JP3195384B2 - アクリル系重合体粒子およびその製造方法 - Google Patents

アクリル系重合体粒子およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、マグネシウムが表面に導
入されたアクリル系重合体粒子およびこのアクリル系重
合体を製造する方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】粒子径のそろったポリマー微粒子
は、粒子1個1個の組成、表面状態が均一であり、物性
の均一性をもつ特徴を有しているため、複合微粒子用材
料として、その応用が期待されている。
【0003】このようなポリマー微粒子は、一般にはポ
リマー組成に基づく物性を有している。さらに、微粒子
になると、表面活性が高くなるため、粒子表面を制御し
様々な機能を付与することができる。ところが、一般に
ポリマー微粒子は有機溶媒と接触すると溶解もしくは著
しく膨潤してその形態を維持することができないことが
多く、上記のような特性に伴ってその用途には制限があ
る。
【0004】ところで、高分子化合物から形成される成
形体などの有機物質の表面に金属層を形成する方法とし
て、無電解鍍金法が知られている。この無電解鍍金法を
利用して上記のような有機微粒子の表面に金属層を形成
することができれば、有機微粒子に電気導電性を賦与す
ることができると共に、この有機微粒子が形成された金
属層に対応した表面硬度を有するようになることが予想
される。また、有機微粒子表面を均一な金属層で被覆す
ることができれば、この金属層によって有機溶媒と高分
子化合物との接触が遮断されるため、有機微粒子が優れ
た耐溶剤性を示すようになることが予想される。
【0005】しかしながら、粒子状の被鍍金物を無電解
鍍金液に投入して粒子状の被鍍金物の表面に鍍金層を形
成しようとすると、鍍金層が粒子の円周方向には成長し
にくく、粒子表面から放射状または粒塊状に成長しやす
いため、粒子径が小さくなるに従って均一な鍍金層が形
成されにくくなる。このように従来の方法で形成された
鍍金層を有する微粒子は、形成される金属層が不均一で
あるため有機溶剤に対して溶解もしくは膨潤する。
【0006】ところで、Polymer Preprints Japan Vol.
40, No. 3(1991)P548 - 549には、「超微粒子高分子錯
体の合成とその性質(I)および(II)」と題する技術論文
が掲載されており、この中でスチレンとアクリロニトリ
ル等とを乳化重合して表面に金属とキレート結合可能な
窒素含有官能基を有する微粒子を合成し、金属塩化物を
用いてこの官能基との間で錯体を形成させて、次いで還
元することにより、微粒子高分子表面に金属を固定化で
きることが示されている。この微粒子高分子表面に固定
化された金属は、微粒子表面の窒素含有官能基とキレー
ト結合を形成して固定化されている。
【0007】ところが、上記のように粒子表面に固定さ
れる金属が、形成される鍍金層の状態に及ぼす影響につ
いて検討してみると、粒子の表面に固定される金属によ
って形成される鍍金層の状態が著しく異なることが判明
した。
【0008】
【発明の目的】本発明は、表面にマグネシウムが導入さ
れた新規なアクリル系重合体粒子およびこのアクリル系
重合体粒子を製造する方法を提供することを目的として
いる。
【0009】
【発明の概要】本発明のアクリル系重合体粒子は、表面
にあるモノマー由来の官能基および/または開始剤由来
の官能基の少なくとも一部マグネシウムが化学結合し
ていることを特徴としている。
【0010】本発明のアクリル系重合体粒子の製造方法
は、表面にモノマー由来の官能基および/または開始剤
由来の官能基を有するアクリル系重合体粒子とマグネシ
ウム化合物とを接触させて、該モノマー由来の官能基お
よび/または開始剤由来の官能基の少なくとも一部にマ
グネシウムを化学結合させた後、乾燥させることを特徴
としている。
【0011】本発明により新規なアクリル系重合体粒子
が提供される。本発明のアクリル系重合体粒子は、表面
にある官能基の少なくとも一部にマグネシウムが結合し
ており、このアクリル系重合体粒子を用いることにより
表面に良好に鍍金層を形成することができる。
【0012】
【発明の具体的説明】次に本発明のアクリル系重合体粒
子についてその製造方法に沿って具体的に説明する。
