JP3171967U - 断熱構造を有する紙コップ - Google Patents

Abstract

【課題】好ましい断熱、保温効果と構造強度を具え、かつ使用時に手の押し圧を受けても断熱効果の減失を防ぐ断熱構造を有する紙コップを提供する。【解決手段】紙材によってなる筒体の底面にコップ底部を設け、かつ上面には開口１２を形成するとともに、該開口の外周縁には開口縁部２０を設けてフランジを形成した紙コップ本体１０と、該紙コップ本体の外周面に設ける断熱層３０とによってなり、該開口縁部の外方向に凸出した部分の底面には凹状の位置決め部を形成し該断熱層の上端縁部を該位置決め部に接着し、かつ該断熱層の底端部を該紙コップ本体の外周面に接着して、該紙コップ本体の外周面と該断熱層との間に断熱空間を形成する。【選択図】図２

Description

この考案は紙コップに関し、特に好ましい断熱、保温効果の得られる断熱構造を有する紙コップに関する。

時代に伴う生活習慣の変遷によって、コーヒー、ジュース、紅茶、もしくはこれらをアレンジした飲料などを持ち運び可能な容器に入れる方法が多く取られている。この場合、形態の便宜を図るとともに、コストの点を考慮して、紙コップを利用することが一般的である。

紙コップは、飲料を入れる容器としては断熱効果に欠け、高温度の飲料を入れた紙コップを手にした場合、手に火傷を負う恐れがある。また、紙コップは保温効果にも欠ける。このため、高温度の飲料にせよ、冷却した低温度の飲料にせよ、紙コップに入れてそのまま放置した場合、短時間で飲料が冷め、もしくは温度が上がり、室温に近くなる。即ち、通常の紙コップは、内容物の温度の変化が容易に発生することによって、飲料の風味などが容易に変わる。

そこで、図１に開示するように断熱構造を有する紙コップが開発された。図面によれば、該断熱構造を有する紙コップは、コップ本体と該コップ本体の外周面に設けられる少なくとも一以上の断熱層と、を含んでなる。

該断熱層は、該紙コップ本体の外周面に設け、紙コップ本体外周面の開口縁部の位置に接着する上部接着端と、内方向に折り返し、該紙コップ本体外周面の下部に接着する下部接着端とを有し、かつ該断熱層と該コップ本体の外周面との間に断熱空間が形成される。該断熱層を設けることによって、紙コップ全体の構造上の強度が高められるのみならず、断熱層とコップ本体との間に断熱空間が形成されることによって、紙コップの外周面からの熱伝導を遮断する効果が得られる。

しかしながら、上述する該断熱層と紙コップ本体とは、該断熱層の上部接着端が該紙コップ本体外周面に接着し、形成される該断熱空間は下方に向かって漸増する。このため、該断熱層の上部は、その下部に比して断熱空間による断熱効果が劣る。のみならず、紙コップに飲料を入れて手に持つ場合は、通常紙コップの上部を持つ。よって、上述する断熱構造は、実際に使用する場合、断熱効果の劣る上部が容易に押し圧を受け、断熱空間が潰されることによって、その断熱効果がほとんど失われる。したがって、好ましい断熱効果を得るために、改善する必要がある。

この考案は、外周面に断熱空間が確実に形成され、好ましい断熱、保温効果と構造強度を具え、かつ使用時に手の押し圧を受けても断熱効果の減失を防ぐことのできる断熱構造を有する紙コップを提供することを課題とする。

そこで、本考案者は従来の紙コップにみられる欠点に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、
紙コップ本体の上面開口部の外周面に開口縁部を設け、該開口縁部に断熱層の上端を接続して、該紙コップ本体の外周面に断熱層を設け、該紙コップ本体の外周面と該断熱層との間に断熱空間を形成した紙コップの構造によって課題を解決できる点に着眼し、かかる知見に基づいて、本考案を完成させた。

以下、この考案について具体的に説明する。
請求項１に記載する断熱構造を有する紙コップは、紙材によってなる筒体の底面にコップ底部を設け、かつ上面には開口を形成するとともに、該開口の外周縁には開口縁部を設けてフランジを形成した紙コップ本体と、
該紙コップ本体の外周面に設ける断熱層とによってなり、
該開口縁部の外方向に凸出した部分の底面には凹状の位置決め部を形成し該断熱層の上端縁部を該位置決め部に接着し、かつ該断熱層の底端部を該紙コップ本体の外周面に接着して、該紙コップ本体の外周面と該断熱層との間に断熱空間を形成する。

上述する構造によれば、少なくとも紙コップの上半部で、使用する場合に手の押し圧を比較的よく受ける部分に断熱空間が形成され、紙コップ本体と断熱層とが断熱空間によって隔離され好ましい断熱効果が得られる。

