JP3195006B2 - 四フッ化エチレン樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents

四フッ化エチレン樹脂発泡体及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電気絶縁材料などに
好適な四フッ化エチレン樹脂発泡体と、その製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】四フッ化エチレン樹脂(以下PTFEと
称することもある。)は、その優れた電気的特性、耐熱
性、耐薬品性等に基づき、種々の用途に広く用いられて
いるが、これを例えば電気絶縁材料として使用する場合
には、電気的特性をより向上させるため、多孔質化させ
て使用することが行われている。
【0003】多孔質PTFEの製造方法については、溶
融時におけるPTFEの粘度が著しく高いために、不活
性ガスの吹き込みによる物理的発泡、あるいはアゾジカ
ルボンアミド等の熱分解性発泡剤による化学発泡のよう
な一般の熱可塑性樹脂もしくは他のフッ素系樹脂におい
て行われている方法を適用することができず、特殊な方
法が採られている。その代表的なものを挙げると、例え
ば未焼成PTFEに抽出や溶解によって除去される物質
を混和して加圧成形した後、これらの物質を除去する方
法(特公昭35−13043号)、PTFEの微粉末に
ソルベントナフサ等の液体潤滑剤を添加し、この混和物
を圧延や押出しなどの剪断力が加わる条件下で成形した
後、液体潤滑剤を除去し、次いで延伸して焼成する方法
(特公昭42−13560号、特公昭56−17216
号、特公昭57−30057号)、PTFEの未焼成成
形物を、ハロゲン化炭化水素、石油系炭化水素、アルコ
ール、ケトンなどのPTFEを濡らしうる液体中で延伸
させた後、焼成する方法などが知られている。
【0004】このように、多孔質PTFEの製造方法と
して幾つかの方法が提案されているが、いずれの方法に
おいても得られる多孔質体は、連続気孔性のものとな
る。このため、わずかな圧縮力によっても内部の空孔が
潰れ、圧縮を受けた部分が非多孔質構造に変化しやす
い。その傾向は、誘電率を低下させるために空孔率を高
めた場合にとくに顕著である。したがって、例えばこれ
をテープ状やシート状などに成形し、電線、プリント基
板等の絶縁体として用いると、特に誘電率等の電気的特
性が不安定になりやすく、きわめて取り扱いにくいとい
う欠点があった。
【0005】そこで、このような従来技術の欠点を改良
するものとして、本発明者は、窒素ガス、炭酸ガスなど
の不活性気体が内部に封入されたガラスあるいはシリカ
からなる中空球体をPTFE微粉末に混和し、これを圧
延などの剪断力が加わる条件下で成形加工することによ
り、母材であるPTFEを繊維質化させて中空球体を包
み込み、実質的に中空球体に封入された気体部分が空隙
部分として残る独立気孔性の多孔質構造にすることを既
に提案している(特公平1−25769号参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記構成の独立気孔性
多孔質PTFEにおいては、従来の連続気孔性多孔質P
TFEが有する欠点の大半は改善され、実用上の問題点
はほぼ解消されたが、より一層の低誘電率化を目的とし
て中空球体の配合量を大幅に増やした場合には、微小中
空球体間に存在するPTFEが少ないことから、成形加
工を行う際の圧縮力等が中空球体にかかりやすくなり、
そのため中空球体の破壊が生じて配合量の割りには電気
的特性が向上しないという課題が残されていた。
【0007】また、上記多孔質PTFEでは、圧延ある
いはペースト押出し等の成形加工工程において発生する
剪断力によりPTFE粒子を繊維質化し、それら微小繊
維によって中空球体を抱持するようになっているから、
成形品中に存在する無数の微小繊維は押出し方向、圧延
方向に強く配向する傾向がある。このような多孔質PT
FEのテープを絶縁材料として用いると、導体に巻き付
ける際に配向方向に沿って裂けやすいばかりか、焼成後
においても配向が残っているので、そのままではクラッ
クが生じやすい。このため、使用に際しては配向方向と
直角の方向にも圧延したり、あるいは焼成を繰り返すこ
とにより配向を緩和する必要があるなど、作業性は必ず
しも良いとはいえなかった。
【0008】この発明は、これら従来技術の問題点に鑑
みなされたもので、独立気孔でありながら従来のものよ
