JP3171445B2 - 合成肺表面活性剤 - Google Patents

合成肺表面活性剤

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 この発明は、肺表面活性物質に関し、更に詳しくは、
天然肺表面活性物質と同様にして、肺胞を被覆するのに
用いることができるリポソーム肺表面活性物質に関する
ものである。
発明の背景 “人工肺表面活性物質”、Shou−Hwa Yu等、バイオヒ
ミカ・エト・バイオフィジカ・アクタ(Biochimica et
Biophysica Acta),776,37−47(1984)には、哺乳動物
の肺胞を被覆する天然肺表面活性物質が記載されてい
る。このような表面活性物質は、脂質と表面活性物質結
合タンパク質とを含んでいる。肺表面活性物質は、肺胞
の空気−液体界面における表面張力を低下させる。表面
活性物質の存在下では、正常に膨張した肺内の表面張力
が30ダイン/cmに近付き、一方、呼気中は、この値が0
ダイン/cmに近付くことが、研究からわかっている。新
生児が、その肺から肺液を取り除き、規則的な呼吸を定
着させなければならない出生時に、肺表面活性物質の存
在が特に決定的である。新生児期中、低表面張力を維持
するのに十分な表面活性物質の蓄積がないことが、ヒア
リン膜症としても知られ、先進国における出生周辺期死
亡率及び出生周辺期罹患率の主原因である新生児呼吸困
難症候群の発生に関与する主要因であると思われる。進
行(advanced)新生児呼吸困難症候群にかかっている乳
児を、牛の表面活性物質脂質抽出物由来の表面活性物質
製剤で治療することにより、肺膨張及び気体交換が著し
く改善される。同様に、成人における肺表面活性物質の
欠乏は、成人呼吸困難症候群(ADRS)の原因となり得
る。
空気/液体界面の表面張力を0ダイン/cm近くまで低
下させる肺表面活性物質の能力は、圧縮中に、比較的純
粋なジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)の単
分子膜が形成されることに依っていることが一般に知ら
れている。しかし、37℃の通常の体温では、DPPCの水和
二分子層がゲル状態で存在し、このことから、吸着が非
常にゆっくり起こるだけになる。その結果、正常な肺機
能を維持するのに十分な速度で、DPPCを空気/液体界面
へ運ぶように機能することができる人工混合物を開発し
ようとする試みは、未だ成功していない。人工表面活性
物質の形成に対する一つのアプローチは、長鎖アルコー
ル又は不活性炭化水素オイルを使用して、若しくはDPPC
が十分に水和されていない“乾燥”脂質混合物を投与す
ることにより、DPPCを分散させる方法を工夫することで
あった。
前記Yu等により検討されたもう一つの可能性は、六角
形のHII相の形成を促進する他の脂質と共に、DPPCを分
散させることである。この後者の状態は、逆ミセル形の
脂質の細長い円筒体からなり、脂肪酸が外側へ伸び、極
性の頭の基(head−group)が脂質の細長い円筒に沿っ
て伸びる水の内部コア又は細孔と結合しているものであ
る。空気は水よりも疎水性であるため、Yu等は、空気/
液体界面と相互作用しているHII相の円筒が展開(unfol
d)しやすく、それにより、多くの脂質分子が表面に移
送されると仮定している。しかし、六角HIIDPPCのゲル
状濃度が濃いため、この形のDPPCを生体内に投与して、
肺胞表面上に表面活性物質単分子層を有効に堆積させる
ことができるとは考えられない。
肺表面活性物質として、DPPCを肺胞に投与する場合、
肺に対して最大の治療を行なうために、DPPCが、できる
だけ広い肺胞表面領域に広げられた単分子層を形成する
ことが重要である。更に、単分子層の堆積速度が、呼吸
困難症候群によってもたらされる呼吸困難の被験者の治
療において、重要であるかも知れない。肺胞へDPPCを搬
送する従来法では、肺胞表面に、DPPCの有効な表面活性
