JP3174670B2 - 3次元流動解析結果表示方法及び装置 - Google Patents

3次元流動解析結果表示方法及び装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、流れの場の可視化に適
用される3次元流動解析結果表示方法及び装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】流体解析では、対象領域を幾つかのサブ
領域に分割し、その領域毎に速度や温度などの物理量を
求めている。しかし、この物理量だけでは、流れの状態
を判断することが難しく、一般には計測と同じ原理によ
り可視化が行なわれる。即ち、流れの場に粒子を投入
し、Δt時間毎の粒子位置を計算し、流れを粒子の動き
に置き換えるという前処理が行なわれる。これを可視化
する手段として、パーティクル表示と流跡線表示があ
る。
【0003】パーティクル表示は、図7に示すようにΔ
t時間毎の粒子位置を点または球により表示する方法
で、粒子の時々刻々変化する様子をアニメーション的に
表示でき、粒子の存在場所での流速・方向の評価に適し
ている。また、計測結果との比較を容易に行なうことが
できる。
【0004】また、流跡線表示は、図8に示すように時
間と共に移動する粒子位置を線分で結び投入された粒子
の動きを表示する方法で、投入された粒子がどのように
流されるか、全体の動きが一目で分かる。ただし、これ
は静的な軌跡図であり、局所的な流速などをアニメーシ
ョン的に表示することはできない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記パーティ
クル表示は、流れ場の中に粒子を置いた時の位置変化に
より、各位置・時刻における流れの方向と速さが評価で
きるが、全体の流れを把握し難い。一方、流跡線表示
は、全体の流れは容易に理解できるが、各位置の流れの
方向と速さが捉えられないという問題がある。
【0006】本発明は上記実情に鑑みてなされたもの
で、流れ場の各位置・時刻における流れの方向と速さを
捉えることができ、かつ、全体の流れ状況も容易に把握
できる3次元流動解析結果表示方法及び装置を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、3次元流動解
析結果表示方法において、表示用パラメータである粒子
数と表示開始時間と表示時間間隔と表示する粒子軌跡の
過去ステップ数の指定及び流動解析の結果である粒子の
軌跡データと流れ場の状態を表示するスカラーデータと
から、流れ場の状態と時系列変化を算出し、ある時刻に
おける各粒子の位置と前記指定したステップ数過去から
の全粒子軌跡をそれぞれ印と線で表示し、かつ、前記印
と線は前記流れ場の違いによって色分け表示し、以上の
表示を前記指定した表示時間間隔毎に繰り返すことを特
徴とする。
【0008】また、本発明は、3次元流動解析結果表示
装置において、流れ場の状態を表すスカラーデータを格
納する第1の記憶装置と、粒子の軌跡データを格納する
第2の記憶装置と、表示用パラメータである粒子数と表
示開始時間と表示時間間隔と表示する粒子軌跡の過去ス
テップ数とを入力する入力装置と、解析結果を表示する
表示装置と、前記流れ場の状態を表すスカラーデータと
粒子軌跡データと表示用パラメータから流れ場の状態と
時系列変化を算出する中央処理装置とを具備し、ある時
刻における各粒子の位置と前記指定したステップ数過去
からの全粒子軌跡とをそれぞれ印と線とで表示し、か
つ、前記印と線は前記流れ場の違いによって色分け表示
し、以上の表示を前記指定した表示時間間隔毎に繰り返
すことを特徴とする。
【0009】
【作用】入力装置は、表示用パラメータである粒子数と
表示開始時間と表示時間間隔と表示する粒子軌跡の過去
ステップ数とを中央処理装置に入力する。この中央処理
装置は、第1の記憶装置に格納された流れ場の状態を表
すスカラーデータと第2の記憶装置に格納された粒子軌
跡データと入力された表示用パラメータから流れ場の状
態と時系列変化を算出する。更に、中央処理装置は、あ
る時刻における各粒子の位置と前記指定されたステップ
数過去からの全粒子軌跡とをそれぞれ印と線とで表示装
置に表示し、かつ、前記印と線は前記流れ場の違いによ
って色分け表示する。以上の表示を指定された表示時間
間隔毎に繰り返すことにより、流れ場全体の様子を表示
