JP3189029B2 - バッキング用彫刻ロール - Google Patents

バッキング用彫刻ロール

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JP3189029B2 JP14539395A JP14539395A JP3189029B2 JP 3189029 B2 JP3189029 B2 JP 3189029B2 JP 14539395 A JP14539395 A JP 14539395A JP 14539395 A JP14539395 A JP 14539395A JP 3189029 B2 JP3189029 B2 JP 3189029B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マット裏面に塗布した
半ゲル化状態の樹脂を圧着することで、マット裏面にズ
レ防止用突起を有するバッキング層を形成することがで
きるバッキング用彫刻ロールに関する。詳細にはバッキ
ング層を構成する樹脂中に含まれるエアーによるズレ防
止用突起の変形を防止することができるバッキング用彫
刻ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、マット裏面に塗布した半ゲル化状
態の樹脂を圧着することで、マット裏面にズレ防止用突
起を有するバッキング層を形成することができるバッキ
ング用彫刻ロールとしては、図8に示すようにロール1
表面に、マット裏面のズレ防止用突起に対応する多数の
成形凹部2を設けたものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このバッキ
ング用彫刻ロールにあっては、マット裏面に塗布した半
ゲル化状態の樹脂を圧着したとき、成形凹部内に入り込
んだ樹脂中にエアーが含まれることがあり、このエアー
の存在により、成形凹部内に隙間無く樹脂が入り込め
ず、ズレ防止用突起を正確に成形できないという不具合
を生じていた。
【0004】本発明の第1の目的は、バッキング層を構
成する樹脂中に含まれるエアーによるズレ防止用突起の
変形を防止することができるバッキング用彫刻ロールを
提供することである。
【0005】またこのバッキング用彫刻ロールには、塗
布した半ゲル化状態の樹脂を圧着するので、同ロールか
らマットを剥がし取るときにズレ防止用突起の先端が変
形し易いという難点もあった。
【0006】本発明の第2の目的は、ロールからマット
を剥がし取るときに生じていたズレ防止用突起の変形を
防止することができるバッキング用彫刻ロールを提供す
ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、マット裏面に塗布した半ゲ
ル化状態の樹脂を圧着することで、マット裏面にズレ防
止用突起を有するバッキング層を形成することができる
バッキング用彫刻ロールであって、前記マット裏面のズ
レ防止用突起に対応する多数の成形孔を設けた外壁部
と、前記成形孔底部に連通する溝を周面に設けた内壁部
とからなることを特徴とするバッキング用彫刻ロールを
その要旨とした。
【0008】請求項2記載の発明は、外壁部の成形孔底
部に同成形孔底部よりも径小の空気抜き用通路を形成し
たことを特徴とするバッキング用彫刻ロールをその要旨
とした。
【0009】請求項3記載の発明は、マット裏面に塗布
した半ゲル化状態の樹脂を圧着することで、マット裏面
にズレ防止用突起を有するバッキング層を形成すること
ができるバッキング用彫刻ロールであって、前記マット
裏面のズレ防止用突起に対応する多数の成形孔を設けた
外壁部と、前記成形孔に連通する溝を周面に設けた内壁
部と、内壁部を冷却する冷却部とからなることを特徴と
するバッキング用彫刻ロールをその要旨とした。
【0010】請求項4記載の発明は、冷却部が内壁部内
側に隙間を設けて配されて、内壁部との間に通水路を形
成するドラムであることを特徴とするバッキング用彫刻
ロールをその要旨とした。
【0011】請求項5記載の発明は、外壁部の成形孔底
部に同成形孔底部よりも径小の空気抜き用通路を形成し
