JP3174716U - 工作機械の切削液回収装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】使用済み切削液から浮上油、スラジを分離、除去して切削液を回収する切削液回収装置を提供する。
【解決手段】浮上油を分離する油水分離槽とスラジを除去するスラジ分離槽3を備える。スラジ分離槽は中空半円盤体状の形状とし、油水分離槽は底面を凹状にしてスラジ分離槽に向けて下り勾配にしてスラジ分離槽の側面に境界壁を設けずに接合する。油水分離槽の側面には油排出口15と切削液排出口16を、切削液排出口の下縁高さを油排出口の下縁高さより僅かに低くして設け、切削液排出口周りには側壁に支持させた仕切り壁20を設ける。スラジ分離槽には中空半円盤体の中心軸回りに回転する回転アーム24を取り付け、先端部には回転に伴ってスラジ分離槽の弧状底面に沿って移動してスラジを掻き上げる掻き板27を取り付ける。掻き上げ方向の弧状側面には下縁高さを油排出口の下縁高さより高くしたスラジ排出口を設ける。
【選択図】図1
【解決手段】浮上油を分離する油水分離槽とスラジを除去するスラジ分離槽3を備える。スラジ分離槽は中空半円盤体状の形状とし、油水分離槽は底面を凹状にしてスラジ分離槽に向けて下り勾配にしてスラジ分離槽の側面に境界壁を設けずに接合する。油水分離槽の側面には油排出口15と切削液排出口16を、切削液排出口の下縁高さを油排出口の下縁高さより僅かに低くして設け、切削液排出口周りには側壁に支持させた仕切り壁20を設ける。スラジ分離槽には中空半円盤体の中心軸回りに回転する回転アーム24を取り付け、先端部には回転に伴ってスラジ分離槽の弧状底面に沿って移動してスラジを掻き上げる掻き板27を取り付ける。掻き上げ方向の弧状側面には下縁高さを油排出口の下縁高さより高くしたスラジ排出口を設ける。
【選択図】図1
Description
本考案は、工作機械の切削部の冷却、潤滑に使用して回収された水溶性切削液からその表面に浮上する油や懸濁物質等の浮上物と、底に沈む切粉、汚泥等の沈殿物とを分離、除去して切削液を回収する装置に関し、特には使用済み切削液貯留槽の表層から一次処理により回収された浮上物を再処理してそれに含まれる切削液を分離、回収するのに好適な工作機械の切削液回収装置に関する。
工作機械には切削工具や被切削物の冷却、潤滑のために水溶性切削液が使用される。使用されて不純物の混入した切削液は大きな貯留槽に集められる。その表面には比重差により油分が浮上する。浮上した油分には切粉、研磨粉等の不純物が含まれる。この浮上物(スカムと呼ばれる。)は、例えば本願の考案者らが先に公開したスカム除去装置(特許文献1参照)を使用した一次処理により分離除去され、切削液成分は再使用される。しかし、この一次処理により分離除去された浮上物にはまだ切削液成分もかなり含まれているためそのままでは廃棄処理が困難である。また、含まれる切削液は回収して再使用するのが好ましい。
一次処理により分離回収された浮上物を槽に入れて静置すると比重の小さい油分は浮上し、比重の大きい切粉、汚泥等は沈殿し、中間に切削液が残る。この状態から浮上油と沈殿物(以下、スラジと呼ぶ。)を分離除去すれば(以下、この段階の処理を二次処理と呼ぶ。)切削液は再使用でき、分離回収した浮上油とスラジは切削液成分が少ないため廃棄処理が比較的容易である。
二次処理には、通常、図12に示すような比重差を利用した油水分離槽50が使用される。油水分離槽50の上方側面には外部に向かって開口した排油口51が設けられ、切削液52を排出するための排水管54は槽底面を貫いて垂直に設けられている。排水管54の上方開口端は排油口51の下縁高さより僅かに低くしてあり、その周囲には浮上油56の侵入を阻止する障壁57が取り付けてある。障壁57の内部空間は下部において障壁57の外部空間と連通している。このような構造により浮上油56は排油口51から、切削液52は排水管54から排出されて分離が行なわれる。
