JP3196401B2 - 自動車用ウィンドシールドシステム - Google Patents

自動車用ウィンドシールドシステム

Info

Publication number
JP3196401B2
JP3196401B2 JP05087593A JP5087593A JP3196401B2 JP 3196401 B2 JP3196401 B2 JP 3196401B2 JP 05087593 A JP05087593 A JP 05087593A JP 5087593 A JP5087593 A JP 5087593A JP 3196401 B2 JP3196401 B2 JP 3196401B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
weight
fluorine
layer
wiper
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP05087593A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06262943A (ja
Inventor
隆三 上村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP05087593A priority Critical patent/JP3196401B2/ja
Publication of JPH06262943A publication Critical patent/JPH06262943A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3196401B2 publication Critical patent/JP3196401B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/34Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions
    • C03C17/42Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions at least one coating of an organic material and at least one non-metal coating

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Geochemistry & Mineralogy (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、撥水処理を施した自動
車用合わせガラスおよびワイパーアームに取り付けた、
樹脂の被膜層で被覆されたワイパーブレードとの組み合
わせからなる自動車用ウィンドシールドシステムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車用ウィンドシールドシステ
ムには撥水処理を施した自動車用合わせガラスは使用さ
れておらず、ケミカル商品としてスーパーレインX等を
ユーザーがウィンドシールドにコーティングし使用して
いる。かかるウィンドシールドシステムに用いられてい
る窓ガラスの撥水処理方法としては、例えばポリジメチ
ルシロキサンと室温で液状の炭化水素とから成る溶液中
に無機ガラスを浸漬し、ディッピング法により塗布した
後 250〜 300℃で焼き付けする方法が提案されている
(特開平 1-126244 号公報) 。また、ガラスの表面処理
剤として、ポリフルオロアルキル基 (Rf基) 含有シラン
化合物が各種提案されている (特開昭58-122979 号、特
開昭58-129082 号、特開昭58-142958 号、特開昭58-147
483 号、特開昭58-147484 号公報) 。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の撥水処理方法で処理されたウィンドガラスを
用いたウィンドシールドシステムでは、雨天時ワイパー
を作動させるとガラス表面が撥水処理面のために水膜が
できず、ワイパーと撥水ガラス面が直接接触する状態と
なっているため、摩擦係数が大きくなり、ワイパー払拭
時に大きな脈動 (ジャダー) が発生するという問題点が
あった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような従
来の問題点に着目してなされたもので、撥水処理ウィン
ドガラスとワイパーブレードとを備える自動車用ウィン
ドシールドシステムであって、前記撥水処理ウィンドガ
ラスが、被処理ガラス表面にフッ素含有アルキルシラン
層を有しており、前記フッ素含有アルキルシラン層が、
