JP3176076U - 発泡樹脂成形金型及び異種発泡樹脂成形品 - Google Patents

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雅光 近藤
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Abstract

【課題】異種発泡樹脂材料どうしの接合界面における接合強度を高めることのできる発泡樹脂成形金型及び異種発泡樹脂成形品を提供する。
【解決手段】発泡樹脂成形金型は、固定型20と可動型30により形成されたキャビティ12と、固定型側から可動型に対してスライド可能に出没してキャビティを仕切るシャッター40を具える。シャッターによって仕切られた第1キャビティ24と第2キャビティ27に、発泡倍率の異なる発泡樹脂材料からなる第1発泡樹脂粒子50と第2発泡樹脂粒子60を夫々充填し、シャッターをスライド開放して加熱することにより、発泡倍率の異なる発泡樹脂を連続的に成形する。シャッターには、第1キャビティと第2キャビティとを連通し、第2キャビティへ第1発泡樹脂粒子が通り抜け可能な1又は複数の貫通孔41が開設されている。
【選択図】図4

Description

本考案は、異種発泡樹脂材料を連続的に成形する発泡樹脂成形金型及び異種発泡樹脂成形品に関するものである。
発泡樹脂成形品は、固定型と該固定型に対して移動可能な可動型とを具える発泡樹脂成形金型のキャビティに発泡樹脂材料の粒子を充填し、金型内を加熱して発泡樹脂粒子を熱膨張させることで作製される。
発泡倍率が異なる異種発泡樹脂材料を用い、発泡倍率が途中で変化する異種発泡樹脂成形品が知られている。例えば、特許文献1では、固定型と可動型からなる発泡樹脂成形金型のキャビティを固定型から出没可能なシャッターによって仕切り、シャッターにより仕切られたキャビティの夫々に発泡倍率が異なる発泡樹脂粒子を充填し、シャッターを開放し、加熱することで成形を行なっている。
特開2006−123732号公報
発泡樹脂材料の発泡倍率の差が大きくなると(例えば密度差0.03g/cm以上)、異種発泡樹脂材料どうしの接合界面において互いの接合強度が弱くなり、接合界面で剥離してしまう虞がある。
本考案の目的は、異種発泡樹脂材料どうしの接合界面における接合強度を高めることのできる発泡樹脂成形金型及び異種発泡樹脂成形品を提供することである。
本考案に係る発泡樹脂成形金型は、
固定型と可動型により形成されたキャビティと、
固定型側から可動型に対してスライド可能に出没してキャビティを仕切るシャッターを具え、
該シャッターによって仕切られた第1キャビティと第2キャビティに、発泡倍率の異なる発泡樹脂材料からなる第1発泡樹脂粒子と第2発泡樹脂粒子を夫々充填し、シャッターをスライド開放して加熱することにより、発泡倍率の異なる発泡樹脂を連続的に成形する発泡樹脂成形金型であって、
前記シャッターには、第1キャビティと第2キャビティとを連通し、第2キャビティへ第1発泡樹脂粒子が通り抜け可能な1又は複数の貫通孔が開設されている。
また、本考案の異種発泡樹脂成形品は、
発泡倍率の異なる第1発泡樹脂材料と第2発泡樹脂材料を連続的に成形してなる異種発泡樹脂成形品であって、
第1発泡樹脂材料は、第2発泡樹脂材料との接合界面から、第2発泡樹脂材料に向けて侵入する1又は複数の柱状部が突設されており、該柱状部は、第2発泡樹脂材料と接合されている。
本考案の発泡樹脂成形金型を用いて、異種発泡樹脂成形品を形成することにより、第1発泡樹脂材料が、第2発泡樹脂材料との接合界面から、第2発泡樹脂材料に向けて侵入してなる柱状部を形成することができ、該柱状部は、第2発泡樹脂材料と接合されているから、第1発泡樹脂材料と第2発泡樹脂材料との接合界面の面積を大きし、接合強度を可及的に高くすることのできる異種発泡樹脂成形品を得ることができる。
