JP3189877U - 連続式二軸混練機 - Google Patents
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Abstract
【課題】化学、医療、電子、セラミック、食品、飼料その他の分野で用いられる固体/ 固体系、固体/液体系の処理材料を、ブレードのボス部への材料の固着やブツ、ダマ等を発生させることなく、短時間で混合、混練、捏和等できる連続式二軸混練機を提供する。【解決手段】バレル1内に二本の混練軸2を回転可能に収納する。混練軸には材料を前進方向に送る供給スクリュー7と、材料を混練しながら前進させる送りブレード8と、後退させる戻しブレード9が設けられている。送りブレード8と戻しブレード9は向かい合わせに組み合わされ、攪拌混練部ゾーン11と、硬練混練部ゾーン12と、希釈混練部ゾーン13にそれぞれ配置される。各ゾーンの間には開口部22を有する仕切り板21が設けられている。上記各ブレードは、ブレード径(d)とブレードの最大高さ(H)の比率がH/d=0.15〜0.25である。【選択図】図1
Description
本考案は化学、医療、電子、セラミック、食品、飼料その他の各種分野で使用されている固体/固体系、固体/液体系の処理材料を混合、混練、捏和等するための連続式二軸混練機に関するものである。
固体/固体系及び固体/液体系の油性、水性に限定されない処理材料を混合、混練、捏和等する場合、従来は二軸ミキサー(例えばプラネタリーミキサーなど、特許文献1参照)、三軸ミキサー(例えば低速ブレード3本を有するミキサー、低速ブレード2本と高速ブレード1本を有するミキサーなど、特許文献2参照)、四軸ミキサー(例えば低速及び高速ブレード各2本など)やニーダー等を用いてバッチ(回分)式で作業を行うことが多かった。このように縦型のバッチ式混練機で処理する方法は、タンク内で回転するブレードとタンクの内壁間において材料にズリ応力を与えているが、このズリ応力を作用させる機会は一瞬で非連続であり、遊星運動軌跡を持つ混練機の場合には、枠形のブレードが一回自転する際に2回作用するだけであった。
その上、下記のような問題があった。
1・・・仕込み時の粉体や混練時の処理材料が、容器(タンク)やブレード(羽根)に付着(固着)し、混練作業を中断して掻き落とす作業が必要である。
2・・・容器(タンク)などに飛散付着した材料が混練中に処理材料に混入して品質不良を起こす。
3・・・硬練り後の希釈工程では、徐々に希釈しないとブツやダマ(粉体の部分凝集)ができやすい。
4・・・混練能力は、ブレード(羽根)とタンク(容器)の近接(ズリ)回数に依存するが、近接回数が少なく、材料の持ち上がり現象もみられ、混練時間が長くかかる。
5・・・生産量の増大に対処するためには、機械を大型化する方法しかなく、設備費、設置スペースの拡大を余儀なくされる。
1・・・仕込み時の粉体や混練時の処理材料が、容器(タンク)やブレード(羽根)に付着(固着)し、混練作業を中断して掻き落とす作業が必要である。
2・・・容器(タンク)などに飛散付着した材料が混練中に処理材料に混入して品質不良を起こす。
3・・・硬練り後の希釈工程では、徐々に希釈しないとブツやダマ(粉体の部分凝集)ができやすい。
4・・・混練能力は、ブレード(羽根)とタンク(容器)の近接(ズリ)回数に依存するが、近接回数が少なく、材料の持ち上がり現象もみられ、混練時間が長くかかる。
5・・・生産量の増大に対処するためには、機械を大型化する方法しかなく、設備費、設置スペースの拡大を余儀なくされる。
