形が施される。このようなプレ
ス成形時には、一般に溶融亜鉛系めっき鋼板の表面上
に、潤滑油を塗布することが行なわれている。しかしな
がら、潤滑油等を塗布することは、製造工程を煩雑に
し、且つ、作業環境を悪化させるのみならず、潤滑油を
塗布してプレス成形した場合でも、成形加工が厳しい場
合には、プレス成形される鋼板にかじりが発生して、亜
鉛被膜が多量に剥離し、耐食性が劣化することがある。
【0003】上述した問題を解決し、その表面上に、潤
滑油を塗布しなくても、優れたプレス成形性および潤滑
性を有し、且つ、成形後の耐食性および外観に優れた表
面処理鋼板の開発が従来から要求されており、例えば、
次のような表面処理鋼板が、従来、提案されている。
【0004】特開平5−39458号公報:ポリエステ
ル系樹脂を主体として架橋剤を1〜20重量%、潤滑剤
として平均分子量2000〜8000のポリエチレン系
ワックスを0.2〜10重量%含有する樹脂被膜が付着
量0.2〜5g/m2 にて鋼板の表面に形成されている
ことを特徴とするプレス成形性、塗装性、および耐食性
に優れる樹脂塗装鋼板で、架橋剤はイソシアネート系化
合物またはメラミン系化合物であり、ポリエステル系樹
脂が60〜90℃の範囲のガラス転移温度を有すること
を特徴とする樹脂塗装鋼板(以下、「先行技術1」とい
う)。
【0005】また、本発明者らにより、下記表面処理鋼
板が、提案されている。 特開平6−254486号公報:亜鉛めっき鋼板また
は、亜鉛系合金めっき鋼板の少なくとも1つの亜鉛系め
っき層の上に、クロメート被膜が形成され、更に、前記
クロメート被膜の上に、塗料を塗布し、そして、これを
加熱硬化させることによって樹脂被膜が形成されている
亜鉛系めっき鋼板であって、前記クロメート被膜の量
は、金属クロムに換算して、前記鋼板の片面当たり、5
〜200mg/m2 の範囲内であり、前記樹脂被膜の厚
さは、前記鋼板の片面当たり、0.3μm超〜10.0
μm以下の範囲内であり、前記樹脂被膜は、固形分換算
で、 (1)ガラス転移温度の異なる2種以上の溶剤系熱硬化
性樹脂:100重量部 (2)固形潤滑剤としての130℃以下の融点を有する
ポリエチレン樹脂:1〜30重量部、および、 (3)防錆顔料:3〜30重量部 からなっており、そして、前記ガラス転移温度の異なる
2種以上の溶剤系熱硬化性樹脂は、 (A)下記からなるガラス転移温度の異なる2種以上の
水酸基含有ウレタンポリマー、(a)ポリエーテルポリ
オール、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポ
リエステルポリオールからなる群から選んだ少なくとも
1種のポリオール、(b)イソシアネート化合物、およ
び、(c)2価のアルコール、および、 (B)硬化剤としてのブロックイソシアネートプレポリ
マーおよびアミノ樹脂のうち少なくとも1種、からな
り、そして、前記防錆顔料は、クロム酸塩系化合物、お
よび、シリカのうちの少なくとも1種からなる潤滑性、
プレス成形性、および、耐食性に優れた亜鉛系めっき鋼
板(以下、「先行技術2」という)。
【0006】その他にも、亜鉛めっき上に、クロメート
処理を施こし、その上に、潤滑性の樹脂被膜を形成する
ことにより、潤滑油等を塗布しなくても、潤滑性および
プレス成形性に優れ、且つ、耐食性の良好な表面処理鋼
板の開発が従来からなされており、その表面上に潤滑性
の樹脂被膜が形成されためっき鋼板として、例えば、特
開昭61−60886号公報、特開平1−110140
号公報、特開平1−301332号公報、特開平2−1
40294号公報の他、本発明者らの発明による特開平
4−313367号公報および特開平4−313368
号公報が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した先行技術1に
は、次のような問題がある。表面に潤滑油等を塗布する
ことなく、優れた潤滑性、および、プレス成形性が発揮
されるが、厳しい条件でプレス成形を施すと、樹脂被膜
の損傷が極めて大きく、加工後耐食性、加工後外観が著
しく劣っていた。
【0008】上述した先行技術2には、次のような問題
がある。表面に潤滑油等を塗布することなく、優れた潤
滑性、および、プレス成形性が発揮され、厳しい条件
で、プレス成形を施しても、樹脂被膜の損傷は僅かであ
り、先行技術1に比べて優れている。しかしながら、特
に溶融亜鉛めっきの上に樹脂被膜が形成されている場合
には、成形加工後の耐食性および潤滑性能は電気亜鉛め
っき層の上に同様の被膜が形成されている鋼板に比べて
若干劣っていた。
【0009】そこで、本発明者らは、溶融亜鉛めっき層