りも低誘電率化が可能であり、しかも特定の方向への配
向が少なく成形加工性が向上したPTFE発泡体及び製
造方法の提供をその目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明によるPTFE発泡体では、発泡剤が封入
された第一の熱可塑性樹脂からなる多数の膨張球体と、
これら膨張球体の周囲にあってその膨張圧により結節間
を連結する微小繊維が延伸され三次元的に広がる微細繊
維質構造を形成してその空隙部分で該膨張球体を包持す
る四フッ化エチレン樹脂と、この四フッ化エチレン樹脂
の微細繊維質構造内の空隙部分にあって、前記膨張球体
と四フッ化エチレン樹脂とを接合する、前記第一の熱可
塑性樹脂よりも融点が低い、第二の熱可塑性樹脂を備え
た構成とする。
【0010】また、かかるPTFE発泡体は、未発泡状
態の発泡剤が封入された第一の熱可塑性樹脂からなる球
体と未焼成四フッ化エチレン樹脂粉末と前記第一の熱可
塑性樹脂よりも融点が低い第二の熱可塑性樹脂粉末との
混和物を発泡剤が発泡する温度以下で所定の形状に成形
した後、この成形物を発泡剤が発泡する温度以上に加熱
し、この加熱により前記球体を膨張させてその膨張圧で
未焼成四フッ化エチレン樹脂の繊維質化を促進すると共
に成形物中に膨張球体による独立気孔を形成せしめ、さ
らに溶融した前記第二の熱可塑性樹脂を介して膨張球体
と四フッ化エチレン樹脂とを一体化することによって得
られる。なお、このPTFE発泡体は第二の熱可塑性樹
脂により補強されているから、未焼成の状態でも充分な
機械的強度を備えそのままでも使用は可能であるが、膨
張球体の殻壁を形成する第一の熱可塑性樹脂がPTFE
の融点以上の耐熱性を有するものであれば、焼成しても
よい。
【0011】本発明において膨張球体とは、膨張性球体
とも呼ばれ、内部に低沸点の液体あるいは熱分解により
気体を発生する化学発泡剤が封入された球体で、殻壁部
分が第一の熱可塑性樹脂からなり、加熱により内部の発
泡剤が気化して膨張したものをいう。この膨張性球体の
配合量は、発泡体の使用目的、他の添加剤の有無等によ
って適宜選択されるため特に限定はされないが、通常
は、発泡前の混和物においてPTFE粉末10重量部に
対して0.1から70重量部の範囲で用いられる。ま
た、その球径についても同様に限定されるものではな
く、使用目的等に応じて膨張後の球径で数ミクロンメー
トルから数百ミクロンメートル程度になるものが好適に
用いられる。
【0012】上記膨張性球体の内部に封入される低沸点
液体の具体例としては、石油エーテル、イソブタン、ヘ
プタン、ヘキサンなどの炭化水素、モノクロロトリフロ
ロメタン、ジクロロジフロロメタン、トリクロロトリフ
ロロエタン、ジクロロテトラフロロエタンなどの低沸点
ハロゲン化炭化水素、あるいはメチルシラン等が挙げら
れる。また、化学発泡剤としては、アゾ系発泡剤として
アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド、
ジエチルアゾジカルボキシレート、ジアゾアミノベンゼ
ン、アゾシクロヘキシルニトリル等、ヒドラジド系のも
のとしてベンゼンスルフォニルヒドラジド、p−トルエ
ンスルフォニルヒドラジド、p,p’−オキシビスベン
ゼンスルフォニルヒドラジド等、セミカルバジド系発泡
剤としてp,p’−オキシビスベンゼンスルフォニルセ
ミカルバジド、p−トルエンスルフォニルセミカルバジ
ド等、ニトロソ系発泡剤としてN,N’−ジニトロソペ
ンタメチレンテトラミン等の熱分解型の有機発泡剤、あ
るいは炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、亜硝酸ア
ンモニウムなどの無機発泡剤の使用が可能である。
【0013】そして、これら発泡剤を内包する第一の熱
可塑性樹脂の具体例を挙げると、例えばポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、
ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル
酸エステル、ポリメタアクリル酸エステル、熱溶融性フ
ッ素樹脂等の単独重合体もしくは共重合体などが使用可
能であり、加熱により軟化して上記発泡剤の気化を妨げ
ないものであれば、これに限定されることはなく、その
材質は、発泡体の使用目的、発泡剤の種類などに応じて
適宜選定される。
【0014】本発明において、前記膨張性球体を抱持す
るPTFEは、結節間を連結する微小繊維が三次元的に
