JP3171036B2 - フッ素放射性同位元素標識ドーパミンの製造方法 - Google Patents

フッ素放射性同位元素標識ドーパミンの製造方法

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JP3171036B2 JP28183094A JP28183094A JP3171036B2 JP 3171036 B2 JP3171036 B2 JP 3171036B2 JP 28183094 A JP28183094 A JP 28183094A JP 28183094 A JP28183094 A JP 28183094A JP 3171036 B2 JP3171036 B2 JP 3171036B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フッ素放射性同位元素
標識ドーパミンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】医療用画像診断技術の一つであるポジト
ロン断層検査法で使用されるポジトロン放射断層撮影(P
ositron Emission Tomography)(以下、PETという)
システムにおいて、18Fで標識されたフッ素放射性同位
元素標識ドーパミン(以下、18F- ドーパミンと記す)
は、パーキンソン病、アルツハイマー病等の脳神経伝達
系疾患の診断薬として使用されている。
【0003】18F- ドーパミンの製造方法は、例えば、
以下のような方法が知られている。 (1)米国特許5254726号には、18O−H2 Oに
プロトンを照射して原子核変換により18F- を製造し、
この18F- を含む溶液を、ニトロベラトルアルデヒドや
6−ニトロピペロナールのようなニトロ基を有する芳香
族化合物を所定の溶媒に溶解した溶液に添加し、18F-
とニトロ基との間の求核置換反応により、芳香族化合物
18F- で標識し、その後、必要な反応および抽出工程
を経て、18F- L−ドーパ、2−18F- チロシン、6−
18F- L−ノルアドレナリンまたは6−18F- ドーパミ
ンのような標識芳香族化合物(放射能2〜10mCi)
を合成する方法が開示されている。この方法において、
18F- L−ドーパの場合、p−ニトロピペラナールを出
発物質とし、(i) 18F- によるニトロ基の求核置換反
応、(ii)還元反応、(iii) ブロム化反応、(iv)アルキル
化反応、そして(v) 加水分解反応の5工程を経て合成さ
れる。ここで行われる各種反応は、全て液々反応であ
る。
【0004】(2)The Journal of Medical Chemistr
y, No,34 p.861-863(1991) には、18O- H2
Oにプロトンを照射して原子核変換により得た 18F-
を用い、6−ニトロピペロナールからニトロ基の求核置
換反応を行い、途中物質としてエチルアミンを経て、18
F- ドーパミンを得る方法(合成時105分、放射能8
〜9mCi)が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、18O−
2 Oにプロトンを照射して製造した18F- を用いた従
来技術 (1), (2) は、反応操作の手順が多く、収率が
低い。しかも合成時間が100〜120分間と長いため
に、その間に18Fが崩壊(半減期:109.7 分)してしま
い、収量が8〜9mCiと低い。このため、一人の患者
への投与量対応する放射能(最低3〜5mCi)しか得
られず、複数の患者に対応することができない。
【0006】また、従来技術 (1), (2) に従って、ノ
ーキャリアアデッド法(No−Carrier−Add
ed法:18O−H2 Oをプロトンで照射して製造した18
F-を用いた合成方法)にもとづいて18F化合物を生成
する場合、合成時間が長く、中間生成物の抽出に4回の
抽出処理工程が必要であり、最終的に回収される生成物
の放射能が低くなる等の問題がある。以上の理由から装
置化するためには問題点が多く、従来技術(1),
(2)はいずれも装置化まで至っていない。
【0007】さらに、従来技術(1),(2)における
原料は、6−ニトロベラトールアルデヒドおよび6−ニ
トロピペロナールである。これらの原料は常温で固体で
あるため、所定の溶媒に溶解して溶液として液々反応に
より合成が行われる。このため、反応終了後、生成物と
原料および不純物の混合溶液から生成物を抽出する工程
が必要であり、合成時間が長時間化し、かつ、合成操作
が面倒である。本発明は、かかる点に鑑みてなされたも
のであり、18F- ドーパミンを高収量および短時間で得
ることができる18F- ドーパミンの製造方法を提供す
