JP3172681B2 - 薄板収納容器 - Google Patents

薄板収納容器

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JP3172681B2
JP3172681B2 JP25453796A JP25453796A JP3172681B2 JP 3172681 B2 JP3172681 B2 JP 3172681B2 JP 25453796 A JP25453796 A JP 25453796A JP 25453796 A JP25453796 A JP 25453796A JP 3172681 B2 JP3172681 B2 JP 3172681B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウエハ等の
薄板を多数枚内部に収納支持して保管、運搬等を行う際
に、周囲の気圧変化や温度変化に応じて内圧を調整する
薄板収納容器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、周囲の気圧や温度が変化する
状態で薄板収納容器を輸送する場合に生じる問題を克服
するための各種の対策が講じられてきた。例えば、飛行
機による輸送の場合、貨物室内では、高空を飛行中は内
部の気圧が大幅に低下してしまう。このため、薄板収納
容器を気密にしておくと、外気圧よりも内気圧が著しく
高くなって、容器が膨張してしまったり、容器内の空気
が流出して地上に降りたときに蓋を開けることができな
くなることがあった。また、輸送中に周囲が高温になる
場合も同様の問題があった。
【0003】このような問題を克服する対策の一つとし
て、実公平2−49721号公報記載の半導体ウエハ収
納容器が提案されている。
【0004】この半導体ウエハ収納容器1は、図3及び
図4に示すように、多数の半導体ウエハ2を収納支持す
る容器本体3と、この容器本体3の上側を施蓋して内部
を気密にする蓋体4と、容器本体3の側壁3Aに一体的
に設けられて容器本体3の内外側で空気の出入りを許容
する分子濾過フィルタ5とから概略構成されている。
【0005】この分子濾過フィルタ5を設けることで、
半導体ウエハ収納容器1の内側と外側との間でこのフィ
ルタ5を介して空気が出入りすることができるようにな
る。この結果、外気圧等の変化により収納容器1の内外
側で気圧の変化が生じた場合でも、収納容器1の内圧を
外気圧と同じ値に保つことができ、半導体ウエハ収納容
器1が膨張する等の問題を防止することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記分子濾
過フィルタ5の場合は、空気の通過速度が極めて遅いた
め、飛行機の貨物室等で生じる気圧の変化の速度に追従
させることができない。迅速な追従を可能にするには、
分子濾過フィルタ5の面積を広くしなければならない。
しかし、容器本体3に装着する場合には自ずから限界が
あるため、結果的に分子濾過フィルタ5を装着した半導
体ウエハ収納容器1は、実用化に至っていない。
【0007】さらに、半導体ウエハ収納容器1は、その
内部に半導体ウエハ2を収納する前に、全体を洗浄しな
ければならない。この場合、分子濾過フィルタ5を半導
体ウエハ収納容器1に装着したままでこの収納容器1を
洗浄すると、この分子濾過フィルタ5に塵埃等の異物が
付着してしまう。この分子濾過フィルタ5に塵埃等が付
着したままで半導体ウエハ収納容器1を使用すると、分
子濾過フィルタ5に付着した不純物が収納容器1内に散
乱してしまうので、この状態では使用することができな
い。このため、予め半導体ウエハ収納容器1を洗浄して
おき、その後に分子濾過フィルタ5を取り付けて運搬の
用に供しなければならない。
【0008】また、一度半導体ウエハ2の運搬に使用し
た半導体ウエハ収納容器1には塵埃等が多量に付着する
ため、再使用する場合は洗浄しなければならない。しか
し、洗浄すれば、前述のように分子濾過フィルタ5が使
用できなくなる。その一方で、分子濾過フィルタ5は容
器本体3に一体的に設けられているため、取り外すこと
ができない。このため、結果的に、半導体ウエハ収納容
器1を再使用することができなかった。
【0009】また、使用済みの半導体ウエハ収納容器1
を廃棄やリサイクルする場合においては、材料の異なる
部材を分離する必要がある。このとき、容器本体3と蓋
