JP3193235B2 - ダイヤモンド−タングステン複合膜付部材の製造方法 - Google Patents
ダイヤモンド−タングステン複合膜付部材の製造方法Info
- Publication number
- JP3193235B2 JP3193235B2 JP17823594A JP17823594A JP3193235B2 JP 3193235 B2 JP3193235 B2 JP 3193235B2 JP 17823594 A JP17823594 A JP 17823594A JP 17823594 A JP17823594 A JP 17823594A JP 3193235 B2 JP3193235 B2 JP 3193235B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- diamond
- tungsten
- film
- composite film
- base material
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)
- Chemical Vapour Deposition (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ダイヤモンド−タング
ステン複合膜付部材の製造方法に関するもので、特に、
加工用切削工具,スリッターナイフ等の産業用刃物、各
種の摺動部品、糸道,ガイドブッシュ等の耐摩耗部材、
各種測定機器用部品、精密加工用刃物、医療用器具、各
種電子素子、電子部品用放熱板等に最適なダイヤモンド
−タングステン複合膜付部材の製造方法に関するもので
ある。
ステン複合膜付部材の製造方法に関するもので、特に、
加工用切削工具,スリッターナイフ等の産業用刃物、各
種の摺動部品、糸道,ガイドブッシュ等の耐摩耗部材、
各種測定機器用部品、精密加工用刃物、医療用器具、各
種電子素子、電子部品用放熱板等に最適なダイヤモンド
−タングステン複合膜付部材の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来技術】ダイヤモンド等の超硬質材料は、従来大規
模な超高圧プレス装置により作成していたが、気相合成
法(CVD)によれば、これらの材料が簡便な方法によ
り得られることから、気相合成法によるダイヤモンド等
の超硬質材料は、今後、広範囲にわたる応用が期待され
ている(特開昭60−54995号公報等参照)。
模な超高圧プレス装置により作成していたが、気相合成
法(CVD)によれば、これらの材料が簡便な方法によ
り得られることから、気相合成法によるダイヤモンド等
の超硬質材料は、今後、広範囲にわたる応用が期待され
ている(特開昭60−54995号公報等参照)。
【0003】しかし、CVDによるダイヤモンド等の超
硬質膜は、例えば鉄系合金には全く付着しない。また、
窒化珪素や超硬合金からなる母材でも密着性が不十分で
剥がれが生じやすいという問題がある。そこでこの対策
としてシリコン基板上にダイヤモンド膜を形成し、しか
る後に、シリコン基板を除去し、ダイヤモンド膜を切り
出して超硬工具からなる母材にろう付けする事が提案さ
れている。
硬質膜は、例えば鉄系合金には全く付着しない。また、
窒化珪素や超硬合金からなる母材でも密着性が不十分で
剥がれが生じやすいという問題がある。そこでこの対策
としてシリコン基板上にダイヤモンド膜を形成し、しか
る後に、シリコン基板を除去し、ダイヤモンド膜を切り
出して超硬工具からなる母材にろう付けする事が提案さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、上記
ダイヤモンド膜を直接母材にろう付けする方法では、ダ
イヤモンドとろう材(例えば、Ag,Au−Sn等)と
の濡れ性が低いため、ダイヤモンド膜と母材との接合強
度が低く、例えば、短時間でダイヤモンド膜が母材から
脱落するという問題があった。また、この方法ではダイ
ヤモンドを厚くコーティングする必要があるため、結晶
粒子の大きさにバラツキがあり、性能のバラツキが大き
いという問題があった。
ダイヤモンド膜を直接母材にろう付けする方法では、ダ
イヤモンドとろう材(例えば、Ag,Au−Sn等)と
の濡れ性が低いため、ダイヤモンド膜と母材との接合強
度が低く、例えば、短時間でダイヤモンド膜が母材から
脱落するという問題があった。また、この方法ではダイ
ヤモンドを厚くコーティングする必要があるため、結晶
粒子の大きさにバラツキがあり、性能のバラツキが大き
いという問題があった。
【0005】そこで、ダイヤモンド膜と母材とを強固に
密着させることができれば、ダイヤモンド膜が広い範囲
で使用可能となり性能改善が期待できる。しかし、現状
では、上記のように母材との密着性を向上するには限界
があり、これらダイヤモンド等の超硬質膜が形成された
工具は未だ実用化されていないのが現状である。
密着させることができれば、ダイヤモンド膜が広い範囲
で使用可能となり性能改善が期待できる。しかし、現状
では、上記のように母材との密着性を向上するには限界
があり、これらダイヤモンド等の超硬質膜が形成された
工具は未だ実用化されていないのが現状である。
【0006】しかも、膜厚が厚いダイヤモンド膜を生成
する必要があったため、厚いダイヤモンド膜を生成する
ためのコスト(例えば電力費、装置費、製造に要する時
間)が増大し、総合的にみて従来のダイヤモンド膜を母
材に直接成膜する方法に対する優位性が認められなかっ
た。
する必要があったため、厚いダイヤモンド膜を生成する
ためのコスト(例えば電力費、装置費、製造に要する時
間)が増大し、総合的にみて従来のダイヤモンド膜を母
材に直接成膜する方法に対する優位性が認められなかっ
た。
【0007】即ち、本発明は、母材との接合強度を向上
することができるダイヤモンド−タングステン複合膜付
部材の製造方法を提供することを目的とする。