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)一般式
(I)で示すイソバニリンをニトロ化して一般式(II)で
示す化合物を得る工程、
【0009】
【化8】
【0010】(b)工程(a)で得られた化合物(II)
およびジビニルベンゼンで架橋した架橋クロルメチルス
チレン−スチレン共重合体担体にエーテル結合により縮
合して一般式(III )で示す中間体を得る工程、
【0011】
【化9】 (c)工程(b)で得られた中間体(III )のニトロ基
18F- で求核置換して一般式(IV)で示す中間体を得
る工程、
【0012】
【化10】 (d)工程(c)で得られた中間体(IV)およびニトロ
メタンと縮合させて一般式(V)で示す中間体を得る工
程、
【0013】
【化11】 (e)工程(d)で得られた中間体(V)を還元反応に
供して一般式(VI)で示す中間体を得る工程、および、
【0014】
【化12】 (f)工程(e)で得られた中間体(VI)を加水分解反
応に供して一般式(VII )で示す18F- ドーパミンを得
る工程
【0015】
【化13】
【0016】を具備することを特徴とするフッ素放射性
同位元素標識ドーパミンの製造方法を提供する。以下、
本発明のについて更に詳細に説明する。
【0017】工程(a) 本発明の出発原料の一つであるイソバニリン(3−ヒド
ロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド)(I)は市販
で入手可能である。イソバニリン(I)をニトロ化して
6−位にニトロ基を導入する。
【0018】イソバニリン(I)のニトロ化は、通常の
ニトロ化反応により行うことができ、例えば、次のよう
にして行われる。まず、イソバニリンをアセトンに溶解
した溶液を10℃以下を保ちながら、発煙硝酸を滴下す
る。反応液を氷水に滴下し、発生した沈澱物をろ過によ
り回収する。沈澱物を水酸化ナトリウム溶液に溶解させ
る。得られた溶液に炭酸ガスを通過させ、発生した沈澱
物を回収する。沈澱物をエタノールから再結晶して、結
晶の形で6−ニトロイソバニリンが得られる。
【0019】工程(b) 次に工程(a)で得られた化合物(II)をジビニルベン
ゼンで架橋した架橋クロルメチルスチレン−スチレン共
重合体担体(以下、単に「担体」ともいう)にエーテル
結合により縮合して中間体(III)を得る。
【0020】ここで用いられる担体は、クロロメチルス
チレンモノマーおよびスチレンモノマーのランダム共重
合体であり、クロロメチルスチレンモノマーおよびスチ
レンモノマーのモル比が、例えば、1:100〜1:1
のものである。この重合体はジビニルベンゼンで架橋し
て三次元構造をとる。ジビニルベンゼンは共重合体全体
に対して例えば1〜10重量%である。
【0021】このような担体への反応化合物である化合
物(II)の結合は、例えば、次のようにして行われる。
まず、化合物(II)を、アルカリ金属水酸化物MOH
(例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム)と、極
性溶媒中で、例えば、50〜150℃で5〜24時間加
熱する。ここで、極性溶媒としては、例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノールのようなア
ルコール類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムア
ミドが使用できる。この結果、一般式(VIII)に示すよ
うな化合物が得られる。
【0022】
【化14】
【0023】反応終了後、この反応溶液に上述の担体を
加え、例えば、50〜150℃で5〜24時間加熱して
反応させることにより、化合物(VIII)および担体のク
ロルメチルスチレンモノマーのクロルメチル基との間で
エーテル結合が形成されて、上記一般式(III )で示す
基質−担体複合体(以下、18F標識化合物合成用中間体
と記す)が得られる。
【0024】工程(c) 工程(b)で得られた18F標識化合物合成用中間体のニ
トロ基を、18Fで求核置換して中間体(IV)を得る。18
求核置換反応は、例えば、18F標識化合物合成用中間体
を充填したカラムに、[K222+18F- 塩をジメチ
ルスルホキシドに溶解した溶液を満たし、120〜14
0℃、15〜20分間加熱することにより行われる。こ
こで、K222 とは、クリプタンド:C183628
示す。
【0025】この結果、生成した18F求核置換化合物部
位(2−メトキシ−4−18フルオロ−5−ホルミル−フ
ェニル基)は、担体にエーテル結合により結合している
ため、例えばアセトニトリル等の溶媒によりカラム内を
洗浄して、未反応物を容易に分離することができる。ま
た、溶媒はカラムを加熱することにより除去することが
