JP3175241B2 - エンジン吸排気用電磁駆動バルブ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はエンジンのシリンダに配
置され、吸／排気流路を開閉するバルブを駆動する電磁
駆動バルブに関する。

【０００２】

【従来の技術】シリンダの吸／排気流路に設けられたバ
ルブは通常、クランク軸の回転に応じて作動するカムシ
ャフトやロッカーアームを介して開閉弁されるが、開閉
のタイミングの自由度を増すため、永久磁石や電磁石に
よる電磁力を用いて開閉作動させる試みが従来より種々
行われている。

【０００３】この種のバルブの一例として、特開平２−
１２３２１０号公報には、永久磁石により閉方向に常時
バイアスされたバルブを電磁力により開方向に駆動する
電磁バルブが示されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述の公開公報に示さ
れた電磁バルブでは、静止しているバルブの初期駆動時
は大きな推力を要し、この初期駆動力を大にするにはコ
イル巻数や供給電流を増大させなければならないという
問題がある。

【０００５】本発明はこのような問題に鑑みてなされた
ものであり、その目的は可動線輪型の駆動機構を用いた
電磁バルブの界磁に永久磁石と電磁石とを使用したハイ
ブリッド構造とし、該電磁石に可動コイルへの駆動電流
をも供給して初期駆動力を増大しようとする電磁駆動バ
ルブを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明では、界磁コアが、板状の継鉄部と該継鉄部
の中央に植立された円柱状のセンター磁極と前記継鉄部
の両端に該センター磁極の両側に間隔をおいて該センタ
ー磁極と同方向に植立された平板状のヨークとで構成さ
れ、前記ヨークの前記センター磁極に対向している面に
永久磁石，磁極をこの順に積層固着し、該磁極と前記セ
ンター磁極との間の空隙に、ボイスコイル状の形状にさ
れ、バルブステムの後端に固着された可動線輪を移動自
在に遊嵌し、該可動線輪に通電することにより開弁時の
駆動力を得るようにしたエンジン吸排気用電磁駆動バル
ブにおいて、前記継鉄部の前記センター磁極と前記ヨー
クとの間の部分にそれぞれ電磁コイルを巻回し、開弁初
期駆動時には前記可動線輪に流す電流を該電磁コイルを
経て流して前記空隙内の磁束を強め、初期駆動を終えた
後は前記可動線輪にのみ流すようにし、開弁初期駆動時
に前記バルブステムを駆動する力を大にすることとし
た。

【０００７】

【作用】本発明では、永久磁石による磁路に電磁石を巻
回し、可動線輪の駆動時には該電磁石にも通電して駆動
力を付勢させるので、バルブの駆動に際して大きな初期
駆動力が得られる。

【０００８】

【実施例】つぎに本発明の実施例について図面を用いて
詳細に説明する。

【０００９】図１は本発明にかかる電磁駆動バルブの一
実施例を示す断面図、およびその上面図である。

【００１０】同図において、１は軟鉄のような強磁性体
からなり、中央部分の縦断面がＥ字状の界磁コアであ
り、中央には円柱状のセンタ磁極１１、両側部にはヨー
ク１２，１２がそれぞれ形成されており、センタ磁極１
１とヨーク１２との間の継鉄部１３には巻枠２１を備え
た電磁コイル２がそれぞれ巻回されている。

【００１１】そして、３は強力な残留磁気力を備えた永
久磁石で、ヨーク１２の内壁部に接着され、さらに永久
磁石３の内側面には強磁性体の磁極１４が接着されて、
該磁極１４がセンタ磁極１１と対向する面は、円柱状の
センタ磁極１１の外壁に対応し所定のギャップが形成さ
れるように湾曲して切削されている。

【００１２】４は可動線輪４１を備えた合成樹脂材から
なる可動部で、恰もダイナミックスピーカにおけるボイ
スコイルに相当して、前述のギャップ内にて上下に移動
自在のものであり、可動部４の下端部は左右のスプリン
グ４２，４２にて保持され、可動線輪４１からの結線は
これらのスプリング４２に接続されてスプリング４２の
下方に接続端子が設けられている。

