JP3154887B2 - 熱伝導率の低いスチレン系樹脂断熱材及びその製造方法 - Google Patents

熱伝導率の低いスチレン系樹脂断熱材及びその製造方法

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JP3154887B2
JP3154887B2 JP5519494A JP5519494A JP3154887B2 JP 3154887 B2 JP3154887 B2 JP 3154887B2 JP 5519494 A JP5519494 A JP 5519494A JP 5519494 A JP5519494 A JP 5519494A JP 3154887 B2 JP3154887 B2 JP 3154887B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、熱伝導率の低い断熱
材、とくに熱伝導率の低い状態が長期にわたって継続す
る断熱材に関するものであり、またこのような断熱材の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂発泡体の製造方法は、大
別すると2つに分かれる。その1つは押し出し発泡法で
あり、他の1つはビーズ成形法である。押し出し発泡法
は、押出機内で樹脂に発泡剤を含ませてこれを押し出
し、大気中で発泡させて発泡体とする方法である。この
方法は、押し出しと同時に1回発泡させるだけで足りる
から、発泡体の製造が容易である。ところが、この方法
では、得られる発泡体の形状が制限され、断面が一様な
発泡体しか得られない。
【0003】これに対し、ビーズ成形法は断面形状が異
なった異形の発泡体を作ることができる。ところがビー
ズ成形法は2回の発泡工程を必要とし、従って製造方法
が多少複雑である。すなわちビーズ成形法では、発泡性
粒子を加熱して発泡させ、発泡した粒子を作る予備発泡
の工程と、こうして得られた発泡粒子を型に入れ再び加
熱して発泡させ、粒子を融着させて発泡体とする成形発
泡の工程との、2つの工程を必要としている。また、良
好な発泡体を得るためには、予備発泡工程を終わったあ
とで成形発泡の工程に入る前に発泡した粒子を大気中に
暫く放置して熟成させることが必要とされた。このよう
な予備発泡後の熟成によって、予備発泡粒子中へ多くの
空気が侵入することになるので、その後成形発泡して得
られた発泡体は多くの空気を含むものしか得られなかっ
た。したがって、JISA9511のポリスチレンフォ
ーム保温材の規格にも見られるように、熱伝導率の最も
低い規格は、押出法ではB類保温板3種の熱伝導率0.
024Kcal/m・h・at20℃以下であるのに対
して、ビーズ法ではA類保温板特号0.029以下(ビ
ーズ法:表3)、B類保温板3種0.024以下であ
り、ビーズ成形法では熱伝導度の高い発泡体のものしか
得られなかった。
【0004】一方、押出法によって得られた発泡体は、
製造直後には低い熱伝導率を持っているが、使用中に次
第に熱伝導率が大きくなる傾向を持っている。そこで、
製造直後の低い熱伝導率をできるだけ長く維持させて、
断熱材としての性能を高めようとする試みがなされた。
【0005】特公平2−39382号公報は、この試み
を記載している。この公報は、合成樹脂発泡板の表と裏
の両面全体に、窒素透過率の低い合成樹脂フィルムを貼
り合わせ、積層体にして熱伝導率の低い状態を永く維持
させることを教えている。ところが、この公報は樹脂の
発泡体を板に限っているので、用途が局限されることに
なる。この公報が発泡体を板に限ったのは、押し出し発
泡法によって発泡体を作ることを前提としているからで
ある。また、この公報では、発泡板に上記フィルムを貼
り合わせるのに、特殊な接着剤を用いてフィルムと発泡
体との間を特殊な接着状態にすることを必要としてい
る。しかし、発泡体表面に凹凸があるような場合には、
このように接着することは容易でない。従って、この公
報の教える方法は、実施が制約されまた容易でないとい
う欠点を持っていた。加えて、発泡体とフィルムを特殊
な接着状態とすることを必要とするこの公報の断熱材は
用済後に再利用することができないので、産業廃棄物と
して廃棄するしかなく、最近特に問題視されている環境
破壊を起こすという問題点を持っていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、従来のポ
リスチレンフォームの持つ熱伝導率より更に低い熱伝導
率、すなわち硬質ウレタンフォームのJIS規格:JI
SA9514で熱伝導率の最も低い規格である、保温板
2種の熱伝導率0.02Kcal/m・h・at20℃
以下を満足できるスチレン系樹脂発泡体を製造し、しか
も得られた低い熱伝導率を長期にわたって保持すること
を目的とするものである。それとともに、この発明は断
熱材の形状を平面だけに限らず異形の断熱材にまで広