しかし、このような油水分離槽50は放置しておくと、スラジ堆積層58の厚みが増してやがて障壁57下部の内外空間連通部分が塞がれ、切削液52の排出が止まってしまう。このため堆積したスラジ58は定期的に除去しなければならず、多くの場合、この作業は手作業で行なわれている。また、障壁57の内部空間下方に堆積したスラジ58から分離して浮上した浮上油56が、切削液52と共に排水管54から排出される問題もある。
このスラジの排出を自動化した従来技術としては、例えば、特許文献2に開示されている排液処理装置がある。この排液処理装置は、最初に一次処理で分離した浮上物を排液処理槽に投入して比重差により浮上油、切削液、スラジの3層に分離させる。次いでブラシ付き沈殿物掻出部材を取り付けたコンベア機構を排液処理槽内で回転させ、浮上油脂とスラジをブラシに付着させて分離し、槽外に排出させるものである。しかし、この装置の場合、排液処理槽の液中でコンベア機構を動作させるため機構が複雑であり、メンテナンスに手間がかかる問題がある。
特願2008−107347
特開2004−130212号公報
本考案は、従来技術のこうした問題点を解決するためになされたもので、その課題は、貯留槽に回収した使用済み切削液の表層から一次処理により回収した浮上物を再処理して浮上油とスラジを分離、除去し、切削液を回収するのに好適な工作機械の切削液回収装置を提供することにある。
前記課題を解決するための請求項1に記載の考案は、工作機械による切削加工に使用して回収された使用済み水溶性切削液から切削液を回収するための工作機械の切削液回収装置であって、切削液から比重差を利用して浮上油を分離除去する油水分離槽と、沈殿したスラジを分離除去するスラジ分離槽とを備えて構成してあり、スラジ分離槽は中空半円盤体を弧状側面を底面側にした形状に形成してあり、油水分離槽はスラジ分離槽の半円状側面に境界壁を設けずに接合してあり、その底面は凹状にしてスラジ分離槽側に向けて下り勾配に形成してあり、その側面には浮上油を排出する油排出口と切削液を排出する切削液排出口とが切削液排出口の下縁高さを油排出口の下縁高さより僅かに低くして設けてあり、切削液排出口の周りには浮上油の流入を阻止する仕切り壁が側壁に支持させて垂設してあり、スラジ分離槽には中空半円盤体の円盤体中心軸回りに回転する回転アームが取り付けてあり、該回転アームの先端部には側面を回転方向側に向けその一外周端面が回転アームの回転に伴ってスラジ分離槽の弧状底面に沿って移動してスラジ分離槽底部に沈殿しているスラジを掻き上げる掻き板が取り付けてあり、該掻き板による掻き上げ方向にあたる前記弧状底面にはその下縁高さを前記油排出口の下縁高さより高くしたスラジ排出口が設けてあることを特徴とする工作機械の切削液回収装置である。
このような構成によれば使用済みの切削液から浮上物とスラジとを除去して切削液を回収することができる。本装置ではスラジ分離槽の底面を下に凸の円弧状にし、液面上方に設置した回転軸により駆動される回転アームの先端部に取り付けた掻き板により沈殿スラジを掻き上げてスラジ排出口から排出させる。この構成はコンベア機構を液中で回転させる従来方式に比べて部品点数が少なく安価に製作できる。その上、回転アームの回転軸は液面より上にあるため軸受け機構を水密にする必要もない。そのため部品点数が少ないことと併せメンテナンスが容易である利点を有する。また、油水分離槽の底面は凹状にしてスラジ分離槽に向けて下り勾配に形成してあり、切削液排出口はスラジ分離槽の側面に設けてある。油水分離槽内で沈殿したスラジは凹状部に集まった後、下り勾配を滑ってスラジ分離槽内に移動する。このため切削液排出口回りに設けた仕切り壁の内空間下方にスラジが堆積せず、沈殿したスラジから分離した浮上油が仕切り壁内側に浮上して切削液排出口から切削液と共に排出されることが防止される利点を有する。