たことを特徴とするバッキング用彫刻ロールをその要旨
とした。
【0012】
【作用】請求項1記載のバッキング用彫刻ロールにあっ
ては、半ゲル化状態の樹脂をマット裏面側に塗布して、
これをバッキング用彫刻ロールに圧着させたとき、樹脂
は外壁部に設けたマット裏面のズレ防止用突起に対応す
る多数の成形孔に入り込むことになる。このとき、樹脂
に含まれるエアーは、内壁部周面に設けた成形孔底部に
連通する溝を通って、樹脂の入り込んでいない成形孔ま
で移動し、外側に排出されるようになっている。
【0013】請求項2記載のバッキング用彫刻ロールに
あっては、外壁部の成形孔底部に同成形孔底部よりも径
小の空気抜き用通路が形成されているので、先端に径小
の突起を有するズレ防止用突起を成形できるようになっ
ている。
【0014】請求項3記載のバッキング用彫刻ロールに
あっては、半ゲル化状態の樹脂をマット裏面側に塗布し
て、これをバッキング用彫刻ロールに圧着させたとき、
樹脂は外壁部に設けたマット裏面のズレ防止用突起に対
応する多数の成形孔に入り込むことになる。このとき、
樹脂に含まれるエアーは、内壁部周面に設けた成形孔底
部に連通する溝を通って、樹脂の入り込んでいない成形
孔まで移動し、外側に排出されるようになっている。
【0015】またこのバッキング用彫刻ロールにあって
は、内壁部が内側より冷却部により冷却されるようにな
っているので、成形孔内に入り込んだ樹脂、特に成形孔
底部の樹脂は冷やされて硬くなり、ロールからマットを
剥がし取るときのズレ防止用突起先端の変形を防止でき
るようになっている。
【0016】同時にこのバッキング用彫刻ロールにあっ
ては、成形孔底部の樹脂が冷やされて硬くなり、成形孔
底部を閉塞するので、成形孔に連通する溝内へ樹脂が侵
入するの防止できるようになっている。
【0017】請求項4記載のバッキング用彫刻ロールに
あっては、内壁部内側に隙間を設けて配されたドラムと
内壁部との間に形成された通水路を通って水が流れるこ
とにより内壁部が冷やされ、これに伴い成形孔底部内の
樹脂が冷却されて硬化するようになっている。
【0018】請求項5記載のバッキング用彫刻ロールに
あっては、外壁部の成形孔底部に同成形孔底部よりも径
小の空気抜き用通路が形成されているので、先端に径小
の突起を有するズレ防止用突起先端が変形することなく
成形できるようになっている。
【0019】
【実施例】以下、本発明のバッキング用彫刻ロールを図
面に示した一実施例に従って詳細に説明する。図1に示
すように、マット1裏面のズレ防止用突起2を有するバ
ッキング層3の形成は、マット1を加圧ロール12とマ
ット1裏面のズレ防止用突起2に対応する多数の成形孔
15を設けたバッキング用彫刻ロール21との間に通す
ときに、押出機13のTダイ14よりマット1裏面に半
ゲル化状態の樹脂を塗布し、バッキング用彫刻ロール2
1に圧着させた後、冷却ロール16で冷却することで行
うことができる。
【0020】図1〜4に示すバッキング用彫刻ロール2
1は外壁部22と内壁部23と冷却部としてのドラム2
4とからなる。外壁部22には多数の成形孔25が設け
られている。この成形孔25はマット1裏面に形成され
るバッキング層3のズレ防止用突起2に対応する形状に
設けられており、底部には後述する内壁部23の溝26
に連通している。また成形孔25は外壁部22にマット
1裏面のズレ防止用突起2に対応する配置で設けられて
いる。尚、成形孔25の形状、配置は任意であり、マッ
トのデザインやズレ止め効果などを考慮して適宜決定す
ればよい。また、成形孔25の底部には同成形孔25底
部よりも径小の空気抜き用通路27が形成されており、
先端に径小の突起を有するズレ防止用突起、いわゆる二
段突起が成形できるようになっている。
【0021】この外壁部22内側に内壁部23が配され
ている。内壁部23の周面には前記成形孔25底部に連
通する溝26が設けられており、図4及び図5に示すよ
うに、半ゲル化状態の樹脂Rをマット1裏面側に塗布し
て、これをバッキング用彫刻ロール21に圧着させたと
き、外壁部22の成形孔25に入り込んだ樹脂Rに含ま
