JP3175789B2 - アクリル樹脂の表面改質方法 - Google Patents

アクリル樹脂の表面改質方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アクリル樹脂の表面改
質方法に係り、さらに詳しくはアクリル樹脂表面に親水
性を付与する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、メタクリル樹脂等のアクリル樹脂
は、優れた光学的性質、機械的強度、加工性、生体適合
性等を有するために、コンタクトレンズ、人工血管、人
工腎臓、その他の人工臓器用材料として使用されてい
る。
【0003】しかしながら、該アクリル樹脂は優れた材
料ではあるが、素材表面の親水性に乏しく一般に強い撥
水性を示すものが多い。例えば、該アクリル樹脂をコン
タクトレズに使用する場合、表面の親水性、すなわち、
涙液との水濡性に乏しいコンタクトレンズは、装用時に
視力矯正上の問題を生じたり、角膜上でのレンズの動き
が悪いためフィッティング上の問題を生じたり、また、
装用者に異物感を与えるという問題も生じる。従って、
この様な素材に対しては良好な表面の親水性を与えるた
めに、種々の改質・改善が測られている。
【0004】例えば特公昭56−39450、特開昭5
8−7418号および特開昭59−19918号の各公
報には、親水性単量体との共重合により、素材の親水性
を改質する方法が開示されている。また、例えば、特公
昭58−35443号および特開昭58−17412号
の各公報には、後処理によりコンタクトレンズ表面に親
水性を与えるために、あらかじめ後処理可能な官能基を
有する重合体成分を用いて素材を形成する方法が開示さ
れている。更に、特公昭55−49288号および特開
昭58−216222号の各公報には、プラズマ処理あ
るいはプラズマ重合によるシリコーン樹脂よりなるコン
タクトレンズ表面の親水化法が開示されている。
【0005】しかしながら、上述の親水性単量体の共重
合による方法においては、親水性単量体の組成比と酸素
透過性が相反する傾向を有するため、表面に充分な親水
性を与えようとすると、酸素透過性が著しく低下してし
まい、また高い酸素透過性を維持しようとすると表面の
親水性が乏しくなるという欠点を有している。
【0006】また、後処理により表面の親水化をはかる
目的で、あらかじめ特殊な官能基を有する化合物を重合
成分として用いてコンタクトレンズを形成する方法にお
いては、親水化を行なえる素材が特殊なものに限定され
たり、あるいは前述の親水性単量体との共重合の場合に
も述べたように、素材の酸素透過性が低下するといった
欠点を有している。
【0007】プラズマ処理によりコンタクトレンズの親
水化をはかる方法では、親水化の効果が短期間のうちに
消失しやすく、また、通常の取り扱い中に生じるレンズ
の乾燥によっても効果が失われてしまい実用性がない。
親水性単量体のコンタクトレンズ表面へのプラズマ重合
処理においては、処理条件の設定が極めて複微妙であっ
て再現性に乏しいといった問題点を有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、素材
の酸素透過性や光学特性、機械物性などのアクリル樹脂
が本来有している長所を損なうことなく、該樹脂表面に
優れた親水性を付与するための表面改質方法を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、アンモニ
ア、尿素または有機アミンよりなるガス状または液状の
窒素化合物の雰囲気中で、アクリル樹脂の表面に180
〜360nmの紫外線レーザー光を照射することにより
該アクリル樹脂の表面を選択的に改質することを特徴と
するアクリル樹脂の表面改質方法。本発明はまた、前記
窒素化合物がガス状で供給されるとき、窒素化合物の分
圧が0.5〜100Torrであるアクリル樹脂の表面
改質方法である。本発明はさらに、前記窒素化合物がア
ンモニアまたは有機アミン化合物であるアクリル樹脂の
表面改質方法である。本発明はまた、前記アクリル樹脂
が、メチルメタクリレートの単独重合体または共重合体
であるアクリル樹脂の表面改質方法である。本発明はさ
らに、前記紫外線レーザーがエキシマレーザーであるア
クリル樹脂の表面改質方法である。本発明はまた、レー
ザー光の照射量がエネルギー密度として15〜25mJ
/cm2であるアクリル樹脂の表面改質方法である。
【0010】
【作用】本発明方法により表面が改質されるアクリル樹
脂は、アルキルアクリレート、アルキルメタアクリレー
ト等、特にメチルメタクリレートの単独重合体および共
重合体がある。メチルメタクリレート共重合体に使用さ
れる共単量体としては、エチレン、プロピレン、塩化ビ
ニル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエ
ン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル
酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等があり、これらの
1種または2種以上が使用される。これらの共単量体
は、共重合体中50モル%以上であることが好ましい。
また、これらのアクリル樹脂の数平均分子量は103
107 、好ましくは104 〜106 である。
【0011】窒素化合物としては、アンニア、尿素等
の無機窒素化合物、メチルアミン、ジメチルアミン、ト
リメチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、トリ
メチルアミン、イソプロピルアミン類、ブチルアミン
類、エタノールアミン類、イソプロパノールアミン類、
エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピリジン、
モルホリン等の有機アミン類がある。
【0012】これらの窒素化合物は、液状またはガス
状、好ましくはガス状で用いられる。ガス状で使用され
る場合には、その分圧が0.5〜100Torr、好ま
しくは20〜100Torrである。
【0013】紫外線レーザー光としては、180〜36
0nm、好ましくは190〜250nmの発振波長を有
するレーザーがあり、好ましくはエキシマレーザーであ
る。エキシマレーザーに用いられるガスには、KrF、
KrCl、ArF、ArCl、F2 等があり、それぞれ
固有の発振波長を有する。例えばArFレーザーは、1
92nmの発振波長があり、光子エネルギーは148K
calである。したがって、結合エネルギーが100〜
110KcalであるC−H結合を切断することがで
き、エキシマレーザー照射により励起された水素は、容
易に引き抜かれ、代りに共存させた窒素化合物のアミノ
基等を導入することができる。
【0014】エキシマレーザーの照射量は、エネルギー
密度として15〜25mJ/cm2 、好ましくは18〜
22mJ/cm2 である。すなわち、エネルギー密度が
15mJ/cm2 未満では所望の親水性が得られ難く、
一方25mJ/cm2 をこえてもそれ以上の親水性が向
上しないだけでなく、むしろ基材であるアクリル樹脂の
表面があれるからである。
【0015】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明する。
【0016】実施例1 チャンバー内にポリメチルメタクリレートのフィルム
(50mm×50mm×1mm)を置き、真空排気を行
った後、アンモニアガス(H2 希釈10%)40Tor
rとなるように供給したArFレーザー光(193n
m)を上記資料表面に垂直方向から照射した。親水性の
評価をするために、水との接触角を測定した。各条件、
結果は表1に示す通りである。
【0017】
【表1】 実施例2 レーザー光をKrF(249nm)に代え、実施例1と
同様な実験を行った。各条件、結果は表2に示す通りで
ある。
【0018】
【表2】 試験例1 表1の実験番号1と実験番号4の表面の走査型電子顕微
鏡写真(倍率500倍)は、それぞれ図1および図2に
示す通りであり、照射エネルギー25mJ/cm2
は、20mJ/cm2 と比べたときその表面は荒れるこ
とが確認された。
【0019】試験例2 透過性について確認したものが図3である。表1の実験
番号1と実験番号4では、その透過性にも明らかな違い
があることが確認された。さらに、実験番号1(20m
J/cm2 )では、無照射とほとんど同じであることが
確認できた。
【0020】試験例3 表1の実験番号1の試料表面を島津製作所ESCA−7
50でXPS分析を行ったところ図4の通りとなり、窒
素原子が確認された。
【0021】試験例4 表1の実験番号1の試料表面を赤外線吸収スペクトル分
光試験を行ったところ図5の通りとなり、表面にN−H
が導入されていることが確認された。
【0022】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によるアクリ
ル樹脂の表面改質方法は、ガス状または液状の窒素化合
物の雰囲気中で、アクリル樹脂の表面に180〜360
nmの紫外線レーザー光を照射することにより行なわれ
るものであるから、基材であるアクリル樹脂になんら特
殊な成分を加えることなく、その表面を極めて優れた親
水性表面とすることが可能であり、しかも該アクリル樹
脂が、本来的に有している光学特性、機的強度等はなん
ら損なわれないのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明方法により改質されたアクリル
樹脂の表面状態を示す電子顕微鏡写真である。
【図2】図2は、本発明方法以外の方法で改質されたア
クリル樹脂の表面状態を示す電子顕微鏡写真である。
【図3】図3は、透過性と波長との関係を示すグラフで
ある。
【図4】図4は、強度と結合エネルギーとの関係を示す
グラフである。
【図5】図5は、赤外線吸収スペクトル図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 11:00 C08L 33:06

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アンモニア、尿素または有機アミンより
    なるガス状または液状の窒素化合物の雰囲気中で、アク
    リル樹脂の表面に180〜360nmの紫外線レーザー
    光を照射することにより該アクリル樹脂の表面を選択的
    に改質することを特徴とするアクリル樹脂の表面改質方
    法。
  2. 【請求項2】 前記窒素化合物がガス状で供給されると
    き、窒素化合物の分圧が0.5〜100Torrである
    請求項1に記載のアクリル樹脂の表面改質方法。
  3. 【請求項3】 前記窒素化合物がアンモニアまたは有機
    アミン化合物である請求項1または2に記載のアクリル
    樹脂の表面改質方法。
  4. 【請求項4】 前記アクリル樹脂は、メチルメタクリレ
    ートの単独重合体または共重合体である請求項1〜3の
    いずれか一つに記載のアクリル樹脂の表面改質方法。
  5. 【請求項5】 前記紫外線レーザーがエキシマレーザー
    である請求項1〜4のいずれか一つに記載のアクリル樹
    脂の表面改質方法。
  6. 【請求項6】 レーザー光の照射量は、エネルギー密度
    として15〜25mJ/cm2 である請求項1〜5のい
    ずれか一つに記載のアクリル樹脂の表面改質方法。
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