また、請求項2に記載の考案は、請求項1に記載の工作機械の切削液回収装置において、油水分離槽とスラジ分離槽の接合部には、油水分離槽の底面を上側としスラジ分離槽の底面を下側とした段差が設けてあり、前記掻き板は回転軸方向の幅が中空半円盤体の軸方向槽内側幅に略等しく、回転方向側に向けた側面が回転軸を含む平面上に位置するように回転アームの先端部に取り付けてあることを特徴とする工作機械の切削液回収装置である。
このように油水分離槽の底面とスラジ分離槽の底面との境に段差が設けておけば、掻き板でスラジを掻き寄せる際にスラジが油水分離槽側へ逃げるのを防止することができる。
また、請求項3に記載の考案は、請求項2に記載の工作機械の切削液回収装置において、前記掻き板は弧状底面側の端部が回転軸を含む平面よりも回転方向反対側に位置するようにその側面を傾けた姿勢で回転アームの先端部に取り付けてあることを特徴とする工作機械の切削液回収装置である。
掻き板をこのように傾けた姿勢で取り付けておけば掻き板がスラジ排出口の下端位置に達したときの掻き板側面の傾きが大きくなり、掻き寄せられたスラジがスラジ排出口に落下し易くなる。また、このようにスラジ排出口の下端位置での掻き板側面の傾きを大きくすれば回転アームのアーム長を短くすることができるためスラジ分離槽の内半径を小さくして装置を小型化できる利点がある。
また、請求項4に記載の考案は、請求項2又は3に記載の工作機械の切削液回収装置において、前記掻き板は油水分離槽側の端部が回転軸を含む平面よりも回転方向側に、油水分離槽とは反対側の端部が回転軸を含む平面よりも回転方向反対側になるようにその側面を傾けた姿勢で回転アームの先端部に取り付けてあることを特徴とする工作機械の切削液回収装置である。
このように傾かせて取り付けておけば掻き板でスラジを掻き寄せる際にスラジが油水分離槽へ逃げるのを防止できる。そのため、油水分離槽の底面とスラジ分離槽の底面との間に逃げ防止の段差を設ける必要がなくなる。段差の必要がなくなれば油水分離槽の底面をスラジ分離槽の底面に接続することができ、油水分離槽の底面の下り勾配が大きくなって油水分離槽の底に堆積したスラジのスラジ分離槽への移動を容易にさせることができる。
また、請求項5に記載の考案は、請求項1乃至4の何れかに記載の工作機械の切削液回収装置において、前記油排出口をなくし、前記掻き板により掻き上げるスラジがスラジ分離槽内の切削液表層部を通過する際に該スラジに浮上油が付着することにより、浮上油もスラジと一緒にスラジ排出口から排出されるように構成してあることを特徴とする工作機械の切削液回収装置である。
回転アームに取り付けた掻き板は掻き寄せたスラジと共に浮上油の層を抜けて液面上に出る。この浮上油の層を通過する際にスラジに浮上油が付着することにより浮上油もスラジと一緒にスラジ排出口から排出される。従って、浮上油の発生量が少ない場合はこのような構成にしても切削液を回収することができる。
以下、本考案に係る工作機械の切削液回収装置の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、その切削液回収装置1の平面図、図2は正面図、図3は背面図、図4は左側面図である。切削液回収装置1は、使用済み切削液の表層に比重差で浮上する浮上油を分離除去するための油水分離槽2と、切削液の底に沈殿するスラジを分離除去するためのスラジ分離槽3とからなる。