に上記クロメート被膜および樹脂被膜を形成しても、優
れた成形加工後の耐食性、外観を併せ持つ溶融亜鉛めっ
き鋼板の製造方法について鋭意検討を重ねた。
【0010】この発明の目的は、上述の問題を解決し、
表面に潤滑油等を塗布することなく、優れた潤滑性およ
びプレス成形性が発揮され、厳しい条件で、プレス成形
を施しても、樹脂被膜がほとんど損傷せず、めっき損傷
を伴う黒化現象を抑制でき、特に、プレス成形後の耐食
性、外観に優れた溶融亜鉛めっき鋼板を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
問題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、溶融亜
鉛めっき鋼板製造時に生じる表面酸化物が、溶融亜鉛め
っき層の上にクロメート被膜や樹脂被膜を形成した場合
の加工後耐食性および加工後外観を劣化させていること
を見出した。得られた知見を以下に列挙する。 (1)被膜の加工後剥離部位には、Al(アルミニウ
ム)が多量に存在しており、前記溶融亜鉛めっき層の極
表層200オングストロームの範囲における任意の深さ
において、原子数比O(酸素)/Zn(亜鉛)が1.0
以上、または、Al/Znが1.0以上の場合には、主
として溶融亜鉛めっき層の極表面の酸化物被膜(アルミ
ニウム酸化膜、亜鉛酸化膜)から剥離が発生している。 (2)アルカリ洗浄または酸洗、または、両者の組合
せ、あるいは、機械的研磨により、溶融亜鉛めっき表面
の酸化膜(アルミニウム酸化膜、亜鉛酸化膜)を低減さ
せることにより、加工後耐食性および加工後外観を大き
く向上させることができる。 (3)溶融亜鉛めっき層の表面の酸化膜は、その極表層
200オングストロームの範囲における任意の深さにお
いて、原子数比O/Zn、および、Al/Znは小さい
方が、潤滑被膜形成後の品質が優れている。例えば、O
/Znが1.0以上の場合と、O/Znが0.5未満の
場合とでは、その加工後耐食性は錆発生時間(白錆10
%発生)で評価して、0.5未満の方が約2倍近く向上
する。しかしながら、微量の存在領域になると、却って
OやAlは存在しているほうが潤滑被膜形成後の品質は
優れている。
【0012】この発明は上述の知見に基づいてなされた
ものであって、請求項1記載の発明は、鋼板と、前記鋼
板の表面に形成された溶融亜鉛めっき層と、前記溶融亜
鉛めっき層の表面に形成された、付着量が金属クロム換
算で5〜200mg/m2 のクロメート被膜と、前記ク
ロメート被膜の表面に形成された、固形潤滑剤および防
錆顔料を含有する、膜厚が0.3μm超〜10μm以下
の樹脂被膜とからなり、前記溶融亜鉛めっき層の表面の
酸化膜は、その表層から200オングストロームまでの
範囲の任意の深さにおける原子数比O/Znが0.1以
上1.0未満、且つ、原子数比Al/Znが0.01以
上0.5未満であり、前記固形潤滑剤は、ポリオレフィ
ン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、グラファイト、
モリブデンジサルファイドおよびステアリン酸カルシウ
ムの群から選んだ少なくとも1種または2種以上からな
り、前記防錆顔料は、微粒子状シリカおよび/またはク
ロム酸塩化合物からなることを特徴とする潤滑性ならび
にプレス成形後の耐食性および外観に優れた溶融亜鉛め
っき鋼板である。
【0013】請求項2記載の発明は、鋼板と、前記鋼板
の表面に形成された溶融亜鉛めっき層と、前記溶融亜鉛
めっき層の表面に形成された、付着量が金属クロム換算
で5〜200mg/m2 のクロメート被膜と、前記クロ
メート被膜の表面に形成された、膜厚が0.3μm超〜
10μm以下の樹脂被膜とからなり、前記溶融亜鉛めっ
き層の表面の酸化膜は、その表層から200オングスト
ロームまでの範囲の任意の深さにおける原子数比O/Z
nが0.1以上1.0未満、且つ、原子数比Al/Zn
が0.01以上0.5未満であり、前記樹脂被膜は、ガ
ラス転移温度の異なる2種以上の溶剤系熱硬化樹脂を主
成分とするベース樹脂と、前記ベース樹脂固形分100
重量部当たり1〜30重量部含有された、融点が130
℃以下のポリエチレン樹脂と、前記ベース樹脂固形分1
00重量部当たり3〜30重量部含有された、微粒子状
シリカおよび/またはクロム酸塩化合物からなる防錆顔
料とからなり、前記ガラス転移温度の異なる2種以上の
溶剤系熱硬化樹脂は、ポリエーテルポリオール、ポリエ
ステルポリオールおよびポリエーテルポリエステルポリ
オールのうちの少なくとも1つのポリオールと、イソシ
ネート化合物と、2価のアルコールより製造されたウレ
タンプレポリマーに、硬化剤としてのブロックイソシア