する。従って、流れの軌跡を総合的に捉えて、実際の3
次元空間全体の流れ場の様子を視覚的に把握でき、解析
結果の評価を効率的に行なうことができる。
【0010】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の一実施例を説
明する。図1は、本発明の一実施例に係る3次元流動解
析結果表示装置の構成を示すブロック図である。同図に
おいて、1はCPU(中央処理装置)で、プログラム格
納用ROM2、粒子追跡時間Δt毎の粒子の位置である
軌跡データを格納するRAM3、流れ場の状態を表すス
カラーデータを格納する外部記憶装置4、データを入力
するための入力装置5、解析結果を表示する表示装置6
が接続される。3次元の流動解析、実験結果等からサブ
領域毎に流れ場の粒子速度、温度・圧力などのスカラー
データが求められ、粒子追跡時間Δt毎の粒子の位置で
ある軌跡データがRAM3に格納され、スカラーデータ
が外部記憶装置4に格納される。また、入力装置5から
は、表示用パラメータである粒子数、表示開始時間、表
示時間間隔、表示する粒子軌跡の過去ステップ数、等の
データが入力される。
【0011】上記CPU1は、図2に詳細を示すように
表示時間の軌跡保管手段11、表示時間のスカラーデー
タ対応の色保管手段12、短線折れ線表示作成手段1
3、短線マーカー表示作成手段14等を備えている。
【0012】上記表示時間の軌跡保管手段11は、RA
M3に格納されている粒子の軌跡データから表示時間の
軌跡を求めてセットし、表示時間のスカラーデータ対応
の色保管手段12に出力する。この色保管手段12は、
RAM3に格納されている粒子の軌跡データと、外部記
憶装置4に格納されているスカラーデータから表示時間
のスカラーデータ対応の色を求めてセットし、短線折れ
線表示作成手段13に出力する。短線折れ線表示作成手
段13は、入力装置5から与えられる短線表示決定デー
タの線幅と表示ステップ長さにより短線折れ線表示デー
タを作成し、短線マーカー表示作成手段14に出力す
る。短線マーカー表示作成手段14は、短線折れ線表示
作成手段13で作成された折れ線の先端にマーカー
(印)を作成し、表示装置6に出力する。
【0013】次に上記実施例の動作を説明する。まず、
図3に示す短線モデル図を用いて原理的な動作について
説明する。この短線モデル図において、表示ステップ長
さL(この例では4)、現在表示ステップ数Mとする
と、CPU1は短線折れ線表示作成手段13により、図
3(a)に示すように第M番目のステップ位置から第
(M−(L−1))番目ステップ位置を結んでいく。但
し、末端となるa線は細くし、b,c線は入力装置5か
ら入力された線幅とする。そして、短線マーカー表示作
成手段14は、現在位置である第M番目ステップ位置に
マーカー(印)21を作成する。a〜c線とマーカー2
1の色は、表示時間のスカラーデータ対応の色保管手段
12でセットした色で表示する。
【0014】この状態で短線が1ステップ進むと、図3
(b)に示すように変化する。即ち、最初のa線が消
え、新しいd線を加えたb,c,dの線が表示され、d
線の先端にマーカー21が表示される。そして、以上の
処理を指定された表示時間間隔毎に繰返していくことに
より、流れ場全体の様子を表示することができる。
【0015】次に図4に示すフローチャートに従ってC
PU1の処理動作について説明する。まず、外部記憶装
置4に格納されている流れ場のスカラーデータがCPU
1に読出される(ステップA1 )。また、入力装置5か
ら表示用パラメータである粒子数、表示開始時間、表示
時間間隔がCPU1に入力される(ステップA2 )と共
に、短線の幅、表示する粒子軌跡の過去ステップ数(表
示ステップ長さ)がCPU1に入力される(ステップA
3 )。更に、RAM3に格納されている流動解析の結果
である粒子の軌跡データがCPU1に読出される(ステ
ップA4 )。
【0016】CPU1は、上記のデータ入力が行なわれ
ると、表示時間のカウントを開始する(ステップA5
)。そして、表示時間の軌跡保管手段11により、R
AM3かに入力された粒子の軌跡データから表示時間の
軌跡を求めて保管すると共に、表示時間のスカラーデー
タ対応の色保管手段12により、上記粒子の軌跡データ
と外部記憶装置4から入力されたスカラーデータから表
示時間のスカラーデータ対応の色を求めて保管する(ス
テップA6 ,A7 )。次いで、短線折れ線表示作成手段
