JP3188811B2 - ドラム式全自動洗濯機 - Google Patents

ドラム式全自動洗濯機

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JP3188811B2
JP3188811B2 JP14303294A JP14303294A JP3188811B2 JP 3188811 B2 JP3188811 B2 JP 3188811B2 JP 14303294 A JP14303294 A JP 14303294A JP 14303294 A JP14303294 A JP 14303294A JP 3188811 B2 JP3188811 B2 JP 3188811B2
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  • Detail Structures Of Washing Machines And Dryers (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水平軸周りに回転駆動
されるドラムに洗濯物を収容し、洗濯、濯ぎを行い、ド
ラムを高速回転させないで脱水を行うドラム式全自動洗
濯機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の洗濯物の脱水装置は、洗濯、濯ぎ
後に水を排水してから遠心脱水によって洗濯物と水を分
離する方法が一般的に知られている。これ以外に真空ポ
ンプと加熱機を使った脱水方法が、特開昭57−206
491号公報あるいは特開昭57−125800号公報
に開示されている。
【0003】前者は、洗濯後従来通り洗濯物を遠心分離
方法により脱水を行い、続いて水槽内の蓋および排水管
を全て閉じて密閉状態にした後に、真空ポンプにより水
槽内の空気を水槽外に排出する。これにより、水槽内の
気圧が下がると洗濯物より水分が蒸発し、水分は空気と
共に水槽内より排出される。また、加熱機により洗濯物
を加熱することにより、洗濯物近傍の飽和蒸気圧が上昇
するので、洗濯物中の水分の蒸発が活発になる。
【0004】後者は、洗濯物を水中で皺を延ばして折り
畳み、ケースの中の台に重ねて置いて、脱水してから吸
引装置で吸引し温風を送りながら、水分を気化させ吸引
して乾燥する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者で
は、水が蒸発する時に気化熱を持ち去るので、洗濯物に
残った水分の温度が下がり洗濯物が凍り付く可能性があ
り、洗濯物の生地を痛めてしまうことがある。また、真
空ポンプを用いて減圧する構造であるので、洗濯機が堅
牢な作りになり、コスト面や構造面で大きな負担がかか
る。そのうえ、加熱機を用いなければならないため、安
全対策が必要となり、コスト面や構造面にかかる負担が
さらに大きくなってしまう。
【0006】しかも、最初に遠心脱水が行われているた
め、洗濯または濯ぎ行程では55rpm以下の低速回転
であるが、脱水行程では600〜1000rpmの高速
回転となる。低速から高速への加速段階で、洗濯物がド
ラム内壁に均等に分布せず偏心回転が生じ、水槽が大き
く振動する。この水槽の振動がばね体や緩衝体を介して
洗濯機本体に伝わり、振動障害ならびに洗濯機本体の疲
労破壊を生ずる。さらには、振動が洗濯機を設置してい
る床面にも伝導され、これにより床面が大きく振動し使
用者に不快感を与え、騒音面でも大きな問題がある。
【0007】また、全自動洗濯機に後者を適用した場
合、洗濯物を折り畳む手間がいり、全自動とは言えなく
なってしまう。そのため、全自動洗濯機に適用すること
は不可能である。しかも、洗濯物の種類や厚さによって
空気の通過抵抗が異なり、温風が洗濯物全体を均一に通
過できなくなり、脱水のばらつきが生じるという問題が
ある。
【0008】本発明は、上記に鑑み、ドラムの回転によ
る脱水をなくして脱水時に発生する振動、騒音の低減を
図ることができる全自動のドラム式洗濯機の提供を目的
とする。さらに、洗濯物をきれいに脱水するとともに脱
水効率を上げて所要洗濯時間を短縮できる全自動のドラ
ム式洗濯機の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明による課題解決手
段は、水槽3に水平軸12周りに回転自在に内装支持さ
れた複数の通水孔7を有するドラム2に対して、ドラム
2の外周壁を覆ってドラム2の通水孔7と連通する吸引
体71と、ドラム2の内周壁に張り付いた洗濯物Sの水
分を吸引体71を通して吸引して脱水する吸引装置72
とが設けられ、洗濯物Sに応じて吸引体71と連通する
通水孔7の形状または分布を変えることにより面積が異
ならしめられたものである。
【0010】そして、吸引体71と吸引装置72との間
に気体溜槽81が設けられ、吸引装置72に、吸引体7
1との間を開閉する吸引弁80が設けられ、脱水中に吸
引弁80の開閉動作が行われる。また、吸引体71はド
ラム2の外周壁に離接自在に摺接され、ドラム2の回転
に応じて離接される。脱水時に洗濯物Sを加熱するため
の加熱器88が設けられている。
【0011】また、他の課題解決手段は、ドラム2の低
速回転によりドラム2の内周壁に張り付いた洗濯物Sか
ら水分を吸引して脱水する吸引装置9を設けたものであ
る。
【0012】そして、ドラム2の通水孔7の面積を可変
するために、スライド蓋100や吸引体71のシール板
73等の部材が設けられている。
【0013】
【作用】上記課題解決手段において、洗濯物Sの材質や
量に応じて最適な通水孔7を選択し、その通水孔7が吸
引体71の近傍にくる位置でドラム2を停止させる。こ
の状態で、吸引体71には覆われているが洗濯物Sが載
っていないという通水孔7が少なくなり、無駄な空気の
吸引を阻止できる。次に、吸引体71をドラム2に接触
させ、吸引装置72を始動する。吸引体71が洗濯物S
によって密閉された状態から吸引を行うと、ポンプ等に
過大な負荷が課せられるが、まず気体溜槽81の空気か
ら吸引されるので、吸引体71内は徐々に真空度が増す
ことになり、始動負荷を軽減できる。
【0014】そして、通水孔7を隔てた洗濯物Sとドラ
ム2内との間に圧力差が生じる。真空度が上昇すると洗
濯物Sに浸透した水分の膜が圧力に負け、空気と一緒に
吸引体71に吸い込まれていく。ここで、加熱器88に
より洗濯物Sを加熱すると、水分の蒸発が助長されると
ともに暖められた空気が洗濯物Sを通過するので、洗濯
物Sの乾燥が促進される。
【0015】このように、同じところで吸引脱水を行っ
ていると、洗濯物Sの一部が集中的に脱水されるので、
吸引体71をドラム2から離間させ、ドラム2を回転さ
せて洗濯物Sをほぐしながら撹拌して、新しい部分が吸
引体71に対応した位置にくるようにする。このとき、
洗濯物Sとドラム2との間に隙間が生じたり、洗濯物S
が載っていない通水孔7が存在したりすることになるの
で、通水孔7の面積を可変するようにすれば洗濯物Sを
通らずに直接吸い込まれる空気が少なくなり、吸引力の
低下を防止できる。
【0016】脱水の最終段階に近づくと、脱水量が減少
して空気が多く吸引され、吸引圧が低下していく。そこ
で、吸引弁80を周期的に開閉すると、負圧が増減して
圧力変動が起こり、空気振動が発生する。洗濯物Sはこ
の空気振動により揺さぶられて、水分が振りはらわれ、
洗濯物Sから水分を分離でき、脱水率を向上させること
ができる。
【0017】また、ドラム2を低速で回転させながら吸
引脱水を行うと、洗濯物Sは遠心力によりドラム2の内
周壁に押し付けられ、均一に薄く広がる。そのため、ド
ラム2全周からくまなく吸引を行え、洗濯物Sの新たな
面に入れ替える必要がなく、不均衡な脱水を防止でき、
効率よく脱水して脱水時間を短縮できる。
【0018】このとき、洗濯物Sの量が少ない場合、ド
ラム2全体に洗濯物Sが載らないので、効率よく脱水が
できなくなるが、スライド蓋100を移動させることに
よりドラム2の通水孔7を必要な部分だけ残して閉止す
る。これによって、不要な通水孔7からの空気の吸引が
なくなり、洗濯物Sを効率よく脱水することができる。
【0019】
【実施例】
(第一実施例)本実施例のドラム式全自動洗濯機は、図
1の如く、洗濯機本体1に、洗濯物Sを収容して回転す
