JP3192653B2 - 廃てんぷら油の固化方法 - Google Patents

廃てんぷら油の固化方法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、廃てんぷら油の固化方法に関する。
〔従来の技術と発明が解決しようとする課題〕 従来、家庭で用いられるてんぷら油の処理剤として
は、吸油性の大きい濾紙(パルス製品)や、80℃以上に
加温した油に添加して寒天状に固めるゲル化剤が商品と
して市販されている。
しかしながら、ゲル化剤を使用して寒天状に固める方
法については、80℃以上に加熱する必要があるという操
作上の煩雑さと共に、寒天状に固まったとはいえ湯のし
み出しや油汚れの問題が解決したわけでなく、家庭内で
廃てんぷら油を処理するには十分なものではなかった。
一方、廃てんぷら油の処分については、下水道や河川
への不法投棄などがあり、水質汚濁防止上及び環境保全
上の問題点として指摘されているにも拘わらず有効な対
策もないままに推移しているのが実情である。このよう
な状況に対して廃てんぷら油を回収して固形せっけんと
して再利用する運動もあるが、経済性の点などであまり
普及するに至っていない。また、油を水中に乳化させれ
ばその乳化状態によっては焼石膏で固化できることも考
えられるが、家庭内で乳化専用のかきまぜ装置を用意す
るには、簡便性や経済性の点から普及に難点がある。
そこで、本発明は、上述の問題点を解決して、経済的
に低コストで家庭内でも簡便に行える廃てんぷら油の固
化方法を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、上述の目的を達成するために、廃てんぷら
油に対し、水の50〜150重量%と、焼石膏に対しパーラ
イトの粉末乃至顆粒の1〜50重量%を配合した固化剤の
100〜300重量%と、を加え、乳化の操作工程を経ること
なく、これらの混合物をかきまぜるものである。
また、廃てんぷら油に対し、水の50〜150重量%と、
焼石膏に対しケイ藻土の粉末乃至顆粒の1〜50重量%を
配合した固化剤の100〜300重量%と、を加え、乳化の操
作工程を経ることなく、これらの混合物をかきまぜるも
のである。
〔作 用〕
焼石膏に吸油能を有するパーライト又はケイ藻土を配
合した固化剤と、水とを、単に廃てんぷら油に加えて常
温でかきまぜるだけで、廃てんぷら油を乳化させること
なく固化できる。
〔実施例〕
以下、本発明の廃てんぷら油の固化方法を説明する。
本発明で用いる焼石膏としては、硫酸カルシウムの二
水塩を加熱脱水して一水塩(CaSO4・H2O)又は半水塩
(CaSO4・1/22O)にした硫酸カルシウムが用いられ、そ
の製法及び粒度は特に制限はない。
次に、本発明で用いる無機化合物としてのパーライト
又はケイ藻土に関しては、自重量の50重量%以上の吸油
性をもった粉末乃至顆粒のものとされる。なお、吸油能
と経済性を勘案してパーライトとケイ藻土とを併用する
も良い。
ところで、上記焼石膏に対するパーライト又はケイ藻
土の混合比率は、廃てんぷら油の酸化の程度(色調や粘
度に現れる)及び望ましい固化した廃油処理物(固化
物)の硬軟の程度などに応じて、1〜50重量%の範囲内
で選択すれば良い。そして、適当な粉末混合機に上記混
合比率で焼石膏とパーライト又はケイ藻土を仕込み均一
に混合分散する常法で、固化剤を調製すれば良い。保存
は湿気を吸わない様にガスバリヤー性の袋を用いるのが
好ましい。なお、焼石膏に対するパーライト又はケイ藻
土の混合比率が、1重量%未満では、本発明の目的とす
る固形化に不十分なため、また、50重量%を越える量は
得られる固形物の硬度が低くなり、崩れ易いなど取扱い
上不利となるので本発明より除かれる。
しかして、本発明の廃てんぷら油の固化方法は、処理
すべき廃てんぷら油の3〜4倍の容量をもった容器に廃
てんぷら油を入れる。そして、廃てんぷら油に対して、
水の50〜150重量%と、上記固化剤の100〜300重量%
と、を加える。その後、乳化の操作工程を経ることな
く、これらの混合物をスプーンなどを用いてかきまぜ、
やや濃いめのスラリー状となしそのまま放置すれば良
い。これによって、約30〜120分で容器から型離れでき
る程度の一体化した固形物として得られる。なお、廃て
んぷら油に対して、水を加えた量が50重量%未満では油
のしみ出しがあり、150重量%を越える量では添加する
固化剤の使用量の増加をもたらし経済面で不利である。
また、廃てんぷら油に対して、固化剤を加えた量が100
重量%未満では固化するのに時間がかかりすぎ、300重
量%を越える量では固化の必要量以上になり無意味であ
った。なお、処理すべき廃てんぷら油が水を含むとき
は、水の上記添加量(50〜150重量%)はその含有水量
に応じて減らせば良い。
また、本発明を実施するに当たって、例えば、酸敗し
たてんぷら油などは悪臭を伴うことがあり、このような
廃てんぷら油は本発明の固化方法にて固化しても固化物
に悪臭が残り、その後の処理に困る場合が生じる。この
ような悪臭を伴う廃てんぷら油を処理する際は、固化剤
中に例えばグリオキザールなどの粉末状消臭剤を適量添
加したり、吸油性粉末(粉末乃至顆粒のパーライト又は
ケイ藻土)中に予め安定化二酸化塩素液などの液状消臭
剤を少量吸着させておいたり、あるいは添加する水に消
臭剤を予め溶解しておくなどの手段を採用すれば、得ら
れた固化物の悪臭発生を防止できる。さらに、本発明で
得られる固化物を例えば運搬取扱上、より強度を向上さ
せて崩れ難くするために、水硬性のセメント(例えばア
ルミナセメント)を1〜10重量%の範囲内で本発明に用
いる固化剤に混合したり、あるいは、固化物の焼却時の
燃焼性を向上させるために細断した布くずや易燃性プラ
スチック粒を固化剤中に固化性能を損わぬ範囲で添加し
ておくことは任意に行って良い。
〔発明の効果〕
本発明は、上述のように構成されているので、以下に
記載する顕著な効果を奏する。
加温や乳化操作などの工程が不要であり、常温でスプ
ーンなどでかきまぜるだけで廃てんぷら油を固化するこ
とができる。しかも、得られた固化物は、油のしみ出し
や油汚れの懸念もなく取扱えるので、可燃性ゴミとして
処理がし易くなった利点を有する。従って、下水道や河
川の汚染防止などの公害防止や環境浄化保全に貢献する
ことができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−150386(JP,A) 特開 昭59−193979(JP,A) 特公 昭38−2650(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C11B 15/00 C09K 3/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】廃てんぷら油に対し、水の50〜150重量%
    と、焼石膏に対しパーライトの粉末乃至顆粒の1〜50重
    量%を配合した固化剤の100〜300重量%と、を加え、乳
    化の操作工程を経ることなく、これらの混合物をかきま
    ぜることを特徴とする廃てんぷら油の固化方法。
  2. 【請求項2】廃てんぷら油に対し、水の50〜150重量%
    と、焼石膏に対しケイ藻土の粉末乃至顆粒の1〜50重量
    %を配合した固化剤の100〜300重量%と、を加え、乳化
    の操作工程を経ることなく、これらの混合物をかきまぜ
    ることを特徴とする廃てんぷら油の固化方法。
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