炭素数3〜10のフッ素含有アルキルシランからなる群よ
り選ばれる少なくとも1種のフッ素含有アルキルシラン
を1〜20重量%含有しており、前記ワイパーブレードが
ゴムから成り、前記ワイパーブレードの前記撥水処理ウ
ィンドガラスと接する表面が1〜50μm の厚さの少なく
とも1層のテフロン樹脂またはナイロン樹脂の被膜層で
全面被覆されており、前記ワイパーブレードが、 280〜
560kg.cmのピボット軸トルクのワイパー取り付け部のワ
イパーアームに取り付けられており、前記ワイパーブレ
ードの前記ピボット軸トルクでの作動によって、前記撥
水処理ウィンドガラスの表面が払拭される自動車用ウィ
ンドシールドシステムに係るものである。本発明におい
て、前記被処理ガラスが、ガラス表面に少なくとも1層
の金属酸化物被膜層を有しており、前記金属酸化物被膜
層の表面に、10〜80nmの径を有する微細な凹凸が設けら
れおり、前記金属酸化物被膜層の上に、前記フッ素含有
アルキルシラン層が設けられているのが好ましい。ま
た、前記被膜中に二硫化モリブデン微粒子、グラファ
イト微粒子、シリコン樹脂微粒子またはポリエチレン樹
脂微粒子を前記テフロン樹脂または前記ナイロン樹脂の
添加量に対し5〜50重量%含有させるのが好ましい。本
発明において、ガラス表面上の金属酸化物被膜層は、気
相法またはゾルゲル法のいずれかで形成することができ
る。
【0005】ゾルゲル法による薄膜の形成方法は例えば
「ゾル・ゲル法によるガラス・セラミックスの製造技術
とその応用」 (山根正之 監著 応用技術出版 1989
年)108〜140 ページに記載されている。例えばゾルゲル
の作製方法としてシリコンテトラメトキシドをアルコー
ルに溶解しておき、これに塩酸などの酸、および水など
の触媒や加水分解剤を加え、シリコンテトラメトキシド
を分解させSi-O-Si 結合を有するゾルを形成させる。粘
度を適切に選択することにより、任意の手法で塗布し薄
膜を形成するものである。塗布方法としてはディップ
法、スピン塗布法、スプレー法等から選択され、次いで
焼結する。積層方法は 1層塗布後続いて塗布してもよい
し、焼結後更に塗布してもよい。本発明で用いられる薄
膜は少なくとも 1層積層されることが必要である。本発
明で用いられるアルコラートの金属イオンとしては、ア
ルコラートを形成するものならば任意でよいが、焼結後
透明膜となるものが好ましい。アルコキシドは一般式 M
(OR)n で示される。 Mは金属であり、望ましくはアルカ
リ金属、アルカリ土類金属を除いたSi、Ti、Al、Zn等が
望ましい。また Rは任意のアルキル基から選択され、 R
はメチル基、エチル基、イソプロピル基、プロピル基、
ブチル基等が好ましい。
【0006】またアルコラートの加水分解速度を調節す
るため、任意の配位子を添加することができる。配位子
としては、アセチルアセトン等のジケトン類、エチルセ
ロソルブ等のアルコールエーテル類、エチレングリコー
ル等のグリコール類が好ましいが、特にグリコール類を
添加することが好ましい。これらの中でもヘキシレング
リコール、2,3-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール
および2-メチル-1,2-プロパンジオールが好ましい。ま
た金属酸化物被膜層は気相法で作製しても同じ効果が得
られる。気相法としてはプラズマ CVD、スパッタリング
および真空蒸着法等がある。図2に金属酸化物被膜層の
膜厚を変えた時の耐候性能評価結果を示す。後述する実
施例1で用いたゾルゲルコーティング液をエタノールで
希釈し、1+1、1+3、1+9の重量比で希釈したコ
ーティング液を作製した。このコーティング液を実施例
1と同じ条件でガラス板上にディッピング法でコーティ
ングし、膜厚を変えた金属酸化物被膜を作製しフッ酸処
理後、更に撥水処理剤も同じくコーティングし、耐候性
能をスガ試験機のD.P.W 促進耐候試験機で耐久し、水の
接触角を測定し評価した。膜厚の測定はゾルゲルコーテ
ィング時に一部かきとり、焼き付け後表面粗さ計により
測定した。その結果金属酸化物被膜厚20nm以下では耐候
性能改良には効果がなく、50nm以上の膜厚が必要であ
る。
【0007】金属酸化物被膜上への微細な凹凸の形成方
法については、湿式法としてはフッ化水素酸エッチング
による凹凸の形成、乾式法としてはプラズマエッチング
による凹凸の形成が選択される。いずれもこの上にコー
ティングされる撥水処理剤との付着面積を増大させ、結
合力を強化するものである。フッ化水素酸を用いた場合
の処理条件検討結果を表1に示すが、フッ化水素酸濃度
と、室温に於ける浸漬時間を変え処理した時の外観を評
価した。
【0008】
【表1】
【0009】金属酸化物被膜は実施例1と同じ条件で作
製したものを評価した。この結果フッ化水素酸濃度が 2