ネートプレポリマーおよび/またはアミノ樹脂を配合し
た樹脂であることを特徴とする潤滑性ならびにプレス成
形後の耐食性および外観に優れた溶融亜鉛めっき鋼板で
ある。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明者らは、溶融亜鉛めっき層
の表面に樹脂被膜を形成し、図3に示す耐黒化性を評価
するための成形加工試験機を用いて試験片に成形加工を
実施して、被膜の剥離面の元素分布から剥離部位を特定
すべく検討を重ねた。
【0015】その結果、樹脂被膜の剥離部分には、アル
ミニウムが多量に検出されることが判明した。表面およ
び深さ方向の分析(元素およびその分布の分析)には、
Ar(アルゴン)イオンスパッタリングと組み合わせた
AES(オージェ電子分光法)を用いた。即ち、ある深
さまでArイオンスパッタした後、各元素のAESスペ
クトル強度を測定し、相対感度因子補正によって、O/
ZnおよびAl/Znの原子数比を求めた。これを繰り
返すことで、溶融亜鉛めっき層中の深さに対する各元素
の組成分布を測定した。なお、スパッタ速度の標準試料
として、SiO 2 (二酸化珪素)を用い、そのスパッタ
速度を250Å/s(オングストローム/秒)として、
測定深さを校正した。
【0016】溶融亜鉛めっき、および、電気亜鉛めっき
の深さ方向の分析結果から、溶融亜鉛めっき層では、表
面に酸化膜(アルミニウムや亜鉛の酸化膜)が厚く存在
していることがわかる。この酸化膜の厚みは、アルゴン
のスパッタリング時間から、200〜300オングスト
ローム程度と推定された。
【0017】従って、被膜の剥離部分に、アルミニウム
が多量に検出されること、また、アルミニウムは、溶融
亜鉛めっき鋼板のめっき層表面の極表層にしか多量に存
在しないため、成形加工による被膜の剥離が、主として
溶融亜鉛めっき表面の酸化物層(アルミニウム酸化物や
亜鉛酸化物)の凝集破壊によって起こる可能性が示唆さ
れる。すなわち、溶融亜鉛めっき層表面の酸化物被膜
(アルミニウム酸化物や亜鉛酸化物)が、脆弱境界層と
なっている可能性があり、この酸化物被膜を除去すると
被膜の成形加工による剥離が著しく低減する可能性を見
出した。
【0018】従って、溶融亜鉛めっき層の表面の酸化膜
の極表層200オングストロームの範囲における任意の
深さの、原子数比O/Znを0.1以上1.0未満、好
ましくは0.5未満、且つ、原子数比Al/Znを0.
01以上0.5未満、好ましくは、0.25未満、とな
るように調整された溶融亜鉛めっき層を形成することに
より、成形加工して使用される潤滑鋼板の下地として最
適の表層が得られる。そして、その手段としては、溶融
亜鉛めっき鋼板をアルカリ洗浄および酸洗処理の少なく
とも1種または2種の組合せによる洗浄、または、機械
的な圧延や研磨処理などを用いる。
【0019】前記溶融亜鉛めっき層の極表層200オン
グストロームの範囲の任意の深さにおける組成を限定し
た理由は、表面酸化物は極表層に濃化しており、この極
表層の酸化物量を特定範囲に限定することによって、上
層被膜形成後の鋼板の品質が大きく影響されるためであ
る。
【0020】原子数比O/Znを1.0未満、好ましく
は0.5未満とした理由は、この範囲では、この値が小
さいほど、上層被膜形成後の鋼板の品質が優れているた
めである。0.1以上としたのは、0.1未満では、め
っき鋼板の上層被膜との接着性や密着性の低下が起こる
からである。
【0021】原子数比Al/Znを0.5未満とした理
由は、Al/Znが0.5以上だと、まったく酸化膜の
除去を実施しない場合と比べても、成形後外観の大きな
改善効果が得られないためである。また、原子数比Al
/Znは小さいほど好ましいが、Al/Znを0.01
以上とした理由は、この程度の微量な領域では、却って
Alの酸化物、特に、水酸化物の存在によって上層被膜
との密着性が向上するためである。このように、溶融亜
鉛めっき鋼板(溶融亜鉛めっき層)の表層の組成を上記
のように限定することによって、成形加工して使用され
る潤滑鋼板の下地として最適の表層が得られる。
【0022】請求項1記載の発明においては、固形潤滑
剤および防錆顔料を含有させた樹脂被膜を用いる。固形
潤滑剤は、ポリオレフィン樹脂、テトラフルオロエチレ
ン樹脂、グラファイト、モリブデンジサルファイドおよ
びステアリン酸カルシウムの群から選んだ少なくとも1
種または2種以上を使用する。防錆顔料は、微粒子状シ
リカおよび/またはクロム酸塩化合物を使用する。クロ
ム酸塩化合物は、クロム酸カルシウム、クロム酸ストロ
ンチウム、クロム酸バリウム、クロム酸鉛、クロム酸亜
鉛、クロム酸亜鉛カリウム、クロム酸銀等を使用する。