することができるダイヤモンド−タングステン複合膜付
部材の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【問題点を解決するための手段】本発明者等は、上記問
題点を鋭意検討した結果、CVD法により作成されたダ
イヤモンド質結晶の空隙中に、CVD法により金属タン
グステン及び炭化タングステンのうち少なくとも一種を
充填したダイヤモンド−タングステン複合膜を、接合膜
を介して母材にろう付けすることにより、母材との接合
強度を向上することができることを見出し、本発明に到
った。
題点を鋭意検討した結果、CVD法により作成されたダ
イヤモンド質結晶の空隙中に、CVD法により金属タン
グステン及び炭化タングステンのうち少なくとも一種を
充填したダイヤモンド−タングステン複合膜を、接合膜
を介して母材にろう付けすることにより、母材との接合
強度を向上することができることを見出し、本発明に到
った。
【0009】即ち、本発明のダイヤモンド−タングステ
ン複合膜付部材の製造方法は、基板の表面に、CVD法
によりダイヤモンド及びダイヤモンド状炭素のうち少な
くとも一種からなる緻密膜を形成した後、該緻密膜上
に、CVD法によりダイヤモンド及びダイヤモンド状炭
素のうち少なくとも一種からなるダイヤモンド質結晶を
形成し、このダイヤモンド質結晶間の空隙中にCVD法
により金属タングステン及び炭化タングステンのうち少
なくとも一種を充填させて、前記基体の表面にダイヤモ
ンド−タングステン複合膜を形成した後、該複合膜の表
面に、金属タングステン及び炭化タングステンのうち少
なくとも一種からなる接合膜を形成し、この接合膜面
を、部材を構成する母材にろう付けして前記基板を除去
するか、或いは、前記基板を除去した後前記接合膜面を
前記母材にろう付けする製造方法である。
ン複合膜付部材の製造方法は、基板の表面に、CVD法
によりダイヤモンド及びダイヤモンド状炭素のうち少な
くとも一種からなる緻密膜を形成した後、該緻密膜上
に、CVD法によりダイヤモンド及びダイヤモンド状炭
素のうち少なくとも一種からなるダイヤモンド質結晶を
形成し、このダイヤモンド質結晶間の空隙中にCVD法
により金属タングステン及び炭化タングステンのうち少
なくとも一種を充填させて、前記基体の表面にダイヤモ
ンド−タングステン複合膜を形成した後、該複合膜の表
面に、金属タングステン及び炭化タングステンのうち少
なくとも一種からなる接合膜を形成し、この接合膜面
を、部材を構成する母材にろう付けして前記基板を除去
するか、或いは、前記基板を除去した後前記接合膜面を
前記母材にろう付けする製造方法である。
【0010】本発明におけるダイヤモンド状炭素とは、
非常に緻密で高硬度であり、結晶粒界が見られず、規則
的な結晶構造を有する結晶質ダイヤモンドとは異なる構
造の炭素を意味する。また、ダイヤモンド及びダイヤモ
ンド状炭素のうち少なくとも一種からなるダイヤモンド
質結晶は、CVD(化学的気相合成法)により生成さ
れ、それ自体結晶粒子間に空隙を有するもので、その気
孔率は、5〜80%であり、膜厚は、1〜500μmで
あることが望ましい。
非常に緻密で高硬度であり、結晶粒界が見られず、規則
的な結晶構造を有する結晶質ダイヤモンドとは異なる構
造の炭素を意味する。また、ダイヤモンド及びダイヤモ
ンド状炭素のうち少なくとも一種からなるダイヤモンド
質結晶は、CVD(化学的気相合成法)により生成さ
れ、それ自体結晶粒子間に空隙を有するもので、その気
孔率は、5〜80%であり、膜厚は、1〜500μmで
あることが望ましい。
【0011】また、本発明のダイヤモンド−タングステ
ン複合膜付部材の製造方法は、ダイヤモンド質結晶間の
空隙中に金属タングステンまたは炭化タングステンを充
填することにより緻密化を図るものである。尚、炭化タ
ングステンとしてはWCやW2 Cが挙げられる。
ン複合膜付部材の製造方法は、ダイヤモンド質結晶間の
空隙中に金属タングステンまたは炭化タングステンを充
填することにより緻密化を図るものである。尚、炭化タ
ングステンとしてはWCやW2 Cが挙げられる。
【0012】また、上記ダイヤモンド−タングステン複
合膜をろう付けする母材としては、例えば、WCとコバ
ルト(Co)と周期律表第4a,5a,6a族元素の炭
化物,窒化物または炭窒化物とからなる超硬合金や、T
iCまたはTiCNとニッケル(Ni)またはCoと周
期律表第4a,5a,6a族元素の炭化物,窒化物また
は炭窒化物とからなるサーメットや、炭化ケイ素(Si
C)とホウ素と炭素とからなる炭化珪素質焼結体や、S
i3 N4 またはSiCと希土類元素酸化物とからなる炭
化珪素或いは窒化珪素質焼結体から構成されている。ま
た、母材は、鉄系合金,Ni系,Co系合金,ハイスな
どであっても良い。
合膜をろう付けする母材としては、例えば、WCとコバ
ルト(Co)と周期律表第4a,5a,6a族元素の炭
化物,窒化物または炭窒化物とからなる超硬合金や、T
iCまたはTiCNとニッケル(Ni)またはCoと周
期律表第4a,5a,6a族元素の炭化物,窒化物また
は炭窒化物とからなるサーメットや、炭化ケイ素(Si
C)とホウ素と炭素とからなる炭化珪素質焼結体や、S
i3 N4 またはSiCと希土類元素酸化物とからなる炭
化珪素或いは窒化珪素質焼結体から構成されている。ま
た、母材は、鉄系合金,Ni系,Co系合金,ハイスな
どであっても良い。
【0013】本発明により得られたダイヤモンド−タン
グステン複合膜は、ダイヤモンド及びダイヤモンド状炭
素のうち少なくとも一種と、金属タングステン及び炭化
タングステンのうち少なくとも一種からなるものである
が、このダイヤモンド−タングステン複合膜の少なくと
も一つの断面で金属タングステン,炭化タングステンが
網目状構造を形成するように、ダイヤモンド質結晶の間
の空隙を充填している。
グステン複合膜は、ダイヤモンド及びダイヤモンド状炭
素のうち少なくとも一種と、金属タングステン及び炭化
