JP3195792B2 - プリンターとプリンターにおける媒体搬送方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明はプリンターとプリンターにおける媒体搬送
方向に関するものであり、さらに詳しくは真空ベルトと
ピンチローラーユニットとの組合せにより媒体を高精度
搬送する技術に関するものである。

（従来技術） 以下主としてプリンターの場合を例にとって従来技術
を説明するが、その内容は真空ベルトとピンチローラー
ユニットとの組合せを用いた他の機器にも当てはまるも
のである。

プリンターにおける媒体、特に印刷が行われる媒体領
域の取扱いには高度の精度が要求されている。媒体を搬
送するには従来から種々の方法があるが、そのいずれも
ば印刷の精度を低下させるなんらかの欠点を有してい
る。

摩擦駆動ローラーのみを用いたものがあり、２個の摩
擦駆動ローラーが２本の別個の駆動軸に架設されてい
る。しかし摩擦駆動ローラーを使用すると、そのいくつ
かの欠点の故に印刷精度が低下する。

まず２本の駆動軸を同期させることが困難である。こ
の問題を克服するには出口側ローラーを若干過駆動し
て、媒体が適当に伸張されるようにする方法がある。し
かし媒体にはその出入の間一方だけのローラーにより媒
体が支持されるタイミングがある。一方のローラーから
他方のローラーへの移転の際に精度低下が起き易いので
ある。つぎにローラーの変形により精度低下が起きるこ
とがある。さらに媒体の前端と後端とは２個のローラー
によってあまりよく制御されないのである。

その他にも回転プラテンを用いて媒体を印刷域に進め
る方法がある。この場合には印刷面が曲成されるので印
刷隙間が変動し、これの印刷精度低下の原因となる。

さらにトラクター搬送装置を用いて媒体の連続層を印
刷域に通過させる方法がある。この場合には層保持精度
が媒体中にある孔により大きく左右される。さらにトラ
クター搬送は個々に切断したシートを搬送する場合には
その精度が低い。

（発明の要旨） この発明の主たる目的は連続であると切断されている
とを問わず媒体を高精度で印刷域を通過させることにあ
る。

この発明の他の目的は媒体の速度と変位とを高精度で
制御し、加えて印刷ヘッドに対する隙間を定常に保持し
て媒体と印刷ヘッドとの接触を防止することにある。

この発明の他の目的は媒体をその全長に亙って制御し
て正しい姿勢に保ってやることにある。

このためこの発明においては、真空ベルトと搬送中の
媒体シートをこれに押圧する２組のピンチローラーユニ
ットとこれらのピンチローラーユニット間の印刷域に配
置された印刷ヘッドとを用い、真空ベルトの真空吸引力
とピンチローラーユニットの押圧力との協働により印刷
域通過中の媒体シートを真空ベルトの前面上に平らに保
持することを要旨とするものである。

（実施態様） 第１、２図にインキジェットまたはインパクトプリン
ターにこの発明の真空ベルトとピンチローラーユニット
とを使用した例を示す。

真空ベルト２は２組のスプロケットに巻回されてお
り、１対の上側スプロケットは左側のスプロケット20と
右側のスプロケット22とを有しており、下側のスプロケ
ットは左側のスプロケット24と右側のスプロケット26と
を有している。

上側の左右のスプロケット20と22とは上側遊動軸34の
両端に架設されている。この遊動軸34にはプーリー16の
軸が架設されていて遊動軸34ひいては真空ベルト２を駆
動する。上側の左右のスプロケット20、22はともにスプ
ロケットピン28を具えており、これらが真空ベルト２の
両縁に形成されたスプロケット孔30に係合して真空ベル
ト２を駆動する。

真空ベルト２が上側スプロケットにより導かれかつ駆
動されるのに対して、下側のスプロケット24と26とはス
プロケットピンを具えていなく、真空ベルト２を導きは
するが駆動はしない。これらのスプロケット24、26は下
側遊動軸38の両端に架設されている。上側遊動軸34とは
異なり、下側遊動軸38はプーリーには連結されず駆動さ
れない。