げ、上記の従来のスチレン系樹脂の発泡体では達し得な
かった低い熱伝導度を持つ断熱材を簡単な方法で提供で
きるようにしたものである。また、断熱材として使用
し、用済後にはこの発泡体とフィルムを容易に分離で
き、回収再利用できる環境に優しい断熱材を提供するも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明者は、低い熱伝
導率を持ったスチレン系樹脂発泡体を得るには、20℃
での熱伝導率が0.015Kcal/m・h・℃以下の
発泡剤を選んで用いることが必要であることに気付い
た。また、発泡体の熱伝導率を低く押さえるためには、
発泡体中に大量の空気を含ませないようにすることが必
要であることを見出した。すなわち、発泡体の熱伝導率
を低くするには、発泡体中に含まれる揮発成分の中に含
まれる空気をできる限り減らすことが必要であり、その
際の空気量としては45容量%以下とすることが必要で
あることを見出した。
【0008】また、この発明者は、スチレン系樹脂発泡
体の持つ成形発泡直後の低い熱伝導率を長く維持させる
には、バリヤー性を持つフィルムの中でも特に窒素透過
係数の小さいフィルムで熱伝導率の低い発泡体の全面を
速やかに被覆することが必要であることを見出した。す
なわち、上記フィルムで袋を作り袋の中へスチレン系樹
脂発泡体を入れ袋の中の空気を脱気し開口をヒートシー
ルすると、袋中に残る僅かな空気だけを吸収するにとど
まるので、発泡体の持つ低い熱伝導率を維持できる。ま
た、発泡成形直後の発泡体は気泡内部が減圧状態になっ
ているので、被覆したフィルムと自然に密着するに至
り、フィルムを発泡体に接着する必要のないことを見出
した。このようなフィルムとしては特に窒素透過係数が
5cc/m2 ・day・atm以下であることが必要で
あり、このフィルムで袋を作り袋で発泡体を包み合わせ
目を密封するだけで、発泡体の表面にフィルムを接着す
る必要がなくなることは、発泡体として異形のものを用
いたときとくに製造が容易となることを見出した。
【0009】また、この発明者は、ビーズ成形法により
低い熱伝導率を持ったスチレン系樹脂発泡体を得るに
は、発泡性粒子を予備発泡させて発泡した粒子としたの
ち、熟成することなく、発泡した粒子中に多量の空気が
入り込む前に、発泡粒子を型に入れて成形体とすること
が必要であることを見出した。この発明者は、予備発泡
させた発泡粒子は、予備発泡後冷却されることで気泡内
が減圧状態となり、空気中での熟成により時間と共に空
気が侵入していくことを確認した。そこで、ビーズ成形
法によって低い熱伝導率を持った発泡体を得るには、発
泡した粒子中に含まれる揮発成分のうち空気の占める割
合が40容量%以下の状態で型に入れて、成形すること
が必要であることを見出した。この発明は、このような
知見に基づいて完成されたものである。
【0010】発泡した粒子又は発泡体が、その中に含ん
でいる揮発成分のうちで空気の占める容量%は、空気体
積率として定義される。すなわち、空気体積率とは、発
泡体をスチレン系樹脂の融点より100℃だけ高い温度
に加熱して樹脂を溶融したとき、発泡体から発生するガ
スの中で、発泡剤と空気との総和を基準とし、その中に
含まれる空気の体積割合である。具体的には、熱伝導度
検出器を用いたガスクロマト法により、ヘリウムをキャ
リアガスとして使用し、樹脂の融点より100℃だけ高
い温度に発泡体を加熱して完全に溶解させ、その際発生
するガス中に含まれる空気の重量%aと、発泡剤の重量
%bとを測定し、下記の式に従って算出した値である。 また、発泡剤についても同様に体積率を定義すれば、 発泡剤体積率D=100−c(%) となる。
【0011】この出願は、物の発明とその物の製造方法
とを含んでいる。そのうち、物の発明は、20℃での熱
伝導率が0.015Kcal/m・h・℃以下の発泡剤
を含んだスチレン系樹脂の発泡体が、45容量%以下の
空気体積率を持つ間に、その発泡体の全表面を、23℃
での窒素透過係数が5cc/m2 ・day・atm以下
のフィルムで隙間なく被覆したことを特徴とする、熱伝
導率の低いスチレン系樹脂断熱材を提供するものであ
る。
【0012】また、製造方法の発明は、上記熱伝導率の
低いスチレン系樹脂断熱材の製造方法を提供するもので
あって、その製造方法は、20℃での熱伝導率が0.0
15Kcal/m・h・℃以下の発泡剤を含有する発泡
性スチレン系樹脂粒子を加熱して予備発泡させ、得られ
た発泡粒子中の空気体積率が40容量%以下である間
に、この発泡粒子を型に入れて再び加熱し融着させて発
泡体とし、この発泡体中での空気体積率が45容量%以
下である間に、この発泡体を23℃での窒素透過係数が
5cc/m2 ・day・atm以下のフィルムで全面被
覆することを特徴とするものである。
【0013】
【物の発明の説明】この発明では、発泡剤として20℃