13により、入力装置5から与えられる短線の幅と表示
ステップ長さに基づいて短線折れ線表示データを作成し
(ステップA8 )、更に、短線マーカー表示作成手段1
4によりマーカーを作成して上記折れ線の先端に付加す
る(ステップA9 )。上記のようにして作成した短線折
れ線表示データを表示装置6に出力して表示する(ステ
ップA10)。
【0017】そして、以上の処理を全粒子数について終
了したか否かを判断し(ステップA11)、終了していな
ければ、ステップA6 に戻って同様の処理を繰返して行
なう。以上の処理により、図5に示すようにΔt時間毎
に変化する粒子位置がアニメーション的に表示されると
共に、粒子の軌跡が同時に表示される。これにより、流
速と流れの局所的変化を視覚的に可視化することができ
る。そして、最終的には、流れ場全体の様子が例えば図
6に示すように表示される。この図6は、所定のテスト
領域22内において、原子炉23により加熱された流体
の状態を示したものである。
【0018】上記全粒子数についての処理を終了する
と、所定の時間ループを終了したか否かを判断し(ステ
ップA12)、終了していなければステップA5 に戻って
同様の処理を繰返して実行する。そして、ステップA12
において、時間ループを終了したと判断することによ
り、処理を終了する。
【0019】
【発明の効果】以上詳記したように本発明によれば、時
々刻々変化する流速をアニメーション的に表示すると共
に、粒子の軌跡を同時に表示させることにより、流れ場
の各位置・時刻における流れの方向と速さを捉えること
ができると共に、全体の流れ状況も容易に把握でき、流
動解析結果の評価を効率的に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る3次元流動解析結果表
示装置の構成を示すブロック図。
【図2】同実施例におけるCPUの詳細を示すブロック
図。
【図3】同実施例の動作を説明するための短線モデル
図。
【図4】同実施例における処理動作を示すフローチャー
ト。
【図5】同実施例における基本的な表示例を示す図。
【図6】同実施例における流れ場全体の表示例を示す
図。
【図7】従来のパーティクル表示法による表示例を示す
図。
【図8】従来の流跡線表示法による表示例を示す図。
【符号の説明】
1 CPU 2 ROM 3 RAM 4 外部記憶装置 5 入力装置 6 表示装置 11 表示時間の軌跡保管手段 12 表示時間のスカラーデータ対応の色保管手段 13 短線折れ線表示作成手段 14 短線マーカー表示作成手段 21 マーカー

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3次元流動解析結果表示方法において、
    表示用パラメータである粒子数と表示開始時間と表示時
    間間隔と表示する粒子軌跡の過去ステップ数の指定及び
    流動解析の結果である粒子の軌跡データと流れ場の状態
    を表示するスカラーデータとから、流れ場の状態と時系
    列変化を算出し、ある時刻における各粒子の位置と前記
    指定したステップ数過去からの全粒子軌跡をそれぞれ印
    と線で表示し、かつ、前記印と線は前記流れ場の違いに
    よって色分け表示し、以上の表示を前記指定した表示時
    間間隔毎に繰り返すことを特徴とする3次元流動解析結
    果表示方法。
  2. 【請求項2】 3次元流動解析結果表示装置において、
    流れ場の状態を表すスカラーデータを格納する第1の記
    憶装置と、粒子の軌跡データを格納する第2の記憶装置
    と、表示用パラメータである粒子数と表示開始時間と表
    示時間間隔と表示する粒子軌跡の過去ステップ数とを入
    力する入力装置と、解析結果を表示する表示装置と、前
    記流れ場の状態を表すスカラーデータと粒子軌跡データ
    と表示用パラメータから流れ場の状態と時系列変化を算
    出する中央処理装置とを具備し、ある時刻における各粒
    子の位置と前記指定したステップ数過去からの全粒子軌
    跡とをそれぞれ印と線とで表示し、かつ、前記印と線は
    前記流れ場の違いによって色分け表示し、以上の表示を
    前記指定した表示時間間隔毎に繰り返すことを特徴とす
    る3次元流動解析結果表示装置。
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