JP3195170B2 - 電界放射陰極装置 - Google Patents

電界放射陰極装置

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JP3195170B2
JP3195170B2 JP22194294A JP22194294A JP3195170B2 JP 3195170 B2 JP3195170 B2 JP 3195170B2 JP 22194294 A JP22194294 A JP 22194294A JP 22194294 A JP22194294 A JP 22194294A JP 3195170 B2 JP3195170 B2 JP 3195170B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電界放射陰極装置に係
わり、特に、シリコン基板上に設けた円錐形エミッタを
有する電界放射陰極素子のエミッタ電子流放射を、同じ
シリコン基板上に形成した電界効果トランジスタ(以
下、これをFETという)によって制御するようにした
電界放射陰極装置に関する。
【0002】
【従来の技術】シリコン基板上に設けられた円錐形エミ
ッタと、このシリコン基板上に配置され、円錐形エミッ
タを取り囲むように設けられた絶縁層と、この絶縁層の
表面に設けられたゲート層と、円錐形エミッタに対応し
て設けられたアノードとを有し、これらが真空容器内に
封入された構成の素子は、電界放射陰極素子として既に
知られているものである。
【0003】かかる既知の電界放射陰極素子は、通常、
共通のシリコン基板上に、多数が行及び列方向に並んだ
アレイ状に配置されているもので、これら多数の電界放
射陰極素子は、共通のシリコン基板とともに共通の真空
容器内に封入されている。この場合、それぞれの電界放
射陰極素子は、例えば、1立方ミクロン程度の大きさの
微少真空管(3極管)を構成してもので、これらの電界
放射陰極素子の多数が共通のシリコン基板上において真
空集積回路をなすように集積化され、全体として電界放
射陰極装置が構成されている。
【0004】このような電界放射陰極装置は、比較的最
近に用いられるようになったもので、例えば、フラット
ディスプレイ装置の表示面や、集積回路(IC)の代替
物として、例えば、ミサイルの誘導部のように、高温度
に曝される部分に集積回路が用いられている場合、また
は、例えば、原子炉内のように、強い放射線に曝される
部分に集積回路が用いられている場合、前述の各集積回
路に代わりに、この電界放射陰極装置が用いられるもの
である。
【0005】ここで、図5は、前記既知の電界放射陰極
装置を構成する電界放射陰極素子の構成の一例を示すも
ので、(a)は電界放射陰極素子を形成しているシリコ
ン基板の一部の断面図、(b)は電界放射陰極素子の電
気的等価回路を示す回路構成図である。
【0006】図5(a)、(b)において、31はシリ
コン基板、32は円錐形エミッタ(E)、33は絶縁
層、34はゲート層(G)、35はアノード、36はエ
ミッタ抵抗(抵抗値R)、37はゲート制御電圧源(電
圧値Vg)、38はアノード電圧源(電圧値Va)であ
る。
【0007】図5(a)に示されるように、シリコン基
板31上には、略円錐形状の複数のエミッタ32が設け
られ、これらエミッタ32の周囲にシリコン酸化物、例
えば、2酸化シリコン(SiO2 )等からなる絶縁層3
3が設けられる。この絶縁層33上には、高融点金属導
電材料からなるゲート層34が設けられる。この場合、
図5(a)に図示されていないが、例えば、エミッタ3
2に対面した位置にアノード35が配置され、同じく、
図5(a)に図示されていないが、シリコン基板31や
アノード35等は共通の真空容器内に封入され、全体と
して真空集積回路型の電界放射陰極装置が構成される。
【0008】また、図5(b)に示されるように、各電
界放射陰極素子は、アノード(A)35、ゲート(G)
34、エミッタ(E)32を備えた3極管を構成してい
る。アノード(A)35はアノード電圧Vaを発生する