物質単分子層を堆積させることができなかった。二分子
層形のDPPCが肺胞に投与された場合、拡展速度が遅すぎ
て、有効な単分子層を形成できないか、あるいは呼吸困
難を十分に軽減できないことがわかっている。同様に、
上で論じたように、六角HII形のDPPCはそのゲル状濃度
が濃いため、肺胞表面に単分子層を形成するには不適当
であると考えられている。
発明の要旨 本発明によれば、哺乳動物の肺胞に、ホスファチジル
コリン肺表面活性物質の単分子層を堆積させる合成肺表
面活性物質組成物が提供される。この組成物は、ホスフ
ァチジルコリン肺表面活性物質、ホスファチジルエタノ
ールアミン及びコレステロールを、第一の温度以下では
組成物がラメラ形状であり、第一の温度よりも高い第二
の温度では非ラメラ形状であるような割合で含んでい
る。本発明で使用するための好ましいホスファチジルコ
リン肺表面活性物質は、ジパルミトイルホスファチジル
コリン(DPPC)であり、これは、天然の哺乳動物肺表面
活性物質の主脂質成分であることがわかっている。好ま
しいホスファチジルエタノールアミンは、ジオレオイル
ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)である。特定
の実施態様において、第一の温度は、室温(25℃)程度
であり、一方、第二の温度は、治療される哺乳動物の体
温又はその近辺であり、ヒトの場合は、30〜37℃の範囲
内となるであろう。本発明の特定の実施態様において、
組成物は、約3部のDPPC、約7部のDOPE、約5〜10部の
コレステロルからなり、全ての部はモル比によるもので
ある(本出願を通じて、特に断わらない限り、全ての部
及びパーセントは、モル比によるものである)。
他の実施態様において、本発明の組成物は、表面活性
物質結合タンパク質のような治療用ペプチドを一つ又は
それ以上含んでいてもよい。このようなタンパク質は、
天然由来、合成のどちらでもよい。この組成物は、一つ
又はそれ以上の他の薬剤を含んでいてもよい。
本発明の別の実施態様は、肺胞の領域内で、肺の中に
本発明の組成物を直接分散させることにより、肺胞の表
面にDPPCの単分子層を堆積させる方法である。
本発明の更に他の実施態様は、哺乳動物における天然
肺表面活性物質の不全による呼吸困難症候群を治療する
方法であり、この方法は、本発明の組成物を治療する哺
乳動物の肺胞に投与することを含む。このような投与
は、挿管法又は吸入法などの周知の肺投与方法により達
成されることができる。
本発明の更に別の実施態様によれば、医薬担体又は希
釈剤と共に、本発明の合成肺表面活性物質組成物を含有
する、挿管法、吸入法又は他の肺投与法に適した医薬製
剤が提供される。また、このような医薬製剤の製造法も
提供され、この方法は、ホスファチジルコリン肺表面活
性物質、ホスファチジルエタノールアミン及びコレステ
ロールを組み合わせて、本発明の人工肺表面活性物質組
成物を形成し、この組成物を医薬担体又は希釈剤と混合
して、肺投与に適した製剤を製造することからなる。
図面の簡単な説明 図1は、本発明に従って作られ、DOPE−DPPC−コレス
テロールを7:3:10のモル比で含む肺表面活性物質サンプ
ルについて、6〜46℃の範囲の温度で測定した、360MHz
31P−NMRスペクトルの結果を示すグラフである。
図2A及び2Bは、本発明に従って作られ、DOPE−DPPC−
コレステロールを7:3:5のモル比で含む肺表面活性物質
サンプルについて、23℃及び38℃で測定した、逆相互間
隔(inverse reciprocal distance)に対する小角X線
回折強度(任意の単位)の結果を示すグラフである。
図3A及び3Bは、本発明に従って作られたものではな
く、DOPE−DPPC−コレステロールを7:3:3のモル比で含
む比較サンプルについての、23℃及び38℃での小角X線
回折測定の結果を示すグラフである。
発明の詳細な説明 本発明は、ホスファチジルコリン(PC)肺表面活性物
