JP3187695B2 - 多色発光装置およびその製造方法 - Google Patents

多色発光装置およびその製造方法

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JP3187695B2
JP3187695B2 JP29911195A JP29911195A JP3187695B2 JP 3187695 B2 JP3187695 B2 JP 3187695B2 JP 29911195 A JP29911195 A JP 29911195A JP 29911195 A JP29911195 A JP 29911195A JP 3187695 B2 JP3187695 B2 JP 3187695B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多色発光装置およ
びその製造方法に関する。さらに詳しくは各種発光型の
マルチカラーまたはフルカラーの薄型ディスプレイに好
適に用いられる多色発光装置およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】エレクトロルミネッセンス素子(以下E
L素子という)は、自己発光のため視認性が高く、また
完全固体のため耐衝撃性に優れるという特徴を有してお
り、現在、無機、有機化合物を発光層に用いた様々なE
L素子が提案され、実用化が試みられている。この実用
化の一つとして、EL素子を用いた多色発光装置を挙げ
ることができる。この多色発光装置としては、まず白色
発光の無機EL素子に三原色(赤,緑,青)のカラーフ
ィルタを設置したもの、三原色の無機EL素子を順次パ
ターニングして三原色EL素子を平面に分離配置しての
発光を行なったものがある(Semicond. Sci. Technol.
6(1991)305-323) 。しかしながら、白色光を三原色のカ
ラーフィルタで分解すると、三原色の一色の発光効率
が、高々白色のそれの3分の1(33%)に限定されて
しまうという問題があった。さらに、白色光を効率よく
発光させることができる素子そのものは、まだ得られて
いないのが現状である。
【0003】一方、EL素子のパターニングにはフォト
リソグラフィー法が使用されているが、このようなウェ
ットプロセスではEL素子の効率および安定性の低下が
甚だしいことが知られている。従って、近年では、有機
EL素子の発光部分に対応する部分(積層または並列)
に、有機EL素子の発光を吸収して可視光の蛍光を発光
する蛍光体層を設置する技術が開示されている(特開平
3−152897号公報)。この技術によれば、例えば
有機EL素子の青色または青緑色の発光に対し、より長
波長の可視光への蛍光に変換が可能である。この技術の
応用として緑または赤色に変換できる蛍光体層を平面的
に分離配置した多色(三原色)発光装置が開示されてい
る(特開平5−258860号公報)。
【0004】ここで、蛍光体層を設置するメリットは、
カラーフィルタを設置した場合と比較して高効率の多色
発光が期待できることにある。すなわち、有機EL素子
からの青色発光に対して、特に緑色への変換蛍光体の青
色発光の吸収効率が少なくとも80%以上であるとし
て、次に吸収した光に対して少なくとも80%以上の効
率で蛍光を発光する各種の蛍光材料が知られている。従
って、80%の吸収効率と80%の蛍光効率とを仮定す
ると、有機EL素子の青色発光の64%が長波長の可視
光に変換することができる計算になる。
【0005】このようにして有機EL素子と蛍光体層を
用いて多色発光装置を得ることができるが、特開平5−
258860号公報によると、その多色発光装置の構成
として以下のように提案している。すなわち、図7に示
すように透明基板上に有機EL素子の発光を吸収してそ
れぞれ緑色,赤色の蛍光を発光する蛍光体を平面的に分
離配置し、その蛍光体を含む透明基板上に有機モノマー
またはポリマーの重合および/または架橋物、ゾルゲル
ガラス技法による透明な電気絶縁性硬質平面化層(保護
層)をスピンキャストして積層し、その平面化層上に有
機EL素子の透明電極を配置している。また、別の構成
として、透明な電気絶縁性である平坦な硬質要素を蛍光
体上にスピンキャストする代わりに、単に蛍光体表面に
配置したり、基板の上面に蛍光体を付着させる代わりに
平面化層の機能を発揮する硬質要素の下面に蛍光体を付
着させることも挙げられているが、図7の構成の方が好
ましいと記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図7に示す構
成の場合、有機モノマーまたはポリマーの重合および/
または架橋物の平面化層上に有機EL素子の透明電極を
配置しただけでは、平面化層の有機物に微量に吸着また
は含まれている水蒸気,酸素またはモノマー等のガスに
よって、有機EL素子の発光寿命を著しく低下させ、不
均一な発光とならざるを得ないという問題があった。ま
た、ゾルゲルガラス技法による平面化層の作製には通常
400℃以上の高温処理が必要で、このため、有機物の
蛍光体を劣化させることになる。そこで、蛍光体を劣化
させない熱処理(最大250℃程度)で、ゾルゲルガラ
ス平面化層を作製すると、水又は有機物が残存している
ため、先と同じ理由で、有機EL素子の発光寿命を著し
く低下させるという問題があった。また、前記の別構成
の場合、硬質要素について明確な説明が必ずしも十分に
なされなかった。
【0007】一方、無機EL素子のガラス基板の裏面に
カラーフィルタを印刷したガラス板を載置する方法が開
示されている(特開昭57−119494号公報)。し
かし、この方法では、先に記載したようにカラーフィル
タによる発光効率のロスが容易に予想されることに加え
て、無機EL素子とカラーフィルタとを独立して製造す
るため、例えば無機EL素子の基板の厚さを厚くしない
と(700μm以上)、基板の、そり、ゆがみの問題が
発生し、安定してEL素子を作製することができなかっ
た。しかもその基板を厚くした結果、カラーフィルタと
EL素子とのギャップが広がり、多色発光させる場合、
所望の発光色以外の発光色が漏れ出て、視野角が著しく
悪化するという問題があった。
【0008】本発明は上述の問題に鑑みなされたもので
あり、優れた発光寿命を有するとともに、優れた視野角
特性を有する有機EL素子を用いた多色発光装置を提供
すること、およびこの多色発光装置を安定に、効率よく
製造することができる方法を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明によれば、透明支持基板と、その透明支持基
板上に平面的に分離配置した蛍光体層と、その蛍光体層
の上面または上方に配設した有機エレクトロルミネッセ
ンス(EL)素子とを有し、その蛍光体層のそれぞれが
有機EL素子からの発光を吸収して異なった可視光の蛍
光を発光し得るように蛍光体層と有機EL素子の透明電
極又は電極とを対応して配設した多色発光装置におい
て、前記蛍光体層と有機EL素子との間に、厚さが0.
01〜200μmの透明な絶縁性無機酸化物層を配設し
てなることを特徴とする多色発光装置が提供される。
【0010】また、その好ましい態様として、前記蛍光
体層と透明な絶縁性無機酸化物層との間に、透明な蛍光
体保護層および/または透明な接着層を配設してなるこ
とを特徴とする多色発光装置が提供される。
【0011】また、前記透明な絶縁性無機酸化物が、透
明な絶縁性のガラス板であることを特徴とする多色発光
装置が提供される。
【0012】また、前記透明な絶縁性無機酸化物が、酸
化シリコン、酸化アルミニウム、および酸化チタンから
なる群から選ばれる一種以上の化合物であることを特徴
とする多色発光装置が提供される。
【0013】また、前記透明な絶縁性無機酸化物が、酸
化シリコン、酸化アルミニウム、および酸化チタンから
なる群から選ばれる一種以上の化合物を、透明な絶縁性
のガラス板の上面または下面の少なくとも一方に製膜し
てなるものであることを特徴とする多色発光装置が提供
される。
【0014】さらに、透明支持基板上に、有機EL素子
の発光を吸収して異なった可視光の蛍光を発光する蛍光
体層を平面的に分離配置し、この蛍光体層の上面または
上方に有機EL素子をその透明電極又は電極が蛍光体層
に対応するように配設する多色発光装置の製造方法にお
いて、(A)透明支持基板上に蛍光体層を平面的に分離
配置する工程、(B)蛍光体層上、および蛍光体層が平
面的に分離配設された透明支持基板上に、透明な蛍光体
保護層および/または透明な接着層を配設する工程、
(C)有機EL素子の透明電極を形成した、又は透明電
極を形成する予定の、厚さ1〜200μmの透明な絶縁
性のガラス板、または酸化シリコン、酸化アルミニウ
ム、および酸化チタンからなる群から選ばれる一種以上
の化合物を、透明な絶縁性のガラス板の上面または下面
の少なくとも一方に製膜したものを、前記透明な蛍光体
保護層または透明な接着層上に接合する工程、および
(D)透明電極が形成されたガラス板上に有機EL素子
の有機物層および電極を順次積層する工程、を有するこ
とを特徴とする多色発光装置の製造方法が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の多色発光装置およ
びその製造方法の実施の形態を説明する。本発明の有機
EL多色発光装置としては、有機EL素子の発光(特に
青色または青緑色)が減衰,散乱されず、効率よく蛍光
体層に吸収され、かつ、発光した可視光の蛍光が減衰,
散乱されず、外部へ取り出せる構成であることが必要で
ある。この観点からすると、具体的には、以下の構成
(1)〜(4)を挙げることができる。この構成(1)
〜(4)は、それぞれ図1〜図4に示される。なお、蛍
光体による有機EL素子の発光色の変換は、有機EL素
子の発光波長よりも長波長の発光色であればよく、以下
の赤色、緑色に限定されるものではない。 (1)透明支持基板/赤色変換蛍光体層,緑色変換蛍光
体層/透明かつ電気絶縁性無機酸化物層/有機EL素子
(透明電極/有機物層/電極) (2)透明支持基板/赤色変換蛍光体層,緑色変換蛍光
体層/接着層/透明かつ電気絶縁性無機酸化物層/有機
EL素子(透明電極/有機物層/電極) (3)透明支持基板/赤色変換蛍光体層,緑色変換蛍光
体層/保護層(透明平坦化膜)/接着層/透明かつ電気
絶縁性無機酸化物層/有機EL素子(透明電極/有機物
層/電極) (4)透明支持基板/赤色変換蛍光体層,緑色変換蛍光
体層/保護層(透明平坦化膜)/透明かつ電気絶縁性無
