JP3176551B2 - 熱可塑性ポリエステルの製造方法 - Google Patents

熱可塑性ポリエステルの製造方法

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JP3176551B2 JP07687396A JP7687396A JP3176551B2 JP 3176551 B2 JP3176551 B2 JP 3176551B2 JP 07687396 A JP07687396 A JP 07687396A JP 7687396 A JP7687396 A JP 7687396A JP 3176551 B2 JP3176551 B2 JP 3176551B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性ポリエス
テルの製造方法に関する。更に詳しくはポリマー中の末
端カルボキシル基含量が少なく、耐加水分解性に優れた
熱可塑性ポリエステルを短い反応時間で効率的に製造で
きる方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】熱可塑
性ポリエステル樹脂、例えば、ポリアルキレンテレフタ
レート樹脂は、機械的性質、電気的性質、その他物理
的、化学的特性に優れ、かつ加工性が良好であるがゆえ
に、繊維、フィルム、あるいはその他各種成形品等広範
な用途に使用されている。一方、熱可塑性ポリエステル
樹脂は主鎖にエステル結合を有するために、比較的容易
に加水分解による物性低下を引き起こす。この加水分解
に対する耐性は、ポリマーの末端基のカルボキシル基濃
度が低いほど向上することが知られている。したがっ
て、末端カルボキシル基量を減らすために、ポリマー製
造の際の触媒や安定剤、あるいは末端カルボキシル基を
消費させるための末端封止剤やカップリング剤等の検討
がこれまで数多くなされている。しかしながら、例えば
触媒や安定剤を工夫した場合、重合中の熱劣化が抑えら
れてある程度末端カルボキシル基量を低減する効果はあ
るが、大幅に低減するまでには至らない。また、末端封
止剤やカップリング剤は効果は大きいものの、一般に高
分子反応で用いられるために、反応の均一性に問題があ
ったり物質によっては副反応のおそれがあったり、反応
のコントロールの面で欠点があることが多い。更に、熱
可塑性ポリエステル樹脂を製造面からとらえると、熱可
塑性ポリエステル樹脂は、経済性やモノマーの汎用性か
ら考えて、モノマーおよびポリマーの融点以上の温度に
加熱して液相均一系で反応を行う溶融重縮合法によるの
が工業的に最も一般的である。しかしながら、溶融重縮
合法では、ポリマーが高真空下で融点以上の高温に長時
間さらされることから、製造中に好ましくない副反応が
進行することが多い。例えば主鎖や末端が熱分解あるい
は加水分解することにより好ましくない末端基(例えば
カルボキシル基等)が生成したり、更に分解反応に伴い
好ましくない低分子量成分(例えばアセトアルデヒド、
テトラヒドロフラン、テレフタル酸等)が発生したりす
る。その中で最も重要な反応は、末端カルボキシル基の
発生する反応であり、末端カルボキシル基はポリエステ
ル樹脂の品質に多大の影響を与える。末端カルボキシル
基の発生反応を含め、副反応が著しいほど、上述の如き
耐加水分解性や、耐熱性、ブリード性、機械的物性等、
得られるポリエステル樹脂の品質は低下する。このよう
な副反応を抑制するための対策として最も効果的な手段
は、反応時間をできるだけ短縮することである。そこ
で、上述の通り、触媒や添加剤の検討が行われている
が、その効果は十分ではない。一方、このような溶融重
縮合法により得られるポリエステルの分子量には限界が
あり、更に高分子量を得るためには、従来より固相重合
が行われていた。しかしながら、固相重合は、ポリマー
を融点以下の温度で、不活性気流下あるいは真空下、固
体状態で重縮合させるものであって、別途、新しいプロ
セスを必要とする上、溶融重縮合に比べ反応速度が遅く
長時間の反応を必要とするため、かなりのコストアップ
が余儀なくされていた。
【0003】
〔式中、m は0または1、n は1から3までの整数であり、Arはアリール基、Xは水素原子、水酸基、炭化水素基又はハロゲン原子であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。〕
【0004】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明における熱可塑性ポリエステルとは、ジカ
ルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールと
の重縮合、ヒドロキシ酸またはそのエステル形成性誘導
体の重縮合、またはヒドロキシ酸またはそのエステル形
成性誘導体とジカルボン酸またはそのエステル形成性誘
導体とジオールとの重縮合によって製造される主鎖にエ
ステル結合を有するポリマーである。ここで用いられる
ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体として
は、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族
ジカルボン酸、複素環式ジカルボン酸、多官能カルボン
酸等、およびこれらのエステル形成性誘導体、例えば上
記カルボン酸のアルキルエステル、フェニルエステル、
アシル化物等が挙げられる。具体的にはテレフタル酸、
イソフタル酸、フタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ス
チルベンジカルボン酸、2,2 −(ビスカルボキシフェニ
ル)プロパン、ビスカルボキシフェニルスルホン、シク
ロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバ
シン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸、ピリジンジカルボ
ン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸
およびそれらのエステル形成性誘導体等が挙げられ、一
種または二種以上を混合使用することができる。ジオー
ルとしては、エチレングリコール、1,3 −プロパンジオ
ール、1,4 −ブタンジオール、1,6 −ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,4 −シクロヘキサンジ
オール、1,4 −シクロヘキサンジメタノール、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコール、ハイドロキノ
ン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビフェノー
ル、2,2 −(ビスヒドロキシエトキシフェニル)プロパ
ン、ビスヒドロキシエトキシフェニルスルホン、4,4'−
ビス(ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ダイマージオ
ール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリト
ール等が挙げられ、一種または二種以上を混合使用する
ことができる。ヒドロキシ酸としては、ヒドロキシ安息
香酸、ヒドロキシナフトエ酸、4−ヒドロキシ−4’−
カルボキシビフェニルおよびそれらのエステル形成性誘
導体等が挙げられ、一種または二種以上を混合使用でき
る。上記に示された熱可塑性ポリエステルの中で本発明
が適用されるものとして特に好ましいものは、ジカルボ
ン酸またはそのエステル形成性誘導体とグリコールとか
ら製造される熱可塑性ポリエステルであり、さらに好ま
しくは芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘
導体と脂肪族グリコールとから製造される熱可塑性ポリ
エステルである。即ち、ポリブチレンテレフタレート、
ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジ
メチレンテレフタレート等を主たる成分とする熱可塑性
ポリエステルである。
【0005】これらの熱可塑性ポリエステルは、金属触
媒の存在下でエステル交換またはエステル化反応を行
い、次いで重縮合反応を行うことで製造される。即ち上
記のジカルボン酸またはその誘導体、ジオールまたはそ
の誘導体、ヒドロキシカルボン酸またはその誘導体を、
反応槽中で触媒とともに加熱することで熱可塑性ポリエ
ステル前駆体を製造し、さらに減圧下、過剰のモノマー
あるいは脱離成分を留出しつつ重縮合を行なうことによ
り製造される。この際、金属触媒としては、テトラブチ
ルチタネート、テトライソプロピルチタネート等のテト
ラアルキルチタネートまたはそれらの加水分解物、シュ
ウ酸チタンカリウム等のシュウ酸チタン金属塩、ブチル
スズ酸、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジアセ
テート等の有機スズ化合物、酢酸ナトリウム、酢酸カリ