広がる微細繊維質構造を形成している。この三次元的に
広がる微細繊維質構造とは、ペースト押出しあるいは圧
延等の成形加工時に加えられる力により、膨張性球体を
膨張させる前の成形物中にあって特定の方向に強く配向
していた無数の微小繊維が、膨張性球体の膨張によって
あらゆる方向に延ばされ、その結果、特定方向の配向性
が大幅に減少したもので、発泡体の各方向の断面におい
て、網状構造が観測される多孔構造をいう。
【0015】また、この四フッ化エチレン樹脂の微細繊
維質構造内の空隙部分にあって、前記膨張性球体と四フ
ッ化エチレン樹脂の微小繊維もしくは結節とを接合する
第二の熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポ
リプロピレンなどのオレフィン系ポリマーが挙げられ
る。本発明では、この第二の熱可塑性樹脂は製造上の制
約により、前記膨張性球体の殻壁を形成している第一の
熱可塑性樹脂よりも融点の低い樹脂が選択されるが、も
ちろん前記オレフィン系ポリマーに限定されるものでは
ない。そして、第二の熱可塑性樹脂の配合量は、前記膨
張性球体の場合と同様に発泡体の使用目的、他の添加剤
の有無等によって適宜選択されるため特に限定はされな
いが、通常は、発泡前の混和物においてPTFE粉末1
0重量部に対して0.05から10重量部の範囲で用い
られる。なお、この第二の熱可塑性樹脂は、発泡体の表
面を平滑にすると同時に機械強度を高め、また接着剤と
しての目的で、発泡後の成形体の表面部分にさらにコー
ティングしてもよい。この場合、内部に同じ樹脂が存在
していることから、発泡体の表面部分に対して良好に接
着し、コーティングは容易である。
【0016】
【作用】未焼成のPTFE微粉末は、例えば押出工程で
ダイから押し出される時、あるいはロールで圧延される
時や攪拌を受けた時のように、剪断力を受けると微小繊
維によって相互に結節が結合された微細な繊維状組織と
なる性質を備えている。この繊維化は、他の高分子材料
には見られない特異な性質で、押出し、圧延の方向に微
小繊維が強く配向する傾向があり、これが従来の独立気
孔性多孔質PTFEでは重要であると同時に、作業性を
低下させる原因にもなっていた。
【0017】これに対して、本発明によるPTFE発泡
体では、殻壁が第一の熱可塑性樹脂により形成され発泡
剤が内部に封入された未発泡の球体、未焼成PTFE微
粉末、及び第一の熱可塑性樹脂よりも融点が低い第二の
熱可塑性樹脂の粉末からなる混和物を所望の形状に成形
した後、この成形物を加熱することにより発泡剤を気化
させて球体を膨張させ、この膨張圧によって球体周囲に
存在している未焼成PTFEを延伸し、繊維化をさらに
促進するものである。この場合、球体は各々が膨張する
ので、それぞれの球体の周囲にあつて押出あるいは圧延
の方向に配向していた無数の微小繊維が、その膨張圧に
よっ実質的にあらゆる方向に延ばされる。その結果、成
形加工時に生じていた微小繊維の押出あるいは圧延方向
への強い配向が緩和され、結節を介して微小繊維が三次
元的に結合した繊維質構造となる。これにより、発泡体
の機械強度は均質化されて裂けにくいものとなり、従来
のように配向を減少させるための工程が不要になる。
【0018】特に、本発明においては、第二の熱可塑性
樹脂粉末がPTFEの微細繊維状組織内に分散し、これ
が発泡剤を発泡させる際の熱で溶融して膨張性球体とP
TFEの微小繊維等とを接合するため、発泡体の機械強
度が大幅に高まる。したがって、例えば電線の絶縁体と
してテープ状に形成した発泡体を導体外周にを巻き付け
る場合に、テープが伸びないから、所期の特性を得るこ
とができる。なお、第二の熱可塑性樹脂とPTFEとを
ディスパージョンの状態で混合した場合には、樹脂の分
散が良いために両者が接合しやすくなり、その結果、発
泡体の機械強度は一段と高まる。
【0019】さらに、未膨張の球体をPTFE粉末と混
合するから大量充填が可能であり、そして成形後にこれ
を加熱して膨張させるので、特に大量充填した場合にも
膨張した球体が外力によって破壊されることはなく、気
孔率の極めて高い発泡体を得ることができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明のPTFE発泡体について具体
例をもって説明するが、もちろん実施例に限定されるも
のではなく、この発明の技術思想内での変更実施は可能
である。
【0021】実施例1 液体イソブタンが内部に封入されたアクリロニトリル系