での熱伝導率が0.015Kcal/m・h・℃以下の
ものを用いることが必要とされる。このような発泡剤
は、化学構造から云えば、脂肪族炭化水素、脂環族炭化
水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素中の特定なもの、六弗
化硫黄、二酸化炭素である。このうち、とくに好適なも
のは、CF3 CHF2 (フロン125)、CF3 CH2
F(フロン134a)、CHF2 CH3 (フロン152
a)、CF3 CHFCHF2 (フロン236ea)、C
2 HCF2 CFH2 (フロン245ca)、CF2
2 CH2 CF2 (フロン356mff)等のHFCフ
ロン、C3 8 (プロパン)、C4 10(ノルマルブタ
ン、イソブタン)、C5 12(ノルマルペンタン、イソ
ペンタン)、C510(シクロペンタン)等の脂肪族及
び脂環族炭化水素、SF6 、CO2 等である。
【0014】そのほか、上記のものに次ぐ好ましい発泡
剤は、CF3 CHCl2 (フロン123)、CF3 CH
ClF(フロン124)、CCl2 FCH3 (フロン1
41b)、CClF2 CH3 (フロン142b)、CF
3 CF2 CHCl2 (フロン225ca)、CClF2
CF2 CHClF(フロン225cb)、CHClF2
(フロン22)等のHCFC系フロンである。これらの
ものは単独で又は混合して用いることができる。CFC
系フロンは、成層圏においてオゾン層を破壊する原因で
あるといわれており、現在我が国においても規制対象と
なっているので発泡剤としては好ましくない。
【0015】この発明では、樹脂としてスチレン系樹脂
を用いる。スチレン系樹脂は、スチレン系単量体の単独
重合体のほか、スチレン系単量体と他の単量体との共重
合体を含み、さらにスチレン系単量体を含んだグラフト
重合体をも含んでいる。ここでスチレン系単量体とは、
スチレンのほか、α−メチルスチレン、α−クロロスチ
レン等を含んでいる。共重合体の例は、スチレンと無水
マレイン酸との共重合体、スチレンとアクリロニトリル
との共重合体、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエ
ン共重合体等である。グラフト重合体の例はエチレン・
酢酸ビニル共重合体にスチレンをグラフト重合したよう
なものである。共重合体とグラフト重合体とは、その中
にスチレン系単量体を50重量%以上含むものでなけれ
ばならない。
【0016】スチレン系樹脂発泡体の形状は、平板に限
らない。発泡体は異形のものであってもよく、例えば箱
形を呈していて表面に窪みを持ったものであってもよ
い。また、発泡倍率にも格別限定がないが、好ましいの
は15〜50倍に発泡したものである。発泡体中の気泡
は均一であって微細であることが望ましい。とくに好ま
しい気泡の大きさは50〜300μmのものである。ま
た、気泡は独立した形状のものであることが好ましい。
【0017】この発明では、上記発泡体を被覆するの
に、23℃での窒素透過係数が5cc/m2 ・day・
atm以下のフィルムを用いることを必要としている。
このフィルムとしては色々なものを用いることができ
る。すなわち、合成樹脂の単層からなるフィルムのほ
か、合成樹脂の積層フィルム、これら合成樹脂フィルム
に金属もしくはシリカガラスを5〜50μmの厚さに蒸
着させた複合フィルム、金属箔などを用いることができ
る。フィルムを構成する合成樹脂としては、ポリ塩化ビ
ニリデン、ポリ塩化ビニル、エチレン・ビニルアルコー
ル共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィ
ン、ポリアクリロニトリル等からなるフィルムを用いる
ことができる。これらのフィルムは上記の窒素透過係数
が5cc/m2・day・atm以下を満足させるため
に20μm以上とすることが好ましい。また、発泡体と
の密着性を満足させるために150μm以下とすること
が好ましい。積層フィルムとしては、上記フィルムを貼
り合わせたものを用いることができる。金属箔として
は、アルミニウム、銀、銅等数拾μmの厚さにしたもの
を用いることができる。
【0018】発泡体の全表面を上記のフィルムで隙間な
く被覆するには、フィルムを袋又は箱の形(以下、これ
を合わせて単に袋という)に成形しておいて、この中に
発泡体を入れ袋の開口を接着剤で接着するのが好まし
い。袋としては、なるべく発泡体の表面に密接する形に
して、発泡体を入れたとき、発泡体と袋との間に大きな
隙間を生じないようにすることが好ましい。袋が発泡体
よりも大きいために、発泡体を袋内に入れたとき袋内に
大量の空気が残っているときには、袋の開口から残って
いる空気を吸い出すことが好ましい。このようにして、
残っている空気を僅かな量とすることで、袋を閉じた後
はこの僅かな残存空気は気泡内が未だ減圧状態にある発
泡体に吸収され、発泡体とフィルムは密着される。