ウム、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸マンガン、酢酸カルシウ
ム等の酢酸金属塩、三酸化アンチモン等のアンチモン化
合物、酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物等、一
般に熱可塑性ポリエステルの製造に有用な公知の化合物
を単独あるいは二種以上併用して用いられる。本発明で
は、金属触媒の使用割合は、金属原子に換算して理論生
成ポリマーに対して10〜2000ppm の範囲であることが好
ましく、さらは20〜1500ppm の範囲が好ましい。また、
金属触媒の添加時期は特に限定されるものではなく、エ
ステル交換反応またはエステル化反応の前または途中、
あるいは重縮合反応の直前または途中等に添加すること
ができる。
【0006】そして、本発明では反応の任意の段階で含
窒素有機塩基を添加する。用いられる含窒素有機塩基と
しては、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリ
アルキルアミン、モノアリールアミン、複素環塩基等が
挙げられる。これらの中で好ましいのは三級アミンであ
り、トリアルキルアミンや多くの複素環塩基等が含まれ
る。三級アミンの中で特に好ましいのは、複素環構造を
有するものである。具体的には、ピラゾール、イミダゾ
ール、N−メチルイミダゾール、N−フェニルイミダゾ
ール、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾ
ール、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ベンゾイ
ミダゾール、N−メチルベンゾイミダゾール、トリアゾ
ール類、ベンゾトリアゾール、ピリジン、ピコリン類、
フェニルピリジン類、ビピリジル類、キノリン、イソキ
ノリン、アクリジン、フェナントロリン類、ピリドイン
ドール類、ナフチリジン類、ピリダジン、ピリミジン、
ピラジン、プリン、トリアジン類等が挙げられる。本発
明においては、これらの中から選ばれた一種または二種
以上の含窒素有機塩基を、製造される熱可塑性ポリエス
テルの重量に対して2〜50mmol/kg の割合で用いる。添
加量が2mmol/kg よりも少ないと末端カルボキシル基を
低減させる効果および重縮合反応を促進する効果が小さ
く、一方、50mmol/kg を越えると副反応や着色が著しく
なる場合がある。また添加時期は、任意であり、例えば
エステル交換反応またはエステル化反応の前または途
中、あるいは重縮合反応の直前または途中等に添加する
ことができる。又、後述する如く、溶融押出時に有機リ
ン化合物を添加する方法をとる場合、これと共に添加す
ることもできる。更に、本発明では、含窒素有機塩基に
加えて、下記一般式(1) で表される有機リン化合物を添
加して初めて目的の熱可塑性ポリエステルが得られ、ま
た重縮合反応の促進作用が発現される。 (Ar-O)nP(=O)m(X)3-n (1) 〔式中、m は0または1、n は1から3までの整数であ
り、Arはアリール基、Xは水素原子、水酸基、炭化水素
基又はハロゲン原子であり、それぞれ同一でも異なって
いてもよい。〕 この有機リン化合物の中で好ましいのは、Ar(アリール
基)がフェニル基である化合物である。具体的には、例
えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルホスファ
イト、ジフェニルエチルホスファイト、ジフェニルクロ
ロホスファイト、ジフェニルエチルホスホナイト、ジフ
ェニルフェニルホスホナイト、フェニルホスファイト、
フェニルジエチルホスファイト、フェニルジクロロホス
ファイト、フェニルジエチルホスフィナイト、フェニル
ジフェニルホスフィナイト、トリフェニルホスフェー
ト、ジフェニルホスフェート、ジフェニルエチルホスフ
ェート、ジフェニルクロロホスフェート、ジフェニルエ
チルホスホネート、ジフェニルフェニルホスホネート、
フェニルホスフェート、ジフェニルジエチルホスフェー
ト、フェニルジクロロホスフェート、フェニルジエチル
ホスフィネート、フェニルジフェニルホスフィネート等
が挙げられる。これらの中から選ばれた一種または二種
以上の化合物を、製造される熱可塑性ポリエステルの重
量に対して2〜50mmol/kg の割合で添加する。添加量が
2mmol/kg よりも少ないと末端カルボキシル基を低減さ
せる効果および重縮合反応を促進する効果が小さく、一
方、50mmol/kg を越えると副反応や着色が著しくなる場
合がある。また、添加時期は重縮合反応中の任意の時点