【0023】請求項2記載の発明においては、ガラス転
移温度の異なる2種以上の溶剤系熱硬化樹脂を主成分と
するベース樹脂と、前記ベース樹脂固形分100重量部
当たり1〜30重量部含有された、融点が130℃以下
のポリエチレン樹脂と、前記ベース樹脂固形分100重
量部当たり3〜30重量部含有された、微粒子状シリカ
および/またはクロム酸塩化合物からなる防錆顔料とか
らなる樹脂被膜を用いる。ガラス転移温度の異なる2種
以上の溶剤系熱硬化樹脂は、ポリエーテルポリオール、
ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリエステ
ルポリオールのうちの少なくとも1つのポリオールと、
イソシネート化合物と、2価のアルコールより製造され
たウレタンプレポリマーに、硬化剤としてのブロックイ
ソシアネートプレポリマーおよび/またはアミノ樹脂を
配合した樹脂である。
【0024】被膜樹脂形成の塗料には、前記の溶剤系熱
硬化性樹脂、固形潤滑剤や防錆顔料の他に、必要に応じ
て、他の成分、例えば、顔料、染料などの着色剤、溶
剤、界面活性剤、安定剤等を含有させてもよい。
【0025】樹脂被膜は、溶融亜鉛めっき鋼板の溶融亜
鉛めっき層の上に形成されたクロメート被膜の上に形成
することが必要である。即ち、樹脂被膜は、表面の酸化
膜の原子数比が調整された溶融亜鉛めっき鋼板のめっき
表層に、所定の溶剤によって希釈した前述の塗料を、後
述するクロメート被膜を介して塗布等により付着せし
め、そして、加熱して架橋硬化させることにより形成さ
れる。このように、クロメート被膜の上に樹脂被膜を形
成することにより、クロメート被膜中に含まれるCr
6 + のクロム酸イオンによる不働態化効果が生ずる。更
に、溶融亜鉛めっき層の表面が、クロム酸イオンの還元
生成物であるCr3 + のクロム水和酸化物被膜によって
被覆されるので、アノード面積が減少し、且つ、溶融亜
鉛めっき層への水や酸素の侵入が防止される。従って、
溶融亜鉛めっき潤滑鋼板の耐食性が向上し、且つ、樹脂
被膜の形成も良好になる。なお、クロメート被膜の形成
は、塗布処理、電解処理および反応処理等、既知のどの
様な手段で行なってもよい。
【0026】潤滑材としてのポリエチレン樹脂の含有量
は、有機樹脂の固形分100重量部に対して1〜30重
量部の範囲内とすべきである。ポリエチレン樹脂の含有
量が、有機樹脂の固形分100重量部に対して1重量部
未満では、潤滑性の向上効果が得られない。一方、30
重量部を超えると樹脂被膜自体の凝集力および強度が低
下する結果、プレス成形時に樹脂被膜の剥離が増加する
問題が生ずる。ポリエチレン樹脂のより好ましい含有量
は、有機樹脂の固形分100重量部に対して、5〜20
重量部の範囲内である。
【0027】微粒子状シリカおよび/またはクロム酸塩
化合物からなる防錆顔料は、有機樹脂の固形分100重
量部に対して3〜30重量部含有すべきである。防錆顔
料の含有量が、有機樹脂固形分100重量部に対して、
3重量部未満では、耐食性の向上効果が得られない、一
方、30重量部を超えても、より以上の耐食性向上効果
が見られないのみならず、樹脂被膜の凝集力が低下する
ため、プレス成形時に樹脂被膜に剥離を増長させる問題
が生ずる。防錆顔料のより好ましい含有量は、有機樹脂
の固形分100重量部に対して、5〜20重量部の範囲
内である。
【0028】クロメート被膜の付着量は、金属クロムに
換算して、鋼板の片面当たり5〜200mg/m2 の範
囲内とすべきである。クロメート被膜の付着量が、金属
クロムに換算して、鋼板の片面当たり5mg/m2 未満
では、耐食性の向上効果が得られない。一方、クロメー
ト被膜の量が、金属クロムに換算して、鋼板の片面当た
り200mg/m2 を超えると、より以上の耐食性向上
効果が得られないのみならず、鋼板の変形を伴う厳しい
プレス成形が施こされた場合に、クロメート被膜が破壊
する問題が生ずる。クロメート被膜の、より好ましい量
は、金属クロムに換算して、鋼板の片面当たり10〜1
50mg/m2 の範囲内である。
【0029】溶融亜鉛めっき鋼板の少なくとも1つの表
面に対する樹脂被膜の形成は、次のようにして行なわれ
る。即ち、溶融亜鉛めっき層の上に形成されたクロメー
ト被膜の表面上に、ロールコーター、カーテンフローコ
ーターまたはスプレー塗装等の既知の方法によって、上
述した組成の塗料を塗布し、または、上述した組成の塗
料中に、その表面上にクロメート被膜が形成された溶融
亜鉛めっき鋼板を浸漬し、付着した塗料を、ロールまた
は空気の吹き付けにより絞って、所定量の被膜を形成す
る。次いで、これを熱風炉または誘導加熱装置により、
