JP3176814U - 家具用転倒防止装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】瞬時の揺れにも対応可能で転倒防止の機能を十分に発揮することができる家具用転倒防止装置を提供する。
【解決手段】長辺が短辺に対し1.5倍以上の長さを有する底面を有する家具の底面に取り付けられる家具の転倒防止装置1であって、前記家具の短辺に略平行に配置され、細長形状の載置面4と前記載置面4から下方に伸びる車軸支持壁5等を備える本体部2と、前記本体部2の車軸保持壁に互いに平行で前記長辺に平行となるように設けられた複数の車軸7a,7bと、円筒形に形成され前記車軸のそれぞれに直接遊嵌された複数の車輪3とを備える。
【選択図】図2

Description

本考案は、地震等において家具の転倒を防止する装置に関し、更に詳しくは、地震などの揺れによって生じる設置面の揺れを吸収することによって、家具の転倒を防止する家具用転倒防止装置に関するものである。
地震などの揺れで起こる家具の転倒による人的或いは物的被害は甚大であり、その対策として、従来、家具の転倒を防止する装置が各種提案されている。その手段の一般的なものとして、家具の天板と天井部に接触し、両者を突っ張るように配置する突っ張り部材により構成された転倒防止装置が知られている。
しかし、上記に示した従来の家具転倒防止手段には、突っ張り部材の取り付けにおいて、突っ張り部材が当接される天井部の強度が弱いと固定力が十分に発揮できないという問題があった。また、震れが大きい場合は、突っ張り部材を取り付ける壁や天井自体が崩壊するおそれがあるため、家具の転倒防止としての機能を十分に発揮することができないという問題もあった。
このため、家具を固定するのではなく、家具を支持対象物に対して揺動可能に配置し地震の震動を吸収することで転倒を防止しようとする装置が知られている。この装置は、例えば特許文献1(特開2011−158080号公報)に開示されており、キャスターを用いた転倒防止装置であって、車輪を支持するフォークが旋回部を介して取り付けられた構造を有している。上記構成において、車輪とフォークは相対回転可能であり、また、フォークは旋回部を介して自由に向きを変えることで、家具を任意の方向へ転がすことを可能とする装置である。
特開2011−158080号公報
しかし、キャスターを用いると、任意の方向に家具を移動可能になるが、瞬時の揺れに対応しないという問題があり、また、家具が重くなると旋回部の自由な回転が阻害され、キャスターの向きによっては、転倒防止の機能を十分に発揮できない場合がある。この問題を検討すると、家具は通常壁面に沿って配置されることが多く、また、奥行き寸法が短い家具についてはその底面の形状から見ても転倒する方向は限られるため、全方向への移動を考慮する意義は少ない。
したがって、本考案が解決しようとする技術的課題は、瞬時の揺れにも対応可能で転倒防止の機能を十分に発揮することができる家具用転倒防止装置を提供することである。
本考案は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成の家具用転倒防止装置を提供する。
本考案の第1態様によれば、長辺が短辺に対し1.5倍以上の長さを有する底面を有する家具の底面に取り付けられる家具の転倒防止装置であって、
前記家具の短辺に略平行に配置され、細長形状の載置面と前記載置面から下方に伸びる車軸支持壁とを備える本体部と、
前記本体部の車軸保持壁に互いに平行で前記長辺に平行となるように設けられた複数の車軸と、
円筒形に形成され、前記車軸のそれぞれに直接遊嵌された複数の車輪とを備えることを特徴とする、家具用転倒防止装置を提供する。
本発明の第2態様によれば、前記載置面には、前記家具の底面と接着する接着部材が設けられていることを特徴とする、第1態様の家具用転倒防止装置を提供する。
本考案は、幅寸法及び奥行き寸法の比が1.5以上の家具は、地震ではいわゆる横倒れをほとんど起こすことがないという点に着目し、前倒れに限って効果的に防止するために上記の構成を採用したものである。すなわち、本装置は、短辺方向に沿って配置された本体部と長辺方向に平行となるように設けられた車軸及び車輪を備えることにより、家具の短辺方向にのみ移動可能となる。このため、キャスターのように車輪の移動方向が変わってから移動するということがないため、瞬時の揺れにも対応可能であり、地震による家具の転倒を防止することができる。