タングステンのうち少なくとも一種からなるものである
が、このダイヤモンド−タングステン複合膜の少なくと
も一つの断面で金属タングステン,炭化タングステンが
網目状構造を形成するように、ダイヤモンド質結晶の間
の空隙を充填している。
【0014】尚、ダイヤモンド質結晶は柱状に析出する
場合や粒子状に析出する場合がある。図1に網目状構造
を示す。図2,3に示すように網目状構造の一部を形成
する構造でも良い。図4に柱状のダイヤモンド質結晶の
隙間を金属タングステン,炭化タングステンが充填して
いる状態を示す。図1,2,3,4で符号1はダイヤモ
ンド質結晶、符号2は金属タングステン,炭化タングス
テン相である。
場合や粒子状に析出する場合がある。図1に網目状構造
を示す。図2,3に示すように網目状構造の一部を形成
する構造でも良い。図4に柱状のダイヤモンド質結晶の
隙間を金属タングステン,炭化タングステンが充填して
いる状態を示す。図1,2,3,4で符号1はダイヤモ
ンド質結晶、符号2は金属タングステン,炭化タングス
テン相である。
【0015】本発明により得られたダイヤモンド−タン
グステン複合膜付部材は、図5に示すようにダイヤモン
ド−タングステン複合膜3を母材4にろう付けしてなる
ものであるが、ダイヤモンド−タングステン複合膜3と
母材4との間に、図6に示すように、金属タングステ
ン,炭化タングステンのうち少なくとも一種からなる接
合膜5が介在していることが望ましい。接合膜5の膜厚
は0.3〜1000μmであることが望ましい。
グステン複合膜付部材は、図5に示すようにダイヤモン
ド−タングステン複合膜3を母材4にろう付けしてなる
ものであるが、ダイヤモンド−タングステン複合膜3と
母材4との間に、図6に示すように、金属タングステ
ン,炭化タングステンのうち少なくとも一種からなる接
合膜5が介在していることが望ましい。接合膜5の膜厚
は0.3〜1000μmであることが望ましい。
【0016】尚、母材と反対側のダイヤモンド−タング
ステン複合膜の表面には、図7に示すように、ダイヤモ
ンド及びダイヤモンド状炭素のうち少なくとも一種から
なる緻密膜7を0.2μm以上の厚みで形成しても良
い。この場合には、耐摩耗性、熱伝導性を向上すること
ができる。
ステン複合膜の表面には、図7に示すように、ダイヤモ
ンド及びダイヤモンド状炭素のうち少なくとも一種から
なる緻密膜7を0.2μm以上の厚みで形成しても良
い。この場合には、耐摩耗性、熱伝導性を向上すること
ができる。
【0017】そして、図8に示すように、ダイヤモンド
−タングステン複合膜3と母材4との間に接合膜5を形
成するとともに、母材4と反対側のダイヤモンド−タン
グステン複合膜3の表面に、ダイヤモンド及びダイヤモ
ンド状炭素のうち少なくとも一種からなる緻密膜7を形
成することが望ましい。
−タングステン複合膜3と母材4との間に接合膜5を形
成するとともに、母材4と反対側のダイヤモンド−タン
グステン複合膜3の表面に、ダイヤモンド及びダイヤモ
ンド状炭素のうち少なくとも一種からなる緻密膜7を形
成することが望ましい。
【0018】本発明のダイヤモンド−タングステン複合
膜付部材の製造は、図4に示したようにシリコン等から
なる基板8の表面に、CVD法によりダイヤモンド及び
ダイヤモンド状炭素のうち少なくとも一種からなるダイ
ヤモンド質結晶1を形成し、このダイヤモンド質結晶1
の間の空隙中にCVD法により金属タングステン及び炭
化タングステンのうち少なくとも一種を充填させて、基
板8の表面にダイヤモンド−タングステン複合膜3を形
成し、このダイヤモンド−タングステン複合膜3を母材
にろう付けしてシリコン等の基板8を除去するか、或い
は、シリコン等の基板8を除去した後ダイヤモンド−タ
ングステン複合膜3を母材にろう付けすることにより行
われる。
膜付部材の製造は、図4に示したようにシリコン等から
なる基板8の表面に、CVD法によりダイヤモンド及び
ダイヤモンド状炭素のうち少なくとも一種からなるダイ
ヤモンド質結晶1を形成し、このダイヤモンド質結晶1
の間の空隙中にCVD法により金属タングステン及び炭
化タングステンのうち少なくとも一種を充填させて、基
板8の表面にダイヤモンド−タングステン複合膜3を形
成し、このダイヤモンド−タングステン複合膜3を母材
にろう付けしてシリコン等の基板8を除去するか、或い
は、シリコン等の基板8を除去した後ダイヤモンド−タ
ングステン複合膜3を母材にろう付けすることにより行
われる。
【0019】また、ダイヤモンド−タングステン複合膜
3をシリコン等からなる基板8に生成した後、このダイ
ヤモンド−タングステン複合膜3の表面に、金属タング
ステン及び炭化タングステンのうち少なくとも一種から
なる接合膜5を形成し、この後、接合膜5を母材4にろ
う付けしてシリコン等の基板8を除去するか、或いは、
シリコン等の基板8を除去した後接合膜5を母材4にろ
う付けすることにより行われる。
3をシリコン等からなる基板8に生成した後、このダイ
ヤモンド−タングステン複合膜3の表面に、金属タング
ステン及び炭化タングステンのうち少なくとも一種から
なる接合膜5を形成し、この後、接合膜5を母材4にろ
う付けしてシリコン等の基板8を除去するか、或いは、
シリコン等の基板8を除去した後接合膜5を母材4にろ
う付けすることにより行われる。
【0020】
【作用】本発明の製造方法では、母材との接合強度が良
好なダイヤモンド−タングステン複合膜付部材を容易に
得ることができる。また、本発明の製造方法により得ら
れたダイヤモンド−タングステン複合膜付部材では、タ
ングステン,炭化タングステンがダイヤモンド質結晶を
包み込む事になり、ダイヤモンド質結晶とタングステ
ン,炭化タングステンとの接合強度が向上し、複合膜自
体の強度,靱性を向上することができる。
好なダイヤモンド−タングステン複合膜付部材を容易に
得ることができる。また、本発明の製造方法により得ら
れたダイヤモンド−タングステン複合膜付部材では、タ