で可能であり、末端カルボキシル基の低減の面では有効
であるが、一般にリン化合物は重合反応に用いられる金
属触媒の活性を低下させる作用をも有するため、重縮合
反応の促進をも図る場合は、目的に応じてある程度熱可
塑性ポリエステルの分子量が上昇した時点で添加するの
が望ましく、具体的にはポリエステルの固有粘度が 0.3
dl/g以上に達した時点で添加するのが好ましい。それ
以下の時点で添加すると、添加後の反応促進作用は不十
分なものとなる。また、予め溶融重合により製造された
固有粘度が 0.3dl/g以上のポリエステルと混合して、
押出機による溶融押出によって添加することもできる。
その際、添加されるポリエステルは含窒素有機塩基を添
加して製造されていてもよいし、添加されていないポリ
エステルを用いてもよいが、後者の場合には押出の際に
有機リン化合物と含窒素有機塩基とを同時に添加する必
要がある。このようにして製造された熱可塑性ポリエス
テルは、その末端カルボキシル基の含有量が、有機塩
基、有機リン化合物を用いなかった場合と比べて大幅に
低減される。
【0007】本発明によって得られた熱可塑性ポリエス
テルは、必要に応じて適当な熱安定剤や紫外線吸収剤、
帯電防止剤、難燃剤や難燃助剤、染料や顔料などの着色
剤及び流動性や離型性の改善のための滑剤、潤滑剤、結
晶化促進剤(核剤)、無機物等が使用できる。また、本
発明の熱可塑性ポリエステルは、その目的を阻害しない
範囲で他の熱可塑性樹脂を補助的に併用することも可能
である。ここで用いられる他の熱可塑性樹脂としては、
例えば、ポリオレフィン系重合体、ポリアミド系ポリマ
ー、ポリカーボネート、ABS、ポリフェニレンオキサ
イド、ポリアルキルアクリレート、ポリアセタール、ポ
リスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミ
ド、ポリエーテルケトン、フッ素樹脂等を挙げることが
できる。これらの熱可塑性樹脂は、二種以上混合して用
いることもできる。
【0008】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の実施例等において、「部」は「重量部」を表わ
す。末端カルボキシル基含量(COOH量)は、 0.2gの熱
可塑性ポリエステルを加熱したベンジルアルコールとク
ロロホルムとからなる混合物40ml中に溶解し、0.01mol/
l 水酸化ナトリウムベンジルアルコール溶液で滴定する
ことにより求めた。また固有粘度は、溶媒としてフェノ
ールとテトラクロロエタンの3:2混合溶媒を用いて測
定した。 実施例1 テレフタル酸ジメチル 100部、1,4 −ブタンジオール60
部、テトラブチルチタネート0.06部、およびイミダゾー
ル0.08部を攪拌機、窒素導入管、および還流留出管を備
えた反応容器中に仕込み、常圧下に 140℃から 210℃ま
で徐々に昇温しながらエステル交換を行い、メタノール
を留出させた。次いで窒素の導入を停止した後、徐々に
250℃まで温度を上昇させつつ反応器中を減圧し、最終
的に13Paで重縮合反応を行なった。減圧操作開始から80
分で重合体の固有粘度が0.65dl/gに達し、その時点で0.
35部のトリフェニルホスファイトを添加し、更に5分減
圧攪拌してポリブチレンテレフタレート(PBT)重合
体を取り出した。得られたPBTの固有粘度、重縮合時
間およびCOOH量を表1に示す。 実施例2 イミダゾールを0.11部、およびトリフェニルホスファイ
トを0.52部用いたほかは実施例1と同様にしてPBT重
合体を製造した。得られたPBTの固有粘度、重縮合時
間およびCOOH量を表1に示す。 実施例3 イミダゾールを0.23部、トリフェニルホスファイトを
1.1部用い、イミダゾールを原料仕込み時ではなくトリ
フェニルホスファイトと同時に添加した他は実施例1と
同様にしてPBT重合体を製造した。得られたPBTの
固有粘度、重縮合時間およびCOOH量を表1に示す。 実施例4 イミダゾールを0.23部、トリフェニルホスファイトを
1.1部用い、トリフェニルホスファイトの添加時期を減
圧操作開始から50分で重合体の固有粘度が0.43dl/gに達
した時点とした他は実施例1と同様にしてPBT重合体
を製造した。得られたPBTの固有粘度、重縮合時間お
よびCOOH量を表1に示す。 実施例5〜6 イミダゾールの代わりに2−メチルイミダゾールを0.09
部(実施例5) またはN−メチルイミダゾールを0.09部
(実施例6)用いたほかは実施例1と同様にしてPBT
重合体を製造した。得られたPBTの固有粘度、重縮合