また、車輪と車軸は遊嵌した状態に構成されているため、通常時は上に積載されている家具の重量により車輪と車軸とが密接し車輪の回転に対して制動力が働いている。このため、家具の使用時に例えば引き出しを開けるなど前向きの力が加わったとしても、家具が移動することがない。一方で、地震が発生した場合、地震により下方向から突き上げる方向に力が加わるため、車輪の回転がスムーズになり、転倒防止の効果を発揮しやすくなる。
本考案の第2態様によれば、載置面に設けられた接着部材により、家具と設置面とが接着するため、下から突き上げる方向に振動が加わった場合でも家具と装置とがずれることがなく、車輪への加重を小さくして車輪の回転をスムーズにすることができる。
本考案の家具用転倒防止装置の使用状態を示す図である。 本考案の第1実施形態にかかる家具用転倒防止装置の概略構成を示す斜視図である。 図2の家具の家具用転倒防止装置の裏面側の構成を示す図である。 図3のIV-IV線における断面図である。 車輪及び支持軸に加わる荷重を説明する模式図である。 本考案の第2実施形態にかかる家具用転倒防止装置の概略構成を示す斜視図である。 図6の家具用転倒防止装置の本体部と位置決め部材との取り付け状態を示す分解図である。 図6の家具用転倒防止装置の使用状態を示す斜視図である。 図6の家具用転倒防止装置の家具への取り付け位置を示す図である。
以下、本考案の一実施形態に係る家具用転倒防止装置について、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、本考案の第1実施形態にかかる家具用転倒防止装置の使用状態を示す図である。本実施形態にかかる転倒防止装置1は、家具100を設置する床面101の上に配置され、その上に家具を載置した状態で使用される。家具を設置する床面は、後述するように車輪による家具の移動を可能とするためにある程度の硬質な床材であって、例えば、フローリング又はPタイル張りの床面が好ましい。
転倒防止装置1に載置される家具としては、幅寸法Wと奥行き寸法Dとの比が1.5以上、好ましくは2以上の底面形状を有するものである。この底面形状を有する家具は、地震による揺れにおいては、いわゆる横倒れを起こすことがなく、前方向に倒れることがほとんどであり、転倒防止装置1により転倒を効果的に防止することができる。
すなわち、床面を移動可能に構成された転倒防止装置1の上に、家具を載置することにより、地震において家具の載置面が振動したとき、慣性によって転倒防止装置1が床面をすべることで振動を吸収し、家具の振動は抑制され転倒が防止される。一方で、家具は通常の使用時において、引き出し102や開き戸103を前方へ引き出して使用することがあるため、この通常使用時に家具100が移動すると不便であるため、これを防止することが求められる。
図2は、本発明の第1実施形態にかかる家具用転倒防止装置の概略構成を示す斜視図である。家具用転倒防止装置1は、平面形状が細長く構成された本体部2と、本体部2を支持する複数の車輪3で構成されている。本体部2は、上面部4と上面部4に対して下方に伸びる側壁5が設けられており、上面4と側壁5とで構成された略直方体の容器状の部材である。本体部2は、長手方向寸法D1が概ね家具100の奥行き寸法Dと一致するように構成され、また、幅寸法W1は、概ね5〜10cmに構成されている。
本体部2は、後述する格子壁8を内部に設けることで、載置される家具などの荷重(例えば150〜200kg)に十分に耐えることが可能に構成されており、たとえば、強化プラスチックなどを用いることができる。
上面部4は、家具100を載置する載置面であり、家具100の短手方向の周縁が上面部4の長手方向周縁に沿うように、家具100を配置する。上面部4には家具との接着を強固にするために粘着部材6が設けられている。粘着部材6はシート状に構成され、一例として本実施形態では表面に粘着剤が塗布された粘着シートで構成されており、上面部4に載置されている家具と本体部2とを接着させる。
側面部5は、上面部4の全周にわたって設けられており、後述する車輪3の支持軸7a,7bを支持する。支持軸7a,7bは本実施形態では、ステンレスなどの金属製部品が用いられている。