【0013】本発明のアクリル系重合体粒子は、表面に
官能基を有すると共に、この官能基の少なくとも一部が
マグネシウムと結合しているアクリル系の重合体粒子で
ある。
【0014】本発明のアクリル系重合体粒子は、アクリ
ル系モノマーの単独重合体または共重合体であってもよ
いし、また、アクリル系モノマーと他のモノマーとの共
重合体であってもよいが、ポリマーのガラス転移点温度
が25℃以上であること、もしくは架橋ポリマーである
ことが好ましい。ここで使用されるアクリル系モノマー
の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア
クリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メ
タ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチ
ル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル
酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)ア
クリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸
トリデシルおよび(メタ)アクリル酸ステアリルなどの
アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸2-ヒ
ドロキシエチルおよび(メタ)アクリル酸ヒドロキシプ
ロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;
トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレートなど
の多価アルコールの(メタ)アクリル酸モノエステル;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートおよ
びポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート
などのポリアルキレングリコールの(メタ)アクリレー
ト;ジエチルアミノエチル(メタ)クリレートなどのジ
アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メ
タ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルア
ミドおよびジアセトンアクリルアミドなどの(メタ)ア
クリルアミド類ならびにグリシジル(メタ)アクリレー
トなどを挙げることができる。さらに、本発明において
は、アクリル系モノマーとして、上記の(メタ)アクリ
ル酸ヒドロキシアルキルモノエステル、多価アルコール
の(メタ)アクリル酸モノエステルおよびポリアルキレ
ングリコールの(メタ)アクリレートモノエステルのア
ルキルエーテルを用いることができる。
【0015】本発明において上記アクリル系モノマーと
共重合させることができるその他のビニル系モノマーの
例としては、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリロニトリルのほ
か、スチレン、クロルスチレン、ビニルトルエン、α-
メチルスチレンなどのスチレン誘導体、ブタジエン、イ
ソプレン、クロロプレンなどの共役ジエンモノマー、塩
化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデ
ンなどのハロゲン化ビニル、およびビニリデン類、ビニ
ルエーテル類、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ
エトキシシランなどのビニルシラン類を挙げることがで
き、さらにその他のビニル系モノマーとしてジビニルベ
ンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートお
よびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート
などの2個以上のビニル基を有する化合物を使用するこ
ともできる。
【0016】また、本発明においては、アクリル系重合
体粒子表面に、必要に応じて官能基を導入することが好
ましく、そのため官能基を有するモノマーを共重合成分