機酸化物層/有機EL素子(透明電極/有機物層/電
極) さらに上記構成(1)〜(4)に加えて、赤色変換蛍光
体層,緑色変換蛍光体層と透明基板との間に、それぞれ
赤色カラーフィルタ,緑色カラーフィルタを配置するこ
とにより、それぞれの蛍光体から発光する赤色光,緑色
光の色調整をして色純度を高めることもできる。また、
赤色変換蛍光体層,緑色変換蛍光体層と並列に青色カラ
ーフィルタを設置して、有機EL素子の発光色の色調整
をして、色純度を高めることもできる。また、図5に示
すように前記蛍光体層および/またはカラーフィルタの
少なくとも間隙に、ブラックマトリックスを配置し、有
機EL素子の発光の漏れ光を遮断して多色発光の一層の
視認性を高めることもできる。さらに、図6に示すよう
に、透明かつ電気絶縁性無機酸化物層を二層として、下
層の無機酸化物層(例えばソーダ−石灰ガラスなど)か
らの無機イオンの溶出を上層の無機酸化物層で抑え、溶
出イオンから有機EL素子を保護することもできる。な
お、以上の透明かつ電気絶縁性無機酸化物層の厚さは、
本発明では0.01μm以上200μm以下とする。
0.01μm未満とすると、無機酸化物粒子の単層膜に
近づき、下層の蛍光体層,保護層等、有機物から発生す
る劣化ガスを遮断することができない。また、200μ
mを超えると蛍光体層の精細度にもよるが、有機EL素
子の発光が蛍光体層とのギャップから漏れだし多色発光
の視野角を狭めて、実用性を低下させる場合がある。以
下、本発明の多色発光装置およびその製造方法を各構成
要素ごとに具体的に説明する。なお、この構成要素に用
いられる材料は最小必要限のものを記載するものであ
り、これに限定されるものではない。
【0016】1.有機EL素子 本発明に用いられる有機EL素子としては、近紫外線か
ら青緑色まで発光するものであることが好ましく、この
発光を得るためには、たとえば以下の構造を挙げること
ができる。基本的に、二つの電極(透明陽極(陽極)と
電極(陰極))の間に、有機物層の発光層を挟持した構
造として、これに必要に応じて他層を介在させればよ
い。具体的には、 (1)透明電極(陽極)/発光層/電極(陰極) (2)透明電極(陽極)/正孔注入層/発光層/電極
(陰極) (3)透明電極(陽極)/発光層/電子注入層/電極
(陰極) (4)透明電極(陽極)/正孔注入層/発光層/電子注
入層/電極(陰極) などの構造を挙げることができる。
【0017】透明電極(陽極) 陽極の材料としては、仕事関数の大きい(4ev以上)
金属,合金,電気伝導性化合物またはこれらの混合物が
好ましく用いられる。具体例としては、Au等の金属、
CuI,ITO,SnO2 ,ZnO等の導電性透明材料
が挙げられる。陽極は、蒸着法やスパッタ法等の方法
で、所望の基板上に上記材料の薄膜を成膜し、フォトリ
ソグライフィー法で所望の形状でパターニングして陽極
のパターンを形成することができる。パターン精度を問
わない(100μm以上程度)ならば、上記材料の蒸着
やスパッタ時に所望の形状のマスクを介して陽極のパタ
ーンを形成することができる。発光層からの発光を陽極
から取り出す場合、陽極の発光に対する透過率が10%
より大きいことが望ましい。また、陽極のシート抵抗
は、数百Ω/□以下が好ましい。陽極の膜厚は材料にも
よるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10〜20
0nmの範囲で選択される。
【0018】発光層 有機EL素子の発光材料は主に有機化合物であり、具体
的には所望の色調により次のような化合物が挙げられ
る。まず、近紫外域から紫色の発光を得る場合には、下
記の一般式であらわされる化合物が挙げられる。
【0019】
【化1】
【0020】この一般式において、Xは下記化合物を示
す。
【0021】
【化2】
【0022】ここでnは、2,3,4または5である。
また、Yは下記化合物を示す。
【0023】
【化3】
【0024】上記化合物のフェニル基,フェニレン基,
ナフチル基に炭素数1〜4のアルキル基,アルコキシ
基,水酸基,スルホニル基,カルボニル基,アミノ基,
ジメチルアミノ基またはジフェニルアミノ基等が単独ま
たは複数置換したものであってもよい。また、これらは
互いに結合し、飽和5員環,6員環を形成してもよ。ま
た、フェニル基,フェニレン基,ナフチル基にパラ位で
結合したものが、結合性がよく平滑な蒸着膜の形成のた
めに好ましい。具体的には以下の化合物である。特に、
p−クォーターフェニル誘導体,p−クィンクフェニル
誘導体が好ましい。
【0025】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【0026】次に、青色から青緑色の発光を得るために
は、例えば、ベンゾチアゾール系,ベンゾイミダゾール
系,ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤、金属キレー
ト化オキシノイド化合物,スチリルベンゼン系化合物を
挙げることができる。
【0027】具体的に化合物名を示せば、例えば、特開
昭59−194393号公報に開示されているものを挙
げることができる。その代表例としては2,5−ビス
(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリ
ル)−1,3,4−チアジアゾール、4,4’−ビス
(5,7−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)ス
チルベン、4,4’−ビス[5,7−ジ−(2−メチル
−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリル]スチルベ
ン、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベ
ンゾオキサゾリル)チオフェン、2,5−ビス[5−
α,α−ジメチルベンジル−2−ベンゾオキサゾリル]
チオフェン、2,5−ビス[5,7−ジ−(2−メチル
−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリル]−3,4ジ
オフェニルチオフェン、2,5−ビス(5−メチル−2
−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、4,4’−ビス
(2−ベンゾオキサゾリル)ビフェニル、5−メチル−
2−[2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリ
ル)フェニル]ビニル]ベンゾオキサゾール、2−[2
−(4−クロロフェニル)ビニル]ナフト[1,2−
d]オキサゾール等のベンゾオキサゾール系、2−2’
−(p−フェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾー
ル等のベンゾチアゾール系、2−[2−[4−(2−ベ
ンゾイミダゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾイミダゾ
ール、2−[2−(4−カルボキシフェニル)ビニル]
ベンゾイミダゾール等のベンゾイミダゾール系等の蛍光
増白剤を挙げることができる。さらに、他の有用な化合
物は、ケミストリー・オブ・シンセティック・ダイズ1
971,628〜637頁および640頁に列挙されて
いる。
【0028】前記キレート化オキシノイド化合物として
は、例えば特開昭63−295695号公報に開示され
ているものを用いることができる。その代表例として
は、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ビス
(8−キノリノール)マグネシウム、ビス(ベンゾ
[f]−8−キノリノール)亜鉛、ビス(2−メチル−
8−キノリノラート)アルミニウムオキシド、トリス
(8−キノリノ−ル)インジウム、トリス(5−メチル
−8−キノリノール)アルミニウム、8−キノリノール
リチウム、トリス(5−クロロ−8−キノリノール)ガ
リウム、ビス(5−クロロ−8−キノリノール)カルシ
ウム、ポリ[亜鉛(II)−ビス(8−ヒドロキシ−5−
キノリノニル)メタン]等の8−ヒドロキシキノリン系
金属錯体やジリチウムエピントリジオン等を挙げること
ができる。
【0029】また、前記スチリルベンゼン系化合物とし
ては、例えば欧州特許第0319881号明細書や欧州
特許第0373582号明細書に開示されているものを
用いることができる。その代表例としては、1,4−ビ
ス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3
−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチ
ルスチリル)ベンゼン、ジスチリルベンゼン、1,4−
ビス(2−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス
(3−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(2−
メチルスチリル)−2−メチルベンゼン、1,4−ビス
(2−メチルスチリル)−2−エチルベンゼン等を挙げ
ることができる。
【0030】また、特開平2−252793号公報に開
示されているジスチリルピラジン誘導体も発光層の材料
として用いることができる。その代表例としては、2,
5−ビス(4−メチルスチリル)ピラジン、2,5−ビ
ス(4−エチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス[2
−(1−ナフチル))ビニル]ピラジン、2,5−ビス
(4−メトキシスチリル)ピラジン、2,5−ビス[2
−(4−ビフェニル)ビニル]ピラジン、2,5−ビス
[2−(1−ピレニル)ビニル]ピラジン等を挙げるこ
とができる。その他のものとして、例えば欧州特許第0
387715号明細書に開示されているポリフェニル系
化合物も発光層の材料として用いることもできる。
【0031】さらに、上述した蛍光増白剤、金属キレー
ト化オキシノイド化合物、およびスチリルベンゼン系化
合物等以外に、例えば12−フタロペリノン(J. Appl.
Phys., 第27巻,L713(1988年))、1,4
−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1,1,4,4−
テトラフェニル−1,3ブタジエン(以上Appl. Phys.