チャンバー内に非円形断面の混練翼を有する二軸のローターを並列させて設け、これを回転して処理材料を溶解させ、連続的に排出しながら混練作業を行う装置も知られている(例えば特許文献3参照)。一般に、これらの装置は、熱を利用した高分子物質の溶解混練を目的としており、上記特許文献3に記載の混練装置は、ローターにフィード部、混練部及びディスチャージ部を設け、混練部に送り翼部と戻し翼部を軸方向に交互にそれぞれ二箇所以上配設し、混練翼とチャンバー内面との間および両ローターの混練翼相互の間のせん断作用により非混練材料をせん断、分散、拡散等している。しかし、この装置では、単に送り翼部と戻し翼部を交互に配設しているだけなので、充分な処理を受けることなく材料が前進してディスチャージ部から排出されてしまうものがあり、均質性のある混練効果が得れない。混練部を、チャンバー内周面に沿う円形断面部とこの円形断面部の軸方向の両側に位置する非円形断面部で構成した連続混練機も知られている(例えば特許文献4参照)。しかし、この特許文献4に記載の装置では、円形断面部では、未溶融材料のショートパスを防止しているだけであり、材料は隣接しているローター側を通って通過するから、材料中に発生するブツ、ダマ等の粉体の部分凝集を低減したり、粉・粒体の濡れを促進する効果は期待できない。また、従来の上記特許文献3、4等に記載の連続混練機は、チャンバーとローター間の間隙が比較的広く形成されているので、この間隙に入り込んだ材料はローターのボス部近くに固着して滞留を生じやすくなり、均一な混練作業をすることができないことがあった。
本考案の解決課題は、上記のような固体/固体系及び固体/液体系の処理材料を処理するに際し、ブツやダマの発生を防止し、密閉型として環境衛生上の問題点もなくし、各所に固着する材料の掻き取り作業等人手を要する作業をなくして均一混練を可能とし、高粘性ペーストを製造できるようにした連続式二軸混練機を提供することである。
上記のように、縦型のバッチ式混練機では、ブレードと容器(タンク)壁間で処理材料に与えられるズリ(せん断)応力は非連続ズリ(せん断)応力であるので、連続ズリ(せん断)応力を与えるよう材料を送りながら処理すれば、混練効率を高めることができる。さらに混練ゾーンを、前進型と後進型の形状を有するブレードを向かい合わせに組み合わせた一組のブレードの組合せとし、このブレードの組合せにより複数のゾーンを構成し、各ゾーンで的確に処理した材料を供給口から排出口側へ順次軸方向に前進させることによりブツ、ダマ等の粉体の部分凝集をなくした均一混練を可能にすることができる。
上記のような考究結果に基づき、本考案によれば、バレル内に処理材料を前進方向に送る供給スクリューと処理材料を混練しながら前進させる送りブレードと後退させる戻しブレードを有する混練軸を並列して設け、供給スクリューにより材料を前進方向へ送る材料供給部ゾーンを構成し、該材料供給部ゾーンから供給された材料を混練しながら前進させる上記送りブレードと後退させる上記戻しブレードを軸方向に向かい合わせに組み合わせ、この組み合わせた送りブレードと戻しブレードをそれぞれ具備する攪拌混練部ゾーン、硬練混練部ゾーン、希釈混練部ゾーンを順次設け、該攪拌混練部ゾーンと硬練混練部ゾーン間および硬練混練部ゾーンと希釈混練部ゾーン間に仕切り板を設け、該仕切り板に開口部を形成した連続式二軸混練機が提供され、上記課題が解決される。
そして、本考案によれば、上記各ブレードは、該ブレードを形成したブレード部材のボス部の径が太く、ブレード高さが低くなるようブレード径(d)とブレード最大高さ(H)の比率はH/d=0.15〜0.25であり、バレル壁とブレードの先端の間隙(C)は1〜10mmであり、該ブレードの断面は略六角形である上記連続式二軸混練機が提供される。
本考案は上記のように構成され、バレル内に処理材料を前進方向に送る供給スクリューと、混練しながら前進させる送りブレードと後退させる戻しブレードを有する混練軸を並列して設け、供給スクリューにより材料を前進方向へ送る材料供給部ゾーンを構成し、該材料供給部から供給された材料を混練しながら前進させる上記送りブレードと後退させる上記戻しブレードを軸方向に向かい合わせに組み合わせ、この組み合わせた送りブレードと戻しブレードをそれぞれ具備する攪拌混練部ゾーン、硬練混練部ゾーン、希釈混練部ゾーンを順次設け、該攪拌混練部ゾーンと硬練混練部ゾーン間および硬練混練部ゾーンと希釈混練部ゾーン間に仕切り板を設け、該仕切り板に開口部を形成したから、材料供給部ゾーンから送られた処理材料はバレルの壁とブレードの先端間で連続的にズリ応力を与えられて混練され、上記供給スクリューの送り作用により攪拌混練部ゾーン、硬練混練部ゾーン、希釈混練部ゾーンを順次通過する。