れるエアーは、図4及び図5中矢印で示すように空気抜
き用通路27を通って内壁部23の溝26に至り、この
溝26内を樹脂Rの入り込んでいない成形孔25まで移
動し、外側に排出されるようになっている。尚、本実施
例の場合、内壁部22の周面にストライプ状に設けた
が、格子状に設けることもできる。この場合、よりエア
ーの排出が容易となる。
【0022】またこの内壁部23は冷却部によって冷却
されるようになっている。本実施例における冷却部は、
内壁部23内側に隙間を設けて配されて、内壁部23と
の間に通水路Wを形成するドラム24である。図2及び
図3に示すように、ドラム24内には当該ロール21の
一端側より他端側に至るパイプ28が配されており、こ
のパイプ28の一端側には注水パイプ(図示しない)が
連結されるようになっている。パイプ28の他端側近傍
には複数の放水孔29が形成されており、この放水孔2
9から放水された水はドラム24と内壁部23との間に
形成された通水路Wを通って当該ロール21の一端側へ
至り、排水口30より排水されるようになっている。
【0023】そして、図4及び図6に示すように、この
通水路Wを通って水が当該ロール21の一端側へ至る過
程で前記内壁部23が冷却され、これに伴い成形孔25
底部に設けた空気抜き用通路27内の樹脂Rが冷却され
て硬化し、先端に径小の突起を有するズレ防止用突起が
成形されるのである。
【0024】尚、本実施例の場合、内壁部23内側に隙
間を設けて配されて、内壁部23との間に通水路Wを形
成するドラム24を冷却部としたが、単に内壁部23内
に水を満たしておいたり、当該ロール21内にエアコン
からの冷媒管を引き入れておき、内壁部23内側に冷風
を当ててこれを冷却したりすることもでき、この意味で
水そのもの、冷風を引き入れる冷媒管を冷却部とするこ
ともできる。
【0025】尚、本発明は、上記実施例に記載されたも
のに限定されるものではなく、例えば図7に示すよう
に、成形孔25底部に空気抜き用通路を形成しないで、
成形孔25底部がそのまま内壁部23の溝26と連通す
るようにするなど、特許請求の範囲に記載された範囲内
で自由に変更することができる。
【0026】
【発明の効果】請求項1記載のバッキング用彫刻ロール
にあっては、半ゲル化状態の樹脂をマット裏面側に塗布
して、これをバッキング用彫刻ロールに圧着させたと
き、成形孔内に入り込んだ樹脂に含まれるエアーが、内
壁周面に設けた成形孔底部に連通する溝を通って、樹脂
の入り込んでいない成形孔まで移動し、外側に排出され
るようになっているので、エアーの存在により、成形孔
内に隙間無く樹脂が入り込めず、ズレ防止用突起を正確
に成形できないという不具合を生じることがない。
【0027】請求項2記載のバッキング用彫刻ロールに
あっては、外壁の成形孔底部に同成形孔底部よりも径小
の空気抜き用通路が形成されているので、先端に径小の
突起を有するズレ防止用突起を変形することなく正確に
成形することができる。
【0028】請求項3記載のバッキング用彫刻ロールに
あっては、半ゲル化状態の樹脂をマット裏面側に塗布し
て、これをバッキング用彫刻ロールに圧着させたとき、
成形孔内に入り込んだ樹脂に含まれるエアーが、内壁周
面に設けた成形孔底部に連通する溝を通って、樹脂の入
り込んでいない成形孔まで移動し、外側に排出されるよ
うになっているので、エアーの存在により、成形孔内に
隙間無く樹脂が入り込めず、ズレ防止用突起を正確に成
形できないという不具合を生じることがない。
【0029】またこのバッキング用彫刻ロールにあって
は、内壁部が内側より冷却部により冷却されるようにな
っているので、成形孔内に入り込んだ樹脂、特に成形孔
底部の樹脂は冷やされて硬くなり、ロールからマットを
剥がし取るときにズレ防止用突起先端が変形するのを防
止することができる。
【0030】同時にこのバッキング用彫刻ロールにあっ
ては、成形孔底部の樹脂が冷やされて硬くなり、成形孔
底部を閉塞するので、成形孔に連通する溝内へ樹脂が侵
入するの防止でき、溝内への樹脂の侵入によるズレ防止
用突起の形状不良の発生を防止することができる。
【0031】請求項4記載のバッキング用彫刻ロールに
