JP3172598B2 - 末端にチオール基を有するポリアルケニルエーテル - Google Patents

末端にチオール基を有するポリアルケニルエーテル

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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F16/00Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by an alcohol, ether, aldehydo, ketonic, acetal or ketal radical
    • C08F16/12Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by an alcohol, ether, aldehydo, ketonic, acetal or ketal radical by an ether radical
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐アルカリ性の良好な
ポリマーを一成分とするブロックコポリマー等の合成原
料に好適なポリマーに関する。
【0002】
【従来の技術】結晶性のポリビニルアルコールを一成分
とするブロックコポリマー等の合成原料に好適な末端に
チオール基を有するポリビニルアルコールの合成法とし
ては、チオール酢酸を連鎖移動剤に用いて酢酸ビニルを
重合した後、アルカリ触媒により加溶媒分解する方法が
知られている(特開昭58−61746号、特開昭58
−62071号)。
【0003】しかしながら、上記の方法では、代表的な
非晶性の高分子であるポリアクリル酸エステルもしくは
ポリメタクリル酸エステルの末端にチオール基を導入す
る事ができなかった。この原因は、これらのポリマーは
耐アルカリ性が悪いために、末端に導入されたアセチル
チオ基をアルカリ触媒を用いて加溶媒分解する際に、側
鎖のエステル基も同時に分解されてしまうからである。
【0004】その他の非晶性でかつ耐アルカリ性の良好
なポリアルケニルエーテルについては、近年、いわゆる
リビング重合法(特開昭60−228509号、特開昭
61−103654号、特開昭62−257910号、
特開平1−108202号及び特開平1−108203
号)が見い出されこの方法を用いて、カルボキシル基、
アミノ基または水酸基を末端に有するポリアルケニルエ
ーテルが報告されている(M. Sawamoto et al, Mak
romol. Chem., Macromol. Symp. 13/14,513 (198
8))。しかしながら、これらの末端基を有するポリアル
ケニルエーテルは、ラジカル重合における連鎖移動剤と
しては満足できるものではなく、ラジカル重合によるブ
ロックコポリマーの合成原料には適するものではなかっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主たる目的
は、耐アルカリ性の良好なポリマーを一成分とするブロ
ックコポリマーの合成原料に好適な片末端もしくは両末
端にラジカル反応性に優れたチオール基を有するポリマ
ーを提供する事にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に鋭意検討した結果、下記化1で表されるアルケニルエ
ーテル単位からなり、片末端にチオール基を有するポリ
アルケニルエーテル及び下記化1で表されるアルケニル
エーテル単位からなり、両末端にチオール基を有するポ
リアルケニルエーテルを見いだし、本発明を完成させる
に至った。
【0007】
【化1】 (式中、R 1 は水素原子あるいはメチル基を示し、R 2
一価の有機基を示す。)
【0008】化1におけるR 2 は一価の有機基を示し、
例えばアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケ
ニル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキ
ル基等が挙げられる。それらはヘテロ基で置換されてい
てもよい。
【0009】本発明におけるアルケニルエーテル単位と
しては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテ
ル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエ
ーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビ
ニルエーテル、n−ヘキサデシルビニルエーテル、2−
クロロエチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテ
ル、ベンジルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエ
ーテル、エトキシエチルビニルエーテル、2−エトキシ
エトキシエチルビニルエーテル、2−エトキシ−2−エ
