この考案の一実施形態を以下図面と共に説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態における串焼き物保持具10は、図1及至図2に示すように構成している。
図1は串焼き物保持具10の使用状態を示す外観図を示し、詳しくは、焼き網305上に串焼き物保持具10を設置し、該串焼き物保持具10に串焼き物300として焼き鳥を架け渡した状態で焼き網305の下方に備えた図示しない炭などの熱源により、炙っている様子を示している。
図2は、串焼き物保持具10の構成説明図であり、図2(a)は串焼き物保持具10の平面図であり、図2(b)は串焼き物保持具10の正面図、詳しくは、後述するが対向配置した一対の串焼き物保持体1,1のうち、他方の串焼き物保持体1の側から視た正面図であり、図2(c)は、串焼き物保持具10の右側面図であり、図2(d)は、図2(a)中のA−A線矢視断面図を示す。
図3(a)は、一方の串焼き物保持体1を焼き網305上に載置し、該一方の串焼き物保持体1により、串焼き物300の長さ方向の一方側を保持した状態を断面であらわした作用説明図を示し、図3(b)は、他方の串焼き物保持体1を焼き網305上に載置し、該他方の串焼き物保持体1により、串焼き物300の長さ方向の他方側を保持した状態を断面であらわした作用説明図を示し、いずれも下方から図示しない熱源により串焼き物300を炙っている様子を示している。また、図3(a),(b)の上方向を向く矢印は、熱源からの発せられた熱が上昇する様子を模式的に示したものである。図4は、一対の串焼き物保持体1,1同士を重ね合わせる様子を断面により説明した説明図である。図5は、一方の串焼き物保持体1に載置した串焼き物300を持ち上げようとしている様子を示した串焼き物保持具10の作用説明図である。
串焼き物保持具10は、それぞれ同一形状で構成した串焼き物保持体1を二部材備え、二部材のうち、一方の串焼き物保持体1を第1串焼き物保持体1Aに設定するとともに、他方の串焼き物保持体1を第2串焼き物保持体1Bに設定する。第1串焼き物保持体1A、及び、第2串焼き物保持体1Bは、それぞれ1枚のステンレス製の板状の基材80を打ち抜き加工、及び、プレス成形することで形成している。
なお、後述するが、第1串焼き物保持体1A、及び、第2串焼き物保持体1Bは、図1に示すように、互いに対向配置させて使用することができ、以下の説明において、第1串焼き物保持体1A、及び、第2串焼き物保持体1Bを対向配置させる対向配置方向、すなわち、図1中において串焼き物300の長さ方向と一致する方向を、Y方向に設定するとともに、焼き網305を構成する平面と平行な平面においてY方向に直交する方向をX方向に設定する。
さらに、互いに対向配置する一対の串焼き物保持体1のうち、一方の串焼き物保持体1から視て他方の串焼き物保持体1と対向する側をY方向対向側に設定し、その反対方向をY方向非対向側に設定する。
串焼き物保持体1は、下部に載置部21を構成するとともに、上部に串焼き物保持部31を構成している。
換言すると、串焼き物保持体1は、保持体本体部41と遮熱突片51とで一体に構成している。載置部21は、保持体本体部41の下端部分と遮熱突片51とで構成し、串焼き物保持部31は、後述するが、保持体本体部41における、串焼き物300のうち、串301や食材302といった少なくとも一部を保持する部分で構成している。
保持体本体部41は、図2(c),(d)に示すように、X方向に対して直交する直交断面視略直角三角形状で構成し、下方、すなわち、断面視略直角三角形状のうち底辺部分に相当する部分が開口した下方開口空間41Aを内部に備えている。
保持体本体部41は、上記下方開口空間41Aに対してY方向の両側に一対の壁面42,43を構成している。
一対の壁面42,43のうち、Y方向対向側の壁面は、他方の串焼き物保持体1に対向するため、該壁面を内側壁面42に設定するとともに、Y方向非対向側の壁面は、他方の串焼き物保持体1に対向しないため、該壁面を外側壁面43に設定している。
内側壁面42は、保持体本体部41における直交断面視略直角三角形を構成する三辺のうち直角辺部分に相当し、詳しくは、上下方向に略鉛直に立ち上がり、且つ、X方向において直線状の板状に形成している。
外側壁面43は、前記断面視略直角三角形を構成する保持体本体部41の三辺のうち斜辺部分に相当し、水平面に対して約60°の角度で立ち上がり、且つ、X方向において直線状の板状に形成している。