Lett.,第56巻,L799(1990年))、ナフタル
イミド誘導体(特開平2−305886号公報)、ペリ
レン誘導体(特開平2−189890号公報)、オキサ
ジアゾール誘導体(特開平2−216791号公報、ま
たは第38回応用物理学関係連合講演会で浜田らによっ
て開示されたオキサジアゾール誘導体)、アルダジン誘
導体(特開平2−220393号公報)、ピラジリン誘
導体(特開平2−220394号公報)、シクロペンタ
ジエン誘導体(特開平2−289675号公報)、ピロ
ロピロール誘導体(特開平2−296891号公報)、
スチリルアミン誘導体(Appl. Phys. Lett.,第56巻,
L799(1990年))、クマリン系化合物(特開平
2−191694号公報)、国際公開公報WO90/1
3148やAppl. Phys. Lett.,vol 58,18,P1982(1991)
に記載されているような高分子化合物等も、発光層の材
料として用いることができる。
【0032】本発明では、特に発光層の材料として、芳
香族ジメチリディン系化合物(欧州特許第038876
8号明細書や特開平3−231970号公報に開示のも
の)を用いることが好ましい。具体例としては、1,4
−フェニレンジメチリディン、4,4−フェニレンジメ
チリディン、2,5−キシレンジメチリディン、2,6
−ナフチレンジメチリディン、1,4−ビフェニレンジ
メチリディン、1,4−p−テレフェニレンジメチリデ
ィン、9,10−アントラセンジイルジルメチリディ
ン、4,4’−ビス(2,2−ジ−t−ブチルフェニル
ビニル)ビフェニル、(以下、DTBPVBiと略記す
る)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビ
フェニル(以下DPVBiと略記する)等、およびそれ
らの誘導体を挙げることができる。
【0033】さらに、特開平5−258862号公報等
に記載されている一般式(Rs−Q)2 −AL−O−L
であらわされる化合物も挙げられる。(上記式中、Lは
ベンゼン環を含む炭素原子6〜24個の炭化水素であ
り、O−Lはフェニラート配位子であり、Qは置換8−
キノリノラート配位子を表し、Rsはアルミニウム原子
に置換8−キノリノラート配位子が2個を上回り結合す
るのを立体的に妨害するように選ばれた8−キノリノラ
ート環置換基を表す) 具体的には、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)
(パラ−フェニルフェノラート)アルミニウム(III )
(以下PC−7)、ビス(2−メチル−8−キノリノラ
ート)(1−ナフトラート)アルミニウム(III )(以
下PC−17)等が挙げられる。その他、特開平6−9
953号公報等によるドーピングを用いた高効率の青色
と緑色の混合発光を得る方法が挙げられる。この場合、
ホストとしては上記に記載した発光材料、ドーパントと
しては、青色から緑色にまでの強い蛍光色素、例えばク
マリン系あるいは上記記載のホストとして用いられてい
るものと同様な蛍光色素を挙げることができる。具体的
には、ホストとして芳香族ジメチリデン化合物の発光材
料、特に好ましくは例えばDPVBi、ドーパントとし
てはジフェニルアミノスチリルアリーレン、特に好まし
くは例えば1,4−ビス{4−(N,N−ジフェニルア
ミノ)スチリル}ベンゼン(DPAVB)を挙げること
ができる。上記前記材料を用いて、発光層を形成する方
法としては、例えば蒸着法,スピンコート法,LB法等
の公知の方法を適用することができる。発光層は、特に
分子堆積膜であることが好ましい。ここで分子堆積膜と
は、気相状態の材料化合物から沈着され形成された薄膜
や、溶液状態または液相状態の材料化合物から固体化さ
れ形成された膜のことであり、通常この分子堆積膜は、
LB法により形成された薄膜(分子累積膜)とは凝集構
造、高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違に
より区分することができる。また、特開昭57−517
81号公報に開示されているように、樹脂等の結着剤と
材料化合物とを溶剤に溶かして溶液とした後、これをス
ピンコート法等により薄膜化することによっても、発光
層を形成することができる。このようにして、形成され
る発光層の膜厚については特に制限はなく、状況に応じ
て適宜選択することができるた、通常5nm〜5μmの
範囲が好ましい。有機EL素子の発光層は以下の機能を
併せ持つものである。すなわち、注入機能;電界印加
時に陽極または正孔注入層より正孔を注入することがで
き、陰極または電子注入層より電子を注入することがで
きる機能、輸送機能;注入した電荷(電子と正孔)を
電解の力で移動させる機能、発光機能;電子と正孔の
再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能、があ
る。但し、正孔の注入されやすさと電子の注入されやす
さに違いがあってもよく、また正孔と電子の移動度であ
らわされる輸送能に大小があてもよいが、どちらか一方
の電荷を移動することが好ましい。
【0034】正孔注入層 必要に応じて設けられる正孔注入層の材料としては、従
来より光伝導材料の正孔注入材料として慣用されている
ものや有機EL素子の正孔注入層に使用されている公知
のものの中から任意のものを選択して用いることができ
る。正孔注入層の材料は、正孔の注入、電子の障壁性の
いづれかを有するものであり、有機物あるいは無機物の
どちらでもよい。
【0035】具体例としては、例えばトリアゾール誘導
体(米国特許3,112,197号明細書等参照)、オ
キサジアゾール誘導体(米国特許3,189,447号
明細書等参照)、イミダゾール誘導体(特公昭37−1
6096号公報等参照)、ポリアリールアルカン誘導体
(米国特許3,615,402号明細書、同第3,82
0,989号明細書、同第3,542,544号明細
書、特公昭45−555号公報、同51−10983号
公報、特開昭51−93224号公報、同55−171
05号公報、同56−4148号公報、同55−108
667号公報、同55−156953号公報、同56−
36656号公報等参照)、ピラゾリン誘導体およびピ
ラゾロン誘導体(米国特許第3,180,729号明細
書、同第4,278,746号明細書、特開昭55−8
8064号公報、同55−88065号公報、同49−
105537号公報、同55−51086号公報、同5
6−80051号公報、同56−88141号公報、同
57−45545号公報、同54−112637号公
報、同55−74546号公報等参照)、フェニレンジ
アミン誘導体(米国特許第3,615,404号明細
書、特公昭51−10105号公報、同46−3712
号公報、同47−25336号公報、特開昭54−53
435号公報、同54−110536号公報、同54−
119925号公報等参照)、アリールアミン誘導体
(米国特許第3,567,450号明細書、同第3,1
80,703号明細書、同第3,240,597号明細
書、同第3,658,520号明細書、同第4,23
2,103号明細書、同第4,175,961号明細
書、同第4,012,376号明細書、特公昭49−3
5702号公報、同39−27577号公報、特開昭5
5−144250号公報、同56−119132号公
報、同56−22437号公報、西独特許第1,11
0,518号明細書等参照)、アミノ置換カルコン誘導
体(米国特許第3,526,501号明細書等参照)、
オキサゾール誘導体(米国特許第3,257,203号
明細書等に開示のもの)、スチリルアントラセン誘導体
(特開昭56−46234号公報等参照)、フルオレノ
ン誘導体(特開昭54−110837号公報等参照)、
ヒドラゾン誘導体(米国特許第3,717,462号明
細書、特開昭54−59143号公報、同55−520
63号公報、同55−52064号公報、同55−46
760号公報、同55−85495号公報、同57−1
1350号公報、同57−148749号公報、特開平
2−311591号公報等参照)、スチルベン誘導体
(特開昭61−210363号公報、同61−2284
51号公報、同61−14642号公報、同61−72
255号公報、同62−47646号公報、同62−3
6674号公報、同62−10652号公報、同62−
30255号公報、同60−93445号公報、同60
−94462号公報、同60−174749号公報、同
60−175052号公報等参照)、シラザン誘導体
(米国特許第4,950,950号明細書)、ポリシラ
ン系(特開平2−204996号公報)、アニリン系共
重合体(特開平2−282263号公報)、特開平1−
211399号公報に開示されている導電性高分子オリ
ゴマー(特にチオフェンオリゴマー)等を挙げることが
できる。
【0036】正孔注入層の材料としては上記のものを使
用することができるが、ポルフィリン化合物(特開昭6
3−2956965号公報等に開示のもの)、芳香族第
三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物(米国特
許第4,127,412号明細書、特開昭53−270
33号公報、同54−58445号公報、同54−14
9634号公報、同54−64299号公報、同55−
79450号公報、同55−144250号公報、同5
6−119132号公報、同61−295558号公
報、同61−98353号公報、同63−295695
号公報等参照)、特に芳香族第三級アミン化合物を用い
ることが好ましい。
【0037】上記ポルフィリン化合物の代表例として
は、ポルフィン、1,10,15,20−テトラフェニ
ル−21H,23H−ポルフィン銅(II)、1,10,
15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフ
ィン亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラキス
(ペンタフルオロフェニル)−21H,23H−ポルフ
ィン、シリコンフタロシアニンオキシド、アルミニウム
フタロシアニンクロリド、フタロシアニン(無金属)、
ジリチウムフタロシアニン、銅テトラメチルフタロシア
ニン、銅フタロシアニン、クロムフタロシアニン、亜鉛
フタロシアニン、鉛フタロシアニン、チタニウムフタロ
シアニンオキシド、Mgフタロシアニン、銅オクタメチ
ルフタロシアニン等を挙げることができる。
【0038】また、前記芳香族第三級アミン化合物およ
びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,
N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェ
ニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(3−
メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,
4’−ジアミン(以下TPDと略記する)、2,2−ビ
ス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、
1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シ
クロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラ−p−トリ
ル−4,4’−ジアミノフェニル、1,1−ビス(4−
ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロ
ヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェ
ニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリルアミ
ノフェニル)フェニルメタン、N,N’−ジフェニル−
N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4’−ジ
アミノビフェニル、N,N,N’,N’−テトラフェニ
ル−4,4’−ジアミノフェニルエーテル、4,4’−
ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,
N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−ト
リルアミノ)−4’−[4(ジ−p−トリルアミノ)ス
チリル]スチルベン、4−N,N−ジフェニルアミノ−
(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−
4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、N−
フェニルカルバゾール、米国特許第5,061,569
号に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有す
る、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−
N−フェニルアミノ]ビフェニル(以下NPDと略記す
る)、また、特開平4−308688号公報で記載され
ているトリフェニルアミンユニットが3つスターバース
ト型に連結された4,4’,4''−トリス[N−(3−
メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニル
アミン(以下MTDATAと略記する)等を挙げること
ができる。また、発光層の材料として示した前述の芳香
族ジメチリディン系化合物p型−Si,p型SiC等の
無機化合物も正孔注入層の材料として使用することがで
きる。正孔注入層は、上述した化合物を、例えば真空蒸
着法,スピンコート法,キャスト法,LB法等の公知の
方法により薄膜化することにより形成することができ
る。正孔注入層としての膜厚は、特に制限されないが、
通常は5nm〜5μmである。この正孔注入層は、上述
した材料の1種類または2種類以上からなる一層構造で
あってもよいし、同一組成または異種組成の複数層から
なる複数構造であってもよい。
【0039】電子注入層 必要に応じて設けられる電子注入層は、陰極より注入さ
れた電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、
その材料としては従来公知の化合物の中から任意のもの
を選択して用いることができる。具体例としては、ニト
ロ置換フルオレン誘導体、特開昭57−149259号
公報、同58−55450号公報、同63−10406
1号公報等に開示されているアントラキノジメタン誘導
体、Polymer Preprints, Japan Vol.37. No.3(1988) p.