るドラム2と、このドラム2の周りを囲んで回転自在に
支持する水槽3と、ドラム2を正逆回転させる駆動装置
4と、水槽3内に水を給水する給水装置5および水槽3
内の水を排水させる排水装置6と、ドラム2の外周壁を
覆ってドラム2の通水孔7と連通する吸引体8と、ドラ
ム2の内周壁に張り付いた洗濯物Sの水分を吸引体8を
通して吸引して脱水する吸引装置9とが設けられてい
る。
【0020】前記ドラム2は、周壁に多数の通水孔7が
形成され、前面に洗濯物Sを出し入れする開口10が形
成されている。そして、ドラム2の後面の中央に、水槽
3に摺接した回転受部11が突設され、回転受部11に
水平軸12が固定されている。水平軸12は、水槽3の
中心部を貫通して外側に突出しており、その先端側には
ドラムプーリ13が固定されている。また、水槽3の下
面には正逆回転可能なドラム駆動用モータ14が取付ら
れており、このモータ軸の駆動プーリ15とドラムプー
リ13とはベルト16で連結されている。これらの水平
軸12,ドラムプーリ13およびドラム駆動用モータ1
4等から駆動装置4は構成されている。なお、駆動装置
4はドラム2の回転を停止させるためのブレーキ機構を
有しており、ドラム2に直接制動力をかけたり、あるい
はプーリに制動力をかけるようになっている。
【0021】前記水槽3はドラム2および駆動装置4を
有して洗濯機本体1に収容されており、振動吸収のた
め、水槽3の上面がスプリング20により洗濯機本体1
から吊下げられ、また水槽3の下面と洗濯機本体1の底
面との間にダンパー21が設けられ、これらによって水
槽3を保持して振動を減衰させる構成となっている。さ
らに、水槽3の上面および前面には重り22が取付ら
れ、これによりドラム回転時の振動を低減している。ま
た、洗濯機本体1の底面には設置脚23が複数個設けら
れ、床等への振動の伝導を遮断している。
【0022】そして、水槽3の前面に、ドラム2の開口
10を臨む洗濯物投入口24が突設され、洗濯機本体1
に投入口24を開閉する密閉蓋25が開閉自在に取付ら
れている。また、水槽3の下面には排水口が形成され、
排水装置6が配されている。排水装置6は、排水口に接
続された排水パイプ26と、排水パイプ26中に介装さ
れた排水弁27とからなり、排水パイプ26に洗濯機本
体1外部に導かれた排水ホース28が接続されている。
水槽3の上面には給水口が形成され、給水装置5が配さ
れている。給水装置5は、給水口に接続された給水パイ
プ29と、給水パイプ29中に介装された給水弁30と
からなり、給水パイプ29は水道等に接続されており、
また、給水パイプ29の途中に洗剤、柔軟剤等を入れた
容器31が介装され、給水とともに洗剤が投入されるよ
うになっている。
【0023】前記吸引体8は、図1,2の如く、ドラム
2の下面の一部を取り囲むように軸方向に延設された2
枚の平板32と、両平板32の一端に接続され水槽3を
貫通して外部に突出した接続パイプ33とからなり、接
続パイプ33は伸縮自在となっている。そして、平板3
2の他端には、ドラム2に密着するようにシール材34
が取付られており、ドラム2の外周壁を密閉して被覆可
能とされる。
【0024】前記吸引装置9は、吸引体8の接続パイプ
33に接続された吸引パイプ35と、吸引パイプ35の
下方に配された排水タンク36と、排水タンク36に連
通した吸引ポンプ37と、吸引パイプ35に介装された
吸引弁38とを備えている。排水タンク36のドレン口
が、タンク弁39を介して排水パイプ26に接続されて
いる。排水タンク36内には、溜められた水がオーバー
フローするのを防止するために水位フロート40と、水
位フロート40の上下動でオンオフする水位検知スイッ
チとが設けられており、水位フロート40の浮上によっ
て前記スイッチが作動してタンク弁39が開放される。
【0025】また、吸引ポンプ37の排気側に循環パイ
プからなる循環路41が接続され、循環路41は水槽3
上部に形成された吸気口に接続され、循環路41中に吸
気弁42が介装されている。これによって、吸引ポンプ
37によってドラム2から吸引された空気は、吸引体
8、吸引パイプ35、排水タンク36から循環路41を
経て水槽3に至る循環経路を辿って循環される。
【0026】そして、吸引パイプ35の吸引弁38より
も下流側に、吸引パイプ35中を通過する水量を検出す
る排水センサ43が設けられており、電磁流量計、超音
波流量計、あるいはオーバル式,ロータリベーン式,ピ
ストン式といった容積式流量計が用いられる。
【0027】また、吸引パイプ35の吸引弁38と排水
センサ43との間に、外部から空気を取り入れる空気孔
44が形成されており、空気孔44に離接して開閉する
蓋45が設けられ、蓋45は洗濯機本体1に軸46周り
に回動自在に支持されたL字型揺動片47の一側に取付
られている。この蓋45が吸引パイプ35内の負圧によ
って空気孔44から吸い込まれる空気の流れに応じて空
気孔44に吸引パイプ35に対して移動され、圧力セン
サの役割を果たしている。
【0028】そして、蓋45の移動に応じて吸引体8の
ドラム2の外周壁に対する被覆面積を可変して吸引力を
調節するために、吸引体8の平板32をドラム2の外周
壁に沿って摺動させるようになっており、揺動片47の
他側にリンク杆48が連結されている。リンク杆48
は、水槽3に対してシールされながら貫通して、水槽3
内で二つに分岐してその先端がそれぞれ平板32に回動
自在に取付られている。これによって、吸引力に応じて
平板32のドラム2に対する被覆面積を可変する、言い
換えると通水孔7の面積を可変する吸引面積調節装置4
9が構成されている。なお、空気孔44は吸引体8の接
続パイプ33に形成されていてもかまわない。
【0029】上記モータ14、吸引ポンプ37、排水弁
27、給水弁30、吸引弁38、吸気弁42、タンク弁
39はマイクロコンピュータからなる制御装置50によ
りそれぞれ駆動制御されている。制御装置50は、洗濯
機本体1の上部に配設され、洗濯機本体1の外面に設け
られた操作パネルの操作キーからの入力および排水セン
サ43等の各種センサの出力信号にしたがって洗濯、濯
ぎ、脱水の各行程を実行させる。
【0030】制御装置50には、洗濯物Sの初期重さと
吸水後の重さから洗濯物Sの重量や布質を判断する洗濯
物判別機能と、この判断結果に基づいて給水量および洗
濯、濯ぎ、脱水の各運転条件を設定する運転設定機能等
の通常の全自動洗濯機が備えている機能以外に、以下に
示す機能を有している。すなわち、洗濯物Sの判別結果
に基づいて吸引ポンプ37による吸引圧を変える、例え
ば木綿ならば吸引圧を高くし、絹ならば吸引圧を低くす
るといった種別吸引制御機能と、排水センサ43で検出
した脱水量が減少していくにつれて吸引圧を下げて吸引
体8の被覆面積を減らす吸引圧制御機能と、脱水量が減
少したとき吸引ポンプ37を一時停止させてからドラム
2を回転させて洗濯物Sを移動させる脱水時洗濯物移動
制御機能である。
【0031】ここで、洗濯物を判別する方法として、最
初に洗濯物Sをドラム2に入れて、モータ14を駆動し
てドラム2を回転させそれから停止させると、ドラム2
の慣性によりドラム2は瞬時に停止せず少しの時間回り
続けるため、モータ14も回転してモータ14の電極端
子部に起電力が発生する。この起電力はドラム2と洗濯
物Sの重量によって変化するので、この起電力を測定す
ることにより洗濯物Sの初期重さXが検出される。次
に、水を排水しながら給水して洗濯物Sに吸水させた
後、上記と同じように吸水させた洗濯物Sの重さYを検
出する。そして、吸水させた洗濯物Sの重さYと初期重
さXから以下に示す計算式によって洗濯物Sの吸水度Z
を算出する。すなわち、これによって洗濯物Sの材質が
表され、例えば、綿ならば吸水性は大きく、絹ならば吸
水性は小さい。
【0032】Z=(Y−X)/X 上記構成において、洗濯および濯ぎ行程に関しては従来
の全自動洗濯機と同じであるため脱水行程について説明
をする。濯ぎ行程が終わると、排水弁27が開放され、
水槽3から水が排水される。ドラム2内に収容された洗
濯物Sは、排水によりドラム2の下部に広がった状態で
内周壁に張り付く。そして、洗濯物Sの判別結果により
設定された脱水運転条件で脱水行程が開始される。
【0033】まず、モータ14を駆動してドラム2を低
速で数回転させ、ドラム2内の洗濯物Sのからみをとき