【0019】袋の開口を閉じるには接着剤で接着するの
がよい。接着剤としては融点が60〜100℃の溶融し
易い接着性合成樹脂を用い、加熱して融着させることが
好ましい。これに適した合成樹脂としては、エチレン・
酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・エチルアク
リレート共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体が適
している。これらの樹脂はフィルムで袋を作る際にも接
着個所に用いることができる。
【0020】この発明では、発泡体が上述の特定の熱伝
導度の発泡剤を含み、発泡体中の空気体積率が45容量
%以下である間に、この発泡体を上述の特定の窒素透過
係数を持つフィルムで被覆することを必要とする。発泡
体の空気体積率が45容量%以下という状態でフィルム
を被覆するためには、予備発泡した発泡粒子をその発泡
粒子中の空気体積率が40容量%以下である間に、成形
発泡させることを必要とする。後述するように、例えば
ポリスチレンを発泡させた場合、予備発泡後約1時間以
内はこの状態にある。またこの状態にある発泡した粒子
を型に入れて発泡成形し、成形した発泡体を冷却して型
から取り出した後、約1時間以内は発泡体中の空気体積
率が45容量%以下となっている。この発明では発泡体
がこの状態のとき、フィルムで被覆して目的物の断熱材
とする。
【0021】
【物の発明の効果】この発明によると、20℃での熱伝
導率が0.015Kcal/m・h・℃以下の発泡剤を
含んだスチレン系樹脂の発泡体であって、その中での空
気体積率が45容量%以下に保たれている発泡体を用い
るので、発泡体の気泡中には空気が僅かしか含まれてお
らず、従って大量の熱伝導率の低い発泡剤が含まれてい
るから、発泡体の熱伝導率は、空気を大量に含んだ従来
の発泡体では達し得なかった熱伝導率0.02Kcal
/m・h・at20℃以下を満足できる。このような発
泡体の全表面を、23℃での窒素透過係数が5cc/m
2 ・day・atm以下のフィルムで隙間なく被覆した
ので、発泡体への空気とくに窒素の進入が抑制されると
ともに、発泡剤の逃散が押さえられ、従って発泡体は低
い熱伝導率を長く維持することができる。また、発泡成
形後、発泡体中の空気体積率が45容量%以下である間
に発泡体の全表面を隙間なくフィルムで被覆したので、
発泡体の気泡中は未だ減圧状態にあり、フィルムと発泡
体の間に介在した僅かな空気は発泡体に吸収されてフィ
ルムは発泡体に密着する。したがって、フィルムを接着
剤により発泡体に接着する必要がなく、断熱材として使
用した後、用済後この発泡体とフィルムを容易に分離す
ることができるので、特にかさばる発泡体を産業廃棄物
とせずに回収し再利用することができる。とりわけ、こ
の発明に係る断熱材は、熱伝導率が0.02Kcal/
m・h・at20℃以下という低い熱伝導率を長く保持
する点で顕著な効果をもたらすものである。
【0022】
【製造方法の発明の説明】製造方法の発明は、物の発明
の要件をそのまま使用する以外に、発泡性粒子を出発原
料とし、2度にわたって加熱発泡させ、1回目の加熱発
泡によって得られた発泡粒子中の空気体積率が40容量
%以下であることを要件にしているので、以下これらの
点について説明する。
【0023】この発明で用いられる発泡性粒子は、これ
までビーズ成形法で用いられて来たものと変わりがな
い。発泡性粒子は、粒径が0.1〜1mm程度の大きさ
のスチレン系樹脂粒子からなり、その中に1〜20重量
%の発泡剤を含んでいる。
【0024】発泡性粒子を加熱して予備発泡させるに
は、水蒸気が用いられる。予備発泡した粒子は、発泡剤
の含有量と加熱条件とによって嵩倍率15〜50倍に膨
れている。こうして得られた発泡粒子は、これまで少な
くとも一日、普通は数日間大気中に放置してのち、型に
入れて成形することとされて来た。この放置を一般に熟
成と呼んでいる。
【0025】実際には、熟成の間に発泡粒子中に空気が
進入すると考えられている。すなわち、発泡粒子は予備
発泡の直後に冷却されるため、気泡内で発泡剤が凝縮
し、その結果気泡内部が減圧となっているが、熟成の間
に気泡内へ空気が進入して、気泡内部が大気と等圧に戻
り、その結果型内での加熱によって再び発泡することと
なり、型内での成形が可能になると考えられている。
【0026】一般に空気は発泡剤よりも熱伝導率が遙か
に大きい。だから、この発明では、空気を発泡粒子内へ
僅かに導入しただけのときを選んで型内で成形すること
とし、これによって熱伝導率の低い発泡体を得ようとし
たのである。そのために、発泡粒子中の空気体積率が4
0容量%以下という要件を用いることとしたのである。
ここで40容量%という空気体積率の値は、低い熱伝導
率の発泡体を得るために、この発明者が実験に基づいて
必要だと考えた限界値である。
