JP3165775B2 - フッ素放射性同位元素標識l−ドーパの製造方法 - Google Patents
フッ素放射性同位元素標識l−ドーパの製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フッ素放射性同位元素
標識L−ドーパの製造方法に関する。
標識L−ドーパの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】医療用画像診断技術の一つであるポジト
ロン断層検査法で使用されるポジトロン放射断層撮影(P
ositron Emission Tomography)(以下、PETという)
システムにおいて、18Fで標識されたフッ素放射性同位
元素標識L−ドーパ(以下、18F−L−ドーパと記す)
は、パーキンソン病、アルツハイマー病等の脳神経伝達
系疾患の診断薬として使用されている。
ロン断層検査法で使用されるポジトロン放射断層撮影(P
ositron Emission Tomography)(以下、PETという)
システムにおいて、18Fで標識されたフッ素放射性同位
元素標識L−ドーパ(以下、18F−L−ドーパと記す)
は、パーキンソン病、アルツハイマー病等の脳神経伝達
系疾患の診断薬として使用されている。
【0003】18F−L−ドーパの製造方法は、例えば、
以下のような方法が知られている。 (1)米国特許5254726号には、18O−H2 Oに
プロトンを照射して原子核変換により18F- を製造し、
この18F- を含む溶液を、ニトロベラトルアルデヒドや
6−ニトロピペラナールのようなニトロ基を有する芳香
族化合物を所定の溶媒に溶解した溶液に添加し、18F-
とニトロ基との間の求核置換反応により、芳香族化合物
を18F- で標識し、その後、必要な反応および抽出工程
を経て、18F−L−ドーパ、2−18F−チロシン、6−
18F−L−ノルアドレナリンまたは6−18F−ドーパミ
ンのような標識芳香族化合物(放射能2〜10mCi)
を合成する方法が開示されている。この方法において、
18F−L−ドーパの場合、p−ニトロピペラナールを出
発物質とし、(i) 18F- によるニトロ基の求核置換反
応、(ii)還元反応、(iii) ブロム化反応、(iv)アルキル
化反応、そして(v) 加水分解反応の5工程を経て合成さ
れる。ここで行われる各種反応は、全て液々反応であ
る。
以下のような方法が知られている。 (1)米国特許5254726号には、18O−H2 Oに
プロトンを照射して原子核変換により18F- を製造し、
この18F- を含む溶液を、ニトロベラトルアルデヒドや
6−ニトロピペラナールのようなニトロ基を有する芳香
族化合物を所定の溶媒に溶解した溶液に添加し、18F-
とニトロ基との間の求核置換反応により、芳香族化合物
を18F- で標識し、その後、必要な反応および抽出工程
を経て、18F−L−ドーパ、2−18F−チロシン、6−
18F−L−ノルアドレナリンまたは6−18F−ドーパミ
ンのような標識芳香族化合物(放射能2〜10mCi)
を合成する方法が開示されている。この方法において、
18F−L−ドーパの場合、p−ニトロピペラナールを出
発物質とし、(i) 18F- によるニトロ基の求核置換反
応、(ii)還元反応、(iii) ブロム化反応、(iv)アルキル
化反応、そして(v) 加水分解反応の5工程を経て合成さ
れる。ここで行われる各種反応は、全て液々反応であ
る。
【0004】(2)The Journal of Nuclear Medicine,
Vol.27 No.12 December 1896-1901(1986) には、20Ne
に重陽子を照射して18F2 を得、一端、アセチルハイポ
フルオライドにして、その後、L−ドーパ誘導体との反
応により18F−L−ドーパを製造する方法が開示されて
いる。
Vol.27 No.12 December 1896-1901(1986) には、20Ne
に重陽子を照射して18F2 を得、一端、アセチルハイポ
フルオライドにして、その後、L−ドーパ誘導体との反
応により18F−L−ドーパを製造する方法が開示されて
いる。
【0005】(3)Appl.Radiat.Isot., Vol.42 No.7 p
629-635(1990) には、18O−H2 Oにプロトンで照射し
て原子核変換により18F- を得た後、この18F- を用い
た、リチウムジイソプロピルアミン(LDA)中でのニ
トロベラトルアルデヒドまたは6−ニトロピペラナール
のニトロ基との求核置換反応により、途中物質として18
F−t−ブチルエステル化合物を経て、18F−L−ドー
パを得る方法(合成時間120分)が開示されている。
629-635(1990) には、18O−H2 Oにプロトンで照射し
て原子核変換により18F- を得た後、この18F- を用い
た、リチウムジイソプロピルアミン(LDA)中でのニ
トロベラトルアルデヒドまたは6−ニトロピペラナール
のニトロ基との求核置換反応により、途中物質として18
F−t−ブチルエステル化合物を経て、18F−L−ドー
パを得る方法(合成時間120分)が開示されている。
【0006】(4)The Journal of Nuclear Medicine,
Vol.31 No.7 July p.1247-1251(1990)には、18O−H2
Oにプロトンを照射して原子核変換により18F- を製造
し、この18F- を用い、ニトロベラトールアルデヒドま
たは6−ニトロピペラノールからニトロ基の求核置換反
応を行い、途中物質として18F−アズラクトン化合物を
経て、18F−L−ドーパを得る方法(合成時間100
分、放射能5mCi)が開示されている。
Vol.31 No.7 July p.1247-1251(1990)には、18O−H2
Oにプロトンを照射して原子核変換により18F- を製造
し、この18F- を用い、ニトロベラトールアルデヒドま
たは6−ニトロピペラノールからニトロ基の求核置換反
応を行い、途中物質として18F−アズラクトン化合物を
経て、18F−L−ドーパを得る方法(合成時間100
分、放射能5mCi)が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、20Ne
に重陽子を照射して製造した18F2 を用いた従来技術
(2)では、18F- の製造時に19F2 を添加する必要が
あり、得られる18F−L−ドーパに不純物の19F−L−
ドーパが混入するため、比放射能が低くなる問題があ
る。
に重陽子を照射して製造した18F2 を用いた従来技術
(2)では、18F- の製造時に19F2 を添加する必要が