使用済み切削液は、油水分離槽2の表面にパイプ、樋等を使用して投入される。切削液は、工作機械による切削加工に使用して回収されたものを直接投入してもよい。しかし、本考案の切削液回収装置1は「背景技術」で述べたように、例えば本願の考案者らが先に開示したスカム除去装置(特許文献1参照)を利用した一次処理により分離除去された浮上物を再処理するのに適している。
スラジ分離槽3は、中空半円盤体を回転軸を水平にして置いた状態で回転軸を含む水平面で2分割した場合の下側形状をなしている。槽内空間は半円状の平行2側面5、6と半円弧状に湾曲して側面をも兼ねる弧状底面7により囲まれている。
油水分離槽2はスラジ分離槽3の片側の半円状側面6に隣接して設けてあり、その内部空間は直交する3つの側面8、9、10と底面11により囲まれている。4つ目の側面は油水分離槽2の半円状側面6と重なり、重なり部分は境界壁を設けずに開口の状態にしてある。図5は切削液回収装置1に使用済み切削液4を満たした状態における図1のA−A断面図である。油水分離槽2は開口にしてある4つ目の側面にてスラジ分離槽3の半円状側面6に液表面が繋がった状態で接合してある。
図6は図1におけるB−B断面図、図7は図1におけるC−C断面図である。油水分離槽2の底面11は凹状で、且つ図4、図7に示すようにスラジ分離槽3側に向けて下り勾配に形成してある。油水分離槽11とスラジ分離槽3の接合部には油水分離槽2の底面11を上側としスラジ分離槽3の底面7を下側とした段差12が設けてある。このような形状により油水分離槽2内で沈殿したスラジ13は、図6に示すように底面11の凹状部に集まった後、下り勾配を移動して段差部12からスラジ分離槽3の底に落ちる。
油水分離槽2におけるスラジ分離槽3の半円状側面6に連なる側面8、9には、浮上油を排出する油排出口15と切削液4を排出する切削液排出口16とが設けてある。二つの排出口のうち、切削液排出口16はスラジ分離槽3の側面6に直交する側面におけるスラジ分離槽側面6から遠い位置に設けてある。切削液排出口16はスラジ分離槽3の側面6から遠い位置に設けるのが好ましく、スラジ分離槽3の側面6に対向する側面10に設けてもよい。そして、その切削液排出口16の下縁高さは油排出口15の下縁高さより僅かに低くして、切削液排出口16の回りには浮上油18の流入を阻止する仕切り壁20が側面9に支持させて垂設してある。
このような構成により油水分離槽2に投入された使用済み切削液は、比重差により浮上油18、切削液4、スラジ13に分離する。表層に浮上した浮上油18は、油排出口15より外部に流出する。沈殿したスラジ13は、前述したようにスラジ分離槽3に移動する。中層に残る切削液4は、仕切り壁20の下を潜って切削液排出口16より流出する。
中空半円盤体状のスラジ分離槽3には、その円盤体中心軸(回転軸)25の回りに減速機付きモータ23により一方向に回転駆動される回転アーム24が取り付けてある。回転アーム24は回転軸25とその回転軸25から径方向に平行に延びる2本のアーム26からなり、アーム26の先端部には掻き板27が取り付けてある。掻き板27は板面が回転軸25を含む平面上に位置するように取り付けてある。掻き板27は矩形で、その回転軸25の軸方向幅はスラジ分離槽3の半円状側面5、6の内側間隔にほぼ等しく、スラジ分離槽3の弧状底面7側の端面が回転アーム24の回転に伴ってスラジ分離槽3の弧状底面7に沿って移動するように取り付けてある。
図8は、減速機付きモータ23に駆動されて回転アーム24が回転したときの図1のD−D断面の様子を表わしたものである。掻き板27は、スラジ分離槽3の弧状底面7に沿って移動し、スラジ分離槽3の底に沈殿しているスラジ13を回転方向に掻き寄せる。その掻き寄せ方向にあたるスラジ分離槽3の弧状底面7の側面とも呼ぶべき上部位置には、掻き寄せたスラジ13を排出するためのスラジ排出口30が設けてある。スラジ排出口30の下縁は油水分離槽2の油排出口15の下縁高さより高くしてあり、スラジ排出口30の下縁はスラジ分離槽3内の液面よりも上に位置する。