図1は、本考案の一実施形態に係る発泡樹脂成形金型の断面図であって、発泡樹脂粒子充填前の状態を示している。 図2は、本考案の一実施形態に係るシャッターの正面図である。 図3は、本考案の一実施形態に係る発泡樹脂成形金型の断面図であって、第1発泡樹脂粒子と第2発泡樹脂粒子を充填した状態を示している。 図4は、同発泡樹脂成形金型の断面図であって、第1キャビティから第2キャビティに向けて空気流を生じさせている状態を示している。 図5は、同発泡樹脂成形金型の断面図であって、シャッターを開放した状態を示している。 図6は、本考案の異種発泡樹脂成形品の要部を拡大して示す断面図である。 図7は、本考案の異なる実施形態に係るシャッターの正面図である。 図8は、図7のシャッターを用いて形成された異種発泡樹脂成形品の要部を拡大して示す断面図である。
図1は、本考案の一実施例を示す発泡樹脂成形金型(10)の平面断面図である。図に示すように、発泡樹脂成形金型(10)は、固定型(20)と可動型(30)からなり、固定型(20)と可動型(30)との間に、発泡樹脂材料(50)(60)の充填されるキャビティ(12)が形成されている。
本実施例において説明する発泡樹脂成形金型(10)は、自動車のバンパー芯材成形用のものであり、固定型(20)が凹型、可動型(30)が凸型となるよう構成されている。
発泡樹脂成形金型(10)の周囲には、加熱蒸気を導入し、固定型(20)及び可動型(30)を加熱して、キャビティ(12)内の発泡樹脂材料を融着させる蒸気室(14)が形成されている。
また、固定型(20)には、第1キャビティ(24)に圧縮空気を供給する空気供給口(29)、第2キャビティ(27)に排気口(図示せず)が形成されている。
可動型(30)は、スライド機構(図示せず)によって、固定型(20)に対して接近、離間可能となっている。
また、固定型(20)には、スリット(21)が形成されており、該スリット(21)には、可動型(30)に向けて出没可能なシャッター(40)が貫通している。シャッター(40)の一端は、シリンダ等から構成される開閉機構(42)に連繋されており、開閉機構(42)の作動、即ち、シリンダの伸縮によって、シャッター(40)が固定型(20)から可動型(30)に向けて出没し、キャビティ(12)を仕切り可能となっている。
シャッター(40)には、図1及び図2に示すように、1又は複数の貫通孔(41)が開設されている。貫通孔(41)は、後述する第1発泡樹脂粒子(50)が通り抜け可能な大きさを有する。図示の貫通孔(41)は円形であるが、これに限定されるものではない。貫通孔(41)の直径R(図2参照)は、第1発泡樹脂粒子(50)が余裕を持って通り抜けることのできる大きさとすることが好適であり、第1発泡樹脂粒子(50)の直径の1.5倍〜10倍とすることが望ましく、1.7倍〜2.5倍とすることがより望ましい。
シャッター(40)に形成される貫通孔(41)は、シャッター(40)の面積に対して、開口率が30%〜80%となるように形成することが好適である。
なお、図2では、貫通孔(41)は上下二列に計7つ形成しているが、その配置や数は限定されるものではない。
上記貫通孔(41)の形成されたシャッター(40)を可動型(30)側にスライドさせることで、キャビティ(12)は、2つの空間に分割される。ここでは、分割された空間の内、図中左側の空間を第1キャビティ(24)、右側の空間を第2キャビティ(27)と称する。
固定型(20)には、前記第1キャビティ(24)、第2キャビティ(27)に夫々連通する原料充填孔(25)(28)が開設されており、該原料充填孔(25)(28)は、夫々原料フィーダ(図示せず)に接続されている。
上記構成の発泡樹脂成形金型(10)において、可動型(30)を固定型(20)に係合した状態で、図1に示すように、開閉機構(42)を作動させて、シャッター(40)を可動型(30)方向にスライドさせる。
上記の如く、シャッター(40)によりキャビティ(12)が第1キャビティ(24)と第2キャビティ(27)に分割された状態で、図3に示すように、第1キャビティ(24)に第1発泡樹脂材料(50)、第2キャビティ(27)に第2発泡樹脂材料(60)が充填される。
第1発泡樹脂材料(50)及び第2発泡樹脂材料(60)は、夫々、発泡樹脂粒子の形態でキャビティ(24)(27)に充填することができる。