アノード電圧源38に接続され、ゲート(G)34はゲ
ート制御電圧Vgを発生するゲート制御電圧源37に接
続され、エミッタ(E)32はエミッタ抵抗36を介し
て接地接続される。
【0009】前記構成において、それぞれの電界放射陰
極素子は、通常の加熱型陰極と異なり、アノード35に
所定のアノード電圧Vaを印加し、ゲート34にゲート
制御電圧Vgを印加すれば、エミッタ32を加熱するこ
となく、エミッタ32からエミッタ電子流放射が行われ
る。このエミッタ電子流放射量は、ゲート34に印加さ
れるゲート制御電圧Vgによって制御され、アノード3
5に供給される。このとき、アノード35には、エミッ
タ電子流放射量に対応したアノード電流(電流値Ia)
が流れる。また、エミッタ抵抗36は、安定化用、即
ち、それぞれの電界放射陰極素子のエミッタ32から放
射されるエミッタ電子流放射量のバラツキを少なくする
もので、例えば、1MΩ程度の抵抗値の抵抗が用いられ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前記既知の電界放射陰
極装置は、これまでの集積回路に比べて、動作速度を著
しく高くできる、高温度や強放射線状態等の環境下でも
使用可能であるという利点を有している。
【0011】しかしながら、電界放射陰極装置を構成し
ている電界放射陰極素子自体について見れば、エミッタ
電子流放射量が経時的に変動する、高いゲート制御電
圧、例えば、80V程度の電圧Vgを必要とし、スイッ
チング動作時に大振幅のスパイクノイズが発生する等の
問題があり、また、通常、多数の電界放射陰極素子によ
って構成されている電界放射陰極装置について見れば、
それぞれの電界放射陰極素子からのエミッタ電子流放射
量が不均一になっており、しかも、1つの電界放射陰極
素子が短絡故障を生じると、全体の電界放射陰極素子の
破壊につながる等の問題がある。
【0012】この場合、図5(b)に示されるように、
それぞれの電界放射陰極素子のエミッタ32にエミッタ
抵抗36が接続されているが、このようなエミッタ抵抗
36の接続によっても、前記問題点を一部軽減させるこ
とはできても、それらを除去することはできない。
【0013】本発明は、これらの問題点を全面的に除去
するものであって、その主たる目的は、電界放射陰極素
子のエミッタ電子流放射量を電界効果トランジスタ(F
ET)の定電流特性を用いて一定化させる電界放射陰極
装置を提供することにある。
【0014】また、本発明の付加的な目的は、各電界放
射陰極素子のエミッタ電子流放射量における通常の放射
量からの偏差値を得、この偏差値で各電界放射陰極素子
のエミッタ電子流放射量を一定にする電界放射陰極装置
を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記主たる目的及び付加
的な目的の達成のために、本発明は、シリコン基板上に
設けられた円錐形エミッタと、前記シリコン基板上に配
置され、前記円錐形エミッタを取り囲むように設けられ
た絶縁層と、前記絶縁層の表面に設けられたゲート層と
で構成された複数個の電界放射陰極素子と、前記電界
放射陰極素子に対応して前記シリコン基板上に形成され
複数個の電界効果トランジスタとからなり、前記シリ
コン基板内で前記電界放射陰極素子のエミッタと対応
する電界効果トランジスタのドレインがそれぞれ接続さ
れ、これら電界放射陰極素子及び電界効果トランジスタ
がシリコン基板上で行及び列を形成するように構成配列
され、前記列方向に配列された複数の電界効果トランジ
スタのゲートは列毎に共通のゲートラインに、前記行方
向に配列された複数の電界効果トランジスタのソースは
行毎に共通のソースラインにそれぞれ接続され、各ゲー
トラインと各ソースライン間に供給される制御電圧によ
って各別の電界放射陰極素子のアドレッシングが行われ
る際に、それぞれの電界放射陰極素子のエミッタ電子流
放射量を測定し、得られたエミッタ電子流放射量と基準
値とを比較してそれぞれの電界放射陰極素子のエミッタ