できる。
【0026】18F- は、通常の原子核変換技術により製
造することができる。例えば、18O−H2 Oにサイクロ
トロンでプロトン照射して原子核変換することにより製
造することができる。
【0027】工程(d) 工程(c)で得られた中間体(IV)とニトロメタンとを
所定の溶媒中で縮合させて、一般式(V)で示されるニ
トロプロペン化合物を得る。ここで、所定の溶媒として
は、例えば酢酸−酢酸アンモニウム溶液を用いることが
できる。
【0028】より詳細には、例えば、ニトロメタンを溶
解した酢酸−酢酸アンモニウム溶液を、中間体(V)を
充填したカラムに満たし、100〜120℃で5〜15
分間加熱する。
【0029】生成した18Fニトロプロペン化合物部位
は、担体に結合しているため、例えば蒸留水、メタノー
ルのような溶媒でカラム内を洗浄し、未反応物と容易に
分離することができる。溶媒はカラムを加熱して揮発さ
せることにより除去できる。
【0030】工程(e) 次に、工程(d)で得られたニトロプロペン誘導体
(V)を還元反応に供する。これにより、一般式(VI)で
示す18Fエチルアミン化合物が生成する。化合物(V)
の還元反応は、例えば、水素化リチウムアルミニウムを
加えたジエチルエーテル溶液を、ニトロプロペン化合物
(V)を充填したカラムに満たし、50〜60℃で5〜
10分間還流する。この結果、エチルアミン化合物
(V)が得られる。
【0031】生成した18Fエチルアミン化合物部位は、
担体に結合しているため、例えばメタノールのような溶
媒でカラム内を洗浄し、未反応物と容易に分離すること
ができる。溶媒はカラムを加熱して揮発させることによ
り除去できる。
【0032】工程(f) 工程(e)で得られたエチルアミン化合物(VI)を加水分
解反応に供する。これにより、18Fエチルアミン化合物
部位および担体の間のベンジルエーテル結合が還元的に
切断されると共に、2位のメトキシ基においてもメチル
基およびフェニル基の間のエーテル結合が還元的に切断
される。また、アズラクトンの5員環のC−NおよびC
−O結合が切断される。この結果、一般式(VII )に示
18F-ドーパミン未精製物が得られる。
【0033】化合物(VI)の加水分解反応は、例えば、
次亜リン酸で安定化させたヨウ化水素酸溶液を、エチル
アミン化合物(VI)を充填したカラムに満たし、160〜
180℃で5〜15分間、窒素下で加熱し行うことがで
きる。この後、例えば、水をカラムに流し、生成物を担
体から溶離できる。次いで、溶離液を、例えば水酸化ナ
トリウム水溶液で中和することにより18F- ドーパミン
未精製物(VII )を回収することができる。上述の加水
分解反応を、例えば、触媒として赤リンを使用して行う
ことも可能である。
【0034】最後に、工程(f)で得られた18F- ドー
パミン未精製物(VII )を、常法に従って精製して18
- ドーパミンを得る。精製は例えば、18F- ドーパミン
(VII )をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)に
より抽出して行うことができる。
【0035】上述の18F- ドーパミンの製造方法では、
例えば、一般式(III )で示す18F標識化合物合成用中
間体のように、反応基質である2−メトキシ−4−ニト
ロ−5−ホルミル−フェニル基が、架橋クロルメチルス
チレン−スチレン共重合体担体にエーテル結合してい
る。このため、反応基質と反応試薬との反応は固液反応
により行われる。従って、適当な溶媒で反応生成物−担
体複合体を洗浄することにより、未反応の反応試薬及び
不純物を容易に除去することができる。この結果、各工
程ごとに必要である目的生成物の単離を極めて容易に行
うことができるので、18F- ドーパミンの製造に必要な
操作を簡略化し、所要時間を大幅に短縮することが可能
である。特に、従来の液々反応による製造方法では、各
工程ごとに抽出用治具を使用して抽出操作を行って反応
生成物を単離する必要があったが、本発明の方法では、
抽出操作は最終的な精製の際にのみ行うだけで済む。従
って、本発明の製造方法によれば、安価な製造装置によ
り実施可能であり、経済的にも有用である。
【0036】従来の方法では、1日1回の合成で5mC
i程度しか回収できない。しかも、この回収量は合成が
成功した場合に得られる量であって、実際に医療現場で
は合成に失敗して所望の回収量が得られないことが多
い。このため、2〜3回に1回は必要量が得られない。
しかしながら、本発明の18F- ドーパミンの製造方法に
よれば、回収量が多いため、回収量不足になることがな
く、必要量の18F- ドーパミンを医療現場で確実にその
都度製造することができる。
【0037】また、架橋クロルメチルスチレン−スチレ