トキシエトキシエチルビニルエーテル、フェノキシエチ
ルビニルエーテル、p−クロルフェノキシエチルビニル
エーテル、p−メトキシフェノキシエチルビニルエーテ
ル、2−ビニロキシエチルアセテート、2−ビニロキシ
エチルベンゾエート、2−ビニロキシエチル−p−メト
キシベンゾエート、2−ビニロキシエチル−p−クロロ
ベンゾエート、ジエチルビニロキシエチルマロネート、
ジフェニルビニロキシエチルマロネート、2−ビニロキ
シエチルフタルイミド、メチルプロペニルエーテル、エ
チルプロペニルエーテル、イソプロピルプロペニルエー
テル、n−ブチルプロペニルエーテル、イソブチルプロ
ペニルエーテル、シクロヘキシルプロペニルエーテル、
n−ヘキサデシルプロペニルエーテル、2−クロロエチ
ルプロペニルエーテル、ベンジルプロペニルエーテル、
メトキシエチルプロペニルエーテル、エトキシエチルプ
ロペニルエーテル、2−エトキシエトキシエチルプロペ
ニルエーテル、2−エトキシ−2−エトキシエトキシエ
チルプロペニルエーテル、フェノキシエチルプロペニル
エーテル、2−プロペニロキシエチルアセテート、2−
プロペニロキシエチルベンゾエート、2−プロペニロキ
シエチル−p−メトキシベンゾエート、2−プロペニロ
キシエチル−p−クロロベンゾエート、ジエチルプロペ
ニロキシエチルマロネート、ジフェニルプロペニロキシ
エチルマロネート、2−プロペニロキシエチルフタルイ
ミド等からなる単位が挙げられる。
【0010】上記のアルケニルエーテル単位は、1種で
も良いが、2種以上を共存させてもよい。また、1種ま
たは2種以上のアルケニルエーテルを重合させた後、別
のアルケニルエーテルを添加してさらに重合させたブロ
ック共重合体でもよい。
【0011】上記のアルケニルエーテル単位の含有量は
特に制限はないが、50モル%以上が好ましく、70モ
ル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ま
しい。
【0012】本発明のポリアルケニルエーテルの数平均
分子量については特に制限はないが、500〜5000
00が好ましく、1000〜100000がより好まし
い。本発明のポリアルケニルエーテルの分子量はサイズ
排除クロマトグラフィーにより測定し、標準ポリスチレ
ン換算により求められる。
【0013】本発明の片末端または両末端にチオール基
を有するポリアルケニルエーテルは、以下の方法により
得ることができる。下記の化2等で表される側鎖にチオ
カルボニルエステル結合を有するアルケニルエーテル
と、下記の化3で表されるプロトン供給化合物との付加
化合物を重合開始末端として重合する。
【0014】
【化2】 (式中、 3 は水素原子あるいはメチル基を示し、 4
メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル基等のア
ルキル基またはアリール基を示し、nは1〜5の数を示
す。)
【0015】
【化3】 (式中、Xは陰イオン生成基を示す。)
【0016】化3の化合物の具体例としては、例えば犠
酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ピバリン酸、フルオロ
酢酸、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、ジフルオロ酢酸、ジク
ロロ酢酸、ジブロモ酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロ
ロ酢酸、トリブロモ酢酸、塩化水素、臭化水素、よう化
水素、燐酸ジアルキルエステル、燐酸モノアルキルエス
テル、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン
酸、p−トルエンスルホン酸、フェノール等が挙げら
れ、この中でも酢酸、トリフルオロ酢酸が特に好まし
い。
【0017】本発明における重合は、従来公知のリビン
グカチオン重合法(特開昭60−228509号、特開
昭61−103654号、特開昭62−257910
号、特開平1−108202号及び特開平1−1082
03号)において使用可能なルイス酸またはプロトン酸
開始剤、添加剤及び溶媒を用いて行うことができ、重合
温度は+60℃以下から好適に選ばれるが、+40℃以
下で重合することが特に好ましい。
【0018】片末端にチオール基を有するポリアルケニ
ルエーテルを合成する場合には、通常一価のアルコール
類を重合停止剤として使用する。両末端にチオール基を
有するポリアルケニルエーテルを合成する場合には、下
記の化4で表されるチオカルボン酸のアンモニウム塩、
下記の化5で表されるチオカルボン酸のヒドロキシアル
キルエステル、もしくは下記の化6で表されるチオカル
ボン酸のアミノフェニルアルキルエステルを重合停止剤
として用いる。
【0019】
【化4】 (式中、 5 及び 6 は、水素原子、メチル、エチル、プ
ロピル、ブチル、フェニル基等のアルキル基またはアリ
ール基を示す。)
【0020】