なお、発泡樹脂粒子は、発泡剤を含有させた合成樹脂粒子を予備発泡させて得られるものである。この合成樹脂粒子を構成する合成樹脂は、任意の発泡樹脂とすることができるが、熱可塑性樹脂の発泡樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂には、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂)、ポリエステル系樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート系樹脂、ポリ乳酸系樹脂などが挙げられる。なかでも、ポリスチレンとポリエチレンとを含む複合樹脂を用いることが好ましい。
第1発泡樹脂材料(50)及び第2発泡樹脂材料(60)は、発泡倍率の異なる、即ち異種発泡樹脂材料を選択する。なお、本実施例では、第1発泡樹脂材料(50)を、第2発泡樹脂材料(60)よりも低発泡倍率の発泡樹脂材料としている。
この場合、第1発泡樹脂材料(50)の望ましい発泡倍率は、5〜50倍、第2発泡樹脂材料(60)の望ましい発泡倍率は、10〜90倍である。
第1発泡樹脂材料(50)の粒子(以下「第1発泡樹脂粒子(50)」とも称する)は、第2発泡樹脂材料(60)の粒子(以下「第2発泡樹脂粒子(60)」とも称する)より小粒径とすることが望ましい。発泡樹脂粒子の望ましい粒径は、第1発泡樹脂材料(50)が1.5〜6.5mm、第2発泡樹脂材料(60)が2.5〜15mmである。
図2に示すように、第1発泡樹脂粒子(50)は、第1キャビティ(24)側の原料充填孔(25)から第1キャビティ(24)に充填され、第2発泡樹脂粒子(60)は、第2キャビティ(27)側の原料充填孔(28)から第2キャビティ(27)に充填される。
投入された第1発泡樹脂粒子(50)及び第2発泡樹脂粒子(60)は、重力作用により、各キャビティ(24)(27)の底側から夫々順次積み重なっていく。
なお、第2発泡樹脂粒子(60)を充填してから、第1発泡樹脂粒子(50)を充填することもできる。
図3に示すように、第1発泡樹脂粒子(50)と第2発泡樹脂粒子(60)が、各キャビティ(24)(27)に十分に充填されると、原料の供給を止め、原料充填孔(25)(28)を閉じる。
次に、第1キャビティ(24)に空気供給口(29)から圧縮空気を供給し、第1キャビティ(24)からシャッター(40)の貫通孔(41)を通り、第2キャビティ(27)に流入して排気口から排出される空気流を生じさせる。
これにより、図4に示すように、第1発泡樹脂粒子(50)の一部が貫通孔(41)を通り抜けて、第2キャビティ(27)に侵入する。より詳細には、第1発泡樹脂粒子(50)は、図4に示すように、空気流によって略柱状(82)に第2発泡樹脂粒子(60)を押し退けて侵入していく。その侵入長さは、10mm〜100mmが好適であり、30mm〜50mmが望ましい。
次に、図5に示すように、開閉機構(42)を作動させて、シャッター(40)を開放する。
シャッター(40)を開放しても、略柱状(82)に第2発泡樹脂材料粒子(60)中に侵入した第1発泡樹脂粒子(50)はそのままの形態を留める。
この状態で、蒸気室(14)に加熱蒸気を導入して、発泡樹脂粒子(50)(60)を加熱すると、これら粒子は、軟化、膨張し、接合界面(85)にて相互に接合される。このとき、同時に、略柱状(82)に侵入している第1発泡樹脂粒子(50)も、第1発泡樹脂粒子(50)どうし及び周りの第2発泡樹脂粒子(60)と相互に融着し、接合界面(85)から第2樹脂材料(60)側に突設された柱状部(81)となる。
加熱終了後、キャビティ(12)内の冷却を行ない、スライド機構を作動させて、可動型(30)を固定型(20)から離間させ、異種発泡成形品(80)を取り出す。
図6は、成形された異種発泡樹脂成形品(80)の接合界面(85)を含む近傍の要部拡大断面図である。図に示すように、第1発泡樹脂粒子(50)は、第2発泡樹脂粒子(60)に侵入して成形された柱状部(81)となる。シャッター(40)の貫通孔(41)が円形の場合、柱状部(81)の断面も略円形となる。