60〜250℃の温度で加熱して塗料中の溶剤を蒸発さ
せ、樹脂を架橋硬化させる。かくして、溶融亜鉛めっき
鋼板の表面上に形成されたクロメート被膜の上に、樹脂
被膜が形成される。
【0030】上述のようにして形成された樹脂被膜の厚
さは、鋼板の片面当たり、0.3μm超〜10μm以下
の範囲内とすべきである。樹脂被膜の厚さが、鋼板の片
面当たり0.3μm以下では、プレス成形時、特に高精
度を要求される厳しいプレス成形時に、着色処理層が受
ける損傷を完全に防止することができず、しかも、その
部分に更に摺動抵抗が加わるために、溶融亜鉛めっき鋼
板の外観の低下を抑制することができない。一方、樹脂
被膜の厚さが、鋼板の片面当たり10μmを超えると、
溶接が不可能になるばかりか、プレス成形時に、樹脂被
膜自体の破壊や剥離量が増加し、金型への付着や堆積が
不可避になるので、プレス成形を安定して連続的に行う
ことができなくなる問題が生ずる。
【0031】図1は溶融亜鉛めっき鋼板の強アルカリ処
理のレベル(洗浄時間)と、被膜形成後の品質を示すグ
ラフである。図1において、○印は、アルカリ洗浄した
溶融亜鉛めっき鋼板に上層被膜を形成、●印は、アルカ
リ洗浄し、更に酸洗した溶融亜鉛めっき鋼板に上層被膜
を形成、そして、薄い着色(ハッチング)の丸印は、ア
ルカリ洗浄した溶融亜鉛めっき鋼板にクロメート被膜を
形成したものであり、本発明ではなく、単なるC処理材
の品質確性結果である。図1から、強アルカリ処理のレ
ベルが強くなると、成形後外観は改善され、耐黒変性、
摩擦係数(常温および150℃)は変化しないこと、ま
た、成形後耐食性が改善されることがわかる。
【0032】
【実施例】次に、この発明を実施例により説明する。 〔実施例1〕この発明の範囲内の溶融亜鉛めっき鋼板、
および、比較のためのこの発明の範囲外の溶融亜鉛めっ
き鋼板を調製し、その性状の調査を行った。
【0033】先ず、樹脂被膜の形成に使用する塗料の溶
剤系熱硬化性樹脂中の水酸基含有ウレタンプレポリマー
として、表1に示す成分組成AおよびBの2種類の水酸
基含有ウレタンプレポリマーと、ポリエステル系樹脂と
を準備した。
【0034】表1のAに示す水酸基含有ウレタンプレポ
リマーは以下に示す方法により調製した。加熱装置、攪
拌機、水分離機および温度計を備えた反応装置を使用
し、この装置内に、ポリエステルポリオールとしての芳
香族ポリエステルポリオール(AR):915重量部、
および、脂肪族ポリエステルポリオール(AL):91
5重量部を供給し、これらを、不活性雰囲気下において
加熱しそして融解した。融解したポリエステルポリオー
ルを、攪拌しながら100℃の温度に加熱し、そして、
その温度で30〜60分間保温し、次いで、脱水した。
【0035】次いで、融解した原料の温度を約70℃ま
で冷却し、その温度下において、2価のアルコールとし
ての1,4ブタンジオール:28重量部、イソシアネー
ト化合物としてのジフェニルメタン−4,4’−ジイソ
シアネート:313重量部、反応触媒としてのジブチル
チンラウリレート:0.55重量部、および、溶剤とし
てのシクロヘキサノン:940重量部をそれぞれ添加
し、そして、混合し、5〜10時間反応させた。上記混
合物が所定の粘度になった後、2価のアルコールとして
の1,3−ブタンジオール:10重量部を加えて反応を
終了させた。更に、溶剤としてのシクロヘキサノン:4
150重量部を加え、かくして、不揮発分:30%、粘
度:1400cpsの水酸基含有ウレタンプレポリマー
を調製した。
【0036】更に、上記のAと同様の方法により、表1
のBに示す水酸基含有ウレタンプレポリマーを調製し
た。このようにして調製した水酸基含有ウレタンプレポ
リマーとメチルエチルケトオキシムでブロックされたヘ
キサメチレンジイソシアネート3量体とを、NCO/O
H=1/1の当量比で架橋硬化させた熱硬化型樹脂のガ
ラス転移温度を表1に併せて示す。
【0037】本発明の樹脂aは、表1のAとBとを8:
2の配合比で組み合わせて使用した。比較用の樹脂b
は、表1のC(ポリエステル系樹脂)のみを使用した。
一方、更に、表2に示した成分組成の固形潤滑剤a〜e
を準備した。
【0038】板厚0.8mmの鋼板上に、めっき量40
/40g/m2 (片面あたり40g/m2 の両面めっ
き)の溶融亜鉛めっき層が形成された溶融亜鉛めっき鋼
板を準備し、溶融亜鉛めっき層の表面に対して強アルカ
リおよび/または酸による酸化物除去処理を施し、酸化
膜の極表層200オングストロームまでの範囲の任意の
深さにおいて、原子数比O/Znが0.1以上1.0未
満、好ましくは0.5未満、且つ、原子数比Al/Zn
が0.01以上0.5未満、好ましくは、0.25未満