電子流放射量の偏差値を求め、この偏差値をそれぞれの
電界放射陰極素子に対応させてメモリに記憶し、その
後、それぞれの電界放射陰極素子のアドレッシングが行
われる際に、前記メモリに記憶されている当該電界放射
陰極素子の偏差値を読み出し、読み出した偏差値を当該
電界放射陰極素子に帰還させることにより、全ての電界
放射陰極素子のエミッタ電子流放射量をアドレッシング
が行われる際にそれぞれに定めた所要のエミッタ電子流
放射量と略等しくする手段を備える。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【作用】 前記 手段によれば、電界放射陰極素子のエミッ
タ電子流放射量が一定化されるので、エミッタ電子流放
射量の経時的変動が生じ難くなり、しかも、電界放射陰
極素子のエミッタ電子流放射量がきわめて小さいゲート
制御電圧、例えば、1乃至2V程度の電圧により一定に
なるように制御できるようになり、勿論、スイッチング
動作時にスパイクノイズが発生することもない。
【0020】
【0021】また、前記手段によれば、それぞれの電界
放射陰極素子のアドレッシング時に、各ゲートラインと
各ソースライン間に供給される制御電圧を選択すること
によって、所要の電界放射陰極素子のエミッタ電子流放
射量を各別に制御することが可能になる。
【0022】
【0023】さらに、前記手段によれば、それぞれの
界放射陰極素子のアドレッシング時に、既にメモリに記
憶されている当該電界放射陰極素子におけるエミッタ電
子流放射量の基準値からの偏差値を読み出し、読み出し
た偏差値を当該電界放射陰極素子に帰還させ、電界放射
陰極素子のエミッタ電子流放射量を制御することによっ
て、全ての電界放射陰極素子のエミッタ電子流放射量を
アドレッシング時にそれぞれ定めた所要のエミッタ電子
流放射量と略等しくすることができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に
説明する。
【0025】図1は、本発明に係わる電界放射陰極装置
の第1の実施例を示す構成図であって、(a)は1つの
電界放射陰極素子及びFETが構成されているシリコン
基板の一部の断面図、(b)は電界放射陰極素子を含む
部分の電気的等価回路を示す回路構成図である。
【0026】図1(a)、(b)において、1はp型シ
リコン基板、2はFET10のソースとなる第1のn型
層、3は電界放射陰極素子の円錐形エミッタ、4は絶縁
層、4’は電界放射陰極素子のゲート絶縁層、5は電界
放射陰極素子のゲート層、6はFET10のドレインと
なる第2のn型層、7はFET10のソース電極、8は
FET10のゲート電極、9は電界放射陰極素子のアノ
ード、10は電界効果トランジスタ(FET)、11は
ソース抵抗、12はゲート電圧源(電圧値Vg)、13
はアノード電圧源(電圧値Va)、14はゲート・ソー
ス間制御電圧源(電圧値Vgs)である。
【0027】そして、図1(a)に示されるように、p
型シリコン基板1の一方の主表面には複数、図示の例で
は第1及び第2のn型層2、6が形成され、第2のn型
層6の表面には円錐形エミッタ3が設けられる。第1及
び第2のn型層2、6の表面や露出したp型シリコン基
板1の表面には、シリコン酸化物、例えば、2酸化シリ
コン(SiO2 )等からなる絶縁層4及びゲート絶縁層
4’が設けられる。ここで、ゲート絶縁層4’は、第1
のn型層2及び第2のn型層6の各一部の表面上、それ
に第1のn型層2と第2のn型層6との間の露出したp
型シリコン基板1の表面上にそれぞれ設けられており、
絶縁層4は、第1のn型層2及び第2のn型層6の各一
部の表面上と、それに連なる露出したp型シリコン基板
1の表面上にそれぞれ設けられる。第1のn型層2上に
は、絶縁層4とゲート絶縁層4’との間に第1のn型層
2の表面に達する開口が設けられ、第2のn型層6上に
は、絶縁層4とゲート絶縁層4’との間に円錐形エミッ
タ3が立設されている。このゲート絶縁層4’は、第1
のn型層2と第2のn型層6との間の露出したp型シリ