【0027】スチレン系樹脂の発泡性粒子を一次発泡さ
せたあとで、空気体積率が40容量%になるまでの時間
は、厳密に云うと樹脂の性質、発泡剤の種類、熟成の条
件などで異なる。例えば加圧した窒素ガスの下で熟成を
行えば、大気中で熟成するのに比べて短時間の間に空気
体積率が40容量%という値に達する。しかし、数分な
いし拾数分間熟成しただけでは、到底空気体積率40容
量%という状態には達しない。従って、空気体積率40
容量%以下という状態は、従来の熟成では到底得られな
かった状態である。
【0028】この発明では、発泡粒子を型に入れて再び
加熱し、粒子を融着させて発泡体を得て、この発泡体が
まだその中に45容量%以下という空気体積率を保持し
ている間に、この発泡体を窒素透過係数の小さいフィル
ムで被覆することとしている。こうして得られた発泡体
は熱伝導率が低いものとなっている。
【0029】
【方法の発明の効果】この発明によれば、20℃での熱
伝導率が0.015Kcal/m・h・℃以下の発泡剤
を含有する発泡性スチレン系樹脂粒子を加熱して一次発
泡させ、得られた発泡粒子中の空気体積率が40%以下
である間に、この発泡粒子を型に入れて再び加熱し融着
させて発泡体とするから、得られた発泡体は空気体積率
が確実に45%以下になっている。したがって、ビーズ
成形発泡で得られる発泡体としては、従来の発泡体の持
つ熱伝導率と比較して著しく低い0.02Kcal/m
・h・at20℃以下という熱伝導率を持っている。こ
うして得られた発泡体が45容量%以下の空気体積率を
維持している間に、窒素透過係数が5cc/m2・da
y・atm以下である、特にバリヤー性に優れたフィル
ムで全面被覆することとしたから、前述の物の発明の効
果として述べたように、得られた断熱材は従来の発泡体
では達し得なかった熱伝導率0.02Kcal/m・h
・at20℃以下という状態を長期にわたって持続する
ことができる。この発明はこのような優れた断熱材を製
造できる方法として有用である。
【0030】以下に実施例と比較例とを述べて、この発
明のすぐれている所以を具体的に明らかにする。
【0031】
【実施例1】この実施例では、樹脂としてポリスチレン
を用い、発泡剤としてCF3 CH2F(フロンHFC
134a)を用い、被覆フィルムとしてアルミラミネー
トフィルムを用いた。CF3 CH2 Fは20℃での熱伝
導率が0.0094Kcal/m・h・℃である。アル
ミラミネートフィルムは、厚み12ミクロンのポリエチ
レンテレフタレート(PET)フィルムの間に、厚み7
ミクロンのアルミニウム箔を挟んだものを用いた。この
ようなフィルムを以下ではPET(12)1Al箔
(7)/PET(12)と略記する。このアルミラミネ
ートフィルムは、23℃における窒素透過係数が0.1
cc/m2 ・day・atm(以下、この単位をCCと
略称する)であった。このラミネートフィルムを使っ
て、発泡成形体を入れる袋を作った。袋の接着部分は、
エチレン・酢酸ビニル共重合体のフィルムでヒートシー
ルした。
【0032】発泡性粒子は、次のようにして作った。ま
ず、オートクレーブ内にポリスチレン粒子を入れ、次い
でこれに発泡剤としてCF3 CH2 Fを90℃で34.
5kg/cm2 の圧力の下に48時間圧入して、発泡性
粒子を得た。この発泡性粒子は発泡剤を6.7重量%含
んでいた。
【0033】この発泡性粒子にゲージ0.7kg/cm
2 の水蒸気を30秒間接触させて発泡させ、0.055
g/cm3 の発泡粒子を得た。この発泡粒子を室温に3
分間放置しただけで、これを次の発泡成形の工程に移し
た。このときの発泡粒子中の空気体積率は19.1容量
%であった。
【0034】発泡成形は上記の発泡粒子を型に入れ、ゲ
ージ圧1.5kg/cm2 の水蒸気を30秒間吹き込
み、粒子を加熱して発泡させ一様な厚みの発泡板を作っ
た。こうして得た発泡成形体は0.035g/cm2
密度を持っていた。この発泡体を室温の空気中に3分間
放置し、発泡体中の空気体積率が19.6容量%を示し
たとき、これをアルミラミネートフィルムで作った袋に
入れ、袋の開口にエチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂
(以下、EVAと略称する)のフィルムを挟んで、開口
部を表面から加熱して共重合体を溶融し、いわゆるヒー
トシールにより開口を閉じた。こうしてこの発明に係る
断熱材を得た。
【0035】この断熱材はこのまま約30分間放置する
と、初め発泡体表面と袋の内面との間に存在していた僅
かな量の空気がすべて発泡体に吸収されて、袋が発泡体
表面に密着して一体構造となった。
【0036】この断熱材は、製造後1日経過したときの
熱伝導率が、20℃において、0.0181Kcal/
m・h・℃(以下この単位をKALと略称する)であ
り、空気体積率が19.6容量%(以下この単位をV%
と略称する)であり、製造後2ケ月経過したあとも同じ