重量%以上では浸漬時間が10分以上になると表面が白化
してくるため、安全性とを考え合わせると 1.0重量%以
下が望ましい。また下限の濃度は非常に低くても処理可
能であるが、極めて長時間浸漬する必要があるため、0.
01重量%以上の濃度が望ましく、生産性も考え合わせる
と、浸漬時間は60分以下に調整するのが望ましい。ま
た、0.01重量%で 1分間処理したものは約10nmの穴が S
EMで観察され、 1.0重量%で120 分処理したものは80nm
の穴が観察された。
【0010】プラズマエッチングによる処理条件につい
ては、実施例1で作製したコーティング液を平板ガラス
に塗布し、 620℃で20分焼き付けを行った金属酸化物被
膜をプラズマエッチングし、検討実験を行った。結果を
図3に示すが、プラズマ CVDは日電アネルバ社製PED401
を使用し、Arベースの10容量%O2ガスで、電力200W、印
加周波数13.56MHz、圧力 0.2トル、基板温度 300〜 400
℃で、エッチング時間を 1〜60分間変化させ、処理を行
った。この上に実施例1と同じく撥水処理剤をコーティ
ングし、促進耐候試験機 (スガD.P.W)で耐久し、水の接
触角を測定し評価した。
【0011】この結果、 1分間以下のエッチングでは、
ほとんど改良効果は得られず、 2分間以上で効果が現
れ、耐候性能が良好になった。しかし、40分間以上で
は、白化が見られたため、30分間以下が良好である。
【0012】次に撥水処理剤について説明する。本発明
においては、フッ素基を有するフルオロアルキルシラン
をアルコール溶液に分散し、しかもこのフルオロアルキ
ルシランの一部を酸触媒および水によって加水分解しガ
ラスと反応性の高いシラノール基とすることにより、ガ
ラス表面と容易に反応し、強固な結合を作るものであ
る。
【0013】次にフルオロアルキルシラン添加量、酸触
媒添加量、水添加量について、最適な添加量を検討した
内容について説明する。まずフルオロアルキルシランの
添加量であるが、溶媒としてイソプロピルアルコールを
用い、酸触媒として塩酸を添加し、各塩酸の濃度が 1重
量%で一定になるよう調整した。また同じく水について
も 2重量%で一定になるように調整した。これらの溶液
中のフルオロアルキルシランとしてヘプタデカフルオロ
デシルトリメトキシシラン CF3(CF2)7CH2CH2Si(OMe)3
を用い濃度が 0.1重量%〜20重量%含有するコーティン
グ液を作製した後ガラス板上に塗布し、風乾後イソプロ
ピルアルコールでワイピングし水の接触角を測定した。
結果を図4に示すが、接触角90°以上を得るためにはフ
ルオロアルキルシランを重量比で 1重量%以上またはモ
ル比で0.08モル%以上含有する必要がある。また添加量
の上限は 2重量%以上で一定の接触角を示し、20重量%
ではガラス表面に塗布した時、余分なフルオロアルキル
シランがガラス表面に残るため、10重量%以下が望まし
い。
【0014】次に酸触媒の添加量であるが、溶媒にエチ
ルアルコールを用い、フルオロアルキルシランとしてト
リデカフルオロオクチルトリメトキシシラン CF3(CF2)5
CH2CH2Si(OMe)3 を添加し各濃度が 2重量%で一定にな
るように調整し、また同じく水についても10重量%で一
定になるよう調整する。
【0015】これらの溶液中の酸触媒として硝酸を用
い、各濃度が0.01〜10重量%内であるコーティング液を
作製した後ガラス板に塗布し、風乾後エチルアルコール
でワイピングし水の接触角を測定した。結果を図5に示
すが、接触角90°以上得るためには酸触媒を0.05重量%
以上含有する必要があり、また添加量が10重量%を超え
ると酸の臭気が強くなるため、 5重量%以下が望まし
い。
【0016】次に水の添加量であるが、溶媒としてイソ
プロピルアルコールを用い、フルオロアルキルシランと
してトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン CF3
(CF2)5CH2CH2Si(OMe)3 を添加し各濃度が 2重量%で一
定になるように調整する。また酸触媒として硝酸を添加
し各濃度が0.05重量%で一定になるよう調整する。
【0017】これら溶液中の水含有量が0.01〜60重量%
になるようコーティング液を作製し、ガラス板に塗布後
風乾し、イソプロピルアルコールでワイピングし水の接
触角を測定した。水の添加量は0.01重量%以上であれば
接触角90°以上得られるが、40重量%を超えると塗布後
の風乾性が悪くなるため、40重量%以下が望ましい。
【0018】溶剤の種類としては、メチルアルコール、
エチルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルア
ルコール、アミルアルコール、アセトン等から選択され