質が二分子層の形状から六角HII又は他の非二分子層の
形状に移るとき、PCが乱れた中間相を通るという発見に
由来するものである。この中間相は、水和表面上に急速
に広がって表面張力を急速に低下させるモノマーを生成
させる。例えば、二分子層形及び六角HII形のジパルミ
トイルホスファチジルコリン(DPPC)は、共に非常に安
定であり、一方、乱れた中間相は、DPPCがその安定な形
状のうちの一つに改変し得るまでの短時間の間、存在す
るだけである。本発明に対する鍵は、肺胞の表面におい
て元の位置にある間に、PCが単分子層転移相を通るよう
にさせる手段を工夫することである。これを達成するこ
とができれば、PCはその乱れたモノマーの形をしている
間に、肺胞表面上に急速に広がるであろう。
ある種のホスファチジルエタノールアミン(PE)は、
ラメラ形状と六角H11形状を両方有しており、多形であ
ることが知られている。更に、このようなPEは、温度が
高くなるにつれて、そのラメラ形状から六角HII形状へ
変化することがわかっている(Tilcock、“リピッド
ポリモルフィズム(Lipid Polymorphism)”、ケミスト
リー・アンド・フィジックス・オブ・リピッズ(Chemis
try and Physics of Lipids),40:109,110−111(198
6)参照)。コレステロールは、一般に、二分子層形の
脂質に不安定化効果を及ぼすことがかっている。
本発明では、第一の温度において、安定な二分子層の
形状であり、第二のより高い温度において、乱れた転移
相を通って六角HII又は他の非ラメラの形状に移る合成
肺表面活性物質組成物を形成するのに適当な割合で、ホ
スファチジルコリン肺表面活性物質を、PE及び少量のコ
レステロールと混合する。合成肺表面活性物質としての
使用のためには、第一の温度は、室温(25℃)程度であ
ることが好ましく、一方、第二の温度は、治療される哺
乳動物の体温又はその近辺であり、ヒトの場合は、30〜
37℃の範囲内が好ましいであろう。
本発明で使用する好ましいホスファチジルコリン肺表
面活性物質は、ジパルミトイルホスファチジルコリン
(DPPC)であり、これは、一つのPC“頭”基の上に、二
つの完全に飽和したC16“尾”基を含んでいる。PC肺表
面活性物質として用いることのできる他のPCとしては、
ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)(C14尾
基)及びジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)
(C18尾基)が挙げられる。
本発明で使用する好ましいホスファチジルエタノール
アミンは、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミ
ン(DOPE)であり、これは、DPPCと化学的に両立するこ
とができ、肺内に使用しても生物学的に安全であり、目
的とする温度依存性相転移特性を有する組成物を作る。
しかし、選ばれたホスファチジルコリン肺表面活性物質
と混合して、目的とする温度依存性相転移を得ることの
でき、化学的に両立することができ、生物学的に安全な
任意のホスファチジルエタノールアミンを用いることが
できる。
DPPCとDOPEを含む組成物について、目的とする相転移
温度を得るために、これらの成分を、DPPC約2〜4部、
DOPE約8〜6部、好ましくは、DPPC約3部、DOPE約7部
のモル比で使用すると、好ましい結果が得られる。
組成物の第三の成分は、コレステロール(CHOL)であ
り、これは、脂質二分子層を破砕するのに有効であるこ
とが知られている。この組成物において、コレステロー
ルは、比較的安定なラメラ相を不安定にするので、肺表
面活性物質が、目的とする温度で不安定な乱れた中間相
に入るものと信じられる。混合ホスファチジルコリン及
びホスファチジルエタノールアミン10部に対してコレス