請求項２に記載する断熱構造を有する紙コップは、請求項１における開口縁部が射出成型で該紙コップ本体と一体に成型される。よって、製造工程が簡略化されコストを節減することができるという効果が得られる。

請求項３に記載する断熱構造を有する紙コップは、請求項１における断熱層の上端縁部を該開口縁部の位置決めに粘着し、下端縁部を該紙コップ本体の外周面に粘着して設ける。

上述する構造によれば、該紙コップ本体の外周面と該断熱層との間に形成される断熱空間が上方に向って漸増する。即ち、使用する場合に手の押し圧を比較的よく受ける部分に広い断熱空間が形成され、従来の紙コップにみられるように狭い断熱空間が押し圧を受けて潰れて、断熱効果が減失することがない。

請求項４に記載する断熱構造を有する紙コップは、請求項１における断熱層の上端縁部を該開口縁部の位置決めに溶着し、下端縁部を前記紙コップ本体の外周面に溶着して設ける。係る溶着は、高周波接続、もしくは超音波接続などを応用することができ、堅牢な接着が得られ、紙コップの構造強度を高めることができる。

請求項５に記載する断熱構造を有する紙コップは、請求項１における断熱層の下端縁を内方向に折り返し、該紙コップ本体の外周面に接着する。よって、紙コップ本体の外周面すべてに断熱空間を形成することができ、好ましい断熱効果が得られる。

請求項６に記載する断熱構造を有する紙コップは、請求項１における断熱層の下端縁部が、該紙コップ本体の下端縁部の外周面に接着する。よって、さらに広い断熱空間を形成することができる。

請求項７に記載する断熱構造を有する紙コップは、請求項１における開口縁部が生分解性プラスチックによってなる。よって、紙コップの投棄によって環境に与える影響を低減させることができる。

請求項８に記載する断熱構造を有する紙コップは、請求項１におけるコップ底部がプラスチック材を射出成型で前記紙コップ本体と一体に形成してなり、かつ該開口縁部の位置決め部に対応する環状の位置決め溝を形成し、前記断熱層の下端縁部の固定に供する。よって、製造工程が簡略化されコストを節減することができるという効果が得られる。

請求項９に記載する断熱構造を有する紙コップは、請求項８におけるコップ底部が生分解性プラスチックによってなる。よって、紙コップの投棄によって環境に与える影響を低減させることができる。

請求項１０に記載する断熱構造を有する紙コップは、請求項１における紙コップの開口縁部が、補強リブを一体に形成してなる。よって、紙コップの強度を更に高めることができる。

この考案による断熱構造を有する紙コップは、使用時において手の押し圧を受けても断熱空間が潰されることなく、好ましい断熱、保温効果が得られるのみならず、製造工程を簡易にすることができ、かつ環境保全の観念に適うという利点を有する。

従来の紙コップの構造を示した断面図である。 この考案による紙コップの構造を示した説明図である。 この考案による紙コップの構造を示した他の説明図である。 他の実施形態による紙コップの構造を示した断面図である。 他の実施形態による紙コップの構造を示した断面図である。 その他の実施形態による紙コップの構造を示した断面である。 別の実施の形態であって、プラスチック材によるコップ底部を用いた実施の形態による紙コップの構造を示した断面図である。 別の実施の形態であって、紙コップ本体の外周面に補強リブを形成した構造を示した説明図である。

図２から図７に開示するように、この考案による断熱構造を有する紙コップは紙コップ本体１０と、開口縁部２０と、断熱層３０とを含んでなる。

紙コップ本体１０は、従来の一般的な紙コップの構造を具える。即ち、紙材によってなる筒体の底面にコップ底部１１を設け、上面には開口１２を形成する。開口１２の外周縁には開口縁部２０を接着する。

開口縁部２０は、開口１２の形状に対応して環状に形成され、紙コップ本体１０の外周面の上端縁に接着してフランジを形成する。即ち、生分解性プラスチックによってなり、射出成型で紙コップ本体１０の開口１２の外周縁に、紙コップ本体１０と一体に形成するか、もしくは、射出成型で予め製造し、熱圧着、または高周波接続、超音波接続などの方式で紙コップ本体１０の開口１２の外周縁に接着する。
また、開口縁部２０の外方向に凸出した部分の底面には凹状の位置決め部２１を形成し、断熱層３０の上端縁部の接着に供する。

断熱層３０は紙コップ本体１０の外周面に設ける。上端縁部開口縁部２０の位置決め部２１に嵌合させて粘着するか、もしくは溶着する。下端縁は内方向に折り返し、紙コップ本体１０の外周面に粘着、もしくは溶着する。よって、断熱層３０の内側の面と、紙コップ本体１０の外周面との間に、紙コップ本体１０の外周面を取り巻くように断熱空間４１が形成され、断熱効果が確実に得られる。