そして、この際各ゾーンを仕切り板で区分したので、各ゾーン内で材料を左右方向に移動させて所望の状態に混合、混練、捏和できるから、例えば、硬練混練部で粘度が高い状態で混練すれば、大きなせん断力を材料に付与して練り込み効果を強化することができ、確実に所望の製品が短時間に得られる。そして、仕切り板を介して各ゾーン毎に所望の粘度に調整できるので、材料が前のゾーンに戻ることがなく、しかも、材料が仕切り板に形成した開口部を通過するときに圧縮・膨張、衝突・衝撃が材料に作用するので、粉体の部分的な凝集が解消され、ブツ、ダマ等の発生が低減し、粉・粒体の濡れが促進され、効率よく混練することができる。
また、本考案によれば、上記のようにブレード径(d)とブレード最大高さ(H)の比率をH/d=0.15〜0.25と定めることにより、ブレードの高さに対してブレードのボス部の径が比較的太く形成され、これによりバレル内壁とブレードの先端間の間隙は狭く形成される。そのため、この狭い間隙に順次押し込まれた材料を確実にとらえてよどみを生じることなくせん断応力を作用させることができ、均一に混合、混練、捏和させて混練効果を高めることができる。
図1、図2を参照し、本考案の連続式二軸混練機は、上下方向に開閉可能に構成したバレル(槽)1内に2本の混練軸2が並列状態で回転可能に収納されており、該混練軸2の一方に連結したモーター3及び回転を他方の混練軸に伝達する歯車(図示略)等を介して2本の混練軸は矢印方向(異方向)に回転する。該バレルの一端側には処理材料をバレル内に投入するためのホッパー4及び供給口5が形成され、他方側には処理された材料の排出口6が形成されている。
上記混練軸2には、処理材料を前進方向に送る供給スクリュー7と、混練しながら前進させる送りブレード8と、混練しながら後退させる戻しブレード9が設けられている。該供給スクリュー7は、供給口5から投入された処理材料を排出口6側へ前進させるよう螺旋状に形成され、材料供給部ゾーン10に配置されており、該スクリュー7が回転した際の送り量により処理材料の前進方向への移動量が調整される。なお、上記二軸式ブレードの回転形態は、二軸ブレードの重なりがなく、異なる方向に同じ速度で回転する非オーバーラップ型の異方向等速回転ブレードや、異なる方向に異なる速度(例えば1:2)で回転する異方向異速度回転ブレード(ディファレンシャル若しくはタンジェンシャル方式)がよい。
上記送りブレード8は材料を混練しながら前進方向に送り、戻しブレード9は材料を混練しながら後退方向に送る機能を有し、一組にして軸方向に向かい合わせに組み合わせ、バレルに形成した攪拌混練部ゾーン11、硬練混練部ゾーン12及び希釈混練部ゾーン13にそれぞれ配置されている。該送りブレード8と戻しブレード9は種々に構成することができる。図6、図7に示すブレード部材14、15は、捩れフィン型のブレードを有し、上記混練軸2に装着される略円筒状のボス部16の外周に右ねじれに形成した送りブレード8a(図6)と、左ねじれに形成した戻しブレード9a(図7)の形態を有している。このブレード8a、9aのねじれ角度(α)は約30°〜90°であり、断面形状は略六角形に形成されている。そして、該ブレードの先端部分のエッジ角度(θ)は、約30°〜60°程度であり、好ましくは約45°がよい。このような角度にすると、接線円運動において、30°以下、60°以上では運転動力が低く、約30°〜60°程度にすると、混練材料(処理材料)が食い込みやすくなるからである。