るが、塗装に付着した場合や臭気から考えるとメチルア
ルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール
から選択するのが望ましい。
【0019】酸触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン
酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸等から選択されるが、硫酸お
よびリン酸は塗膜等に付着した場合は塗膜中に取り込ま
れシミの原因となり、また、ギ酸等の有機酸は触媒効果
が低く初期接触角が低いため、塩酸および硝酸を使用す
ることが望ましい。
【0020】作製した撥水処理剤を目的とするガラス上
に塗布した後、加熱乾燥を行う。風乾でも接触角 100°
のものが得られるが、合わせガラスの変形限界温度付近
である 350℃まで温度を上げて乾燥するのが望ましい。
加熱乾燥後アルコール等でワイピングしたガラス表面に
は、ガラスと反応した撥水処理剤だけが残る。
【0021】この場合膜厚は、母材表面と反応したアル
キルシランのみが表面に残るため、単分子膜となり非常
に薄く約 1〜10nmである。このため表面の硬さは母材の
影響が強く現れ、表面硬度は非常に高いものとなる。
【0022】フッ素含有アルキルシランは炭素数が 3〜
10のフッ素含有アルキルシランから、少なくとも一種以
上を選択する。炭素数が11以上のフッ素含有アルキルシ
ランにおいてもコーティングは可能であるが、溶媒がフ
ロン等に限定されてくる。フッ素含有アルキルシランと
しては、CF3CH2CH2Si(OMe)3 、CF3CH2CH2SiCl3、CF3(CF
2)5CH2CH2SiCl3、CF3(CF2)5CH2CH2Si(OMe)3 、CF3(CF2)
7CH2CH2SiCl3、CF3(CF 2)7CH2CH2Si(OMe)3 、CF3(CF2)7C
H2CH2SiMeCl2、CF3(CF2)7CH2CH2SiMe(OMe)2 などから選
択し使用する。
【0023】次にワイパーブレードについて説明する。
本発明によればワイパーブレード表面にテフロン樹脂あ
るいはナイロン樹脂コーティング層を少なくとも一層有
し、さらにこれらの樹脂中に二硫化モリブデンあるいは
グラファイト等の微粒子を分散させたコーティング膜と
することにより、撥水処理ガラス表面とワイパーブレー
ドが接した時の摩擦抵抗を少なくし、ワイパー使用時の
ジャダー発生を防止するものである。
【0024】テフロン樹脂としては四フッ化エチレン樹
脂、フッ化ビニリデン樹脂、テトラフルオロエチレン〜
パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラ
フルオロエチレン〜ヘキサフルオロプロピレン共重合樹
脂、テトラフルオロエチレン〜エチレン共重合樹脂、三
フッ化塩化エチレン樹脂等から選択される。溶媒として
はアセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラ
ヒドロフラン、DMF 、N-メチルピロリドン等から選択す
る。ナイロン樹脂としては 6ナイロン、66ナイロン等か
ら選択され、溶媒としては、ギ酸、m-クレゾール、ヘキ
サフルオロイソプロパノール等から選択される。使用す
るテフロン樹脂、ナイロン樹脂は溶媒への溶解性から低
分子のものが望ましい。
【0025】また、テフロン樹脂、ナイロン樹脂を溶解
した溶液中には二硫化モリブデン微粒子、グラファイト
微粒子、シリコン樹脂微粒子、またはポリエチレン樹脂
微粒子をテフロン樹脂あるいはナイロン樹脂添加量に対
し、 5〜50重量%添加する。添加後分散したコーティン
グ液を市販ワイパーブレード上にコーティングする。コ
ーティングの方法はスプレー法かディッピング法により
行う。この時コーティングされた被膜の膜厚は 1〜10μ
m になるように調整し、室温〜 140℃の範囲で乾燥を行
う。乾燥後、所定の金具にコーティング済みワイパーブ
レードを取り付ける。
【0026】次にワイパー取り付け部のピボット軸トル
クについて説明する。本発明によれば、ピボット軸トル
クを 280〜560kg.cmにすることにより撥水処理ガラスと
ワイパーの直接接触によって発生するジャダーの防止を
行うものである。ジャダーの発生はフロントウィンドウ
の傾斜が大きくなる程、またワイパーの長さが長くなる
ほど発生しやすくなる。これはピボット軸から発生する
トルクに対し抵抗が大きくなるためであり、抵抗が大き
くなってもジャダーが発生しないためにはピボット軸ト
ルクが 280kg.cm 以上必要であり 560kg.cm 以下であれ
ばよい。
【0027】
【作用】本発明はガラス表面を撥水処理し、視認視界性
を飛躍的に向上させるとともに、ワイパー払拭時に撥水
