JP3176713B2 - 多層プリント配線板用基板 - Google Patents

多層プリント配線板用基板

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JP3176713B2
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統夫 片山
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  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は多層プリント配線板用
基板に関し、更に詳しくは多層プリント配線板用基板に
用いる内層用プリント配線板のプリント配線銅導体表面
の改質に関するものである。
【0002】
【従来技術およびその問題点】多層プリント配線板用基
板は、一般に、予めプリント配線パターンを形成した内
層プリント配線板の1枚以上をプリプレグを介し、外層
用基板材料を少なくとも1表面に配置して重ね合せ、全
体を加熱・加圧して積層一体化した構造になっている。
ところで、内層用プリント配線板の出発材料として用い
る銅張積層板には、その導体用の銅箔として品質、生産
性に優れる電解銅箔が一般によく使用される。この電解
銅箔はその製法上、表面(液面側)がマット状の粗面と
なり、裏面(電極側面)がシルキーな平滑面になるの
で、銅張積層板の製造の際しては、接着力を向上させる
ため、電解銅箔のマット状の粗面を接着面側になるよう
に配置して製作される。従って、内層用プリント配線板
のプリント配線銅導体の表面はシルキーな平滑面となっ
ている。このような内層用プリント配線板の1枚以上を
プリプレグを介し、外層用基板材料を少なくとも1表面
に配置して重ね合せ、全体を加熱・加圧して積層一体化
して得た多層プリント配線板用基板は、内層用プリント
配線板のプリント配線銅導体の表面が平滑な面であるた
め充分な接着力が得られない。そこで、予め内層用プリ
ント配線板のプリント配線銅導体の表面に化学的に銅酸
化物の層を形成することにより、表面を銅酸化物に起因
する凹凸面となし、接着面積の拡大とアンカー効果を得
て極めて優れた接着力を得ることがである。しかし、銅
酸化物は酸に対しては容易に溶解し、多層プリント配線
板用基板を多層プリント配線板に仕上げる際に通過する
スルーホールめっき工程に使用される塩酸や硫酸などの
酸によってプリント配線銅導体が侵食されて、銅酸化物
の褐色または黒から銅のピンク色になった侵食痕を生じ
る現象(ハロー現象)が発生し、その部分の接着力はな
くなり、多層プリント配線板のはんだ付け工程などの熱
衝撃の際に層間が剥離し、通電した際に事故につながる
おそれがあるという問題点があった。このような問題の
解決策として、内層用プリント配線板のプリント配線銅
導体表面に酸化第2銅の層を形成した後、アルカリ性還
元剤溶液に浸漬処理して酸化第2銅被膜の表面を酸化第
1銅または金属銅の被膜に還元する提案(特開昭56−
153797号公報参照)がある。しかしながらこの提
案は、優れた接着力を発揮させるために酸化第2銅の層
の金属銅が占める割合を少なくする必要があるが、金属
銅の占める割合が少ないと耐酸性に劣るものとなり、ま
た逆に酸化第2銅の層の金属銅の占める割合を多くして
耐酸性に優れるものにすると接着力の面で劣るようにな
り、耐酸性と接着性の両面を同時に高いレベルで満足さ
せることが困難であると云う問題点がある。この発明は
このような事情に鑑みてなされたもので、この発明の目
的とするところはプリント配線銅導体とプリプレグ樹脂
との接着力を低下させることなく、スルーホールめっき
周りのハロー現象を抑制して、層間剥離が皆無である多
層プリント配線板を提供する点にある。
【0003】
【問題点を解決するための手段】本発明の多層プリント
配線板用基板は、上記問題点を解決するために、内層用
プリント配線板のプリント配線銅導体の表面に銅酸化物
の層を形成し、この銅酸化物層を還元処理した還元銅の
層とし、この還元銅層の表面をモリブデン化合物で被覆
するようにしたのである。内層用プリント配線板のプリ
ント配線銅導体の表面に銅酸化物の層を形成する理由
は、表面を銅酸化物に起因する凹凸面となして接着力の
向上を計るためである。プリント配線銅導体の表面に銅
酸化物の層を形成するには化学的処理により形成するこ
とができ、例えば、アルカリ性亜塩素酸ナトリウム水
溶液(亜塩素酸ナトリウム10〜60g/l、水酸化ナ
トリウム10〜20g/l、リン酸三ナトリウム5〜1
0g/l、温度80〜100℃)に2〜5分浸漬するこ
とにより、プリント配線銅導体表面に銅酸化物の層を形
成することができる。また、アルカリ性過硫酸カリウ
ム水溶液(過硫酸カリウム10g/l、水酸化ナトリウ
ム50g/l、温度80〜100℃)に2〜5分浸漬す
ることにより、プリント配線銅導体表面に銅酸化物の層
を形成することができる。更にまた、硫化バリウム2
4g/l、塩化アンモニウム24g/l、酢酸銅30g
/l、硫酸銅24g/l、温度40〜50℃の水溶液に
2〜5分浸漬することによっても、プリント配線銅導体
表面に銅酸化物の層を形成することができる。銅酸化物
層の表面に還元銅の層を形成する理由は、銅酸化物と耐
酸性に優れるモリブデン化合物とを結合させて被膜を形
成させることができないので、銅酸化物層を還元処理し
還元銅の層としてモリブデン化合物を結合させて被膜の
形成を可能にするためである。銅酸化物層の表面を還元
銅の層に形成するには、酸性還元溶液に浸漬処理するこ