複数個の上側の長い支持ローラー36は左端は上側左ス
プロケット20の内側にまた右端は上側右スプロケット22
の内側にそれぞれ取付けられている。これらの支持ロー
ラー36は真空ベルト２を平らに支持してその中間部のた
るみを防止している。

同じく下側支持ローラー40の左端は下側左スプロケッ
ト24の内側に右端は下側右スプロケット26の内側にそれ
ぞれ取付けられていて、上側支持ローラー36と同じ役割
をする。

真空ベルト２には真空孔32が互いに1/8インチ位の間
隔で形成されている。これらの真空孔32は媒体シート14
に覆われてないときに空気流に対して抵抗するように充
分小さくしてある。

媒体シート14は紙、透明体またはフィルムなどこれに
印刷を施せるものならいかなるものでもよい。真空孔32
は互いに密接させて媒体シート14の下側の全域が真空に
なるようにする。これらの真空孔32は第１図に示すよう
に媒体シート14より広幅の真空ベルト２の幅方向全域に
亙って設けられている。

真空ベルト２にはこれとは別にその両縁に沿って真空
孔32よりは小径のスプロケット孔30が多数形成されてい
る。左側のスプロケット孔は上側左スプロケット20のス
プロケットピン28を、右側のスプロケット孔は上側右ス
プロケット22のスプロケットピン28を、それぞれ収受す
る。真空ベルト２はポリエステルなどの弾性材料から形
成されていて、ベルトの伸張による精度低下を最少にす
るようにしてある。

さらに図に示すように真空ベルトとピンチローラーユ
ニットとは上下２組ののピンチローラーを有している。

上側の組は１対のピンチローラー８を有しており、こ
れらが真空ベルト２の外面の上側に接触する。これらの
ピンチローラー８は上側ローラー軸４に架設されてお
り、この軸の左端は上側左アーム52にまたその右端は上
側右アーム50にそれぞれ取付けられている。上側ローラ
ー軸４は遊動軸であって駆動されていない。上側右アー
ム50は右壁42のフレームにまた左アーム52は左壁41のフ
レームにそれぞれは架設されている。上側ピンチローラ
ー８はバネ付勢された遊動軸であって真空ベルト２の運
動に反応してのみ回転する。

下側の組は上側のものと同じであって、真空ベルト２
の外面の下側に接触する１対の上側ピンチローラーロー
ラー10を有しており、これらは下側ローラー軸６の両端
において左右の下側アーム54、56により支持されてい
る。

真空ベルト２は両端において左右の壁41、42により閉
塞された真空房室を形成する。左壁41は気密であってこ
こからは空気は逃げることができない。右壁42には開口
44が形成されており、これが管46により真空ブロアー48
に連結されている。この真空ブロアーは流速10〜100cfm
において水柱0.2〜0.4インチの真空状態を形成すること
ができる。

真空ベルト２の内側には図示しない剛性のプラテンが
設けられていて、２個のスプロケットユニット間におい
て真空ベルト２の横断部分を支持している。このプラテ
ンには多数の真空スロットが形成されていて、真空ベル
ト２の進行中に形成された真空が効率よく真空孔32に作
用するようにしてある。

プーリー16はベルト18により駆動される。図示しない
ステップモーターがこのプーリー16を駆動して上側遊動
軸34、スプロケット20および22を第２、３図中時計周り
方向に回転させる。すると真空ベルト２のスプロケット
孔30に係合するスプロケットピン28が真空ベルト２を回
転進行させる つぎに第１、３図により真空ベルトとピンチローラー
ユニットの作用を説明する。

媒体シート14はまずトレイやカセットなどの媒体源か
ら取り出され、その前端が真空ベルト２の前面の下側部
分に導かれる。この前端は下側ピンチローラー10と真空
ベルト２により捕捉される。真空ベルト２が進行すると
下側ピンチローラー10も回転して媒体シート１が真空ベ
ルト２の前面に沿って進むのを助ける。真空ベルト２の
内部に形成された真空房による真空把持力が媒体シート
14を真空ベルト２の前面に対して平らに保持して印刷域
を通過させる。この印刷域は上下のピンチローラー８、
10間に設けられている。第３図中の矢印58はこの真空把
持力によって真空ベルト２の方に媒体シート14が引っ張
られる方向を示している。