ほぐし均一に広げる。モータ14の停止後、排水弁27
およびタンク弁39を閉止して水槽3を密閉状態にして
おき、吸気弁42、吸引弁38を開放させ、吸引ポンプ
37を駆動する。吸引ポンプ37の吸引により排水タン
ク36、吸引パイプ35を通じて吸引体8に負圧の力が
加わる。ここで、吸引体8の平板32は通常ドラム2に
接しておらず、ある間隔を維持して離れているが、吸引
パイプ35内の負圧により空気孔44から外部の空気が
取り入れられ、蓋45に負圧の力が加わる。蓋45は吸
引パイプ35に引きつけられて、空気孔44が閉止され
る。これにより、揺動片47が時計周りに回動し、リン
ク杆48が押し上げられ、平板32はドラム2の外周壁
に密着される。
【0034】吸引体8内では真空度が増し、通水孔7を
隔てた洗濯物Sとドラム2内との間に圧力差が生じる。
真空度が上昇すると洗濯物Sに浸透した水分の膜が圧力
に負け、空気と一緒に吸引体8に吸い込まれていく。こ
の水分を含んだ空気は、吸引体8から吸引パイプ35を
通り排水タンク36に到達する。このとき、水と空気は
重さの違いにより分離され、水は排水タンク36に貯水
され、空気は吸引ポンプ37内に吸い込まれていく。吸
引ポンプ37に取り込まれた空気は、発熱した吸引ポン
プ37を通り空冷することによって温風となり、循環路
41を上昇し吸気弁42を通り水槽3内に吹き出され
る。この温風が洗濯物Sを通過することによって水分の
蒸発を助長して、洗濯物Sの乾燥を促進させる。しか
も、吸引された空気は高温多湿になり、排水タンク36
内に導かれるが、排水タンク36内は洗濯物Sより分離
された水により周囲温度より低くなっているので、高温
多湿の空気は排水タンク36内で結露し水分が取り除か
れ、乾燥した空気となって再び循環される。
【0035】また、洗濯物Sより吸引された水が吸引パ
イプ35を通過するとき排水センサ43によって絶えず
脱水量は検出され、制御装置50に検出値が出力されて
いる。洗濯物Sからの水の脱水量が減ってきて基準値よ
り少なくなると、吸引される洗濯物Sの同一場所におけ
る脱水の限界と判断され、吸引ポンプ37を停止して、
吸引体8をドラム2から離間させ、モータ14を駆動し
てドラム2を回転させる。すると、洗濯物Sが移動し
て、洗濯物Sの新たな面が吸引体8に対応した位置にく
る。そして、再び吸引ポンプ37を駆動して吸引脱水を
行う。
【0036】脱水の終了段階に近づくと、脱水量が減少
していくにつれて洗濯物Sを通過する空気が多くなり、
負圧力が低下していく。これに伴って吸引圧が下がるの
で、蓋45は空気孔44を密閉できなくなり、吸引パイ
プ35から少し離れる。すると、リンク杆48が下降し
て平板32がドラム2から離間しようとするが、平板3
2にはまだ負圧が作用しているため、シール材34はド
ラム2に密着したまま接続パイプ33が縮んで平板32
がドラム2の外周壁を互いに近づく方向に摺動し、吸引
体8の被覆面積が減ることになる。したがって、洗濯物
Sの水分の抜けによる負荷の軽減により吸引圧を下げ、
逆に風量が上がることになり、適量な空気が洗濯物Sを
乾燥させながら通過していく。
【0037】このような吸引脱水を行うことにより、脱
水時にドラム2を高速回転しなくてよくなり、水槽3が
大きく振動することがなくなり、それとともに機械的騒
音を最小限に留めることが可能となり、使用者に不快感
を与えない。そのため、防振対策が不要となり、洗濯機
本体を堅牢にする必要がなく、補強材や振動減衰機構を
簡略化することで大幅なコストダウンが可能となる。
【0038】また、洗濯物から吸引された脱水量を監視
することにより吸引される洗濯物の同一場所における脱
水の限界を知ることができるので、ドラム2の回転によ
り洗濯物が移動して洗濯物の脱水されていない部分の吸
引脱水が可能となり、これにより均衝のとれた脱水を行
うことができる。しかも、脱水のできていない場所だけ
を選択して集中的に脱水することが可能となるので、脱
水時間短縮に大きく貢献できる。
【0039】また、吸引した空気を吸引ポンプ37を通
して水槽3内に循環させているので、吸引ポンプ37を
冷却できるとともに、別に加熱器を設けなくても、ここ
で発生した温風により洗濯物全体の温度を上昇させるこ
とにより加熱器の役割を果すことができ、蒸発が促進さ
れるので、脱水時間を短縮できる。しかも、脱水率の向
上にも寄与する。
【0040】そして、脱水の初期段階では多量の水が分
離され終了段階では少量の水が吸引されるのみである
が、脱水量に応じて吸引体8の被覆面積を小さくしてい
るので、最終段階において洗濯物を通る空気の量と負圧
力を最大限に活用でき、効率のよい脱水を行うことがで
きる。すなわち、吸引ポンプ37の最大仕事率となると
ころで駆動でき、最大仕事率上では負圧力や風量が適切
であり、最終段階である洗濯物に適量な負圧力で吸引を
行い、適量な風量によって洗濯物を乾燥できる。このよ
うに、最終段階において、洗濯物の水分の抜けによる負
荷の軽減により吸引圧を下げ逆に風量を上げることで洗
濯物の脱水率の向上を図れるとともに脱水時間を短縮で
きる。
【0041】(第二実施例)本実施例のドラム式全自動
洗濯機は、図3の如く、ドラム60の周壁がハニカム状
または網目状に形成され、これらの孔が通水孔61とな
っている。そして、通水孔61の全部あるいは一部に
は、図5に示すようにゴムからなる開閉弁62が設けら
れており、ドラム60の内側方向に向かって開閉するよ
うになっているので、開閉弁62はドラム60の内側か
ら外側に向かって流れる風によって通水孔61を閉塞す
る。
【0042】このドラム60の下部の外周壁に、図4に
示すような吸引体63の連結口64が軸方向に細長く接
触して設けられており、吸引体63はゴムから成形さ
れ、ドラム60に対して圧接されている。そのため、ド
ラム2の振動に対して追従でき、しかもドラム60が回
転しても常に摺接するようになっている。そして、排水
タンク36と吸引ポンプ37との間に、歪みゲージ式あ
るいは作動キャパシタンス式等の圧力センサ65が配さ
れている。その他の構成は第一実施例と同じである。
【0043】本実施例における制御装置66は、通常の
機能以外に、洗濯濯ぎ行程において給水を行いながら吸
引ポンプ37を駆動する吸引排水制御機能と、脱水行程
においてドラム60を低速で回転させながら吸引脱水を
行う脱水回転制御機能と、洗濯物Sの判断結果に応じて
ドラム60の回転数を可変する、例えば木綿ならば回転
数を上げ、絹ならば回転数を下げるといった種別ドラム
回転制御機能と、脱水開始時の吸引圧が下限所定値より
小さいとき吸引圧が下限所定値を超えるまでドラム60
を正逆回転させて洗濯物Sを移動させる脱水前洗濯物移
動制御機能と、脱水終了後に吸引ポンプ37を停止させ
てドラム60を回転させる洗濯物ほぐし制御機能とを備
えている。
【0044】上記構成において、洗濯濯ぎ行程では、給
水を行いながら吸引ポンプ37を駆動して、吸引体63
から吸引パイプ35を経て排水タンク36に排水を行
う。このとき、タンク弁39は開放しておき、排水タン
ク36に水が溜まりすぎないようにしておく。洗濯物S
から剥離した汚れは素早く排水され、これによって汚れ
が洗濯物Sに再付着することが防止され、きれいな洗濯
仕上げが可能となり、洗濯時間の短縮を図ることができ
る。
【0045】濯ぎ行程が終了すると、排水を行ってから
排水弁27および給水弁30を閉止する。そして、吸引
弁38および吸気弁42を開放し、モータ14を駆動し
てドラム60を回転させながら吸引ポンプ37を駆動す
る。このとき、吸引体63の連結口64がドラム60を
被覆した領域において、ドラム60の内周壁に図5のよ
うに洗濯物Sが載った状態では、空気の流れが洗濯物S
によって邪魔されるので、開閉弁62を開いたままであ
る。しかし、洗濯物Sの載っていないところでは、ドラ
ム60の内側から吸引体63を通して空気が吸引される
ので、開閉弁62は閉じられる。なお、吸引体63の連
結口64がドラム60を被覆していない領域において
は、ドラム60の外側から内側に向けて空気が流れるの
で、開閉弁62は開いたままである。
【0046】そして、図6の(A)のようにドラム60
の内周壁に洗濯物Sが載った状態で吸引するとき、圧力
センサ65によって検出される吸引圧は低い値となる。