あっては、内壁部内側に隙間を設けて配されたドラムと
内壁部との間に形成された通水路を通って水が流れるこ
とにより内壁部が冷やされ、これに伴い成形孔底部内の
樹脂が冷却されて硬化するようになっているので、簡単
な構成で効果的な冷却ができる。
【0032】請求項5記載のバッキング用彫刻ロールに
あっては、外壁部の成形孔底部に同成形孔底部よりも径
小の空気抜き用通路が形成されているので、先端に径小
の突起を有するズレ防止用突起先端を変形することなく
正確に成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マット裏面にズレ防止用突起を有するバッキン
グ層を形成するための加圧ロール、彫刻ロール、及び冷
却ロールを示した模式図。
【図2】本発明のバッキング用彫刻ロールを示した一部
破断斜視図。
【図3】同じくバッキング用彫刻ロールの一部を破断し
た正面図。
【図4】同じくバッキング用彫刻ロールの要部拡大断面
図。
【図5】半ゲル化状態の樹脂をマット裏面側に塗布し
て、これをバッキング用彫刻ロールに圧着させたときの
エアーの排出状態を示した模式図。
【図6】半ゲル化状態の樹脂をマット裏面側に塗布し
て、これをバッキング用彫刻ロールに圧着させたときの
要部拡大断面図。
【図7】半ゲル化状態の樹脂をマット裏面側に塗布し
て、これを別の態様のバッキング用彫刻ロールに圧着さ
せたときの要部拡大断面図。
【図8】半ゲル化状態の樹脂をマット裏面側に塗布し
て、これを従来のバッキング用彫刻ロールに圧着させた
ときの要部拡大断面図。
【符号の説明】
22・・・外壁部 23・・・内壁部 24・・・ドラム 25・・・成形孔 26・・・溝 27・・・空気抜き用通路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 嘉子 岐阜県羽島郡笠松町友楽町51番地 有限 会社祥永物産内 (56)参考文献 特開 平7−24913(JP,A) 特開 平7−195514(JP,A) 特開 平7−284719(JP,A) 特開 昭54−100460(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 39/10 B29C 59/00 - 59/18 B05D 5/00 - 5/12

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マット裏面に塗布した半ゲル化状態の樹
    脂を圧着することで、マット裏面にズレ防止用突起を有
    するバッキング層を形成することができるバッキング用
    彫刻ロールであって、 前記マット裏面のズレ防止用突起に対応する多数の成形
    孔を設けた外壁部と、前記成形孔底部に連通する溝を周
    面に設けた内壁部とからなることを特徴とするバッキン
    グ用彫刻ロール。
  2. 【請求項2】 前記外壁部の成形孔底部に同成形孔底部
    よりも径小の空気抜き用通路を形成したことを特徴とす
    る請求項1記載のバッキング用彫刻ロール。
  3. 【請求項3】 マット裏面に塗布した半ゲル化状態の樹
    脂を圧着することで、マット裏面にズレ防止用突起を有
    するバッキング層を形成することができるバッキング用
    彫刻ロールであって、 前記マット裏面のズレ防止用突起に対応する多数の成形
    孔を設けた外壁部と、前記成形孔に連通する溝を周面に
    設けた内壁部と、内壁部を冷却する冷却部とからなるこ
    とを特徴とするバッキング用彫刻ロール。
  4. 【請求項4】 前記冷却部が内壁部内側に隙間を設けて
    配されて、内壁部との間に通水路を形成するドラムであ
    ることを特徴とする請求項3記載のバッキング用彫刻ロ
    ール。
  5. 【請求項5】 前記外壁部の成形孔底部に同成形孔底部
    よりも径小の空気抜き用通路を形成したことを特徴とす
    る請求項3または4記載のバッキング用彫刻ロール。
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