ングステン,炭化タングステンがダイヤモンド質結晶を
包み込む事になり、ダイヤモンド質結晶とタングステ
ン,炭化タングステンとの接合強度が向上し、複合膜自
体の強度,靱性を向上することができる。
【0021】また、ダイヤモンド−タングステン複合膜
を母材にろう付けすると、タングステン,炭化タングス
テンとろう材(例えば、Ag,Au−Sn等)との濡れ
性が良好であるため、複合膜と母材との接合強度が向上
し、長時間の使用に耐えることができる。
を母材にろう付けすると、タングステン,炭化タングス
テンとろう材(例えば、Ag,Au−Sn等)との濡れ
性が良好であるため、複合膜と母材との接合強度が向上
し、長時間の使用に耐えることができる。
【0022】さらに、ダイヤモンド−タングステン複合
膜と母材との間に、金属タングステン及び炭化タングス
テンのうち少なくとも一種からなる接合膜を介在させる
ことにより、複合膜と母材との接合強度をさらに向上す
ることができる。また、ダイヤモンド−タングステン複
合膜の表面にダイヤモンドからなる緻密膜を形成するこ
とにより、耐摩耗性,熱伝導性,硬度等の特性を向上す
ることができる。
膜と母材との間に、金属タングステン及び炭化タングス
テンのうち少なくとも一種からなる接合膜を介在させる
ことにより、複合膜と母材との接合強度をさらに向上す
ることができる。また、ダイヤモンド−タングステン複
合膜の表面にダイヤモンドからなる緻密膜を形成するこ
とにより、耐摩耗性,熱伝導性,硬度等の特性を向上す
ることができる。
【0023】また、ダイヤモンドとタングステン,炭化
タングステンとは熱膨張率が近似しているので複合膜中
の内部応力を抑制することができ、また、CVD法によ
るタングステン,炭化タングステンの生成温度が低いた
めにダイヤモンドが分解することがない。
タングステンとは熱膨張率が近似しているので複合膜中
の内部応力を抑制することができ、また、CVD法によ
るタングステン,炭化タングステンの生成温度が低いた
めにダイヤモンドが分解することがない。
【0024】
【実施例】本発明のダイヤモンド−タングステン複合膜
付部材の製造方法を図面を用いて詳細に説明する。
付部材の製造方法を図面を用いて詳細に説明する。
【0025】図5は、本発明により得られたダイヤモン
ド−タングステン複合膜付部材を示すもので、母材4
は、例えば、WCとコバルト(Co)と周期律表第4
a,5a,6a族元素の炭化物,窒化物または炭窒化物
とからなる化合物から構成されている。この母材4の表
面には、ダイヤモンド−タングステン複合膜3がろう付
けされている。
ド−タングステン複合膜付部材を示すもので、母材4
は、例えば、WCとコバルト(Co)と周期律表第4
a,5a,6a族元素の炭化物,窒化物または炭窒化物
とからなる化合物から構成されている。この母材4の表
面には、ダイヤモンド−タングステン複合膜3がろう付
けされている。
【0026】ダイヤモンド−タングステン複合膜3は、
図4に示すように、先ず、公知の材料よりなる基板8に
CVD法によりダイヤモンド質結晶を成膜する。この時
の、これらの膜を成膜する基板8は、例えば、シリコ
ン,カーボン,チタン等の金属或いは窒化珪素、炭化珪
素等のセラミックス、炭素、ガラス等から形成され、任
意に選択できるが、成膜初期に於ける核生成の容易さや
後の工程における基板8の除去の容易さからシリコンか
らなる基板8が適している。
図4に示すように、先ず、公知の材料よりなる基板8に
CVD法によりダイヤモンド質結晶を成膜する。この時
の、これらの膜を成膜する基板8は、例えば、シリコ
ン,カーボン,チタン等の金属或いは窒化珪素、炭化珪
素等のセラミックス、炭素、ガラス等から形成され、任
意に選択できるが、成膜初期に於ける核生成の容易さや
後の工程における基板8の除去の容易さからシリコンか
らなる基板8が適している。
【0027】成膜にはマイクロ波プラズマCVD,熱フ
ィラメントCVD,ECRプラズマCVD、プラズマジ
ェット法など公知の方法が用いられるが、少なくとも一
部の工程で核生成密度を低くして、ダイヤモンド質結晶
1の間に隙間を生じさせることが重要である。このよう
なダイヤモンド質結晶1を成膜するには、例えば、EC
RプラズマCVD法では、装置内にSi基板を設置し、
最大強度2KGの磁場を印加するとともにマイクロ波出
力3〜5KW、基体温度700℃以下、装置内圧力0.
05〜0.5Torrの条件で成膜を行うことにより得
られる。尚、反応ガスはCH4 、CO2 、H2 を用い、
メタンの濃度は5%以下とする。また、基体温度、導入
ガス量、炉内圧力を調整することにより隙間のある膜を
作製することができる。
ィラメントCVD,ECRプラズマCVD、プラズマジ
ェット法など公知の方法が用いられるが、少なくとも一
部の工程で核生成密度を低くして、ダイヤモンド質結晶
1の間に隙間を生じさせることが重要である。このよう
なダイヤモンド質結晶1を成膜するには、例えば、EC
RプラズマCVD法では、装置内にSi基板を設置し、
最大強度2KGの磁場を印加するとともにマイクロ波出
力3〜5KW、基体温度700℃以下、装置内圧力0.
05〜0.5Torrの条件で成膜を行うことにより得
られる。尚、反応ガスはCH4 、CO2 、H2 を用い、
メタンの濃度は5%以下とする。また、基体温度、導入
ガス量、炉内圧力を調整することにより隙間のある膜を
作製することができる。
【0028】また、ダイヤモンド質結晶1からなる多孔
質膜の厚さや結晶構造(純粋なダイヤモンドやダイヤモ
ンド状炭素の割合)についても、基体温度、ガス濃度な
どにより任意に選択できる。性能と生産性との兼ね合い
からダイヤモンド−タングステン複合膜3の膜厚は0.
3〜100μmが適当である。
質膜の厚さや結晶構造(純粋なダイヤモンドやダイヤモ
ンド状炭素の割合)についても、基体温度、ガス濃度な
どにより任意に選択できる。性能と生産性との兼ね合い
からダイヤモンド−タングステン複合膜3の膜厚は0.