そこで、モータ14を正逆反転駆動させてドラム60を
正逆転させることにより、洗濯物Sが揺り動かされて広
がった状態になり、図6の(B)に示すように吸引体6
3の連結口64がドラム60を被覆した領域を完全に覆
う。吸引圧が下限所定値を超えるまで上記の動作を実行
し、下限所定値を超えると、ドラム60を一方向へ回転
させながら洗濯物Sの種別に応じた駆動条件で吸引脱水
を開始して、洗濯物Sに優しい脱水を行う。
【0047】脱水中には、ドラム60の低速回転により
洗濯物Sは絶えず移動され、まんべんなく脱水が行われ
る。また、ドラム60は振動しながら回転するが、吸引
体63の連結口64が弾性を有しドラム方向に付勢され
ているので、ドラム60から離れることはなく周囲から
空気を巻き込まずに吸引力が維持される。なお、ドラム
60は低速回転されているので、その振動や騒音は問題
とならない。
【0048】脱水の終了段階に近づいていくと、吸引パ
イプ35を通過する脱水量が徐々に低下していく。これ
に応じてドラム60は最初高回転であったのを徐々に回
転数を下げていく制御を行う。あるいは吸引ポンプ37
の出力を最初高くして徐々に低くしていく制御を行う。
なお、ドラム60と吸引ポンプ37のどちらか一方だけ
でなく両者に対して同じ制御を行うことも可能である。
このような制御を行うことにより、洗濯物Sを傷めるこ
となく洗濯物Sに対して優しい脱水を行うことができ
る。
【0049】そして、脱水が終了すると、吸引ポンプ3
7は停止され、吸気弁42や吸引弁38が閉止される。
引き続きモータ14は駆動させるが正逆反転駆動を行
い、ドラム60を正逆回転させて、絡まった洗濯物Sを
ほぐすことにより洗濯物Sを取り出しやすい状態にして
おくことができる。最後にモータ14を停止させ、密閉
蓋25を開けて、ドラム60から洗濯物Sを取り出す。
【0050】以上のように、ドラム60を回転させなが
ら吸引脱水を行うことにより、洗濯物が均一に撹拌さ
れ、洗濯物のある部分が集中的に吸引されるといった不
均衡な脱水を防止でき、洗濯物を効率よく脱水して脱水
時間を短縮できる。そして、ドラム60の通水孔61が
ハニカム状とされ、通水孔61に開閉弁62を設けるこ
とにより、洗濯物の存在しない場所では開閉弁62が閉
じるので、洗濯物の存在する場所に有効的に吸引力が作
用して脱水効率を向上させることができる。
【0051】また、脱水前に圧力センサ65で吸引圧を
検知することにより、吸引体63に対して洗濯物がどの
ような状態にあるか判断でき、もし洗濯物が吸引体63
の連結口64を覆う状態にないときに吸引脱水を行って
も効率が悪いだけであり、ドラム60を回転させること
によって上記の状態を解消できるので、吸引体63に対
して洗濯物を最良の状態にすることができ、脱水効率を
向上させることができる。
【0052】(第三実施例)本実施例の洗濯機では、図
7,8の如く、複数の通水孔7を有するドラム2内で洗
濯物Sを掻き上げて落下させながら洗うというタンブリ
ングを行うためにドラム2の内周面に軸方向に沿って3
本のバッフル70が突設されている。そして、第一実施
例と同様、吸引体71および吸引装置72が設けられて
いる。
【0053】ドラム2の構造は第一実施例と同じである
が、ドラム2のバッフル70によって区切られた3カ所
の領域における通水孔7の形状、分布がそれぞれ異なっ
ている。すなわち、図9の(A)に示すように第一領域
では、通水孔7の径が大きく、ドラム2の周面にわたっ
て一様に並んでいる。この領域では、主に毛布やバスタ
オル等の厚手で嵩の張る洗濯物Sに対応している。同図
(B)に示す第二領域では、通水孔7の径が小さく、ド
ラム2の周面外側を除いて内側に集まって一様に並んで
いる。この領域では、衣類等の洗濯物Sに対応してい
る。同図(C)に示す第三領域では、通水孔7の径は微
小となり、あたかも1個の円形の通水孔の如くドラム2
の周面の中央に集中している。この領域では、ハンカチ
やタオル等の薄手の洗濯物Sに対応している。
【0054】そして、ドラム2の各領域に対応した回転
位置を検出するための位置検出センサと、ドラム2の回
転速度を検出する速度センサとが設けられている。位置
検出センサは、ドラム2の外周面の各バッフル70に対
応する場所に取付られた被検出体に対向させて水槽3に
取付られている。位置検出センサとしては、光センサ、
磁気センサが用いられ、光センサの場合、被検出体は光
の反射性のよい材料をドラム2の外周面に貼着したりあ
るいは埋め込む。磁気センサの場合は、被検出体として
磁性材料を用い、同様にドラム2の外周面に貼着したり
あるいは埋め込む。これによって、直接バッフル70の
位置を検出できる。また、ドラム2の後面あるいはドラ
ムプーリ13に被検出体を取付て、これに対向させて位
置検出センサを配したものでもよい。そして、速度セン
サは、ドラム駆動用モータ14のモータ軸の回転速度を
直接検出する電磁式センサとするか、あるいは前記位置
検出センサを利用して位置検出センサの検出信号から回
転速度を算出するものでもよい。
【0055】前記吸引体71は、図10の如く、ドラム
2の下面の一部を取り囲むようにドラム外周方向に沿っ
て延設されたシール板73と、シール板73中央に形成
された吸引口に接続され水槽3を貫通して外部に突出し
た接続パイプ74とからなり、接続パイプ74は伸縮自
在となっている。そして、シール板73は、ドラム2に
対して離接自在とされており、接続パイプ74の弾性力
によりドラム2から吸引体71を離間させている。この
離接機構は、図11の如く、ソレノイド75から突設さ
れた連結棒76を水槽3に対しシールしながら貫通さ
せ、先端をシール板73に連結している。ソレノイド7
5の電磁コイルに通電を行うことにより、連結棒76を
押し上げて、ドラム2の一領域に相当する外周壁を密閉
して被覆可能とする。
【0056】前記吸引装置72は、吸引体71の接続パ
イプ74に接続された吸引弁80と、排水タンク36
と、排水タンク36と吸引弁80を接続する吸引パイプ
35と、吸引ポンプ37とを備え、排水タンク36と吸
引弁80との間に、始動時に吸引ポンプ37に過大な負
荷がかからないようにするための気体溜槽81が設けら
れている。気体溜槽81は、中空の箱からなり、上下面
に形成された開口に吸引パイプ35が接続されている。
また、排水タンク36のドレン口が、タンク弁39を介
して排水ホース28に接続されている。排水タンク36
内には、溜められた水がオーバーフローするのを防止す
るために、水位フロート40が設けられており、水位フ
ロート40の浮上によってタンク弁39が開放される。
なお、吸引ポンプ37からの排気は、第一実施例のよう
に循環路を設けて、水槽3内に循環させてもよく、ある
いはそのまま排出させてもよい。ただし、この場合、水
槽3に空気を取り入れるための孔を形成しておく。
【0057】前記吸引弁80は、図12,13の如く、
吸引パイプ35内部を開閉して吸引ポンプ37からの吸
込力を制御するもので、吸引パイプ35中に回転自在に
円形蓋82が設けられ、円形蓋82の中心を通る軸83
がシールされて吸引パイプ35を貫通しており、一端は
モータ84にジョイント85を介して接続され、他端は
吸引パイプ35上の軸受け86に回転自在に支持されて
いる。なお、モータ85は取り付け金具87により吸引
パイプ35に取り付けられている。これにより、円形蓋
82が横向き姿勢になると吸引パイプ35内部は閉止さ
れ、縦向き姿勢になると吸引パイプ35内部は連通さ
れ、吸引ポンプ37によって空気を吸い込むことが可能
となる。
【0058】また、水槽3内の上部には加熱器88が設
けられており、マグネトロンが用いられ、ドラム2の通
水孔7を通して洗濯物Sにマイクロ波を照射している。
このマグネトロンの代わりに、ヒータと送風機を組み合
わせて、温風を吹き付けるようにしてもよい。なお、他
の構成は第一実施例と同じである。
【0059】上記吸引ポンプ37、吸引弁80、タンク
弁39、排水弁27、給水弁30、モータ14、加熱器
88を駆動制御するためのマイクロコンピュータからな
る制御装置50が設けられている。制御装置50は、洗
濯機本体1の上部に配置され、洗濯機本体1の外面に設
けられた操作パネルの操作キーからの入力および排水セ
ンサ43等の各種センサの出力信号にしたがって洗濯、
濯ぎ、脱水の各行程を実行させるために、洗濯物Sの初