テロール約5〜10部のモル比を用いると、良好な結果が
得られる。
本発明の組成物は、表面活性物質結合表面活性タンパ
ク質のような治療用ペプチドを一つ又はそれ以上含んで
いてもよい。このようなタンパク質は、天然由来、合成
のどちらでもい。天然の肺表面活性物質に見出されるこ
れらのタンパク質、又はこのようなタンパク質によく似
た合成ペプチドは、特に興味深い。これらの表面活性物
質結合タンパク質のいくつかは、正に帯電しているアミ
ノ酸基が多く、疎水性と親水性の両方のペプチド基を含
んでいることがわかっている。
本発明の肺表面活性物質組成物において有用であるこ
とがわかっている合成ペプチドのなかには、疎水性であ
るアルギニン(“R"と略す)及び親水性であるロイシン
(“L"と略す)ペプチドを含むものがある。本発明の表
面活性物質に使用するのに特に有用な合成ペプチドは、
RL4と呼ばれ、次の構造のアルギニン及びロイシン基か
ら成っている。
R−(L)−R−(L)−R−(L)−R−
(L)−R以下で検討するテストのために、RL4ペプ
チドを、the Research Institute of Scripps Clinic,L
a Jolla,CAから入手した。
本発明の組成物は、一つ又はそれ以上の追加の他の薬
剤を含んでもよい。
実施例1 本発明の組成物の温度依存性多形特性を発揮するため
に、55.4gのDOPE、23.4gのDPPC、41.2gのコレステロー
ルを用い、DOPE−DPPC−CHOLを7:3:10のモル比で含むサ
ンプルを作った。DOPEとDPPCは、Avanti Polar Lipids,
Birmingham,Alabamaから入手し、コレステロールは、Ba
ker Chemicalsから入手した。この物質を、回転蒸発(r
oto−evaporation)を用い、クロロホルム混合物から乾
燥して薄いフィルムとし、150mM塩化ナトリウムを含むp
H7.4の10mM HEPES緩衝液6mlに懸濁させた。
図1は、6〜46℃の範囲の温度で測定した、360MHzの
31P−NMRスペクトルを示す。温度が高くなるにつれて、
グラフ線の形が変化するのは、組成物のラメラ相から六
角HII相への転移を示す。この種のスペクトルデータ及
び脂質相に対するその意味は、上記のTilcockに詳細に
論じられている。室温25℃では、組成物はまだラメラ形
状であるが、一方、40℃では、HII相に特有の波形に明
らかに変わってしまっている。正常体温よりもちょっと
低い35℃では、図形は、ラメラ相とH11相の両方が存在
する転移段階を示すものと考えられる。
実施例2 実施例1の原料及び方法を用いて、肺表面活性物質組
成物の他のサンプルを作った。サンプル2は、66.9gのD
OPE、28.3gのDPPC及び24.8gのコレステロールを含み、6
mlの緩衝液に懸濁された、モル比が7:3:5のDOPE−DPPC
−CHOL組成物であった。サンプル3は、30.4gのDOPE、1
2.9gのDPPC及び6.8gのコレステロールを含み、6mlの緩
衝液に懸濁された、モル比が7:3:3のDOPE−DPPC−CHOL
組成物であった。
両サンプルを、小角X線回折によりテストした。結果
を、図2A及び2B、並びに図3AB及び3Bに示す。各図にお
いて、左のグラフAは、23℃におけるサンプルについて
の結果を示し、右のグラフBは、38℃におけるサンプル
についての結果を示す。所定のサンプルの相は、所定の
グラフの右側を調べることにより決定することができ
る。図2A及び3Aは、共に、各グラフの中央近くの高いピ
ークの右に単一のピークを示す。この二重ピークは、脂
質がラメラ相であることを示すサインである。図3Bもこ
の同じサインを示し、38℃において、サンプル3がまだ
ラメラ相にあること示している。図2Bは、グラフの右側
の同じ位置に、明瞭な二重ピークを示す。これは、ラメ
ラ相からの変化を少なくとも示すサインであり、おそら
く、六角HII相への転移を示すものであろう。これらの