回転アーム24の回転速度は極めて低速にしてあり、回転アーム24の掻き板27が浮上油18の層を通過して液面上に出てからスラジ排出口30の位置に到達するまでに少しの時間がある。その間に掻き寄せたスラジ13に含まれていた切削液4は、掻き板27とスラジ分離槽3の弧状底面7との間の隙間を伝って液中に戻り、スラジ排出口30からは切削液成分の少ないスラジ13が排出される。浮上油18の液面への浮上はスラジ分離槽3内でも生ずる。本構成の場合は、図5、図7に示したようにスラジ分離槽3の液面と油水分離槽2の液面とは繋がっている。従って、スラジ分離槽3内で浮上した浮上油18は油水分離槽2に流れ戻って油排出口15から排出される。
このような構成と動作により本実施形態の切削液回収装置1では、使用済み切削液から浮上成分とスラジ成分とが分離除去されて切削液が回収される。本装置の第1の特徴は、スラジ分離槽3の底面7を下に凸の半円弧状にし、液面上方に回転軸25を取り付け、その回転軸25に回転アーム24を取り付け、その先端部に取り付けた掻き板27により沈殿しているスラジ13を掻き上げてスラジ排出口30から排出させることにある。この構成はコンベア機構を液中で回転させる従来方式に比べて部品点数が少なく、安価に製作できる利点がある。また、回転アーム24の回転軸25は液面より上に取り付けてあるため、軸受け機構を水密にする必要もない。従って、部品点数が少ないことと併せてメンテナンスが容易になる利点を有する。
第2の特徴は、油水分離槽2の底面を凹状にしてスラジ分離槽3側に向けて下り勾配にしてある点と、切削液排出口16がスラジ分離槽3の側面6に直交する側面におけるスラジ分離槽側面6から遠い位置に設けてある点である。油水分離槽2の底面が凹状にしてあるため油水分離槽2内で沈殿したスラジ13は、その凹状中央部に集まった後、下り勾配を滑ってスラジ分離槽3内に移動する。このため切削液排出口16の回りに設けた仕切り壁20の内部空間下方にスラジ13が堆積することがない。そのため堆積したスラジ13から分離した浮上油18が仕切り壁20内側に浮上して切削液排出口16から切削液4と共に排出されることがない利点を有する。
第3の特徴は、油水分離槽2とスラジ分離槽3の接合部には、油水分離槽2の底面を上側としスラジ分離槽3の底面を下側とした段差12が設けてある点である。底面の境に段差12を設けたことは、掻き板27でスラジ13を掻き寄せる際にスラジ13が油水分離槽2側へ逃げるのが防止される効果を奏する。
(変形実施形態1)
前述の切削液回収装置1における掻き板27は図8にも示したように、板側面が回転軸25を含む平面上に位置するように取り付けてあった。この掻き板27は図9に示すように、弧状底面7側が回転軸25を含む平面よりも回転方向反対側(後側)にしてその側面を少し傾けた姿勢で移動するように回転アーム24の先端部に取り付けるとよい。
前述の切削液回収装置1における掻き板27は図8にも示したように、板側面が回転軸25を含む平面上に位置するように取り付けてあった。この掻き板27は図9に示すように、弧状底面7側が回転軸25を含む平面よりも回転方向反対側(後側)にしてその側面を少し傾けた姿勢で移動するように回転アーム24の先端部に取り付けるとよい。
そのように傾けた姿勢で取り付けておけば、図9に示すように掻き板27がスラジ排出口30の下端位置に達したときの側面の傾きが大きくなり、掻き寄せたスラジ13がスラジ排出口30に落下し易くなる。図8に示したような掻き板27が回転軸25を含む平面上にある構成でこの傾きを大きくするには、回転軸25の取り付け位置を高くし、回転アーム24のアーム長を長くし、スラジ分離槽3の内半径を大きくしなければならないため装置が大型化する。本変形実施形態のように傾けて取り付ければその必要はなく、装置を小型化できる利点がある。
