JP3189495B2 - 金属フタロシアニン化合物およびそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

金属フタロシアニン化合物およびそれを用いた電子写真感光体

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JP3189495B2 JP13692993A JP13692993A JP3189495B2 JP 3189495 B2 JP3189495 B2 JP 3189495B2 JP 13692993 A JP13692993 A JP 13692993A JP 13692993 A JP13692993 A JP 13692993A JP 3189495 B2 JP3189495 B2 JP 3189495B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、中心金属にハロゲン原
子が結合している特定の結晶型を有する金属フタロシア
ニン化合物に関するものである。さらに、この金属フタ
ロシアニン化合物を感光層に含有する電子写真用感光
体、特にプリンターや複写機に有効に用いることができ
る電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真用感光体には、光導電性
の材料として、酸化亜鉛、セレン、硫化カドミウム等の
無機材料が使用されてきた。しかし、これらの無機材料
は、電子写真特性が十分ではなく、しかも、毒性が強
く、廃棄処理等の点で問題を有している。このような問
題点を改善するために、光導電性の材料に種々の有機材
料を感光層に含有させるようになってきている。有機材
料には、無毒性、易加工性、軽量等の利点があり、これ
までに多くの研究がなされてきているが、感度および耐
久性の面で十分ではなかった。近年、従来提案された有
機光導電材料の感光波長域を近赤外線の半導体レーザー
の波長(780〜830nm)にまで伸ばし、レーザー
プリンター等のデジタル記録用の感光体として使用する
ことの要求が高まっている。この観点から、スクアリリ
ウム化合物(特開昭49−105536号および同58
−21416号公報)、トリフェニルアミン系トリスア
ゾ化合物(特開昭61−151659号公報)、フタロ
シアニン化合物(特開昭48−34189号および同5
7−148745号公報)等が、半導体レーザー用の光
導電材料として提案されている。半導体レーザー用の感
光材料として有機光導電材料を使用する場合は、まず、
感光波長域が長波長まで伸びていること、次に、形成さ
れる感光体の感度、耐久性がよいこと等が要求される。
しかし、前記の有機光導電材料はこれらの諸条件を十分
に満足するものではない。これらの欠点を克服するため
に、前記の有機光導電材料について、結晶型と電子写真
特性の関係が検討されており、特にフタロシアニン化合
物については多くの報告が出されている。
【0003】一般に、フタロシアニン化合物は、製造方
法、処理方法の違いにより幾つかの結晶型を示し、この
結晶型の違いは、フタロシアニン化合物の光電変換特性
に大きな影響を及ぼすことが知られている。フタロシア
ニン化合物の結晶型については、例えば銅フタロシアニ
ンについてみると、安定系のβ型以外にα、ε、π、
χ、ρ、γ、σ、δ等の結晶型が知られており、これら
の結晶型は、機械的歪力、硫酸処理、有機溶剤処理およ
び熱処理等により、相互に転移可能であることが知られ
ている(例えば米国特許第2,770,629号、同第
3,160,635号、同第3,357,989号およ
び同第3,708,292号明細書)。また、特開昭5
0−38543号公報には、銅フタロシアニンの結晶型
の違いと電子写真特性について、α、β、γおよびε型
の比較では、ε型が最も高い感度を示すことが記載され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来提
案されているフタロシアニン化合物は、光導電材料とし
て使用した場合の光感度と耐久性の点で、いまだ十分満
足のいくものではなく、新たな結晶型のフタロシアニン
化合物の開発が望まれている。そこで、本発明は、従来
の技術における上述のような実情に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、光導電材料として光感度と耐久性
に優れた新規な結晶型を有する金属フタロシアニン化合
物および高感度かつ高耐久性の電子写真感光体を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、フタロシ
アニン化合物の結晶型と電子写真特性との関係について
鋭意研究を重ねてきた結果、下記に示すような特定の空
間群、格子定数および結晶座標によって表すことができ
る分子配列を有する金属フタロシアニン化合物が、光導
電材料として高感度で耐久性に優れていることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明の金属フタロシアニン化
合物は、下記一般式で示され、空間群がP(−1)であ
り、格子定数が、a=12.0±2.0オングストロー
ム(以下、物理単位のオングストロームを「A」で表
す)、b=12.5±2.0A、c=8.5±2.0
A、α=96.0±10.0°、β=95.0±10.