結果から、3部のコレステロールを含む組成物は、38℃
の温度において、まだラメラ相であるが、一方、5部の
コレステロールを含む組成物は、38℃以下で、ラメラ相
からの転移を明瞭に示していることがわかるであろう。
実施例3 早産に関係する呼吸問題の治療における本発明の肺表
面活性物質の有効性を求めるために、テストを行なっ
た。上で論じたように、新生児が、その肺から肺液を取
り除き、規則的な呼吸を定着させなければならない出生
時に、肺表面活性物質の存在が特に重要である。この重
要な段階において、肺表面活性物質が欠乏すると、重症
の呼吸困難に陥り、死亡することさえある。
本テストでは、肺表面活性物質不全のモデルとして、
天然肺表面活性物質が低レベルであるために、呼吸開始
が困難であることがわかっている未熟胎児兎を使用し
た。各場合において、胎児兎に、0.2ml又は0.3mlのテス
ト表面活性物質を投与し、換気して、呼吸を監視した。
30分後、呼吸の質及び色について兎を調べた。健康なピ
ンク色は、良好な呼吸を示すものである。更に、肺容積
及び気道圧を測定し、これらの結果を、体重の単位当り
の圧力に対する流量の比として、任意の単位で表わされ
る動的コンプライアンスを計算するために使用した。測
定コンプライアンスの値が高ければ高いほど、試験動物
の呼吸は良好であった。これらのテスト方法は、Revak
等、“生体外及び生体内で測定された精製ヒトアポタン
パク質及びリン脂質を用いる表面活性物質活性の再構
成”、Am.Rev.Respir.Dir.,134:1258−1265(1986)で
更に論じられている。
上記実施例1に従って作られた7:3:10のDOPE−DPPC−
コレステロール表面活性物質(サンプルA)と実施例2
に従って作られた7:3:5のDOPE−DPPC−コレステロール
表面活性物質(サンプルB)を用いて、テストを行なっ
た。
上で論じたように、本発明の組成物は、一つ又はそれ
以上の治療用タンパク質を含むこともできる。本発明に
よる肺表面活性剤は、大豆ホスファチジルコリン(大豆
PE)、DPPC及びコレステロールとから上記ペプチドRL4
と組み合わせて作った。7:3:3の比の大豆PE−DPPC−コ
レステロールからなり、3重量%のRL4ペプチドを含む
ペプチド含有表面活性物質サンプル(サンプルC)と、
7:3:5の比の大豆PE−DPPC−コレステロールからなり、
3重量%のRL4ペプチドを含むペプチド含有表面活性物
質サンプル(サンプルD)とを作った。サンプルC及び
Dも、本胎児兎モデルテストに含まれた。
150mM食塩水を負の対照として使用し、満期(term)
羊水から単離された天然ヒト表面活性物質を正の対照と
して使用して、更にテストを行なった。実施例の表面活
性物質と負及び正の対照を用いて、3セットのテストを
行なった。最初の2セットのテストにおいては、0.2ml
の用量を投与したが、一方、3番目のセットのテストで
は、0.3mlの用量を用いた。動物に、実施例表面活性物
質A、B、C若しくはD、又はヒト表面活性物質正対照
を投与したテストでは、全てが、換気2〜3分以内に優
れた呼吸を示し、全てが、健康なピンク色を得た。30分
のテスト期間の終わりには、これらの動物の全てが、良
好な呼吸と健康なピンク色とを示し続けた。食塩水負対
照を投与した兎は、呼吸困難を示し、30分後に健康なピ
ンク色をしていなかった。これらのテストから、本発明
により作られた実施例表面活性物質A、B、C又はD
は、天然肺表面活性物質不全に関係する呼吸問題を治療
する際に、全て、天然ヒト表面活性物質に匹敵する結果
を示すことがわかった。
各動物についてのコンプライアンス値は、30分のテス
トの過程にわたって、周期的な間隔で測定を行なった。
コンプライアンスの結果を表1に提示し、コンプライア
ンスは、上記のように、任意の単位で表わされる。実施
例の表面活性物質A、B、C及びD、並びにヒト表面活
性物質正対照を投与した動物のコンプライアンス値は、