(変形実施形態2)
前述の切削液回収装置1及び変形実施形態1では、図8、図9に示すように掻き板27はスラジ分離槽3の弧状底面7側の端部を回転軸25に平行姿勢にして移動する。このように平行な姿勢にせずに回転軸25に対して少し傾けるとよい。傾きは油水分離槽2側の端部が回転軸25を含む平面よりも回転方向側(前側)に、油水分離槽2とは反対側の端部が回転軸25を含む平面よりも回転方向反対側(後側)になるように傾かせる。
前述の切削液回収装置1及び変形実施形態1では、図8、図9に示すように掻き板27はスラジ分離槽3の弧状底面7側の端部を回転軸25に平行姿勢にして移動する。このように平行な姿勢にせずに回転軸25に対して少し傾けるとよい。傾きは油水分離槽2側の端部が回転軸25を含む平面よりも回転方向側(前側)に、油水分離槽2とは反対側の端部が回転軸25を含む平面よりも回転方向反対側(後側)になるように傾かせる。
図10は図8の取り付け状態からそのように傾かせた状態を、図11は図9の取り付け状態からそのように傾かせた状態を示している。このように傾かせて取り付ける利点は、掻き板27に掻き寄せられたスラジ13が油水分離槽2に逃げるのを防止できる点にある。図3、図4、図8に示すように油水分離槽2の底面11とスラジ分離槽3の底面7との間に段差12を設けたのは掻き寄せの際にスラジ13が油水分離槽2に逃げるのを防止するためであった。本実施形態のように掻き板27を傾かせて取り付ければスラジ13の油水分離槽2への逃げを防止できるため段差12を設ける必要性は少なくなる。従って、図10、図11に示すように、油水分離槽2の底面11のスラジ分離槽3側端面形状をスラジ分離槽3の底面7の端面形状に等しくして段差を設けずに接合することができる。このように段差を設けずに接合すれば、図4、図7に示す油水分離槽2の底面11の下り勾配を大きくすることができ、底面11に堆積したスラジ13のスラジ分離槽3への移動を容易にさせることができる。
(変形実施形態3)
これまでに説明した実施形態では油水分離槽2の側面に油排出口15を設けたが、これを設けない構成にしてもよい。回転アーム24に取り付けた掻き板27は、図8にて分かるように掻き寄せたスラジ13と共に浮上油18の層を通過して液面上に出る。この浮上油18の層を通過する際にスラジ13に浮上油18が付着する。それにより浮上油18もスラジ13と一緒に前記スラジ排出口から排出される。浮上油18の発生量が少ない場合はこのような構成にしても切削液4を回収することができる。
これまでに説明した実施形態では油水分離槽2の側面に油排出口15を設けたが、これを設けない構成にしてもよい。回転アーム24に取り付けた掻き板27は、図8にて分かるように掻き寄せたスラジ13と共に浮上油18の層を通過して液面上に出る。この浮上油18の層を通過する際にスラジ13に浮上油18が付着する。それにより浮上油18もスラジ13と一緒に前記スラジ排出口から排出される。浮上油18の発生量が少ない場合はこのような構成にしても切削液4を回収することができる。
図面中、1は切削液回収装置、4は切削液、2は油水分離槽、3はスラジ分離槽、5,6はスラジ分離槽の側面、7はスラジ分離槽の底面、8,9,10は油水分離槽の側面、12は段差、13はスラジ、15は油排出口、16は切削液排出口、18は浮上油、20は仕切り壁、23は減速機付きモータ、24は回転アーム、25は中心軸(回転軸)、26はアーム、27は掻き板、30はスラジ排出口を示す。
Claims (5)