あり、得られる18F−L−ドーパに不純物の19F−L−
ドーパが混入するため、比放射能が低くなる問題があ
る。
【0008】一方、18O−H2 Oにプロトンを照射して
製造した18F- を用いた従来技術(1),( 3),( 4) で
は、19F−L−ドーパが混入する問題は解決される。し
かしながら、反応操作の手順が多く、収率が低い。しか
も合成時間が100〜120分間と長いために、その間
に18Fが崩壊(半減期:109.7 分)してしまい、充分な
収量が得られないという問題がある。
製造した18F- を用いた従来技術(1),( 3),( 4) で
は、19F−L−ドーパが混入する問題は解決される。し
かしながら、反応操作の手順が多く、収率が低い。しか
も合成時間が100〜120分間と長いために、その間
に18Fが崩壊(半減期:109.7 分)してしまい、充分な
収量が得られないという問題がある。
【0009】さらに、従来技術( 1),( 4) に従ってリ
チウム触媒を用いず、ノーキャリアアデッド法(No−
Carrier−Added法:18O−H2 Oをプロト
ンで照射して製造した18F- を用いた合成方法)にもと
づいて18F化合物を生成する場合、合成時間が長く、中
間生成物の抽出に3回の抽出処理工程が必要であり、最
終的に回収される生成物の放射能が低くなる[従来技術
(1)の場合、放射能2〜10mCi;従来技術(2)
の場合、放射能5mCi]等の問題がある。以上の理由
から装置化するためには問題点が多く、従来技術
(1),(4)はいずれも装置化まで至っていない。
チウム触媒を用いず、ノーキャリアアデッド法(No−
Carrier−Added法:18O−H2 Oをプロト
ンで照射して製造した18F- を用いた合成方法)にもと
づいて18F化合物を生成する場合、合成時間が長く、中
間生成物の抽出に3回の抽出処理工程が必要であり、最
終的に回収される生成物の放射能が低くなる[従来技術
(1)の場合、放射能2〜10mCi;従来技術(2)
の場合、放射能5mCi]等の問題がある。以上の理由
から装置化するためには問題点が多く、従来技術
(1),(4)はいずれも装置化まで至っていない。
【0010】従来技術( 2) のキャリアアデッド法(C
arrier−Added法:20Neに重陽子を照射し
て製造した18F2 を用いた合成方法)にもとづいて18F
化合物を生成する合成装置は既に製造されている。しか
しながら、上述の通り、18F製造時に多量の不純物(19
F)が残留し、比放射能(18Fの放射能[Ci]/(18F+
19Fの物質量[mol])) が低い。このため、患者への投与
量に対応する放射能に、実際に得られた同量の生成物の
放射能が達しない場合があり、また、不純物(19F−L
−ドーパ)が多い等の問題がある。
arrier−Added法:20Neに重陽子を照射し
て製造した18F2 を用いた合成方法)にもとづいて18F
化合物を生成する合成装置は既に製造されている。しか
しながら、上述の通り、18F製造時に多量の不純物(19
F)が残留し、比放射能(18Fの放射能[Ci]/(18F+
19Fの物質量[mol])) が低い。このため、患者への投与
量に対応する放射能に、実際に得られた同量の生成物の
放射能が達しない場合があり、また、不純物(19F−L
−ドーパ)が多い等の問題がある。
【0011】従来技術(3)のノーキャリアアデッド法
に基づいて18F化合物を生成する場合、リチウム触媒を
用いるので、完全窒素下で試薬を保存し、また、反応を
行わせる必要がある等取扱いが困難であるため、ユーザ
ーが使用する上で容易に取り扱うことが困難であり、産
業上有利な製造方法にはなり得ない。本発明は、かかる
点に鑑みてなされたものであり、18F−L−ドーパを高
収量および短時間で得ることができる18F−L−ドーパ
の製造方法を提供する。
に基づいて18F化合物を生成する場合、リチウム触媒を
用いるので、完全窒素下で試薬を保存し、また、反応を
行わせる必要がある等取扱いが困難であるため、ユーザ
ーが使用する上で容易に取り扱うことが困難であり、産
業上有利な製造方法にはなり得ない。本発明は、かかる
点に鑑みてなされたものであり、18F−L−ドーパを高
収量および短時間で得ることができる18F−L−ドーパ
の製造方法を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)一般式
(I)で示すイソバニリンをニトロ化して一般式(II)で
示す化合物を得る工程、
(I)で示すイソバニリンをニトロ化して一般式(II)で
示す化合物を得る工程、
【0013】
【化7】
【0014】(b)工程(a)で得られた化合物(II)
およびジビニルベンゼンで架橋した架橋クロルメチルス
チレン−スチレン共重合体担体にエーテル結合により縮
合して一般式 (III)で示す中間体を得る工程、
およびジビニルベンゼンで架橋した架橋クロルメチルス
チレン−スチレン共重合体担体にエーテル結合により縮
合して一般式 (III)で示す中間体を得る工程、
【0015】
【化8】 (c)工程(b)で得られた中間体 (III)のニトロ基を
18F- で求核置換して一般式(IV)で示す中間体を得る
工程、
18F- で求核置換して一般式(IV)で示す中間体を得る
工程、
【0016】
【化9】
【0017】(d)工程(c)で得られた中間体(IV)
および2−フェニル−5−オキサゾロンを塩基存在下で
アルドール縮合させて一般式(V)で示す中間体を得る
工程、
および2−フェニル−5−オキサゾロンを塩基存在下で
アルドール縮合させて一般式(V)で示す中間体を得る
工程、
【0018】
【化10】 (e)工程(d)で得られた中間体(V)を還元反応に
供して一般式(VI)で示す18F- D,L−ドーパのラセ
ミ混合物を得る工程、および、
供して一般式(VI)で示す18F- D,L−ドーパのラセ
ミ混合物を得る工程、および、
【0019】
【化11】 (式中、*は不斉中心を示す) (f)工程(e)で得られたラセミ混合物(VI)をラセ
ミ分離して18F- L−ドーパを得る工程を具備すること
を特徴とする18F−L−ドーパの製造方法を提供する。
ミ分離して18F- L−ドーパを得る工程を具備すること
を特徴とする18F−L−ドーパの製造方法を提供する。
【0020】以下、本発明のについて更に詳細に説明す
る。 工程(a) 本発明の出発原料の一つであるイソバニリン(3−ヒド
ロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド)(I)は市販