とにより形成することができる。例えば、ジメチルアミ
ンボラン1g/l〜50g/lの水溶液を酢酸などの酸
類でPH3〜7に調整し、10〜80℃の範囲の液温で
1〜30分間浸漬することにより、銅酸化物層を還元銅
の層とすることができる。本発明において、還元銅層の
表面に被覆するモリブデン化合物の被膜はモリブデン化
合物溶液、例えば、モリブデン酸、モリブデン酸アンモ
ン、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸ナトリウム、
モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸リチウムなどを
水やアルコールなどの溶媒に0.1%〜10%の濃度に
溶解したモリブデン化合物溶液に、液温10〜80℃の
範囲で10秒〜10分間浸漬し、乾燥することにより形
成することができる。
【0004】
【作用】内層用プリント配線板のプリント配線銅導体表
面に銅酸化物の層を形成するので、その表面形状は銅酸
化物に起因する凹凸面となる。その凹凸面を損しない程
度に銅酸化物層を還元銅の層とするので、還元銅層の表
面は銅酸化物層表面の凹凸面とほぼ同等の凹凸面とな
る。この還元銅層の凹凸面にモリブデン化合物を結合さ
せて被膜を形成するので、モリブデン化合物の被膜もほ
ぼ同様の凹凸面になる。従って、モリブデン化合物の被
膜の凹凸面は、銅酸化物層表面の凹凸面に較べて接着面
積の減少が少なく且つアンカー効果の減少も少ないもの
となり、而も還元銅層の表面をモリブデン化合物の被膜
で覆うので、内層のプリント配線パターン銅導体はスル
ーホールめっき工程の際の酸に触れることがなくなり、
ハロー現象は生じなくなる。
【0005】
【実施例1】この発明の多層プリント配線板用基板は、
次のようにして製作することができる。先ず、所定のプ
リント配線を形成した内層用プリント配線板を準備す
る。この内層プリント配線板に次の(1)〜(3)の手
順で銅酸化物の層、還元銅の層、モリブデン化合物の被
膜を形成する。 (1) 内層プリント配線板をアルカリ性亜塩素酸ナト
リウム水溶液(亜塩素酸ナトリウム50g/l、水酸化
ナトリウム15g/l、リン酸三ナトリウム5g/l、
温度80〜100℃)に3分間浸漬し、プリント配線銅
導体表面に銅酸化物の層を形成する。 (2) 銅酸化物の層を形成した内層プリント配線板を
酸性還元剤溶液(ジメチルアミンボラン5g/l水溶液
を酢酸でpH6.0に調整、液温10〜80℃)に5分
間浸漬し、水洗し、乾燥して銅酸化物層を還元銅の層と
する。 (3) 銅酸化物層の表面に還元銅層を形成した内層プ
リント配線板をモリブデン化合物溶液(モリブデン酸ア
ンモンの1%水溶液、液温度20℃)に2分間浸漬し、
乾燥して還元銅層の表面にモリブデン化合物の被覆膜を
形成する。 次に、このようにして得られたプリント配線銅導体の表
面に銅酸化物の層を形成し、この銅酸化物層の表面に還
元銅の層を形成し、この還元銅層の表面にモリブデン化
合物の被覆膜を形成した内層プリント配線板の1枚以上
をプリプレグを介し、外層用基板材料を少なくとも1表
面に配置して重ね合せ、全体を加熱・加圧して積層一体
化して多層プリント配線板用基板を得た。
【0006】
【実施例2】実施例1のうちモリブデン酸アンモンをモ
リブデン酸ナトリウムに変更した以外は、実施例1と同
様に行い、多層プリント配線板用基板を得た。
【0007】
【比較例】実施例1のうち、モリブデン酸アンモンの溶
液に浸漬する工程を省略した以外は実施例1と同様に行
い、多層プリント配線板用基板を製作した。
【0008】これら2実施例1,2と比較例1の計3種
類の多層プリント配線板用基板の所定位置にそれぞれ
0.4mmφのスルーホールを形成し、このスルーホー
ルに常法によるスルーホールめっきを施し、ハロー値、
はんだ耐熱性、内層ピール強度を測定し、その結果を第
1表に示した。
【0009】
【表1】
【0010】上記表1において、ハロー量、内層ピール
強度、はんだ耐熱性は次の条件で測定する。 ハロー量 :内層銅体面を露出して、最大量を測定
する。 内層ピール強度:JIS C−6481に準拠し、内層
銅体面とプリプレグ樹脂接着面間とのピール強度を測定
する。 はんだ耐熱性 :JIS C−6481に準拠し、26
0℃のはんだ浴に浮かべて層間での剥離が発生する時間
を測定する。
【0011】
【発明の効果】この発明の多層プリント配線板用基板は
層間ピール強度に優れ且つハロー発生の少ないものとな
ると云う効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 3/10 - 3/46

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内層用プリント配線板の1枚以上をプリ
    プレグを介し、外層用基板材料を少なくとも1表面に配
    置して重ね合わせ、全体を加熱・加圧して積層一体化
    る多層プリント配線板用基板の製造方法において、内層
    用プリント配線板のプリント配線銅導体表面に銅酸化物
    の層を形成し、該銅酸化物層を、10〜80℃の酸性還
    元処理液に浸漬処理して還元銅層とした後、10〜80
    ℃のモリブデン化合物溶液に浸漬処理して該還元銅層の
    表面をモリブデン化合物で被覆することを特徴とする多
    層プリント配線板用基板の製造方法
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