また、該ブレード8a、9aの先端部分のエッジ幅(b)は、約2mm〜10mm程度が好ましく、ブレード径(d)の約5%〜20%程度がよい。2mmより小さいと、バレル内壁では混練材料を介して線接触状態に近くなり、ズリ(せん断)応力が不足気味になる。10mmより大きいと、面接触状態となり、運転するために強力な動力が必要となるし、混練材料の温度コントロールも困難になるからである。
上記各ブレードのブレード径(d)とブレードの最大高さ(H)の比率は、H/d=約0.15〜0.25程度が好ましい。0.15より小さいとブレードの高さが低すぎ、混練材料をとらえて左右方向(前進、後退方向)へ材料を送る機能が弱くなって流れが少なくなり、0.25より大きいと、混練材料がボス部近くに滞留し、不安定な状態でブレードに固着し始めるからである。
上記各ブレードの先端とバレルの内壁間の間隙は、混練時間を短縮させ、連続してズリ応力を与えることができるようブレードの円周方向に一定のクリアランス(c)を保つように配置される。このクリアランス(c)は、約1mm〜10mm程度が好ましい。1mmより小さいと、混練材料が高粘度の場合、ブレードと混練材料が共回りしてしまい混練不足を招来する。また、10mmより大きいと、大型機であっても、バレル内壁とブレード先端間で速度差がゆるくなり、壁部に材料が固着し易く、材料固着により温度コントロールがむずかしくなって、全体として均一混練ができなくなるからである。
図8、図9はブレードの他の実施例を示し、このブレードは軸に対し前進角、後退角をつけて傾斜したバドル翼型である。この前進角、後退角は約15°〜45°程度の傾斜であり、右ねじりに形成した送りブレード8bを有するブレード部材17(図8)と、左ねじりに形成した戻しブレード9b(図9)を有するブレード部材18を有している。これらのブレードの断面部の形状は略六角形で、エッジ角度(θ)は、約30°〜60°程度であり、好ましくは約45°がよい。このような角度にすると、接線円運動において、30°以下及び60°以上では運転動力が低く、約30°〜60°程度にすると、混練材料(処理材料)が食い込みやすくなるからである。該ブレードの先端部分のエッジ幅(b)は、ブレード径(d)の約5%〜20%程度、例えば実施例では約2mm〜10mmとすることが好ましい。
上記ブレード部材のボス部16の形状は、図6、図7に示すブレード部材14、15では、混練軸2に平行な外面を有する略円柱状に形成してあるが、好ましくは図8、図9に示すブレード部材17,18のように、軸方向の中心から両端方向に向かって直径を小さく形成した略そろばん玉形のように外周が山形状に傾斜する形状にするとよい。このようなそろばん玉形に形成すると、平行な円柱面に比べて材料の流れに流動変形を与え、排出口側への流動に変化をもたらし、混練材料に圧縮・膨張作用を作用させて混練作用に寄与できるからである。なお、ニュートン流体のように、流動性のよい混練材料の場合は、山形の頂点を供給口側に変位させ、非ニュートン流体のように流動性の悪い材料の場合は、山形の頂点を排出口側にずらして設けることもできる。
図8、図9に示すブレード部材17,18のようにボス部16の形状を略そろばん玉形にすると混練材料は、ボス部により前進方向に送られたり、後退方向に送られるから、混練材料の性状によっては、ブレードをねじったり、傾斜させたりしなくてもよい。すなわち、図10に示すように、ボス部の形状を略そろばん玉型に形成するとともに軸に対してブレード19の傾斜角度を0に、すなわち軸と平行にストレートなブレード19を有するブレード部材20としてもよい。このとき、ブレードの断面形状は略六角形であり、エッジ角度(θ)やエッジ幅(b)は上記実施例とほぼ同様に形成すればよい。
上記ブレード部材は送りブレードと戻しブレードが一連になるように組み合わせたり、ブレードの位相が90°ずらして位置するように向かい合わせに組み合わせて一組とする。詳しくは、排出口に向かって混練材料を混練しながら送り出す形状のものと、供給口側に戻す形状のものを一組にして各ゾーンに配置してあるが、2組以上の複数組を各ゾーンに配置して混練材料に圧縮・せん断・膨張作用を与えて解砕することもできる。