時間およびCOOH量を表1に示す。 実施例7 イミダゾールの代わりにピリジンを0.26部用い、トリフ
ェニルホスファイトを1.1 部用いたほかは実施例3と同
様にしてPBT重合体を製造した。得られたPBTの固
有粘度、重縮合時間およびCOOH量を表1に示す。 実施例8〜10 イミダゾールの代わりにイソキノリンを0.15部(実施例
8)、または 2,2−ビピリジルを0.18部(実施例9)、
または1,2,4 −トリアゾールを0.08部(実施例10)用い
たほかは実施例1と同様にしてPBT重合体を製造し
た。得られたPBTの固有粘度、重縮合時間およびCOOH
量を表1に示す。 実施例11〜12 トリフェニルホスファイトの代わりにジフェニルホスフ
ァイトを0.27部(実施例11)およびトリフェニルホスフ
ェートを0.37部(実施例12)用いたほかは実施例1と同
様にしてPBT重合体を製造した。得られたPBTの固
有粘度、重縮合時間およびCOOH量を表1に示す。 実施例13 テトラブチルチタネートに代わりにn−ブチルスズ酸を
0.11部触媒として用いたほかは実施例1と同様にしてP
BT重合体を製造した。得られたPBTの固有粘度、重
縮合時間およびCOOH量を表1に示す。
【0009】実施例14 ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート 100部、
イミダゾール0.05部、および二酸化ゲルマニウム0.04部
を実施例1と同様の反応容器中に仕込み、常圧下に 240
℃まで徐々に昇温した。次いで窒素の導入を停止した
後、徐々に 285℃まで温度を上昇させつつ反応器中を減
圧し、最終的に13Paで重縮合反応を行った。減圧操作開
始から70分で重合体の固有粘度が0.6dl/g に達し、その
時点で0.23部のトリフェニルホスファイトを添加し、更
に5分減圧攪拌してポリエチレンテレフタレート(PE
T)重合体を取り出した。得られたPETの固有粘度、
重縮合時間およびCOOH量を表2に示す。 実施例15 二酸化ゲルマニウムの代わりにテトラブチルチタネート
0.04部を触媒として用いた他は実施例14と同様にしてP
ET重合体を製造した。得られたPETの固有粘度、重
縮合時間およびCOOH量を表2に示す。 実施例16 テレフタル酸ジメチル 100部、1,4 −シクロヘキサンジ
メタノール 100部、テトラブチルチタネート0.08部、お
よびイミダゾール 0.1部を実施例1と同様の反応容器中
に仕込み、常圧下に 140℃から 240℃まで徐々に昇温し
ながらエステル交換を行い、メタノールを留出させた。
次いで窒素の導入を停止した後、徐々に305 ℃まで温度
を上昇させつつ反応器中を減圧し、最終的に13Paで重縮
合反応を行った。減圧操作開始から50分で重合体の固有
粘度が0.5dl/g に達し、その時点で0.44部のトリフェニ
ルホスファイトを添加し、更に5分減圧攪拌してポリ1,
4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PC
T)重合体を取り出した。得られたPCTの固有粘度、
重縮合時間およびCOOH量を表2に示す。
【0010】実施例17 テレフタル酸ジメチル 100部、1,4 −ブタンジオール60
部、テトラブチルチタネート0.06部、およびイミダゾー
ル0.08部を用いて実施例1と同様にして重合を行ない、
減圧操作開始から80分で固有粘度0.65dl/gのPBT重合
体を得た。このポリマーを反応器から取り出してペレッ
ト化し、1.1 部のトリフェニルホスファイトと混合して
通常の押出機により溶融混練した。得られたPBTの固
有粘度は1.15dl/gまで上昇し、COOH量は 11meq/kgであ
った。 実施例18 実施例17と同様にして重合を行ない、減圧操作開始から
100 分で固有粘度0.81dl/gのPBT重合体を得た。この
ポリマーを反応器から取り出してペレット化し、1.1 部
のトリフェニルホスファイトと混合して通常の押出機に
より溶融混練した。得られたPBTの固有粘度は1.24dl
/gまで上昇し、COOH量は 19meq/kgであった。
【0011】比較例1〜2 有機塩基および有機リン化合物を用いなかったほかは実
施例1と同様にしてPBT重合体を製造した。得られた
PBTの固有粘度、重縮合時間およびCOOH量を表3に示
す。 比較例3 イミダゾールを用いず、トリフェニルホスファイトを
1.1部用いたほかは実施例1と同様にしてPBT重合体
を製造した。得られたPBTの固有粘度、重縮合時間お
よびCOOH量を表3に示す。 比較例4 トリフェニルホスファイトを用いず、イミダゾールを0.