コン基板1の表面上の部分が他の部分より肉薄になるよ
うに構成され、ゲート絶縁層4’の肉薄部分上にはゲー
ト電極8が設けられる。また、絶縁層4の端部から第1
のn型層2の表面に達する開口を経てゲート絶縁層4’
の肉厚部分に達するようにソース電極7が設けられ、円
錐形エミッタ3が立設されている周囲のゲート絶縁層
4’の肉厚部分及び絶縁層4の端部にはゲート層5が設
けられる。
【0028】この場合、円錐形エミッタ3、エミッタ3
の周囲を取り囲む絶縁層4、絶縁層4の第1の開口上側
にあるゲート層5からなる構成部分は、1つの電界放射
陰極素子を構成しており、電界放射陰極素子の構成部分
以外のp型シリコン基板1、第1及び第2のn型層2、
6、ゲート絶縁層4’、ソース電極7、ゲート電極8に
関連する構成部分は、1つのFET10を構成してい
る。なお、図1(a)に図示されていないが、例えば、
エミッタ3に対面した位置にアノード9が配置され、同
じく、図1(a)に図示されていないが、p型シリコン
基板1やアノード9等は共通の真空容器内に封入され、
全体として真空集積回路型の電界放射陰極装置が構成さ
れる。
【0029】また、図1(b)に示されるように、電界
放射陰極素子は、アノード(A)9、ゲート(G)5、
エミッタ(E)3を備えた3極管を構成し、エミッタ
(E)3と接地間にFET10のドレイン・ソース経路
と、ソース抵抗11が直列接続される。この3極管にお
いて、アノード(A)9はアノード電圧Vaを発生する
アノード電圧源13接続され、ゲート(G)5は固定の
ゲート電圧Vgを発生するゲート電圧源12に接続され
る。FET10において、ゲート8は可変のゲート・ソ
ース間制御電圧Vgsを発生するゲート・ソース間制御
電圧源14に接続される。
【0030】前記構成による電界放射陰極装置は、次の
ように動作する。
【0031】この電界放射陰極装置に用いられる電界放
射陰極素子は、前述の既知の電界放射陰極装置に用いら
れる電界放射陰極素子と同様に、アノード9に所定のア
ノード電圧Vaを、ゲート5に固定のゲート電圧Vgを
それぞれ印加し、FET10のゲート8に所要の値のゲ
ート・ソース間制御電圧Vgsを印加すれば、エミッタ
3を加熱することなく、エミッタ3からエミッタ電子流
放射が行われる。この場合、電界放射陰極素子のエミッ
タ電子流放射量は、ゲート5に印加される固定のゲート
電圧Vgによって制御されるものはなく、電界放射陰極
素子のエミッタ3に接続されるFET10のゲート8に
印加の可変のゲート・ソース間制御電圧Vgsによって
制御される。即ち、FET10は、そのゲート8に印加
されるゲート・ソース間制御電圧Vgsを適宜選択した
場合、定電流領域で動作するようになる、いわゆる、定
電流特性を示すものであって、電界放射陰極素子のエミ
ッタ3に定電流特性を示すFET10を接続した場合
に、電界放射陰極素子のエミッタ電子流放射量は、FE
T10の定電流特性によって決まるものである。エミッ
タ3から放射された電子流はアノード9に供給され、ア
ノード9にはエミッタ電子流放射量に対応したアノード
電流(電流値Ia)が流れる。
【0032】ここで、図2は、本実施例の電界放射陰極
素子においてFET10のゲート・ソース間制御電圧V
gsを変化させた場合のエミッタ電子流放射量、即ち、
アノード電流Iaの変化状態を示す特性図であり、図3
は、本実施例の電界放射陰極素子のエミッタ電子流放射
量における時間的変動の一例を示す特性図で、図5
(b)に図示の既知の電界放射陰極素子のエミッタ電子
流放射量における時間的変動の一例と対比させたもので
ある。
【0033】図2において、縦軸はエミッタ電子流放射
量(アノード電流)Ia、横軸はFET10のゲート・
ソース間制御電圧Vgsであって、ゲート5にゲート電
圧Vgとして80Vが印加された場合の特性を示すもの
である。
【0034】また、図3において、縦軸はエミッタ電子
流放射量(アノード電流)Ia、横軸は時間(min)
であって、上側の特性は本実施例の電界放射陰極素子
のエミッタ電子流放射量、下側の特性は既知の電界放