3〜100μmが適当である。
【0029】尚、最初に公知の方法で緻密なダイヤモン
ド膜をコーティングしたあと、ダイヤモンドの粒界をエ
ッチングして隙間を生じさせてもよい。エッチングは各
種の方法が用いられるが、例えば、Si基板上に成膜し
た緻密なダイヤモンド膜をO2 100%、0.1Tor
r、マイクロ波出力1KWのECRプラズマ中に設置
し、30分間エッチングを行う。その他のコーティング
方法を用いた場合でも、コーティングにより緻密なダイ
ヤモンド膜又はダイヤモンドとダイヤモンド状炭素との
混合膜を作製した後、炉内に微量の酸素または酸化性ガ
ス(CO2 など)を導入すれば、ダイヤモンドの粒界ま
たはダイヤモンド状炭素が選択的にエッチングされ、粒
子間に隙間のある膜が生成できる。
ド膜をコーティングしたあと、ダイヤモンドの粒界をエ
ッチングして隙間を生じさせてもよい。エッチングは各
種の方法が用いられるが、例えば、Si基板上に成膜し
た緻密なダイヤモンド膜をO2 100%、0.1Tor
r、マイクロ波出力1KWのECRプラズマ中に設置
し、30分間エッチングを行う。その他のコーティング
方法を用いた場合でも、コーティングにより緻密なダイ
ヤモンド膜又はダイヤモンドとダイヤモンド状炭素との
混合膜を作製した後、炉内に微量の酸素または酸化性ガ
ス(CO2 など)を導入すれば、ダイヤモンドの粒界ま
たはダイヤモンド状炭素が選択的にエッチングされ、粒
子間に隙間のある膜が生成できる。
【0030】また、最初に公知の方法で緻密なダイヤモ
ンド膜をコーティングしたあと、コーティング条件を変
更して粒子間に隙間を生じさせてもよい。この場合に
は、複合膜の表面に本発明の緻密膜を形成することがで
きる。
ンド膜をコーティングしたあと、コーティング条件を変
更して粒子間に隙間を生じさせてもよい。この場合に
は、複合膜の表面に本発明の緻密膜を形成することがで
きる。
【0031】そして、図4に示すように、上記のように
して作製した、ダイヤモンド質結晶1の隙間に、CVD
によりタングステン,炭化タングステン2を充填する。
して作製した、ダイヤモンド質結晶1の隙間に、CVD
によりタングステン,炭化タングステン2を充填する。
【0032】タングステンを充填するには、ダイヤモン
ド質結晶1を成膜した上記基板8を化学的気相合成(C
VD)装置内に収容し、このCVD装置内を温度250
〜1200℃に保持し、CVD装置内にハロゲン化タン
グステンと水素からなる混合ガスを導入する。必要に応
じて上記混合ガスにアルゴンやヘリウム等からなる不活
性ガスを添加しても良い。ハロゲン化タングステンとし
ては、室温で蒸気圧の高い六フッ化タングステンを用い
るのが最も好適である。また、炭化タングステンを充填
するには、上記混合ガスに炭素源として炭化水素ガスを
添加する。炭化水素ガスとしては、メタン、アセチレ
ン、ベンゼン等を挙げることができる。
ド質結晶1を成膜した上記基板8を化学的気相合成(C
VD)装置内に収容し、このCVD装置内を温度250
〜1200℃に保持し、CVD装置内にハロゲン化タン
グステンと水素からなる混合ガスを導入する。必要に応
じて上記混合ガスにアルゴンやヘリウム等からなる不活
性ガスを添加しても良い。ハロゲン化タングステンとし
ては、室温で蒸気圧の高い六フッ化タングステンを用い
るのが最も好適である。また、炭化タングステンを充填
するには、上記混合ガスに炭素源として炭化水素ガスを
添加する。炭化水素ガスとしては、メタン、アセチレ
ン、ベンゼン等を挙げることができる。
【0033】尚、微細な隙間を生じさせたダイヤモンド
膜にタングステンを侵入させるためには、ダイヤモンド
質結晶1を成膜した基板8を収容した上記CVD装置内
の圧力を低圧に保持した状態で、ハロゲン化タングステ
ンと水素からなる混合ガスを導入することが望ましい。
上記CVD装置内圧力は、性能と生産性との兼ね合いか
ら1〜760Torrが好適である。
膜にタングステンを侵入させるためには、ダイヤモンド
質結晶1を成膜した基板8を収容した上記CVD装置内
の圧力を低圧に保持した状態で、ハロゲン化タングステ
ンと水素からなる混合ガスを導入することが望ましい。
上記CVD装置内圧力は、性能と生産性との兼ね合いか
ら1〜760Torrが好適である。
【0034】次いで、ダイヤモンド−タングステン複合
膜3のマスキングを行いシリコン等からなる基板8を酸
等で溶解除去する。基体8は機械的に剥離しても良い。
これにより、ダイヤモンド−タングステン複合膜3が得
られる。次にこれをレーザー等で所定形状にカットし、
その後に、図5に示したように、ダイヤモンド−タング
ステン複合膜3を母材4に銀ろう、もしくはその他のろ
う材でろう付けし、接合する。ろう付け終了後最終的な
加工を行い、本発明のダイヤモンド−タングステン複合
膜付部材を得る。シリコン等の基板の除去はダイヤモン
ド−タングステン複合膜3を母材4にろう付けした後行
っても良い。
膜3のマスキングを行いシリコン等からなる基板8を酸
等で溶解除去する。基体8は機械的に剥離しても良い。
これにより、ダイヤモンド−タングステン複合膜3が得
られる。次にこれをレーザー等で所定形状にカットし、
その後に、図5に示したように、ダイヤモンド−タング
ステン複合膜3を母材4に銀ろう、もしくはその他のろ
う材でろう付けし、接合する。ろう付け終了後最終的な
加工を行い、本発明のダイヤモンド−タングステン複合
膜付部材を得る。シリコン等の基板の除去はダイヤモン
ド−タングステン複合膜3を母材4にろう付けした後行
っても良い。
【0035】以上のように構成されたダイヤモンド−タ
ングステン複合膜付部材では、タングステン,炭化タン
グステンがダイヤモンド質結晶1を包み込む事になり、
ダイヤモンド質結晶1とタングステン2との接合強度が
向上し、複合膜3自体の強度を向上することができる。
また、タングステン,炭化タングステン2とろう材(例
えば、Ag,Au−Sn等)との濡れ性が良好であるた
め、複合膜3と母材4との接合強度が向上し、長時間の
使用に耐えることができる。
ングステン複合膜付部材では、タングステン,炭化タン
グステンがダイヤモンド質結晶1を包み込む事になり、
ダイヤモンド質結晶1とタングステン2との接合強度が
向上し、複合膜3自体の強度を向上することができる。
また、タングステン,炭化タングステン2とろう材(例
えば、Ag,Au−Sn等)との濡れ性が良好であるた
め、複合膜3と母材4との接合強度が向上し、長時間の
使用に耐えることができる。
【0036】しかも、ダイヤモンドとタングステン,炭
化タングステンとは熱膨張率が近似しているので複合膜
3の内部応力を抑制することができ、またタングステ
ン,炭化タングステンの生成温度が低いためにダイヤモ
ンドが分解することがない。
化タングステンとは熱膨張率が近似しているので複合膜
3の内部応力を抑制することができ、またタングステ
ン,炭化タングステンの生成温度が低いためにダイヤモ
ンドが分解することがない。
【0037】本発明の他の実施例を図6を用いて説明す
る。
る。