ガラスとワイパーの直接摩擦により発生する脈動 (ジャ
ダー) の発生を抑制させるものである。
【0028】
【実施例】以下、本発明を図面を参照し、実施例および
比較例により説明する。
【0029】実施例1〜3 図1 (a)は本発明の一例の自動車用ウィンドシールドシ
ステムを示し、図1 (b)は該システムに使用されている
ウィンドウの断面を示す。 1は自動車用合わせガラスで
あり、 2は 1の合わせガラス上にコーティングした金属
酸化物被膜層である。 3は金属被膜層 2の上にコーティ
ングしたフッ素含有アルキルシラン層である。 4はテフ
ロン樹脂をコーティングしたワイパーブレードである。
5はピボット軸トルクが 400kg.cm であるワイパーブレ
ードアームである。
【0030】先ず、自動車合わせガラス用平板を十分洗
浄した後エタノールで水切り乾燥した。次に金属酸化物
被膜層としてSiO2被膜を作製するためにディップコーテ
ィング用SiO2ゾルゲルコーティング液を作製した。エト
キシシラン50リットルとヘキシレングリコール 3.2リッ
トルを 200リットルのエタノールに溶解し、反応釜中80
℃で 1.5時間反応させた後、40℃まで冷却し、水 4リッ
トルと硝酸 (60%液)6リットルを添加し、再び80℃まで
加熱し、 1.5時間反応させて合成した。冷却後ディップ
槽に移し清浄にした合わせガラス用平板を浸漬し、 2mm
/minの引き上げ速度で引き上げた。風乾後 250℃で10分
間仮焼成した後合わせガラス曲げ工程にて 620℃で20分
間焼き付けし、金属酸化物被膜層 2を作製した。このガ
ラス板を0.2重量%のフッ酸水溶液に 5分間浸漬した後
十分水洗し、エタノールで水切り乾燥し、金属酸化物被
膜表面に凹凸径35nmの微細な凹凸を形成させた。この
金属酸化物被膜層側を外側にし、オートクレーブを用い
て合わせガラス化した。
【0031】次にこの凹凸を有する金属酸化物被膜層表
面に撥水処理剤をコーティングするため、フッ素含有ア
ルキルシランとしてCF3(CF2)7CH2CH2Si(OMe)3 をイソプ
ロピルアルコールに溶解し 2重量%溶液を作製した。さ
らに硝酸 (60%液として) 2重量%溶液になるよう添加
し、混合した。この液を凹凸を有する金属酸化物被膜層
の上にコーティングし、 120℃で20分間加熱処理した。
冷却後イソプロピルアルコールで拭き取り、フッ素含有
アルキルシラン層 3を作製した。
【0032】次に塩素処理済みワイパーブレード表面に
二硫化モリブデン微粒子を含有するテフロン樹脂コーテ
ィング層を作製した。テフロン樹脂としてダイキン工業
(株)製のフッ化ビニリデン樹脂を用い、酢酸エチル溶
液 93gに対し、フッ化ビニリデンを 5g 、二硫化モリブ
デン微粒子を 2g 添加してワイパーブレード用コーティ
ング液を作製した。
【0033】このコーティング液を市販のワイパーブレ
ード表面にスプレーでコーティングし50℃で10分間乾燥
し、 2μm の膜厚のコーティング層で被覆し、所定のワ
イパー用金具に取り付けた。
【0034】次にワイパー軸を駆動させるモーターの軸
トルクがそれぞれ 500、 350、 700kg.cm のワイパー用
モーターを取り付け、これらに前記の金具付ワイパーブ
レードをセットし、実施例1〜3のウィンドシールドシ
ステムを作製した。ピボット軸までの効率が 0.8であ
り、ピボット軸のトルクはそれぞれ 400、 280、 560k
g.cm になる。
【0035】実施例4〜6 塩素処理済ワイパーブレード表面に二硫化モリブデン微
粒子を含有するナイロン樹脂コーティング層を作製する
ために、ナイロン樹脂として 6ナイロンを用い、ギ酸 9
2gに対し、 6ナイロン 5g 、グラファイト微粒子を 2g
添加したワイパーブレード用コーティング液を用い 3μ
m の膜厚のコーティング層で被覆したこと、およびピボ
ット軸のトルクが実施例4〜6でそれぞれ 280、 400、
560kg.cm になるようにワイパー用モーターを取り付け
たこと以外はそれぞれ実施例1〜3と同様にして、実施
例4〜6のウィンドシールドシステムを作製した。
【0036】実施例7〜9 金属酸化物被膜層表面に撥水処理剤をコーティングする
ため、フッ素含有アルキルシランとしてCF3(CF2)5CH2-C
H2Si(OMe)3をエチルアルコールに溶解し 5重量%溶液を
作製し、さらに硝酸 (60%液として)3重量%溶液になる
よう添加し、混合した液を凹凸を有する金属酸化物被膜
層の上にコーティングし、 140℃で20分間加熱処理した
こと、およびピボット軸のトルクが実施例7〜9でそれ
ぞれ 280、 400、 560kg-cm になるようにワイパー用モ
ーターを取り付けたこと以外はそれぞれ実施例1〜3と
同様にして、実施例7〜9のウィンドシールドシステム
を作製した。