体4とは、異なる材料で成形されていても、容易に分離
することができ、その後の処理を行うことができる。し
かし、分子濾過フィルタ5は容器本体3に一体的に取り
付けられているため、これらを分離するのは容易ではな
い。このため、その後の廃棄やリサイクル処理が難しい
という問題点がある。
【0010】本発明は以上の問題点に鑑みなされたもの
で、外気圧の変化速度に迅速に追従して最適な内圧調整
ができると共に、再使用及びリサイクル処理等が容易な
薄板収納容器を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明は、多数の薄板を内部に収納支持する容器本体
と、この容器本体内に薄板を収納した状態で施蓋して内
部を清浄な状態に保つ蓋体と、前記容器本体と蓋体との
に取り付けられるガスケット状フィルタとを備えた薄
板収納容器において、前記ガスケット状フィルタが、内
外側間で気体の通過を許容して内部気圧を外部気圧と一
致させると共に塵埃等の通過を制限する機能を備えたこ
とを特徴とする。
【0012】前記構成により、前記ガスケット状フィル
が気体の通過を許容するため、容器本体に蓋体が取り
付けられた状態で、ガスケット状フィルタを介して容器
の内外で気体が出入りする。この気体の出入りは容器の
外周を一回りする全周で行われれる。気体が出入りする
面積はガスケット状フィルタ全体であり、容器の外周を
一回りする長さなので、結果的に広い面積で気体が出入
りすることになる。これにより、容器周囲の気圧の変化
に迅速に追従して、容器の内外で気圧が同じになるよう
に調整される。このとき、ガスケット状フィルタは塵埃
等の通過を制限するため、容器内に塵埃等が侵入するこ
とはない。
【0013】これにより、容器内への塵埃等の浸入を防
止して清浄状態を保ったまま、容器内圧を最適状態に調
整する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図
面に基づいて説明する。本発明の薄板収納容器は、薄板
を複数枚並列に収納支持する容器である。この薄板は、
半導体ウエハ、記憶ディスク、液晶板等であって、塵埃
等がその表面に付着するのを防止する必要のある薄板で
ある。本願の薄板収納容器は、前述のような薄板を収納
する容器であるため、内部が密封構造になっている。こ
こでは、薄板として半導体ウエハを、薄板収納容器とし
て多数の半導体ウエハを支持したウエハキャリアを内部
に収容する半導体ウエハ用のキャリアボックスを用いた
場合を例に説明する。
【0015】本実施形態のキャリアボックス11は、図
1に示すように主に、内部に半導体ウエハ12が支持さ
れた後述のウエハキャリア21を収納する容器本体13
と、この容器本体13内に前記ウエハキャリア21が収
納された状態で容器本体13の上側を塞ぐ蓋体14と、
容器本体13と蓋体14との間に取り付けられて内部を
清浄な状態に保つガスケット状フィルタ15とを備えて
構成されている。
【0016】容器本体13は、全体をほぼ四角形状に形
成されている。容器本体13の周縁上側端には、ガスケ
ット状フィルタ15が嵌合してキャリアボックス11内
清浄に保つための環状溝13Aが形成されている。容
器本体13の上側のうち、対向する2つの側面には係止
爪16が設けられている。この係止爪16は、後述する
蓋体14の係止片18と相俟って蓋体14を容器本体1
3に固定する固定手段19を構成する。
【0017】蓋体14は、浅い皿状に形成され、その周
縁下端部にガスケット状フィルタ15が嵌合する環状溝
14Aが形成されている。蓋体14のうち容器本体13
の各係止爪16に対向する位置には、係止爪16と共に
固定手段19を構成する係止片18がそれぞれ設けられ
ている。
【0018】なお、前記各環状溝13A,14Aは浅く
形成され、これらに嵌合したガスケット状フィルタ15
が、各環状溝13A,14Aの間で広い面積に亘って外
気と接するようになっている。
【0019】半導体ウエハ12はウエハキャリア21に
支持される。このウエハキャリア21は、その支持用リ
ブ21Aによって、多数の半導体ウエハ12を等間隔に
支持する。このウエハキャリア21が多数の半導体ウエ
ハ12を支持した状態で容器本体13内に収納され、そ
の上側から薄板押え部材22が装着されて、蓋体14で
施蓋される。そして、蓋体14の係止片18が容器本体