となるように溶融亜鉛めっき層の表面の酸化膜を調整し
た。
【0039】次いで、溶融亜鉛めっき層の表面にシリカ
ゾルを含有するクロメート処理液をロールコーティング
法により塗布した。次いで、表1のAおよびBで構成さ
れる溶剤系熱硬化性の前記の本発明樹脂a、比較用樹脂
b、表2に示した潤滑剤a〜eおよび防錆顔料としての
シリカを含有する塗料を、上記クロメート被膜の表面
に、ロールコーティング法により塗布した。使用したシ
リカは、粒径100nm以下の親水性シリカであった。
次いで、これを、誘導加熱装置において60〜250℃
の温度に加熱して、クロメート被膜の表面に約2.0μ
mの厚さの樹脂被膜を形成した。このようにして、表
3、表4に示す、この発明の範囲内の鋼板(以下、「本
発明鋼板」という)No. 1〜50を調製した。
【0040】比較のために、実施例に使用したと同等の
溶融亜鉛めっき鋼板に十分な強アルカリおよび/または
酸洗を施した後、溶融亜鉛めっき層の表面にクロメート
被膜をロールコーティング法により塗布した。次いで、
上記クロメート被膜の表面に、表1のAおよびBで構成
される前記の溶剤系熱硬化性樹脂a、樹脂b、表2に示
した潤滑剤a〜eおよび防錆顔料としてのシリカを含有
する塗料をロールコーティング法により塗布した。使用
したシリカは、粒径100nm以下の親水性シリカであ
った。次いで、これを誘導加熱装置において60〜25
0℃の温度に加熱して、クロメート被膜の上に本発明の
範囲外の被膜厚の樹脂被膜を形成した。このようにし
て、表6、表7に示す、この発明の範囲外の溶融亜鉛め
っき鋼板(以下、「比較用鋼板」という)No. 1〜4、
11〜14、21〜24、31〜34、41〜44、5
1〜54を調製した。
【0041】更に、比較のために、軽度のアルカリおよ
び/または酸洗の実施により酸化膜の極表層200オン
グストロームまでの範囲の任意の深さにおける原子数比
が本発明範囲外に調整された溶融亜鉛めっき層が形成さ
れた鋼板の表面にシリカゾルを含有するクロメート処理
液をロールコーティング法により塗布してクロメート被
膜を形成し、次いで、その表面に、ロールコーティング
法により、表1のAおよびBで構成される前記の溶剤系
熱硬化性樹脂a、樹脂b、表2に示した潤滑剤a〜eお
よび防錆顔料としてのシリカからなる塗料を塗布した。
使用したシリカは、粒径100nm以下の親水性シリカ
であった。次いで、これを、誘導加熱装置において60
〜250℃の温度に加熱して、クロメート被膜の上に約
2.0μmの厚さの樹脂被膜を形成した。このようにし
て、表6、表7に示す、この発明の範囲外の溶融亜鉛め
っき鋼板(以下、「比較用鋼板」という)No. 5〜1
0、15〜20、25〜30、35〜40、45〜5
0、55〜60を調製した。
【0042】上述した、本発明鋼板No. 1〜50および
比較用鋼板No. 1〜60の各々について、成形後の耐食
性、成形後外観を、以下に述べる性能試験によって評価
した。評価結果を表5および表8に示す。
【0043】(1)摩擦係数(潤滑性) 図2に概略正面図で示す潤滑性を評価するための試験機
を使用した。図2に示すように、箱状の枠2の一側2a
に固定されたフラット面を有する雌ダイス1と、雌ダイ
ス1と向き合った、所定の高さの実質的に水平な突条3
を有する雄ダイス4と、雄ダイス4を支持し、そして、
雄ダイス4を雌ダイス1に向けて水平移動させるため
の、枠2の他側2bに固定された油圧シリンダ5とから
なっている。雄ダイス4は、油圧シリンダ5のロッド5
aに、ロードセル6を介して固定されている。なお、雄
ダイス4の突条3の幅は10mmであり、その先端の長
さは1mmである。
【0044】本発明鋼板および比較用鋼板から切り出さ
れた試験片7を、雌ダイス1と雄ダイス4との間の間隙
に垂直に挿入し、そして、油圧シリンダ5を作動させ
て、雌ダイス1と雄ダイス4とにより試験片7を50k
gf(500kgf/cm2 )の圧力で押し付けた。次
いで、試験片7を矢印に示すように、100mm/分の
速度で上方に引き抜き、その時の動摩擦係数を調べ、こ
れによって潤滑性を評価した。なお、試験は、常温(2
0℃)の試験片のほか、実際のプレス作業時の板温上昇
を考慮して、150℃の温度の高温試験片についても行
った。
【0045】(2)耐黒化性 図3に概略正面図で示す耐黒化性を評価するための試験
機を使用した。図3に示すように、箱状の枠2の一側2
aに固定された所定の高さの実質的に水平な突条8を有
する雄ダイス9と、雄ダイス9の突条8と向き合った所
定深さの溝10を有する雌ダイス11と、雌ダイス11
を支持し、そして、雌ダイス11を雄ダイス9の突条8