【0037】実施例10〜12 金属酸化物被膜層表面に実施例7〜9と同様に撥水処理
剤をコーティングし、加熱処理した以外は実施例4〜6
と同様にして、実施例10〜12のウィンドシールドシ
ステムを作製した。
【0038】実施例13〜15 金属酸化物被膜層としてSiO2被膜を作製するためにプラ
ズマ CVDを用いて印加周波数13.56MHz、圧力 0.2トル、
基板温度 350℃で処理し、金属酸化物被膜上に凹凸径15
nmの微細な凹凸を形成するためにプラズマエッチング
を用いてCCl3H0.2 トル、N2O 0.1 トルで処理したこ
と、およびピボット軸のトルクが実施例13〜15でそ
れぞれ 280、 400、 560kg.cm になるようにワイパー用
モーターを取り付けたこと以外はそれぞれ実施例1〜3
と同様にして、実施例13〜15のウィンドシールドシ
ステムを作製した。
【0039】実施例16〜18 ナイロン樹脂コーティング層を作製するため、実施例4
〜6と同様に処理した以外はそれぞれ実施例13〜15
と同様にして、実施例16〜18のウィンドシールドシ
ステムを作製した。
【0040】実施例19〜21 金属酸化物被膜層表面に実施例7〜9と同様に撥水処理
剤をコーティングし、加熱処理した以外はそれぞれ実施
例13〜15と同様にして、実施例19〜21のウィン
ドシールドシステムを作製した。
【0041】実施例22〜24 金属酸化物被膜層表面に実施例19〜21と同様に撥水
処理剤をコーティングし、加熱処理した以外はそれぞれ
実施例16〜18と同様にして、実施例22〜24のウ
ィンドシールドシステムを作製した。
【0042】比較例1、2 現行合わせガラスに市販撥水剤「レインX」を塗布し、
市販ワイパーブレードを所定のワイパー用金具に取り付
け、ピボット軸のトルクが比較例1、2でそれぞれ 22
0、 260kg.cm になるようにワイパー用モーターを取り
付け、これに前述の金具付きワイパーブレードをセット
し、比較例1、2のウィンドシールドシステムを作製し
た。
【0043】比較例3〜5 ナイロン樹脂コーティング層を作製するため、実施例4
〜6と同様に処理し膜厚 2μm のコーティング層で被覆
したこと、およびピボット軸のトルクが比較例3〜5で
それぞれ 220、 240、 260kg.cm になるようにワイパー
用モーターを取り付けたこと以外は比較例1、2と同様
にして、比較例3〜5のウィンドシールドシステムを作
製した。
【0044】試験例 実施例1〜24と比較例1〜5のウィンドシールドシス
テムについて、撥水処理ガラスの表面に水をかけながら
ワイパーを作動させ、ジャダー発生を評価した。得た結
果を表2にまとめて示す。
【0045】
【表2】
【0046】これらの結果から本発明のウィンドシール
ドシステムは撥水処理ガラス上において、対ジャダー性
に優れた効果を示すことが分かった。
【0047】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、自動車用ウィンドシールドシステムを所定の撥水処
理ウィンドガラスと所定のワイパーブレードとで構成
し、前記ワイパーブレードを所定のピボット軸トルクで
作動させることによって、撥水処理ウィンドガラスに水
膜ができないでも、ワイパーのジャダー発生を防止しつ
つ撥水処理ウィンドガラスの表面を払拭できるという効
果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一例の自動車用ウィンドシー
ルドシステムの斜視図であり、(b)は上記ウィンドシ
ールドシステムに用いられたウィンドウの断面図であ
る。
【図2】金属酸化物被膜層の膜厚を変えて耐候性能を評
価した結果を示す図である。
【図3】プラズマエッチングによる処理条件について検
討した結果を示す図である。
【図4】種々の濃度のフルオロアルキルシランについて
水の接触角を測定した結果を示す図である。
【図5】種々の触媒濃度について水の接触角を測定した
結果を示す図である。
【符号の説明】
1 自動車用合わせガラス 2 金属酸化物被膜層 3 フッ素含有アルキルシラン層 4 テフロン樹脂をコーティングしたワイパーブレード 5 ワイパーブレードアーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−309534(JP,A) 特開 平5−24887(JP,A) 特開 昭58−122979(JP,A) 特開 昭58−129082(JP,A) 特開 昭58−142958(JP,A) 特開 昭58−147483(JP,A) 特開 昭58−147484(JP,A) 特開 平1−126244(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60S 1/04 - 1/44 B60J 1/00 C03C 17/42 C09K 3/18