【化5】 (式中、 7 は、水素原子、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、フェニル基等のアルキル基またはアリール
基を示し、nは1〜5の数を示す。)
【0021】
【化6】 (式中、 8 は、水素原子、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、フェニル基等のアルキル基またはアリール
基を示し、nは0〜5の数を示す。)
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、これらの実施例によって何等限定されるものでは
ない。
【0023】実施例1 三方活栓をつけたガラス容器を準備し、窒素置換後、窒
素ガス雰囲気下で加圧しガラス容器内の吸着水を除去し
た。容器内に2−メトキシエチルビニルエーテル200
ml、酢酸エチル200ml、及び重合溶媒のトルエン
1540mlを入れ、トリフルオロ酢酸0.84mlと
2−ビニロキシエチルチオアセテート1.5mlをトル
エン25ml中で混合した溶液20mlを加え、系内温
度が0℃に達したところでEt 1.5 AlCl 1.5 (1.0
M)のトルエン溶液40mlを加えて重合を開始した。
4時間後、メタノール20mlで重合を停止した。この
場合、重合率は100%(ガスクロマトグラフィーによ
る)で、サイズ排除クロマトグラフィーにより、テトラ
ヒドロフラン中、55℃で測定した標準ポリスチレン換
算の数平均分子量Mn=22000、重量平均分子量M
w=27000、Mw/Mn=1.21であった。ま
た、ポリマーの末端チオール基を水溶液中で過剰のよう
素と反応させて、残ったよう素をチオ硫酸ナトリウムで
滴定することにより、末端のチオール基含有量を定量し
た結果、ポリマー片末端へのチオール基の導入率は10
9%であり定量的にチオール基が導入されていることが
分かった。
【0024】実施例2 三方活栓をつけたガラス容器を準備し、窒素置換後、窒
素ガス雰囲気下で加圧しガラス容器内の吸着水を除い
た。容器内に、イソブチルビニルエーテル50ml、酢
酸エチル50ml及び重合溶媒のトルエンを385ml
入れ、トリフルオロ酢酸0.56mlと2−ビニロキシ
エチルチオアセテート1mlをトルエン16.64ml
中で混合した溶液5mlを加え、系内温度が0℃に達し
たところで、EtAlCl 2 (1.0M)のトルエン溶
液10mlを加えて重合を開始した。5.5時間後、2
−ヒドロキシエチルチオアセテート2.4gのトルエン
溶液20mlを加えて重合を停止した。この場合、重合
率は87%で、サイズ排除クロマトグラフィ−により、
テトラヒドロフラン中、55℃で測定した標準ポリスチ
レン換算の数平均分子量Mn=15000、Mw=17
000、Mw/Mn=1.13であった。また、ポリマ
ーの末端チオール基をトルエン−メタノール混合溶媒中
で、上記実施例1と同様な方法で定量した結果、ポリマ
ー両末端へのチオール基の導入率は119%でありポリ
マーの両末端に定量的にチオール基が導入されているこ
とが分かった。
【0025】
【発明の効果】以上の実施例から、従来公知のリビング
カチオン重合法においてまだ見出されていなかった片末
端または両末端にチオール基を有するポリアルケニルエ
ーテルが得られたことが確認された。
【0026】本発明の片末端または両末端にチオール基
を有するポリアルケニルエーテルを連鎖移動剤に用い
て、ラジカル重合可能な種々のビニルモノマーを重合す
ることにより、ポリアルケニルエーテル(B成分)を1
成分とするAB型及びABA型のブロックポリマーの合
成が可能となる。中でもポリアルケニルエーテルをセン
ターブロック(B成分)とし、ポリスチレン等のハード
セグメントをA成分とするABA型のブロックポリマー
は熱可塑性エラストマーとしての用途が期待される。さ
らに、刺激応答性ポリマーであるオキシエチレン鎖を側
鎖に有するポリビニルエーテルを種々のポリマーとブロ
ック的に重合させることにより種々のポリマーに刺激応
答性を付与できる可能性があり、本発明は工業的な価値
がきわめて高いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 16/14 - 61/30 C07C 327/04 - 327/12 C07C 327/16 C08F 293/00 C08F 2/00 - 2/26 CA(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化1で表されるアルケニルエーテル
    単位からなり、片末端にチオール基を有するポリアルケ
    ニルエーテル。 【化1】 (式中、R 1 は水素原子あるいはメチル基を示し、R 2
    一価の有機基を示す。)
  2. 【請求項2】 下記化1で表されるアルケニルエーテル
    単位からなり、両末端にチオール基を有するポリアルケ
    ニルエーテル。 【化1】 (式中、R 1 は水素原子あるいはメチル基を示し、R 2
    一価の有機基を示す。)
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