13の係止爪16に係止されることで、蓋体14が容器
本体13に固定される。これにより、容器本体13と蓋
体14とでウエハキャリア21と薄板押え部材22とが
支持され、このウエハキャリア21と薄板押え部材22
とで各半導体ウエハ12が支持される。この結果、各半
導体ウエハ12は、キャリアボックス11に外部から衝
撃が加わっても振動することがなく、安定して搬送され
る。
【0020】ガスケット状フィルタ15は、蓋体14で
塞がれた容器本体13の内外側間で気体の通過を許容し
て内部気圧を外部気圧と一致させると共に塵埃等の通過
を制限する機能を備えている。即ち、ガスケット状フィ
ルタ15は、容器本体13の内外側間を気密にシールす
るのではなく、空気等の気体を通過させて、内部気圧を
外部気圧と一致させる機能を備えている。さらに、ガス
ケット状フィルタ15は、塵埃等の通過を制限して、容
器本体13内に収納した半導体ウエハ12の表面に不純
物が付着するのを防止している。
【0021】このガスケット状フィルタ15は多孔質材
で成形されている。即ち、ガスケット状フィルタ15
内側面と外側面とを連通する、連続的な多数の微細な孔
を有する材料で成形されている。この微細な孔として
は、望ましくは0.5〜1.0μm適度に設定する。これは、
除去する塵埃等よりも小さい値としての一例であり、0.
5μmよりも小さい塵埃等がキャリアボックス11の周
囲に浮遊する場合には、孔の大きさをさらに小さく成形
する。
【0022】ガスケット状フィルタ15の材料として
は、フッ素系樹脂やオレフィン系樹脂等が用いられる。
これらの樹脂を材料として多孔質のガスケット状フィル
タ15が発砲成形される。また、極細繊維を用いた織布
又は不織布によってガスケット状フィルタ15を成形し
てもよい。
【0023】[作用] 以上のように構成されたキャリアボックス11は、次の
ようにして半導体ウエハ12の搬送の用に供される。
【0024】まず、容器本体13及び蓋体14が、成形
された後、表面に付着した異物等を除去するために洗浄
される。ガスケット状フィルタ15は、容器本体13等
が洗浄された後に取り付ける。
【0025】次いで、ウエハキャリア21に多数の半導
体ウエハ12を挿入し、このウエハキャリア21をキャ
リアボックス11の容器本体13内に挿入する。さら
に、各半導体ウエハ12の上側に、これらを上側から押
えて支持する薄板押え部材22を載置し、その上から蓋
体14を被せる。このとき、ガスケット状フィルタ15
は、容器本体13と蓋体14との間で十分な面積を外気
に晒した状態で、各環状溝13A,14Aに嵌合する。
【0026】次いで、この蓋体14を上側から押え、蓋
体14の係止片18を容器本体13の係止爪16に係止
させる。これにより、容器本体13と蓋体14とが、内
部の半導体ウエハ12を支持した状態で、互いに固定さ
れる。
【0027】この状態で、キャリアボックス11を飛行
機等で輸送する。このとき、キャリアボックス11の周
囲の気圧が低下すると、相対的にキャリアボックス11
の内圧が高くなっていく。これに伴って、ガスケット状
フィルタ15の全周からキャリアボックス11内の気体
が流出し、キャリアボックス11の内圧と外気圧とがほ
ぼ同じ値に維持される。
【0028】次いで、飛行機が地上に降りることで、相
対的にキャリアボックス11の内圧が低くなるが、この
場合は、ガスケット状フィルタ15を介して外部の気体
がキャリアボックス11内に流入する。このとき、気体
中の塵埃等はガスケット状フィルタ15で除去される。
これにより、キャリアボックス11は、その内部の清浄
状態を保ったまま、内圧と外気圧とがほぼ同じ値に維持
される。
【0029】なお、輸送中に、キャリアボックス11の
周囲の温度が大きく変化しても、内圧と外圧の差が大き
くなるが、この場合も前記飛行機による輸送の場合と同
様である。
【0030】次いで、この半導体ウエハ12の搬送に供
されたキャリアボックス11は、再使用に際して洗浄さ
れる。この場合はガスケット状フィルタ15を取り外
す。取り外したガスケット状フィルタ15は、再使用が
可能なものは、塵埃等のないところに保管する。塵埃等
の付着が激しい場合は、新しいのガスケット状フィルタ
15を用いる。容器本体13、蓋体14等は洗浄する。
洗浄が終わったら、ガスケット状フィルタ15を取り付
けて、再び半導体ウエハ12の搬送の用に供させる。