0°、γ=68.0±10.0°であり、中心金属の結
晶座標が、x=0.22±0.05、y=0.01±
0.05、z=−0.16±0.05にあり、中心金属
と結合しているハロゲン原子の位置が結晶座標で、x=
0.31±0.06、y=−0.05±0.06、z=
−0.30±0.06にあり、中心金属と結合している
ピロール環に含まれる1つの窒素原子の位置が結晶座標
で、x=0.08±0.06、y=0.14±0.0
6、z=−0.25±0.06にある分子配列を有する
ことを特徴とする。また、本発明の電子写真感光体は、
導電性支持体上に上記の金属フタロシアニン化合物を含
有する感光層を被覆していることを特徴とする。
【0007】
【化2】
【0008】(式中、Mは、アルミニウム、ガリウム、
ケイ素、周期律表の第四周期に属する金属、第五周期に
属する金属または第六周期に属する金属を表し、Mは1
個のRと結合しており、Rはハロゲン原子を表し、
1 、X2 、X3 およびX4 は、同一でも異なっていて
もよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはア
ルコキシ基を表す。k、l、mおよびnは、それぞれ1
〜4の整数を意味する。)ただし、1つの結晶の分子配
列は、図1に示すように、格子の取り方により複数の表
し方があり、1つの結晶は複数の格子定数で表すことが
できる。格子の取り方を変えることにより結晶格子が上
記の分子配列によって表される金属フタロシアニン結晶
は全て、本発明に包含される。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。中心金属
にハロゲン原子が結合している本発明の金属フタロシア
ニン化合物は、上記一般式に示すように、フタロシアニ
ン分子における4つのピロール環の中心にある金属に、
ピロール環に対して一方の方向に1個のハロゲン原子を
有するものである。その分子の立体配置は、下記に示す
ように、中心金属Mやこれと結合するハロゲン原子Rに
よって異なる。
【化3】
【0010】前記一般式中の符号M、RおよびX1 〜X
4 としては、次のようなものを例示することができる。
例えば、Mで表される原子としては、アルミニウム(A
l)、ガリウム(Ga)、ケイ素(Si)の他、Ti、
Ge、Zr、Sn、Pb等の周期律表の第四周期に属す
る金属、V、As、Nb、Sb、Ta、Biの第五周期
に属する金属、Cr、Se、Mo、Te、W等の第六周
期に属する金属などが挙げられる。Rで表されるハロゲ
ン原子としては、弗素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ
素原子等が挙げられる。また、X1 〜X4 で表される置
換基のうち、ハロゲン原子としては、上記した原子等が
挙げられ、アルキル基としては、メチル基、エチル基、
n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−
ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペン
チル基、i−ペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル
基、オクチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロ
ポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−
ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチロキシ基、ヘキシ
ロキシ基等が挙げられる。これらのX1 〜X4 は各ベン
ゼン核に最大4個まで置換することができる。
【0011】金属フタロシアニン化合物の結晶構造は、
空間群、格子定数、分子を構成する原子の位置、単位格
子内の分子の数が分れば、分子性結晶の結晶構造が定ま
り、X線解析により結晶構造を決定することができる。
フタロシアニン分子は、炭素原子と窒素原子が交互に結
合した環状の構造をなしており、中心金属の大きさによ
り若干の変化はあるが、分子構造自体はほとんど変わら
ない。また、中心金属にハロゲン原子が結合している金
属フタロシアニンのピロール環は中心金属を中心として
4つの対称な構造をなしている。それゆえ、中心金属の