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 撥水処理ウィンドガラスとワイパーブレ
    ードとを備える自動車用ウィンドシールドシステムであ
    って、 前記撥水処理ウィンドガラスが、被処理 ガラス表面にフ
    ッ素含有アルキルシラン層を有しており、前記フッ素含
    有アルキルシラン層が、炭素数3〜10のフッ素含有アル
    キルシランからなる群より選ばれる少なくとも1種のフ
    ッ素含有アルキルシランを1〜20重量%含有しており、 前記ワイパーブレードが ゴムから成り、前記ワイパーブ
    レード前記撥水処理ウィンドガラスと接する表面が1
    〜50μm の厚さの少なくとも1層のテフロン樹脂または
    ナイロン樹脂の被膜層で全面被覆されており、前記ワイ
    パーブレードが、 280〜560kg.cmのピボット軸トルクの
    ワイパー取り付け部のワイパーアームに取り付けられて
    おり、前記ワイパーブレードの前記ピボット軸トルクで
    の作動によって、前記撥水処理ウィンドガラスの表面が
    払拭されることを特徴とする自動車用ウィンドシールド
    システム。
  2. 【請求項2】 前記被処理ガラスが、ガラス表面に少な
    くとも1層の金属酸化物被膜層を有しており、前記金属
    酸化物被膜層の表面に、10〜80nmの径を有す微細な凹
    凸が設けられおり、前記金属酸化物被膜層の上に、前記
    フッ素含有アルキルシラン層が設けられていることを特
    徴とする請求項1記載の自動車用ウィンドシールドシス
    テム。
  3. 【請求項3】 前記フッ素含有アルキルシラン層が、前
    記フッ素含有アルキルシランを1〜20重量%含有してい
    る撥水処理剤を塗布することで設けられていることを特
    徴とする請求項1又は2記載の自動車用ウィンドシール
    ドシステム。
  4. 【請求項4】 前記撥水処理剤が、0.01〜10重量%の酸
    触媒を含有していることを特徴とする請求項3記載の自
    動車用ウィンドシールドシステム。
  5. 【請求項5】 前記撥水処理剤が、0.01〜40重量%の水
    を含有することを特徴とする請求項3又は4記載の自動
    車用ウィンドシールドシステム。
  6. 【請求項6】 前記被膜中に二硫化モリブデン微粒
    子、グラファイト微粒子、シリコン樹脂微粒子またはポ
    リエチレン樹脂微粒子を前記テフロン樹脂または前記ナ
    イロン樹脂の添加量に対し5〜50重量%含有させたこと
    を特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の自動車
    用ウィンドシールドシステム。
JP05087593A 1993-03-11 1993-03-11 自動車用ウィンドシールドシステム Expired - Lifetime JP3196401B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05087593A JP3196401B2 (ja) 1993-03-11 1993-03-11 自動車用ウィンドシールドシステム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05087593A JP3196401B2 (ja) 1993-03-11 1993-03-11 自動車用ウィンドシールドシステム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06262943A JPH06262943A (ja) 1994-09-20
JP3196401B2 true JP3196401B2 (ja) 2001-08-06