【0031】また、使用済みになったキャリアボックス
11は、リサイクルしたり、廃棄したりする。その際、
個々の部品はそれぞれ材質の違いに応じて分ける。
【0032】特にリサイクルするときには、厳密に分類
しなければならないが、容器本体13と材質の異なる
スケット状フィルタ15は、もともと別部材であり、容
器本体13から容易に取り外すことができる。そして、
材質の違いに応じて分別してその後の処理を行う。
【0033】 [効果] 以上のように、ガスケット状フィルタ15を多孔質材料
で成形して、その全体で、キャリアボックス11の内外
側間での気体の通過のみを許容して、内部気圧を外部気
圧と一致させるようにしたので、キャリアボックス11
の周囲の気圧が急激に変化しても迅速に対応できるよう
になる。この結果、キャリアボックス11の内圧が外気
圧の変化に迅速に追従して、内部の清浄状態を保ったま
ま、最適な内圧調整ができるようになる。
【0034】ガスケット状フィルタ15は容器本体13
とは別の部材であり、容器本体13から容易に取り外す
ことができるので、再使用やリサイクル等の処理が容易
になる。
【0035】[変形例] 前記実施形態では、容器本体13が上方に開口したキャ
リアボックス11を例に説明したが、図2に示すよう
に、キャリアボックス25を前方に開口した構成として
もよい。この場合は、容器本体26は前方に開口してお
り、蓋体27は容器本体26の開口の側部に回動可能に
取り付けられる。そして、容器本体26の開口周辺に
スケット状フィルタ28が取り付けられる。これによ
り、前記同様の作用、効果を奏することができる。
【0036】また、前記実施形態では、容器本体13に
ウエハキャリア21を別部材として装着したが、容器本
体に支持用リブを直接設けて、ウエハキャリアと容器本
体を一体にした構成でもでもよい。この場合も、前記同
様の作用、効果を奏することができる。
【0037】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の薄板収納
容器によれば、ガスケット状フィルタが、内外側間で気
体の通過を許容して内部気圧を外部気圧と一致させると
共に塵埃等の通過を制限する機能を備えたので、薄板収
納容器の周囲の気圧が急激に変化しても迅速に対応でき
るようになる。この結果、薄板収納容器の内圧が外気圧
の変化に迅速に追従して、内部の清浄状態を保ったま
ま、最適な内圧調整ができるようになる。
【0038】また、ガスケット状フィルタは容器本体及
び蓋体とは別の部材であり、容器本体等から容易に取り
外すことができるので、再使用やリサイクル等の処理が
容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るキャリアボックスの全体構成を示
す分解斜視図である。
【図2】本発明に係るキャリアボックスの変形例を示す
分解斜視図である。
【図3】従来のキャリアボックスを示す斜視図である。
【図4】図3のキャリアボックスの正面断面図である。
【符号の説明】
11:キャリアボックス、12:半導体ウエハ、13:
容器本体、14:蓋体、15:ガスケット状フィルタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−275709(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/68 B65D 85/86

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の薄板を内部に収納支持する容器本
    体と、この容器本体内に薄板を収納した状態で施蓋して
    内部を清浄な状態に保つ蓋体と、前記容器本体と蓋体と
    の間に取り付けられるガスケット状フィルタとを備えた
    薄板収納容器において、 前記ガスケット状フィルタが、内外側間で気体の通過を
    許容して内部気圧を外部気圧と一致させると共に塵埃等
    の通過を制限する機能を備えたことを特徴とする薄板収
    納容器。
JP25453796A 1995-11-16 1996-09-26 薄板収納容器 Expired - Lifetime JP3172681B2 (ja)

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