射陰極素子のエミッタ電子流放射量を示すものである。
【0035】図2に図示されるように、FET10のゲ
ート・ソース間制御電圧Vgsが約1.6V以下のとき
には、エミッタ電子流放射量Iaが殆んど流れない状態
にあるが、ゲート・ソース間制御電圧Vgsが約1.6
Vを超えたときには、エミッタ電子流放射量Iaがゲー
ト・ソース間制御電圧Vgsの増大に伴って急激に増大
するようになり、このゲート・ソース間制御電圧Vgs
を選択することによって、電界放射陰極素子のエミッタ
電子流放射量を制御することが可能になる。
【0036】そして、前述のように、ゲート・ソース間
制御電圧Vgsを適宜選択し、FET10を定電流領域
で動作させるようにすれば、図3の特性に示されるよ
うに、時間の経過にも係わらず、電界放射陰極素子のエ
ミッタ電子流放射量は、FET10の定電流特性で決ま
る一定化された量になる。ちなみに、FET10を接続
する代わりに、エミッタ抵抗36を接続している既知の
電界放射陰極素子においては、図3の特性に示される
ように、経時変化の影響が各所に表われ、電界放射陰極
素子のエミッタ電子流放射量は、常時、微細な変動をし
ているものである。
【0037】このように、本実施例によれば、電界放射
陰極素子のエミッタ電子流放射量が一定化されるので、
エミッタ電子流放射量は経時変化の影響を受けることが
なくなり、常時、一定のエミッタ電子流放射量を有する
電界放射陰極素子を得ることができる。
【0038】また、本実施例によれば、電界放射陰極素
子のエミッタ電子流放射量を制御する場合に、FET1
0のゲート・ソース間制御電圧Vgsによって制御して
いるので、きわめて小さい制御電圧、例えば、1乃至2
V程度の制御電圧を用意すれば足り、しかも、電界放射
陰極素子のスイッチング動作時にスパイクノイズが発生
することがない。
【0039】次いで、図4は、本発明に係わる電界放射
陰極装置の第2の実施例を示す概要構成図であって、図
1(a)、(b)に図示の構成を有する多数の電界放射
陰極素子及びFET10を、p型シリコン基板1上にお
いて行及び列を形成するように構成配列させたものであ
る。
【0040】図4において、10−11、… …、10
−13、… …、10−33はFET構成部、15−1
1、… …、15−13、… …、15−33は電界放
射陰極素子構成部、16−1、… …、16−3はソー
スライン、17−1、… …、17−3はゲートライン
である。
【0041】そして、p型シリコン基板1上で、電界放
射陰極素子を構成している多数の電界放射陰極素子構成
部15−11、… …、15−13、… …、15−3
3と、FET10を構成している多数のFET構成部1
0−11、… …、10−13、… …、10−33と
は、対応して行及び列を形成するように構成配列されて
いる。これら電界放射陰極素子構成部15−11、…
…、15−13、……、15−33及びFET構成部1
0−11、… …、10−13、… …、10−33に
おける各行方向の配列に平行してそれぞれソースライン
16−1、……、16−3が隣接配置され、これら電界
放射陰極素子構成部15−11、……、15−13、…
…、15−33及びFET構成部10−11、…
…、10−13、… …、10−33における各列方向
の配列に平行してそれぞれゲートライン17、… …、
17−3が隣接配置される。各FET構成部10−1
1、… …、10−13、… …、10−33におい
て、第1行のFET構成部10−11、… …、10−
13にある各FET10のソース7は隣接配置された第
1行のソースライン16−1に接続され、第2行のFE
T構成部10−21、… …、10−23にある各FE
T10のソース7は隣接配置された第2行のソースライ
ン16−2に接続され、第3行のFET構成部10−3
1、… …、10−33にある各FET10のソース7
は隣接配置された第3行のソースライン16−3に接続
される。一方、第1列のFET構成部10−11、…
…、10−31にある各FET10のゲート8は隣接配