Family

ID=12870900

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP05087593A Expired - Lifetime JP3196401B2 (ja) 1993-03-11 1993-03-11 自動車用ウィンドシールドシステム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3196401B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102004026344B4 (de) * 2004-05-26 2008-10-16 Saint-Gobain Sekurit Deutschland Gmbh & Co. Kg Verfahren zum Herstellen einer hydrophoben Beschichtung, Vorrichtung zum Durchführen des Verfahrens und Substrat mit einer hydrophoben Beschichtung
EP1914210A4 (en) 2005-08-08 2012-07-11 Nippon Sheet Glass Co Ltd ARTICLE HAVING HYDROPHOBIC COATING AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
CN104039611B (zh) * 2012-01-11 2017-03-01 法国圣戈班玻璃厂 雨刮控制器

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06262943A (ja) 1994-09-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6235383B1 (en) Glass article having a durable water repellent surface
US5413865A (en) Water-repellent metal oxide film and method of forming same on glass substrate
US6506496B1 (en) Composition for providing a non-wettable coating, articles coated therewith, and methods for preparing the same
KR100487968B1 (ko) 농무및오염방지유리제품
EP0545201B2 (en) Durable water repellent glass surface
KR100802519B1 (ko) 물품의 표면에서 물방울을 슬립다운시키는데 우수한 물품 및 그 물품을 제조하기 위한 방법
JP3454110B2 (ja) 撥水性ガラス
KR19980042554A (ko) 발수성 유리 및 그 제조방법
EP0966410A1 (en) A substrate having a treatment surface
US20080026163A1 (en) Treatment For Forming Waterdrop Slidable Films And Process For Forming Waterdrop Slidable Films
JP3196401B2 (ja) 自動車用ウィンドシールドシステム
JP3649585B2 (ja) 撥水性被膜形成用溶液
JP3397394B2 (ja) ゾルゲル膜形成用コーテイング溶液と該ゾルゲル膜を下地層とした撥水性酸化物被膜の形成法
JPH09132433A (ja) ゾルゲル膜及び該膜を用いた撥水性ガラス
KR100281993B1 (ko) 내구성 발수유리와 그 제조방법
JPH08319137A (ja) 撥水性ガラス物品およびその製法
JP2000203884A (ja) 高耐久性撥水ガラスおよびその製造方法
JP4014538B2 (ja) 高耐久な滑水性被膜及びその形成方法
KR100216869B1 (ko) 우수한 내구성을 가지는 발수 유리 및 그의 제조 방법
JPH08319136A (ja) 撥水性ガラス物品の製法
JP4265925B2 (ja) 滑水性被膜の製造方法および滑水性被膜形成用塗布液
JP4152769B2 (ja) 高耐久な滑水性被膜の製造方法
JP3744736B2 (ja) 高滑水性基材およびその製造方法
JPH101333A (ja) 撥水性のガラス
JPH0834973A (ja) 撥水撥油処理剤

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080608

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090608

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090608

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100608

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110608

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120608

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120608

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130608

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term