【0038】図6は、本発明により得られたダイヤモン
ド−タングステン複合膜付部材を示すもので、ダイヤモ
ンド−タングステン複合膜3と母材4との間には、金属
タングステン及び炭化タングステンのうち少なくとも一
種からなる接合膜5が介在されている。
ド−タングステン複合膜付部材を示すもので、ダイヤモ
ンド−タングステン複合膜3と母材4との間には、金属
タングステン及び炭化タングステンのうち少なくとも一
種からなる接合膜5が介在されている。
【0039】この接合膜5は、以下のようにして形成さ
れる。先ず、基板8の表面に形成されたダイヤモンド−
タングステン複合膜3に、タングステン,炭化タングス
テンの少なくとも一種からなる膜を成膜する。成膜に際
しては公知の方法が使用できる。例えば、Wを成膜する
例について説明すると、ダイヤモンド−タングステン複
合膜3の付着した基板8を化学的気相合成装置内に収容
し、この化学的気相合成装置内を温度250〜1200
℃に保持し、気相含浸装置内に混合したWF6+H2 ガス
を導入することにより、ダイヤモンド−タングステン複
合膜3の表面に、Wからなる膜が形成される。WF6 +
H2 ガスと同時にArガスやHeガス等の不活性ガスを
導入しても良い。WとCからなる膜を成膜する場合に
は、H2,WF6 のガスと同時にメタン,アセチレン,
ベンゼン等の炭素源となるガスを反応炉に導入する。タ
ングステンと炭素との化合物とは、WCやW2 C等があ
る。接合膜5の厚さは後の工程での取扱の容易さや強度
の関係から0.1〜5mm程度が好ましい。
れる。先ず、基板8の表面に形成されたダイヤモンド−
タングステン複合膜3に、タングステン,炭化タングス
テンの少なくとも一種からなる膜を成膜する。成膜に際
しては公知の方法が使用できる。例えば、Wを成膜する
例について説明すると、ダイヤモンド−タングステン複
合膜3の付着した基板8を化学的気相合成装置内に収容
し、この化学的気相合成装置内を温度250〜1200
℃に保持し、気相含浸装置内に混合したWF6+H2 ガス
を導入することにより、ダイヤモンド−タングステン複
合膜3の表面に、Wからなる膜が形成される。WF6 +
H2 ガスと同時にArガスやHeガス等の不活性ガスを
導入しても良い。WとCからなる膜を成膜する場合に
は、H2,WF6 のガスと同時にメタン,アセチレン,
ベンゼン等の炭素源となるガスを反応炉に導入する。タ
ングステンと炭素との化合物とは、WCやW2 C等があ
る。接合膜5の厚さは後の工程での取扱の容易さや強度
の関係から0.1〜5mm程度が好ましい。
【0040】このように、ダイヤモンド−タングステン
複合膜3と母材4との間に、金属タングステン及び炭化
タングステンのうち少なくとも一種からなる接合膜5を
介在させることにより、複合膜3と母材4との接合強度
を上記実施例よりもさらに向上することができる。
複合膜3と母材4との間に、金属タングステン及び炭化
タングステンのうち少なくとも一種からなる接合膜5を
介在させることにより、複合膜3と母材4との接合強度
を上記実施例よりもさらに向上することができる。
【0041】尚、本発明によれば、接合膜5を、その複
合膜3側に炭化タングステン膜を形成して構成しても良
い。接合膜5の複合膜3側に炭化タングステン膜を形成
するには、例えば、複合膜3を形成した後、WF6 +H
2 ガスと同時にメタン,アセチレン,ベンゼン等の炭素
源となるガスを反応炉に導入して炭化タングステン膜を
形成し、その後、WF6 +H2 ガスを反応炉内に導入す
ることにより形成される。このようにすれば、接合膜5
と複合膜3からなる多層膜の強度が高くなり性能が向上
するだけでなく、複合膜3と接合膜5との密着性が向上
する。
合膜3側に炭化タングステン膜を形成して構成しても良
い。接合膜5の複合膜3側に炭化タングステン膜を形成
するには、例えば、複合膜3を形成した後、WF6 +H
2 ガスと同時にメタン,アセチレン,ベンゼン等の炭素
源となるガスを反応炉に導入して炭化タングステン膜を
形成し、その後、WF6 +H2 ガスを反応炉内に導入す
ることにより形成される。このようにすれば、接合膜5
と複合膜3からなる多層膜の強度が高くなり性能が向上
するだけでなく、複合膜3と接合膜5との密着性が向上
する。
【0042】また、図7に示すように、母材4と反対側
のダイヤモンド−タングステン複合膜3の表面に、ダイ
ヤモンド及びダイヤモンド状炭素のうち少なくとも一種
からなる緻密膜7を0.2μm以上の厚みで形成しても
良い。この場合には耐摩耗性および熱伝導性を向上する
ことができる。緻密膜7の厚さは、耐摩耗性向上のため
には2〜10μm、熱伝導性向上のためには10〜10
0μm程度が良い。
のダイヤモンド−タングステン複合膜3の表面に、ダイ
ヤモンド及びダイヤモンド状炭素のうち少なくとも一種
からなる緻密膜7を0.2μm以上の厚みで形成しても
良い。この場合には耐摩耗性および熱伝導性を向上する
ことができる。緻密膜7の厚さは、耐摩耗性向上のため
には2〜10μm、熱伝導性向上のためには10〜10
0μm程度が良い。
【0043】本発明者等は、本発明の効果を確認すべ
く、ダイヤモンド−タングステン複合膜を、必要に応じ
てWやWとCの化合物からなる接合膜を介して、超硬合
金からなる母材にろう付けする実験を行った。そして、
母材との接合時におけるろう付け歩留りを測定するとと
もに、ダイヤモンド−タングステン複合膜が取り付けら
れた工具により切削試験を行った。図9は、この工具を
示す。図9において、符号4は超硬合金からなる母材
(工具本体)を示すもので、この母材4には、本発明の
ダイヤモンド−タングステン複合膜3が、Agろうによ
りろう付けされている。複合膜3と母材4との間には接
合膜5が形成され、複合膜3の表面には、ダイヤモンド
からなる緻密膜7が形成されている。
く、ダイヤモンド−タングステン複合膜を、必要に応じ
てWやWとCの化合物からなる接合膜を介して、超硬合
金からなる母材にろう付けする実験を行った。そして、
母材との接合時におけるろう付け歩留りを測定するとと
もに、ダイヤモンド−タングステン複合膜が取り付けら
れた工具により切削試験を行った。図9は、この工具を
示す。図9において、符号4は超硬合金からなる母材
(工具本体)を示すもので、この母材4には、本発明の
ダイヤモンド−タングステン複合膜3が、Agろうによ
りろう付けされている。複合膜3と母材4との間には接
合膜5が形成され、複合膜3の表面には、ダイヤモンド
からなる緻密膜7が形成されている。
【0044】ろう付け歩留りの試験は、ろう付けをアル
ゴンガス中、短時間の加熱により行い、10個の工具に
おいてろう材の付着の完全さなどを外観からチェック
し、完全なものの割合を求めることにより行った。
ゴンガス中、短時間の加熱により行い、10個の工具に
おいてろう材の付着の完全さなどを外観からチェック
し、完全なものの割合を求めることにより行った。
【0045】また、切削試験は、5個の工具を用い、ア
ルミニウム−シリコン合金を、切り込み2mm、送り