また、断熱層３０の縦方向の長さは、図４に開示するように、紙コップ本体１０の下端部が露出するようにしてもよく、また、図５に開示するように、断熱層３０の内方向に折り返した部分が紙コップ本体１０の下端縁部に接着し、紙コップ本体１０の外周面をすべて覆うようにしてもよい。

また、図６に開示するように、断熱層３０の下端縁部を内方向に折り返すことなく、紙コップ本体１０の外周面下端縁部に接着してもよい。この場合、断熱空間４１が上方に向かって漸増する。通常、紙コップに飲料を入れて手に持つ場合は。紙コップの上端を持つ。図６に開示する実施の形態は、断熱空間４１が上端に向かって漸増するため、紙コップを手に持つために断熱層３０が押し圧を受けても断熱効果に影響を与えない。

さらに、図７に開示するように、紙コップ底部１１をプラスチック材で射出成型して紙コップ本体１０に一体に形成するか、もしくは予めプラスチック材で成型したコップ底部１１を熱圧着するか、または高周波接続、超音波接続などの方式で紙コップ本体１０の下端縁部に接着してもよい。該プラスチック材は、好ましくは生分解性を用いる。

また、コップ底部１１には、開口縁部２０の位置決め部２１に対応する環状の位置決め溝１１１を形成し、断熱層３０の下端縁部の固定に供する。よって、断熱層３０の内側の面が紙コップ本体１０の外周面に接触することなく断熱空間４１が形成され、好ましい断熱、保温効果が得られる。

また、図８に開示するように、開口縁部２０を開口１２の外周縁に形成する場合に、紙コップ本体１０の外周面に複数の補強リブ２２を一体に形成してもよい。この場合、紙コップの強度を高めることができるのみならず、断熱層３０と、紙コップ本体１０の外周面との間に確実に断熱空間４１を形成することができる。

以上はこの考案の好ましい実施の形態であって、この考案の実施の範囲を限定するものではない。よって、当業者のなし得る修正、変更などであって、この初の精神の下においてなされ、この考案に対して均等の効果を有するものは、いずれもこの考案の実用新案請求の範囲に属するものとする。

１０ 紙コップ本体
１１ コップ底部
１１１ 位置決め溝
１２ 開口
２０ 開口縁部
２２ 補強リブ
２１ 位置決め部
３０ 断熱層
４１ 断熱空間

Claims (10)

1. 紙材によってなる筒体の底面にコップ底部を有し、かつ上面に開口を有するとともに、該開口の外周縁に開口縁部のフランジを有する紙コップ本体と、
   該紙コップ本体の外周面に設ける断熱層とによってなり、
   該開口縁部の外方向に凸出した部分の底面には凹状の位置決め部を有し該断熱層の上端縁部を該位置決め部に接着し、かつ該断熱層の底端部を該紙コップ本体の外周面に接着して、該紙コップ本体の外周面と該断熱層との間に断熱空間を設けることを特徴とする断熱構造を有する紙コップ。
2. 前記開口縁部は、射出成型で前記紙コップ本体と一体に成型されることを特徴とする請求項１に記載の断熱構造を有する紙コップ。
3. 前記断熱層の上端縁部を前記開口縁部の位置決めに粘着し、下端縁部を前記紙コップ本体の外周面に粘着してなることを特徴とする請求項１に記載の断熱構造を有する紙コップ。
4. 前記断熱層の上端縁部を前記開口縁部の位置決めに溶着し、下端縁部を前記紙コップ本体の外周面に溶着してなることを特徴とする請求項１に記載の断熱構造を有する紙コップ。
5. 前記断熱層の下端縁を内方向に折り返し、前記紙コップ本体の外周面に接着することを特徴とする請求項１に記載の断熱構造を有する紙コップ。
6. 前記断熱層の下端縁部は、前記紙コップ本体の下端縁部の外周面に接着することを特徴とする請求項１に記載の断熱構造を有する紙コップ。
7. 前記開口縁部は、生分解性プラスチックによってなることを特徴とする請求項１に記載の断熱構造を有する紙コップ。
8. 前記コップ底部がプラスチック材を射出成型で前記紙コップ本体と一体に形成してなり、かつ前記開口縁部の位置決め部に対応する環状の位置決め溝を設け、前記断熱層の下端縁部の固定に供することを特徴とする請求項１に記載の断熱構造を有する紙コップ。
9. 前記コップ底部は、生分解性プラスチックによってなることを特徴とする請求項８に記載の断熱構造を有する紙コップ。
10. 前記紙コップの開口縁部は、補強リブを一体に形成してなることを特徴とする請求項１に記載の断熱構造を有する紙コップ。

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