期重さと給水後の重さから洗濯物Sの重量や布質を判断
する洗濯物判別機能と、この判断結果に基づいて洗濯、
濯ぎ、脱水の各運転条件を設定する運転設定機能等の通
常の全自動洗濯機が備えている機能を有している。
【0060】また、通常の機能以外に、洗濯物Sの材質
や量に応じてドラム2の3種類の通水孔7を選択してそ
れが吸引体71の上方にくるように位置検出センサおよ
び速度センサの検出信号に基づいてドラム2を基準位置
で停止させる停止機能と、洗濯物Sの材質や量に応じて
ドラム2の停止および回転の時間を自動的に設定する脱
水条件設定機能と、脱水センサ43からの検出信号に基
づいてドラム2を回転させて洗濯物Sを撹拌する洗濯物
撹拌機能と、脱水中においてドラム2が停止していると
き吸引体71を密着させ回転しているとき吸引体71を
離間させるドラム円滑回転機能と、脱水の最終段階で脱
水量が減少していくとき吸引弁80を周期的に開閉させ
る吸い込み制御機能とを備えている。
【0061】前記脱水条件設定機能は、洗濯開始時に洗
濯物Sの材質および量を検知判別した結果から、洗濯物
量が多いほど、また吸水性が大きいほど脱水時間におけ
る静止時間の比率を多くし、ドラム2の回転、停止の時
間を変化させている。すなわち、ドラム2を静止して吸
引脱水を行うほうがドラム2を回転させながら吸引脱水
を行うよりも吸引力を強力に発揮させることができるの
で、洗濯物量が多いほど、また吸水性が大きいほど静止
時間の比率を多くしている。
【0062】上記構成において、洗濯および濯ぎ行程に
関しては従来の全自動洗濯機と同じであるため濯ぎ行程
の最終段階から説明する。洗濯物Sの材質や量を判別し
た結果に基づいて脱水の各運転条件が設定されており、
洗濯物Sにドラム2のどの領域の通水孔7を使用するか
決定され、濯ぎ行程の最後の濯ぎが終わり濯ぎ水をドラ
ム2から排出するときに速度センサによりドラム2の回
転速度を検出し、位置検出センサにより検出したドラム
位置に基づいてモータ14を停止させ、ドラム2あるい
はプーリ等にブレーキをかけて、決められたドラム2の
領域が吸引体71の上方にくる位置にドラム2を止め
る。
【0063】例えば、毛布、バスタオル等の厚手で量の
多い洗濯物Sについては、ドラム2の第一領域を使用
し、第一領域が吸引体71の上方に位置するようにドラ
ム2を止め、排水弁27を開放させ水槽3から濯ぎ水を
排水する。この領域では、通水孔7の形状が大きくドラ
ム2の第一領域全面に通水孔7が設けられており、洗濯
物Sの厚みや量が多い場合に通水孔7の形状が小さい領
域を使用すると、通水孔7自体の通過抵抗が増え、脱水
の妨げとなり脱水率を悪化させてしまうので、この場合
には第一領域が使用される。また、ハンカチやタオルな
どの薄手の洗濯物Sに対しては、吸引体71に連通する
通水孔7に洗濯物Sが載っていないと、ドラム2の内側
から吸引体71を通り空気が吸引され、脱水率が悪くな
ってしまう。しかし、この第三領域では通水孔7の形状
が小さいため、若干の隙間では真空度が低下せず、通水
孔7の個々の圧力は維持され、洗濯物Sの少ない場合で
も効率よく脱水が行える。このように、洗濯物Sの材質
や量に応じて通水孔7の面積を変えることにより、洗濯
物Sのない通水孔7からの空気の吸い込みによるショー
トサーキットや通水孔7と洗濯物Sとの隙間を最小限に
することができ、効率のよい脱水ができ、脱水時間を短
縮することができる。
【0064】次に排水がすべて終わると、ソレノイド7
5の電磁コイルを励磁させ、連結棒76をドラム方向に
移動させて、吸引体71のシール板73を連結棒76に
より押し上げる。吸引体71のシール板73はドラム2
に対し同心円に形成されているので、シール板73はド
ラム2と完全密着となり、吸引体71の吸引口に連通す
る通水孔7以外の通水孔7がシール板73により閉止さ
れ、通水孔7の面積が減少されたことになる。これによ
って、吸引口に隣合った通水孔7からの空気の吸い込み
によるショートサーキットが防止でき、脱水率の向上が
図られる。
【0065】ところで、図9に示す通水孔7では一様に
分布しているので、洗濯物Sの量が少ない場合に吸引体
71が被覆する領域において隙間が生じる可能性があ
り、洗濯物Sは濯ぎ水を排出後ドラム2下部の吸引体7
1が被覆する中央に集まり、隙間のできるところは限定
されて被覆される中央より端に隙間が生じ、洗濯物Sの
載っていない通水孔7から空気を吸引することになり、
十分な脱水が行えない。そこで、この隙間の影響を最小
限にするため、図14の如く、ドラム2中央部は通水孔
7の数を多くし、外に向かう方向には数を少なくして、
吸引体71が接する中央を中心に通水孔7の数が前後に
広がるほど数が減る分布になっている。これにより、洗
濯物Sの載っていないところでは、通水孔7の数を少な
くでき、ドラム2の内側から通水孔7を通して吸引体7
1に空気が入り込む量を最小限に押えることが可能とな
り、脱水率の向上に寄与できる。また、洗濯物Sの量が
少なくて吸引体全体を覆わない場合でも、隙間となる通
水孔7が少ないため、脱水率を損なうことはない。
【0066】そして、洗濯物Sの判別結果により設定さ
れた脱水運転条件で脱水行程が開始され、排水弁27お
よびタンク弁39を閉止し、吸引弁80を開放させ、吸
引ポンプ37を駆動する。脱水初期状態において吸引体
71に連通するドラム2の通水孔7上には洗濯物Sが水
分を多く含んだ状態で位置しており、吸引ポンプ37の
動作時には、閉止状態からの始動となり、過大な負荷が
吸引ポンプ37に課せられる。しかしながら、吸引パイ
プ35途上に設けられた大容量の気体溜槽81によっ
て、吸引ポンプ37はまず気体溜槽81の空気を抜く動
作を行い、吸引体71内では真空度が徐々に増し、通水
孔7を隔てた洗濯物Sとドラム2内との間に圧力差が生
じる。真空度が上昇すると洗濯物Sに浸透した水分の膜
が圧力に負け、空気と一緒に吸引体71に吸い込まれて
いく。この水分を含んだ空気は、吸引体71から吸引パ
イプ35を通り排水タンク36に到達する。このとき、
水と空気は重さの違いにより分離され、水は排水タンク
36に貯蔵され、空気は吸引ポンプ37内に吸い込まれ
て排気されていく。したがって、気体溜槽81を設ける
ことにより、吸引ポンプ37の始動時の負荷が軽減さ
れ、駆動部品に対する負担を少なくでき、寿命を延ばす
ことができる。また、脱水開始から洗濯物Sの水分が急
激に出てこなくなり、水分がパイプ35や排水タンク3
6に緩やかに移動するため、衝撃がなく吸引装置72の
耐久性の向上につながり、騒音も低下させることができ
る。
【0067】また、濯ぎ水が水槽3から排水されると、
直ちに加熱器88を作動させ、ドラム2に対してマイク
ロ波を照射し、ドラム2の加熱によって水槽3内の空気
を暖める。また、マイクロ波はドラム2の通水孔7を通
りドラム2内にある洗濯物Sを直接加熱し、内部にわた
って暖める。暖められた空気を洗濯物Sを通して吸い込
むと、温風が洗濯物Sを通過することによって水分の蒸
発を助長して、洗濯物Sの乾燥を促進させる。吸引され
た空気は高温多湿になり、排水タンク36内に導かれる
が、排水タンク36内は洗濯物Sにより分離された水に
より周囲湿度より低くなっているので、高温多湿の空気
は排水タンク36内で結露し水分が取り除かれる。な
お、除湿した空気を循環させる場合、この空気は温風と
なっているので、加熱器の役割を果たし、洗濯物Sを通
過するときに洗濯物Sの温度の低下を防ぎ、蒸発を促進
させる。
【0068】脱水中、洗濯物Sからの吸引された水分を
含んだ空気は吸引パイプ35、気体溜槽81を通過して
排水タンク36に導かれるときに、排水センサ43によ
って絶えず脱水量が監視されており、制御装置50に検
出値は出力されている。脱水するにつれて洗濯物Sから
の脱水量が減少し基準値より少なくなると、吸引される
洗濯物Sの同一場所における脱水の限界と判断され、吸
引ポンプ37を停止しソレノイド75の電磁コイルへの
通電を切る。すると、連結棒76が下方向に移動し、吸
引体71がドラム2から離間するので、モータ14を駆
動しても吸引体71の抵抗を受けずにドラム2は円滑に
回転される。これによって、洗濯物Sが移動して、洗濯
物Sの新たな面が吸引体71に対応した位置にくる。そ
して、再びドラム2の同じ領域が吸引体71の上方にく