0.2mm、切削速度400mm/minで切削して、
切削後の複合膜の剥離をチェックした。これらの結果を
表1に示す。
ルミニウム−シリコン合金を、切り込み2mm、送り
0.2mm、切削速度400mm/minで切削して、
切削後の複合膜の剥離をチェックした。これらの結果を
表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】尚、表1におけるa部厚さ、b部厚さ、c
部厚さとは、図10に示すように、それぞれ緻密膜7、
ダイヤモンド−タングステン複合膜3、接合膜5の厚み
をいう。また、表1において網目構造の有無とは、図1
の構造を有するか否かを示すものである。尚、網目構造
は図2,図3に示すものであっても良い。
部厚さとは、図10に示すように、それぞれ緻密膜7、
ダイヤモンド−タングステン複合膜3、接合膜5の厚み
をいう。また、表1において網目構造の有無とは、図1
の構造を有するか否かを示すものである。尚、網目構造
は図2,図3に示すものであっても良い。
【0048】表1により、本発明品はろう付け歩留りや
切削後における剥離も良好であった。試料No.18は複
合膜を形成するのにダイヤモンド状炭素を用い、他の試
料はダイヤモンドを用いた。また、試料No.19は複合
膜を形成するのに炭化タングステンを用い、他の試料は
タングステンを用いた。さらに、試料No.20は接合膜
が炭化タングステンであり、試料No.18,21は、接
合膜をW膜とWC膜により構成したものであり、他の試
料はタングステンである。また、試料No.1は緻密膜が
ダイヤモンド状炭素であり、他の試料はダイヤモンドを
用いた。
切削後における剥離も良好であった。試料No.18は複
合膜を形成するのにダイヤモンド状炭素を用い、他の試
料はダイヤモンドを用いた。また、試料No.19は複合
膜を形成するのに炭化タングステンを用い、他の試料は
タングステンを用いた。さらに、試料No.20は接合膜
が炭化タングステンであり、試料No.18,21は、接
合膜をW膜とWC膜により構成したものであり、他の試
料はタングステンである。また、試料No.1は緻密膜が
ダイヤモンド状炭素であり、他の試料はダイヤモンドを
用いた。
【0049】尚、試料No,23はダイヤモンド膜を超硬
合金からなる基体にコーティングした例である。
合金からなる基体にコーティングした例である。
【0050】図11に、本発明により得られたダイヤモ
ンド−タングステン複合膜付部材をダイスに適用した図
を示す。
ンド−タングステン複合膜付部材をダイスに適用した図
を示す。
【0051】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、母
材との接合強度を向上することができるダイヤモンド−
タングステン複合膜付部材を容易に得ることができる。
また、本発明により得られた複合膜付部材では、タング
ステン,炭化タングステンがダイヤモンド質結晶を包み
込む事になり、ダイヤモンド質結晶とタングステン,炭
化タングステンとの接合強度が向上し、複合膜自体の強
度,靱性を向上することができるとともに、複合膜と母
材との接合強度が向上し、長時間の使用に耐えることが
できる。さらに、複合膜と母材との間に、金属タングス
テン及び炭化タングステンのうち少なくとも一種からな
る接合膜を介在させることにより、複合膜と母材との接
合強度をさらに向上することができる。
材との接合強度を向上することができるダイヤモンド−
タングステン複合膜付部材を容易に得ることができる。
また、本発明により得られた複合膜付部材では、タング
ステン,炭化タングステンがダイヤモンド質結晶を包み
込む事になり、ダイヤモンド質結晶とタングステン,炭
化タングステンとの接合強度が向上し、複合膜自体の強
度,靱性を向上することができるとともに、複合膜と母
材との接合強度が向上し、長時間の使用に耐えることが
できる。さらに、複合膜と母材との間に、金属タングス
テン及び炭化タングステンのうち少なくとも一種からな
る接合膜を介在させることにより、複合膜と母材との接
合強度をさらに向上することができる。
【0052】また、ダイヤモンド−タングステン複合膜
の表面にダイヤモンドからなる緻密膜を形成することに
より、耐摩耗性等の特性を向上することができる。
の表面にダイヤモンドからなる緻密膜を形成することに
より、耐摩耗性等の特性を向上することができる。
【図1】本発明により得られたダイヤモンド−タングス
テン複合膜の一断面における網目状構造を示す図であ
る。
テン複合膜の一断面における網目状構造を示す図であ
る。
【図2】本発明により得られたダイヤモンド−タングス
テン複合膜の一断面における網目状構造の一部を形成す
る構造を示す図である。
テン複合膜の一断面における網目状構造の一部を形成す
る構造を示す図である。
【図3】本発明により得られたダイヤモンド−タングス
テン複合膜の一断面における網目状構造の一部を形成す
る構造を示す図である。
テン複合膜の一断面における網目状構造の一部を形成す
る構造を示す図である。
【図4】ダイヤモンド質結晶の間に金属タングステン,
炭化タングステンが充填されている状態を示す斜視図で
ある。
炭化タングステンが充填されている状態を示す斜視図で
ある。
【図5】ダイヤモンド−タングステン複合膜付部材を示
す図である。
す図である。
【図6】ダイヤモンド−タングステン複合膜付部材と母
材との間に接合膜を形成した図である。
材との間に接合膜を形成した図である。
【図7】ダイヤモンド−タングステン複合膜の表面に緻
密膜を形成した図である。
密膜を形成した図である。
【図8】ダイヤモンド−タングステン複合膜付部材と母
材との間に接合膜を形成し、ダイヤモンド−タングステ
ン複合膜の表面に緻密膜を形成した図である。
材との間に接合膜を形成し、ダイヤモンド−タングステ
ン複合膜の表面に緻密膜を形成した図である。
【図9】本発明により得られたダイヤモンド−タングス
テン複合膜付部材を工具に適用した状態を示す斜視図で
ある。
テン複合膜付部材を工具に適用した状態を示す斜視図で
ある。
【図10】図9のダイヤモンド−タングステン複合膜近
傍を拡大して示す図である。
傍を拡大して示す図である。
【図11】本発明により得られたダイヤモンド−タング
ステン複合膜付部材をダイスに適用した図である。
ステン複合膜付部材をダイスに適用した図である。
1・・・ダイヤモンド質結晶 2・・・タングステン,炭化タングステン 3・・・ダイヤモンド−タングステン複合膜 4・・・母材 5・・・接合膜 7・・・緻密膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石橋 孝幸 山口県宇部市大字沖宇部5253番地 セン トラル硝子株式会社 宇部研究所内 (72)発明者 徳永 敦之 山口県宇部市大字沖宇部5253番地 セン トラル硝子株式会社 宇部研究所内 審査官 今村 亘 (56)参考文献 特開 平6−184750(JP,A) 特開 平6−79503(JP,A) 特開 平7−237996(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23P 15/28 B23B 27/14 C23C 16/00 - 16/56