- 工作機械による切削加工に使用して回収された使用済み水溶性切削液から切削液を回収するための工作機械の切削液回収装置であって、
切削液から比重差を利用して浮上油を分離除去する油水分離槽と、沈殿したスラジを分離除去するスラジ分離槽とを備えて構成してあり、
前記スラジ分離槽は中空半円盤体を弧状側面を底面側にした形状に形成してあり、
前記油水分離槽は前記スラジ分離槽の半円状側面に境界壁を設けずに接合してあり、その底面は凹状にしてスラジ分離槽側に向けて下り勾配に形成してあり、その側面には浮上油を排出する油排出口と切削液を排出する切削液排出口とが切削液排出口の下縁高さを油排出口の下縁高さより僅かに低くして設けてあり、切削液排出口の周りには浮上油の流入を阻止する仕切り壁が側壁に支持させて垂設してあり、
前記スラジ分離槽には中空半円盤体の円盤体中心軸回りに回転する回転アームが取り付けてあり、該回転アームの先端部には側面を回転方向側に向けその一外周端面が回転アームの回転に伴ってスラジ分離槽の弧状底面に沿って移動してスラジ分離槽底部に沈殿しているスラジを掻き上げる掻き板が取り付けてあり、該掻き板による掻き上げ方向にあたる前記弧状底面にはその下縁高さを前記油排出口の下縁高さより高くしたスラジ排出口が設けてあることを特徴とする工作機械の切削液回収装置。 - 請求項1に記載の工作機械の切削液回収装置において、前記油水分離槽とスラジ分離槽の接合部には、油水分離槽の底面を上側としスラジ分離槽の底面を下側とした段差が設けてあり、前記掻き板は前記中心軸方向の幅が前記中空半円盤体の軸方向槽内側幅に略等しく、前記回転方向側に向けた側面が前記中心軸を含む平面上に位置するように前記回転アームの先端部に取り付けてあることを特徴とする工作機械の切削液回収装置。
- 請求項2に記載の工作機械の切削液回収装置において、前記掻き板は前記弧状底面側の端部が前記中心軸を含む平面よりも回転方向反対側に位置するように前記側面を傾けた姿勢で前記回転アームの先端部に取り付けてあることを特徴とする工作機械の切削液回収装置。
- 請求項2又は3に記載の工作機械の切削液回収装置において、前記掻き板は前記油水分離槽側の端部が前記中心軸を含む平面よりも回転方向側に、前記油水分離槽とは反対側の端部が前記中心軸を含む平面よりも回転方向反対側になるように前記側面を傾けた姿勢で前記回転アームの先端部に取り付けてあることを特徴とする工作機械の切削液回収装置。
- 請求項1乃至4の何れかに記載の工作機械の切削液回収装置において、前記油排出口をなくし、前記掻き板により掻き上げるスラジが前記スラジ分離槽内の切削液表層部を通過する際に該スラジに浮上油が付着することにより、浮上油もスラジと一緒に前記スラジ排出口から排出されるように構成してあることを特徴とする工作機械の切削液回収装置。
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CN114534367A (zh) * | 2022-02-18 | 2022-05-27 | 江苏德瑞加数控机床有限公司 | 一种电火花线切割加工方法及机床 |
CN116444120A (zh) * | 2023-04-23 | 2023-07-18 | 贵州荣源环保科技有限公司 | 一种用于河道环境治理的污泥处理方法 |
CN116924512A (zh) * | 2023-07-25 | 2023-10-24 | 广州洁能建筑设备有限公司 | 智能家用油水分离过滤器及分离处理方法 |
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2011
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