で入手可能である。イソバニリン(I)をニトロ化して
6−位にニトロ基を導入する。
る。 工程(a) 本発明の出発原料の一つであるイソバニリン(3−ヒド
ロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド)(I)は市販
で入手可能である。イソバニリン(I)をニトロ化して
6−位にニトロ基を導入する。
【0021】イソバニリン(I)のニトロ化は、通常の
ニトロ化反応により行うことができ、例えば、次のよう
にして行われる。まず、イソバニリンをアセトンに溶解
した溶液を10℃以下を保ちながら、発煙硝酸を滴下す
る。反応液を氷水に滴下し、発生した沈澱物をろ過によ
り回収する。沈澱物を水酸化ナトリウム溶液に溶解させ
る。得られた溶液に炭酸ガスを通過させ、発生した沈澱
物を回収する。沈澱物をエタノールから再結晶して、結
晶の形で6−ニトロイソバニリンが得られる。
ニトロ化反応により行うことができ、例えば、次のよう
にして行われる。まず、イソバニリンをアセトンに溶解
した溶液を10℃以下を保ちながら、発煙硝酸を滴下す
る。反応液を氷水に滴下し、発生した沈澱物をろ過によ
り回収する。沈澱物を水酸化ナトリウム溶液に溶解させ
る。得られた溶液に炭酸ガスを通過させ、発生した沈澱
物を回収する。沈澱物をエタノールから再結晶して、結
晶の形で6−ニトロイソバニリンが得られる。
【0022】工程(b) 次に工程(a)で得られた化合物(II)をジビニルベン
ゼンで架橋した架橋クロルメチルスチレン−スチレン共
重合体担体(以下、単に「担体」ともいう)にエーテル
結合により縮合して中間体(III)を得る。
ゼンで架橋した架橋クロルメチルスチレン−スチレン共
重合体担体(以下、単に「担体」ともいう)にエーテル
結合により縮合して中間体(III)を得る。
【0023】ここで用いられる担体は、クロロメチルス
チレンモノマーおよびスチレンモノマーのランダム共重
合体であり、クロロメチルスチレンモノマーおよびスチ
レンモノマーのモル比が、例えば、1:100〜1:1
のものである。この重合体はジビニルベンゼンで架橋し
て三次元構造をとる。ジビニルベンゼンは共重合体全体
に対して例えば1〜10重量%である。
チレンモノマーおよびスチレンモノマーのランダム共重
合体であり、クロロメチルスチレンモノマーおよびスチ
レンモノマーのモル比が、例えば、1:100〜1:1
のものである。この重合体はジビニルベンゼンで架橋し
て三次元構造をとる。ジビニルベンゼンは共重合体全体
に対して例えば1〜10重量%である。
【0024】このような担体への反応化合物である化合
物(II)の結合は、例えば、次のようにして行われる。
まず、化合物(II)を、アルカリ金属水酸化物MOH
(例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム)と、極
性溶媒中で、例えば、50〜150℃で5〜24時間加
熱する。ここで、極性溶媒としては、例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノールのようなア
ルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミ
ドが使用できる。この結果、一般式 (VII)に示すような
化合物が得られる。
物(II)の結合は、例えば、次のようにして行われる。
まず、化合物(II)を、アルカリ金属水酸化物MOH
(例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム)と、極
性溶媒中で、例えば、50〜150℃で5〜24時間加
熱する。ここで、極性溶媒としては、例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノールのようなア
ルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミ
ドが使用できる。この結果、一般式 (VII)に示すような
化合物が得られる。
【0025】
【化12】
【0026】反応終了後、この反応溶液に上述の担体を
加え、例えば、50〜150℃で5〜24時間加熱して
反応させることにより、化合物 (VII)および担体のクロ
ルメチルスチレンモノマーのクロルメチル基との間でエ
ーテル結合が形成されて、上記一般式 (III)で示す基質
−担体複合体(以下、18F標識化合物合成用中間体と記
す)が得られる。
加え、例えば、50〜150℃で5〜24時間加熱して
反応させることにより、化合物 (VII)および担体のクロ
ルメチルスチレンモノマーのクロルメチル基との間でエ
ーテル結合が形成されて、上記一般式 (III)で示す基質
−担体複合体(以下、18F標識化合物合成用中間体と記
す)が得られる。
【0027】工程(c) 工程(b)で得られた18F標識化合物合成用中間体のニ
トロ基を、18Fで求核置換して中間体(IV)を得る。18F
求核置換反応は、例えば、18F標識化合物合成用中間体
を充填したカラムに、[K222 ]+ ・18F- 塩をジメチ
ルスルホキシドに溶解した溶液を満たし、120〜14
0℃、15〜20分間加熱することにより行われる。こ
こで、K222 とは、クリプタンド:C18H36N2 O8 を
示す。
トロ基を、18Fで求核置換して中間体(IV)を得る。18F
求核置換反応は、例えば、18F標識化合物合成用中間体
を充填したカラムに、[K222 ]+ ・18F- 塩をジメチ
ルスルホキシドに溶解した溶液を満たし、120〜14
0℃、15〜20分間加熱することにより行われる。こ
こで、K222 とは、クリプタンド:C18H36N2 O8 を
示す。
【0028】この結果、生成した18F求核置換化合物部
位(2−メトキシ−4−18フルオロ−5−ホルミル−フ
ェニル基)は、担体にエーテル結合により結合している
ため、例えばアセトニトリル等の溶媒によりカラム内を
洗浄して、未反応物を容易に分離することができる。ま
た、溶媒はカラムを加熱することにより除去することが
できる。
位(2−メトキシ−4−18フルオロ−5−ホルミル−フ
ェニル基)は、担体にエーテル結合により結合している
ため、例えばアセトニトリル等の溶媒によりカラム内を
洗浄して、未反応物を容易に分離することができる。ま
た、溶媒はカラムを加熱することにより除去することが
できる。
【0029】18F- は、通常の原子核変換技術により製
造することができる。例えば、18O−H2 Oにサイクロ
トロンでプロトン照射して原子核変換することにより製
造することができる。