681 等に記載されているジフェニルキノン誘導体,チオ
ピランジオキシド誘導体,ナフタレンペリレン等の複素
環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、Japanese
Journal of Applied Physics, 27, L269(1988)、特開昭
60−696657号公報、 同61−143764号公
報、 同61−148159号公報等に開示されているフ
レオレニリデンメタン誘導体、特開昭61−22515
1号公報、同61−233750号公報等に開示されて
いるアントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、Ap
pl. Phys. Lett., 55, 15. 1489 や前述の第38回応用
物理学関係連合会で浜田らによって開示されたオキサジ
アゾール誘導体、特開昭59−194393号公報に開
示されている一連の電子伝達性化合物が挙げられる。な
お、特開昭59−194393号方法では前記電子伝達
性化合物を発光層の材料として開示しているが、本発明
者の検討によれば、電子注入層の材料としても用いるこ
とができることが明らかとなった。また、上記オキサジ
アゾール環の酸素原子とイオウ原子に置換したチアゾー
ル誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン
環を有したキノキサリン誘導体を挙げることができる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、具体的に
は、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下A
lqと略記する)、トリス(5,7−ジブロモ−8−キ
ノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−
キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8
−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノー
ル)亜鉛(以下Znqと略記する)、これらの金属錯体
の中心金属が、In,Mg,Cu,Ca,Sn,Gaま
たはPbに置き代わった金属錯体も電子注入層の材料と
して用いることができる。その他に、メタルフリーもし
くはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアル
キル基,スルホン酸基等で置換されているものも好まし
い。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラ
ジン誘導体も、電子注入材料として用いることができ
る。また、正孔注入層と同様に、n型−Si、n型−S
iC等の無機半導体も用いることができる。電子注入層
は、上述した化合物を、例えば真空蒸着法,スピンコー
ト法,キャスト法,LB法の公知の方法により薄膜化す
ることにより形成することができる。電子注入層として
の膜厚は、特に制限されないが、通常は5nm〜5μm
である。この電子注入層は上述した材料の1種類または
2種類以上からなる一層構造であってもよいし、同一組
成または異種組成の複数層からなる複数構造であっても
よい。
【0040】電極(陰極) 陰極としては、仕事関数の小さい(4ev以下)金属
(これを電子注入性金属と称する),合金電気伝導性化
合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが用い
られる。このような電極物質の具体例としては、ナトリ
ウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチ
ウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合
物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム
/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム
(Al23)、インジウム、リチウム/アルミニウム、
希土類金属などが挙げられる。好ましくは、電子注入性
および電極としての酸化等に対する耐久性を考えると、
電子注入性金属とこれにより仕事関数の値が大きく安定
な金属である第二金属との混合物が挙げられる。例え
ば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニ
ウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミ
ニウム/酸化アルミニウム(Al23)、リチウム/ア
ルミニウムなどを挙げることができる。この陰極は、こ
れらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法によ
り、薄膜を形成させることにより、作製することができ
る。有機EL素子を発光体とする多色発光装置では、通
常、陽極のパターンラインに対して垂直の陰極パターン
ラインを形成する。陰極は、通常発光層等の有機化合物
の薄膜上に形成するため、ウェットエッチングを行なう
フォトリソグラフィー法では有機化合物の劣化が激し
く、安定性がない。従って、通常は、上記材料の蒸着や
スパッタリング時に所望の形状のマスクを介して陰極の
パターンを形成する。ここで、陰電極としてのシート抵
抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜
1μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれ
る。なお、このEL素子においては、該陽極または陰極
のいずれか一方が透明または半透明であることが、発光
を透過するため、発光の取り出し効率がよく好都合であ
る。
【0041】有機EL素子の作製(例) 以上例示した材料および方法により発光層、陽極、必要
に応じて正孔注入層、および必要に応じて電子注入層を
形成し、さらに陰極を形成することにより、有機EL素
子を作製することができる。以下に基板上に陽極/正孔
注入層/発光層/電子注入層/陰極が順次設けられた構
成の有機EL素子の作製例を記載する。まず、適当な基
板上に、陽極材料からなる薄膜を1μm以下、好ましく
は10〜200nmの範囲の膜厚になるように蒸着やス
パッタリング等の方法により形成して、陽極を作製す
る。次に、この陽極上に正孔注入層を設ける。正孔注入
層の形成は、前述したように真空蒸着法,スピンコート
法,キャスト法,LB法等の方法により行なうことがで
きるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが発
生しにくい等の点から、真空蒸着法により形成すること
が好ましい。真空蒸着法により正孔注入層を形成する場
合、その蒸着条件は、使用する化合物(正孔注入層の材
料)、目的とする正孔注入層の結晶構造や再結合構造等
により異なるが、一般に蒸着源温度50〜450℃、真
空度10-7〜10-3torr、蒸着速度0.01〜50
nm/sec、基板温度−50〜300℃、膜厚5nm
〜5μmの範囲で適宜選択することが好ましい。次に正
孔注入層上に発光層を設ける発光層の形成も、所望の有
機発光材料を用いて、真空蒸着法,スパッタリング,ス
ピンコート法,キャスト法等の方法により有機発光材料
を薄膜化することにより形成できるが、均質な膜が得ら
れやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、
真空蒸着法により形成することが好ましい。真空蒸着法
により発光層を形成する場合、その蒸着条件は、使用す
る化合物により異なるが、一般的に正孔注入層と同じ様
な条件範囲の中から選択することができる。次に、この
発光層上に電子注入層を設ける。正孔注入層、発光層と
同様、均質な膜を得る必要から真空蒸着法により形成す
ることが好ましい。蒸着条件は、正孔注入層、発光層と
同様条件範囲から選択することができる。
【0042】最後に、陰極を積層して有機EL素子を得
ることができる。陰極は、金属から構成されるもので、
蒸着法,スパッタリングを用いることができる。しか
し、下地の有機物層を成膜時の損傷から守るためには、
真空蒸着法が好ましい。これまで記載してきた有機EL
素子の作製は、一回の真空引きで一貫して陽極から陰極
まで作製することが好ましい。なお、有機EL素子に直
流電圧を印加する場合、陽極を+、陰極を−の極性にし
て、5〜40Vの電圧を印加すると、発光が観測でき
る。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れず、
発光は全く生じない。さらに交流電圧を印加した場合に
は、陽極が+、陰極が−の極性になったときのみ均一な
発光が観測される。印加する交流の波形は任意でよい。
【0043】2.透明支持基板 本発明に用いられる透明支持基板としては、たとえば、
ガラス板、プラスチック板(ポリカーボネート、アクリ
ル等)、プラスチックフィルム(ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエーテルスルフィド等)、石英板などの透
明な(可視光透過率50%以上)材料であることが好ま
しい、また、板厚としては、この上に積層する薄厚のガ
ラス板にそり、ゆがみを生じさせることがなく、補強で
きる程度の支持基板であるならば、特に制限はない。
【0044】3.蛍光体層 本発明に用いられる蛍光体層としては、たとえば、蛍光
色素および樹脂、または蛍光色素のみからなり、蛍光色
素を樹脂中に溶解または分散させた固体状態のものを挙
げることができる。具体的には、近紫外光からは紫色の
発光素子の発光から青色発光に変換する蛍光色素として
は、1,4−ビス(2−メチルスチリン)ベンゼン(以
下Bis−MSB)、トランス−4,4’−ジフェニル
スチルベン(以下DPS)の等スチルベン系色素、7−
ヒドロキシ−4−メチルクマリン(以下クマリン4)等
のクマリン系色素を挙げることができる。次に、青色ま
たは青緑色の発光素子の発光から緑色発光に変換する蛍
光色素については、たとえば、2,3,5,6−1H,
4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジ
ノ(9,9a,1−gh)クマリン(以下クマリン15
3)、3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチル
アミノクマリン(以下クマリン6)、3−(2’−ベン
ズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリ
ン(以下クマリン7)等のクマリン色素、他クマリン色
素系染料であるがベーシックイエロー51、およびソル
ベントイエロー11、ソルベントイエロー116等のナ
フタルイミド色素を挙げることができる。また、青色か
ら緑色の発光素子の発光から橙色から赤色発光に変換す
る蛍光色素については、たとえば、4−ジシアノメチレ
ン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)
−4H−ピラン(以下DCMと略記する)等のシアニン
系色素、1−エチル−2−(4−(p−ジメチルアミノ
フェニル)−1,3−ブタジエニル)−ピリジウム−パ
ークロレート(以下ピリジン1と略記する)等のピリジ
ン系色素、ローダミンB、ローダミン6G等のローダミ
ン系色素、他にオキサジン系が挙げられる。さらに、各
種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料