熱伝導率、空気体積率を持っていた。これによって、こ
の断熱材のすぐれていることが確認された。製造2ヶ月
後、この断熱材を被覆しているフィルムの一部を刃物に
よって切断した。この切断部よりすぐに、発泡体とフィ
ルムの間に空気が侵入し密着は解放され、容易に発泡体
とフィルムを分離することができた。また、この発泡体
を粉砕し、押出機により再ペレット化したものは、ポリ
スチレン原料として再利用できるものであった。
【0037】
【実施例2】この実施例では、発泡剤として実施例1と
同じCF3 CH2 Fを用いたが、樹脂を変更してスチレ
ンが76重量%(以下、この単位をW%と略称する)、
アクリロニトリルが24W%の共重合体(AS)を用い
た。また、被覆用フィルムとしては、袋の形に加工する
に便利なように、内側面にEVAのフィルム(厚み35
ミクロン)を貼り合わせてPET(12)/Al箔
(7)/PET(12)/EVA(35)の積層フィル
ムとしたものを用いた。
【0038】発泡性粒子は、次のようにして作った。ま
ず、オートクレーブにAS粒子を入れ、次いでこれに発
泡剤を80℃で28.5kg/cm2 の圧力の下に48
時間圧入して、発泡性粒子とした。この発泡性粒子は発
泡剤を12.0W%含んでいた。
【0039】この発泡性粒子にゲージ圧0.3kg/c
2 の水蒸気を30秒間接触させて加熱発泡させ、真密
度が0.055g/cm3 の発泡した粒子を得て、室温
に3分間放置しただけで、これを次の発泡成形工程に移
した。このとき、発泡粒子中の空気体積率は11.9V
%であった。
【0040】発泡成形は、上記の発泡した粒子を型に入
れ、ゲージ圧0.7kg/cm2 の水蒸気を30秒間吹
き込み、粒子を加熱して発泡させ、発泡板とした。こう
して得た発泡成形体は0.035kg/cm3 の密度を
持っていた。この発泡体を室温の空気中に3分間放置
し、発泡体中の空気体積率が10.4V%を示したと
き、これを上記のアルミラミネートフィルムで作った袋
に入れた。この袋は、EVAのフィルムを内側にしてヒ
ートシールによって発泡体の形に合わせて作った。袋の
中に発泡体を入れたのち、袋の開口部をヒートシールし
て塞いだ。こうして、この発明に係る断熱材を得た。
【0041】この断熱材は、製造後30分を経過する
と、袋が発泡体に完全に密着して全体が一体のものとな
った。
【0042】この断熱材は、製造後1日経過したときの
熱伝導率が0.0174KALであり、空気体積率が1
0.4V%であった。製造後2ケ月経過した後も同じ熱
伝導率と空気体積率を持っていた。これによって、この
断熱材のすぐれていることが確認された。
【0043】
【実施例3】この実施例は、実施例1に準じて実施した
が、ただ予備発泡して得た発泡粒子の放置時間を3分か
ら30分に延長した点で実施例1と異なるだけとした。
【0044】発泡粒子の空気体積率は38.2V%であ
った。また、発泡成形体の空気体積率が38.7V%の
とき、これを実施例1で用いたのと同じフィルム製の袋
に入れ、開口をヒートシールによって閉じて、断熱材を
作った。
【0045】得られた断熱材は、製造後1日経過したと
きの熱伝導率が0.0195KALであり、空気体積率
が38.7V%であった。製造後2ケ月経過した時点で
も、熱伝導率は0.0195KALであり、空気体積率
は38.7V%であって、何れも変わらなかった。これ
によって、この断熱材のすぐれていることが確認され
た。
【0046】
【実施例4】この実施例は、実施例1に準じて実施した
が、ただ発泡成形体とした直後の放置時間を3分から3
0分に延長した点で、実施例1と異なるようにした。
【0047】発泡成形体の空気体積率が39.0V%の
とき、これを実施例1で用いたのと同じフィルム製の袋
に入れ、開口をヒートシールにより閉じて断熱材とし
た。
【0048】得られた断熱材は、製造後1日経過したと
きの熱伝導率が0.0196KALであり、空気体積率
が39.0V%であった。製造後2ケ月経過した時点で
も、これらの値は変わらなかった。これにより、この断
熱材のすぐれたいることが確認された。
【0049】
【実施例5】この実施例は、実施例1に準じて実施した
が、ただ発泡成形体を被覆するのに用いるフィルムを変
えて実施した。この実施例で用いたフィルムは、エチレ
ン・ビニルアルコール共重合体(20)/ポリエチレン
(20)の2層からなる積層フィルムであった。この2
層フィルムは23℃での窒素透過係数が0.017CC
であった。この2層フィルムをヒートシールによって袋
の形として発泡体を被覆するようにした。
【0050】実施例1で得られた発泡成形板を3分間空
気中に放置したのち、この発泡成形板を上記の袋に入
れ、開口をヒートシールによって閉じて断熱材とした。
この断熱材は、製造後30分経過したとき、袋を構成し
ているフィルムが発泡成形体に完全に密接していた。
