JP3180991B2 - 系統連系保護装置 - Google Patents

系統連系保護装置

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、直流電力をインバ―タ
で交流電力に変換し電力系統に連系している場合の系統
連系保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の系統連系インバ―タの回路および
保護装置の代表例を図5に示しその構成について説明す
る。太陽電池や燃料電池などの直流電源1からインバ―
タブリッジ2を介して交流電力に変換し、リアクトル
3、コンデンサ4から成るフィルタ回路によりPWMに
よる高周波成分をフィルタし、電流検出器5で電流を検
出して、PWM制御により交流電源へ注入する電流を力
率1に制御することが行われている。
【0003】交流電源(交流系統)8から柱上変圧器6
を介して降圧し、遮断器7を通って一般家庭の負荷9に
電力が供給されている。我国では単相3線式でAC20
0V(中点間はそれぞれ100V)が供給されるのが一
般的である。現在では100V負荷が多いが今後200
V負荷が増加する傾向にある。
【0004】直流電源1が太陽電池の場合は太陽電源か
ら最大電力を取り出すために電圧基準10と直流電源1の
電圧が比例するよう制御する電圧一定制御が行われてい
る。電圧基準10と直流電源1の電圧差を増幅器11で増幅
し出力V11を電流基準回路12により交流電源VACからバ
ンドパスフィルタ16を介した正弦波とV11を掛算して交
流電流基準V12を出力する。
【0005】V12と電流検出器5の出力を比較し増幅器
13で増幅しPWM回路14によりPWM信号に変換し駆動
回路15によりインバ―タブリッジ2をPWMすることに
より交流電源に注入する電流を電流基準V12に比例する
ような制御を行っている。
【0006】このような配電系統における問題点は、交
流電源8から変圧器6を経て遮断器7を通って供給して
いる電力が、遮断器7を開にして配電系統を遮断して保
守などを行う場合、負荷9の電力とインバ―タから供給
する電力が無効電力を含めてバランスしている時の保護
である。
【0007】従来、一般的には、電圧リレ―17と周波数
リレ―18によりインバ―タが接続されている交流電圧V
ACを監視し、異常になったことを検出し、異常検出回路
19によりインバ―タ駆動回路15を介してインバ―タを停
止し、場合によっては、インバ―タ出力に直列に挿入し
た接点を開として電力系統からインバ―タを解列してい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが負荷9の有効
電力,無効電力とインバ―タから出力される有効電力,
無効電力がバランスしていると遮断器7が開となっても
負荷9には電圧が保たれて運転が継続することがある。
このことをアイランディング(islanding )と呼んでい
る。
【0009】このアイランディングを防いで系統を保護
する方法として多くの提案がなされている。その主なも
のは次の通りである。 (1) 周波数変動方式、インバ―タ制御回路へ入力す
る系統参照電圧の位相に一定量のシフトをかけ、配電線
停止時にフィ―ドバック効果によりインバ―タ出力周波
数をずらせてこれを検出する方法である。(特開平3-25
6534のゆらぎ回路21) しかしこの方法では有効電力と無効電力が完全にバラン
スすると周波数や電圧が変化せず検出できない。 (2) 電力変動方式、インバ―タから出力する電力を
低周波で振動させバランスをくずして検出する方法(特
開平3-239124のゆらぎ回路21) しかしこの方法はインバ―タが多数台並列に接続される
と電力振動の位相がバラバラとなり全体で見ると電力変
動がない状態となり検出できない。 (3) 高調波電圧監視法 アイランディング時、電圧に第3,第5,第7高調波が
増加することにより検出する方法(高調波検出回路20) この方法、現在のように、インバ―タエアコン,テレビ
などのようなコンデンサインプット形整流回路の電源が
多く使用されるようになると定常時に第3,第5,第7
高調波が増加しているので検出の信頼性が著しく低下す
る。
【0010】以上のような方法では欠点が多く確実なア
イランディング検出ができなかった。本発明は、上記の
問題に鑑みてなされたもので、アイランディング時に確
実で信頼性の良い検出を行いインバ―タ停止により停電
を行うことを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、直流電力を交流電力に変換し単相3線式
の交流系統へ連係するインバータを備えた系統連系保護
装置において、前記単相3線式の2つの線間電圧を比較
して異常状態を検出したとき、前記インバータの無効電
力を含む出力電力を変動させ、電圧異常あるいは周波数
異常を検出して前記インバータの運転を停止させる。
【0012】
【0013】
【作用】アイランディング時、インバータ出力電力と負
荷の電力がバランスしている時でも無効電力を含めて完
全にバランスする確率は殆どなく、単相3線式の2つの
線間電圧の電圧差(位相差,高調波を含む)を検出する
ことでアイランディングを検出して、アイランディング
を検出したとき、インバータの出力電力を変動させ電圧
や周波数を変化させることにより異常状態を検出してイ
ンバータを停止させる。
【0014】
【実施例】本発明の実施例を図1に示しその構成を説明
する。図5と同一部分は同一番号を符したので説明は省
略する。負荷9aはL1 ,L2 間(一般には200V)
に接続され、負荷9bはL2 と中点(ア―ス)間に、負
荷9cはL1 と中点(ア―ス)間に接続されている。
【0015】差電圧検出回路22はL1 と中点間とL2
中点間の電圧差を検出しレベル検出器23でレベル判定し
設定値以上になると異常と判断し時間函数回路24の出力
24を出す。掛算回路25によりV11とV24を掛算した値
25を電流基準回路12の入力として交流電流基準V12
大きさを変動させるよう構成する。
【0016】インバ―タ出力と負荷9a,9b,9cの
合成負荷がバランスしている時、遮断器7を開放した場
合を考える。このような場合の等価回路は図2となって