置された第1列のゲートライン17−1に接続され、第
2列のFET構成部10−12、… …、10−32に
ある各FET10のゲート8は隣接配置された第2行の
ゲートライン17−2に接続され、第3行のFET構成
部10−13、… …、10−33にある各FET10
のゲート8は隣接配置された第3列のゲートライン17
−3に接続される。なお、図4に図示されていないが、
各電界放射陰極素子構成部15−11、……、15−1
3、… …、15−33の電界放射陰極素子のエミッタ
3に対応した位置にそれぞれアノード9が配置され、ま
た、共通のp型シリコン基板1とこれらアノード9等は
共通の真空容器内に封入され、全体として真空集積回路
型の電界放射陰極装置が構成される。
【0042】この場合、各行のソースライン16−1、
… …、16−3に順次ソース選択信号が、また、各列
のゲートライン17−1、… …、17−3に順次ゲー
ト選択信号がそれぞれ供給され、これらソースライン1
6−1、… …、16−3及びゲートライン17−1、
… …、17−3の各交点に配置されている電界放射陰
極素子構成部15−11、… …、15−13、…
…、15−33及びFET構成部10−11、… …、
10−13、… …、10−33は、対応するソースラ
イン16−1、… …、16−3及びゲートライン17
−1、… …、17−3の双方に同時にソース選択信号
及びゲート選択信号が供給されたときにアドッレシング
され、能動状態になるものである。例えば、電界放射陰
極素子構成部15−11及びFET構成部10−11
は、ソースライン16−1にソース選択信号が、ゲート
ライン17−1にゲート選択信号が同一のタイミングで
供給されたときだけアドッレシングされ、一方、電界放
射陰極素子構成部15−33及びFET構成部10−3
3は、ソースライン16−3にソース選択信号が、ゲー
トライン17−3にゲート選択信号が同一のタイミング
で供給されたときだけアドッレシングされるものであ
る。
【0043】前記構成による電界放射陰極装置は、次の
ように動作する。
【0044】各電界放射陰極素子構成部15−11、…
…、15−13、… …、15−33及びFET構成
部10−11、… …、10−13、… …、10−3
3においては、各電界放射陰極素子のエミッタ3に対応
するFET10のドレイン・ソース経路が接続された構
成を有しているので、これらFET10に印加されるゲ
ート・ソース間制御電圧Vgsを適宜選択することによ
り、各FET10を定電流特性を示す状態で動作させる
ことが可能になり、各電界放射陰極素子のエミッタ電子
流放射量を、そのFET10の定電流特性で決めること
ができる。
【0045】この場合、本実施例において、それぞれの
電界放射陰極素子のエミッタ電子流放射が行われるの
は、この電界放射陰極素子を備える電界放射陰極素子構
成部及びFET構成部がアドッレシングされたとき、例
えば、この電界放射陰極素子が電界放射陰極素子構成部
15−11を備えられるものであるとすれば、電界放射
陰極素子構成部15−11とそれに対応するFET構成
部10−11がアドッレシングされたとき、即ち、ソー
スライン16−1にソース選択信号、ゲートライン17
−1もゲート選択信号が同一タイミングで供給されたと
きである。そして、このソース選択信号及びゲート選択
信号は、FET構成部10−11にあるFET10のソ
ース7及びゲート8に供給され、それによって、このF
ET10が定電流特性を呈するように駆動され、このF
ET10に接続された電界放射陰極素子のエミッタ3か
らエミッタ電子流が放射されるものである。また、かか
る動作は、電界放射陰極素子構成部15−11とFET
構成部10−11の組み合わせがアドッレシングされた
ときだけでなく、他の電界放射陰極素子構成部及びFE
T構成部の組み合わせがアドッレシングされたときも全
く同様の動作が行われる。そして、それぞれの電界放射
陰極素子構成部及びFET構成部の組み合わせをアドッ
レシングする際に、同一タイミングで供給されるソース
選択信号とゲート選択信号のレベルを各別に適宜選択す