に向けて水平に移動させるための、枠2の他側2bに固
定された油圧シリンダ5とからなっている。雌ダイス1
1は、油圧シリンダ5のロッド5aに、ロードセル6を
介して固定されている。なお、雄ダイス9の突条8の幅
は30mmであり、突条8の先端の半径は0.25mm
である。
【0046】本発明鋼板および比較用鋼板から切り出さ
れた試験片を雄ダイス9と雌ダイス11との間の間隙に
垂直に挿入し、油圧シリンダ5を作動させて、雄ダイス
9と雌ダイス11とにより、試験片7を100kgf
(1000kgf/cm2 )の圧力で押し付けた。次い
で、試験片7を矢印に示すように、100mm/分の速
度で上方に引き抜き、そのときの試験片の外観を目視に
よって調べ、傷付き程度および黒化程度を評価した。評
価基準は次の通りである。
【0047】 ◎印:傷付きおよび黒化の発生が識別できない。 ○印:傷付きおよび黒化の発生がほとんど識別できな
い。 △印:傷付きおよび黒化が僅かに発生している。
【0048】 ×印:局部的に傷付きおよび黒化が発生し、外観が明ら
かに不均一。 (3)プレス成形後の耐食性 円形状の試験片を、ブランク径:100mm、ポンチ
径:50mm、ダイス径:52.16mm、しわ押さえ
力:1トンの条件でカップ状に成形し、次いで、その端
縁部を、タールエポキシ塗料によってシールした後、J
IS Z 2371に基づく塩水噴霧試験を施こし、白
錆発生率を調べ、これによって、プレス成形後の耐食性
を評価した。評価基準は、以下の通りである。
【0049】 ◎印:白錆発生率10%の発生時間;264時間以上 ○印:白錆発生率10%の発生時間;168時間以上 △印:白錆発生率10%の発生時間;96時間以上 ×印:白錆発生率10%の発生時間;96時間未満 表3〜表8から明らかなように、比較用鋼板No. 1〜
4、11〜14、21〜24、31〜34、41〜4
4、51〜54は、樹脂被膜厚が本発明の範囲外であ
り、成形後、耐食性、外観が劣っていた。また、比較用
鋼板No. 5〜10、15〜20、25〜30、35〜4
0、45〜50、55〜60は、洗浄が不十分で、酸化
膜の原子数比が本発明の範囲外であり、成形後、耐食
性、外観が劣っていた。
【0050】これに対して、本発明鋼板No. 1〜50
は、成形後耐食性および成形後外観の何れも優れてい
た。 〔実施例2〕この発明の範囲内の溶融亜鉛めっき鋼板、
および、比較のために本発明と同じクロメート被膜およ
び樹脂被膜を有する電気亜鉛めっき鋼板を調製し、その
性状の調査を行った。
【0051】溶融亜鉛めっき鋼板として、表面仕上の異
なる下記スパングル材、即ち、レギュラースパングル
材、ゼロスパングル材、ブライトミニマムスパングル材
およびミニマムスパングル材を準備した。比較用とし
て、電気亜鉛めっき鋼板を準備した。
【0052】先ず、実施例として、板厚0.8mmの上
記の溶融亜鉛めっき鋼板上に、めっき量40/40g/
2 (片面あたり40g/m2 の両面めっき)の溶融亜
鉛めっき層を形成した。次いで、溶融亜鉛めっき層の両
面に対して強アルカリおよび/または酸による酸化物除
去処理を実施し、酸化膜の極表層200オングストロー
ムまでの範囲における任意の深さにおいて、原子数比O
/Znが0.1以上1.0未満、好ましくは0.5未
満、且つ、原子数比Al/Znが0.01以上0.5未
満、好ましくは、0.25未満となるように溶融亜鉛め
っき層の表面の酸化膜を調整した。
【0053】次いで、溶融亜鉛めっき層の表面にシリカ
ゾルを含有するクロメート処理液をロールコーティング
法により塗布してクロメート被膜を形成した。次いで、
表1のAおよびBで構成される溶剤系熱硬化性の前記の
本発明樹脂a、比較用樹脂b、表2に示した潤滑剤a〜
eおよび防錆顔料としてのシリカをこの発明の範囲内の
割合で含有する塗料を上記クロメート被膜の上に、ロー
ルコーティング法により塗布した。使用したシリカは、
粒径100nm以下の親水性シリカであった。次いで、
これを、誘導加熱装置において60〜250℃の温度に
加熱して、クロメート被膜の上に約2.0μmの厚さの
樹脂被膜を形成した。このようにして、表9および表1
0に示す本発明鋼板No. 51〜98を調製した。
【0054】比較のために、電気亜鉛めっき鋼板の上に
クロメート被膜を形成し、その上に前述した樹脂aの固
形分100重量部に対して、固形潤滑剤a〜eおよび防
錆顔料を上記実施例の割合で含有する塗料を、ロールコ
ーティング法により塗布し、次いで、加熱して、クロメ
ート被膜の上に塗布して樹脂被膜を形成した。防錆顔料
として、粒径100nm以下の親水性シリカを用いた。
このようにして、表9および表10に示す比較鋼板No.