【0051】得られた断熱材は、製造後1日経過したと
きの熱伝導率が0.0181KALであり、空気体積率
が19.6V%であった。製造後2ケ月経過した時点で
も、これらの値には変わりがなかった。これにより、こ
の断熱材は断熱性能のすぐれていることが確認された。
【0052】
【実施例6】この実施例は、実施例1に準じて実施した
が、ただ発泡成形体を被覆するのに用いるフィルムを変
えて実施した。この実施例で用いたフィルムは、ポリ塩
化ビニリデン(20)/EVA(20)からなる2層の
積層フィルムである。この2層フィルムは23℃での窒
素透過係数が1.2CCであった。この2層フィルムを
ヒートシールによって袋に加工した。
【0053】実施例1で得られた発泡成形体を3分間空
気中に放置したのち、この発泡体を上記の袋に入れ、開
口をヒートシールによって閉じて断熱材とした。この断
熱材は製造後30分経過したとき、袋が発泡体に完全に
密接していた。
【0054】得られた断熱材は、製造後1日経過したと
きの熱伝導率が0.0181KALであり、空気体積率
が19.6V%であった。これらの値は、断熱材の製造
後2ケ月経過した時点でも変わりがなかった。これによ
り、この断熱材はすぐれた断熱性を持っていることが確
認された。
【0055】
【実施例7】この実施例は、実施例1に準じて実施した
が、ただ予備発泡時の発泡倍率を変え、従ってまた発泡
成形体の発泡倍率が変わった点で、異なるだけとした。
【0056】予備発泡粒子の真密度を0.033g/c
3 とし、発泡成形体の密度を0.021g/cm3
した。予備発泡粒子中の空気体積率は19.5V%であ
り、発泡成形体中の空気体積率は20V%であった。発
泡成形体の製造後3分間空気中に放置したのち、この発
泡体を実施例1で用いたと同じ袋に入れて開口を実施例
1と同様にヒートシールにより閉じて、断熱材とした。
【0057】得られた断熱材は、製造後1日経過したと
きの熱伝導率が0.0182KALであり、空気体積率
が20.0V%であった。これらの値は、断熱材製造後
2ケ月経過した時点でも変わらなかった。これにより、
この断熱材のすぐれていることが確認された。
【0058】
【実施例8】この実施例は実施例1に準じて実施した
が、ただ予備発泡時の発泡倍率を変え、従ってまた発泡
成形体の発泡倍率が変わった点で、異なるだけとした。
【0059】予備発泡粒子の真密度を0.110g/c
3 とし、発泡成形体の密度を0.070g/cm3
した。予備発泡粒子中の空気体積率は18.7V%であ
り、発泡成形体中の空気体積率は19.2V%であっ
た。発泡成形体の製造後3分間空気中に放置したのち、
この発泡体を実施例1で用いたと同じ袋に入れて、開口
を実施例1と同様にヒートシールにより閉じて断熱材と
した。
【0060】得られた断熱材は、製造後1日経過したと
きの熱伝導率が0.0184KALであり、空気体積率
が19.2V%であった。これらの値は、断熱材製造後
2ケ月経過した時点でも変わりがなかった。これによ
り、この断熱材がすぐれた断熱特性を持っていることが
確認された。
【0061】
【実施例9】この実施例は、実施例2に準じて実施した
が、ただ発泡剤を変更した点で異なるだけとした。すな
わち、樹脂としてスチレン・アクリロニトリル共重合体
を用い、発泡剤としてシクロペンタンを用いて発泡性粒
子を作り、これを用いた点で異なるだけで、その他は実
施例2と全く同様に実施した。シクロペンタンは、20
℃における熱伝導率が0.0095Kcal/m・h・
℃である。
【0062】得られた断熱材は、製造後1日経過したと
きの熱伝導率が0.0195KALであり、空気体積率
が20.3V%であった。これらの値は、断熱材製造後
2ケ月経過した時点でも変わりがなかった。これによ
り、この断熱材がすぐれた断熱特性を持っていることが
確認された。
【0063】
【実施例10】この実施例は、実施例1に準じて実施し
たが、ただ発泡成形体の形状を図1に示したような異形
にした点で異なるだけとした。
【0064】得られた断熱材は、製造後30分経過した
とき被覆フィルムが発泡体に完全に密着した。この断熱
材の熱伝導率を測定するには、図2に示したように、2
個組み合わせて全体の厚みを等しくして測定した。製造
後1日経過したときの熱伝導率は0.0181KALで
あり、空気体積率は19.6V%であった。これらの値
は断熱材の製造後2ケ月経過した時点でも変わりがなか
った。これにより、この断熱材がすぐれた断熱特性を持
っていることが確認された。
【0065】このように異形の発泡成形体をフィルムが
完全に密着した状態に被覆できる点で、この発明の効果
は顕著である。
【0066】
【比較例1】この比較例は実施例1に準じて実施した
が、ただ予備発泡後に空気中に放置する時間を長くし
て、予備発泡粒子中の空気体積率が50V%を越えるよ
うにし、そのために放置時間を2時間にした。
【0067】すなわち、実施例1において予備発泡した