るようにすれば、それぞれの電界放射陰極素子構成部及
びFET構成部の組み合わせ毎に、電界放射陰極素子の
エミッタ電子流放射量を制御することが可能になる。
【0046】このように、本実施例によれば、各電界放
射陰極素子のエミッタにそれぞれ定電流特性を有するF
ETが接続されるので、前記第1の実施例で期待できる
効果が同様に期待できる他に、それぞれの電界放射陰極
素子のアドレッシング時に、ソース選択信号とゲート選
択信号の各電圧レベルを選択することにより、所要の電
界放射陰極素子のエミッタ電子流放射量を各別に制御す
ることが可能になる。
【0047】また、この第2の実施例の電界放射陰極装
置は、図4に図示されていないが、検出部と演算制御部
とメモリとを新たに付加し、以下に述べるような機能を
達成させるように構成変更することができる。
【0048】即ち、当初に所定のエミッタ電子流放射量
の基準値を作成し、それぞれの電界放射陰極素子が一定
のゲート・ソース間制御電圧Vgsでアドレッシングさ
れた際等において、検出部がそれぞれの電界放射陰極素
子のエミッタ電子流放射量をアノード電流値Iaの形で
読取り、演算制御部がこの読み取ったエミッタ電子流放
射量(アノード電流値Ia)と先に作成したエミッタ電
子流放射量の基準値とを比較してその偏差値を求め、こ
れらの偏差値をメモリに記憶させる。その後、それぞれ
の電界放射陰極素子がアドレッシングされる際に、演算
制御部がアドレッシングされる電界放射陰極素子に対応
した偏差値をメモリから読み出し、この読み出した偏差
値を含んだ電圧、例えば、ゲート電圧Vgを発生させ、
このゲート電圧Vgを当該電界放射陰極素子のゲート5
に帰還させるようにすれば、当該電界放射陰極素子のエ
ミッタ電子流放射量が他の電界放射陰極素子のエミッタ
電子流放射量と略同一になり、それにより、全ての電界
放射陰極素子のエミッタ電子流放射量を略一定化させる
ことができる。
【0049】これにより、以後、それぞれの電界放射陰
極素子がそれぞれ所定のエミッタ電子流放射量となるよ
うにアドレッシングされる際には、所定のエミッタ電子
流放射量の基準値に対応したゲート・ソース間制御電圧
Vgsを選択することにより、エミッタ電子流放射量を
それぞれ所定の値に各別に制御することが可能になる。
【0050】
【0051】
【発明の効果】 以上説明したように、本 発明によれば、
電界放射陰極素子のエミッタ3に定電流特性を有するF
ET10が接続された形になり、電界放射陰極素子のエ
ミッタ電子流放射量はFET10の定電流特性で決まる
一定の量になるので、エミッタ電子流放射量の経時的変
動が生じ難くなるという効果があり、しかも、電界放射
陰極素子のエミッタ電子流放射量がきわめて小さいゲー
ト制御電圧、例えば、1乃至2V程度の電圧により一定
になるように制御できるために、スイッチング動作時に
スパイクノイズが発生しないという効果がある。
【0052】
【0053】また、本発明によれば、複数の電界放射陰
極素子のエミッタ3にそれぞれ定電流特性を有するFE
T10が接続された形になり、複数の電界放射陰極素子
のエミッタ電子流放射量は対応するFET10の定電流
特性で決まる一定の量になって、前記効果と同等の効果
が得られる他に、電界放射陰極素子のアドレッシングを
行う際に、各ソースライン16−1乃至16−3と各ゲ
ートライン17−1乃至17−3間に供給されるソース
選択信号とゲート選択信号を選択することにより、所要
の電界放射陰極素子のエミッタ電子流放射量を各別に制
御できるという効果がある。
【0054】
【0055】さらに、本発明によれば、読み出した偏差
値の帰還により電界放射陰極素子のエミッタ電子流放射
量を制御することにより、全ての電界放射陰極素子のエ
ミッタ電子流放射量をアドレッシング時にそれぞれに定
めた所定のエミッタ電子流放射量と略等しくさせること
ができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる電界放射陰極装置の第1の実施
例を示す構成図である。