る位置にドラム2を停止させ、吸引体71をドラム2に
密着させて吸引ポンプ37を駆動して吸引脱水を行う。
したがって、ドラム2が回転するとき吸引体71を離間
させることにより、吸引体71は回転を妨害せず、モー
タ14に過大な負荷をかけることなく、吸引体71のシ
ール板73も劣化することはない。そのため、モータ1
4や吸引体71の寿命を延ばすことができ、保守点検が
不要になる。
【0069】しかし、洗濯物Sの新たな面を出すために
ドラム2を回転させて洗濯物Sをほぐしながら撹拌する
ので、新たな面には多少の隙間が生じやすいことがあ
る。隙間が生じると、吸引された空気は洗濯物Sを通ら
ず吸引ポンプ37に直接吸い込まれていくので、吸引圧
が下がって空気が通りにくくなり、脱水の効率が悪くな
る。
【0070】そこで、吸引体71として、図15のよう
に、ドラム2の外周壁に離接する複数の連結口90を設
け、各連結口90を吸引パイプ35に接続し、それぞれ
の連結口90と吸引パイプ35との間に開閉弁91を介
装させて、連結口90内の風速を超音波式やタービン式
等の流量計からなる風速センサ92により検知して開閉
弁91を制御することによって、隙間のある箇所を閉止
し、吸引力を上げ洗濯物Sに適切な圧力と空気を与える
ことができる。なお、開閉弁91の構造は上記吸引弁8
0と同じ構造である。
【0071】すなわち、図15において、吸引体71の
連通するドラム2内周面に洗濯物Sがあり、例えば吸引
体71の上から1段目A’と左から1番目Aの連結口9
0に隙間を生じていると、吸引ポンプ37を駆動したと
きに、この連結口90では他の連結口90より風速が極
端に上がる。この事象を風速センサ92で検知し、制御
装置50からの指令にてこの連結口90の開閉弁91を
閉じる。このように、各連結口90の風速を監視するこ
とで洗濯物Sの偏りによる隙間を検知して、洗濯物Sが
載っていない場所を塞ぐことにより吸引体71の吸引力
の低下を防ぎ、洗濯物全体に吸引圧をかけて空気を通す
ことが可能となり、効率的な吸引脱水が行える。
【0072】脱水の最終段階に近づくと、脱水量が減少
していくにつれて洗濯物Sを通過する空気が多くなり、
吸引力が低下していく。ここで、洗濯物Sから水分を効
率よく脱水するには、洗濯物Sを通過する適度な空気量
と吸引力が必要となる。そのため、吸引弁80を周期的
に作動させる。吸引弁80の閉止状態では、吸引ポンプ
37が吸引パイプ35内部および気体溜槽81の空気を
抜き、吸引ポンプ37の最大負圧力まで到達し、これを
吸引ポンプ37に設けられた圧力センサで検知すると、
モータ84を駆動して円形蓋82を回転させて開状態に
する。これにより負圧になっていたパイプ35内部およ
び気体溜槽81に急激に吸引体71からの空気が吸い込
まれてくる。しかし、気体溜槽81は大容量のため、全
体を満たすまで吸引体71には適度の空気量と吸引力が
維持される。この繰り返しにより、脱水の効率を向上さ
せ脱水時間を短縮することができる。
【0073】また、吸引弁80を周期的に開閉すること
で吸引体71内部に圧力差ゼロと最大値との間での圧力
変動が起こり、この変動によって空気振動が発生させら
れる。吸引体71上部に位置する洗濯物Sは空気振動に
より揺さぶられ、布間に浸透している水分をはたくよう
な作用をし、水分の分離しやすい状態となり、吸引脱水
を助長し脱水率を向上させることができる。
【0074】(第四実施例)本実施例のドラム式全自動
洗濯機は、図16の如く、ドラム2の低速回転によりド
ラム2の内周壁に張り付いた洗濯物Sから水分を吸引し
て脱水する吸引装置9と、洗濯濯ぎと脱水とによってド
ラム2の通水孔7の面積を可変とするスライド蓋100
と、スライド蓋100をドラム2に対して移動させる移
動装置101とが設けられており、上記実施例で説明し
た吸引体および排水機構が簡素化された構造となってい
る。なお、第一実施例と同じ構成部材には同一符号を付
している。
【0075】前記ドラム2は、内周面に3本のバッフル
70が突設され、各バッフル70で囲まれた領域に通水
孔7が整列して配置されている。ドラム2の開口部10
は、水槽3の洗濯物投入口24に取り付けられた回転シ
ール102に水密に接続されており、ドラム2は水槽3
とのシールを保ちながら回転自在となっている。また、
回転シール102に吸気パイプ103が接続され、吸気
パイプ103は水槽3をシールしながら貫通しており、
その先端が、洗濯機本体1内部に位置して、フィルタ1
04が取り付けられている。この吸気パイプ103には
吸気弁105が介装され、水槽3の外部から空気をドラ
ム2に取り込み可能となっている。
【0076】前記吸引装置9は、水槽3下部の排水口に
接続された吸引パイプ35と、排水タンク36と、吸引
ポンプ37と、吸引弁38と、排水ホース28に接続さ
れたタンク弁39とからなり、第一実施例の吸引装置9
と同じ構成となっているが、洗濯水や濯ぎ水の排水を行
う機能も有している。また、吸い込んだ空気は吸引ポン
プ37から直接排気されるようになっている。
【0077】前記スライド蓋100は、図17,18の
如く、ドラム2より少し大径に形成され、全周壁にドラ
ム2の通水孔7に対応する複数の通水孔106が形成さ
れているが、図18(A)に示すように一対のバッフル
70の間の中央に1カ所だけ楕円形の吸引孔107が形
成されている。そして、スライド蓋100は、図19の
如く、前面がドラム2の前縁に形成された凹部108に
はめ込まれ、後壁はドラム2の回転受部11に固定され
た水平軸12に回転自在に支持されている。この後壁に
水平軸12を挿通した回転円盤110が突設され、水槽
3に回転自在にシールされて外側に突出している。
【0078】前記移動装置101は、ドラム2の駆動装
置4を利用しており、図20の如く、水平軸12に固定
された固定円盤111と、固定円盤111および回転円
盤110に係合可能とされ水平軸12に沿って移動する
固定治具112と、固定治具112を移動させるクラッ
チ113と、水平軸12を回転するための前記駆動装置
4とから構成される。回転円盤110には、図21
(A)の如く、180度対称の位置にドラム2とスライ
ド蓋100の通水孔106を一致させるときの一対の第
一固定孔114と、通水孔106をずらしてドラム2の
通水孔7を塞ぐときの一対の第二固定孔115とが形成
されている。また、固定円盤111には、同図(B)の
如く、180度対称に一対の固定孔116が軸方向に貫
通して形成されている。固定治具112は、同図(C)
の如く、各固定孔に係合するように先端が二股に分か
れ、クラッチ113に接続されており、水平軸12に対
して円周方向には移動せず軸方向に移動可能とされてい
る。クラッチ113は水平軸12に取り付けられてお
り、固定治具112を水槽方向に付勢しており、作動時
には固定治具112をプーリ13側に引き付ける。そし
て、スライド蓋100をドラム2に対して回転させるに
は、回転円盤110と固定治具112の係合を解除し、
水平軸12を回転させることでドラム2がスライド蓋1
00に対してずれることにより行われる。このとき、ド
ラム2の位置およびスライド蓋100の位置はそれぞれ
位置センサにより検出されており、この検出信号に基づ
いてモータ14の駆動が制御される。
【0079】そして、モータ14、吸引ポンプ37、吸
引弁38、タンク弁39、吸気弁105、クラッチ11
3はマイクロコンピュータからなる制御装置50により
駆動制御されている。制御装置50は、洗濯物Sの材質
や量に応じて洗濯、濯ぎの各行程を実行する機能と、洗
濯物Sが遠心力でドラム2に張り付いて落下しない速度
で回転させながら吸引脱水を行う回転脱水機能と、洗濯
物Sの量が少ない等によりドラム2全体に洗濯物Sが載
らない場合に通水孔7の面積を少なくして吸引脱水を行
う脱水条件切換え機能とを有している。
【0080】上記構成において、洗濯濯ぎ中は、回転円
盤110の第一固定孔114と固定円盤111の固定孔
116とが固定治具112により係合され、図18
(C)に示すようにドラム2の通水孔7とスライド蓋1
00の通水孔106とが合致して連通されている。濯ぎ
が終わり、濯ぎ水を吸引パイプ35、排水タンク36を
介して水槽2から全て排出し終わると、タンク弁39を
閉止して、ドラム2の内周壁に洗濯物Sが載った状態
で、モータ14を正逆反転駆動させてドラム2を正逆転