等)も蛍光性があれば可能である。また、前記蛍光色素
を樹脂中にあらかじめ練りこんで顔料化したものでもよ
い。また、これらの蛍光色素又は顔料は、必要に応じ
て、単独または二種以上を混合して用いてもよい。特に
赤色への蛍光変換効率が低いので、上記色素を混合して
用いて、発光から蛍光への変換効率を高めることもでき
る。一方、樹脂は、透明な(可視光50%以上)の材料
が好ましい。たとえば、ポリメチルメタクリレート、ポ
リアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコ
ール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロース等の透明樹脂(高分
子)が挙げられる。なお、蛍光体層を平面的に分離配置
するために、フォトリソグラフィー法が適用できる透明
な感光性樹脂も選ばれる。たとえば、アクリル酸系、メ
タクリル酸系、ポリケイ皮酸ビニル系、環ゴム系等の反
応性ビニル基を有する光硬化型レジスト材料が挙げられ
る。また、印刷法を用いる場合には、透明な樹脂を用い
た印刷インキ(メジウム)が選ばれる。たとえば、ポリ
塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アル
キド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエス
テル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂のモノマ
ー、オリゴマー、ポリマー、また、ポリメチルメタクリ
レート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の透明
樹脂を用いることができる。蛍光体層が主に蛍光色素か
らなる場合は、所望の蛍光体層パターンのマスクを介し
て真空蒸着またはスパッタリング法で成膜され、一方、
蛍光色素と樹脂からなる場合は、蛍光色素と上記樹脂お
よびレジストを混合、分散または可溶化させ、スピンコ
ート、ロールコート、キャスト法等の方法で製膜し、フ
ォトリソグラフィー法で所望の蛍光体層パターンでパタ
ーニングしたり、スクリーン印刷等の方法で所望の蛍光
体層パターンでパターニングするのが一般的である。蛍
光体層が蛍光色素または、蛍光色素および樹脂からなる
ものの膜厚は、有機EL素子の発光を十分に吸収し、蛍
光を発生する機能を妨げるものでなければ制限はなく、
通常蛍光色素により若干異なるが、10nm〜1mm程
度が適当である。また、特に蛍光体層が蛍光色素と樹脂
からなるものは、蛍光色素の濃度が、蛍光の濃度消光を
起こすことなく、かつ、有機EL素子の発光を十分吸収
できる範囲であればよい。蛍光色素の種類によるが、使
用する樹脂に対して1〜10-4mol/kg程度が適当
である。なお、特に赤色への蛍光変換効率が低いので、
緑色と赤色の蛍光体層を重ねて効率をあげることも可能
である。
【0045】4.透明かつ電気絶縁性無機酸化物層 本発明に用いられる透明かつ電気絶縁性無機酸化物層
は、例えば、蒸着またはスパッタリング、ディピング等
で蛍光体層上または後述する蛍光体保護層もしくは透明
な接着層上に積層することによって形成することができ
る。なお、この透明かつ電気絶縁性無機酸化物層は、単
層であっても、二層以上の複層であってもよい。たとえ
ば、二層とすることによって、下層の無機酸化物層(例
えばソーダ−石灰ガラスなど)からの無機イオンの溶出
を上層の無機酸化物層で抑え、溶出イオンから有機EL
素子を保護することができる。その材料としては、酸化
シリコン(SiO2 )、酸化アルミニウム(Al23
酸化チタン(TiO2 )、酸化イットリウム(Y
23)、酸化ゲルマニウム(GeO2 )、酸化亜鉛(Z
nO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム
(CaO)、ほう酸(B23)、酸化ストロンチウム
(SrO)、酸化バリウム(BaO)、酸化鉛(Pb
O)、ジルコニア(ZrO3 )、酸化ナトリウム(Na
2O)、酸化リチウム(Li2O)、酸化カリウム(K2
O)等を挙げることができるが、酸化シリコン、酸化ア
ルミニウム、酸化チタンが、その層(膜)の透明性が高
く、その製膜温度が比較的低温(250℃以下)であ
り、蛍光体層または保護層をほとんど劣化させないので
好ましい。また、透明かつ電気絶縁性無機酸化物層とし
て、ガラス板、または、上記の酸化シリコン、酸化アル
ミニウム、および酸化チタン等からなる群から選ばれる
一種以上の化合物を、透明な絶縁性のガラス板の上面ま
たは下面の少なくとも一方に製膜したガラス板の場合
は、蛍光体層上または保護層上に張り合わせるだけの低
温(150℃以下)操作が可能であり、蛍光体層上また
は保護層を全く劣化させないのでより好ましい。また、
ガラス板は、特に水蒸気、酸素またはモノマー等の劣化
ガスを遮断する効果が大きい。ガラス板の組成として
は、表1または表2に示すものを挙げることができる。
特に、ソーダ−石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム
含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウ
ケイ酸ガラス等を挙げることができる。なお、ここで電
気絶縁性無機酸化物層は、その組成として、無機酸化物
を主に含むものであればよく、窒化物(例えばSi
34)が含まれていてもよい。透明かつ電気絶縁性無機
酸化物層の膜厚は、有機EL素子の発光を妨げないもの
であれば特に制限はないが、本発明では、0.01μm
以上200μm以下が好ましい。ガラス板、または、上
記の酸化シリコン、酸化アルミニウム、および酸化チタ
ン等からなる群から選ばれる一種以上の化合物を、透明
な絶縁性のガラス板の上面または下面の少なくとも一方
に製膜したガラス板は、板ガラスの精度、強度上、1μ
m以上200μm以下が好ましい。なお、ここで、透明
かつ電気絶縁性無機酸化物層の膜厚が、0.01μm未
満であると、無機酸化物粒子の単層膜に近づき、蛍光体
層または保護層の有機物から発生する水蒸気、酸素また
はモノマー等の劣化ガスを遮断することが困難となり、
膜厚が200μmを超えると、蛍光体層の精細度にもよ
るが、有機EL素子の発光が蛍光体層とのギャップから
漏れだし、多色発光の視野角を狭めて、多色発光装置の
実用性を低下させることがある。さらに、ガラス板を含
めた無機酸化物が好ましいのは、具体的に有機EL素子
の透明電極として、通常よく使われるITO(インジウ
ム錫酸化物)等の無機の導電性透明材料を用いることが
できるためであり、また相互の親和性がよく密着性がよ
いこと等のためである。ここで、有機EL素子の発光寿
命を低下させるものとして水蒸気、酸素またはモノマー
等の有機物のガスが問題となるが、本発明に用いられる
透明かつ電気絶縁性無機酸化物層は、その物性として、
水蒸気、酸素またはモノマー等の有機物のガスを発生さ
せる要因を保有していないこと、および外部からの侵入
を遮断し得ることが要求される。具体的には、特に無機
酸化物層中に含まれている水が熱分析(示差熱分析DT
A、示差操作熱量測定DSC)により、0.1重量%以
下であり、水蒸気または酸素の無機酸化物層に対するガ
ス透過係数が、JIS K7126の気体透過度試験方
法により、それぞれ10-13cc・cm/cm2・s・c
mHg以下であれば、黒点の発生などによる有機LE素
子の発光寿命の低下を抑制することができる。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】5.蛍光体保護層(透明平坦膜) 本発明において、必要に応じて用いられる発光体保護層
(透明平坦膜)は、蛍光体層または必要に応じて配置す
るカラーフィルタ(ブラックマトリックスを含む)の膜
厚段差(凹凸)を平坦化するのみならず、さらに積層す
る接着剤により蛍光体層が溶解侵食されないように保護
するために用いられる。その材料としては、透明な(可
視光50%以上)材料であることが好ましい。具体的に
は、光硬化型樹脂および/または熱硬化型樹脂のよう
に、アクリレート系、メタクリレート系の反応性ビニル
基を有するものを挙げることができる。また、メラミン
樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、
ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹
脂、ポリアミド樹脂のモノマー、オリゴマー、ポリマ
ー、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポ
リカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピ
ロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメ
チルセルロース等の透明樹脂を挙げることができる。蛍
光体保護層は、上記材料を、液状の場合はスピンコー
ト、ロールコート、キャスト法等の方法で製膜し、光硬
化型樹脂は紫外線照射後必要に応じて熱硬化させ、熱硬
化型は製膜後そのまま熱硬化させる。フィルム状の場合
は、そのまま、粘着剤を塗布して貼着してもよい。蛍光
体保護層の厚さは、0.5μmから100μm程度が好
ましく、蛍光体層と有機EL素子のギャップによる有機
EL素子の発光漏れを限りなく低減する(視野角の向
上)ため、なるべく膜厚を小さくすることが好ましい。
しかしながら、膜厚を小さくし過ぎると、接着剤の種類
によっては、蛍光体の保護効果がなくなる。
【0049】6.透明接着層 本発明において必要に応じて用いられる透明接着層は、
透明支持基板上に蛍光体層(必要に応じてカラーフィル
タ、ブラックマトリックス、保護層を含む)を形成した
基板と、特に無機酸化物層としてガラス板とを用いた場
合に用いることが好ましい。この透明接着層に用いられ
る接着剤としては、少なくとも有機EL素子の発光が透
過する部分では、透明な(可視光50%以上)材料が好
ましい。具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタク
リル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化お
よび熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステルな
どの湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。ま
た、エポキシ系などの熱および化学硬化型(二液混合)
を挙げることができる。接着剤の粘度としては低粘度
(約100cp以下)のものが張り合わせ時に気泡がか
みこまず、均一に張り合わせが可能であるが、場合によ
っては蛍光体層を溶解侵食するので、蛍光体上に前記保
護層を積層する必要がある。高粘度(約100cp以
上)のものは、蛍光体を溶解侵食しにくく蛍光体保護層
が不要の場合があるが、逆に張り合わせ時に気泡がかみ
こみ、均一な張り合わせが難しくなる。従って、接着剤
の性質によって、蛍光体保護層の要不要を選択すればよ
い。接着剤は、蛍光体層(必要に応じてカラーフィル
タ、ブラックマトリックス、保護層を含む)を形成した
基板上にスピンコート、ロールコート、キャスト法等の
方法で製膜し、有機EL素子の透明電極を形成した、又
は透明電極を形成する予定のガラス板、または酸化シリ
コン、酸化アルミニウム、酸化チタンからなる群から選
ばれる一種以上の化合物を、透明な絶縁性のガラス板の
上面または下面の少なくとも一方に製膜したものを、そ
れぞれの接着剤の処方に従って、光(紫外線)、熱(1