【図2】図1に図示の電界放射陰極素子におけるFET
のゲート・ソース間制御電圧とエミッタ電子流放射量と
の関係を示す特性図である。
【図3】図1に図示の電界放射陰極素子におけるエミッ
タ電子流放射量の時間的変動の一例を示す特性図であ
る。
【図4】本発明に係わる電界放射陰極装置の第2の実施
例を示す概要構成図である。
【図5】既知の電界放射陰極装置を構成する電界放射陰
極素子の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 p型シリコン基板 2 第1のn型層(FETのソース) 3 円錐形エミッタ 4 絶縁層 4’ ゲート絶縁層 5 ゲート層 6 第2のn型層(FETのドレイン) 7 ソース(電極) 8 ゲート(電極) 9 アノード 10 電界効果トランジスタ(FET) 10−11、… …、10−33 FET構成部 11 ソース抵抗 12 ゲート電圧源 13 アノード電圧源 14 ゲート・ソース間制御電圧源 15−11、… …、15−33 電界放射陰極素子構
成部 16−1、… …、16−3 ソースライン 17−1、… …、17−3 ゲートライン
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−295138(JP,A) 特開 平6−176686(JP,A) 特開 平6−44927(JP,A) 特表 平4−506435(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 1/304

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン基板上に設けられた円錐形エミ
    ッタと、前記シリコン基板上に配置され、前記円錐形エ
    ミッタを取り囲むように設けられた絶縁層と、前記絶縁
    層の表面に設けられたゲート層とで構成された複数個の
    電界放射陰極素子と、前記電界放射陰極素子に対応し
    て前記シリコン基板上に形成された複数個の電界効果ト
    ランジスタとからなり、前記シリコン基板内で前記
    界放射陰極素子のエミッタと対応する電界効果トランジ
    スタのドレインがそれぞれ接続され、これら電界放射陰
    極素子及び電界効果トランジスタがシリコン基板上で行
    及び列を形成するように構成配列され、前記列方向に配
    列された複数の電界効果トランジスタのゲートは列毎に
    共通のゲートラインに、前記行方向に配列された複数の
    電界効果トランジスタのソースは行毎に共通のソースラ
    インにそれぞれ接続され、各ゲートラインと各ソースラ
    イン間に供給される制御電圧によって各別の電界放射陰
    極素子のアドレッシングが行われる際に、それぞれの電
    界放射陰極素子のエミッタ電子流放射量を測定し、得ら
    れたエミッタ電子流放射量と基準値とを比較してそれぞ
    れの電界放射陰極素子のエミッタ電子流放射量の偏差値
    を求め、この偏差値をそれぞれの電界放射陰極素子に対
    応させてメモリに記憶し、その後、それぞれの電界放射
    陰極素子のアドレッシングが行われる際に、前記メモリ
    に記憶されている当該電界放射陰極素子の偏差値を読み
    出し、読み出した偏差値を当該電界放射陰極素子に帰還
    させることにより、全ての電界放射陰極素子のエミッタ
    電子流放射量をアドレッシングが行われる際にそれぞれ
    に定めた所要のエミッタ電子流放射量と略等しくする
    とを特徴とする電子放射陰極装置。
  2. 【請求項2】 前記複数個の電界放射陰極素子に対応し
    てそれぞれエミッタ電子流放射を受領するアノードを設
    けるとともに、前記複数個の電界放射陰極素子及びアノ
    ードを真空雰囲気内に配置したことを特徴とする請求項
    1に記載の電子放射陰極装置。
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