JP3179045B2 - 作業足場による壁工事方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、作業足場による壁
（内壁・外壁）工事方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】壁工事の高所作業の足場として、工事現
場では、枠組足場が用いられている。枠組足場は、図２
７の枠組足場ユニット２１を上層へ複層段、水平方向へ
複数列並べ図２８の枠組足場構成図の如く組み合わせた
ものである。

【０００３】枠組足場の１ユニットは、建枠２２を２枚
並列に並べ、交差筋かい２３を取り付け、建枠２２の上
部に布枠２４を掛け渡したものである。この作業を繰り
返し、さらにアームロック、階段２５、まぐさ、手すり
等を取り付け、図２８の枠組足場全体２０を構成する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記の枠組足場の組立
及び不必要になった場合のばらしは、人手によって行わ
れ高所作業となり、作業員の落下事故による人身災害が
多い。また、高所で突風や強風に吹かれると作業中バラ
ンスを失い、墜落事故につながる。また、枠組足場は、
作業のため壁面全体に架け渡す必要があるが、壁面工事
の工事種類が少なく工事量が少ない場合には、足場の稼
働率が悪く枠組足場の費用が割高となる。しかし、工事
種類、工事量が少なくても足場がなくては作業ができな
いのでやめるわけにはいかない。

【０００５】従って、本発明は、足場の組立及びばらし
（解体）の危険作業をなくするために、高所での組立及
びばらし作業をなくし省力となるだけでなく、足場の稼
働率を上げて足場コストを低減することのできる作業足
場による壁工事方法を提供することを目的とするもので
ある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、作業足
場に用いて構造体の壁工事を行うための壁工事方法にお
いて、昇降装置を備え複数の作業床を有する枠組を数列
並べた格子状枠組からなる自動昇降足場を寝かせた状態
で組み立て、その組立てた自動昇降足場を地上に垂直に
設置し、１階の構造体を構築する型枠を外して昇降装置
で２階に迫り上げ、自動昇降足場を用いてガイドレール
を吊り上げて構造体の１階の外壁のあらかじめ埋め込ん
だアンカーボルトにガイドレールを取り付け、そして型
枠据付、鉄筋据付、コンクリート打設を行って２階の壁
の構築を行い、２階の外壁型枠を３階に迫り上げ、２階
の外壁にあらかじめ埋め込んだアンカーボルトにガイド
レールを取付け、１階２階のガイドレールを用いて自動
昇降足場を自動昇降装置により上昇させて３階の構造体
を構築し、以上順次同様にして上段の構造体を構築し、
全層の構造体を構築した後に自動昇降足場をガイドレー
ルでガイドして上昇、下降させて外壁の仕上げ工事を行
ない、外壁の仕上工事が完了した後にガイドレールを最
上階から順次取り外すと同時に自動昇降足場を地上階ま
で降ろして解体するようになっている。

【０００７】更に、本発明によれば、上記の作業足場に
外壁の型枠を取り付け固定し足場と型枠を同時に上段へ
上昇させることができる。また、ガイドレールを短く
し、足場ユニットとレールを交互に上昇、下降すること
もできる。

【０００８】本発明によれば、自動昇降装置により自動
的に足場を昇降させることができ、足場の高所での組立
及びばらし作業をなくして省力化でき、また足場の稼働
率を上げて足場コストを低減することができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】図１ないし図４に、作業者が床に
立ち作業の出来る高さを一層分とし上に複数層（図示の
例では５層）の床を構成し横方向に複数列（図示の例で
は３列）並べた格子状枠組から成る足場１を示す。この
格子状枠組から成る足場１には、詳細を後述する自動昇
降装置２が左右一対取り付けられている。格子状枠組か
ら成る足場１には、タラップ４、開口蓋５等が設けられ
ている。図中５ａは作業員が隣接する格子状枠組に移動
するためのドアである。