保持体本体部41の頂点部分は、図2(b)に示すように、前記直交断面視弧状に形成し、9つの串焼き物保持部31をX方向に沿って、等間隔に配設している。串焼き物保持部31は、対向配置した他の串焼き物保持体1の側から視て円弧形状をした凹形状で形成している。
串焼き物保持部31は、保持体本体部41の頂点部分及び、その周縁部分を、上述したように凹形状で形成することで、該串焼き物保持部31に下方開口空間41Aと串焼き物保持部31に対して上方の空間とを上下方向に連通する連通孔31Aを形成している。
串焼き物保持部31の外周側は、連通孔31Aの外周縁部31aによって形成され、連通孔31Aの外周縁部31aは、Y方向のいずれか一方側から視て上述した凹形状で形成するともに、図2(a)に示すように、平面視楕円形状で形成し、連通孔31Aの外周縁部31aは、図2(b)に示すように、板状の基材80の板厚に相当する幅で形成している。
串焼き物保持部31は、平面視楕円形状の長軸がX方向に一致する方向に形成するとともに、短軸がY方向に一致するように形成している。
平面視楕円形状の串焼き物保持部31の長軸長さ、及び、短軸長さは、串焼き物保持体1を構成する基材80の厚みよりも長い長さで形成することで、串焼き物保持部31は、肉片などの食材302の少なくとも1部を挟み込んだ状態で載置することができる大きさで形成している。
遮熱突片51は、外側壁面43の下端部に対して、下方開口空間41Aの側と反対側、すなわちY方向非対向側へ突出する水平な板状に形成している。遮熱突片51の突出長さは、保持体本体部41のY方向の長さと略同じ長さで形成している。
さらに、遮熱突片51のX方向の両側部分には、線材305aを格子状に構成した焼き網305に串焼き物保持体1自体を載置したとき、焼き網305を構成する線材305aに係止する係止爪52を形成している。
係止爪52は、図2(c)に示すように、遮熱突片51に対して下方に向けて突出した係止爪基端部52aと、係止爪基端部52aの下端からX方向対向側へ突出する係止爪先端側部52bとで側面視略L字形状に一体に形成している。
上述した串焼き物保持具10は、以下のような作用、効果を奏することができる。
串焼き物保持具10は、上述したように、互いに同一形状で形成し、それぞれ対向配置させる第1串焼き物保持体1Aと第2串焼き物保持体1Bとの二部材を備え、それぞれ焼き網305に載置する載置部21と、該載置部21に対して上方に串焼き物300を保持する串焼き物保持部31とを形成した構成である。
上述した構成により、串焼き物保持具10は、二部材で構成した串焼き物保持体1,1のそれぞれを単体でも、載置部21を焼き網305に対して載置することで、安定して載置することができる。
従って、焼き網305において、第1串焼き物保持体1Aと第2串焼き物保持体1Bとを、串焼き物300の長さに応じた所定間隔を隔てた各部に載置した状態で対向配置し、第1串焼き物保持体1Aにより、串焼き物300の長さ方向の一端側を保持するとともに、第2串焼き物保持体1Bにより、串焼き物300の長さ方向の他端側を保持することで、図1に示すように、串焼き物300を架け渡した状態で安定して保持することができる。
さらに、串焼き物保持具10は、串焼き物保持体1をスライド案内するガイド手段を備えた従来の串焼き物保持具(図示せず)のように、ガイド手段等によって、串焼き物保持体1の配置位置が規制されないため、一対の串焼き物保持体1,1を対向配置する間隔を、焼き網305のスペースの範囲内で無制限に調節できる。
従って、焼き鳥などの一般的な長さの串を用いた串焼き物300に限らず、食材302を金属性の長尺状の串で刺したバーベキュー用の串焼き物(図示せず)など、串焼き物300の長さに関わらず、様々な長さの串焼き物300を架け渡した状態で保持することができる。
加えて、焼き網305上では、下方に配置した炭などの熱源(図示せず)の配置位置によって、通常、場所によって火力が異なるが、串焼き物保持具10は、焼き網305上の任意の場所に配置することができる。
また、上記串焼き物保持部31は、Y方向のいずれの側から視ても、食材302の嵌め込み保持を可能とする大きさの凹形状に形成するとともに、串焼き物保持体1の基材80の厚みよりも、X方向、Y方向のいずれの方向の長さを長く形成しているため、串焼き物300のうち、串301自体を保持するに限らず、串301に刺した食材302自体を嵌め込んで安定して保持することができる。
詳しくは、食材302自体ではなく、串自体を直接、載置した状態で架け渡す架け渡し形態をした従来の串焼き物保持体の場合、以下のような問題点を有する。