位置、中心金属と結合しているハロゲン原子の位置、中
心金属と結合しているピロール環に含まれる1つの窒素
原子の位置が決まれば、分子を構成する全ての原子の位
置を決定することができる。
【0012】すなわち、本発明の金属フタロシアニン化
合物の結晶構造は、次のような空間群、格子定数および
結晶座標によって表されるものである。 (1)空間群 P(−1) (2)格子定数 a=12.0±2.0A α=96.0±10.0
° b=12.5±2.0A β=95.0±10.0
° c= 8.5±2.0A γ=68.0±10.0
° (3)結晶座標 中心金属 x= 0.22±0.05 y= 0.01±0.05 z=−0.16±0.05 中心金属と結合しているハロゲン原子 x= 0.31±0.06 y=−0.05±0.06 z=−0.30±0.06 中心金属と結合しているピロール環に含まれる1つの窒
素原子 x= 0.08±0.06 y= 0.14±0.06 z=−0.25±0.06
【0013】ここで、金属フタロシアニン分子の配置に
ついて、最近接2分子の配置を2方向から見た立体構造
を下記に示す。
【化4】
【0014】本発明の金属フタロシアニン化合物の新規
な結晶は、例えば、次のようにして製造することができ
る。1,3−ジイミノイソインドリンまたはフタロニト
リルと金属塩化物等の金属ハロゲン化物または四ハロゲ
ン化ケイ素を溶剤中で加熱した後、反応生成物を濾過
し、洗浄、乾燥すると、金属にハロゲン原子が結合して
いる金属フタロシアニン結晶が得られる。その後、金属
フタロシアニン結晶を自動乳鉢等で粉砕処理し、溶剤中
で撹拌した後、溶剤から分離、乾燥することにより、そ
れぞれ所定の結晶型を有する金属フタロシアニン化合物
を得ることができる。上記の処理において使用される溶
剤としては、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド
(DMF)、N−メチルピロリドン等)などが挙げられ
る。
【0015】以上のようにして得られる金属フタロシア
ニン化合物は、光導電材料として有用であり、その機能
的な特徴について若干の説明を加えてみる。金属フタロ
シアニン化合物は、分子同志がファンデルワールス半径
で接するような構造をとり、非常に安定な結晶構造にな
る。分子性結晶の分子間のエネルギーは、一般にファン
デルワールス力であるとされているので、本発明の金属
フタロシアニン化合物は、前記した分子配列によって表
されるときに分子間の相互作用が大きくなり、安定な結
晶構造を有するものと推測される。また、中心金属に直
接ハロゲン原子が結合している構造をとっているので、
金属原子とハロゲン原子の間に分極が生じ、これによ
り、本発明の金属フタロシアニン化合物を光導電材料と
して使用した場合、高い電子写真感度を得ることができ
ると推測される。さらに、前記したような物理的特性を
有する結晶構造は、分子が空間的に密に詰まっているの
で、本発明の金属フタロシアニン化合物は耐湿性が良好
であると推測される。
【0016】次に、上記の金属フタロシアニン化合物を
感光層における光導電材料として使用した電子写真感光
体について説明する。本発明の電子写真感光体におい
て、導電性支持体上に被覆される感光層は、単層構造か
らなるものであっても、あるいは電荷発生層および電荷
輸送層からなる積層型構造であってもよい。また、導電
性支持体と感光層との間に下引き層を形成してもよい。
【0017】導電性支持体としては、電子写真感光体と
して使用することが可能なものならば、いかなるもので
もよい。下引き層は、導電性支持体からの不必要な電荷
の注入を阻止するために有効であり、感光層の帯電性を
高める作用がある。さらに、感光層と導電性支持体との
密着性を高める作用もある。下引き層を構成する材料と
しては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、ポリビニルピリジン、セルロースエーテル類、セル
ロースエステル類、ポリアミド、ポリウレタン、カゼイ
ン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセ
テート、アミノ澱粉、ポリアクリル酸、ポリアクリルア
ミド、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアル
コシキド化合物、その他の有機ジルコニウム化合物、チ
タニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合
物、その他の有機チタニウム化合物、シランカップリン
グ剤等が挙げられる。下引き層の膜厚は0.05〜2μ
m程度が適当である。
【0018】電子写真感光体が積層型構造を有する場
合、電荷発生層は、前記金属フタロシアニン化合物およ
び結着樹脂から構成される。結着樹脂は広範な絶縁性樹
脂から選択することができる。好ましい結着樹脂として
は、ポリビニルブチラール、ポリアリレート(ビスフェ
ノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネー
ト、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリ
アクリルアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹
脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルピロリドン等の絶縁性樹脂を
挙げることができる。また、ポリ−N−ビニルカルバゾ
ール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の
有機光導電性ポリマーから選択することもできる。
【0019】電荷発生層は、上記結着樹脂を有機溶剤に
溶解した溶液に、中心金属にハロゲン原子が結合してい
る前記金属フタロシアニン化合物を分散させて塗布液を
調製し、それを導電性支持体上に塗布し、乾燥すること
によって形成することができる。その場合、使用する金
属フタロシアニン化合物と結着樹脂との組成比は、重量
比で400:1〜1:10、好ましくは10:1〜1:
4の範囲である。金属フタロシアニン化合物の比率が高
すぎる場合には、塗布液の安定性が低下し、低すぎる場
合には、感度が低下するので、組成比は上記の範囲が適
当である。
【0020】使用する溶剤としては、必要に応じて形成
される下引き層を溶解しないものから選択するのが好ま
しい。具体的な有機溶剤としては、メタノール、エタノ
ール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、
DMF、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメ
チルスルホキシド等のスルホキシド類、テトラヒドロフ
ラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエー
テル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエス
テル類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジ
クロロエチレン、トリクロロエチレン等の脂肪族ハロゲ
ン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳
香族炭化水素類、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼ
ン等の芳香族ハロゲン化炭化水素類、リグロイン等の石
油精製溶剤などが挙げられる。塗布液は、浸漬コーティ
ング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティン
グ法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティン
グ法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング
法、カーテンコーティング法等のコーティング法により
塗布することができる。塗布後の乾燥は、30〜200
℃の温度で5分〜2時間の範囲で静止または送風下で行
うことができる。また、形成される電荷発生層の膜厚
は、通常0.05〜5μmの範囲が適当である。
【0021】電子写真感光体が積層型構造を有する場合
の電荷輸送層は、電荷輸送材料および結着樹脂から構成
される。電荷輸送材料としては、例えば、アントラセン
系、ピレン系、フェナントレン系等の多環芳香族化合
物、インドール系、カルバゾール系、イミダゾール系、
ピラゾリン系等の含窒素複素環化合物、ヒドラゾン系化
合物、トリフェニルメタン系化合物、トリフェニルアミ
