JP3183940B2 - 走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップ - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップ

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JP3183940B2 JP09640492A JP9640492A JP3183940B2 JP 3183940 B2 JP3183940 B2 JP 3183940B2 JP 09640492 A JP09640492 A JP 09640492A JP 9640492 A JP9640492 A JP 9640492A JP 3183940 B2 JP3183940 B2 JP 3183940B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走査型プローブ顕微鏡
用カンチレバーチップに関し、より具体的には、レバー
部及びその自由端側に配設された探針部を具備するこの
種カンチレバーチップの作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Binnig とRohrerらにより発明された走
査トンネル顕微鏡(STM;ScanningTunneling Micros
cope )におけるサーボ技術を始めとする要素技術を利
用しながら、STMでは測定し難かった絶縁性の試料を
原子オーダーの精度で観察することのできる顕微鏡とし
て原子間力顕微鏡(AFM;Atomic Force Micrscope)
が提案されている(特開昭62−130302:IB
M、G.ビニッヒ:サンプル表面の像を形成する方法及
び装置)。
【0003】AFMの構造はSTMに類似しており、走
査型プローブ顕微鏡の一つとして位置づけられる。AT
Mでは、自由端に鋭い突起部分(探針部)を持つカンチ
レバーチップを、試料に対向且つ近接して配設してあ
る。この探針部の先端の原子と試料原子との間に働く相
互作用力により、変位するカンチレバーチップの動きを
電気的あるいは光学的にとらえて測定しつつ、試料をX
Y方向に走査し、カンチレバーチップの探針部との位置
関係を相対的に変化させることによって、試料の凹凸情
報などを三次元的にとらえることができる。
【0004】走査型プローブ顕微鏡用のカンチレバーチ
ップは、T. R. Albrechtらが半導体IC製造プロセスを
応用して作製するSiO2 製のカンチレバーチップを提
案して以来(Thomas R. Albrecht Calvin F. Quate:
Atomic resolution lmagingof a nonconductor by Atom
ic force Microscopy J. Appl. Pys. 62 (1987) 259
9)、μmの高精度で非常に再現性良くものを作製するこ
とができるようになった。また、バッチプロセスで作製
することにより、コスト的にも優れたものを作製でき
る。従って、この半導体IC製造プロセスを応用して作
製するカンチレバーチップが主流となっている。
【0005】S. Akamine らは半導体IC製造プロセス
を応用して作る、40nm以下のチップ先端の鋭さをもつ
探針部付きカンチレバーチップを提案している(S. Aka
mine, R. C. Barrett, and C. F. Quate: lmproved at
omicforce microscope images using microcantilevers
with sharp tips, Appl. Phys. Lett. 57 (3), 1990
P. 316)。図9は、このタイプの走査型プローブ顕微鏡
用カンチレバーチップを示す斜視図、図10は、その縦
断側面図である。このカンチレバーチップ10は、シリ
コンウェハを出発材料として作製され、構造は大まか
に、シリコン窒化膜よりなるレバー部分11、シリコン
よりなる探針部12及びシリコンよりなる支持部13か
らなる。図11(a)〜(h)にその作製方法を示す。
【0006】先ず、両面を研磨した面方位(100)の
シリコンウェハ21を使用し(図11(a))、この両
面にシリコン窒化膜22、23を形成する。そして、裏
面のシリコン窒化膜23をフォトリソグラフィによりパ
ターニングした後、残ったシリコン窒化膜をマスクとし
て、水酸化カリウム水溶液によりウエット異方性エッチ
ングする。これにより、シリコンウェハ21を薄くし
て、メンブレイン24を作製する(図11(b))。
【0007】次に、ウェハ21の裏面側にシリコン窒化
膜25を再度堆積する。また、ウェハ21の表面側にレ
ジスト26をコーティングし、これをフォトリソグラフ
ィによりパターニングする(図11(c))。続いて、
レジスト26をマスクとしてメンブレン24及び膜25
を反応性イオンエッチング(RIE)で貫通させ、そし
て、レジスト26を除去する(図11(d))。図11
(e)は、この時のウェハを斜め上から見た様子であ
る。
【0008】次に、上記のRIEでメンブレインを貫通
させた時に現れたシリコン面に、酸化により酸化膜27
を形成する(図11(f))。次に、ウェハ表面のシリ
コン窒化膜22をプラズマエッチングで取り去った後、
水酸化カリウム水溶液でウエット異方性エッチングを行
う。エッチングはシリコン酸化膜27とシリコン窒化膜
25で停止する(図11(g))。最後に、フッ酸でシ
リコン酸化膜27を除去することにより、図9図示のよ
うな、走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップ10
を得る(図11(h))。
【0009】この作製方法は、自由端を三角形形状にし
てカンチレバーチップのレバー部を形成すると、その先
端部に自動的に探針部が形成されるという、所謂セルフ
アライメントで探針部を形成できるという特徴を有す
る。従って、探針部のパターンを別途にアライメント及
び露光する必要がなくなり、高い精度でカンチレバーチ
ップの作製が可能となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述のプロセスで、シ
リコンウェハ21を背面よりウエットエッチングしてメ
ンブレイン24を作製する工程(図11(b))は、ウ
エットエッチングのエッチング速度のコントロールが難
しいことから、所定の厚さのメンブレインとすることが
難しく、プロセスのネックになっており、改善が望まれ
ていた。
【0011】カンチレバーチップ先端の探針部の長さは
メンブレインの厚さにより決まる。従って、同一ウェハ
内に複数のカンチレバーチップを作製しようとする時、
メンブレイン厚の面内分布が大きかった場合には、各カ
ンチレバーチップの探針部の長さに、メンブレイン厚に
応じて、差が生じることになる。
【0012】探針部の長さはAFM像のサンプル表面形
状の再現性に影響を与える。この長さが必要以上に長い
と、探針部の軸方向に垂直な力を受けたときに受けるモ
ーメント力が大きくなり、AFM像がサンプル表面形状
を忠実に再現しなくなるという問題が生じる。このよう
な理由により、探針部先端形状が鋭く、且つ、バッチ処
理プロセスにより、複数個のカンチレバーチップを同時
に作製した時にも探針部の長さが一定であるようなカン
チレバーチップ及びその作製方法が望まれていた。
【0013】また、上述の従来のプロセスでは、初期に
メインブレンを形成する工程(図11(b))があるた
め、それ以降の工程でウェハが割れやすくなり、歩留ま
りが低下するという問題があった。また、ウェハの取扱
いにもかなり注意を払う必要があるため、作製にかかる
時間が長くなり、従って、コストアップが避けられなか
った。
【0014】また、上記従来のカンチレバーチップは、
レバー部がシリコン窒化膜で形成されているため、レバ
ー部の厚さが最大で1μmまでしかできない。このた
め、ばね定数の大きなレバー部を作製するのが難しかっ
た。
【0015】本発明はかかる観点に鑑みてなされもので
ある。本発明の目的は、支持部とサンプルとの接触が少
ない走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップを提供
することである
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の走査型プローブ
顕微鏡用カンチレバーチップは、レバー部と、前記レバ
ー部の自由端に配設される探針部と、前記レバー部の基
端側を支持する支持部と、を具備し、前記レバー部の前
記探針部とは反対側の面は光を反射するミラー部となっ
ていると共に、前記レバー部の基端部において前記レバ
ー部と前記支持部との間に段差が形成され、前記探針部
が配置されている側の前記レバー部の面よりも引き込む
ように前記支持部が配置されていることを特徴とする
【0017】
【作用】本発明のカンチレバーチップは、探針部が配設
されている側のレバー部の面よりも、支持部が引き込む
ように配置されており、探針部がサンプルと対向した時
に、支持部がレバー部よりもサンプルから離れて位置す
るので、サンプルと支持部との接触を少なくすることが
できる
【0018】
【実施例】図1は、本発明に係る走査型プローブ顕微鏡
用カンチレバーチップを示す斜視図である。
【0019】図1に示す本発明のカンチレバーチップ3
0は、レバー部31、カンチレバーチップの自由端に設
けられた探針部32、カンチレバーチップの支持部33
からなる。レバー部31の探針部とは反対側の面は光を
反射するミラー部34となっている。探針部32は従来
のカンチレバーチップ(図9及び図10)と同様四面体
構造で、従ってその先端は非常に鋭く尖った形状となっ
ている。
【0020】また、図2は、本発明カンチレバーチップ
を長手方向に沿って中心で切った時の断面図である。本
発明のカンチレバーチップは従来のカンチレバーチップ
(図9及び図10)と比べて、形状の上では支持部33
に対するレバー部31の付け根の所で段差ができている
ところが異なる。
【0021】図5に図1図示の本発明のカンチレバーチ
ップの作製工程を示す。また図3、はウェハW内に形成
される複数のカンチレバーチップのパターンPを示し、
図4は、図3のIVa−O−IVb線に沿った断面図で
ある。
【0022】図5(a)のように、本発明のカンチレバ
ーチップはスタートウェハとして、3層に分かれている
ウェハ40を用いる。表面の第1層41は単結晶シリコ
ン層、第2層42は二酸化シリコンのエッチング停止層
である。最下層の第3層43は単結晶シリコン層であ
る。
【0023】ウェハ40の両面にシリコン窒化膜44、
45を堆積し(図5(b))、フォトリソグラフィによ
り裏面のシリコン窒化膜45を一部取り除く。そして、
残存するシリコン窒化膜をマスクとして水酸化カリウム
水溶液などを使い、異方性ウェットエッチングを行う。
ここでエッチングが異方性となるのは、上記エッチング
液が(111)方向に対しては(100)面などに比べ
エッチング速度が遅いことを利用している。即ち、図
中、このメンブレイン作製工程でできる斜面46、47
はシリコンの(111)面である。本発明ではウェハ中
にエッチング停止層である酸化シリコン層42があるの
で、ウエットエッチングはそこで停止する(図5
(c))。次に、バッファードフッ酸(フッ酸とフッ化
アンモンの混合液)により、露出した二酸化シリコン層
42をエッチングする(図5(d))。
【0024】次に、シリコン窒化膜48を堆積し直し、
図5(e)のような状態にする。この時のシリコン窒化
膜48は最終的にカンチレバー部となるので、レバー部
のバネ定数などレバー部の厚さに依存する機械的定数
は、膜48の堆積時に決定される。
【0025】図5(f)及び図5(g)はウェハ表面側
から行うフォトリソグラフィを行うことを示している。
ここで先ず、レジスト49をコーティングし、且つパタ
ーニングする。そして、プラズマドライエッチングによ
り、シリコン窒化膜44、シリコン層41及びシリコン
窒化膜48よりなるメンブレインを表裏貫通させる。こ
の時のパターニングによりカンチレバーチップの厚さ以
外のカンチレバーチップ長さ、幅などの形状が決定され
る。
【0026】次に、前工程で露出したシリコン面を酸化
して二酸化シリコン膜50を形成する(図5(h))。
この後、表面側のシリコン窒化膜44をプラズマドライ
エッチングで除去し(図5(i))、ウエットエッチン
グにより、異方性エッチングを行う。エッチングは底面
側のシリコン窒化膜48と二酸化シリコン膜50に達し
たところで、実質的に停止し、図5(j)に示すような
四面体構造の針状部51、51を形成する。
【0027】最後に、バッファードフッ酸により二酸化
シリコン層42を取ることにより、図5(k)に示すよ
うな本発明の走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチッ
プ30a、30bを得る。
【0028】一般的にはこの後、カンチレバーチップ面
での光の反射率を高め、変位測定系のS/N比を向上さ
せる目的で金などをレバー部の裏面にミラー部としてコ
ーティングするが、図では示していない。
【0029】本発明において、スタートウェハとして使
用されるエッチング停止層を持ったウェハは、具体的に
は、酸素をインプラントして作製するSIMOX(Sepa
ration by Implanted Oxygen)ウェハや、二酸化シリコ
ン層を接合層として2枚のシリコンウェハを貼り合わせ
た接合ウェハである。
【0030】SIMOXウェハの場合は、通常、表面側
のシリコン層厚は1μm以下であり、本発明のスタート
ウェハとしては、そのままでは薄すぎるので、エピタキ
シャル成長法によりその上にシリコンを成長させ、厚く
したものが使用される。
【0031】接合ウェハの場合は、通常、表面側のシリ
コン層厚は10μm以上であり、本発明のスタートウェ
ハとしては、そのままでは表面側のシリコン層厚が厚す
ぎるので、研磨して薄くしたものが用いられる。
【0032】即ち、エッチング停止層は、スタートウェ
ハ中において、少なくとも中央より表面側に位置してい
ることが望ましく、エピタキシャル成長あるいは研磨し
た後の表面側シリコン層の厚さとしては、1から30μ
m程度が選ばれ、更には1から5μm程度が好ましく使
用される。
【0033】カンチレバーチップを構成する材料として
は、半導体IC製造プロセスを用いて作製することか
ら、Siに代表される半導体材料あるいはそれより派生
した化合物などが好ましく用いられる。また、それらの
材料にドーピングを施した材料も同様に好ましく使用さ
れる。
【0034】本発明カンチレバーチップは、S. Akamine
により提案されている図9及び図10のカンチレバーチ
ップに比べて、所望の厚さのメンブレインを得る時、極
めて簡単にエッチングの工程を停止させることができ
る。この結果、本発明の目的であるところの安定した品
質のカンチレバーチップを作製することが可能になる。
その主たるものとして、レバー部の先端に形成される探
針部の長さが揃っている複数のカンチレバーチップを同
時に作製することができる。
【0035】このことは、同一ウエハ内の探針部の長さ
が一定と言うのに留まらず、違うウェハを用いてもエッ
チング停止層の表面からの深さが揃ったスタートウェハ
を使えば、同様に長さの揃った探針をもったカンチレバ
ーチップを提供することができる。また他の効果とし
て、レバー部の長さの揃ったものが作製できるというこ
とが挙げられる。
【0036】エッチング停止層の存在は、図5(f)
(g)のフォトリソグラフィ工程で両面アライナーを用
いて露光し、且つ、カンチレバーチップのパターンも図
3及び図4に示すようにカンチレバーチップを向かい合
うようにして複数作製するときには、カンチレバーチッ
プの長さにも影響を与える。即ち、作製するメンブレイ
ンの面積をコントロールできることから、カンチレバー
チップの長さも安定して作製することができるようにな
るというメリットがある。
【0037】また先にも述べたように、サンプルに面す
る側にレバー部と支持部との間に段差がついているた
め、サンプルと支持部分との接触が少なくなるというメ
リットがあり、この意味からは、エッチング停止層の厚
さは厚い方が好ましい。しかし、この厚さによって本発
明が限定されるものではない。以下、作製例により本発
明の第1実施例のカンチレバーチップの作製工程を説明
する。 <作製例1>図1及び図2に示す本発明の第1実施例の
カンチレバーチップを作製した。その作製工程は図5に
示す様である。スタートウェハとして面方位(100)
のSIMOXウェハ40を用いた。表面側のシリコン層
41はエピタキシャル成長により3μmの厚さにした。
【0038】ウェハ洗浄後、LP−CVD装置によりシ
リコン窒化膜44、45を両面に堆積し(図5
(b))、フォトリソグラフィにより裏面のシリコン窒
化膜45を一部取り除いた後、シリコン窒化膜をマスク
としてエチレンジアミンピロカテコール水(EPW)を
使用して異方性ウエットエッチングを行った。
【0039】エッチング時間は特にコントロールせず、
予備実験により求めたエッチング速度より換算されたと
ころの所望のメンブレイン厚を得るに必要なエッチング
時間を越えてEPW中にウェハ40を放置した。しか
し、SIMOXウェハ中の酸化シリコン層42があるの
で、ウェットエッチングはそこで停止していた。つい
で、バッファードフッ酸(フッ酸とフッ化アンモンの混
合液)により、二酸化シリコン層42をエッチングし
た。
【0040】次に、シリコン窒化膜48をLP−CVD
により400nm堆積し直した。そして、ウェハ表面に
厚膜レジスト49をコーティングし、且つパターニング
した。続いて、CBrF3 ガスを用いたRIEプラズマ
ドライエッチングによりメンブレインを表裏貫通させ
た。次に、拡散炉に入れ、RIE工程で露出したシリコ
ン面に酸化膜50を形成した。
【0041】この後、表面側のシリコン窒化膜44をプ
ラズマドライエッチングで除去した。また、EPWによ
りシリコン層41の異方性ウエットエッチングを行っ
た。続いて、バッファードフッ酸により二酸化シリコン
層42を除去した。最後に、真空蒸着によりクロムと金
とをレバー部の裏面にミラー部としてコーティングし
て、本発明の走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチッ
プを得た。
【0042】このように作製した本発明のカンチレバー
チップは、長さの揃った探針部がウェハ内の各レバー部
の先端に作製されており、安定した品質の複数のカンチ
レバーチップを同時に得ることができた。図6は、本発
明に係る走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップの
第2実施例を示す斜視図である。
【0043】図6に示す本発明のカンチレバーチップ6
0は、レバー部61、カンチレバーチップの自由端に設
けられた探針部62、カンチレバーチップの支持部63
からなる。レバー部61の探針部とは反対側の面は光を
反射するミラー部64となっている。探針部62は従来
のカンチレバーチップ(図9及び図10)と同様四面体
構造で、従ってその先端は非常に鋭く尖った形状となっ
ている。
【0044】また、図7は、本発明カンチレバーチップ
を長手方向に沿って中心で切った時の断面図である。レ
バー部61はボロン(B)を高濃度にドープしたシリコ
ンからなり、探針部62はノンドープのシリコンからな
る。また、支持部63はノンドープのシリコンからな
り、支持部63のレバー部側表面には、レバー部61の
延長部、即ち、ボロン(B)を高濃度にドープしたシリ
コンからなる層が形成される。
【0045】なお、ミラー部64は、ボロンを高濃度に
ドープしたシリコン製のレバー部61が薄く、通常AF
M測定に用いる光学方式の変位計では、光が透過してし
まい十分な反射率が得られない場合に、金などをコーテ
ィングして形成する。もし、コーティングなしでも、十
分な反射率が得られる場合は、同コーティングは省略す
ることができる。図8に図6図示の本発明の第2実施例
に係るカンチレバーチップの作製工程を示す。以下、作
製例により同カンチレバーチップの作製工程を説明す
る。 <作製例2>
【0046】本発明の第2実施例のスタートウェハ70
は、図8(c)に示すように、ボロン(B)を高濃度
(1018ions/cm3 )にドープしたシリコン層72を
有する。そしてその上下に、面方位がおよそ(100)
であるノンドープシリコン層71、73が配設される。
【0047】先ず、スタートウェハ70を形成するた
め、面方位(100)で厚さが525μmの通常のシリ
コンウェハ69を使用し(図8(a))、この主表面に
ボロン(B)をドープすることにより、ボロンドープ層
72、及びノンドープ層73を形成する(図8
(b))。ボロンは、例えば、イオンインプランテーシ
ョンにより行い、層72の厚さは600nm程度とす
る。
【0048】次に、層72、73をアニール処理し、そ
の後その上に5μm程度シリコンをエピタキシャル成長
させ、ノンドープ層71を形成する(図8(c))。こ
れによりスタートウェハ70が完成する。
【0049】次に、およそ三角形のカンチレバー形状を
作製するように、層71上にレジスト74をコーティン
グし且つパターニングする。そしてSF6 +C2 BrF
5 ガスにより、反応性イオンエッチング(RIE)を行
い、層73の表面が露出するまで層71、72をほぼ垂
直に掘り下げ、穴75を形成する(図8(d))。
【0050】レジスト74を除去した後、熱処理によ
り、表面側(穴の内面を含む)にシリコン酸化膜76、
また裏面側にシリコン酸化膜77を形成する(図8
(e))。次に、表面側の酸化膜76上にSOG膜78
をコーティングし且つ平坦化する(図8(f))。SO
Gの材質は、硬化した段階ではシリコン酸化物が主成分
となる。
【0051】次に、穴75内に存在する酸化膜76及び
SOG膜78の部分を残して、表面側の酸化膜76及び
SOG膜78を取去るように、プラズマドライエッチン
グによりエッチバックする。またこれと共に、裏面側の
酸化膜77をパターニングして四角い開口79を形成す
る(図8(g))。
【0052】次に、水酸化カリウム水溶液により、表裏
両側のノンドープシリコン層71、73をウエット異方
性エッチングする。この際、表面側では、ボロン(B)
を高濃度にドープしたシリコン層72及び酸化膜76
が、水酸化カリウム水溶液のエッチングに対して停止層
として働き、図8(h)に示すような四面体構造の針状
部81、81が形成される。また、裏面側では、酸化膜
77がマスクとして働くと共に、シリコン層72及び酸
化膜76がエッチング停止層として働き、図8(h)に
示すようなメンブレイン82が形成される。
【0053】最後に、バッファードフッ酸により酸化膜
76及びSOG膜78の残部を取り去ることにより、図
8(i)に示すような本発明の走査型プローブ顕微鏡用
カンチレバーチップ60a、60bを得る。
【0054】この作製例2のように、メンブレインを形
成する工程をプロセスの最後の方で行うようにすると、
作製プロセス中でウェハが割れるのを防止することがで
き、カンチレバーチップの歩留まりが向上する。
【0055】なお、ボロンを高濃度にドーピングした
後、シリコンをエピタキシャル成長させた場合、一般
に、ボロンの蒸気圧が高いため、オートドーピングと呼
ばれるメカニズムによって、成長シリコン層71中にボ
ロンが取り込まれる。その結果、表面に向けてボロンが
分布し、エッチング停止位置が表面側に向かってずれる
こととなる。この点を考慮すると、エピタキシャル成長
させるシリコン層71は、探針長さを確保するように、
おおよそ、1μm以上形成することが望ましい。また、
シリコン層72のボロンドープ量はおよそ1018ions/
cm3 以上であるが、本発明はこれに限定されるもので
はない。
【0056】ボロンドープしたシリコン層の上下の層
は、ボロンのドープ量が1018ions/cm3 未満である
シリコン層であってもよく、またn型になっていてもよ
い。
【0057】また、図8(e)にしめ示す酸化膜76、
77は、拡散炉において950℃の低い温度で形成する
ことにより、探針を尖鋭化することができる。しかも、
950℃前後の低温処理は、ボロンの拡散にあまり影響
がないため、酸化膜の形成方法として望ましい。酸化膜
76、77に代え、シリコン窒化膜を使用することもで
きる。この場合、最後のフッ酸による酸化膜除去処理
は、熱リン酸による窒化膜除去処理に置換される。ま
た、図8(f)に示す工程で使用されるSOGに代え、
他のレジストなどの低温で固化するものを使用すること
ができる。 <作製例3>
【0058】上述の作製例2では、ボロンドープシリコ
ン層72をイオンインプランテーションで作製するた
め、レバー部61の厚さは600nm程度となる。しか
し、この作製例3では、より厚いレバー部を作製するた
め、ボロンドープシリコン層72の厚さが12μmのス
タートウェハを使用するものとする。
【0059】このスタートウェハ70を形成するため、
先ず、面方位(100)で厚さが525μmの通常のシ
リコンウェハ69を使用し(図8(a))、この主表面
上にボロンの高濃度拡散源としてボロンフィルム(Emul
sitone Co. 製、Bタイプ)をスピンコーティングす
る。次に、1190℃で50時間熱処理し、高濃度ボロ
ンドープシリコン層72を作製する。そして層72の上
にシリコンをエピタキシャル成長させ、スタートウェハ
70を完成する。
【0060】こうして形成したスタートウェハを使用
し、上述の作製例3と同様なプロセスで図6図示の本発
明の第2実施例に係るカンチレバーチップを作製する。
但し、作製例2ではRIEで穴75を形成するのに際し
てレジスト74をマスクとして使用したが、作製例3で
はニッケル製のメタルマスクを使用する。
【0061】作製例3によれば、レバー部61の厚さが
10μm以上で、且つ非常にばね定数の大きな走査型プ
ローブ顕微鏡用カンチレバーチップを提供することが可
能となる。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、探針部が配設されてい
る側のレバー部の面よりも、支持部が引き込むように配
置されており、探針部がサンプルと対向した時に、支持
部がレバー部よりもサンプルから離れて位置し、サンプ
ルと支持部との接触が少ない走査型プローブ顕微鏡用カ
ンチレバーチップを提供することができる。
【0063】
【0064】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る走査型プローブ顕微
鏡用カンチレバーチップを示す斜視図。
【図2】図1図示カンチレバーチップの縦断側面図。
【図3】ウェハ内に作製される複数のカンチレバーチッ
プのパターンを示す図。
【図4】図3のIVa−O−IVb線に沿った断面図。
【図5】図1図示のカンチレバーチップの作製方法を順
に示す図。
【図6】本発明の第2実施例に係る走査型プローブ顕微
鏡用カンチレバーチップを示す斜視図。
【図7】図6図示カンチレバーチップの縦断側面図。
【図8】図6図示のカンチレバーチップの作製方法を順
に示す図。
【図9】従来の走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチ
ップを示す斜視図。
【図10】図9図示カンチレバーチップの縦断側面図。
【図11】図9図示カンチレバーチップの作製方法を順
に示す図。
【符号の説明】
30、60…カンチレバーチップ、31、61…カンチ
レバー部、32、62…探針部、33、63…支持部、
40、70…スタートウェハ、41、71…シリコン
層、42、72…エッチング停止層、43、73…シリ
コン層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01B 21/00 - 21/32 G01B 7/00 - 7/34 102 G01N 13/10 - 13/24 H01J 37/28

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レバー部と、前記レバー部の自由端に配
    設される探針部と、前記レバー部の基端側を支持する支
    持部と、を具備し、前記レバー部の前記探針部とは反対
    側の面は光を反射するミラー部となっていると共に、前
    記レバー部の基端部において前記レバー部と前記支持部
    との間に段差が形成され、前記探針部が配置されている
    側の前記レバー部の面よりも引き込むように前記支持部
    配置されていることを特徴とする走査型プローブ顕微
    鏡用カンチレバーチップ。
  2. 【請求項2】前記探針部及び前記支持部が半導体の単結
    晶あるいはそれを主体とした材料よりなることを特徴と
    する請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡用カンチレバ
    ーチップ。
  3. 【請求項3】前記探針部及び前記支持部がシリコンから
    なることを特徴とする請求項2記載の走査型プローブ顕
    微鏡用カンチレバーチップ。
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