として使用することができる。
【0017】これらのモノマーの例としては、カルボキ
シル基、スルホン酸基およびそれらの塩、エポキシ基、
アミノ基、アルキルアミノ基などを挙げることができる
が、特にカルボキシル基、スルホン酸基およびそれらの
アルカリ金属塩が好ましい。
【0018】カルボキシル基含有モノマーの例として
は、アクリル酸、メタクリル酸、α-エチルアクリル
酸、クロトン酸、α-メチルクロトン酸、α-エチルクロ
トン酸、イソクロトン酸、チグリン酸およびウンゲリカ
酸などの付加重合性不飽和脂肪族モノカルボン酸;なら
びに、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン
酸、メサコン酸およびグルタコン酸などの付加重合性不
飽和脂肪族ジカルボン酸とアルキルアルコール、ハロゲ
ン化アルキルアルコール、アルコキシアルコール、アラ
ルキルアルコールおよびアルケニルアルコールなどのア
ルコールとのエステル化物などが挙げられる。
【0019】また、スルホン酸基としては、パラスチレ
ンスルホン酸が挙げられる。上記のモノマーのうち、例
えば、窒素原子を有する化合物は、鍍金される金属の種
類あるいは無電解鍍金の種類等によっては、鍍金層の形
成にそれほど良好に作用しないことがあり、本発明のア
クリル系重合体粒子の表面に鍍金層を形成する場合に
は、これら窒素原子を含有する化合物は、予め重合前に
変成するか、重合終了後に、変成することが好ましい。
【0020】上記のような他のモノマーを使用して共重
合体粒子を製造する場合に、アクリル系モノマー100
モル部に対して、他のモノマーを、通常は、50モル部
以下、好ましくは0.1〜20モル部で使用することに
より、アクリル系重合体の特性を損なうことなく、共重
合した他のモノマーに起因する特性を付与することがで
きる。
【0021】本発明のアクリル系重合体粒子は、上記の
ような重合性成分を液相で反応させることにより製造す
ることができる。この液相反応で用いられる反応溶媒と
しては、水、水に可溶な有機溶媒と水との混合溶媒また
は有機溶媒を用いることができる。例えばこれらの溶媒
を用いた反応の例としては、乳化重合、ソープフリー乳
化重合および分散重合等があり、これらのいずれの方法
をも採用することができる。
【0022】これらの方法で製造されたアクリル系重合
体粒子の平均粒子径は、通常は0.1〜50μm、好ま
しくは0.15〜10μmの範囲内にある。特に本発明
においては、これらの重合方法のうちでは特にソープフ
リー乳化重合法を採用して調製したアクリル系重合体粒
子を使用することが好ましい。ソープフリー乳化重合法
で調製した粒子は、粒子径の分布幅が狭く非常に均一性
が高い。さらにソープフリー乳化重合法により製造され
たアクリル系重合体粒子の平均粒子径は、通常は0.2
〜5μm、好ましくは0.2〜2μmの範囲内にあり、
界面活性剤などを含有していないので、例えば本発明の
アクリル系重合体粒子の表面に鍍金層を形成する場合
に、鍍金層の均一性が高くなる。
【0023】ソープフリー乳化重合法は、水系の反応溶
媒中に、界面活性剤を用いずに攪拌混合によりモノマー
を分散させ、水系の反応媒体中にわずかに溶解したモノ
マーを、水溶性開始剤により付加重合させる方法であ
る。この方法では、分散安定剤として界面活性剤を使用
していないため、疎水性モノマーの場合には油滴の状態
で水系の媒体中に分散している。
【0024】重合反応は、水系の反応媒体中で分解した
開始剤ラジカルに、水相中にわずかに溶解したモノマー
が付加して起こり、重合の開始とともに生成するポリマ
ーは、開始剤切片と疎水性のポリマーセグメントとを有
する。こうして生成するポリマーは、そのポリマー鎖の
短い状態[重合度(分子量)が低い状態]では水媒体中
に溶解しているが、ポリマー鎖が長くなる[即ち、重合
度が高くなる]につれて、開始剤切片の電荷による水系
反応媒体への溶解性がポリマー鎖の有しているる疎水性
に負けて、ポリマー鎖が水媒体中に沈澱析出する。こう
して析出したポリマー鎖を核として粒子が生成して、重
合により粒子が成長する。
【0025】従って、ソープフリー乳化重合では、疎水
性モノマーを主成分とすることが必須条件であり、しか
もこのモノマーの一部が水系反応媒体中に溶解すること
が必要である。生成する粒子の粒子径はこのモノマーの
水系反応媒体に対する溶解度によって影響を受けること