させることにより、洗濯物Sを揺り動かしてときほぐし
た状態にする。続いて、ドラム2を一方向に徐々に速度
を上げながら回転させていき、洗濯物Sが遠心力により
ドラム2に張り付いて下に落下しない速度(例えば直径
45cmのドラムの場合は60〜70rpm)で回転さ
せながら、吸引ポンプ37を駆動する。この状態におい
て、洗濯物Sはドラム2内周壁に遠心力によって押しつ
けられ、均一にドラム2内周壁に薄く広がり、吸引によ
る脱水の効率がよくなる。しかも、ドラム2は低速回転
されているので、その振動や騒音は問題とならない。
【0081】吸引ポンプ37により水槽3から空気が吸
引されると、洗濯機本体1内に設けられたフィルタ10
4から塵埃などのごみを取り除かれた状態で吸気弁10
5、吸気パイプ103を通り、回転シール102に到達
する。吸い込まれた空気はドラム2の開口部10からド
ラム2内に入り、洗濯物Sを通り抜けてドラム2および
スライド蓋100の通水孔7,106を通過して、吸引
パイプ35に吸引され、排水タンク36を経て吸引ポン
プ37に吸い込まれる。しかし、吸引ポンプ37の吸引
により排水タンク36、吸引パイプ35を通じて水槽3
内に負圧の力が加わる。水槽3内では真空度が増し、通
水孔7を隔てた洗濯物Sとドラム2との間に圧力差が生
じる。真空度が上昇すると洗濯物Sに浸透した水分の膜
が圧力に負け、空気と一緒に通水孔7,106を通過し
て水槽3内に飛び出していく。この水分を含んだ空気
は、水槽3内から吸引パイプ35を通り排水タンク36
に到達して、水と空気に分離される。そして、脱水が終
了すると、吸引ポンプ37は停止され、吸気弁105や
吸引弁38が閉止される。最後にモータ14を停止さ
せ、密閉蓋25を開けて、ドラム2から洗濯物Sを取り
出す。
【0082】また、洗濯物Sの量が少ない場合などドラ
ム2の周壁全体に洗濯物Sが載らないので、全周から吸
引脱水することができない場合がある。このとき、洗濯
物Sの初期重さと吸水後の重さから洗濯量や材質をあら
かじめ判断しているので、その量が所定量より少ない場
合には、通水孔の面積を小さくして吸引脱水が行われ
る。そのためには、まずクラッチ113を作動させて固
定治具112をプーリ13方向に移動させ、回転円盤1
10の第一固定孔114から固定治具112を抜き出
し、ドラム2とスライド蓋100とを互いに回転自在と
する。そして、モータ14を駆動してドラム2を徐々に
回転させ、クラッチ113を切ると、固定治具112は
水槽3方向に押し付けられながら回転し、固定円盤11
1の固定孔116と回転円盤110の第二固定孔115
とが一致した瞬間に固定治具112が回転円盤110の
第二固定孔115にはまり込み、ドラム2とスライド蓋
100とは一体となって回転される。この状態で、ドラ
ム2の通水孔7とスライド蓋100の通水孔106とは
合致しておらず、図17に示すようにスライド蓋100
の吸引孔107に面した通水孔7を除いてドラム2の通
水孔7は塞がれ、通水孔の面積が小さくなった状態とな
る。
【0083】この状態でドラム2を回転させて、スライ
ド蓋100の吸引孔107が真下の位置に達したとき、
位置センサの検出信号によりドラム2を停止させる。続
いてタンク弁39、吸引弁38を作動させ、水槽3内の
濯ぎ水を排水すると洗濯物Sがスライド蓋100の吸引
孔107に相当するところに集中して載る。以降、吸引
装置9を作動させて、スライド蓋100の吸引孔107
を通して吸引脱水が行われる。
【0084】また、脱水中に吸気弁105を周期的に開
閉することにより、水槽3内の圧力変動が起こり空気振
動が発生して、洗濯物Sが揺さぶられ、脱水率をさらに
向上させることも可能である。
【0085】以上のように、ドラム2を回転させながら
吸引脱水を行うことにより洗濯物Sを遠心力によってド
ラム2内周壁に密着させて吸引する洗濯物Sの厚みを薄
くすることが可能となり、ドラム2全周からくまなく吸
引を行い得、洗濯物Sの新たな面に入れ替える必要がな
くなるため不均衡な脱水を防止でき、洗濯物を効率よく
均一に脱水して脱水時間を短縮できる。また、洗濯物S
に遠心力が加わるので、水分はドラム2の周壁側に集ま
り、これを吸引脱水することで脱水率の向上が図れる。
しかも、前記実施例のドラム2に接する吸引体が不要な
ので、このメンテナンスが不要となる。
【0086】また、通水孔7を通しての吸引脱水では洗
濯物Sと通水孔7との隙間や洗濯物Sが載っていない通
水孔7からの空気のショートサーキットなどの問題を解
決するためには、通水孔7の数を少なくしたほうがよ
い。しかし、極端に数を減らした場合に、洗濯、濯ぎ中
では洗い水が効率よく水槽3、ドラム2間に出入りでき
ず、洗いむらやすすぎむらが発生する場合がある。そこ
で、スライド蓋100を設けて通水孔7の面積を可変と
することにより、洗濯濯ぎ行程では通水孔7を閉止せ
ず、脱水行程では吸引脱水に最適な通水孔7の面積が得
られ、効率のよい脱水を行うことができる。
【0087】ところで、上記の各実施例に示した吸引脱
水を遠心脱水と併用すると、従来の遠心脱水槽には重り
バランサーが取り付けられているが、洗濯物の片寄りに
よる偏荷重で回転中心よりはずれた場合大きな振動が生
じる。これを吸引脱水を行うことで緩和することができ
る。すなわち、濯ぎ行程が終了すると水槽内より水が排
水され、洗濯物、例えば木綿は乾燥重量の約3.5倍近
い重量となっている。この状態において遠心脱水を行う
と洗濯物と水槽の共振点(数十Hz)まで徐々に回転を
上げ、時間をかけて洗濯物から水分を抜き、再び回転を
上げ高速回転に移る。しかし、水槽内の水を排水後、吸
引装置にて吸引脱水を行うことで数十秒間で約2.5倍
まで重量を軽減でき、その後遠心脱水を行う。このよう
に、洗濯物の自重を軽くすることで偏荷重を抑え、アン
バランスの発生する確率を減らして振動の少ない脱水を
行うことができ、また洗濯物の重量が軽くなるので、重
りバランサーの軽量化および槽全体の容量アップが図れ
る。
【0088】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の範囲内で上記実施例に多くの修正
および変更を加え得ることは勿論である。第一実施例に
おける吸引体8を第二実施例のハニカム状のドラム60
に適用してもよい。このとき、脱水中はドラム60を回
転させない。なお、吸引体8の平板32にゴム等の弾性
体を取付て、ドラム60に対して摺接可能とすることに
より、脱水中のドラム60の回転が可能となる。
【0089】また、第三実施例の吸引体71の連結口を
ハニカム状に形成して、それぞれの孔に吸引力に応じて
開閉する弾性材料からなる開閉弁を設けてもよい。これ
によって、連結口において洗濯物Sがあるところでは開
閉弁は開き、洗濯物Sのないところでは閉じるので、通
水孔7の面積を可変したことになり、吸引力の作用する
範囲が限定され、脱水率を向上させることができる。
【0090】
【発明の効果】以上の説明から明らかな通り、本発明に
よると、吸引脱水を行うことにより、脱水時にドラムを
高速回転させなくてよく、水槽が大きく振動することが
なくなり、それとともに機械的騒音を最小限に留めるこ
とが可能となり、使用者に不快感を与えない。そのた
め、防振対策が不要となり、洗濯機本体を堅牢にする必
要がなく、補強材や振動減衰機構を簡略化することで大
幅なコストダウンが可能となる。
【0091】特に、通水孔の形状や分布を変えることに
より通水孔の面積を異ならしめているので、洗濯物の材
質、量に応じて通水孔を選択すれば洗濯物が載っていな
い通水孔から空気が吸引されることが減り、効率よく脱
水を行うことができる。
【0092】引体にドラムと面する連結口を形成し
て、連結口に開閉弁を設けることにより、洗濯物をドラ
ムを挟んで吸引体に対向させたとき、洗濯物の存在しな
い場所では開閉弁を閉じて洗濯物の存在する場所に有効
的に吸引力を作用させることができ、脱水率を向上させ
ることができる。
【0093】引体と吸引装置との間に気体溜槽を設け
ることにより、始動時の負荷を軽減でき、吸引装置の負
担が軽くなり寿命が延びる。また、洗濯物から急激に水
が出ることを防止できるので、水の流れが緩和されて衝
撃がなくなり、騒音が生じず吸引装置の各部材の耐久性
を向上させることができる。
【0094】水中に吸引弁を開閉することにより、圧