50℃程度まで)、化学混合等にて接着させる。接着剤
の厚さは、0.1μmから200μm程度が好ましく、
蛍光体層と有機EL素子のギャップによる有機EL素子
の発光漏れを限なく低減する(視野角の向上)ため、な
るべく膜厚を小さくすることが好ましい。しかしなが
ら、膜厚を小さくし過ぎると、蛍光体層間の凹凸によ
り、均一な張り合わせが難しい場合がある。
【0050】7.カラーフィルタおよびブラックマトリ
ックス 本発明において必要に応じて用いられるカラーフィルタ
およびブラックマトリックスは、たとえば、公知の材料
を選んで、フォトリソグラフィー法または印刷法等の方
法で所望の位置に所望のパターニングを行うことによっ
て形成することができる。
【0051】上記のように構成されているから、下層の
蛍光体層または保護層などの有機物にもともと微量に吸
着もしくは含まれている、または有機EL素子の発光時
の熱により蛍光体層又は保護層から発生すると考えられ
る水蒸気、酸素またはモノマー等のガスを膜厚0.01
〜200μmの無機酸化物層が遮断し、有機EL素子の
劣化要因を低減することができる。特に無機酸化物層を
ガラス板とすると、一層、劣化ガスの遮断効果が大き
い。その結果、多色発光装置の均一な保存または発光寿
命を向上させることができる。また、無機酸化物層の膜
厚を200μmを以下とすることによって、多色発光装
置の精細度にもよるが、実用レベルでは、有機エレクト
ロルミネッセンス素子の発光が所望の蛍光体層以外の発
光体層に吸収して不要の発光色で発光したり、発光体層
の隙間から漏れることが低減され、所望の発光色を得る
ことが可能となり、結果的には、多色発光の視野角が向
上する。また、無機酸化物層と透明電極(通常ITO:
インジウム錫酸化物)は有機物に比べて密着性がよく、
透明電極のパターニング(通常フォトリソグラフィー
法)も容易となる。さらに、無機酸化物層の蛍光体層側
界面に透明な接着層を配置することにおいては、特に有
機EL素子の透明電極の蛍光体層側界面の無機酸化物層
がガラス板の場合に、有機EL素子と蛍光体層との密着
性を高めて一体化する。また接着層と蛍光体層の間に透
明な蛍光体保護膜を配置すると、蛍光体層が接着層の接
着剤で溶解侵食されるのを保護する。さらに、この蛍光
体保護膜により、平面的に分離配置した蛍光体層の膜厚
段差を緩和し、蛍光体層上の無機酸化物層の歪を低減し
て、無機酸化物層または透明電極のクラック等の欠陥を
低減する。一方、製造法としては、1μm以上200μ
m以下の薄厚のガラス板を無機酸化物層として用いた場
合、薄膜ガラス板が機械的に脆く、そり、ゆがみがおこ
りやすくなるため、このガラス板上に直接有機エレクト
ロルミネッセンス素子を安定して作製することが困難で
ある。従って、蛍光体層、蛍光体保護膜等を積層した透
明支持基板上にこの薄厚ガラス板を接着層を介して接合
させ、さらに有機エレクトロルミネッセンス素子を順次
積層して、安定して多色発光装置を製造することができ
る。
【0052】
【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに具体的
に説明する。 [実施例1]100mm×100mm×1.1mmのガ
ラス基板(コーニング7059)上に0.03mol/
kg(固形分中)の濃度のクマリン6/ポリ塩化ビニル
樹脂(分子量20,000)をシクロヘキサノンに溶か
したインキ(粘度8,000cp)を用いて、1.4m
mライン3.1mmギャップのストライプパターンが得
られるスクリーン版を介してスクリーン印刷し、120
℃でベークして15μm膜厚の蛍光体層Aのパターンを
得た。次に43%(固形分中)のローダミン含有顔料/
ポリ塩化ビニル樹脂(分子量20,000)をシクロヘ
キサノンに溶かしたインキ(粘度8,000cp)を用
いて、1.4mmライン3.1mmギャップのストライ
プタパターンが得られるスクリーン版を介し、蛍光体層
Aパターンからストライプの垂直方向に1.5mmずら
してスクリーン印刷し、120℃でベークして20μm
膜厚の蛍光体層Bのパターンを得た。この蛍光体層パタ
ーニング基板上全面にポリビニルアルコール(分子量5
0,000)の20%水溶液をスピンコートし、80℃
でベークして5μm膜厚の透明な保護膜を得た。次に、
メタクリレート系オリゴマーの光硬化型透明接着剤(ス
リーボンド社製:3102)を保護膜上にキャスティン
グし、0.12μm膜厚、20Ω/□のITO(透明電
極)を全面(ベタ)成膜した100mm×100mm×
50μm厚のガラス板(ホウケイ酸ガラス)のガラス面
を張り合わせ、3000mJ/cm2 (365nm)の
紫外線をITO面より露光させ、さらに80℃でベーク
した。次に、ITO上に、ノボラック/キノンジアジド
系のポジ型レジスト(富士ハントエレクトロニクステク
ノロジー社製:HPR204)をスピンコートして積層
し、80℃でベーク後、基板をプロキシミティー露光機
にセットし、1.2mmライン、0.3mmギャップの
ストライプパターンが得られるマスクを蛍光体A,Bに
位置合わせしてから、そのマスクを介して、100mJ
/cm2 (365nm)で露光した。さらに、2.38
%TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)
で現像後、130℃でポストベーク後、臭化水素酸水溶
液で露出したITO膜をエッチングし、最後にポジ型レ
ジストを剥離して有機EL素子の陽極となるITO膜パ
ターンを得た。次に、この基板をIPA洗浄、UV洗浄
した後、蒸着装置(日本真空技術社製)の基板ホルダー
に固定した。蒸着源は、モリブテン製の抵抗加熱ボート
に正孔注入材料としてMTDATAおよびNPD、発光
材料としてDPVBi、電子注入材料としてAlqをそ
れぞれ仕込、陰極(電極)の第二金属としてAgをタン
グステン製フィラメントに、陰極の電子注入性金属とし
てMgをモリブテン製ボートに装着した。その後、真空
槽を5×10-7torrまで減圧後、以下の順序で順次
積層していった。正孔注入層から陰極まで途中で真空を
破らず一回の真空引きでおこなった。まず、正孔注入層
としては、MTDATAを蒸着速度0.1〜0.3nm
/s,膜厚200nm、NPDを蒸着速度0.1〜0.
3nm/s、膜厚20nm、発光層としてはDPVBi
を蒸着速度0.1〜0.3nm/s,膜厚50nm、電
子注入層としては、Alqを蒸着速度0.1〜0.3n
m/s,膜厚20nm、陰極としては、陽極ITOスト
ライプパターンに対し垂直で、4mmライン、0.5m
mギャップのストライプパターンになるようなマスクを
介して、MgとAgを同時に蒸着した。すなわち、Mg
は、蒸着速度1.3〜1.4nm/s、Agは、蒸着速
度0.1nm/sで膜厚を200nmとした。このよう
にして、図3に示す有機EL多色発光装置を作製し、直
流8Vの電圧を陽極と陰極に印加すると、電圧を印加し
た陽極と陰極の交差部分が発光し、蛍光体層のない部分
から見える光の発光輝度は、100cd/m2 、CIE
色度座標(JIS Z 8701)はx=0.15、y
=0.15で青色の発光がでていることを確認した。一
方、蛍光体層Aから見える光の発光輝度は、120cd
/m2 、CIE色度座標はX=0.28、y=0.62
で黄味がかった緑色(イエロイッシュグリーン)の発光
がでていることを確認した。また、蛍光体層Bから見え
る光の発光輝度は、30cd/m2 、CIE色度座標は
x=0.60、y=0.31で赤色の発光がでているこ
とを確認した。以上のように有機EL多色発光装置を作
製し、二週間、窒素気流下で保存しても輝度および色度
座標に全く変化がなく、劣化とともに発生する黒点もな
く、均一な発光を維持していた。また、有機EL素子の
発光(単色)の漏れを確認できない範囲の視野角は、±
60°であり、実用上問題とならないレベルであった。
なお、本実施例に用いた50μm厚のガラス基板の水分
含有量は、0.1重量%以下であり、水蒸気または酸素
のガラス基板に対するガス透過係数は、それぞれ10
-13cc・cm/cm2・s・cmHg以下であった。
【0053】[実施例2]実施例1で作製した蛍光体層
A,Bパターニング基板上にメタクリレート系オリゴマ
ーの光硬化型透明接着剤(スリーボンド社製3112)
をキャスティングし、0.12μm膜厚、20Ω/□の
ITOを全面(ベタ)成膜した100mm×100mm
×50μm厚のガラス板(ホウケイ酸ガラス)のガラス
面を張り合わせ、3000mJ/cm2 (365nm)
の紫外線をITO面より露光させ、さらに80℃でベー
クした。以下、実施例1と同一の条件でITOのパター
ニング、有機EL素子を作製し、図2に示す有機EL多
色発光装置を作製した。この多色発光装置も、実施例1
と同一輝度、色度を得、さらに、二週間、窒素気流下で
保存しても輝度および色度座標に全く変化がなく、劣化
とともに発生する黒点もなく、均一な発光を維持してい
た。また、有機EL素子の発光(単色)の漏れを確認で
きない範囲の視野角は、±55°であり、実用上問題と
ならないレベルであった。
【0054】[実施例3]100mm×100mm×
1.1mmのガラス基板(コーニング7059)上にカ
ーボンブラック含有光硬化型レジスト(富士ハントエレ
クトロニクステクノロジー社製:CK2000)をスピ
ンコートし、80℃でベーク後、さらにポリビニルアル
コールの酸素遮断膜(富士ハントエレクトロニクステク
ノロジー社製:CP)をスピンコートし、80℃でベー
クした。次に、基板をプロキシミティー露光機にセット
し、0.3mmライン、1.2mmギャップのストライ
プパターンが得られるマスクを介して、100mJ/c
2 (365nm)で露光した。さらに1N炭酸ナトリ
ウム水溶液で現像後、200℃でポストベークして、ブ
ラックマトリックスを得た。次に、銅フタロシアニン含
有光硬化型レジスト(富士ハントエレクトロニクステク
ノロジー社製:CB2000)をスピンコートし、80
℃でベーク後、さらにポリビニルアルコールの酸素遮断
膜(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:C
P)をスピンコートし、80℃でベークした。次に、基
板をプロキシミティー露光機にセットし、1.4mmラ
イン、3.1mmギャップのストライプパターンが得ら
れるマスクを介し、ブラックマトリックスのギャップに
パターンが埋め込まれるように位置合わせして、100
mJ/cm2 (365nm)で露光した。さらに1N炭
酸ナトリウム水溶液で現像後、200℃でポストベーク
して、青色カラーフィルタを得た。このブラックマトリ
ックスおよび青色カラーフィルタ付き基板上に、実施例
1と同一条件で、蛍光体層A,Bを青色カラーフィルタ
以外の部分に、ブラックマトリックスのギャップに位置
合わせしてスクリーン印刷し、実施例1と同一の50μ
m厚のITO成膜ガラス板を張り合わせ、ITOのパタ
ーニングをおこなった。次に、この基板IPA洗浄、U
V洗浄した後、蒸着装置(日本真空技術社製)の基板ホ
ルダーに固定した。蒸着源は、モリブテン製の抵抗加熱
ボートに正孔注入材料としてMTDATAおよびNP
D、発光材料としてDPVBi、ドーパントとしてDP
AVB、電子注入材料としてAlqをそれぞれ仕込み、
陰極の第二金属としてAgをタングステン製フィラメン
トに、陰極の電子注入性金属としてMgをモリブテン製
ボートに装着した。その後、真空槽を5×10-7tor
rまで減圧後、以下の順序で順次積層していった。正孔
注入層から陰極まで途中で真空を破らず一回の真空引き
でおこなった。まず正孔注入層としては、MTDATA
を蒸着速度0.1〜0.3nm/s,膜厚200nm、
NPDを蒸着速度0.1〜0.3nm/s、膜厚20n
m、発光層としてはDPVBiを蒸着速度0.1〜0.