が多く、溶解度の高いモノマーを使用した場合には、生
成する粒子の粒子径が小さくなる傾向があり、溶解度の
低いモノマーを使用した場合には、生成する粒子の粒子
径が大きくなる傾向がある。
【0026】ソープフリー乳化重合では、水系媒体中で
モノマーの重合が起こり、反応が進行して生成するポリ
マーの鎖長が限界鎖長(生成したポリマーの溶解度を係
数とする一定の値)に到達すると、生成したポリマー鎖
が沈澱析出して乳化重合の核となるため、粒子核の大き
さは反応系中で均一となる。このソープフリー乳化重合
では、初期に生成する粒子数を制御すれば、粒子径をか
なり自由に制御することが可能である。これに対して乳
化重合では、モノマーは、界面活性剤によりミセルを形
成して可溶化されるため、水性媒体中に分散しているミ
セルの大きさは均一ではなく、統計学的な分布を有して
いる。従って、ソープフリー乳化重合を採用することに
より、界面活性剤を使用した乳化重合法を採用した場合
よりも粒子径を容易に制御することができる。
【0027】一般に、ソープフリー乳化重合法により工
業的規模で粒子を生産する際には、しばしば分散安定剤
として、水溶性高分子を反応系に添加する。すなわち、
ソープフリー乳化重合では、生成したポリマー粒子が、
成長して粒子径が大きくなると、ポリマー粒子が、反応
系に存在するモノマーにより膨潤したり、このモノマー
に溶解しやすくなり、その結果、生成した粒子が相互に
融着するなど、反応系における安定状態が低下すること
がある。そこで、こうした反応系の安定状態を維持する
ために、生成した粒子の表面にポリビニルアルコールな
どの分散安定剤を吸着させる方法を採用することが好ま
しい。また、粒子径を大きくする方法として、特開昭63
-10611号公報に記載されている含フッ素系グラフト共重
合体のような特殊な分散安定剤を反応系に添加して、重
合初期に生成するポリマー粒子の核を凝集させて、反応
系における粒子数を少なくして、粒子径を大きくする方
法を採用することができる。
【0028】ソープフリー乳化重合による粒子生成過程
では、粒子がある程度成長するとモノマーがこの粒子の
内部に吸収され、反応が主として重合体粒子表面で進行
するようになる。従って、モノマーに富んだ粒子内では
停止反応が起こりにくくなるため、粒子の表面近傍にあ
るポリマー鎖の分子量は比較的高くなると共に、この部
分のポリマーの密度も高くなる。
【0029】乳化重合では、モノマーは、界面活性剤で
形成されたミセルにより可溶化され、ミセル内で重合が
進行して、ポリマー粒子となっても、反応系における生
成物がミセルの状態で安定化しているのに対して、ソー
プフリー乳化重合では、モノマーは油滴となって水系媒
体中に分散し、水系媒体中に沈澱析出したポリマー粒子
が、重合開始剤切片、重合により副成するオリゴソー
プ、添加された水溶性高分子等により安定化される。中
でも、重合開始剤は、反応系の安定化させる作用が大き
い。
【0030】ソープフリー乳化重合反応において使用さ
れる重合開始剤の例としては、過硫酸カリウム、過硫酸
ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、過酸
化水素水、水溶性有機過酸化物または過硫酸塩と、チオ
硫酸カリウムまたはチオ硫酸ナトリウムなどの還元性ス
ルホキシ化合物とからなるレドックス開始剤、ならび
に、アゾビスシアノバレリアン酸およびその塩、2-2'-
アゾビス-2-アミジノプロパンミ塩酸塩などの水溶性反
応性開始剤などを挙げることができる。なかでも、過硫
酸塩系開始剤および過硫酸塩系開始剤と還元性スルホキ
シ化合物とからなるレドックス系開始剤が、粒子表面に
SO4基を導入できるので特に好ましい。
【0031】一方、重合体粒子に官能基を導入する方法
として、官能基を有するモノマーを共重合する方法があ
る。水溶性の官能基を有するモノマーを共重合により導
入する場合には、水系媒体中での重合により、水溶性ポ
リマーが生成して、それらがポリマー微粒子の保護コロ
イドとして、重合体粒子の安定化に寄与すると言われて
いる。また、官能基を粒子表面に多く導入する方法とし
て、滴下法が知られている。
【0032】このように、本発明で使用される重合体粒
子のなかでは、ソープフリー乳化重合により製造される
アクリル系重合体粒子は、粒子表面に多くの官能基を有
しており、特に好適である。