力変動が起こり空気振動を発生させることができ、洗濯
物が揺すられ水分が振り放されるので、吸引脱水を助長
でき、脱水率を上昇させることができる。
【0095】引体をドラムに離接自在とすることによ
り、洗濯濯ぎ等ではドラムが回転するときの妨げとなら
ず、モータ等に過大な負荷をかけることなく、吸引体自
体の損傷も防止できる。また、脱水中にドラムを回転さ
せると、洗濯物の位置を変えることができ、洗濯物の一
部が集中的に吸引脱水されるという弊害がなくなり、効
率よい脱水ができ脱水時間の短縮を図ることが可能とな
る。
【0096】ラムを低速回転させながら吸引脱水が行
うことにより、洗濯物はドラムに均一に広がった状態で
密着され、洗濯物の厚みを薄くできる。そのため、洗濯
物から効率よく脱水を行うことができ、しかも均一に脱
水される。また、低速回転なので、騒音の発生も低減で
き、洗濯物には衝撃が加わることはなく、洗濯物を傷め
ずに優しい脱水を行うことができる。
【0097】ラムの通水孔の面積を可変することによ
り、洗濯物の材質や量に応じた最適な通水孔が得られ、
洗濯物のない不要な通水孔からの吸引を防止して、洗濯
物がある通水孔に有効的に吸引力および空気量を供給で
き、効率的な脱水を行うことができる。また、洗濯濯ぎ
には、通水孔の面積を最大にすることにより、水を効率
よくドラムに出入りさせることができ、洗いむらや濯ぎ
むらの発生を防止できる。
【0098】水時に洗濯物を加熱することにより、直
接的には洗濯物の温度を高めて水分の蒸発を促進でき、
間接的にはドラム内の温度を上昇させて温風が洗濯物を
通過することになり、脱水時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例のドラム式全自動洗濯機の
構成図
【図2】吸引体および被覆面積調節装置の構成図
【図3】第二実施例のドラム式全自動洗濯機の構成図
【図4】吸引体の構成図
【図5】ドラムに載った洗濯物の状態を示す平面図およ
び通水孔の拡大図
【図6】ドラムの回転前後におけるドラムに載った洗濯
物の状態を示す平面図
【図7】第三実施例のドラム式全自動洗濯機の構成図
【図8】ドラムの斜視図
【図9】ドラムの各領域における通水孔の形状を示す図
【図10】吸引体を示す図で、(A)は平面図、(B)
は正面図
【図11】吸引体の離接機構の構成図
【図12】吸引弁の構成図
【図13】吸引弁が作動したときの状態を示す図で、
(A)は開口状態、(B)は閉止状態
【図14】ドラムの通水孔の他の実施例の形状を示す図
【図15】連結口を有する吸引体を示す図で、(A)は
平面図、(B)は側面図
【図16】第四実施例のドラム式全自動洗濯機の構成図
【図17】スライド蓋を備えたドラムの正面図
【図18】(A)はスライド蓋の通水孔を示す図、
(B)はドラムの通水孔を示す図、(C)はドラムの通
水孔とスライド蓋の通水孔とが合致しているときの状態
を示す図
【図19】スライド蓋を備えたドラムの断面図
【図20】スライド蓋の移動装置の構成図
【図21】(A)は回転円盤の正面図、(B)は固定円
盤の正面図、(C)は固定治具の側面図
【符号の説明】
2 ドラム 3 水槽 7 通水孔 8,71 吸引体 9,72 吸引装置 14 ドラム駆動用モータ 36 排水タンク 37 吸引ポンプ 50 制御装置 80 吸引弁 81 気体溜槽 88 加熱器 S 洗濯物

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 洗濯機本体に弾性支持された水槽と、該
    水槽に水平軸周りに回転自在に内装支持された複数の通
    水孔を有するドラムとを備え、該ドラムを正逆回転させ
    る駆動装置と、前記水槽内に水を給水する給水装置およ
    び水槽内の水を排水させる排水装置とが設けられたドラ
    ム式全自動洗濯機において、前記ドラムの外周壁の一部
    を覆ってドラムの通水孔と連通する吸引体と、前記ドラ
    ムの内周壁に張り付いた洗濯物の水分を前記吸引体を通
    して吸引して脱水する吸引装置とが設けられ、該吸引装
    置による吸引力を調節することにより前記吸引体の前記
    ドラムに対する接触面積が可変され、前記吸引体と連通
    する通水孔の面積が異ならしめられたことを特徴とする
    ドラム式全自動洗濯機。
  2. 【請求項2】 洗濯機本体に弾性支持された水槽と、該
    水槽に水平軸周りに回転自在に内装支持された複数の通
    水孔を有するドラムとを備え、該ドラムを正逆回転させ
    る駆動装置と、前記水槽内に水を給水する給水装置およ
    び水槽内の水を排水させる排水装置とが設けられたドラ
    ム式全自動洗濯機において、前記ドラムの周面が複数の
    領域に区切られ、各領域における通水孔の形状または分
    布が異なり、前記ドラム周面の1つの領域を覆ってドラ
    ムの通水孔と連通する吸引体と、前記ドラムの内周壁に
    張り付いた洗濯物の水分を前記吸引体を通して吸引して
    脱水する吸引装置とが設けられ、前記ドラムを回転させ
    て前記吸引体が覆う領域を変えることを特徴とするドラ
    ム式全自動洗濯機
  3. 【請求項3】 吸引体にドラムと面する複数の連結口が
    形成され、該連結口に開閉弁が設けられ、該開閉弁は、
    洗濯物が有るときには開放し、無いときには閉塞するよ
    うに開閉されることを特徴とする請求項記載のドラム
    式全自動洗濯機。
  4. 【請求項4】 洗濯機本体に弾性支持された水槽と、該
    水槽に水平軸周りに回転自在に内装支持された複数の通
    水孔を有するドラムとを備え、該ドラムを正逆回転させ
    る駆動装置と、前記水槽内に水を給水する給水装置およ
    び水槽内の水を排水させる排水装置とが設けられたドラ
    ム式全自動洗濯機において、前記ドラムの通水孔に開閉
    弁が設けられ、前記ドラムの外周壁の一部を覆ってドラ
    ムの通水孔と連通する吸引体と、前記ドラムの内周壁に
    張り付いた洗濯物の水分を前記 吸引体を通して吸引して
    脱水する吸引装置とが設けられ、前記開閉弁は、前記吸
    引装置による吸引力によって開閉され、洗濯物が有ると
    きには開放され、洗濯物が無いときには閉塞されること
    を特徴とするドラム式全自動洗濯機
  5. 【請求項5】 吸引体と吸引装置との間に気体溜槽が設
    けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
    載のドラム式全自動洗濯機
  6. 【請求項6】 吸引装置に、吸引体との間を開閉する吸
    引弁が設けられ、脱水中に吸引弁の開閉動作が行われる
    ことを特徴とする請求項5記載のドラム式全自動洗濯
  7. 【請求項7】 吸引体がドラムの外周壁に離接自在に摺
    接され、ドラムの回転に応じて離接されることを特徴と
    する請求項1〜5のいずれかに記載のドラム式全自動洗
    濯機
  8. 【請求項8】 洗濯機本体に弾性支持された水槽と、該
    水槽に水平軸周りに回転自在に内装支持された複数の通
    水孔を有するドラムとを備え、該ドラムを正逆回転させ
    る駆動装置と、前記水槽内に水を給水する給水装置およ
    び水槽内の水を排水させる排水装置とが設けられたドラ
    ム式全自動洗濯機において、前記ドラムの内周壁に張り
    付いた洗濯物から水分を吸引して脱水する吸引装置が設
    けられ、前記ドラムを徐々に速度を上げながら回転させ
    ていき、洗濯物が遠心力により前記ドラムに張り付いて
    落下しない速度でドラムを回転させながら脱水を行うこ
    とを特徴とするドラム式全自動洗濯機
  9. 【請求項9】 ドラムの通水孔の面積を可変する部材が
    設けられたことを特徴とする請求項8記載のドラム式全
    自動洗濯機
  10. 【請求項10】 脱水時に洗濯物を加熱する加熱器が設
    けられたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記
    載のドラム式全自動洗濯機
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