造することができる。例えば、18O−H2 Oにサイクロ
トロンでプロトン照射して原子核変換することにより製
造することができる。
【0030】工程(d) 工程(c)で得られた中間体(IV)と2−フェニル−5
−オキサゾロンとを塩基の存在下でアルドール縮合させ
て、一般式(V)で示されるアズラクトン誘導体を得
る。ここで、塩基としては、例えば、1,4−ジアザビ
シクロ[2,2,2]オクタンが使用できる。より詳細
には、例えば、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]
オクタンを溶解したアルコール溶液を、中間体(IV)を
充填したカラムに満たし、130〜150℃で5〜15
分間加熱する。ここで用いられるアルコールは、例え
ば、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロ
パノール、ブタノールまたは2−ブタノールである。
−オキサゾロンとを塩基の存在下でアルドール縮合させ
て、一般式(V)で示されるアズラクトン誘導体を得
る。ここで、塩基としては、例えば、1,4−ジアザビ
シクロ[2,2,2]オクタンが使用できる。より詳細
には、例えば、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]
オクタンを溶解したアルコール溶液を、中間体(IV)を
充填したカラムに満たし、130〜150℃で5〜15
分間加熱する。ここで用いられるアルコールは、例え
ば、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロ
パノール、ブタノールまたは2−ブタノールである。
【0031】生成した18Fアズラクトン化合物部位は、
担体に結合しているため、例えばメタノールのような溶
媒でカラム内を洗浄し、未反応物と容易に分離すること
ができる。溶媒はカラムを加熱して揮発させることによ
り除去できる。
担体に結合しているため、例えばメタノールのような溶
媒でカラム内を洗浄し、未反応物と容易に分離すること
ができる。溶媒はカラムを加熱して揮発させることによ
り除去できる。
【0032】工程(e) 次に、工程(d)で得られたアズラクトン誘導体(V)
を還元反応に供する。これにより、18Fアズラクトン化
合物部位および担体の間のベンジルエーテル結合が還元
的に切断されると共に、2位のメトキシ基においてもメ
チル基およびフェニル基の間のエーテル結合が還元的に
切断される。また、アズラクトンの5員環のC−Nおよ
びC−O結合が切断される。この結果、一般式(VI)に
示す18F−D,L−ドーパラセミ混合物が得られる。
を還元反応に供する。これにより、18Fアズラクトン化
合物部位および担体の間のベンジルエーテル結合が還元
的に切断されると共に、2位のメトキシ基においてもメ
チル基およびフェニル基の間のエーテル結合が還元的に
切断される。また、アズラクトンの5員環のC−Nおよ
びC−O結合が切断される。この結果、一般式(VI)に
示す18F−D,L−ドーパラセミ混合物が得られる。
【0033】化合物(V)の還元反応は、例えば、次亜
リン酸で安定化させたヨウ化水素酸溶液をアズラクトン
誘導体(V)を充填したカラムに満たし、200〜26
0℃で10〜20分間加熱して行うことができる。この
後、例えば、H2 Oをカラムに流し、生成物を担体から
溶離できる。次いで、溶離液を、例えば、水酸化ナトリ
ウムで中和することにより18F−D,L−ドーパラセミ
混合物(VI)を回収することができる。
リン酸で安定化させたヨウ化水素酸溶液をアズラクトン
誘導体(V)を充填したカラムに満たし、200〜26
0℃で10〜20分間加熱して行うことができる。この
後、例えば、H2 Oをカラムに流し、生成物を担体から
溶離できる。次いで、溶離液を、例えば、水酸化ナトリ
ウムで中和することにより18F−D,L−ドーパラセミ
混合物(VI)を回収することができる。
【0034】上述の還元反応の際に、触媒として赤リン
を使用することもできる。また、氷酢酸およびエタノー
ルに塩酸ヒドロキシルアミンを溶解した後水で希釈した
溶液を、次亜リン酸で安定化させたヨウ化水素酸溶液に
添加することもできる。 工程(f) 最後に、工程(e)で得られた18F−D,L−ドーパラ
セミ混合物(VI)を、常法に従って、ラセミ分離して目
的の18F−L−ドーパを得る。ラセミ分離は、例えば、
18F−D,L−ドーパラセミ混合物(VI)をHPLC
(高速液体クロマトグラフィー)により抽出して行うこ
とができる。
を使用することもできる。また、氷酢酸およびエタノー
ルに塩酸ヒドロキシルアミンを溶解した後水で希釈した
溶液を、次亜リン酸で安定化させたヨウ化水素酸溶液に
添加することもできる。 工程(f) 最後に、工程(e)で得られた18F−D,L−ドーパラ
セミ混合物(VI)を、常法に従って、ラセミ分離して目
的の18F−L−ドーパを得る。ラセミ分離は、例えば、
18F−D,L−ドーパラセミ混合物(VI)をHPLC
(高速液体クロマトグラフィー)により抽出して行うこ
とができる。
【0035】上述の18F−L−ドーパの製造方法では、
例えば、一般式 (III)で示す18F標識化合物合成用中間
体のように、反応基質である2−メトキシ−4−ニトロ
−5−ホルミル−フェニル基が、架橋クロルメチルスチ
レン−スチレン共重合体担体にエーテル結合している。
このため、反応基質と反応試薬との反応は固液反応によ
り行われる。従って、適当な溶媒で反応生成物−担体複
合体を洗浄することにより、未反応の反応試薬及び不純
物を容易に除去することができる。この結果、各工程ご
とに必要である目的生成物の単離を極めて容易に行うこ
とができるので、18F−L−ドーパの製造に必要な操作
を簡略化し、所要時間を大幅に短縮することが可能であ
る。特に、従来の液々反応による製造方法では、各工程
ごとに抽出用治具を使用して抽出操作を行って反応生成
物を単離する必要があったが、本発明の方法では、抽出
操作は最終的なラセミ分離の際にのみ行うだけで済む。
従って、本発明の製造方法によれば、安価な製造装置に
より実施可能であり、経済的にも有用である。また、リ
チウム触媒等の取り扱いが困難な試薬を使用する必要が
ない利点も有する。
例えば、一般式 (III)で示す18F標識化合物合成用中間
体のように、反応基質である2−メトキシ−4−ニトロ
−5−ホルミル−フェニル基が、架橋クロルメチルスチ
レン−スチレン共重合体担体にエーテル結合している。
このため、反応基質と反応試薬との反応は固液反応によ
り行われる。従って、適当な溶媒で反応生成物−担体複