【0033】本発明のアクリル系重合体粒子には、上記
のような官能基の少なくとも一部にマグネシウムが結合
していることが必要であり、マグネシウムは官能基の全
部と結合していてもよい。さらに、官能基が存在してい
ないアクリル系重合体粒子の表面部分にマグネシウムが
付着して(導入されて)いてもよい。マグネシウム以外
の他の金属は、官能基に対して反応性が低いため、粒子
表面に金属が固定されにくい。従って、マグネシウム以
外の金属が結合した粒子とマグネシウムが結合した粒子
とを用いて、同様にして表面に金属鍍金層を形成してみ
ると、マグネシウムが結合した粒子に形成された金属鍍
金層の方がより均一性が高くなる。
【0034】上記のようなマグネシウムをアクリル系重
合体粒子表面に存在させる方法としては、分散液にマグ
ネシウムコロイド、マグネシウム金属超微粒子、マグネ
シウム塩などを添加する方法、あるいは、分散媒体を除
去した後、CVD法、イオンスパッタリング法、真空蒸
着法、気流中衝撃法、メカノフュージョン法等による乾
式の表面改質方法やコロイド処理などの湿式の処理法が
採用できる。これらの方法の中で、アクリル系重合体粒
子が分散している媒体にマグネシウム塩を添加した後、
分散媒体を除去する方法が好ましい。ここで使用される
マグネシウム塩としてはカルボン酸のマグネシウム塩が
好ましい。
【0035】ここで使用されるマグネシウム化合物とし
ては、カルボン酸のマグネシウム塩を使用することがで
きる。これらのマグネシウムと塩を形成するカルボン酸
としては、蟻酸、酢酸およびプロピオン酸等の飽和脂肪
酸、アクリル酸、クロトン酸およびオレイン酸等の不飽
和脂肪酸、シュウ酸、マロン酸およびコハク酸等の脂肪
族飽和ジカルボン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸
およびフタル酸等を挙げることができ、これらの中でも
酢酸が特に好ましく、従って本発明においては酢酸マグ
ネシウムが特に好ましい。
【0036】上記のようなマグネシウム化合物は、上記
アクリル系重合体粒子が分散されている分散液中に、重
合終了後攪拌条件下で直ちに添加することが好ましい。
さらに、分散液の温度を30〜90℃の範囲内の温度に
調整してカルボン酸のマグネシウム塩を添加することが
好ましい。添加するカルボン酸のマグネシウム塩の量
は、アクリル重合体粒子の有する官能基の少なくとも一
部と反応する量であればよく、アクリル系重合体粒子1
00重量部に対して、通常はカルボン酸のマグネシウム
塩を100〜0.002重量部、好ましくは10〜0.0
2重量部の範囲内の量で添加する。
【0037】なお、本発明のアクリル系重合体粒子にお
いては、上記のように表面に存在する官能基の少なくと
も一部がマグネシウムと結合していることが必要である
が、このマグネシウムの一部を、カルシウム、亜鉛、カ
ルシウム、バリウム、チタン、バナジウム、クロム、マ
ンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、
ニオブ、タンタル、ルテニウム、パラジウム、カドミニ
ウムおよび白金等の他の二価の金属で置き換えて使用す
ることができる。この場合において、マグネシウムの量
が、50重量%以上、好ましくは64重量%以上になる
ようにする。
【0038】こうしてカルボン酸金属塩を添加して官能
基とマグネシウム化合物とを接触させた後、アクリル系
重合体粒子を分散媒体から分離する。アクリル系重合体
粒子の分離方法に特に制限はなく、濾過、遠心分離など
公知の方法を利用することができる。こうして分離され
たアクリル系重合体粒子を乾燥させて、粒子表面にある
官能基とマグネシウムとを強固に結合させると共に、官
能基の存在しない粒子表面に付着している金属と粒子表
面に固着させて安定化させる。こうして乾燥することに
より、マグネシウムと粒子との係合状態が良好になり、
このような粒子を水洗してもマグネシウムは殆ど流出し
ない。この乾燥工程は、凍結乾燥法・スプレードライ法
など通常採用されている方法を利用して実施することが
できる。この際、アクリル重合体粒子のガラス転移温度
または軟化温度、硬度などを考慮して、摩砕、粉砕およ
び融着などによる粒子の変形がない条件で乾燥すること
が好ましい。
【0039】上記のようにして乾燥されたアクリル重合
体粒子は、ジェットミルなどで解砕することが好まし