23部用いたほかは実施例1と同様にしてPBT重合体を
製造した。得られたPBTの固有粘度、重縮合時間およ
びCOOH量を表3に示す。 比較例5 イミダゾール0.23部、およびトリフェニルホスファイト
1.1部をエステル交換反応終了時、即ち重縮合反応前に
添加した他は実施例1と同様にしてPBT重合体の製造
を試みたが、分子量の上昇はほとんど見られなかった。 比較例6 イミダゾール 0.008部、およびトリフェニルホスファイ
ト0.04部用いた他は実施例1と同様にしてPBT重合体
を製造した。得られたPBTの固有粘度、重縮合時間お
よびCOOH量を表3に示す。 比較例7 イミダゾール 0.5部、およびトリフェニルホスファイト
2.2部用いたほかは実施例1と同様にしてPBT重合体
の製造を試みたが、副反応により反応容器内で重合体が
固まったために取り出しが不可能となった。 比較例8 イミダゾールを0.23部、トリフェニルホスファイトの代
わりにトリデシルホスファイトを 1.7部用いた他は実施
例1と同様にしてPBT重合体を製造した。得られたP
BTの固有粘度、重縮合時間およびCOOH量を表3に示
す。 比較例9 有機塩基および有機リン化合物を用いなかったほかは実
施例14と同様にしてPET重合体を製造した。得られた
PETの固有粘度、重縮合時間およびCOOH量を表3に示
す。 比較例10 有機塩基および有機リン化合物を用いなかった他は実施
例16と同様にしてPCT重合体を製造した。得られたP
CTの固有粘度、重縮合時間およびCOOH量を表3に示
す。
【0012】比較例1112 比較例1で製造された固有粘度0.65dl/gのPBT重合体
ペレットについて、205 ℃、窒素気流下で固相重合を行
なった。固有粘度1.15dl/gの重合体を得るためには固相
重合を14時間行なわなければならなかった(比較例1
1)。又、比較例2で製造された固有粘度0.85dl/gのP
BT重合体ペレットについても同様に固相重合したとこ
ろ、30時間でようやく固有粘度1.2 dl/gに達した(比較
12)。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
【表3】
【0016】注) Im :イミダゾール 2MeIm :2−メチルイミダゾール NMIm :N−メチルイミダゾール Py :ピリジン IQN :イソキノリン BPy :2,2 −ビピリジル TrAz :1,2,4 −トリアゾール TPP :トリフェニルホスファイト DPP :ジフェニルホフスァイト TPPA :トリフェニルホスフェート TDP :トリデシルホスファイト
【0017】
【発明の効果】本発明の方法により得られた熱可塑性ポ
リエステルは、末端カルボキシル基含有量が極めて少な
く、耐加水分解性に優れている。しかも本発明によれ
ば、高分子量のポリエステルを製造する場合でも大幅に
重縮合時間を短縮することが可能で、固相重合を省略す
ることができる。従って、本発明によれば、高い品質の
重合体を低コストで提供することが可能となった。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属触媒の存在下で、エステル交換もし
    くはエステル化反応を行い、次いで重縮合反応を行うこ
    とで熱可塑性ポリエステルを製造するに際し、反応の任
    意の段階で含窒素有機塩基を熱可塑性ポリエステルに対
    して2〜50mmol/kg 添加し、更に重縮合反応時に重縮合
    反応によりポリエステルの固有粘度が0.3dl/g以上に
    達した任意の時点で下記一般式(1) で表される有機リン
    化合物を熱可塑性ポリエステルに対して2〜50mmol/kg
    添加することを特徴とする、末端カルボキシル基量の少
    ない熱可塑性ポリエステル(但し、ポリアルキレンナフ
    タレートを除く)の製造方法。 (Ar-O)nP(=O)m(X)3-n (1) 〔式中、m は0または1、n は1から3までの整数であ
    り、Arはアリール基、Xは水素原子、水酸基、炭化水素
    基又はハロゲン原子であり、それぞれ同一でも異なって
    いてもよい。〕
  2. 【請求項2】 有機リン化合物添加後の重縮合反応を、
    押出機による溶融押出により行う請求項1記載の熱可塑
    性ポリエステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 熱可塑性ポリエステルが、ジカルボン酸
    またはそのエステル形成性誘導体とグリコールとから製
    造される請求項1又は2記載の熱可塑性ポリエステルの
    製造方法。
  4. 【請求項4】 熱可塑性ポリエステルが、芳香族ジカル
    ボン酸またはそのエステル形成性誘導体と脂肪族グリコ
    ールとから製造される請求項1又は2記載の熱可塑性ポ
    リエステルの製造方法。
  5. 【請求項5】 含窒素有機塩基が三級アミンである請求
    項1〜4の何れか1項記載の熱可塑性ポリエステルの製
    造方法。
  6. 【請求項6】 含窒素有機塩基が複素環構造を有する三
    級アミンである請求項1〜4の何れか1項記載の熱可塑
    性ポリエステルの製造方法。
  7. 【請求項7】 一般式(1) におけるAr(アリール基)が
    フェニル基である請求項1〜6の何れか1項記載の熱可
    塑性ポリエステルの製造方法。
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