ン系化合物、エナミン系化合物、スチルベン系化合物な
どを使用することができる。さらに、ポリ−N−ビニル
カルバゾール、ハロゲン化ポリ−N−ビニルカルバゾー
ル、ポリビニルアントラセン、ポリビニルフェニルアセ
ナフチレン、ポリグリシジルカルバゾール、ピレン−ホ
ルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール−ホルムアル
デヒド樹脂等の光導電性ポリマーが挙げられ、これらは
それ自体で層を形成してもよい。また、結着樹脂として
は、前記した電荷発生層に使用されるものと同様の絶縁
性樹脂が使用できる。電荷輸送材料と結着樹脂との組成
比は、重量比で5:1〜1:5の範囲が適当である。電
荷輸送層は、上記電荷輸送材料および結着樹脂と電荷発
生層を溶解しない前記と同様の有機溶剤とを用いて塗布
液を調製した後、前記と同様の方法により塗布し、乾燥
することによって形成することができる。また、電荷輸
送層の膜厚は、通常5〜50μmの範囲が適当である。
【0022】電子写真感光体が単層構造を有する場合に
おいては、感光層は中心金属にハロゲン原子が結合して
いる前記金属フタロシアニン化合物、電荷輸送材料およ
び結着樹脂から構成され、電荷輸送材料および結着樹脂
は、前記と同様のものが使用される。金属フタロシアニ
ン化合物および電荷輸送材料と結着樹脂との組成比は、
重量比で1:20〜5:1、金属フタロシアニン化合物
と電荷輸送材料との組成比は、重量比で1:10〜1
0:1の範囲が適当である。そして、前記と同様に、塗
布液を調製した後、塗布、乾燥することによって感光層
が形成される。
【0023】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例および比較例における「部」
は「重量部」を意味する。 実施例1 1,3−ジイミノイソインドリン40部および三塩化ア
ルミニウム10部を蒸留したキノリン200部中に添加
し、200℃で3時間加熱した。反応生成物を濾過し、
アセトン、メタノールで洗浄した後、乾燥してクロロア
ルミニウムフタロシアニン結晶25部を得た。次いで、
この結晶4部を自動乳鉢で5時間粉砕し、DMF100
部中で30時間撹拌した後、遠心分離することにより、
クロロアルミニウムフタロシアニン結晶3部を回収し
た。その粉末X線回折図を図2に示す。この粉末結晶を
X線解析した結果、空間群がP(−1)で、格子定数
が、a=11.8A、b=12.6A、c=8.4A、
α=95.8°、β=96.2°、γ=68.1°で、
中心金属(Al)の結晶座標が、x=0.23、y=
0.01、z=−0.16にあり、中心金属と結合して
いる塩素原子の位置が結晶座標で、x=0.30、y=
−0.06、z=−0.31にあり、中心金属と結合し
ているピロール環に含まれる1つの窒素原子の位置が結
晶座標で、x=0.08、y=0.15、z=−0.2
4にあった。
【0024】実施例2 1,3−ジイミノイソインドリン30部および三塩化ガ
リウム7部を蒸留したキノリン200部中に添加し、2
00℃で3時間加熱した。反応生成物を濾過し、アセト
ン、メタノールで洗浄した後、乾燥してクロロガリウム
フタロシアニン結晶20部を得た。次いで、この結晶3
部を自動乳鉢で5時間粉砕し、DMF100部中で30
時間撹拌した後、遠心分離することにより、クロロガリ
ウムフタロシアニン結晶2部を回収した。その粉末X線
回折図を図3に示す。この粉末結晶をX線解析をした結
果、空間群がP(−1)で、格子定数が、a=12.2
A、b=12.8A、c=8.8A、α=95.9°、
β=96.2°、γ=69.5°で、中心金属(Ga)
の結晶座標が、x=0.21、y=0.01、z=−
0.16にあり、中心金属と結合している塩素原子の位
置が結晶座標で、x=0.31、y=−0.06、z=
−0.31にあり、中心金属と結合しているピロール環
に含まれる1つの窒素原子の位置が結晶座標で、x=
0.07、y=0.13、z=−0.25にあった。
【0025】実施例3 実施例1で得られたクロロアルミニウムフタロシアニン
結晶5部を濃水酸化アンモニウム水溶液100部および
ピリジン40部の混合溶液中に添加し、7時間還流し
た。得られた反応生成物をピリジン、濃水酸化アンモニ
ウム水溶液および熱水で洗浄し、110℃で乾燥してヒ
ドロキシアルミニウムフタロシアニンを含む固形物4.