61〜72を調製した。
【0055】上述した、本発明鋼板No. 51〜98およ
び比較用鋼板No. 61〜72の各々について、成形後の
耐食性および成形後外観を実施例1と同様に評価した。
評価結果を表11に示す。
【0056】表9、表10、表11から明らかなよう
に、本発明鋼板No. 51〜98は、成形後耐食性および
成形後外観の何れも優れていた。また、本発明鋼板No.
51〜98は、比較用鋼板No. 61〜72と同レベルの
成形後外観および耐食性を有していた。従って、本発明
鋼板は、電気亜鉛めっき鋼板と同レベルの成形後耐食性
および外観を有していることがわかる。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】
【表8】
【0065】
【表9】
【0066】
【表10】
【0067】
【表11】
【0068】
【発明の効果】以上述べたように、この発明の溶融亜鉛
めっき鋼板は、表面に潤滑油を塗布しなくても優れた潤
滑性を発揮することができ、めっき損傷を伴う黒化現象
を抑制でき、特に、厳しい条件でプレス成形を施しても
プレス成形後の耐食性および外観が極めて優れており、
また、電気亜鉛めっき鋼板と同レベルの成形後耐食性お
よび外観を有しており、かくして、工業上有用な効果が
もたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明溶融亜鉛めっき鋼板の強アルカリ処理の
レベル(アルカリ洗浄時間)と、被膜形成後の品質を示
すグラフである。
【図2】試験片の潤滑性を評価するための試験機の概略
正面図である。
【図3】試験片の耐黒化性を評価するための試験機の概
略正面図である。
【符号の説明】 1 雌ダイス 2 枠 2a 枠の一側 2b 枠の他側 3 突条 4 雄ダイス 5 油圧シリンダ 5a ロッド 6 ロードセル 7 試験片 8 突条 9 雄ダイス 10 溝 11 雌ダイス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C23C 2/06 C23C 2/06 28/00 28/00 C //(C08L 75/04 (C08L 75/04 23:06) 23:06) C08K 3:36 C08K 3:36 (72)発明者 杉本 芳春 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−344499(JP,A) 特開 平4−218678(JP,A) 特開 平4−200779(JP,A) 特開 平8−13156(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 15/08 B05D 7/14 B32B 27/40 C08L 75/04 C09D 175/04 C23C 2/06 C23C 28/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板と、前記鋼板の表面に形成された溶
    融亜鉛めっき層と、前記溶融亜鉛めっき層の表面に形成
    された、付着量が金属クロム換算で5〜200mg/m
    2 のクロメート被膜と、前記クロメート被膜の表面に形
    成された、固形潤滑剤および防錆顔料を含有する、膜厚
    が0.3μm超〜10μm以下の樹脂被膜とからなり、
    前記溶融亜鉛めっき層の表面の酸化膜は、その表層から
    200オングストロームまでの範囲の任意の深さにおけ
    る原子数比O/Znが0.1以上1.0未満、且つ、原
    子数比Al/Znが0.01以上0.5未満であり、前
    記固形潤滑剤は、ポリオレフィン樹脂、テトラフルオロ
    エチレン樹脂、グラファイト、モリブデンジサルファイ
    ドおよびステアリン酸カルシウムの群から選んだ少なく
    とも1種または2種以上からなり、前記防錆顔料は、微
    粒子状シリカおよび/またはクロム酸塩化合物からなる
    ことを特徴とする潤滑性ならびにプレス成形後の耐食性
    および外観に優れた溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 鋼板と、前記鋼板の表面に形成された溶
    融亜鉛めっき層と、前記溶融亜鉛めっき層の表面に形成
    された、付着量が金属クロム換算で5〜200mg/m
    2 のクロメート被膜と、前記クロメート被膜の表面に形
    成された、膜厚が0.3μm超〜10μm以下の樹脂被
    膜とからなり、前記溶融亜鉛めっき層の表面の酸化膜
    は、その表層から200オングストロームまでの範囲の
    任意の深さにおける原子数比O/Znが0.1以上1.
    0未満、且つ、原子数比Al/Znが0.01以上0.
    5未満であり、前記樹脂被膜は、ガラス転移温度の異な
    る2種以上の溶剤系熱硬化樹脂を主成分とするベース樹
    脂と、前記ベース樹脂固形分100重量部当たり1〜3
    0重量部含有された、融点が130℃以下のポリエチレ
    ン樹脂と、前記ベース樹脂固形分100重量部当たり3
    〜30重量部含有された、微粒子状シリカおよび/また
    はクロム酸塩化合物からなる防錆顔料とからなり、前記
    ガラス転移温度の異なる2種以上の溶剤系熱硬化樹脂
    は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール
    およびポリエーテルポリエステルポリオールのうちの少
    なくとも1つのポリオールと、イソシネート化合物と、
    2価のアルコールより製造されたウレタンプレポリマー
    に、硬化剤としてブロックイソシアネートプレポリマー
    および/またはアミノ樹脂を配合した樹脂であることを
    特徴とする潤滑性ならびにプレス成形後の耐食性および
    外観に優れた溶融亜鉛めっき鋼板。
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