いる。
【0017】インバ―タ出力電流iINV は交流電圧と同
相の正弦波(力率1)になるよう制御する電流制御形イ
ンバ―タが太陽電池を使用した系統連系用には使用され
ている。
【0018】このため負荷力率が1でインバ―タ出力と
バランスしている場合遮断器7を開放しても交流電源
(この場合負荷の電圧)の電圧値も周波数もほとんど変
化せず長時間運転をつづてしまうことが非常にまれでは
あるが発生することがある。
【0019】図2においてA,B端から見た負荷電流と
インバ―タ出力電流が完全にバランスする確率は極めて
少なく、今この確率を10-4と仮定する。この状態で、
Aと中点間0の電圧(負荷9bの電圧)をV1 、Bと中
点間0との電圧V2 とする。遮断器7が閉の場合は変圧
器6の作用で となっているが、遮断器7が開となった後は、負荷9b
と負荷9cのインピ―ダンスでV1 とV2 が決定され
る。
【0020】このためアイランディング時V1 +V2
正常値が保たれている場合でもV1−V2 を見るとV1
−V2 =0となる確率は9bと9cの負荷が無効電力を
含めてバランスしていることが必要であり、この確率は
極めて低い。
【0021】さらにV1 −V2 =0となるためには高調
波を含めて負荷インピ―ダンスが一致する必要があるの
でこれらの条件を満足する確率はアイランディングが成
立する確率とほぼ同じ程度以上と考えられる。
【0022】この様子を図3に示す。 (a)は負荷インピ―ダンスが高調波,力率を含めて一
致している場合 (b)は負荷の力率のみが異る場合 (c)は負荷の有効電力のみが異る場合 (d)は高調波分のみが異る場合(負荷の電流波形のみ
が異る場合) を示す。
【0023】(a)以外はV1 −V2 >0となり異常が
検出できる。このような検出法を取ればアイランディン
グ時に となる確率は10-4×10-4=10-8程度となり実用上
考える必要がない確率となる。
【0024】図1では、この原理によりV1 −V2 を差
電圧検出回路22により求め、この値がレベル検出器23で
設定したレベル以上になると、時間函数発生回路24によ
り時間的に変化する(例えば時間とともに低下、又はゆ
るやかに振動する)信号を出し掛算回路25によりV11
掛算することによりインバ―タ出力電流を変化させると
負荷とのバランスが失われ配電線の電圧や周波数がすみ
やかに変化し、電圧リレ―や周波数リレ―により異常を
検出してインバ―タを停止させる。
【0025】本実施例によれば、アイランディング検出
を確実にすることができる。この方法は極めて容易で経
済的であるがアイランディング検出の確率が実用上1と
考えることがきる極めて有効な方法である。
【0026】なお図1ではレベル検出器が異常と判定し
た後時間函数回路24により時間的にインバ―タ出力電流
を変化させているが、この変化は段階的変化や傾斜変化
の他にゆらぎの変化を導入してもよい。同じ制御方式に
すればゆらぎの開始時間も一致するので多数台のインバ
―タが同期して変化するので効果を打ち消すことはな
い。
【0027】また、レベル検出器23の出力で即インバ―
タを停止し、系統からインバ―タを解列することも可能
である。図1に示した制御や演算,アイランディング検
出回路はマイクロコンピュ―タを使うことにより比較的
容易に実現できることは説明するまでもない。V1 ,V
2 の電位値,位相差,高調波分を別々に検出比較するこ
とも可能である。また、差電圧の状態(大きさ,調波
分,位相)が変化したことを検出することもマイクロコ
ンピュ―タでは容易に可能となる。
【0028】また図4に示すように、インバ―タが1線
とア―ス間即ち100V回路に接続されている場合は電
圧リレ―や周波数リレ―が接続されていない他の2線間
の電圧からV1 −V2 =kを求めこのkの値が一定値以
上の場合異常と判別できることは勿論であり、変圧器の
巻数比が異る場合はその係数を考慮すれば同様な方法が
採用できることは説明するまでもない。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、イ
ンバ―タが接続されている線間以外の線間電圧の理論電
圧と位相の差,高調波差を検出する回路を追加すること
によりアイランディング検出確度を著しく改善し、実用
上全く問題とする必要がない確実さでアイランディング
時インバ―タを配電系統から解列することができる系統
連系保護装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例
【図2】上記実施例の動作を説明する図
【図3】上記実施例の動作を説明する図
【図4】本発明の他の実施例
【図5】従来の実施例
【符号の説明】
1…直流電源 2…インバ―タブリッジ 3…リアクト
ル 4…コンデンサ 5…電流検出器 6…変圧器 7…遮断器 8…交流電
源 9…負荷 10…電圧基準 11…増幅器 12…電流基準回路 13…増
幅器 14…PWM回路 15…駆動回路 16…バンドパスフィル
タ 17…電圧リレ― 18…周波数リレ― 19…異常検出回路 20…高周波検出
回路 21…ゆらぎ回路 22…差電圧検出回路 23…レベル検出
回路 24…時間函数回路 25…掛算回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−111165(JP,A) 特開 昭57−40373(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02M 7/48 H02H 7/122 H02J 3/38

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直流電力を交流電力に変換し単相3線式
    の交流系統へ連係するインバータを備えた系統連系保護
    装置において、前記単相3線式の2つの線間電圧を比較
    して異常状態を検出したとき、前記インバータの無効電
    力を含む出力電力を変動させ、電圧異常あるいは周波数
    異常を検出して前記インバータの運転を停止させること
    を特徴とする系統連系保護装置。
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