【００１０】図５及び図６に示す様に、外壁Ｔにアンカ
ーボルト６が埋め込まれブラケット７を介してガイドレ
ール８が外壁Ｔに沿って上下に設けられている。

【００１１】図７に自動昇降装置２の一例を示し、上下
一対のラチェットユニット９Ａ、９Ｂを備え、各ラチェ
ットユニット９Ａ、９Ｂのラチェット爪１０が切り替え
ノブ（図示せず）の操作でガイドレール８に形成した角
穴（図示せず）に交互に入り込み、左右一対の油圧シリ
ンダ１１Ａ、１１Ｂにより尺取り虫形式で昇降するもの
であり、それ自体は周知のものである。

【００１２】図４ではドア５ａが足場１の両側に設けら
れていたが、作業員が直交する外壁に設けた２つの足場
間を移動する場合には、一方の足場に外壁面から突出す
る部分を設け、その突出した部分の足場の背面にドアを
設ければよい。

【００１３】次に、図８ないし図１５を参照し足場の自
動昇降の態様について説明する。

【００１４】（１） 地上で自動昇降足場１を寝かせた
状態で組み立てる。

【００１５】（２） 自動昇降足場（以下、足場とい
う）１を地上に垂直に設置し、１階の構造体を構築する
１階の外壁型枠１２を外し、昇降装置２により２階へ迫
り上げる。（図８） （３） 足場１を利用してガイドレール８を吊り上げ、
１階の外壁Ｔに予め埋め込まれたレール取付用のアンカ
ーボルト６のブラケット７と接続して、１階の外壁Ｔに
取り付ける。（図８） （４） 型枠据付、鉄筋据付、コンクリート打設等を行
い２階の外壁Ｔの構築体を構築する。２階の外壁型枠１
２を３階へ迫り上げる。２階の外壁Ｔにアンカーボルト
６を埋め込んでおく。（図９） （５） ２階の外壁Ｔにガイドレール８を取り付け、１
階、２階のガイドレール８を足掛りとして足場１を１階
分自動昇降装置２により上昇させる。（図１０） （６） ３階の外壁Ｔの構造体を構築する。４階へ外壁
型枠１２を迫り上げる。（図１１） （７） ３階の外壁Ｔにガイドレール８を取り付け、２
階、３階のガイドレール８を足掛りとして足場１を１階
分自動昇降装置２により上昇させる。（図１２） （８） 以下、図１３、図１４、図１５と同じ作業を繰
り返し、順次上段の構造体を構築し、且つ足場１を昇降
装置２により自動上昇させる。

【００１６】（９） 全層の構造体を構築した後に、足
場１をレール８をガイドとして上昇、下降させて外壁Ｔ
の仕上工事（外壁コンクリートの補修、ペンキ塗り、タ
イル貼り等の外壁工）を行う。ガイドレール８は外壁工
事完了まで取り付けておく。 （１０） 外壁工事が完了した後、足場１に人が乗り、
最上階のレール８を外壁Ｔより外し、足場１に設置した
ウインチ等の荷降ろし装置で地上に降ろす。

【００１７】（１１） 足場１を１層分下へ自動下降さ
せ１層分のレール８を外す。

【００１８】（１２） これを順次繰り返しながらレー
ル８を取り外すと同時に足場１を地上階まで降ろす。

【００１９】（１３） 地上階まで降ろした足場１は、
地上で水平に寝かせ解体して場外に搬出する。

【００２０】また、足場１に外壁型枠１２を取付け固定
し足場１と型枠１２を同時に上段へ上昇させることが出
来る。図１６ないし図１８にそのための型枠付ユニット
足場１Ａを示す。

【００２１】型枠１２は足場１の上部１階分の高さに取
り付ける。最上階の構造体の構築後、不要となった外壁
型枠１２を取り外し足場１は仕上工事専用に使われる。

【００２２】型枠付ユニット足場１Ａの自動昇降手順を
図１９ないし図２６に示すが、先に説明した足場ユニッ
ト１の昇降手順と実質上同じであり詳細な説明は省略す
る。ガイドレールの長さを短くし、足場ユニットとレー
ルを交互に上昇・下降する方法も可能である。