全て、食塩水負対照動物よりも少なくとも25〜300%高
かった。
本発明の他の態様によれば、挿管法、吸入法又は他の
肺投与法に適した医薬製剤は、医薬担体又は希釈剤と共
に、本発明の合成肺表面活性物質組成物を含む。このよ
うな医薬製剤の製造法は、ホスファチジルコリン肺表面
活性物質、ホスファチジルエタノールアミン及びコレス
テロールを組み合わせて、本発明の人工肺表面活性物質
組成物を形成し、このように形成された組成物を、医薬
担体又は希釈剤と混合することからなる。
用いられる用語及び語句は、説明の用語として使用さ
れるもので、限定するものではなく、このような用語及
び語句の使用において、示され、記載された特徴の均等
物又はその一部を排除する意図は無く、本発明の請求の
範囲内で、種々の変更が可能であることが認識される。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 31/685 A61K 31/575 A61K 31/675 A61P 11/00 BIOSIS(STN) CAPLUS(STN) MEDLINE(STN) EMBASE(STN)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジパルミトイルホスファチジルコリン(DP
    PC)、ホスファチジルエタノールアミン及びコレステロ
    ールを含有する合成肺表面活性物質組成物であって、該
    表面活性剤におけるジパルミトイルホスファチジルコリ
    ンおよびホスファチジルエタノールアミンがジパルミト
    イルホスファチジルコリン2〜4モルに対し、ホスファ
    チジルエタノールアミンが6〜8モルの比率であり、合
    計10モルのジパルミトイルホスファチジルコリン及びホ
    スファチジルエタノールアミンの組合せに対し5〜10モ
    ルのコレステロールを含有し、ホスファチジルエタノー
    ルアミンはラメラフェーズとヘキサゴナルフェーズの両
    方を有し、第一の温度以下ではホスファチジルエタノー
    ルアミンとジパルミトイルホスファチジルコリンがラメ
    ラ形状であり、第一の温度よりも高い第二の温度ではジ
    パルミトイルホスファチジルコリンが非ラメラ形状へと
    移行するものである合成肺表面活性物質組成物。
  2. 【請求項2】該第一の温度が25℃であり、該第二の温度
    が30〜37℃の範囲内である請求の範囲1記載の組成物。
  3. 【請求項3】ホスファチジルエタノールアミンがジオレ
    オイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)である
    請求の範囲1記載の組成物。
  4. 【請求項4】モル比で、3部のDPPC、7部のDOPE及び5
    〜10部のコレステロールを含有する請求の範囲3記載の
    組成物。
  5. 【請求項5】更に、一つ又はそれ以上の他の薬剤を含有
    する請求の範囲1記載の組成物。
  6. 【請求項6】挿管法、吸入法又は他の肺投与法に適した
    薬学的に許容し得る担体を含有する請求の範囲1記載の
    組成物。
  7. 【請求項7】哺乳動物の肺胞の表面にDPPCの単分子層を
    堆積させるための請求の範囲1記載の組成物を含有する
    薬剤。
  8. 【請求項8】哺乳動物が天然肺表面活性物質の不全によ
    る呼吸困難症候群に罹っているものである、請求の範囲
    7記載の薬剤。
JP50075992A 1990-10-17 1991-10-17 合成肺表面活性剤 Expired - Fee Related JP3171445B2 (ja)

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US599,493 1990-10-17
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