ン共重合体担体は、化学的に安定で、物理的強度が高
く、しかも熱的安定性が高い。このため、工程(c)の
18F求核置換反応、工程(e)の加水分解反応におい
て、120〜260℃の高温条件下にさらされても安定
である。
【0038】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。 実施例1 イソバニリン(アルドリッチ社製)10gをアセトン5
0mlに溶解した溶液を4℃以下を保ちながら、発煙硝
酸を滴下した。反応溶液を氷水2000mlに滴下し、
生成した沈澱物をろ過により回収した。沈澱物を0.5
N−水酸化ナトリウム溶液(350ml)に溶解し、溶
解液に炭酸ガスを通過させ、生成した沈澱物をろ別して
回収した。沈澱物を一旦エタノール(200ml)に溶
解させ、再結晶により析出した結晶を回収した。
【0039】得られた再結晶物(1.0g)と水酸化カ
リウム(0.4g)をメタノール(100ml)に溶解
し、メタノールの還流温度64℃(1気圧)で加熱して
7時間反応させた。反応終了後、この反応溶液に、全重
量に対して2wt%のジビニルベンゼンがランダムに架
橋した三次元構造を有する架橋クロルメチルスチレン−
スチレン共重合体(モル比1:9)(和光純薬(株)
製)5gを加えた後、64℃で加熱して24時間反応さ
せた。この結果、2−メトキシ−5−ホルミル−4−ニ
トロフェノキシメチルスチレン−スチレン共重合体(中
間体A)5.8gを得た。
【0040】得られた中間体Aの物理的データは次の通
りであった。 IR ν (cm-1) 3101.01 3081.73 3058.59 3025.8
0 3000.73 2921.66 2848.38 1941.99 1868.71 1801.21 1718.28 1600.65
1583.29 1540.86 1492.65 1452.15 1371.16 1326.80 1313.30
1267.02 1180.24 1155.17 1068.38 1027.89 979.67 966.17 941.
10 906.39 840.82 796.47 755.97 698.11 619.05 539.98 3079.80 芳香族C−H伸縮振動 3058.59 3025.80 2921.66 メチレンC−H伸縮振動 2850.31 1943.92 倍音振動または結合振動吸収帯 1872.56 1803.74 1720.21 1700.93 1600.65 芳香環伸縮による面内骨格振動 1542.79 1490.72 1448.30 1400〜800 指紋領域 757.90 芳香族C−H面外変角振動 698.11 (一置換ベンゼン環のパターンなのでポリス
チレン過剰) 800 〜700(s) C−Cl伸縮振動 ・−CH2 −O−Φ−およびR−O−Φ−(エーテル結
合)由来の特性吸収 C−O−C 逆対称伸縮振動 1250付近(s) C−O−C 対称伸縮振動 1050付近(s) ・−NO2 (ニトロ基)由来の特性吸収 O=N=O 逆対称伸縮振動 1550〜1500(s) O=N=O 対称伸縮振動 1360〜1290(s) C−N 伸縮振動 870 付近(s) ・−CHO(アルデヒド基)由来の特性吸収 アルデヒドC−H伸縮振動 2900〜2700に2本(w) アルデヒドC−H変角振動 1390付近(s) C=O伸縮振動 1700付近(s) 元素分析:
【0041】
【表1】
【0042】予め蒸発乾固して製造した[K222+ 18
F- (29mg)/ジメチルスルホキシド溶液(1m
l)に、中間体A1gを浸漬し、140℃で15分加熱
して、18F- によるニトロ基の求核置換反応を行った。
加熱後、アセトニトリル(15ml)で洗浄して不純物
を除去した。この結果、2−メトキシ−4−18フルオロ
−5−ホルミル−フェノキシメチルスチレン−スチレン
共重合体(中間体B)が得られた。
【0043】次いで、ニトロメタン(2ml)を酢酸ア
ンモニウム(50mg)を溶解させた溶液に、中間体B
を浸漬し、100℃で5分還流し、ニトロプロペン形成
反応を行った。反応終了後、蒸留水(10ml)および
メタノール(20ml)で順次洗浄して不純物を除去し
た。この結果、2−メトキシ−4−18フルオロ−5−ニ
トロプロペン−フェノキシメチルスチレン−スチレン共
重合体(中間体C)が得られた。
【0044】そして、水素化リチウムアルミニウム(2
0mg)を添加したジエチルエーテル10mlに中間体
Cを浸漬し、55℃で5分還流し、18Fエチルアミン形
成反応を行った。反応終了後、メタノール(20ml)
で洗浄して不純物を除去した。この結果、2−メトキシ
−4−18フルオロ−5−エチルアミン−フェノキシメチ
ルスチレン−スチレン共重合体(中間体D)が得られ
た。