図3は、図2の家具用転倒防止装置の裏面側の構成を示す図である。図4は、図3のIV-IV線における断面図である。支持軸7a,7bは、本体部2の長手方向に直交し、かつ互いに平行となるように設けられている。支持軸7a,7bは、本体部2の側壁5及び格子壁8に支持されている。本実施形態では、支持軸7a,7bは、外径5mmの軸体であり、後述するように、載置荷重に応じて径寸法を調整することが好ましい。
格子壁8を構成する縦壁8a及び横壁8bは、本体部の補強のために設けられるものであり、載置される家具の荷重に十分耐えることができるように構成できるものであれば、その設置枚数や形状は特に限定されない。本実施形態では、縦壁8aは本体部幅を3等分し、横壁8bは10枚設けられている。格子壁8により画定された区画9には、車輪3が収納される。
本実施形態では、5つの車輪3が支持軸7a,7bに遊嵌した状態に設けられている。1つの支持軸には、複数の車輪を設けてもよく、本実施形態では、本体部2の両端側に設けられている支持軸7aにはそれぞれ二つの車輪3が、中央の支持軸7bには一つの車輪3が設けられる。それぞれの車輪3は中心部分に軸孔10(図5参照)が設けられており、支持軸7a,7bが遊嵌されて自由に回転可能に構成される。軸孔には、軸受などの回転を円滑にするための部材は設けられておらず、車輪に支持軸を直接挿通する。
それぞれの車輪3は、支持軸7a,7bよりも軟質な材料が用いられ、載置荷重によって支持軸7a,7bが押圧されることでわずかに変形する程度に構成されることが好ましい。具体的にどの程度の硬度を有する材料を用いるかについては、載置される家具の重量や、支持軸7a,7bの径寸法、車輪の設置個数などを考慮して適宜決定すればよい。
上記のように構成することで、家具用転倒防止装置1は、その長手方向に双方向にスライド可能であり、家具100を床面101に対して前方向に移動可能に配置される。このため、地震などで床面101が揺れたときは、慣性によって家具100と床面101との間に滑りを生じさせ、家具100の転倒を防止することができる。
なお、図5に示すように、家具を載置した状態において通常時は、本体部2に加わる家具の荷重が、矢印90に示すように支持軸7a,7bを介して車輪3の軸孔内面10aに下向きに加わる。このため、軸孔は、下方向に広げられたように変形し、偏心した円形となる。このため、支持軸7a,7bと軸孔との軸芯の位置が異なり、家具の引き出し102や開き戸103の開閉などの通常使用程度の力では、車輪3が回転することはほとんどなく、通常使用時において家具が移動するという不便を生じさせることはない。
これに対し、地震が生じたときは、地面側から突き上げる方向にも振動するため、家具100の全体に上向きの力が加わり、支持軸7a,7bの軸芯と軸孔10の軸芯とのズレを吸収する。このため、車輪3の回転がスムーズになり、床面に平行な方向の揺れのうち、家具の長手方向のベクトルによって、家具100が前後方向にスムーズに移動し、家具100の転倒を防止する。
以上、本考案によれば、上面部の長手方向周縁を家具の短手方向に沿うように配置することにより、家具を前後方向にのみ移動させることができる。よって、キャスターなどにより車輪を構成する場合に較べて応答が迅速であり、地震による急激な振動によっても家具の転倒を防止することができる。
また、車軸である支持軸に車輪を直接挿通することにより、積載される家具の荷重により通常使用時の移動を防止することができると供に、地震による下からの突き上げによって車輪の回転をスムーズにして家具の転倒を防止することができる。
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態にかかる家具用転倒防止装置31については、第1実施形態と共通する部分については説明を部分的に省略する。図6は、本発明の第2実施形態にかかる家具用転倒防止装置の概略構成を示す斜視図である。家具用転倒防止装置31は、上面部34と上面部34に対して下方に伸びる側壁35が設けられた容器状の本体部32と、本体部32を支持する4つの車輪33で構成されている。
本体部32は、後述する格子壁を内部に設けることで、載置される家具などの荷重(例えば150〜200kg)に十分に耐えることが可能に構成されている。たとえば、強化プラスチックなどを用いることができる。本体部32は、長手方向寸法D2が概ね20cm以下であり、この寸法は家具100の奥行き寸法Dの半分以下である。また、幅寸法W2は、概ね5〜10cmであり、第1実施形態と同程度の寸法に構成されている。