【００２３】

【発明の効果】本発明によれば、足場は自動的に昇降
し、高所での足場の組立及びばらし（解体）の危険な作
業をなくして、省力となり、且つ、足場の稼働率を上げ
て足場コストを低減することができる。本発明の足場
は、現場にて型枠の組立、鉄筋の組立、コンクリート打
設を行う現場打ち鉄筋コンクリート工事を行う足場とし
て、また構造躯体ができ上がった後の外壁の仕上工事用
の足場に威力を発揮する。また、鉄筋コンクリート建物
でも階数が１０階以上の高層、超高層の建物の足場に適
している。すなわち、高層になる程枠組足場の組立、解
体の危険度は増し作業が不能となる場合もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】足場ユニットの斜視図。

【図２】足場ユニットの正面図。

【図３】足場ユニットの側面図。

【図４】足場ユニットの平面図。

【図５】レールブラケットの平面図。

【図６】レールブラケットの側面図。

【図７】昇降装置の正面図。

【図８】足場の上昇行程を示す第１行程図。

【図９】足場の上昇行程を示す第２行程図。

【図１０】足場の上昇行程を示す第３行程図。

【図１１】足場の上昇行程を示す第４行程図。

【図１２】足場の上昇行程を示す第５行程図。

【図１３】足場の上昇行程を示す第６行程図。

【図１４】足場の上昇行程を示す第７行程図。

【図１５】足場の上昇行程を示す第８行程図。

【図１６】型枠付足場ユニットの正面図。

【図１７】型枠付足場ユニットの側面図。

【図１８】型枠付足場ユニットの平面図。

【図１９】型枠付足場の上昇行程を示す第１行程図。

【図２０】型枠付足場の上昇行程を示す第２行程図。

【図２１】型枠付足場の上昇行程を示す同第３行程図。

【図２２】型枠付足場の上昇行程を示す同第４行程図。

【図２３】型枠付足場の上昇行程を示す同第５行程図。

【図２４】型枠付足場の上昇行程を示す同第６行程図。

【図２５】型枠付足場の上昇行程を示す同第７行程図。

【図２６】型枠付足場の上昇行程を示す同第８行程図。

【図２７】従来の枠組足場を構成する枠組足場ユニット
の正面図。

【図２８】従来の枠組足場の正面図。

【符号の説明】

１・・・足場 ２・・・昇降装置 ３・・・扉 ４・・・タラップ ５・・・開口蓋 ６・・・アンカボルト ７・・・ブラケット ８・・・レール ９Ａ、９Ｂ・・・ラチェットユニット １０・・・ラチェット爪 １１Ａ、１１Ｂ・・・油圧シリンダ １２・・・外壁型枠

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 作業足場に用いて構造体の壁工事を行う
   ための壁工事方法において、昇降装置を備え複数の作業
   床を有する枠組を数列並べた格子状枠組からなる自動昇
   降足場を寝かせた状態で組み立て、その組立てた自動昇
   降足場を地上に垂直に設置し、１階の構造体を構築する
   型枠を外して昇降装置で２階に迫り上げ、自動昇降足場
   を用いてガイドレールを吊り上げて構造体の１階の外壁
   のあらかじめ埋め込んだアンカーボルトにガイドレール
   を取り付け、そして型枠据付、鉄筋据付、コンクリート
   打設を行って２階の壁の構築を行い、２階の外壁型枠を
   ３階に迫り上げ、２階の外壁にあらかじめ埋め込んだア
   ンカーボルトにガイドレールを取付け、１階２階のガイ
   ドレールを用いて自動昇降足場を自動昇降装置により上
   昇させて３階の構造体を構築し、以上順次同様にして上
   段の構造体を構築し、全層の構造体を構築した後に自動
   昇降足場をガイドレールでガイドして上昇、下降させて
   外壁の仕上げ工事を行ない、外壁の仕上工事が完了した
   後にガイドレールを最上階から順次取り外すと同時に自
   動昇降足場を地上階まで降ろして解体することを特徴と
   する作業足場による壁工事方法。