上記ブレード部材に設けるブレード(羽根)の数は、適宜とすることができるが、好ましくは、2枚〜8枚程度設けるとよい。ブレード1枚では軸回転時、材料分布のバランスが悪く、偏荷重により軸に負荷を与え、かつ混練度も短絡し易いので、好ましくない。また、ブレードが8枚より多くなると、ブレードとバレル内壁間により材料へせん断応力を与える機会が連続的に近づきすぎ、材料に与える圧縮・膨張の繰り返し頻度が減少して充分に解砕作用を奏することができなくなるからである。
上記各実施例に示すブレード部材は、それぞれ個別に混練軸2に取替可能に取り付けられている。このように取替可能に設けると、送り出し形状の前進翼型と戻す形状の後退翼型の角度を同一にすることができ、供給スクリューの押出量のみで材料流体の滞留時間を決めることができる。したがって、流体のレオロジーに応じて、ブレードの角度を変えた組み合わせや回転数を設定することにより、滞留時間を調整して良好な混練ができるからである。例えば、ニュートン流体のように、流動性のよい流体の場合は、前進翼の傾斜角度は小さく、後退翼の傾斜角度は大きくし、非ニュートン流体の場合は前進翼の角度は大きく、後退翼の角度は小さくすれば、効率よく混練できるので、好ましい。なお、混練時に発生する発熱により混練材料の特性が劣化することを防ぐために、ブレードの回転速度を約0.5m/sec〜1.5m/sec程度、温度は約60℃以下の条件で運転するのが好ましい。1.5m/sec以上にすると、発熱が多くなり、材料特性上、材料温度を60℃以下に保つのが困難になるからである。
上記のように混練部は、攪拌混練部ゾーン11と硬練混練部ゾーン12と希釈混練部ゾーン13に区分されるが、各ゾーンを区別する目的は、各ゾーンに配置された上述のブレードにより各ゾーン毎に所望の圧縮・膨張を行い、粉・粒体の「濡れ」を促進できるようにすることである。すなわち、この攪拌混練部ゾーン11では材料供給部ゾーン10から供給された材料が向い合せに組み合わされた上記ブレード間を行き来し、材料に左右方向(前進、後退方向)の流動を与え、このゾーンにおいて、粉体混合された供給口からの粉・粒体を受け取って粉・粒体の表面処理を行っている。このように、この工程では粉体混合で活性化された粉・粒体を不活性化し、凝集を解砕することを目的とする。次の硬練混練部ゾーン12では、ブレードとブレード間でせん断作用も与えるようにした。すなわち、液状成分を少なくし高粘度での高せん断応力により強い混練作用を与えることを目的とする。なお、せん断応力は、材料粘度とせん断速度の積で表され、高粘度で硬練りすれば高せん断応力が得られることが知られているから、この硬練混練部ゾーンにおける処理は、その原理を利用して短時間で混練作業を進行させることを意図している。そして、最後の希釈混練部ゾーン13では硬練りされた材料を所望の粘度に希釈し、ペースト状態にして排出口から効率よく排出できるようにすることを目的としている。
上記攪拌混練部ゾーン11と硬練混練部ゾーン12の間及び硬練混練部ゾーン12と希釈混練部ゾーン13の間には、各ゾーンでの処理の目的にあわせて充分な混練作用をできるよう各ゾーンを仕切るための仕切り板(セパレーター)21が設けられている。該仕切り板21は、図11に示すように、上記ブレードの外径とほぼ同じ外径の円板状に形成され、開口部22を有している。材料は、上記供給スクリュー7による送り作用により供給口側のゾーンから排出口側のゾーンに移動するが、ゾーン毎の処理目的、用途により、特に粘度が異なるために仕切り板を介してゾーン間での戻りが防止される。その上、上記開口部22を材料が通過するとき、圧縮・膨張、衝突・衝撃作用が材料に与えられることにより部分凝集が解砕され、ブツやダマが低減されるとともに粉・粒体の濡れが一層促進される。