3nm/s、DPAVBを蒸着速度0.05nm/sで
同時蒸着して併せて膜厚40nm(ホスト材料に対する
ドーパントの重量比は、1.2から1.6)とし、電子
注入層としては、Alqを蒸着速度0.1〜0.3nm
/s,膜厚20nm,陰極としては、陽極ITOストラ
イプパターンに対し垂直とし、4mmライン、0.5m
mギャップのストライプパターンになるようなマスクを
介して、MgとAgを同時蒸着した。すなわち、Mg
は、蒸着速度1.3〜1.4nm/s、Agは、蒸着速
度0.1nm/sで膜厚を200nmとした。このよう
にして、図5に示す有機EL多色発光装置を作製し、直
流8Vの電圧を陽極と陰極に印加すると、電圧を印加し
た陽極と陰極の交差部分が発光し、青色カラーフィルタ
から見える光の発光輝度は、35cd/m2 、CIE色
度座標(JIS Z 8701)はx=0.14、y=
0.12で青色の発光がでていることを確認した。一
方、蛍光体層Aから見える光の発光輝度は、120cd
/m2 、CIE色度座標はx=0.28、y=0.62
で黄味がかった緑色(イエロイッシュグリーン)の発光
がでていることを確認した。また、蛍光体層Bから見え
る光の発光輝度は、30cd/m2 、ICE色度座標は
x=0.60、y=0.31で赤色の発光がでているこ
とを確認した。以上のように有機EL多色発光装置を作
製し、二週間、窒素気流下で保存しても輝度および色度
座標に全く変化がなく、劣化とともに発生する黒点もな
く、均一な発光を維持していた。また、単色発光時に混
色を確認できない範囲の視野角は、±70°であり、実
用上問題にならないレベルであった。
【0055】[実施例4]実施例1で作製した蛍光体層
A,Bパターニング基板上にメタクリレート系光硬化型
樹脂(新日鉄化学社製:V259PA)をスピンコート
し、80℃でベークし、さらに300mJ/cm2 (3
65nm)の紫外線を露光し、さらに150℃でベーク
して、5μm厚さの透明な保護膜を積層した。次いで、
酸化シリコンを180℃で加熱した基板上にスパッタリ
ング装置により0.01μm膜厚で全面に積層し、次い
で、ITOも基板を180℃で加熱しながらスパッタリ
ング装置により、0.12μm膜厚、20Ω/□で全面
(ベタ)成膜した。以下、実施例1と同一の条件でIT
Oのパターニング、有機EL素子を作製し、図4に示す
有機EL多色発光装置を作製し、実施例1と同一輝度、
色度を得た。そしてさらに、二週間、窒素気流下で保存
しても輝度および色度座標にほとんど変化がなく、劣化
とともに発生する黒点も少なく、均一な発光を維持して
いた。また、有機EL素子の発光(単色)の漏れを確認
できない範囲の視野角は、ほぼ±90°であり、実用上
問題とならないレベルであった。なお、本実施例に用い
た0.01μm膜厚の酸化シリコン膜の水分含有量は、
0.1重量%以下であり、水蒸気または酸素の酸化シリ
コン膜に対するガス透過係数は、それぞれ10-13cc
・cm/cm2・s・cmHg以下であった。
【0056】[実施例5]実施例1で作製した蛍光体層
A,Bパターニング基板上に、180℃で加熱しなが
ら、酸化アルミニウムをスパッタリングにより0.01
μm膜厚で全面に積層し、次いで、ITOも基板を18
0℃で加熱しながらスパッタリング装置により、0.1
2μm膜厚、20Ω/□で全面(ベタ)成膜した。以
下、実施例1と同一の条件でITOのパターニング、有
機EL素子を作製し、図1に示す有機EL多色発光装置
を作製し、実施例1と同一輝度、色度を得た。そしてさ
らに、二週間、窒素気流下で保存しても輝度および色度
座標にほとんど変化がなく、劣化とともに発生する黒点
も少なく、均一な発光を維持していた。また、有機EL
素子の発光(単色)の漏れを確認できない範囲の視野角
は、ほぼ±90°であり、実用上問題とならないレベル
であった。なお、本実施例に用いた0.01μm膜厚の
酸化アルミニウム膜の水分含有量は、0.1重量%以下
であり、水蒸気または酸素の酸化アルミニウム膜に対す
るガス透過係数は、それぞれ10-13cc・cm/cm2
・s・cmHg以下であった。
【0057】[実施例6]実施例1で作製した蛍光体層
A,Bパターニング基板上に、180℃で加熱しなが
ら、酸化チタンをスパッタリングにより0.01μm膜
厚で全面に積層し、次いで、ITOも基板を180℃で
加熱しながらスパッタリング装置により、0.12μm
膜厚、20Ω/□で全面(ベタ)成膜した。以下、実施
例1と同一の条件でITOのパターニング、有機EL素
子を作製し、図1に示す有機EL多色発光装置を作製
し、実施例1と同一輝度、色度を得た。そしてさらに、
二週間、窒素気流下で保存しても輝度および色度座標に
ほとんど変化がなく、劣化とともに発生する黒点も少な
く、均一な発光を維持していた。また、有機EL素子の
発光(単色)の漏れを確認できない範囲の視野角は、ほ
ぼ±90°であり、実用上問題とならないレベルであっ
た。なお、本実施例に用いた0.01μm膜厚の酸化チ
タン膜の水分含有量は、0.1重量%以下であり、水蒸
気または酸素の酸化チタン膜に対するガス透過係数は、
それぞれ10-13cc・cm/cm2・s・cmHg以下
であった。
【0058】[実施例7]実施例1で作製した蛍光体層
A,Bパターン上に保護膜を積層した基板上に、メタク
リレート系オリゴマーの光硬化型接着剤(スリーボンド
社製:3102)をキャスティングし、100mm×1
00mm×50μm厚のガラス基板(ソーダ−石灰ガラ
ス)に0.05μmの膜厚の酸化チタン、0.12μm
膜厚のITOを順次全面(ベタ)スパッタリング成膜し
た基板のガラス面を張り合わせ、3000mJ/cm2
(365nm)の紫外線をITO面より露光させ、さら
に80℃でベークした。以下、実施例1と同一の条件で
ITOのパターニング、有機EL素子を作製し、図6に
示す有機EL多色発光装置を作製し、実施例1と同一輝
度、色度を得た。そしてさらに、二週間、窒素気流下で
保存しても輝度および色度座標にほとんど変化がなく、
劣化とともに発生する黒点も少なく、均一な発光を維持
していた。また、有機EL素子の発光(単色)の漏れを
確認できない範囲の視野角は、±60゜であり、実用上
問題とならないレベルであった。なお、本実施例に用い
た0.05μm膜厚の酸化チタンを成膜した50μm厚
のガラス基板の水分含有量は、0.1重量%以下であ
り、水蒸気または酸素の酸化チタンを製膜したガラス基
板に対するガス透過係数は、それぞれ10-13cc・c
m/cm2・s・cmHg以下であった。
【0059】[比較例1](無機酸化物層がない場合) 実施例1で作製した蛍光体層A,Bパターニング基板上
にメタクリレート系光硬化型樹脂(新日鉄化学社製:V
259PA)をスピンコートし、80℃でベークし、さ
らに300mJ/cm2 (365nm)の紫外線露光
し、さらに150℃でベークして、5μm厚さの透明な
保護膜を積層した。次いで、180℃で加熱した基板上
にスパッタリング装置によりITOを0.12μm膜
厚、20Ω/□で全面(ベタ)成膜した。以下、実施例
1と同一の条件でITOのパターニング、有機EL素子
を作製し、図7に示す有機EL多色発光装置を作製し
た。実施例1とほぼ同一輝度と色度を得たが、二週間、
窒素気流下で保存すると、同条件で蛍光体層のない部分
から見える有機EL素子の発光輝度は、5cd/m2
で低下し、劣化に伴う黒点が数多く発生し、明らかに問
題となった。なお、本比較例に用いた蛍光体層および保
護膜の水分含有量は、1.2重量%であり、水蒸気また
は酸素の保護膜に対するガス透過係数は、それぞれ10
-13cc・cm/cm2・s・cmHg以上であった。
【0060】[比較例2](無機酸化物層の膜厚が0.
005μm) 実施例1で作製した蛍光体層A,Bパターニング基板上
にメタクリレート系光硬化型樹脂(新日鉄化学社製:V
259PA)をスピンコートし、80℃でベークし、さ
らに300mJ/cm2 (365nm)の紫外線露光
し、さらに150℃でベークして、5μm厚さの透明な
保護膜を積層した。次いで、酸化シリコンを180℃で
加熱した基板上にスパッタリング装置により0.005
μm膜厚で全面に積層し、さらに180℃で加熱しなが
らスパッタリング装置により0.12μm膜厚、20Ω
/□のITOを全面(ベタ)成膜した。以下、実施例1
と同一の条件でITOのパターニング、有機EL素子を
作製し、有機EL多色発光装置を作製した。実施例1と
ほぼ同一輝度と色度を得たが、二週間、窒素気流下で保
存すると、同条件で蛍光体層のない部分から見える有機
EL素子の発光輝度は、20cd/m2 まで低下し、劣
化に伴う黒点が数多く発生し、明らかに問題となった。
なお、本比較例に用いた0.005μm膜厚の酸化シリ
コン膜の水分含有量は、0.1重量%以下であったが、
水蒸気または酸素0.005μm膜厚のシリコン酸化膜
に対するガス透過係数は、それぞれ10-13cc・cm
/cm2・s・cmHg以上であった。
【0061】[比較例3](無機酸化物層(板ガラス)
の厚みが300μm) 実施例1で作製した蛍光体層A,Bパターンおよび発光
体保護膜、接着層を順次積層した基板上に、0.12μ
m膜厚、20Ω/□のITOを全面(ベタ)成膜した1
00mm×100mm×300μm厚のガラス板(ホウ
ケイ酸ガラス)のガラス面を張り合わせ、3000mJ
/cm2 (365nm)の紫外線をITO面より露光
し、さらに80℃でベークした。以下、実施例1と同一
の条件でITOのパターニング、有機EL素子を作製
し、有機EL多色発光装置を作製した。実施例1とほぼ
同一輝度と色度を得た。そしてさらに、二週間、窒素気
流下で保存しても輝度および色度座標にほとんど変化が
なく、劣化とともに発生する黒点も少なく、均一な発光
を維持していたが、有機EL素子の発光(単色)の漏れ
を確認できない範囲の視野角は、ほぼ±30°であり、
通常見える範囲に、発光色が異なって見える部分(角
度)があり、実用上問題となった。
【0062】[比較例4](ゾルゲルガラス技法による
保護膜(平面化層)) 実施例1で作製した蛍光体層A,Bパターニング基板
を、10重量%のテトラエトキシシラン(Si(OC2
54 )と1重量%の塩酸を含む水−エタノール(容
量比1:2)の混合液中に浸漬し、基板をゆっくり引き
上げて、蛍光体層A,Bパターン上に酸化シリコン(S
iO2 )ゾルがディップコーティングされた基板を作製
した。次に、基板を400℃で加熱して酸化シリコンを
ゲル化させ、蛍光体層A,Bパターン上にガラス状の保
護膜を積層したが、明らかに蛍光体層A,Bパターンが
黒色化(炭化)して劣化していることがわかった。そこ
で、基板を180℃で加熱して酸化シリコンをゲル化さ
せ、蛍光体層A,Bパターン上にガラス状の保護膜(膜
厚0.2μm)を積層した。次に、ITO基板を180
℃で加熱しながらスパッタリング装置により、0.12
μm膜厚、20Ω/□で全面(ベタ)成膜した。以下、
実施例と同一の条件でITOパターニング、有機EL素
子を作製し、図7に示す有機EL多色発光装置を作製
し、実施例1と同一輝度、色度を得た。ところが、二週
間、窒素気流下で保存すると、同条件で蛍光体層のない
部分から見える有機EL素子の発光輝度は5cd/m2
まで低下し、劣化に伴う黒点が数多く発生し、明らかに
問題となった。なお、本比較例に用いた0.2μm膜厚
のゾルゲル酸化シリコン膜の水分含有量は、1.5重量
%であり、水蒸気または酸素のゾルゲル酸化シリコン膜
に対するガス透過係数は、それぞれ10-13cc・cm
/cm2・s・cmHg以上であり、ゾルゲルガラス技
法による保護膜は不適当であることがわかった。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によって、
優れた発光寿命を有するとともに、優れた視野角特性を
有する有機EL素子を用いた多色装置を提供することが
できる。また、この多色発光装置を安定に、効率よく製
造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多色発光装置の一実施例を模式的に示
す概略断面図である。
【図2】本発明の多色発光装置の、透明接着層を用いた
他の実施例を模式的に示す概略断面図である。
【図3】本発明の多色発光装置の、透明接着層および透
明蛍光体保護層を用いた他の実施例を模式的に示す概略
断面図である。
【図4】本発明の多色発光装置の、透明蛍光体保護層を
用いた他の実施例を模式的に示す概略断面図である。
【図5】本発明の多色発光装置の、透明接着層、透明蛍
光体保護層、カラーフィルタおよびブラックマトリック
スを用いた他の実施例を模式的に示す概略断面図であ
る。
【図6】本発明の多色発光装置の透明接着層および透明
蛍光体保護層、透明絶縁性無機酸化物層を2層用いた他
の実施例を模式的に示す、概略断面図である。
【図7】従来の多色発光装置の例を模式的に示す概略断
面図である。
【符号の説明】
1 有機EL素子 1a 透明電極 1b 有機物層 1c 電極 2 透明支持基板 3 蛍光体層 3R 赤色変換蛍光体層 3G 緑色変換蛍光体層 4 透明絶縁性無機酸化物層 5 蛍光体保護層 6 透明接着層 7 カラーフィルタ 8 ブラックマトリックス 10 多色発光装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−258860(JP,A) 特開 平3−152897(JP,A) 特開 平6−96858(JP,A) 特開 平7−94284(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 33/00 - 33/28

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明支持基板と、その透明支持基板上に
    平面的に分離配置した蛍光体層と、その蛍光体層の上面
    または上方に配設した有機エレクトロルミネッセンス
    (EL)素子とを有し、その蛍光体層のそれぞれが有機
    EL素子からの発光を吸収して異なった可視光の蛍光を
    発光し得るように蛍光体層と有機EL素子の透明電極又
    は電極とを対応して配設した多色発光装置において、 前記蛍光体層と有機EL素子との間に、厚さが0.01
    〜200μmの透明な絶縁性無機酸化物層を配設してな
    ることを特徴とする多色発光装置。
  2. 【請求項2】 前記蛍光体層と透明な絶縁性無機酸化物
    層との間に、透明な蛍光体保護層および/または透明な
    接着層を配設してなることを特徴とする請求項1記載の
    多色発光装置。
  3. 【請求項3】 前記透明な絶縁性無機酸化物が、透明な
    絶縁性のガラス板であることを特徴とする請求項1また
    は2記載の多色発光装置。
  4. 【請求項4】 前記透明な絶縁性無機酸化物が、酸化シ
    リコン、酸化アルミニウム、および酸化チタンからなる
    群から選ばれる一種以上の化合物であることを特徴とす
    る請求項1または2記載の多色発光装置。
  5. 【請求項5】 前記透明な絶縁性無機酸化物が、酸化シ
    リコン、酸化アルミニウム、および酸化チタンからなる
    群から選ばれる一種以上の化合物を、透明な絶縁性のガ
    ラス板の上面または下面の少なくとも一方に製膜してな
    るものであることを特徴とする請求項1または2記載の
    多色発光装置。
  6. 【請求項6】 透明支持基板上に、有機EL素子の発光
    を吸収して異なった可視光の蛍光を発光する蛍光体層を
    平面的に分離配置し、この蛍光体層の上面または上方に
    有機EL素子をその透明電極又は電極が蛍光体層に対応
    するように配設する多色発光装置の製造方法において、
    (A)透明支持基板上に蛍光体層を平面的に分離配置す
    る工程、(B)蛍光体層上、および蛍光体層が平面的に
    分離配設された透明支持基板上に、透明な蛍光体保護層
    および/または透明な接着層を配設する工程、(C)有
    機EL素子の透明電極を形成した、又は透明電極を形成
    する予定の、厚さ1〜200μmの透明な絶縁性のガラ
    ス板、または酸化シリコン、酸化アルミニウム、および
    酸化チタンからなる群から選ばれる一種以上の化合物
    を、透明な絶縁性のガラス板の上面または下面の少なく
    とも一方に製膜したものを、前記透明な蛍光体保護層ま
    たは透明な接着層上に接合する工程、および(D)透明
    電極が形成されたガラス板上に有機EL素子の有機物層
    および電極を順次積層する工程、を有することを特徴と
    する多色発光装置の製造方法。
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