合体を洗浄することにより、未反応の反応試薬及び不純
物を容易に除去することができる。この結果、各工程ご
とに必要である目的生成物の単離を極めて容易に行うこ
とができるので、18F−L−ドーパの製造に必要な操作
を簡略化し、所要時間を大幅に短縮することが可能であ
る。特に、従来の液々反応による製造方法では、各工程
ごとに抽出用治具を使用して抽出操作を行って反応生成
物を単離する必要があったが、本発明の方法では、抽出
操作は最終的なラセミ分離の際にのみ行うだけで済む。
従って、本発明の製造方法によれば、安価な製造装置に
より実施可能であり、経済的にも有用である。また、リ
チウム触媒等の取り扱いが困難な試薬を使用する必要が
ない利点も有する。
【0036】従来の方法では、1日1回の合成で5mC
i程度しか回収できない。しかも、この回収量は合成が
成功した場合に得られる量であって、実際に医療現場で
は合成に失敗して所望の回収量を得られないことが多
い。このため、2〜3回に1回は必要量が得られない場
合が多い。しかしながら、本発明の18F−L−ドーパの
製造方法によれば、回収量が多いため、回収量不足にな
ることがなく、必要量の18F−L−ドーパを医療現場で
確実にその都度製造することができる。
i程度しか回収できない。しかも、この回収量は合成が
成功した場合に得られる量であって、実際に医療現場で
は合成に失敗して所望の回収量を得られないことが多
い。このため、2〜3回に1回は必要量が得られない場
合が多い。しかしながら、本発明の18F−L−ドーパの
製造方法によれば、回収量が多いため、回収量不足にな
ることがなく、必要量の18F−L−ドーパを医療現場で
確実にその都度製造することができる。
【0037】また、架橋クロルメチルスチレン−スチレ
ン共重合体担体は、化学的に安定で、物理的強度が高
く、しかも熱的安定性が高い。このため、工程(c)の
18F求核置換反応、工程(d)のアルドール縮合による
アズラクトン誘導体の合成、および、工程(e)の還元
反応において、120〜260℃の高温条件下にさらさ
れても安定である。
ン共重合体担体は、化学的に安定で、物理的強度が高
く、しかも熱的安定性が高い。このため、工程(c)の
18F求核置換反応、工程(d)のアルドール縮合による
アズラクトン誘導体の合成、および、工程(e)の還元
反応において、120〜260℃の高温条件下にさらさ
れても安定である。
【0038】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。 実施例1 イソバニリン(アルドリッチ社製)10gをアセトン5
0mlに溶解した溶液を4℃以下を保ちながら、発煙硝
酸を滴下した。反応溶液を氷水2000mlに滴下し、
生成した沈澱物をろ過により回収した。沈澱物を0.5
N−水酸化ナトリウム溶液(350ml)に溶解し、溶
解液に炭酸ガスを通過させ、生成した沈澱物をろ別して
回収した。沈澱物を一旦エタノール(200ml)に溶
解させ、再結晶により析出した結晶を回収した。
0mlに溶解した溶液を4℃以下を保ちながら、発煙硝
酸を滴下した。反応溶液を氷水2000mlに滴下し、
生成した沈澱物をろ過により回収した。沈澱物を0.5
N−水酸化ナトリウム溶液(350ml)に溶解し、溶
解液に炭酸ガスを通過させ、生成した沈澱物をろ別して
回収した。沈澱物を一旦エタノール(200ml)に溶
解させ、再結晶により析出した結晶を回収した。
【0039】得られた再結晶物(1.0g)と水酸化カ
リウム(0.4g)をメタノール(100ml)に溶解
し、メタノールの還流温度64℃(1気圧)で加熱して
7時間反応させた。反応終了後、この反応溶液に、全重
量に対して2wt%のジビニルベンゼンがランダムに架
橋した三次元構造を有する架橋クロルメチルスチレン−
スチレン共重合体(モル比1:9)(和光純薬(株)
製)5gを加えた後、64℃で加熱して24時間反応さ
せた。この結果、2−メトキシ−5−ホルミル−4−ニ
トロフェノキシメチルスチレン−スチレン共重合体(中
間体A)5.8gを得た。
リウム(0.4g)をメタノール(100ml)に溶解
し、メタノールの還流温度64℃(1気圧)で加熱して
7時間反応させた。反応終了後、この反応溶液に、全重
量に対して2wt%のジビニルベンゼンがランダムに架
橋した三次元構造を有する架橋クロルメチルスチレン−
スチレン共重合体(モル比1:9)(和光純薬(株)
製)5gを加えた後、64℃で加熱して24時間反応さ
せた。この結果、2−メトキシ−5−ホルミル−4−ニ
トロフェノキシメチルスチレン−スチレン共重合体(中
間体A)5.8gを得た。
【0040】得られた中間体Aの物理的データは次の通
りであった。 IR ν (cm-1) 3101.01 3081.73 3058.59 3025.80 3000.73 2921.66 2848.38 1941.99 1868.71 1801.21 1718.28 1600.65 1583.29 1540.86 1492.65 1452.15 1371.16 1326.80 1313.30 1267.02 1180.24 1155.17 1068.38 1027.89 979.67 966.17 941.10 906.39 840.82 796.47 755.97 698.11 619.05 539.98 3079.80 芳香族C−H伸縮振動 3058.59 3025.80 2921.66 メチレンC−H伸縮振動 2850.31 1943.92 倍音振動または結合振動吸収帯 1872.56 1803.74 1720.21 1700.93 1600.65 芳香環伸縮による面内骨格振動 1542.79 1490.72 1448.30 1400〜800 指紋領域 757.90 芳香族C−H面外変角振動 698.11 (一置換ベンゼン環のパターンなのでポリス
チレン過剰) 800 〜700(s) C−Cl伸縮振動 ・−CH2 −O−Φ−およびR−O−Φ−(エーテル結
合)由来の特性吸収 C−O−C 逆対称伸縮振動 1250付近(s) C−O−C 対称伸縮振動 1050付近(s) ・−NO2 (ニトロ基)由来の特性吸収 O=N=O 逆対称伸縮振動 1550〜1500(s) O=N=O 対称伸縮振動 1360〜1290(s) C−N 伸縮振動 870 付近(s) ・−CHO(アルデヒド基)由来の特性吸収 アルデヒドC−H伸縮振動 2900〜2700に2本(w) アルデヒドC−H変角振動 1390付近(s) C=O伸縮振動 1700付近(s) 元素分析:
りであった。 IR ν (cm-1) 3101.01 3081.73 3058.59 3025.80 3000.73 2921.66 2848.38 1941.99 1868.71 1801.21 1718.28 1600.65 1583.29 1540.86 1492.65 1452.15 1371.16 1326.80 1313.30 1267.02 1180.24 1155.17 1068.38 1027.89 979.67 966.17 941.10 906.39 840.82 796.47 755.97 698.11 619.05 539.98 3079.80 芳香族C−H伸縮振動 3058.59 3025.80 2921.66 メチレンC−H伸縮振動 2850.31 1943.92 倍音振動または結合振動吸収帯 1872.56 1803.74 1720.21 1700.93 1600.65 芳香環伸縮による面内骨格振動 1542.79 1490.72 1448.30 1400〜800 指紋領域 757.90 芳香族C−H面外変角振動 698.11 (一置換ベンゼン環のパターンなのでポリス
チレン過剰) 800 〜700(s) C−Cl伸縮振動 ・−CH2 −O−Φ−およびR−O−Φ−(エーテル結
合)由来の特性吸収 C−O−C 逆対称伸縮振動 1250付近(s) C−O−C 対称伸縮振動 1050付近(s) ・−NO2 (ニトロ基)由来の特性吸収 O=N=O 逆対称伸縮振動 1550〜1500(s) O=N=O 対称伸縮振動 1360〜1290(s) C−N 伸縮振動 870 付近(s) ・−CHO(アルデヒド基)由来の特性吸収 アルデヒドC−H伸縮振動 2900〜2700に2本(w) アルデヒドC−H変角振動 1390付近(s) C=O伸縮振動 1700付近(s) 元素分析:
【0041】
【表1】
【0042】予め蒸発乾固して製造した[K222 ]+ 18
F- (29mg)/ジメチルスルホキシド溶液(1m
l)に、中間体A1gを浸漬し、140℃で15分加熱
して、18F−によるニトロ基の求核置換反応を行った。
加熱後、アセトニトリル(15ml)で洗浄して不純物
を除去した。この結果、2−メトキシ−4−18フルオロ
−5−ホルミル−フェノキシメチルスチレン−スチレン
共重合体(中間体B)が得られた。
F- (29mg)/ジメチルスルホキシド溶液(1m
l)に、中間体A1gを浸漬し、140℃で15分加熱
して、18F−によるニトロ基の求核置換反応を行った。
加熱後、アセトニトリル(15ml)で洗浄して不純物
を除去した。この結果、2−メトキシ−4−18フルオロ
−5−ホルミル−フェノキシメチルスチレン−スチレン
共重合体(中間体B)が得られた。
【0043】次いで、2−フェニル−5−オキサゾロン
(50mg)および1,4−ジアザビシクロ[2,2,
2]オクタン(100mg)をエタノール(1ml)で
溶解した溶液に、中間体Bを浸漬し、140℃で10分
加熱し、アルドール縮合によりアズラクトン導入反応を
行った。反応終了後、エタノール(15ml)で洗浄し
て不純物を除去した。この結果、2−メトキシ−4−18
フルオロ−5−(5−オキソ−2−フェニル−4−オキ
サゾリニリデンメチル)フェノキシメチルスチレン−ス
チレン共重合体(中間体C)が得られた。
(50mg)および1,4−ジアザビシクロ[2,2,
2]オクタン(100mg)をエタノール(1ml)で
溶解した溶液に、中間体Bを浸漬し、140℃で10分
加熱し、アルドール縮合によりアズラクトン導入反応を
行った。反応終了後、エタノール(15ml)で洗浄し
て不純物を除去した。この結果、2−メトキシ−4−18
フルオロ−5−(5−オキソ−2−フェニル−4−オキ
サゾリニリデンメチル)フェノキシメチルスチレン−ス
チレン共重合体(中間体C)が得られた。
【0044】さらに、次亜リン酸(50μl)で安定化
し、赤リン(100mg)を含んだヨウ化水素酸に、ア
ズラクトン導入反応を経た中間体(C)を浸漬し、22
0℃で15分、窒素雰囲気下で加熱した。
し、赤リン(100mg)を含んだヨウ化水素酸に、ア
ズラクトン導入反応を経た中間体(C)を浸漬し、22
0℃で15分、窒素雰囲気下で加熱した。
【0045】生成物を含んだ溶液を6N−水酸化ナトリ
ウムで中和し、赤リンをろ別した後、ろ液に0.1%酢
酸水溶液を加え、水溶液をWhatman Parti
sil 10 ODS−3逆相カラム(商標名:ワット
マン株式会社製品)に流速4ml/分で通過させ、17
分後に溶出する成分を分取した。得られた成分は、18F
−D,L−ドーパラセミ混合物であった。この液体クロ
マトグラフィーの結果を図1に示す。18F−D,L−ド
ーパラセミ混合物の溶出時間は、The Journalof Nuclea
r Medicine vol. 31, No.7, July 1990 P.1247-1251 に
示されたデータと一致していた。
ウムで中和し、赤リンをろ別した後、ろ液に0.1%酢
酸水溶液を加え、水溶液をWhatman Parti
sil 10 ODS−3逆相カラム(商標名:ワット
マン株式会社製品)に流速4ml/分で通過させ、17
分後に溶出する成分を分取した。得られた成分は、18F
−D,L−ドーパラセミ混合物であった。この液体クロ
マトグラフィーの結果を図1に示す。18F−D,L−ド
ーパラセミ混合物の溶出時間は、The Journalof Nuclea
r Medicine vol. 31, No.7, July 1990 P.1247-1251 に
示されたデータと一致していた。
【0046】次にラセミ体分割を行うために、先の工程
で得られた18F−D,L−ドーパラセミ混合物を含む溶
出液を、リン酸二水素ナトリウム(5×10-2M)とC
uSO4 (10-3M)水溶液に浸し、キラルProCu
=Si 100カラム(商標名:Polylab−Se
rva社製品)に流速1.5ml/分で通過させた。こ
のとき、18F−L−ドーパは、9分後溶出し、最終生成
物(18F−L−ドーパ)を得るまでの合成時間は、80
分、放射能は25mCiであった。
で得られた18F−D,L−ドーパラセミ混合物を含む溶
出液を、リン酸二水素ナトリウム(5×10-2M)とC
uSO4 (10-3M)水溶液に浸し、キラルProCu
=Si 100カラム(商標名:Polylab−Se
rva社製品)に流速1.5ml/分で通過させた。こ
のとき、18F−L−ドーパは、9分後溶出し、最終生成
物(18F−L−ドーパ)を得るまでの合成時間は、80
分、放射能は25mCiであった。
【0047】 収率(End of Bombardment; EOB) 85% 実施例2 予め別途調製した[K222 ]+ 18F- (29mg)/ジ