この柱状部(81)の外周は、第1発泡樹脂材料(50)と第2発泡樹脂材料(60)が融着した接合界面(85)となるので、接合界面(85)の面積を大きくすることができ、これらの接合強度を可及的に高めることができる。
また、柱状部(81)が、発泡倍数の高い、即ち、柔らかい第2発泡樹脂材料(60)の芯材としても作用し、異種発泡樹脂成形品(80)の強度向上にも効果がある。
図7は、本考案の異なる実施形態を示すシャッター(40)の正面図である。図7では、貫通孔(41)を矩形としている。
このシャッター(40)を用いて成形を行なうと、その断面を図8に示すように、柱状部(81)は略矩形の断面となる。
なお、貫通孔(41)の形状は、これらに限定されるものではないが、図2に示す円形と、図7に示す矩形とを比較すると、作製される柱状部(81)は、断面が略円形の方が、横方向からの曲げ強度を高くすることができる。
上記のように、本考案の発泡樹脂成形金型(10)は、異種発泡樹脂成形品(80)の接合界面(84)の接合強度を可及的に高めることのできる柱状部(81)を形成することができる。
また、上記のように、本考案の異種発泡樹脂成形品(80)は、接合界面(85)に柱状部(81)が突設されていることで、接合界面(85)の面積を大きくでき、その接合強度を可及的に高めることができる。
本実施形態においては、柱状部(81)は、複数本独立して形成され、柱状部間に異倍率発泡樹脂粒子が入り込むことで、より上記効果を高めることができる。
本考案は、異種発泡樹脂材料どうしの接合界面における接合強度を高めることのできる発泡樹脂成形金型及び異種発泡樹脂成形品として有用である。
(10) 発泡樹脂成形金型
(12) キャビティ
(20) 固定型
(30) 可動型
(40) シャッター
(41) 貫通孔
(50) 第1発泡樹脂材料(粒子)
(60) 第2発泡樹脂材料(粒子)
(80) 異種発泡樹脂成形品
(81) 柱状部
(85) 接合界面

Claims (7)

  1. 固定型と可動型により形成されたキャビティと、
    固定型側から可動型に対してスライド可能に出没してキャビティを仕切るシャッターを具え、
    該シャッターによって仕切られた第1キャビティと第2キャビティに、発泡倍率の異なる発泡樹脂材料からなる第1発泡樹脂粒子と第2発泡樹脂粒子を夫々充填し、シャッターをスライド開放して加熱することにより、発泡倍率の異なる発泡樹脂を連続的に成形する発泡樹脂成形金型であって、
    前記シャッターには、第1キャビティと第2キャビティとを連通し、第2キャビティへ第1発泡樹脂粒子が通り抜け可能な1又は複数の貫通孔が開設されていること、
    を特徴とする発泡樹脂成形金型。
  2. 前記第1発泡樹脂粒子は、第2発泡樹脂粒子よりも小粒径である請求項1に記載の発泡樹脂成形金型。
  3. 前記第1発泡樹脂粒子は、第2発泡樹脂粒子よりも低発泡倍率の発泡樹脂材料である請求項1又は請求項2に記載の発泡樹脂成形金型。
  4. 前記貫通孔は、10〜100mmのピッチで形成されている請求項1乃至請求項3の何れかに記載の発泡樹脂成形金型。
  5. 発泡倍率の異なる第1発泡樹脂材料と第2発泡樹脂材料を連続的に成形してなる異種発泡樹脂成形品であって、
    第1発泡樹脂材料は、第2発泡樹脂材料との接合界面から、第2発泡樹脂材料に向けて侵入する1又は複数の柱状部が突設されており、該柱状部は、第2発泡樹脂材料と接合されている、
    ことを特徴とする異種発泡樹脂成形品。
  6. 前記第1発泡樹脂材料は、第2発泡樹脂粒子よりも小粒径の第1発泡樹脂粒子を発泡成形したものである請求項6に記載の異種発泡樹脂成形品。
  7. 前記第1発泡樹脂材料は、第2発泡樹脂材料よりも低発泡倍率の発泡樹脂材料である請求項5又は請求項6に記載の異種発泡樹脂成形品。
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