5部を得た。次いで、この固形物をフッ化水素酸と熱浴
中で反応させ、得られた反応生成物を水、メタノール、
ピリジンおよびアセトンで洗浄し、110℃で乾燥し、
さらに540℃で昇華精製することにより、フルオロア
ルミニウムフタロシアニン結晶3.5部を得た。この結
晶3部を自動乳鉢で5時間粉砕し、DMF100部中で
30時間撹拌した後、遠心分離することにより、フルオ
ロアルミニウムフタロシアニン結晶2部を回収した。そ
の粉末X線回折図を図4に示す。この粉末結晶をX線解
析した結果、空間群がP(−1)で、格子定数が、a=
11.6A、b=12.4A、c=8.4A、α=9
4.6°、β=97.2°、γ=68.9°で、中心金
属(Al)の結晶座標が、x=0.23、y=0.0
0、z=−0.15にあり、中心金属と結合しているフ
ッ素原子の位置が結晶座標で、x=0.31、y=−
0.04、z=−0.30にあり、中心金属と結合して
いるピロール環に含まれる1つの窒素原子の位置が結晶
座標で、x=0.08、y=0.15、z=−0.26
にあった。
【0026】実施例4 導電性支持体としてアルミニウム基板を用意した。一
方、実施例1で得られたクロロアルミニウムフタロシア
ニン結晶1部をポリビニルブチラール(エスレックBM
−1、積水化学(株)製)1部およびシクロヘキサノン
100部と混合し、ガラスビーズと共にペイントシェー
カーで1時間処理して分散した。得られた塗布液を上記
アルミニウム基板上に浸漬コーティング法で塗布し、1
00℃において5分間加熱乾燥して膜厚0.2μmの電
荷発生層を形成した。膜形成後、X線回折測定を行った
ところ、上記フタロシアニンは結晶転移していないこと
が確認された。次いで、下記化学式で示されるN,N′
−ジフェニル−N,N′−(m−トリル)ベンジジン2
部および下記構造式で示されるポリ(シクロヘキシリデ
ン−ビス−p−フェニレンカーボネート)3部をモノク
ロロベンゼン20部に溶解し、得られた塗布液を上記電
荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、120℃で
1時間加熱乾燥して膜厚20μmの電荷輸送層を形成し
た。以上のようにして、電荷発生層にクロロアルミニウ
ムフタロシアニン結晶を含有する電子写真感光体を製造
した。
【0027】
【化5】
【0028】実施例5 クロロアルミニウムフタロシアニン結晶に代えて、実施
例2で得られたクロロガリウムフタロシアニン結晶を用
いた以外は、実施例4と同様にして電子写真感光体を製
造した。 実施例6 クロロアルミニウムフタロシアニン結晶に代えて、実施
例3で得られたフルオロアルミニウムフタロシアニン結
晶を用いた以外は、実施例4と同様にして電子写真感光
体を製造した。
【0029】比較例1 1,3−ジイミノイソインドリン10部および三塩化ガ
リウム7部を蒸留したキノリン100部中に添加し、2
00℃で3時間加熱した。反応混合物を濾過し、アセト
ン、メタノールで洗浄した後、乾燥してクロロガリウム
フタロシアニン結晶6部を得た。その粉末X線回折図を
図5に示す。この粉末結晶をX線解析した結果、空間群
がP(−1)で、格子定数が、a=9.3A、b=1
1.3A、c=13.1A、α=105.5°、β=1
05.5°、γ=96.8°で、ガリウムの結晶座標
が、x=0.06、y=0.18、z=0.20にあ
り、ガリウムと結合している塩素原子の位置が結晶座標
で、x=−0.06、y=0.31、z=0.29にあ
り、ガリウムと結合しているピロール環に含まれる1つ
の窒素原子の位置が結晶座標で、x=0.08、y=
0.15、z=−0.26にあった。次に、クロロアル
ミニウムフタロシアニン結晶に代えて、上記クロロガリ
ウムフタロシアニン結晶を用いた以外は、実施例4と同
様にして、電荷発生層にクロロガリウムフタロシアニン
結晶を含有する電子写真感光体を製造した。
【0030】比較例2 フタロニトリル30部およびMo(CO)6 10部をト
ルエン150部中に添加し、真空中で180℃に加熱し
てオキソモリブデンフタロシアニン10部を得た。その
粉末X線回折図を図6に示す。この粉末結晶をX線解析
した結果、空間群がP21/c で、格子定数が、a=1
3.4A、b=13.3A、c=14.0A、β=10
3.8°で、モリブデンの結晶座標が、x=0.26、
y=0.49、z=0.30にあり、モリブデンと結合
している酸素原子の位置が結晶座標で、x=0.24、
y=0.49、z=0.18にあり、モリブデンと結合
しているピロール環に含まれる1つの窒素原子の位置が
結晶座標で、x=0.34、y=0.35、z=0.3
5にあった。次に、クロロアルミニウムフタロシアニン
結晶に代えて、上記オキソモリブデンフタロシアニン結