上記仕切り板21の開口部22は、材料の圧縮・膨張作用を与えられる適宜形状、数量に形成することができるが、図11に示す実施例では、仕切り板21の外径の約60%〜80%程度の位置に中心径を有する略弧状の孔が4個形成されている。また、該開口部22の開口面積は、複数個の開口部22の合計で仕切り板21の面積の約20%〜40%程度が好ましい。開口部22の中心径が仕切り板の外径の80%以上の部位に設けると、材料の通過が容易となり、ショートパスにより粒度分布がブロードのものになり、60%以下では周速が遅いためにさらにブロードになって、好ましくない。開口部の開口面積が仕切り板の面積の40%以上では、材料の通過が容易となり、ショートパスにより粒度分布がブロードなものとなり、20%以下では材料の目詰まりや通過が困難になり、せん断作用だけが主体となるため、発熱しやすく、熱に敏感な材料には不適格となる。
上記各ゾーンには希釈剤や添加剤等の液体を注入するノズル23が設けられている。このノズル23は、上記バレルを構成する上方バレル部や下方バレル部に設けられ、混練中に密閉状態のバレル内に液体を注入し、最終的にペースト状にして排出口から材料を排出することを目的とする。そのため、目的とする処理材料に応じて適宜の液が適時に注入される。例えば攪拌混練部ゾーン11では、少量の溶剤や水を供給して粉・粒体の表面処理を積極的に行い、次の硬練混練部ゾーン12では殆どの溶剤または水と溶解希釈された樹脂溶液が少量供給され、握って固まる程度の粘度で硬練りを行う。最後の希釈混練部ゾーン13では溶解希釈された樹脂溶液が供給され、所望のペースト状態になるよう希釈を行っている。
(実施例)
混練材料の粉体仕込から希釈ペーストを得るまでのプロセスを、従来のバッチ式混練機と本考案による連続式二軸混練機で比較した。バッチ式混練機としては、井上製作所製のタンク容量2.1リットルの三軸ミキサーを使用し、連続式二軸混練機としてNET容量の近いバレル容量2.0リットルの装置を用意した。
上記三軸ミキサーを用いて混練材料885gを67分間混練したところ、粒子径35μm(Gゲージ)のペーストが得られた。
一方、上記連続式二軸混練機を用いて混練材料5310gを18.5分間混練したところ、粒子径30μm(Gゲージ)のペーストが得られた。
以上のように、本考案の連続式二軸混練機によれば、約6倍量の材料を約1/3以下の時間で処理でき、しかもブツ、ダマのないペーストを得ることができ、時間当たりに換算すると、従来のバッチ式混練機と比べて約20倍の生産性の向上がみられた。
混練材料の粉体仕込から希釈ペーストを得るまでのプロセスを、従来のバッチ式混練機と本考案による連続式二軸混練機で比較した。バッチ式混練機としては、井上製作所製のタンク容量2.1リットルの三軸ミキサーを使用し、連続式二軸混練機としてNET容量の近いバレル容量2.0リットルの装置を用意した。
上記三軸ミキサーを用いて混練材料885gを67分間混練したところ、粒子径35μm(Gゲージ)のペーストが得られた。
一方、上記連続式二軸混練機を用いて混練材料5310gを18.5分間混練したところ、粒子径30μm(Gゲージ)のペーストが得られた。
以上のように、本考案の連続式二軸混練機によれば、約6倍量の材料を約1/3以下の時間で処理でき、しかもブツ、ダマのないペーストを得ることができ、時間当たりに換算すると、従来のバッチ式混練機と比べて約20倍の生産性の向上がみられた。
1 バレル
2 混練軸
5 供給口
6 排出口
7 供給スクリュー
8、8a、8b 送りブレード
9、9a、9b 戻しブレード
10 材料供給部ゾーン
11 攪拌混練部ゾーン
12 硬練混練部ゾーン
13 希釈混練部ゾーン
14、15、17、18、20 ブレード部材
21 仕切り板
22 開口部
2 混練軸
5 供給口
6 排出口
7 供給スクリュー
8、8a、8b 送りブレード
9、9a、9b 戻しブレード
10 材料供給部ゾーン
11 攪拌混練部ゾーン
12 硬練混練部ゾーン
13 希釈混練部ゾーン
14、15、17、18、20 ブレード部材
21 仕切り板
22 開口部
Claims (9)