樹脂からなる未発泡の球体(日本フィライト社製:エク
スパンセルDU−051、平均粒径6ミクロンメート
ル、膨張後の平均粒径20ミクロンメートル)30重量
部、PTFEの固形分に換算して60重量部のPTFE
ディスパージョン(三井デュポンフロロケミカル社製:
テフロン41J)、及びポリエチレンの固形分に換算し
て10重量部のポリエチレンディスパージョン(三井石
油化学社製:A−100)を混合してゲル化させた後、
この混合物から水分を除去し、これに液体潤滑剤として
ソルベントナフサを添加した。次に、上記混和物をテー
プ状に押し出した後、テープ中に含まれるソルベントナ
フサを球体が膨張しない程度の温度に加熱して除去し
た。さらに、このテープを長手方向に延伸してから圧延
し、厚さ50ミクロンメートルのテープに成形した。そ
して、これを170℃の加熱炉で10秒間の加熱を行
い、テープ中に含まれる上記未発泡の球体を膨張させ
た。この加熱により、当初50ミクロンメートルであっ
たテープの厚さは、200ミクロンメートルから230
ミクロンメートルの範囲に増加し、本発明によるPTF
E発泡体を得た。
【0022】図1は本発明によるPTFE発泡体であっ
て、加熱により球体を膨張させた後の状態、図2は膨張
性球体を膨張させる前の状態をそれぞれ示す電子顕微鏡
写真である。この写真から明らかなように、膨張性球体
の膨張により、PTFEの結節間を結合している微小繊
維があらゆる方向に延伸されてその配向が緩和されると
共に、それら微小繊維間に保持されている膨張性球体の
周囲にはかなりの空隙部分が残り、膨張性球体内の空孔
と合わせて高い空孔率が維持され、さらに空隙部分にお
いて、ポリエチレンがPTFEの微小繊維と膨張性球体
の結着剤となっていることがわかる。なお、図3はガラ
ス製中空球体をPTFE微粉末に混入した組成物をロー
ルで圧延することにより、PTFE粒子を繊維化して該
中空球体をその空隙部分に担持させた従来の独立気孔性
多孔質PTFE(本出願人が特公平1−25769号と
して提案したもの)の内部構造を示す電子顕微鏡写真で
あり、PTFEの繊維が一方向に配向していることが明
らかである。
【0023】このような特異な内部構造を有するテープ
状PTFE発泡体では、ペースト押出し及び圧延の際の
剪断力によってテープの長手方向に強く配向していたP
TFEの微小繊維が、膨張性球体が膨張する際の等方的
な膨張圧により実質的にあらゆる方向に延伸され、その
結果、幅方向や厚さ方向などの強度が相対的に高まると
同時に、発泡体の各方向における機械強度の差が減少す
る。これに加え、テープ状PTFE発泡体は、微細繊維
質構造のPTFEの空隙部分に存在している第二の熱可
塑性樹脂であるポリエチレンにより、PTFEの微小繊
維と膨張性球体とが接合し、機械的に補強されている。
【0024】即ち、上記実施例1のテープ状PTFE発
泡体の引張強度は、長手方向に微小繊維が強く配向して
いる発泡前の状態では長手方向1.7kg/平方センチ
メートル、幅方向0.05kg/平方センチメートルで
あったものが、発泡後にはそれぞれ0.96kg/平方
センチメートル、0.54kg/平方センチメートルと
なり、テープの長手方向と幅方向の差が大幅に減少して
いる。このことから、発泡体の機械強度の均質化に対し
て、膨張性球体の膨張による効果が顕著であることがわ
かる。さらに、比較例として第二の熱可塑性樹脂を含ま
ない発泡体の引張強度が長手方向0.78kg/平方セ
ンチメートル、幅方向0.12kg/平方センチメート
ルであることから、発泡体全体の機械強度も同時に大き
く向上している。したがって、このようなテープは、微
小繊維の配向が大幅に緩和されて特定の方向への配向が
少なく、三次元延伸により全体的に機械的強度が向上
し、さらに第二の熱可塑性樹脂によっても補強されてい
るので、未焼成の状態でそのまま使用した場合にも、従
来のもののように裂けたり、あるいは焼成後にクラック
が発生することはない。このことは、PTFE発泡体を
使用する上での作業性や得られる成形物の特性に好影響
を与えるものである。
【0025】次に、上記テープ状PTFE発泡体の絶縁
材料としての電気的特性を評価するため、テープ表面に
さらに熱溶融型接着剤としてポリエチレンを薄くコーテ
ィングしたものを用意した。そして、この接着剤付きテ
ープを導体外周に螺旋巻きした後、その外側に外部導体
を設けて特性インピーダンスが50オームの同軸ケーブ
ルを作製し、その伝搬遅延時間を測定したところ、3.