粒子を2時間空気中に放置したところ、発泡粒子中の空
気体積率は50V%となった。この発泡粒子を実施例1
と同様に処理して一様な厚みの発泡板を得た。この発泡
板を製造後3分間空気中に放置したのち、実施例1と同
様にアルミラミネートフィルム製の袋に入れて開口を閉
じて断熱材とした。このときの発泡板の空気体積率は、
50.5V%であった。
【0068】この断熱材は製造後30分経過してのち漸
くフィルムが発泡体に密着した。
【0069】この断熱材は製造後1日経過したときの熱
伝導率が0.0021KALであり、空気体積率が5
0.5V%であった。これらの値は、断熱材の製造後2
ケ月経過した時点でも変わりはなかったが、初めから熱
伝導率が比較的大きかったので、断熱材として良好であ
るとは云えなかった。
【0070】
【比較例2】この比較例は実施例1に準じて実施した
が、ただ発泡成形して得られた発泡板を空気中に放置す
る時間を長くして、発泡板中の空気体積率が50V%を
越えるようにし、そのために放置時間を24時間とし
た。
【0071】すなわち、実施例1において、発泡成形し
て得られた発泡板を2時間空気中に放置したところ、発
泡板中の空気体積率は64.9V%となった。この発泡
板を実施例1と同様にアルミラミネートフィルム製の袋
に入れて開口を閉じ断熱材とした。
【0072】この断熱材は発泡板とアルミラミネートフ
ィルム製の袋の間に若干生じた隙間が残ったままで密着
することはなかった。
【0073】この断熱材は製造後1日経過したときの熱
伝導率が0.023KALであり、空気体積率が64.
9V%であった。これらの値は、断熱材の製造後2ケ月
経過した時点でも変わりがなかったが、初めから熱伝導
率が比較的大きかったので、断熱材として良好であると
は云えなかった。
【0074】
【比較例3】この比較例は実施例4に準じて実施した
が、ただ発泡板を被覆するフィルムに窒素透過係数の大
きいものを使用した点で異なることとした。この比較例
で使用したフィルムは、6−ナイロン(20)/ポリエ
チレン(20)の2層からなる積層フィルムである。こ
の積層フィルムの23℃における窒素透過係数は33C
Cであった。この積層フィルムで発泡板を入れる袋を作
った。
【0075】実施例4で得た発泡板を発泡成形後30分
間空気中に放置したのち、上記袋に入れ、ヒートシール
によって開口を塞いで断熱材とした。
【0076】この断熱材は、製造後30分間経過しての
ち、初めてフィルムが発泡体に密接した。
【0077】この断熱材は、製造後1日経過したときの
熱伝導率が0.020KALであり、空気体積率が3
9.0V%であった。この断熱材は、製造後2ケ月経過
した時点で、熱伝導率が0.023KALに増大し、空
気体積率が64.1V%に増大したので、熱伝導率の増
大が著しいために断熱材としては不良と認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明において使用できる異形の発泡成形体
の斜視図である。
【図2】図1に示した発泡成形から作られたこの発明に
係る断熱材の熱伝導率の測定態様を示した断面図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−24041(JP,A) 特開 昭59−106793(JP,A) 特開 昭59−12839(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16L 59/00 E04B 1/80

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 20℃での熱伝導率が0.015Kca
    l/m・h・℃以下の発泡剤を含んだスチレン系樹脂の
    発泡体が、45容量%以下の空気体積率を持つ間に、そ
    の発泡体の全表面を、23℃での窒素透過係数が5cc
    /m2 ・day・atm以下のフィルムで隙間なく被覆
    した、20℃での熱伝導率が0.02Kcal/m・h
    ・℃以下であることを特徴とする断熱材。
  2. 【請求項2】 20℃での熱伝導率が0.015Kca
    l/m・h・℃以下の発泡剤を含有する発泡性スチレン
    系樹脂粒子を加熱して予備発泡させ、得られた発泡粒子
    中の空気体積率が40容量%以下である間に、この発泡
    粒子を型に入れて再び加熱し発泡成形して発泡体とし、
    この発泡体中での空気体積率が45容量%以下である間
    に、この発泡体を23℃での窒素透過係数が5cc/m
    2 ・day・atm以下のフィルムで全面被覆すること
    を特徴とする、20℃での熱伝導率が0.02Kcal
    /m・h・℃以下である断熱材の製造方法。
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