メチルスルホキシド溶液(1ml)に、実施例1と同様
に合成した中間体A1gを浸漬し、130℃で20分加
熱して、18F−によるニトロ基の求核置換反応を行っ
た。加熱後、アセトニトリル(15ml)で洗浄して不
純物を除去した。この結果、2−メトキシ−4−18フル
オロ−5−ホルミル−フェノキシメチルスチレン−スチ
レン共重合体(中間体B’)が得られた。
メチルスルホキシド溶液(1ml)に、実施例1と同様
に合成した中間体A1gを浸漬し、130℃で20分加
熱して、18F−によるニトロ基の求核置換反応を行っ
た。加熱後、アセトニトリル(15ml)で洗浄して不
純物を除去した。この結果、2−メトキシ−4−18フル
オロ−5−ホルミル−フェノキシメチルスチレン−スチ
レン共重合体(中間体B’)が得られた。
【0048】次いで、2−フェニル−5−オキサゾロン
(50mg)および1,4−ジアザビシクロ[2,2,
2]オクタン(100mg)をエタノール(1ml)で
溶解した溶液に、中間体B’を浸漬し、140℃で10
分加熱し、アルドール縮合によりアズラクトン導入反応
を行った。反応終了後、エタノール(15ml)で洗浄
して不純物を除去した。この結果、2−メトキシ−4−
18フルオロ−5−(5−オキソ−2−フェニル−4−オ
キサゾリニリデンメチル)フェノキシメチルスチレン−
スチレン共重合体(中間体C’)が得られた。
(50mg)および1,4−ジアザビシクロ[2,2,
2]オクタン(100mg)をエタノール(1ml)で
溶解した溶液に、中間体B’を浸漬し、140℃で10
分加熱し、アルドール縮合によりアズラクトン導入反応
を行った。反応終了後、エタノール(15ml)で洗浄
して不純物を除去した。この結果、2−メトキシ−4−
18フルオロ−5−(5−オキソ−2−フェニル−4−オ
キサゾリニリデンメチル)フェノキシメチルスチレン−
スチレン共重合体(中間体C’)が得られた。
【0049】さらに、氷酢酸(19ml)およびエタノ
ール(40ml)に塩酸ヒドロキシルアミン(7g)を
溶解し、蒸留水で全量70mlまで希釈した後、40℃
・2分間加熱した。この溶液2mlを、次亜リン酸(5
0μl)で安定化したヨウ化水素酸(2ml)に加え、
これにアズラクトン導入反応を経た中間体(C’)を浸
漬し、220℃で15分、窒素雰囲気下で加熱した。
ール(40ml)に塩酸ヒドロキシルアミン(7g)を
溶解し、蒸留水で全量70mlまで希釈した後、40℃
・2分間加熱した。この溶液2mlを、次亜リン酸(5
0μl)で安定化したヨウ化水素酸(2ml)に加え、
これにアズラクトン導入反応を経た中間体(C’)を浸
漬し、220℃で15分、窒素雰囲気下で加熱した。
【0050】生成物を含んだ溶液を6N−水酸化ナトリ
ウムで中和し、0.1%酢酸水溶液を加えた。この水溶
液をWhatman Partisil 10 ODS
−3逆相カラム(商標名:ワットマン株式会社製品)に
流速4ml/分で通過させ、17分後に溶出する成分を
分取した。得られた成分は、18F−D,L−ドーパラセ
ミ混合物であった。
ウムで中和し、0.1%酢酸水溶液を加えた。この水溶
液をWhatman Partisil 10 ODS
−3逆相カラム(商標名:ワットマン株式会社製品)に
流速4ml/分で通過させ、17分後に溶出する成分を
分取した。得られた成分は、18F−D,L−ドーパラセ
ミ混合物であった。
【0051】次にラセミ体分割を行うために、先の工程
で得られた18F−D,L−ドーパラセミ混合物を含む溶
出液を、リン酸二水素ナトリウム(5×10-2M)とC
uSO4 (10-3M)水溶液に浸し、キラルProCu
=Si 100カラム(商標名:Polylab−Se
rva社製品)に流速1.5ml/分で通過させた。こ
のとき、18F−L−ドーパは、9分後溶出し、最終生成
物(18F−L−ドーパ)を得るまでの合成時間は、92
分、放射能は15mCiであった。
で得られた18F−D,L−ドーパラセミ混合物を含む溶
出液を、リン酸二水素ナトリウム(5×10-2M)とC
uSO4 (10-3M)水溶液に浸し、キラルProCu
=Si 100カラム(商標名:Polylab−Se
rva社製品)に流速1.5ml/分で通過させた。こ
のとき、18F−L−ドーパは、9分後溶出し、最終生成
物(18F−L−ドーパ)を得るまでの合成時間は、92
分、放射能は15mCiであった。
【0052】 収率(End of Bombardment; EOB) 80% 実施例3 次亜リン酸(50μl)で安定化したヨウ化水素酸(2
ml)に、実施例1においてアズラクトン導入反応を経
た中間体(C)を浸漬し、235℃で15分、窒素雰囲
気下で加熱した。
ml)に、実施例1においてアズラクトン導入反応を経
た中間体(C)を浸漬し、235℃で15分、窒素雰囲
気下で加熱した。
【0053】生成物を含んだ溶液を6N−水酸化ナトリ
ウムで中和し、0.1%酢酸水溶液を加えた。この水溶
液をWhatman Partisil 10 ODS
−3逆相カラム(商標名:ワットマン株式会社製品)に
流速4ml/分で通過させ、17分後に溶出する成分を
分取した。得られた成分は、18F−D,L−ドーパラセ
ミ混合物であった。
ウムで中和し、0.1%酢酸水溶液を加えた。この水溶
液をWhatman Partisil 10 ODS
−3逆相カラム(商標名:ワットマン株式会社製品)に
流速4ml/分で通過させ、17分後に溶出する成分を
分取した。得られた成分は、18F−D,L−ドーパラセ
ミ混合物であった。
【0054】次にラセミ体分割を行うために、先の工程
で得られた18F−D,L−ドーパラセミ混合物を含む溶
出液を、リン酸二水素ナトリウム(5×10-2M)とC
uSO4 (10-3M)水溶液に浸し、キラルProCu
=Si 100カラム(商標名:Polylab−Se
rva社製品)に流速1.5ml/分で通過させた。こ
のとき、18F−L−ドーパは、9分後溶出し、最終生成
物(18F−L−ドーパ)を得るまでの合成時間は、85
分、放射能は19mCiであった。 収率(End of Bombardment; EOB) 83%
で得られた18F−D,L−ドーパラセミ混合物を含む溶
出液を、リン酸二水素ナトリウム(5×10-2M)とC
uSO4 (10-3M)水溶液に浸し、キラルProCu
=Si 100カラム(商標名:Polylab−Se
rva社製品)に流速1.5ml/分で通過させた。こ
のとき、18F−L−ドーパは、9分後溶出し、最終生成
物(18F−L−ドーパ)を得るまでの合成時間は、85
