JP3169434B2 - アントラキノン−2−スルホン酸ナトリウムの精製方法 - Google Patents

アントラキノン−2−スルホン酸ナトリウムの精製方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアントラキノン−2−ス
ルホン酸ナトリウムの精製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】工業薬
品として市販されているアントラキノン−2−スルホン
酸ナトリウムは純度が95〜97%であり、無機塩とし
て塩化ナトリウムが200〜300ppm、硫酸ナトリ
ウムが1〜2%、鉄イオン分が約100ppm含まれて
いる。
【0003】アントラキノン−2−スルホン酸ナトリウ
ムを、樹脂製造用重合コントロール剤として使用する場
合には、純度が99%以上、各無機成分が50ppm以
下という品質が要求されるが、この様に高純度、高品質
が要求される用途の場合には、さらに精製する必要があ
る。そこで、水のみによる再結晶を試みたが、純度及び
上記の無機成分の除去は十分でなく、改良しなければな
らないことを確認した。
【0004】
【発明を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく、鋭意検討した結果、活性炭及びキレート
剤処理の2つの手法を組み合わせることにより、高純度
であり、かつ無機成分の非常に少ないアントラキノン−
2−スルホン酸ナトリウムを得ることに成功し、本発明
を完成した。すなわち、本発明は粗製のアントラキノン
−2−スルホン酸ナトリウムを水にて再結晶する際に、
活性炭及びキレート剤を添加することを特徴とするアン
トラキノン−2−スルホン酸ナトリウム精製方法であ
る。
【0005】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて、粗製のアントラキノン−2−スルホン酸ナトリ
ウムは水による再結晶によって精製される。使用する水
の量はアントラキノン−2−スルホン酸ナトリウムの量
の5〜20重量倍でよく、溶解の際、昇温は任意に行え
るが、60〜100℃、好ましくは70〜85℃で行う
とよい。又、使用する水はイオン成分の少ない蒸留水を
用いるのが好ましい。
【0006】本発明において、水にて再結晶する際、活
性炭及びキレート剤を添加する。添加は粗製アントラキ
ノン−2−スルホン酸ナトリウムを水に溶解の際か、溶
解後のいずれでもよく、又、活性炭、キレート剤の添加
の順序も特に限定されないが、粗製アントラキノン−2
−スルホン酸ナトリウムを溶解したのち、両者を添加す
る方が操作を円滑に行うことができる。
【0007】本発明において、活性炭は市販されている
いずれの種類のものも使用できる。又、活性炭の量は粗
製アントラキノン−2−スルホン酸ナトリウムに対して
通常3〜30重量%、好ましくは5〜15重量%が適量
である。30重量%を超えるとと収率が低下し、3重量
%未満では精製に十分でない場合がある。
【0008】キレート剤は金属封鎖剤として知られてい
る各種のものが使用できる。これらの例として、具体的
にはトリエチレングリコール等のポリエチレングリコー
ル系、1,2−ジアミノベンゼン等のジアミン系、サル
チル酸等のヒドロキシカルボン酸系、18−クラウン−
6等のクラウンエーテル系、多酢酸系等が挙げられる
が、中でも工業的見地から多酢酸系のものが好ましく、
これらの例としてはエチレンジアミン−N,N,N’,
N’−テトラ酢酸、N−(ヒドロキシエチル)−エチレ
ンジアミン−N,N’,N’−トリ酢酸、ジエチレント
リアミン−N,N,N’,N”,N”−ペンタ酢酸、ニ
トリロトリ酢酸及びそれらのナトリウム塩等が挙げられ
る。
【0009】キレート剤の使用量は粗製アントラキノン
−2−スルホン酸ナトリウムに対して3〜30重量%、
好ましくは5〜20重量%が適量である。
【0010】活性炭、キレート剤を添加後は攪拌し、熱
時ろ過後、常法に従い、冷却、ろ過し、精アントラキノ
ン−2−スルホン酸ナトリウムを得る。
【0011】
【実施例】以下に実施例によって本発明をさらに詳しく
説明する。なお、実施例中の「部」は重量部を示す。
【0012】実施例1 蒸留水1000部に粗製アントラキノン−2−スルホン
酸ナトリウム50部を入れ75℃に昇温し完全に溶解さ
せた後、活性炭5部加え75℃にて1時間攪拌した後、
同温度で熱時ろ過した。得られたろ液にニトリロトリ酢
酸ジナトリウム塩27部を加え、20℃まで冷却して、
析出した結晶をろ過し、1000部の蒸留水で洗浄した
後、乾燥して41部の精製アントラキノン−2−スルホ
ン酸ナトリウムを得た。粗製アントラキノン−2−スル
ホン酸ナトリウムと上で得た精製アントラキノン−2−
スルホン酸ナトリウムの分析結果を比較して第1表(表
1)に示す。
【0013】
【表1】
【0014】実施例2〜8 実施例1において、キレート剤を代えて全く同様にて行
った結果を第2表(表2)に示すが、実施例1同様、良
好な結果が得られた。
【0015】
【表2】
【0016】比較例1 実施例1において、活性炭及びキレート剤であるニトリ
ロトリ酢酸ジナトリウム塩を添加しないで全く同様にし
て行った。収率は82%であったが、純度は98.0
%、無機成分は塩化ナトリウムが120ppm、硫酸ナ
トリウムが310ppm、鉄イオン分が49ppmと不
良な結果であった。
【0017】比較例2 実施例1において、キレート剤であるニトリロトリ酢酸
ジナトリウム塩を添加しないで全く同様にして行った。
収率は80%であったが、純度が98.9%、無機成分
は塩化ナトリウムが135ppm、硫酸ナトリウムが4
20ppm、鉄イオン分が63ppmと不良な結果であ
った。
【0018】比較例3 実施例1において活性炭を添加しないで、全く同様にし
て行った。収率は79%、無機成分は塩化ナトリウムが
29ppm、硫酸ナトリウムが40ppm、鉄イオン分
は8ppmであったが、純度が97.8%と不良な結果
であった。
【0019】
【発明の効果】本発明方法により、簡易にアントラキノ
ン−2−スルホン酸ナトリウムの超高純度品を得ること
ができ、これは実用上極めて価値のあるものである。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 309/00 C07C 303/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粗製のアントラキノン−2−スルホン酸
    ナトリウムを水にて再結晶する際に、活性炭及びキレー
    ト剤を添加することを特徴とするアントラキノン−2−
    スルホン酸ナトリウム精製方法。
  2. 【請求項2】 キレート剤がエチレンジアミン−N,
    N,N’,N’−テトラ酢酸ナトリウム塩である請求項
    1記載の方法。
  3. 【請求項3】 キレート剤がN−(ヒドロキシエチル)
    −エチレンジアミン−N,N’,N’−トリ酢酸ナトリ
    ウム塩である請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 キレート剤がジエチレントリアミン−
    N,N,N’,N”,N”−ペンタ酢酸ナトリウム塩で
    ある請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 キレート剤がニトリロトリ酢酸ナトリウ
    ム塩である請求項1記載の方法。
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