い。こうして調製された粒子が含有するマグネシウムの
量は、通常は170000〜3ppm、好ましくは17000〜30pp
mの範囲内にあり、また、このマグネシウムを有するア
クリル系重合体粒子の粒子径は、マグネシウムが結合す
る前のアクリル系重合体粒子の粒子径と殆ど変わらな
い。
【0040】本発明のアクリル系重合体粒子を用いて、
表面にあるマグネシウムを核として、粒子表面に金属鍍
金層を形成することができる。さらに、本発明のアクリ
ル系重合体粒子は、化学研磨用の研磨粒子あるいは触媒
等として使用することができる。
【0041】例えば、本発明のアクリル系重合体粒子の
表面に鍍金層を形成する場合には、アクリル系重合体粒
子を気泡に同伴させて無電解鍍金液中を移動させる無電
解鍍金方法を採用することができる(特願平3-129639号
明細書参照)。例えば上記のようにして製造される鍍金
層が形成されたアクリル系重合体粒子は、導電性の充填
材などとして使用することができる。
【0042】
【発明の効果】本発明のアクリル系重合体粒子は、アク
リル系重合体粒子の表面に存在する官能基の少なくとも
一部にマグネシウムが結合した新規な構成を有してい
る。マグネシウムを結合させることにより、本発明のア
クリル系重合体粒子表面に非常に均一な金属鍍金層を形
成することができる。
【0043】そして、このアクリル系重合体粒子は、マ
グネシウム化合物とアクリル系重合体粒子とを接触させ
た後、乾燥させることにより容易に製造することができ
る。
【0044】
【実施例】次に本発明の実施例を示して本発明をさらに
詳細に説明するが、本発明はこの実施例によって限定的
に解釈されるべきではない。
【0045】
【実施例1】攪拌機、温度計、窒素導入管、滴下ロート
および還流冷却管を備えた5リットルセバラブルフラス
コに、イオン交換水2750重量部、ポリビニルアルコ
ール1.0重量部、メタクリル酸メチル750重量部を
仕込み、窒素気流下、攪拌しながら昇温し、過硫酸カリ
ウム4.0重量部、チオ硫酸ナトリウム4.4重量部を
投入して重合を開始させた。重合が開始してから15分
後、メタクリル酸7.5重量部、イオン交換水250重
量部を15分で滴下し、その後反応温度を70℃に保持
して、3時間反応させて重合を完結させた。
【0046】この重合体ラテックスに酢酸マグネシウム
2.5重量部を添加した。得られた重合体ラテックスの
pHは6.5であった。重合体ラテックスを400メッ
シュの金網で濾過した後、このラテックスをスプレード
ライヤーにて乾燥し、さらにジェットミルにて解砕して
アクリル重合体粒子を得た。
【0047】このアクリル重合体粒子を電子顕微鏡を用
いて観察したところ、平均粒子径が0.42μmの非常
に揃った球状粒子であった。上記のようにして得られた
アクリル系重合体粒子の倍率1万倍の電子顕微鏡写真を
図1に、倍率5万倍の電子顕微鏡写真を図2示す。
【0048】
【参考例1】鍍金液タンク1、反応管(輸送管)2、スパ
イラル状の反応管7、気体導入管3、被鍍金物導入管4、
ポンプ5および鍍金粒子沈澱槽6を図3に示すように配置
した。なお、この装置において、スパイラル状に巻回さ
れた反応管以外の反応管(輸送管)2としては、内径2m
m、外径4mmのシリコン管を用いた。また、スパイラル
状の反応管7としては、内径2mm、外径3mm、長さ2.5
mのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を使用
し、このPTFE管を10cmの直径で7回巻回してスパ
イラル状反応管7を形成した。
【0049】鍍金液タンク1に無電解鍍金液(SB−5
5;日本カニゼン(株)製)1リットルをいれ、液温を3
0℃にし、ポンプ5で0.98ml/分で反応管(輸送管)
2に送った。
【0050】反応管(輸送管)2に設けられた気体導入
口3より、上記のようにして無電解鍍金液が流されてい
る反応管内に0.7ml/分の速度で空気を導入して、反
応管内に気泡を形成させた。
【0051】このようにして気泡が形成されている反応
管内の無電解鍍金液流に、被鍍金物導入口4より、空気
0.28ml/分と共に上記のようにして得られた0.42
μmのアクリル系重合体粒子を1.1mg/分の速度で導
入した。
【0052】スパイラル状の反応管7における温度を3
0℃に保持して、反応管7における無電解鍍金液の滞留
時間(この管を通過するのに要する時間)が1分になる