本体部32の上面部34には、位置決め部材39を本体部32に取り付けるための固定溝38が設けられている。固定溝38は、上面部34の長手方向に沿って両端まで開通する直線溝であり、当該溝38に板状の位置決め部材39を挿入して固定する。
位置決め部材39は、図7に示すように、本体部の長手方向にわたって設けられる板部材であり、固定溝38に挿入可能な程度の厚みに構成されている。固定溝38と挿入部40とによって、位置決め部材39と本体部32とが連結される。なお、図7では、図示する挿入部40に対応する固定溝38は、本体部の裏面側に位置することになるため、図面上には表れていない。
図8は、本実施形態にかかる家具用転倒防止装置の使用状態を示す斜視図である。本実施形態にかかる家具用転倒防止装置31は、位置決め部材39を用いることによって家具100に対する取り付け位置及び取り付け方向を容易に決定することができる。
また、固定溝38は、上面部の両端にまで開通して設けられているため、位置決め部材39を2つの本体部32に懸架するように設けることで、2つの部材を連結することができる。すなわち、位置決め部材は、図8に示すように、家具100の外周面を位置決め部材39の内面に当接するように配置することで、本体部32の取り付け方向を家具の短手方向の1辺に沿うような向きに配置される。また、位置決め部材39により2つの本体部32を連結し、家具100の奥行き寸法によらず、種々のサイズの家具に使用することができる。
図9は、本実施形態にかかる家具用転倒防止装置の家具への取り付け位置を示す図である。上記のように本実施形態にかかる家具用転倒防止装置31は、位置決め部材39により,家具100の短辺を基準として位置決めされた状態に配置される。なお、このとき本実施形態においては、本体部32の長手方向寸法は、家具100の奥行きDよりも短く構成されているため、本体部32が位置していない非支持領域104が家具の中間部分にも生じる。
また、本実施形態では、図9に示すように、家具の中央部分に位置決め部材39を取り付けない本体部32aを配置することにより、底面中央部分を支持することができる。
以上説明したように、本考案の家具用転倒防止装置によれば、地震による家具設置面の揺れを車輪の回転により吸収して家具の転倒を防止することができる。また、キャスターなどを備えておらず、支持軸に直接車輪が挿通されているため、揺れについても迅速に動作可能である。
さらに、第2実施形態にかかる家具用転倒防止装置によれば、同形状の本体部を複数使用することで家具のサイズに関係なく適用可能であり、さらに、取り付け方向の決定を容易かつ確実にすることができる。
なお、本考案は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。また、例えば、適用される家具としてはタンスや食器棚などに限定されるものではなく、アップライトピアノなど床面に配置されるに用いることも可能である。
1,31 家具用転倒防止装置
2,32 本体部
3,33 車輪
4,34 上面部
5,35 側壁
6 粘着部材
7a,7b,37 支持軸
8 格子壁
9 区画
10 軸孔
38 固定溝
39 位置決め部材
100 家具
101 床面

Claims (3)

  1. 長辺が短辺に対し1.5倍以上の長さを有する底面を有する家具の底面に取り付けられる転倒防止装置であって、
    前記家具の短辺に略平行に配置され、細長形状の載置面と前記載置面から下方に伸びる車軸支持壁とを備える本体部と、
    前記本体部の車軸保持壁に互いに平行で前記長辺に平行となるように設けられた複数の車軸と、
    円筒形に形成され、前記車軸のそれぞれに直接遊嵌された複数の車輪とを備えることを特徴とする、家具用転倒防止装置。
  2. 前記載置面には、前記家具の底面と接着する接着部材が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の家具用転倒防止装置。
  3. 前記本体部は、前記載置面の周縁から立設され、前記家具の側面に沿って配置される位置決め壁をさらに備えていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の家具用転倒防止装置。
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