- バレル内に処理材料を前進方向に送る供給スクリューと処理材料を混練しながら前進させる送りブレードと後退させる戻しブレードを有する混練軸を並列して設け、供給スクリューにより材料を前進方向へ送る材料供給部ゾーンを構成し、該材料供給部ゾーンから供給された材料を混練しながら前進させる上記送りブレードと後退させる上記戻しブレードを軸方向に向かい合わせに組み合わせ、この組み合わせた送りブレードと戻しブレードをそれぞれ具備する攪拌混練部ゾーン、硬練混練部ゾーン、希釈混練部ゾーンを順次設け、該攪拌混練部ゾーンと硬練混練部ゾーン間および硬練混練部ゾーンと希釈混練部ゾーン間に仕切り板を設け、上記各ブレードは、ブレード径(d)とブレードの最大高さ(H)の比率がH/d=0.15〜0.25であることを特徴とする連続式二軸混練機。
- 上記各ブレードの形状はねじれ角度(α)が30°〜90°のフィン型であり、断面形状は六角形でエッジ部角面(θ)は30°〜60°、ブレードエッジ幅(b)はブレード径(d)の5%〜20%である請求項1に記載の連続式二軸混練機。
- 上記各ブレードの形状は混練軸に対し15°〜45°の前進角若しくは後退角のあるパドル型であり、断面形状は六角形でエッジ部角面(θ)は30°〜60°、ブレードエッジ幅(b)はブレード径(d)の5%〜20%である請求項1または2に記載の連続式二軸混練機。
- 上記各ブレードの枚数は2枚〜8枚である請求項1から3のいずれかに記載の連続式二軸混練機。
- 上記各ブレードを形成したブレード部材のボス部の形状は、中間部分の外径に対し両端部分の外径が小さい略そろばん玉形である請求項1から4のいずれかに記載の連続式二軸混練機。
- 上記各ブレードは混練軸に対して平行である請求項5に記載の連続式二軸混練機。
- 上記各ブレードの先端とバレルの内壁のクリアランス(c)は、1mm〜10mmである請求項1に記載の連続式二軸混練機。
- 上記仕切り板の開口部は、中心径が仕切り板の外径の60%〜80%に位置する弧状開口部である請求項1に記載の連続式二軸混練機。
- 上記仕切り板の開口部の開口面積は、仕切り板面積の20%〜40%である請求項1または8に記載の連続式二軸混練機。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014000311U JP3189877U (ja) | 2014-01-23 | 2014-01-23 | 連続式二軸混練機 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2014000311U JP3189877U (ja) | 2014-01-23 | 2014-01-23 | 連続式二軸混練機 |
Related Parent Applications (1)
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JP2010110870A Continuation JP2011235258A (ja) | 2010-05-13 | 2010-05-13 | 連続式二軸混練機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP3189877U true JP3189877U (ja) | 2014-04-03 |
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CN110845876A (zh) * | 2019-11-04 | 2020-02-28 | 湖州武荣环保材料有限公司 | 一种建筑防水涂料的加工工艺 |
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- 2014-01-23 JP JP2014000311U patent/JP3189877U/ja not_active Expired - Fee Related
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