【0045】さらに、次亜リン酸(50μl)で安定化
したヨウ化水素酸(2ml)に中間体Dを浸漬し、17
0℃で10分間、窒素雰囲気下で加熱した。生成物を含
んだ溶液を6N−水酸化ナトリウムで中和し、この中和
液に27.5mMクエン酸を含んだメタノール溶液を加
え、水溶液をPhenomenexODS1,25×
1.0cmカラム(商標名:フェノメックス社製)に流
速2.0ml/分で通過させ、14〜16分後に溶出す
る成分を分取した。得られた成分は、18F- ドーパミン
であった。この液体クロマトグラフィーの結果を図1に
示す。18F- ドーパミンの溶出時間は、上述のThe Jour
nal of Medical Chemistry, No,34 p.767-771(1991) に
示されたデータと一致していた。最終生成物(18F- ド
ーパミン)を得るまでの合成時間は、95分、放射能は
11mCiであった。
【0046】実施例2 予め別途調製した[K222+ 18F- (29mg)/ジ
メチルスルホキシド溶液(1ml)に、実施例1と同様
に合成した中間体A1gを浸漬し、135℃で15分加
熱して、18F- によるニトロ基の求核置換反応を行っ
た。加熱後、アセトニトリル(15ml)で洗浄して不
純物を除去した。この結果、2−メトキシ−4−18フル
オロ−5−ホルミル−フェノキシメチルスチレン−スチ
レン共重合体(中間体B’)が得られた。
【0047】次いで、ニトロメタン(2ml)を酢酸ア
ンモニウム(50mg)を溶解させた溶液に、中間体
B’を浸漬し、105℃で4分還流し、ニトロプロペン
形成反応を行った。反応終了後、蒸留水(10ml)お
よびメタノール(20ml)で順次洗浄して不純物を除
去した。この結果、2−メトキシ−4−18フルオロ−5
−ニトロプロペン−フェノキシメチルスチレン−スチレ
ン共重合体(中間体C’)が得られた。
【0048】そして、水素化リチウムアルミニウム(2
0mg)を添加したジエチルエーテル10mlに中間体
C’を浸漬し、60℃で10分還流し、18Fエチルアミ
ン形成反応を行った。反応終了後、メタノール(20m
l)で洗浄して不純物を除去した。この結果、2−メト
キシ−4−18フルオロ−5−エチルアミン−フェノキシ
メチルスチレン−スチレン共重合体(中間体D’)が得
られた。
【0049】さらに、次亜リン酸(50μl)で安定化
したヨウ化水素酸(2ml)に中間体D’を浸漬し、1
70℃で13分間、窒素雰囲気下で加熱した。生成物を
含んだ溶液を6N−水酸化ナトリウムで中和し、この中
和液に27.5mMクエン酸を含んだメタノール溶液を
加え、水溶液をPhenomenexODS1,25×
1.0cmカラム(商標名:フェノメックス社製)に流
速2.0ml/分で通過させ、14〜16分後に溶出す
る成分を分取した。得られた成分は、18F- ドーパミン
であった。18F- ドーパミンの溶出時間は、上述のThe
Journal of Medical Chemistry, No,34 p.767-771(199
1) に示されたデータと一致していた。最終生成物(18
F- ドーパミン)を得るまでの合成時間は、100分、
放射能は11mCiであった。
【0050】実施例3 次亜リン酸(50μl)で安定化し、赤リン(100m
g)を含んだヨウ化水素酸(3ml)に、実施例1にお
いて得た中間体Dを浸漬し、165℃で10分、窒素雰
囲気下で加熱した。
【0051】生成物を含んだ溶液を6N−水酸化ナトリ
ウムで中和し、この中和液に27.5mMクエン酸を含
んだメタノール溶液を加え、水溶液をPhenomen
exODS1,25×1.0cmカラム(商標名:フェ
ノメックス社製)に流速2.0ml/分で通過させ、1
4〜16分後に溶出する成分を分取した。得られた成分
は、18F- ドーパミンであった。18F- ドーパミンの溶
出時間は、上述のThe Journal of Medical Chemistry,
No,34 p.767-771(1991) に示されたデータと一致してい
た。最終生成物(18F- ドーパミン)を得るまでの合成
時間は、99分、放射能は12mCiであった。
【0052】
【発明の効果】本発明の18F- ドーパミンの製造方法
は、反応基質を架橋クロルメチルスチレン−スチレン共
重合体にエーテル結合により縮合させている。このた
め、反応基質と試薬との反応は、固液反応により行われ
る。従って、反応生成物−担体複合体を適当な溶媒で洗
浄することにより、未反応物を反応生成物(固体)から
容易に単離することができる。この結果、従来の液々反
応による製造方法での反応生成物の抽出操作を、溶媒で
の洗浄操作だけで行うことが可能であり、製造工程の簡
略化および製造時間の大幅な短縮を達成できる。また、
反応生成物−担体複合体は全て次の反応に提供すること