【００１３】５はバルブで、吸気弁、または排気弁とな
るもので、そのステム５１はバルブガイド５２により保
持され、ステム５１の上方部は前述の可動部４の下方
に、例えば楔機構５４を用いた連結具５３により係合さ
れて、可動部４の推力によって上下方向に駆動され、流
路を開閉するように構成されている。

【００１４】そして、電磁コイル２と可動線輪４１との
配線は、可動線輪４１の接続端子が設けられたそれぞれ
のスプリング４２，４２の下端から、左右の電磁コイル
２，２をそれぞれ介して直列接続されてスイッチ６の接
点に結線され、さらに図示の位置からスイッチ６が切換
えられると、他の接点からは可動線輪４１のみに通電さ
れるように配線されている。

【００１５】つぎにこのように構成された本実施例の作
動を説明すると、バルブ５の駆動時にはまずスイッチ６
を図示のようにセットし、所定方向の電力を供給する。

【００１６】このため、通電回路は電磁コイル２→可動
線輪４１→電磁コイル２のように直列接続されているの
で、永久磁石３によるギャップの磁場内に置かれた可動
線輪４１に電流が通じて垂直方向の推力が働くととも
に、その推力を強めるような電磁コイル２，２によるギ
ャップの磁力線が可動線輪４１に作用して、可動部４の
初期駆動が開始される。

【００１７】図２はこの初期駆動時における推力下、速
度ｖおよび電流Ｉの関連を示す曲線図であり、電磁コイ
ル２の励磁により２乗曲線のような大きな推力が得られ
る状態を示したものである。

【００１８】ついで、大きな初期推力が得られた後はス
イッチ６を他の接点側に切換え通電することにより、電
磁コイル２は開放されてギャップの磁場は永久磁石から
の磁束のみとなり、図３に示すように通常の磁場内にお
ける可動線輪４１の推力により、可動部４および連結さ
れたバルブ５の駆動が行われることになる。

【００１９】以上、本発明を上述の実施例によって説明
したが、本発明の主旨の範囲内で種々の変形が可能であ
り、これらの変形を本発明の範囲から排除するものでは
ない。

【００２０】

【発明の効果】上述の実施例のように本発明によれば、
バルブを開閉駆動する可動線輪型の駆動機構の永久磁石
の磁路に電磁コイルを巻回し、バルブの駆動に際して可
動線輪への通電とともに前記電磁コイルにも通電するの
で、その磁束によって可動線輪の駆動力が付勢され、大
きな初期駆動力が得られるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる電磁駆動バルブの一実施例を示
す断面図である。

【図２】本実施例における初期駆動時における推力、速
度および電流の関連を示す曲線図である。

【図３】本実施例における初期駆動後の推力、速度およ
び電流の関連を示す曲線図である。

【符号の説明】

１…界磁コア ２…電磁コイル ３…永久磁石 ４…可動部 ５…バルブ １４…磁極 ４１…可動線輪 ５１…ステム

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】界磁コアが、板状の継鉄部と該継鉄部の中
   央に植立された円柱状のセンター磁極と前記継鉄部の両
   端に該センター磁極の両側に間隔をおいて該センター磁
   極と同方向に植立された平板状のヨークとで構成され、 前記ヨークの前記センター磁極に対向している面に永久
   磁石，磁極をこの順に積層固着し、該磁極と前記センタ
   ー磁極との間の空隙に、ボイスコイル状の形状にされ、
   バルブステムの後端に固着された可動線輪を移動自在に
   遊嵌し、該可動線輪に通電することにより開弁時の駆動
   力を得るようにしたエンジン吸排気用電磁駆動バルブに
   おいて、 前記継鉄部の前記センター磁極と前記ヨークとの間の部
   分にそれぞれ電磁コイルを巻回し、開弁初期駆動時には
   前記可動線輪 に流す電流を該電磁コイルを経て流して前
   記空隙内の磁束を強め、初期駆動を終えた後は前記可動
   線輪にのみ流すようにし、 開弁初期駆動時に前記バルブステムを駆動する力を大に
   したことを特徴とするエンジン吸排気用電磁駆動バル
   ブ。