分、放射能は19mCiであった。 収率(End of Bombardment; EOB) 83%
【0055】
【発明の効果】本発明の18F−L−ドーパの製造方法
は、反応基質を架橋クロルメチルスチレン−スチレン共
重合体にエーテル結合により縮合させている。このた
め、反応基質と試薬との反応は、固液反応により行われ
る。従って、反応生成物−担体複合体を適当な溶媒で洗
浄することにより、未反応物を反応生成物(固体)から
容易に単離することができる。この結果、従来の液々反
応による製造方法での反応生成物の抽出操作を、溶媒で
の洗浄操作だけで行うことが可能であり、製造工程の簡
略化および製造時間の大幅な短縮を達成できる。また、
反応生成物−担体複合体は全て次の反応に提供すること
ができるので、最終的な18F−L−ドーパの収率が向上
し、かつ、充分な収量の18F−L−ドーパを18F- から
合成することができる。この結果、比放射能の高い18F
−L−ドーパを容易に製造できる。
は、反応基質を架橋クロルメチルスチレン−スチレン共
重合体にエーテル結合により縮合させている。このた
め、反応基質と試薬との反応は、固液反応により行われ
る。従って、反応生成物−担体複合体を適当な溶媒で洗
浄することにより、未反応物を反応生成物(固体)から
容易に単離することができる。この結果、従来の液々反
応による製造方法での反応生成物の抽出操作を、溶媒で
の洗浄操作だけで行うことが可能であり、製造工程の簡
略化および製造時間の大幅な短縮を達成できる。また、
反応生成物−担体複合体は全て次の反応に提供すること
ができるので、最終的な18F−L−ドーパの収率が向上
し、かつ、充分な収量の18F−L−ドーパを18F- から
合成することができる。この結果、比放射能の高い18F
−L−ドーパを容易に製造できる。
【図1】本発明の実施例における18F−ドーパの液体ク
ロマトグラフィーの結果を示す特性図。
ロマトグラフィーの結果を示す特性図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山崎 茂樹 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 大崎 勝彦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 水野 健一郎 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 加藤 政雄 茨城県つくば市上広岡460−167 (72)発明者 片岡 一則 千葉県柏市大室1083−4 (56)参考文献 特開 平8−143518(JP,A) 特開 平8−143519(JP,A) 特開 平8−325168(JP,A) 特開 平8−325169(JP,A) 特許3134035(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 229/36 C07C 227/22 C07C 227/34 C07B 59/00 C07M 5:00 C07M 7:00 CA(STN) REGISTRY(STN)
Claims (8)
- 【請求項1】(a)一般式(I)で示すイソバニリンを
ニトロ化して一般式(II)で示す化合物を得る工程、 【化1】 (b)工程(a)で得られた化合物(II)およびジビニ
ルベンゼンで架橋した架橋クロルメチルスチレン−スチ
レン共重合体担体にエーテル結合により縮合して一般式
(III)で示す中間体を得る工程、 【化2】 (c)工程(b)で得られた中間体 (III)のニトロ基を
18F- で求核置換して一般式(IV)で示す中間体を得る
工程、 【化3】 (d)工程(c)で得られた中間体(IV)および2−フ
ェニル−5−オキサゾロンを塩基存在下でアルドール縮
合させて一般式(V)で示す中間体を得る工程、 【化4】 (e)工程(d)で得られた中間体(V)を還元反応に
供して一般式(VI)で示す18F- D,L−ドーパのラセ
ミ混合物を得る工程、および、 【化5】 (式中、*は不斉中心を示す) (f)工程(e)で得られたラセミ混合物(VI)をラセ
ミ分離して18F- L−ドーパを得る工程を具備すること
を特徴とするフッ素放射性同位元素標識L−ドーパの製
造方法。 - 【請求項2】 工程(a)においてイソバニリン(I)
のニトロ化を発煙硝酸を用いて行う請求項1のフッ素放
射性同位元素標識L−ドーパの製造方法。 - 【請求項3】 工程(b)において6−ニトロイソバニ
リン(II)の架橋クロルメチルスチレン−スチレン共重
合体担体へのエーテル結合による縮合を、まず、6−ニ
トロイソバニリン(II)およびMOH(Mはアルカリ金
属元素)を極性溶媒中で加熱して一般式(VII)に示す化
合物を得た後、前記化合物 (VII)および前記架橋ポリス
チレン樹脂担体を加熱することにより行う請求項1記載
のフッ素放射性同位元素標識L−ドーパの製造方法。 【化6】 - 【請求項4】 工程(c)において用いる18F- を18O
−H2 Oにプロトンを照射して原子核変換することによ
り得る請求項1記載のフッ素放射性同位元素標識L−ド
ーパの製造方法。 - 【請求項5】 工程(d)において塩基が1,4−ジア
ザビシクロ[2,2,2]オクタンである請求項1記載
のフッ素放射性同位元素標識L−ドーパの製造方法。 - 【請求項6】 工程(e)の還元反応を、中間体(V)
を次亜リン酸で安定化したヨウ化水素酸中で150〜2
60℃で10〜20分間反応させて行う請求項1記載の
フッ素放射性同位元素標識L−ドーパの製造方法。 - 【請求項7】 工程(e)の還元反応において触媒とし
て赤リンを用いる請求項8記載のフッ素放射性同位元素
標識L−ドーパの製造方法。 - 【請求項8】 工程(e)の還元反応を、中間体(V)
を、氷酢酸およびエタノールに塩酸ヒドロキシルアミン
を溶解した後水で希釈した溶液を添加した次亜リン酸で
安定化したヨウ化水素酸中で150〜260℃で10〜
20分間反応させて行う請求項1記載のフッ素放射性同
位元素標識L−ドーパの製造方法。
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JP20665794A JP3165775B2 (ja) | 1994-08-31 | 1994-08-31 | フッ素放射性同位元素標識l−ドーパの製造方法 |
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-
1994
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