ができるので、最終的な18F- ドーパミンの収率が向上
し、かつ、充分な収量の18F- ドーパミンを18F- から
合成することができる。この結果、比放射能の高い18
- ドーパミンを容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の18F- ドーパミンの液体クロマトグ
ラフィーの結果を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水野 健一郎 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−67657(JP,A) 特開 平8−143519(JP,A) 特開 平8−325168(JP,A) 特開 平8−325169(JP,A) 特許3134035(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 215/52 C07C 213/00 C07B 57/00 - 59/00 C07M 5:00 C07M 7:00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)一般式(I)で示すイソバニリンを
    ニトロ化して一般式(II)で示す化合物を得る工程、 【化1】 (b)工程(a)で得られた化合物(II)およびジビニ
    ルベンゼンで架橋した架橋クロルメチルスチレン−スチ
    レン共重合体担体にエーテル結合により縮合して一般式
    (III )で示す中間体を得る工程、 【化2】 (c)工程(b)で得られた中間体(III )のニトロ基
    18F- で求核置換して一般式(IV)で示す中間体を得
    る工程、 【化3】 (d)工程(c)で得られた中間体(IV)およびニトロ
    メタンと縮合させて一般式(V)で示す中間体を得る工
    程、 【化4】 (e)工程(d)で得られた中間体(V)を還元反応に
    供して一般式(VI)で示す中間体を得る工程、および、 【化5】 (f)工程(e)で得られた中間体(VI)を加水分解反
    応に供して一般式(VII )で示す18F- ドーパミンを得
    る工程 【化6】 を具備することを特徴とするフッ素放射性同位元素標識
    ドーパミンの製造方法。
  2. 【請求項2】 工程(a)においてイソバニリン(I)
    のニトロ化を発煙硝酸を用いて行う請求項1のフッ素放
    射性同位元素標識ドーパミンの製造方法。
  3. 【請求項3】 工程(b)において6−ニトロイソバニ
    リン(II)の架橋クロルメチルスチレン−スチレン共重
    合体担体へのエーテル結合による縮合を、まず、6−ニ
    トロイソバニリン(II)およびMOH(Mはアルカリ金
    属元素)を極性溶媒中で加熱して一般式(VIII) に示す
    化合物を得た後、前記化合物(VIII)および前記架橋ポ
    リスチレン樹脂担体を加熱することにより行う請求項1
    記載のフッ素放射性同位元素標識ドーパミンの製造方
    法。 【化7】
  4. 【請求項4】 工程(b)において架橋クロルメチルス
    チレン−スチレン共重合体担体が全重量に対して1〜1
    0重量%のジビニルベンゼンによりランダムに架橋した
    三次元構造を有する請求項1記載のフッ素放射性同位元
    素標識ドーパミンの製造方法。
  5. 【請求項5】 工程(b)において架橋クロルメチルス
    チレン−スチレン共重合体担体のクロルメチルスチレン
    モノマーおよびスチレンモノマーのモル比が1:100
    〜1:1である請求項4記載のフッ素放射性同位元素標
    識ドーパミンの製造方法。
  6. 【請求項6】 工程(d)の縮合反応を酢酸−酢酸アン
    モニウム溶液中で行う請求項1記載のフッ素放射性同位
    元素標識ドーパミンの製造方法。
  7. 【請求項7】 工程(e)の還元反応を触媒として水素
    化リチウムアルミニウムの存在下で行う請求項1記載の
    フッ素放射性同位元素標識ドーパミンの製造方法。
  8. 【請求項8】 工程(f)の加水分解反応を、中間体
    (VI)を次亜リン酸で安定化したヨウ化水素酸中で15
    0〜260℃で10〜20分間反応させて行う請求項1
    記載のフッ素放射性同位元素標識ドーパミンの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 工程(f)の加水分解反応において触媒
    として赤リンを用いる請求項1記載のフッ素放射性同位
    元素標識ドーパミンの製造方法。
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