ように移動させた。
【0053】鍍金粒子沈澱槽に排出された鍍金粒子を無
電解鍍金液から分離して直ちに水洗し、乾燥したとこ
ろ、粒子表面に金属薄膜が形成されており、その厚さは
0.05μmであった。
【0054】得られた金属被覆アクリル系重合体粒子の
倍率1万倍の電子顕微鏡写真を図4に、倍率5万倍の電
子顕微鏡写真を図5示す。
【0055】
【実施例2】攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷
却管を備えた5リットルセバラブルフラスコに、イオン
交換水1500重量部、ポリビニルアルコール0.5重
量部、不揮発分20%の含フッ素グラフト共重合体LF-2
00W(綜研化学(株)製)を固形分量換算で0.3重量
部、メタクリル酸メチル500重量部を入れ、窒素気流
下、攪拌しながら昇温し、過硫酸カリウム2.5重量
部、チオ硫酸ナトリウム2.75重量部を投入して重合
を開始させた。その後反応温度を65℃に保持して、3
時間反応させて重合を完結させた。
【0056】重合体ラテックスを冷却し、酢酸マグネシ
ウム5.0重量部を添加した。得られたアクリル系重合
体粒子は、400メッシュの金網で濾過し、凝集物を除
去した後、スプレードライヤーにて乾燥し、次いで、ジ
ェットミルで解砕してアクリル重合体粒子の粉末を得
た。
【0057】このアクリル重合体粒子の平均分子量は4
5万であり、また、電子顕微鏡を用いて観察したとこ
ろ、平均粒子径1.0μmの非常に揃った球状粒子であ
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明のアクリル系重合体粒子の形態を示
す倍率1万倍の電子顕微鏡写真である。
【図2】は、本発明のアクリル系重合体粒子の形態を示
す倍率5万倍の電子顕微鏡写真である。
【図3】は、本発明のアクリル系重合体粒子から金属被
覆アクリル系重合体粒子を製造するのに適した装置の概
念図である。
【図4】は、参考例1で製造した金属被覆アクリル系重
合体粒子の形態を示す倍率1万倍の顕微鏡写真である。
【図5】は、参考例1で製造した金属被覆アクリル系重
合体粒子の形態を示す倍率5万倍の顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1・・・鍍金液タンク 2・・・反応管(輸送管) 3・・・気体導入口 4・・・被鍍金物導入口 5・・・ポンプ 6・・・鍍金粒子沈澱槽 7・・・スパイラル状の反応管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 逢 坂 紀 行 埼玉県狭山市上広瀬130番地 綜研化学 株式会社内 (72)発明者 滝 沢 容 一 埼玉県狭山市上広瀬130番地 綜研化学 株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−26643(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 3/12 - 3/16

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面にあるモノマー由来の官能基および
    /または開始剤由来の官能基の少なくとも一部マグネ
    シウムが化学結合していることを特徴とするアクリル系
    重合体粒子。
  2. 【請求項2】 アクリル系重合体粒子の平均粒子径が0.
    1〜50μmの範囲内にあること特徴とする請求項第1
    項記載のアクリル系重合体粒子。
  3. 【請求項3】 表面にモノマー由来の官能基および/ま
    たは開始剤由来の官能基を有するアクリル系重合体粒子
    とマグネシウム化合物とを接触させて、該モノマー由来
    の官能基および/または開始剤由来の官能基の少なくと
    も一部にマグネシウムを化学結合させた後、乾燥させる
    ことを特徴とするアクリル系重合体粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】 マグネシウム化合物が、カルボン酸のマ
    グネシウム塩であることを特徴とする請求項第3項記載
    のアクリル系重合体粒子の製造方法。
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