Claims (1)
- 【請求項1】基板の表面に、CVD法によりダイヤモン
ド及びダイヤモンド状炭素のうち少なくとも一種からな
る緻密膜を形成した後、該緻密膜上に、CVD法により
ダイヤモンド及びダイヤモンド状炭素のうち少なくとも
一種からなるダイヤモンド質結晶を形成し、このダイヤ
モンド質結晶間の空隙中にCVD法により金属タングス
テン及び炭化タングステンのうち少なくとも一種を充填
させて、前記基体の表面にダイヤモンド−タングステン
複合膜を形成した後、該複合膜の表面に、金属タングス
テン及び炭化タングステンのうち少なくとも一種からな
る接合膜を形成し、この接合膜面を、部材を構成する母
材にろう付けして前記基板を除去するか、或いは、前記
基板を除去した後前記接合膜面を前記母材にろう付けす
ることを特徴とするダイヤモンド−タングステン複合膜
付部材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17823594A JP3193235B2 (ja) | 1994-07-29 | 1994-07-29 | ダイヤモンド−タングステン複合膜付部材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17823594A JP3193235B2 (ja) | 1994-07-29 | 1994-07-29 | ダイヤモンド−タングステン複合膜付部材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0839362A JPH0839362A (ja) | 1996-02-13 |
JP3193235B2 true JP3193235B2 (ja) | 2001-07-30 |
Family
ID=16044962
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17823594A Expired - Fee Related JP3193235B2 (ja) | 1994-07-29 | 1994-07-29 | ダイヤモンド−タングステン複合膜付部材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3193235B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB9926305D0 (en) * | 1999-11-05 | 2000-01-12 | De Beers Ind Diamond | Coating of ultra-hard materials |
US9194189B2 (en) | 2011-09-19 | 2015-11-24 | Baker Hughes Incorporated | Methods of forming a cutting element for an earth-boring tool, a related cutting element, and an earth-boring tool including such a cutting element |
-
1994
- 1994-07-29 JP JP17823594A patent/JP3193235B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0839362A (ja) | 1996-02-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5391422A (en) | Diamond- or Diamond-like carbon-coated hard materials | |
US5197651A (en) | Bonding tool | |
JPH0535221B2 (ja) | ||
JPH05148068A (ja) | ダイヤモンドまたはダイヤモンド状炭素被覆硬質材料 | |
US6268045B1 (en) | Hard material coating of a cemented carbide or carbide containing cermet substrate | |
JP2628601B2 (ja) | ダイアモンド被覆超硬合金および超硬合金のダイアモンド被覆方法 | |
JPH0791651B2 (ja) | ダイヤモンド被覆炭化タングステン基超硬合金製切削工具チツプ | |
JP3193235B2 (ja) | ダイヤモンド−タングステン複合膜付部材の製造方法 | |
JP3152861B2 (ja) | ダイヤモンド複合部材およびその製造方法 | |
JP3380294B2 (ja) | 超硬質膜付工具及びその製造方法 | |
JP3346654B2 (ja) | ダイヤモンド−タングステン複合膜付部材 | |
EP0469204A1 (en) | Method for vapour deposition of diamond film | |
JP3260986B2 (ja) | ダイヤモンド複合膜付部材 | |
JPH04157157A (ja) | 人工ダイヤモンド被覆材の製造方法 | |
EP0560287A1 (en) | Diamond cutting tool and method of manufacturing the same | |
JP3314119B2 (ja) | ダイヤモンド複合部材及びその製造方法 | |
JPS61261480A (ja) | ダイヤモンド被覆部材 | |
JPH04263074A (ja) | ダイヤモンドまたはダイヤモンド状炭素被覆硬質材料 | |
JP3235206B2 (ja) | ダイヤモンド切削工具およびその製造方法 | |
JP3134378B2 (ja) | ダイヤモンド被覆硬質材料 | |
JPH0671503A (ja) | ダイヤモンド切削工具およびその製造方法 | |
JPH04261703A (ja) | 多結晶ダイヤモンド切削工具 | |
JPH11193479A (ja) | 耐剥離性に優れたダイヤモンド膜被覆硬質部材 | |
JPH05239646A (ja) | ダイヤモンド被覆部材の製造方法 | |
JP3193259B2 (ja) | 切削工具およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090525 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090525 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100525 Year of fee payment: 9 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |