JP3182862B2 - 半導体装置 - Google Patents

半導体装置

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JP3182862B2
JP3182862B2 JP10659092A JP10659092A JP3182862B2 JP 3182862 B2 JP3182862 B2 JP 3182862B2 JP 10659092 A JP10659092 A JP 10659092A JP 10659092 A JP10659092 A JP 10659092A JP 3182862 B2 JP3182862 B2 JP 3182862B2
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  • Metal-Oxide And Bipolar Metal-Oxide Semiconductor Integrated Circuits (AREA)
  • Insulated Gate Type Field-Effect Transistor (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は伝導度変調型MISFE
T,その制御回路および半導体装置に関し、特に、その
内部の寄生トランジスタを制御する寄生トランジスタ制
御電極を備える伝導度変調型MISFET,その制御回
路および半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】伝導度変調型MISFET(絶縁ゲート
型バイポーラトランジスタ,IGBT)は、パワーMO
SFETと同様な構造でありながら、内部にバイポーラ
トランジスタを有しており、電圧制御型素子であって、
オン電圧が低い等の特徴を有する。その代表的な構造
を、図9に示す。この図において、41は伝導度変調型
MOSFETであり、ドレイン電極51が接続されるド
レイン領域であるp+ 型半導体基板42と、その表面側
に形成されたn型バッファ層43と、その表面側にエピ
タキシャル形成されたn- 型伝導度変調層44とを備え
ている。この伝導度変調層44の表面側には、シリコン
酸化膜45の上に形成されたポリシリコンゲート46を
マスクとしてp型チャネル拡散領域47が拡散形成され
ており、さらに、その表面側にはn+ 型ソース拡散領域
48が形成されている。なお、ポリシリコンゲート46
には、ゲート端子52を介してゲート電位が印加され
る。
【0003】このような伝導度変調型MOSFET(以
下IGBT)41においては、n+型ソース拡散領域4
8、p型チャネル拡散領域47、n- 型伝導度変調層4
4(n型のバッファ層43)とにより、npn構造の寄
生トランジスタが構成されている。このため、IGBT
41に大電流が通電されると、n+ 型ソース拡散領域4
8直下のp型チャネル拡散領域47における電圧降下に
起因して、寄生トランジスタがオン状態となり、n+
ソース拡散領域48,p型チャネル拡散領域47,n-
型伝導度変調層44(n型のバッファ層43)およびp
+ 型半導体基板42によって構成される寄生サイリスタ
がオン状態(ラッチアップ現象)となる。従って、IG
BT41のターンオフコントロールが不可能になる。そ
こで、p型チャネル拡散領域47の内部にp+ 型拡散領
域49を形成し、ソース電極50をソース拡散領域48
のみならず、このp+ 型拡散領域49にも抵抗性接続す
るように設置し、チャネル拡散領域47における電圧降
下を抑制し、ラッチアップ現象の発生を防止している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような構成の伝導
度変調型MOSFET41において、ソース電極50を
アース状態、ドレイン電極51を正電位とした状態で、
ゲート電極52に正電位を印加すると、ポリシリコンゲ
ート46にシリコン酸化膜45を介して対峙するp型チ
ャネル拡散領域47の表面側53に反転層が形成され
る。従って、この反転層を介して、電子がn- 型伝導度
変調層44に注入され、これと共に、p+ 型半導体基板
42から正孔が注入される。これにより、n- 型伝導度
変調層44は伝導度変調状態となり、オン抵抗が低下す
る。たとえば、図10に実線61で示す電流を伝導度変
調型MOSFET41に流すと、実線62でオン電圧変
化を示すように、n- 型伝導度変調層44が充分に伝導
度変調状態になっていない期間t11において、伝導度変
調型MOSFET41に大きな過渡オン電圧VP が発生
する。その後、期間t12において、n- 型伝導度変調層
44が伝導度変調状態になると、オン電圧が低下する。
このように、低いオン電圧を示すことがIGBT(伝導
度変調型MOSFET)41の特徴である。
【0005】従来の回路構成においては、その動作周波
数が数kHz〜数10kHzであるため、この過渡オン
電圧VP は問題とならず、伝導度変調型MOSFET4
1に対しては、アノードショート構造を採用する等、主
としてターンオフ特性の改善が施されてきた。しかしな
がら、動作周波数がさらに高い場合には、n- 型伝導度
変調層44が伝導度変調状態となる前に、ターンオフ動
作になってしまうので、伝導度変調型MOSFET41
の長所たるべき低オン電圧という特徴が発揮されず、逆
に、過渡オン電圧VP に起因するノイズの発生や損失の
増大等が問題となる。
【0006】そこで、本発明においては、上記の問題点
に鑑み、動作周波数が高い場合においても、その動作周
波数に追従して低オン抵抗化が可能なIGBT(伝導度
変調型MOSFET)を実現すること目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明においては、伝導度変調型MISFET内部
の寄生トランジスタを逆に利用して、速やかに伝導度変
調状態を誘起させることにより、ターンオン動作におけ
る過渡オン特性を改善し、さらに、ターンオフ時におい
ては、事前に寄生トランジスタの動作を停止させ、ター
ンオフ特性を維持可能とするようにしている。すなわ
ち、本発明は、第1導電型の伝導度変調層と、この伝導
度変調層上に形成されたゲート電極を備える第1導電型
のMIS部と、このMIS部を構成する第2導電型のチ
ャネル拡散層の表面側に形成されソース電極が接続され
る第1導電型のソース領域と、伝導度変調層と導電接続
するようにMIS部と対峙して形成され、ドレイン電極
が接続される第2導電型のドレイン領域とを有する伝導
度変調型MISFETにおいて、まず、チャネル拡散層
に、寄生トランジスタ制御用電極を導電接続するように
している。従って、この場合には、伝導度変調型MIS
FETが、寄生トランジスタ制御用電極(寄生トランジ
スタのベース電極),ソース電極,ゲート電極およびド
レイン電極を有しいる。
【0008】そして、寄生トランジスタ制御電極とソー
ス電極とを、ショート状態およびオープン状態のいずれ
かの状態に制御可能なスイッチング素子又は外部MIS
FEを有することを特徴とする。
【0009】スイッチング素子としては、伝導度変調層
上に形成されたMISFETであることが望ましい
【0010】その伝導度変調層上に形成されたMISF
ETを構成する制御ドレイン領域と制御ゲート電極と
は、寄生トランジスタ制御電極と接続されていることが
望ましい
【0011】
【作用】本発明に係る伝導度変調型MISFETにおい
ては、第1導電型の伝導度変調層,第2導電型のチャネ
ル拡散領域および第1導電型のソース領域によって構成
される寄生トランジスタのベース領域たるチャネル拡散
領域に寄生トランジスタ制御電極が導電接続されてい
る。従って、この寄生トランジスタ制御電極は、第2導
電型のドレイン領域,第1導電型の伝導度変調層,第2
導電型のチャネル拡散領域および第1導電型のソース領
域によって構成される寄生サイリスタのゲート電極と見
做すこともできる。
【0012】このような構成の伝導度変調型MISFE
Tにおいて、寄生トランジスタ制御電極とソース電極と
をオープン状態にして、ターンオン動作させると、通常
の伝導度変調型MISFETの動作に加えて、ソース領
域直下のチャネル拡散領域を通過する正孔電流と、この
チャネル拡散領域の短絡抵抗とに起因して、電圧降下が
発生し、チャネル拡散領域はソース領域に対し正電位と
なる。このため、寄生トランジスタがオン状態、すなわ
ち寄生サイリスタがオン状態(寄生ラッチアップ現象)
となる。このような状態においては、通常の伝導度変調
型MISFETとしてのキャリヤの注入経路であるMI
S部から伝導度変調層への第1導電型キャリヤ(多数キ
ャリヤ)の注入、およびドレイン領域から伝導度変調層
への第2導電型キャリヤ(少数キャリヤ)の注入に加え
て、寄生サイリスタによる伝導度変調層への第1導電型
キャリヤおよび第2導電型キャリヤの注入が生じる。従
って、伝導度変調層は速やかに伝導度変調状態になるの
で、伝導度変調型MISFETの過渡オン特性は、ター
ンオン動作の初期から低オン電圧である定常オン電圧に
なり、高い過渡オン電圧が発生しない。
【0013】一方、寄生サイリスタがオン状態のままで
は、伝導度変調型MISFETはラッチアップ状態にあ
り、ターンオフのコントロールが不可能である。そこ
で、ターンオン動作の後には、たとえば外部MISFE
Tまたは同一基板上に形成されたMISFETなどのス
イッチング素子を介して、ソース電極と寄生トランジス
タ制御電極とをショートさせて、寄生トランジスタをタ
ーンオフさせる。これにより、通常の伝導度変調型MI
SFETの動作状態に戻り、MIS部のゲート電極から
の駆動信号に基づいて、伝導度変調型MISFETをタ
ーンオフさせることができる。
【0014】さらに、この伝導度変調型MISFETを
制御するスイッチング素子としてMISFETを用いる
場合は、MISFETを構成する制御ゲート電極に寄生
トランジスタ制御電極と同電位を印加することにより、
伝導度変調型MISFETに電流が流れて寄生トランジ
スタ制御電極の電位がMISFETの閾値電位を越える
と自動的にMISFETがオン状態となる。その結果、
寄生トランジスタ制御電極とソース電極とが接続され、
伝導度変調型MISFETのチャネル拡散領域の電位が
ソース領域の略同じとなるため、寄生トランジスタはオ
フとなる。従って、伝導度変調型MISFETは通常の
動作状態となり、ターンオフさせることができる。この
ように、制御ゲート電極と寄生トランジスタ制御電極と
を接続することにより、従来と同様の3端子構造の半導
体装置で、高周波に追従可能な低オン抵抗の半導体スイ
ッチング素子を実現することができる。
【0015】
【実施例】つぎに、添付図面に基づいて、本発明の実施
例について説明する。
【0016】〔実施例1〕図1は本発明の実施例1に係
る伝導度変調型MOSFET(以下、IGBTと称
す。)を備えた半導体装置の構成を示す断面図である。
【0017】図において、半導体装置1は、ドレイン領
域たるp+ 型半導体基板2と、その表面側に形成された
+ 型バッファ層3と、その表面側にエピタキシャル形
成されたn- 型伝導度変調層4とを有し、その表面側に
は、IGBT1aの複数のMOS部が形成されている。
これらの各MOS部においては、シリコン酸化膜5の上
に形成されたそれぞれのポリシリコンゲート6をマスク
とした2重拡散によってp型チャネル拡散領域7および
その表面側のn+ 型ソース拡散領域8が形成されてお
り、ポリシリコンゲート6,p型チャネル拡散領域7お
よびn+ 型ソース拡散領域8によって、IGBT1aの
第1のMOS部11a,第2のMOS部11bおよび第
3のMOS部11cがそれぞれ構成されている。
【0018】本例の半導体装置1においては、これらの
MOS部のうち、第1のMOS11aには、p型チャネ
ル拡散領域7の表面側におけるn+ 型ソース拡散領域8
とは離隔した領域にp+ 型コンタクト領域9が形成され
ており、このp+ 型コンタクト領域9のみに寄生トラン
ジスタ制御電極13が抵抗性接続している一方、n+
ソース拡散領域8のみにソース電極12aが導電接続し
ており、ソース電極12aはp+ 型コンタクト領域9に
導電接続していない。これに対して、その他の第2およ
び第3のMOS部11b,11cにおいては、そのソー
ス電極12b,12cは、従来のIGBTと同様に、n
+ 型ソース拡散領域8に導電接続していると共に、p型
チャネル拡散領域7自身にも導電接続している。ここ
で、IGBT1aの各MOS部に対しては、それらのソ
ース電極12a,12b,12cのいずれにも、外付け
配線層としての第1の配線層55aを介してソース端子
Sが導電接続している。なお、各ポリシリコンゲート6
には、ゲート電極14を介して第1のゲート端子G1
導電接続し、さらに、ドレイン電極10にはドレイン端
子Dが導電接続している。
【0019】また、n- 型伝導度変調層4の表面側にお
いて、IGBT1aの形成領域と離隔した領域には、シ
リコン酸化膜5の上に形成されたポリシリコンゲート5
1をマスクとした2重拡散により、p型チャネル拡散領
域52,その表面側のn+ 型ソース拡散領域53および
+ 型ドレイン拡散領域54が形成されており、ポリシ
リコンゲート51,p型チャネル拡散領域52,n+
ソース拡散領域53およびn+ 型ドレイン拡散領域54
によって、横型の内蔵MOSFET1bが形成されてい
る。ここで、n+ 型ソース拡散領域53およびp型チャ
ネル拡散領域52にはソース電極56,n+ 型ドレイン
拡散領域54およびp型チャネル拡散領域52にはドレ
イン電極57が導電接続しており、そのうち、ソース電
極56は外付け配線層としての第2の配線層55bを介
して、IGBT1aの第1のMOS部11aの寄生トラ
ンジスタ制御電極13に導電接続している一方、ドレイ
ン電極57は第3の配線層55cを介して、IGBT1
aの各ソース電極12a,12b,12cに導電接続し
ている。また、内蔵MOSFET1bのゲート電極51
は第2のゲート端子G2 に導電接続している。従って、
本例の半導体装置1は、IGBT1aの側のドレイン端
子D、IGBT1aの各ソース電極12a,12b,1
2cおよび内蔵MOSFET1bのドレイン電極57が
導電接続するソース端子Sと、IGBT1aのゲート電
極14に導電接続する第1のゲート端子G1 と、内蔵M
OSFET1bのゲート電極59に導電接続する第2の
ゲート端子G2 とからなる4端子構造を有している。
【0020】ここで、IGBT1aの側、たとえば第1
のMOS部11aでは、p型チャネル拡散領域7,n-
型伝導度変調層4およびp+ 型半導体基板2によって、
-型伝導度変調層4(n+ 型バッファ層3)をnベー
スとするpnp構造のトランジスタが構成されている一
方、n+ 型ソース拡散領域8,p型チャネル拡散領域7
およびn- 型伝導度変調層4によって、npn構造の寄
生トレンジスタが形成されており、このnpn構造の寄
生トランジスタのpベースたるp型チャネル拡散領域7
に、寄生トランジスタ制御電極13は導電接続されてい
る。従って、寄生トランジスタ制御電極13は、n+
ソース拡散領域8,p型チャネル拡散領域7,n- 型伝
導度変調層4(n+ 型バッファ層3)およびp+ 型半導
体基板2とによって構成されるnpnp構造の寄生サイ
リスタのゲート電極とも見做しうる。
【0021】次に、この構成の半導体装置1の主要部の
等価回路、すなわちIGBT1aの第1のMOS部11
a側および内蔵MOSFET1bの等価回路を、図2を
参照して、説明する。
【0022】この図に示すように、半導体装置1のIG
BT1aの側において、ソース端子Sとドレイン端子D
の間には、n- 型伝導度変調層4(n+ 型バッファ層
3)をnベースとするpnp構造のトランジスタ21
と、第1のMOS部11aのポリシリコンゲート6など
にゲート電極14を介して導電接続するゲート端子G1
と、p型チャネル拡散領域7をpベースとするnpn構
造の寄生トランジスタ22とを有する。ここで、Rは、
+ 型ソース拡散領域8の直下におけるp型チャネル拡
散領域7の短絡抵抗であり、この短絡抵抗Rに並列接続
された状態、すなわちIGBT1aのソース電極12a
と寄生トランジスタ制御電極13との間に、スイッチン
グ素子としての内蔵MOSFET1bが接続されてい
る。なお、ここに使用する内蔵MOSFET1bは、I
GBT1aとソース電位で接続されているため、大きな
耐圧を必要とせず、極めて小容量のもので充分である。
【0023】つぎに、半導体装置1の動作を、図3に示
すタイミングチャートも参照して、説明する。ここで、
実線31は半導体装置1(IGBT1aの側)の第1の
ゲート端子G1 に印加されるゲート駆動信号VG1を、実
線32は半導体装置1(MOSFET1bの側)の第2
のゲート端子G2 に印加されるゲート駆動信号VG2を、
実線33は半導体装置1(IGBT1a)のソース端子
Sとドレイン端子Dとの間の電流波形I1 を、破線34
は半導体装置1(IGBT1a)のソース端子Sとドレ
イン端子Dとの間の電圧波形V1 を示す。
【0024】まず、IGBT1aの側において、ソース
電極12a,12b,12cを最低電位としてのアース
状態とし、ドレイン電極10を正電位とする。この状態
では、IGBT1a,内蔵MOSFET1bおよび寄生
トランジスタ22(寄生サイリスタ)はオフ状態にあ
る。
【0025】次に、タイミングt1 おいて、ゲート駆動
信号VG1のパルスがゲート端子G1に印加されると、I
GBT1aの側において、ポリシリコンゲート6が正電
位となって、このポリシリコンゲート6にシリコン酸化
膜5を介して対峙するp型チャネル拡散領域7の表面側
7aに反転層が形成され、この反転層を介して、電子が
- 型伝導度変調層4に注入されると共に、p+ 型半導
体基板42から正孔がn- 型伝導度変調層4に注入され
る。ここで、ソース電極12aは、n+ 型ソース拡散領
域8のみに導電接続し、p+ 型コンタクト領域9には導
電接続していないため、n+ 型ソース拡散領域8直下に
おける短絡抵抗Rが比較的大きいので、p型チャネル拡
散領域7における正孔電流と短絡抵抗Rとに起因する電
圧降下が発生すると、p型チャネル拡散領域7がn+
ソース拡散領域8に対し正電位となり、n+ 型ソース拡
散領域8,p型チャネル拡散領域7およびn- 型伝導度
変調層4が形成する寄生トランジスタ22がオン状態に
なる(ラッチアップ現象)。すなわち、寄生サイリスタ
がオン状態となって、n+ 型ソース拡散領域8からp型
チャネル拡散領域7に電子が注入され、さらに、電子は
- 型伝導度変調層4に注入される。このため、IGB
T1aには、通常の電子注入通路に加えて、寄生トラン
ジスタ(寄生サイリスタ)よる電子注入通路が形成され
るため、ターンオン動作と同時に、n- 型伝導度変調層
4に電子が速やかにコレクトされると共に、p+ 型半導
体基板2から正孔も速やかに注入されるので、n- 型伝
導度変調層4はターンオン動作の初期から伝導度変調状
態となる。それ故、実線33で示す電流I1 を半導体装
置1に流した場合であっても、破線34で示すように、
オン電圧V1 はターンオフ動作の初期から低いオン電圧
を示し、破線35で示す従来のIGBTのオン電圧V2
のように、高い過渡オン電圧が発生しない。すなわち、
本例の半導体装置1は、従来のIGBTのようなダイオ
ード型の過渡特性を示さず、サイリスタ型の過渡特性を
示す。
【0026】この状態のIGBT1aの側において、寄
生トランジスタ22(寄生サイリスタ)はオン状態であ
って、ゲート駆動信号VG1による制御が不可能である。
そこで、タイミングt2 において、第2のゲート端子G
2 にゲート駆動信号VG2のパルスを印加して、MOSF
ET1bをオン状態とすると、そのn+ 型ソース拡散領
域53とn+ 型ドレイン拡散領域54とが導通状態にな
って、IGBT1aの側のp型チャネル拡散領域7とn
+ 型ソース拡散領域8とがショート状態になる。このた
め、p型チャネル拡散領域7の正孔がp+ 型コンタクト
領域9を介してソース端子Sの側に抽出され、p型チャ
ネル拡散領域7とn+ 型ソース拡散領域8とが同電位に
なって、寄生トランジスタ22はオフ状態となる。その
結果、タイミングt2 以降、IGBT1aは、通常のI
GBTの動作状態に復帰し、タイミングt3 において、
ゲート駆動信号VG1に制御されてターンオフする。
【0027】このように、本例に係る半導体装置1にお
いては、通常のIGBT1aが有するソース電極12
a,12b,12c,ドレイン電極10およびゲート電
極11に加えて、寄生トランジスタ22をターンオン動
作およびターンオフ動作させるための寄生トランジスタ
制御電極13と、ソース電極12aと寄生トランジスタ
制御電極13との間に接続されてそれらをショート状態
またはオープン状態にスイッチングするMOSFET1
bとを有する。このため、MOSFET1bをオフ状態
として、IGBT1aの側において、2つのトランジス
タの正帰還によって、n- 型伝導度変調層4へのキャリ
ヤの注入速度を高めて、n- 型伝導度変調層4を速やか
に伝導度変調状態にし、IGBT1aをターンオフ動作
の初期から定常オン状態とする。従って、動作周波数が
高い場合であっても、IGBT1aはオン動作初期から
低オン電圧を示すので、オン損失が低く、ノイズの発生
も防止できる。それ故、本例の半導体装置1を、たとえ
ば電源装置のスイッチング回路に使用すると、スイッチ
ング損失が低いので、変換効率を高めることができる。
一方、IGBT1aの第1のMOS部1aはラッチアッ
プ現象が発生しやすい構造になっているが、過渡ターン
オン動作以降、寄生トランジスタ制御電極13は、MO
SFET1bのオン動作によってソース電極12aとシ
ョート状態になると共に、p+ 型コンタクト領域9を介
してp型チャネル拡散領域7に確実に抵抗性接続してい
るので、そのラッチアップ状態を解除すると共に、ラッ
チアップ現象の再発も防止している。
【0028】なお、本例に係る半導体装置1において
は、内蔵MOSFET1bからIGBT1a側への配線
接続に外付け配線層を利用したが、これに限らず、半導
体基板の表面に形成された配線層を利用することもでき
る。
【0029】〔実施例2〕次に、本発明の実施例2に係
るIGBTを備える半導体装置について、図4を参照し
て、説明する。ここで、本例の半導体装置は、そのIG
BT側の寄生トランジスタの制御を、実施例1の半導体
装置における内蔵MOSFETに代えて、外部に設けら
れた制御回路の外部MOSFETによって行うものであ
る。また、実施例2に係るIGBTの基本構成は、実施
例1の半導体装置の基本構成と同様になっているため、
対応する部分には同符号を付してある。
【0030】図4は、本例の伝導度変調型MOSFET
(以下、IGBTと称す。)の構成を示す断面図であ
る。
【0031】図において、1はIGBTであり、ドレイ
ン領域たるp+ 型半導体基板2と、その表面側に形成さ
れたn+ 型バッファ層3と、その表面側にエピタキシャ
ル形成されたn- 型伝導度変調層4と、その表面側のシ
リコン酸化膜5の上に形成されたポリシリコンゲート6
をマスクとして2重拡散により形成されたp型チャネル
拡散領域7およびその表面側のn+ 型ソース拡散領域8
とを有し、ポリシリコンゲート6,p型チャネル拡散領
域7およびn+ 型ソース拡散領域8によってMOS部が
形成されている。ここで、n+ 型ソース拡散領域8は、
p型チャネル拡散領域7の表面側に環状に形成されてお
り、本例においては、その内側でn+ 型ソース拡散領域
8とは離隔した領域にp+ 型コンタクト領域9が形成さ
れ、このp+ 型コンタクト領域9に寄生トランジスタ制
御電極13が抵抗性接続している。また、IGBT1a
は、p+ 型半導体基板2にドレイン電極10を介して導
電接続するドレイン端子Dと、p+ 型半導体基板2の表
面側でポリシリコンゲート6にゲート電極14を介して
導電接続するゲート端子、すなわち第1のゲート端子G
1 と、n+ 型ソース拡散領域8のみにソース電極12を
介して導電接続するソース端子S1 と、p+ 型コンタク
ト領域9(p型チャネル拡散領域7)に寄生トランジス
タ制御電極13を介して導電接続する寄生トランジスタ
制御端子S2とからなる四端子構造を有する。
【0032】このような構成のIGBT1aにおいて
も、実施例1の半導体装置と同様に、p型チャネル拡散
領域7,n- 型伝導度変調層4(n+ 型バッファ層3)
およびp+ 型半導体基板2とによって、n- 型伝導度変
調層4をnベースとするpnp構造のトランジスタが構
成されている一方、n+ 型ソース拡散領域8,p型チャ
ネル拡散領域7およびn- 型伝導度変調層4によって、
npn構造の寄生トレンジスタが形成されており、この
npn構造の寄生トランジスタのpベースたるp型チャ
ネル拡散領域7に、寄生トランジスタ制御電極13は導
電接続されている。従って、寄生トランジスタ制御電極
13は、n+ 型ソース拡散領域8,p型チャネル拡散領
域7,n- 型伝導度変調層4(n+ 型バッファ層3)お
よびp+ 型半導体基板2によって構成されるnpnp構
造の寄生サイリスタのゲート電極とも見做しうる。な
お、本例のp型チャネル拡散領域7は、npn構造の寄
生トランジスタがターンオンしやすいように、従来のI
GBTとは逆に、高抵抗をもつように形成されている。
【0033】次に、本例のIGBT1aの等価回路を、
図5を参照して、説明する。
【0034】図において、IGBT1aのソース端子S
(ソース端子S1 )とドレイン端子Dの間には、n-
伝導度変調層4(n+ 型バッファ層3)をnベースとす
るpnp構造のトランジスタ21と、ポリシリコンゲー
ト6にゲート電極14を介して導電接続するMOS部の
ゲート端子G1 と、p型チャネル拡散領域7をpベース
とするnpn構造の寄生トランジスタ22とを有する。
ここで、Rは、n+ 型ソース拡散領域8の直下における
p型チャネル拡散領域7の短絡抵抗である。本例のIG
BT1aは、この短絡抵抗Rに並列接続された状態、す
なわちソース端子S1 および寄生トランジスタ制御端子
2 の間に、外部に設けられた制御回路のスイッチング
素子としての外部MOSFET23が接続された状態で
使用される。なお、ここに使用する外部MOSFET2
3は、IGBT1aとソース電位で接続されているた
め、大きな耐圧を必要とせず、極めて小容量の安価なM
OSFETで充分である。
【0035】つぎに、IGBT1aの動作を説明する
が、その動作は実施例1の半導体装置のIGBT側の動
作と同様であるため、同じく図3に示したタイミングチ
ャートを参照して、説明する。ここで、実線31はIG
BT1aの第1のゲート端子G1 に印加されるゲート駆
動信号VG1を、実線32は外部MOSFET23のゲー
ト端子、すなわち第2のゲート端子G2 に印加されるゲ
ート駆動信号VG2を、実線33はIGBT1aの電流波
形I1 を、破線34はIGBT1aの電圧波形V1 を示
す。
【0036】まず、IGBT1aのソース電極12を最
低電位(アース状態)とし、ドレイン電極10を正電位
とする。この状態では、IGBT1a,外部MOSFE
T23および寄生トランジスタ22(寄生サイリスタ)
はオフ状態にある。
【0037】つぎに、タイミングt1 おいて、ゲート駆
動信号VG1のパルスが第1のゲート端子G1 に印加され
ると、ポリシリコンゲート6が正電位となって、このポ
リシリコンゲート6にシリコン酸化膜5を介して対峙す
るp型チャネル拡散領域7の表面側7aに反転層が形成
され、この反転層を介して、電子がn- 型伝導度変調層
4に注入される一方で、p+ 型半導体基板42から正孔
がn- 型伝導度変調層4に注入される。ここで、p型チ
ャネル拡散領域7は高抵抗をもつように形成され、短絡
抵抗Rは大きいので、n+ 型ソース拡散領域8直下のp
型チャネル拡散領域7における正孔電流と短絡抵抗Rと
に起因する電圧降下が発生すると、p型チャネル拡散領
域7がn+ 型ソース拡散領域8に対し正電位となり、n
+ 型ソース拡散領域8,p型チャネル拡散領域7および
- 型伝導度変調層4が形成する寄生トランジスタ22
がオン状態、すなわち、寄生サイリスタがオン状態とな
って、n+ 型ソース拡散領域8からp型チャネル拡散領
域7に電子が注入され、さらに、電子はn- 型伝導度変
調層4に注入される。このため、IGBT1aには、通
常の電子注入通路に加えて、寄生トランジスタ(寄生サ
イリスタ)よる電子注入通路が形成されるため、ターン
オン動作と同時に、n- 型伝導度変調層4に電子が速や
かにコレクトされると共に、p+ 型半導体基板42から
正孔も速やかに注入されるので、n- 型伝導度変調層4
4はターンオン動作の初期に伝導度変調状態となる。そ
れ故、実線33で示す電流I1 をIGBT1aに流した
場合であっても、破線34で示すように、オン電圧V1
はターンオフ動作の初期から低いオン電圧を示し、破線
35で示す従来のIGBTのオン電圧V2 のように、高
い過渡オン電圧が発生しない。
【0038】ここで、IGBT1aは、寄生トランジス
タ22がオン状態になっているため、ゲート駆動信号V
G1による制御が不可能な状態にある。そこで、タイミン
グt2 において、外部MOSFET23の第2のゲート
端子G2 にゲート駆動信号VG2のパルスを印加して、外
部MOSFET23をオン状態とし、ソース端子S1
寄生トランジスタ制御端子S2 とをショート状態にす
る。この結果、p型チャネル拡散領域7の正孔がp+
コンタクト領域9を介して抽出され、p型チャネル拡散
領域7とn+ 型ソース拡散領域8とが同電位になって、
寄生トランジスタ22がオフ状態となる。それ故、タイ
ミングt2 以降、IGBT1aは、通常のIGBTの動
作状態に復帰し、タイミングt3 において、ゲート駆動
信号VG1に基づきターンオフする。
【0039】このように、本例に係るIGBT1aにお
いては、通常の電極に加えて、寄生トランジスタ22を
ターンオン動作およびターンオフ動作させるための寄生
トランジスタ制御電極13を設けておき、寄生サイリス
タをオン状態とすることによっても、n- 型伝導度変調
層4にキャリヤを注入する。換言すれば、2つのトラン
ジスタの正帰還によって、n- 型伝導度変調層4へのキ
ャリヤの注入速度を高め、n- 型伝導度変調層4を速や
かに伝導度変調状態にするので、IGBT1aはターン
オフ動作における初期から定常オン状態になる。従っ
て、動作周波数が高い場合であっても、IGBT1aは
オン動作初期から低オン電圧を示すので、オン損失が低
く、ノイズの発生も防止できる。それ故、本例のIGB
T1aを、たとえば電源装置のスイッチング回路に使用
すると、スイッチング損失が低いので、変換効率を高め
ることができる。また、p型チャネル拡散領域7はラッ
チアップ現象が発生しやすいように抵抗が高く形成され
ているが、寄生トランジスタ制御電極13は、p型チャ
ネル拡散領域7の表面側に形成されたp+ 型コンタクト
領域9に抵抗性接続しているので、p型チャネル拡散領
域7に確実に導電接続でき、さらに、過渡ターンオン動
作以降、ソース電極12と寄生トランジスタ制御電極1
3とをショート状態として、IGBT1aのラッチアッ
プ状態を解除させると共に、ラッチアップ現象の再発を
防止している。しかも、外部MOSFETを用いて、簡
単な回路構成で高速動作可能なIGBT1aを実現して
いる。
【0040】〔実施例3〕図6に、本発明の実施例3に
係る伝導度変調型MOSFET(以下、IGBTと称
す。)の構成を示してある。
【0041】本例の装置においても、実施例1と同様に
ドレイン領域たるp+ 型半導体基板2、n+ 型バッファ
層3、n- 型伝導度変調層4とを有し、その表面側に
は、IGBT1のMOS部1aが形成されている。ま
た、このMOS部1aにおいては、実施例1と同様にシ
リコン酸化膜5の上に形成されたポリシリコンゲート6
をマスクとした2重拡散によってp型チャネル拡散領域
7、表面側のn+ 型ソース拡散領域8が形成されてい
る。これらの構成は、実施例1と同様につき、同じ符号
を付して説明を省略する。本例の装置においては、ソー
ス拡散領域8が、ゲート電極6を中心にチャネル拡散領
域7に沿って略環状に形成されている。そして、チャネ
ル拡散領域7の、ソース拡散領域8の外側に、同じく環
状のp+ 型コンタクト領域9が形成されている。また、
このソース拡散領域8には、ソース電極12が、コンタ
クト領域9には寄生トランジタスタ制御電極13が抵抗
性接続されている。
【0042】また、n- 型伝導度変調層4の表面側にお
いて、IGBT1aの形成領域と離隔した領域には、シ
リコン酸化膜5の上に形成されたポリシリコンゲート5
1をマスクとした2重拡散により、p型チャネル拡散領
域52,その表面側のn+ 型ソース拡散領域53および
+ 型ドレイン拡散領域54が形成されており、ポリシ
リコンゲート51,p型チャネル拡散領域52,n+
ソース拡散領域53およびn+ 型ドレイン拡散領域54
によって、横型の内蔵MOSFET1bが形成されてい
る。さらに、この内蔵MOSFET1bのチャネル拡散
領域52には、コンタクト領域としてp+ のソースコン
タクト領域59が2箇所形成されている。そして、これ
らの各領域は、先ず、ソース拡散領域53がソース電極
56を介して配線層55aからIGBT1のソース電極
12と接続されている。ソースコンタクト領域59も同
様にIGBT1のソース電極12と接続されている。ま
た、ドレイン拡散領域54はドレイン電極57を介して
配線層55cからIGBT1の寄生トランジスタ制御電
極13と接続されている。さらに、ゲート51も同様に
寄生トランジスタ制御電極13と接続されている。
【0043】このような構成の本例の装置は、外部端子
としてドレイン電極10に接続されたドレイン端子D、
ソース電極12に接続されたソース端子S、さらに、ゲ
ート電極14と接続されるゲート端子Gを有する3端子
構造の半導体装置である。従って、本例の装置は、従来
のIGBTと同様に3端子により外部との接続が可能で
あり、従来と同様に電力変換装置などの各装置に適用す
ることができる。そして、本装置も、後述するように、
先に説明した実施例1、2と同様に高周波に追従して低
オン抵抗化が可能な半導体装置であることから従来の各
装置の構成を変えることなく、高周波に対するスイッチ
ング損失の増加を抑制でき、またノイズの発生も抑制す
ることが可能な優れた装置である。
【0044】この装置の動作の説明を説明する。実施例
1において説明したように、本例のIGBT1は、2つ
の寄生トランジスタ、すなわち、ソース拡散領域8、チ
ャネル拡散領域7および伝導度変調層4からなるnpn
トランジスタ22、チャネル拡散領域7、伝導変調層4
およびドレイン領域2からなるpnpトランジスタ21
を備えている。そして、これらのトランジスタ21、2
2から寄生サイリスタが構成されている。本例の装置に
おいては、寄生トランジスタ22を構成するチャネル拡
散領域7は、従来のIGBTと異なり、この寄生トラン
ジスタ22がターンオンし易いように、高抵抗としてあ
る。従って、本装置のソース電極12が低電位、ドレイ
ン電極10が高電位に保持され、ゲート電極14に高電
位が印加されると、IGBT1はオン状態となる。そし
て、寄生トランジスタ22が早い段階でオンとなるの
で、寄生サイリスタが導通し、ラッチアップ状態とな
り、低抵抗状態となる。
【0045】図7に、本装置の等価回路を示してある。
本装置の等価回路は、図2に基づき先に説明した実施例
1の等価回路と略同様であり、共通する部分においては
同じ符号を付して説明を省略する。本例の装置において
着目すべき点は、内蔵MOSFET1bのゲート電極5
1がドレイン電極56と短絡され、IGBT1aの寄生
トランジスタ制御電極13と接続されていることであ
る。従って、この寄生トランジスタ制御電極13の電位
が内蔵MOSFET1bのゲート電極51に印加される
こととなる。
【0046】この寄生トランジスタ制御電極13の電位
は、等価回路にて判るように、ソース拡散領域8とチャ
ネル拡散領域7の抵抗成分Rを介して接続されている。
従って、IGBT1aに流れる電流が大きくなると、こ
の抵抗成分Rによる降下電圧が内蔵MOSFET1bの
閾値電圧を越え、内蔵MOSFET1bが導通すること
となる。その結果、チャネル拡散領域7とソース拡散領
域8が同電位となり、寄生トランジスタ22がオフ状態
となるので、ラッチアップ状態は解除され、通常のIG
BTと同様の動作状態に移行する。なお、ここで使用す
る内蔵MOSFET1bは、IGBT1aとソース電位
で接続されているため、大きな耐圧を必要とせず、極め
て小容量のもので充分であることは、実施例1と同様で
ある。
【0047】上記のような本装置1の動作を図8に示す
タイミングチャートに基づき説明する。本図も、実施例
1の装置について説明した図3と同様のタイミングチャ
ートであり、本装置1のゲート電極14に印加されるゲ
ート電圧の変化31、内蔵MOSFET1bのゲート電
極51に印加される制御ゲート電圧32、およびドレイ
ン電極10とソース電極12に流れる電流33を示して
ある。先ず、時刻t5に、ゲート電極14に高電位が印
加されると、本装置1はオンとなる。この際、本装置
は、図7においてRにて示すチャネル拡散領域7の抵抗
を大きく設定し、降下電圧が大きくなるように形成され
ているので、直ぐに寄生トランジスタ22がオンとな
る。そして、このトランジスタ22ともう1つの寄生ト
ランジスタ21からなる寄生サイリスタがオンとなる。
従って、本装置はラッチアップ状態となり、オン抵抗は
V1として示すように非常に低い。これに対し、従来の
IGBTでは、伝導度変調に達するまでに時間がかかる
ため、V2として示すようなターンオン時の過渡的なオ
ン電圧の上昇が発生する。従って、本装置においては、
従来のIGBTと異なり、過渡的な状態においても、非
常にオン電圧を低くすることができることが判る。
【0048】本装置がオンとなると、ドレイン電極から
ソース電極に流れる電流は、時間が経つに連れて徐々に
増加する。これと同時に、チャネル拡散領域7における
電圧降下も増加するため、寄生トランジスタ制御電極1
3とソース電極12との電位差も増加する。従って、こ
の寄生トランジスタ制御電極13と配線層55cによっ
て接続されている内蔵MOSFET1bの制御ゲート電
極51の電位も増加する。そして、時刻t6になると、
制御ゲート電極51の電位が内蔵MOSFET1bの閾
値Vthを越えるため、内蔵MOSFET1bが導通す
る。従って、ソース1に印加されている電位が、内蔵M
OSFET1bを経由して寄生トランジスタ制御電極1
3に印加される。この結果、チャネル拡散領域7の電位
は、ソース拡散領域8と同じ電位となり、寄生トランジ
スタ22はオフとなる。このように、時刻t6において
寄生トランジスタ22が自動的にオフとなるので、本装
置は、寄生サイリスタがオン状態となったラッチアップ
状態から、通常のIGBT状態に移行する。
【0049】ラッチアップが継続している状態下では、
ソース電極12とドレイン電極10に流れる電流を遮断
しなければ装置をオフ状態に移行することはできない。
しかし、本装置においては、装置を流れる電流の増加に
より、内蔵MOSFETがオンとなり、装置がラッチア
ップ状態からIGBT状態に移行する。このため、時刻
t7において、ゲート電極17に印加されるゲート電位
VG1を低電位とすることで、装置をオフ状態にするこ
とが可能である。なお、本装置のラッチアップおよびI
GBTの各状態における電子、正孔の状態は、実施例1
において説明したと同様であるので、説明を省略する。
【0050】このように、本例の装置においては、内蔵
MOSFETの制御をチャネル拡散領域7の電圧降下に
より行なっている。従って、本装置は、実施例1と同様
に、スイッチング損失を減じながら高周波に追従可能で
あり、端子数は従来のIGBTと同様に3端子とするこ
とができる装置である。このため、電力変換装置など、
スイッチング素子が組み込まれる装置側を変更すること
なく、スイッチング損失の少ない本装置を適用すること
ができ、非常に応用範囲の広い装置である。
【0051】なお、いずれの実施例のIGBTにおいて
も、伝導度変調層4をn- 型としたが、各領域を逆の導
電型とすることによって、逆導電型のIGBTを形成す
ることができる。また、酸化膜を使用したMOS型構造
に代えて、窒化膜等を使用したMIS型構造も実現でき
る。
【0052】
【発明の効果】以上のとおり、本発明においては、伝導
度変調層表面側のチャネル拡散層に寄生トランジスタ制
御電極が導電接続され、寄生トランジスタ制御電極とソ
ース電極とを、ショート状態およびオープン状態のいず
れかの状態に制御可能なスイッチング素子又は外部MI
SFEを有することを特徴とする。従って、本発明によ
れば、外部MISFEまたはIGBTと同一基板上のス
イッチング素子のスイッチング動作によって、IGBT
をターンオン動作させるときには、ソース電極と寄生ト
ランジスタ制御電極とをオープン状態にして、寄生トラ
ンジスタ(寄生サイリスタ)をオン状態とし、通常のキ
ャリヤ注入に加えて、ラッチアップ現象によるキャリヤ
注入を利用する。このため、伝導度変調層は速やかに伝
導度変調状態となるので、動作周波数が高い場合であっ
ても、伝導度変調型MISFETのオン損失が低いとい
う効果を奏する。また、ソース電極と寄生トランジスタ
制御電極とをショート状態とすることによって、寄生ト
ランジスタをオフ状態とすることができるので、伝導度
変調型MISFETのターンオフ動作を妨げることがな
い。
【0053】
【0054】
【0055】また、スイッチング素子が伝導度変調層上
に形成されたMISFETであり、当該MISFETを
構成する制御ドレイン領域と制御ゲート電極とが、寄生
トランジスタ制御電極と接続されている場合において
は、その制御ゲート電極と制御ドレイン領域とを短絡す
ることにより、3端子素子でありながら、サイリスタと
IGBTの両者の長所を取り入れた装置を実現すること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る半導体装置の断面図で
ある。
【図2】図1に示す半導体装置の構成を示す等価回路図
である。
【図3】本発明の実施例1および実施例2に係る伝導度
変調型MOSFETの動作状態を示すタイミングチャー
ト図である。
【図4】本発明の実施例2に係る伝導度変調型MOSF
ETの断面図である。
【図5】図4に示す伝導度変調型MOSFETの構成を
示す等価回路図である。
【図6】本発明の実施例3に係る伝導度変調形MOSF
ETの断面図である。
【図7】図6に示す伝導度変調形MOSFETの構成を
示す等価回路図である。
【図8】図6に示す伝導度変調形MOSFETの動作状
態を示すタイミングチャート図である。
【図9】従来の伝導度変調型MOSFETの断面図であ
る。
【図10】従来の伝導度変調型MOSFETの過渡ター
ン特性を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1・・・半導体装置 1a・・・IGBT(伝導度変調型MOSFET) 1b・・・内蔵MOSFET 2・・・p+ 型半導体基板 4・・・n- 型伝導度変調層 6・・・ポリシリコンゲート 7,52・・・p型チャネル拡散領域 8,53・・・n+ 型ソース拡散領域 9・・・p+ 型コンタクト領域 10・・・ドレイン電極 11a・・・第1のMOS部 12,12a,12b,12c・・・ソース電極 13・・・寄生トランジスタ制御電極 14・・・ゲート電極 54・・・n+ 型ドレイン拡散領域 S,S1 ・・・ソース端子 D・・・ドレイン端子 G1 ・・・第1のゲート端子 G2 ・・・第2のゲート端子 S2 ・・・寄生トランジスタ制御端子

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1導電型の伝導度変調層と、この伝導
    度変調層上に形成されたゲート電極を備える第1導電型
    のMIS部と、このMIS部を構成する第2導電型のチ
    ャネル拡散層の表面側に形成されソース電極が接続され
    る第1導電型のソース領域と、前記MIS部と対峙して
    前記伝導度変調層と導電接続するように形成され、ドレ
    イン電極が接続される第2導電型のドレイン領域とを有
    する伝導度変調型MISFETであって、前記チャネル
    拡散層には、寄生トランジスタ制御用電極が導電接続さ
    れており、前記寄生トランジスタ制御電極と前記ソース
    電極とを、ショート状態およびオープン状態のいずれか
    の状態に制御可能な外部MISFETを有することを特
    徴とする半導体装置
  2. 【請求項2】 第1導電型の伝導度変調層と、この伝導
    度変調層上に形成されたゲート電極を備える第1導電型
    のMIS部と、このMIS部を構成する第2導電型のチ
    ャネル拡散層の表面側に形成されソース電極が接続され
    る第1導電型のソース領域と、前記MIS部と対峙して
    前記伝導度変調層と導電接続するように形成され、ドレ
    イン電極が接続される第2導電型のドレイン領域とを有
    する伝導度変調型MISFETであって、前記チャネル
    拡散層には、寄生トランジスタ制御用電極が導電接続さ
    れており、前記寄生トランジスタ制御電極と前記ソース
    電極とを、ショート状態およびオープン状態のいずれか
    の状態に制御可能なスイッチング素子を有することを特
    徴とする半導体装置
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記スイッチング素
    子は、前記伝導度変調層上に形成されたMISFETで
    あること特徴とする半導体装置
  4. 【請求項4】 請求項2において、前記スイッチング素
    子は、前記伝導度変調層上に形成されたMISFETで
    あり、当該MISFETを構成する制御ドレイン領域と
    制御ゲート電極とが、前記寄生トランジスタ制御電極と
    接続されていることを特徴とする半導体装置。
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