6ns/mであった。このことから、このテープ状PT
FE発泡体の比誘電率は1.16となり、極めて低誘電
率の絶縁材料であることが確認された。
【0026】さらに、耐圧縮性については、このテープ
状PTFE発泡体に10kg/平方センチメートルの荷
重を10分間かける前と後におけるテープの誘電率を調
べたところ、負荷前に1.16であったものが負荷後で
は1.18であり、その変化は僅かであった。このよう
に、本発明による発泡体は圧縮力に対してその空孔が潰
れにくく、電気的特性の変化が少ないものになってい
る。
【0027】実施例2 微粉末状のポリプロピレン(三洋化成社製:ビスコー
ル)を界面活性剤によりイオン交換水に分散させ、この
分散液を前記実施例のポリエチレンディスパージョンに
代えて用い、前記実施例と同様な方法でテープ状PTF
E発泡体を得た。そして、第二の熱可塑性樹脂としてポ
リプロピレンを使用するこのテープ状PTFE発泡体の
引張強度を測定したところ、発泡前の状態では長手方向
1.65kg/平方センチメートル、幅方向0.05k
g/平方センチメートルであったものが、発泡後にはそ
れぞれ0.89kg/平方センチメートル、0.55k
g/平方センチメートルとなつた。また、実施例1と同
様にして同軸ケーブルを作製し、その伝搬遅延時間を測
定したところ、3.65ns/mであった。このことか
ら、このテープ状PTFE発泡体の比誘電率は1.20
となり、極めて低誘電率の絶縁材料であった。
【0028】なお、上記実施例ではテープ状に成形した
PTFE発泡体について説明したが、例えばペースト押
出しにより導体の外周にチューブ状に被覆してもよく、
その形状は限定されない。さらに、本発明によるPTF
E発泡体は絶縁材料に限らず、例えば遮音材、軽量構造
材などの従来の発泡体が使用されていた用途に適用でき
ることは言うまでもない。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によるP
TFE発泡体では、発泡剤を内包する未膨張の球体とP
TFE粉末と熱可塑性樹脂粉末の混和物を所望の形状に
成形した後、この成形物を加熱して球体を膨張させ、そ
の際の膨張圧を利用してPTFEを三次元的に繊維化す
るので、極めて空孔率の高い独立気孔性多孔質体が能率
的かつ安定して得られるばかりか、特定の方向への繊維
の配向が少なくなるために機械強度の差が各方向におい
て小さくなり、しかもPTFEの繊維と膨張性球体とが
熱可塑性樹脂を介して接合されるから、機械強度も良好
であるという実用上優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるテープ状PTFE発泡体の繊維の
形状を示す顕微鏡写真である。
【図2】同じく発泡前の表面部分の繊維の形状を示す顕
微鏡写真である。
【図3】従来の独立気孔性多孔質PTFEの表面部分の
繊維の形状を示す顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−41544(JP,A) 特開 平2−6832(JP,A) 特開 平5−43730(JP,A) 特開 昭61−57328(JP,A) 特開 昭54−8665(JP,A) 特開 平1−25769(JP,A) 特公 昭56−17216(JP,B2) 特公 昭42−13560(JP,B1) 特公 昭35−13043(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 9/00 - 9/42

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発泡剤が封入された第一の熱可塑性樹脂か
    らなる多数の膨張球体と、これら膨張球体の周囲にあっ
    てその膨張圧により結節間を連結する微小繊維が延伸さ
    れ三次元的に広がる微細繊維質構造を形成してその空隙
    部分で該膨張球体を包持する四フッ化エチレン樹脂と、
    この四フッ化エチレン樹脂の微細繊維質構造内の空隙部
    分にあって、前記膨張球体と四フッ化エチレン樹脂とを
    接合する、前記第一の熱可塑性樹脂よりも融点が低い、
    第二の熱可塑性樹脂を備える四フッ化エチレン樹脂発泡
    体。
  2. 【請求項2】未発泡状態の発泡剤が封入された第一の熱
    可塑性樹脂からなる球体と未焼成四フッ化エチレン樹脂
    粉末と前記第一の熱可塑性樹脂よりも融点が低い第二の
    熱可塑性樹脂粉末との混和物を発泡剤が発泡する温度以
    下で所定の形状に成形した後、この成形物を発泡剤が発
    泡する温度以上に加熱し、この加熱により前記球体を膨
    張させてその膨張圧で未焼成四フッ化エチレン樹脂の繊
    維質化を促進すると共に成形物中に膨張球体による独立
    気孔を形成せしめ、さらに溶融した前記第二の熱可塑性
    樹脂を介して膨張球体と四フッ化エチレン樹脂とを一体
    化する四フッ化エチレン樹脂発泡体の製造方法。
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