晶を用いた以外は、実施例4と同様にして、電荷発生層
にオキソモリブデンフタロシアニン結晶を含有する電子
写真感光体を製造した。
【0031】実施例4〜6および比較例1、2で製造し
た各電子写真感光体について、電気特性を下記のように
して測定した。静電複写紙試験装置(EPA−810
0、川口電機(株)製)を用いて、常温常湿(20℃、
50%RH)の環境下に−6kVのコロナ放電を行い、
感光体表面を帯電させた後、タングステンランプの光
を、モノクロメータにより800nmの単色光に分光
し、感光体表面上で1μW/cm2 になるように調整
し、照射した。そして、その初期表面電位V0 (ボル
ト)の1/2になるまでの露光量E1/2 (erg/cm
2 )を測定し、その後10ルックスのタングステン光を
感光体表面上に1秒間照射し、残留電位VR (ボルト)
を測定した。さらに、上記の帯電と露光を1000回繰
り返した後のV0 、E1/2 およびVR を測定した。その
結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】本発明の中心金属にハロゲン原子が結合
している金属フタロシアニン化合物は、新規な結晶であ
り、この結晶を光導電材料として製造される電子写真感
光体は、高感度で、帯電性が高く、残留電位が低く、繰
り返し安定性に優れた特性を有している。さらに、75
0〜800nm領域での感度が高いので、半導体レーザ
ーを用いたプリンター等に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 1つの結晶に対して複数の結晶格子の取り方
を表す図面である。
【図2】 本発明の実施例1で得られたクロロアルミニ
ウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を示す。
【図3】 本発明の実施例2で得られたクロロガリウム
フタロシアニン結晶の粉末X線回折図を示す。
【図4】 本発明の実施例3で得られたフルオロアルミ
ニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を示す。
【図5】 比較例1で得られたクロロガリウムフタロシ
アニン結晶の粉末X線回折図を示す。
【図6】 比較例2で得られたオキソモリブデンフタロ
シアニン結晶の粉末X線回折図を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−98181(JP,A) 特開 平5−66594(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09B 67/50 C07D 487/22 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空間群がP(−1)であり、格子定数
    が、a=12.0±2.0オングストローム、b=1
    2.5±2.0オングストローム、c=8.5±2.0
    オングストローム、α=96.0±10.0°、β=9
    5.0±10.0°、γ=68.0±10.0°であ
    り、中心金属の結晶座標が、x=0.22±0.05、
    y=0.01±0.05、z=−0.16±0.05に
    あり、中心金属と結合しているハロゲン原子の位置が結
    晶座標で、x=0.31±0.06、y=−0.05±
    0.06、z=−0.30±0.06にあり、中心金属
    と結合しているピロール環に含まれる1つの窒素原子の
    位置が結晶座標で、x=0.08±0.06、y=0.
    14±0.06、z=−0.25±0.06にある分子
    配列を有することを特徴とする下記一般式で示される金
    属フタロシアニン化合物。 【化1】 (式中、Mは、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、周期
    律表の第四周期に属する金属、第五周期に属する金属ま
    たは第六周期に属する金属を表し、Mは1個のRと結合
    しており、Rはハロゲン原子を表し、X1 、X2 、X3
    およびX4 は、同一でも異なっていてもよく、水素原
    子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を表
    す。k、l、mおよびnは、それぞれ1〜4の整数を意
    味する。)
  2. 【請求項2】 導電性支持体上に請求項1記載の金属フ
    タロシアニン化合物を含有する感光層を被覆しているこ
    とを特徴とする電子写真感光体。
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