媒体シート14が印刷域を通過すると、往復印刷ヘッド
12がその上に所望の印刷を施す（第１図参照）。媒体シ
ート14が真空ベルト２の前面を横切って進行すると上側
ピンチローラー８がその前端に係合し、真空ベルト２お
よび下側ピンチローラー10と調和協働するようになる。
媒体シート14の後端が下側ピンチローラー10から脱離す
ると、上側ピンチローラー８が真空ベルト２と一緒に媒
体シート14の制御を受け持ち、やがて媒体シート14はこ
れからも脱離して出口（図示せず）に向う。

（発明の効果） 以上ののように真空ベルトとピンチローラーユニット
とは協働して連続または切断された媒体シートの印刷域
通過を制御して、媒体の搬送速度と変位とを精度の高い
ものとする。この組合せにより媒体シートはその前端と
後端とにおいて常に進行状態を制御されて印刷域を通過
する。また真空保持力により印刷ヘッドと媒体シートと
の隙間も常時定常に保たれるので、両者の接触も効果的
に回避される。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の真空ベルトとピンチローラーユニッ
トとの斜視図、 第２図はその分解斜視図、 第３図は真空ベルトの側面図、 第４図は真空ベルトの一部の平面図である。 ２……真空ベルト ８、10……ピンチローラー 12……印刷ヘッド、14……媒体シート 32……真空孔、48……真空ブロアー

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】媒体シートの搬送用の真空ベルトと、媒体
   シートの搬送方向に沿って互いに離間配置されて搬送中
   の媒体シートを真空ベルトに押圧する２組のピンチロー
   ラーユニットと、ピンチローラーユニット間に画定され
   た印刷域において真空ベルトに対面配置された印刷ヘッ
   ドと、印刷域のほぼ全域に亙って真空ベルト内側に形成
   された真空房室とを含んでなり、 該真空房室が印刷域のほぼ全域に亙って媒体シートを真
   空ベルト上に吸引保持し、さらに 媒体シートが印刷域通過進行中真空ベルトと少なくとも
   １組のピンチローラーユニットとの協働により把持する ことを特徴とするプリンター。
2. 【請求項２】真空保持力が真空ブロアーにより与えられ
   ることを特徴とする請求項１に記載のプリンター。
3. 【請求項３】真空ベルトに係合する各スプロケットが複
   数のスプロケットピンを具えており、 真空ベルトが真空孔とスプロケット孔とを具えており、 スプロケット孔がスプロケットピンと係合する ことを特徴とする請求項１に記載のプリンター。
4. 【請求項４】ステップモーターがスプロケットと真空ベ
   ルトとを駆動する ことを特徴とする請求項１に記載のプリンター。
5. 【請求項５】第１のピンチローラーユニットと周行駆動
   された真空ベルトとにより媒体の前端を把持し、 真空ベルトにより媒体に把持力を掛けて真空ベルトの前
   面に対して平に把持し、媒体の所望の印刷が施されるべ
   き領域が印刷ヘッドの対面するまで真空ベルトの前面に
   沿って媒体を下流側に進行させ、 媒体に所望の印刷を施し、 第２のピンチローラーユニットと真空ベルトとにより媒
   体の前端を把持し、 印刷の継続中媒体の後端が第１のピンチローラーユニッ
   トから脱離するまで真空ベルトの前面に沿って媒体を下
   流側に進行させ、 媒体の後端が第２のピンチローラーユニットから脱離す
   るまで真空ベルトの前面に沿って媒体を下流側に進行さ
   せ、かつ以上の全作業中真空ベルト内側に形成された真
   空房室により印刷域のほぼ全域に亙って媒体シートを真
   空ベルト上に吸引保持する ことを特徴とするプリンターにおける媒体搬送方法。