串焼き物300は、通常、該串焼き物300の長さ方向(Y方向)に対して直交断面視した状態において、重心位置が、串の位置に対して径方向にズレているものが殆どである。
このため、従来の串焼き物保持体のように、串焼き物300における串301の部分を支持した状態で架け渡す架け渡し形態の場合、串焼き物300における串301の部分を串焼き物保持体に載置すると、串301の位置に対して径方向の重心位置のズレによって、意に反して串焼き物300が回転し、常に、一定の向きに留まってしまうという事態が生じる。
そうすると、串焼き物300の周方向のおける焼き網305と対向する部分、すなわち、熱源と対向する部分のみが常時、炙られることになり、串焼き物300の周方向の一部分が焦げてその他の部分が生焼けの状態となるという問題が生じることになる。
或いは、串焼き物300を炙っている間、串焼き物300に刺した食材302の周方向全体が均等に炙られるよう、常に串焼き物300を軸回りに回転させておく必要があり、複数本の串焼き物300を串焼き物保持体に架け渡した状態で同時に焼く際には、常時、全ての串焼き物300の焼き具合に注意を払いながら、串焼き物300を軸周りに回すという作業が必要となるため、多大な労力を要するという問題があった。
これに対して、第1実施形態の串焼き物保持体1は、串焼き物300のうち、串に刺した食材302自体を串焼き物保持部31に嵌め込み保持した状態で、串焼き物300を架け渡す架け渡し形態である。
このように、串焼き物保持部31は、肉片などの食材302を嵌め込んだ状態で保持する保持形態であるため、従来の串焼き物保持体のように、単に串301自体を載置して保持する串焼き物300の保持形態と比較して、串焼き物300をその周方向においてもしっかりと保持することができる。
よって、串焼き物300は、その周方向のいずれの部位を、熱源の有する焼き網305と対向する方向へ向けた状態で架け渡しても、串301の位置に対する半径方向の重心位置のずれによって、串焼き物300が意に反して串焼き物保持体1に対して軸回りに回転してしまうことがなく、安定して保持することができる。
従って、串焼き物300を所定時間ごとに軸周りに段階的に回転させながら串焼き物保持体1によって架け渡すことにより、食材302を周方向において段階的に炙ることができ、結果的に、常時、串焼き物300を軸周りに回転させるといった労力を要さずに食材302を周方向全体について均等な焼き具合で炙ることができる。
さらに、上記串焼き物保持部31は、Y方向の長さは勿論、X方向の長さにおいても、串焼き物保持部31を構成する基材80の厚みよりも長く形成している。すなわち、上記串焼き物保持部31は、平面視楕円形状をした外周縁31aによって、食材302を保持することができる保持形態である。
このため、上記串焼き物保持部31は、嵌め込んだ食材302に局所的に過大な負荷が加わるなどして食材302が形崩れしたり、食材302から肉汁などの水分が出てしまうことなく、適切な保持力で安定して食材302を保持することができる。
また、串焼き物保持体1は、上述したように、内部に、下方へ向けて開口する下方開口空間41Aを構成し、上記串焼き物保持部31に、上記下方開口空間41Aと串焼き物保持部31の上方とを上下方向に連通する連通孔31Aを形成した構成である。
この構成によれば、串焼き物保持体1の下側に配置した焼き網305よりもさらに下側に有する熱源(図示せず)から発せられる熱が上昇することを、上記載置部21や上記串焼き物保持部31などといった上記串焼き物保持体1自体の構成によって阻害されることなく、下方から上昇する熱を、下方開口空間41Aや連通孔31Aを通じて串焼き物保持部31に保持した食材302に対してしっかりと伝えることができる。
詳しくは、上述したように、串焼き物保持体1は、焼き網305上でも安定して載置するという観点で載置部21を備えるとともに、食材302が形崩れせず、意に反して串焼き物300が軸周りに回転しないようにしっかりと保持するという観点で串焼き物保持部31を備えるなどして、それぞれX方向、Y方向において、所望の長さを確保して構成している。
ところが、串焼き物300における食材302を串焼き物保持部31によって保持したとき、食材302は、串焼き物保持体1の上部に位置することになるため、該食材302と熱源との間に、串焼き物保持体1自体が介在することになる。
すなわち、本来であれば、熱源からの上昇熱が、上記載置部や、上記串焼き物保持部など、串焼き物保持体を構成する少なくとも一部によって阻害され、串焼き物保持部31に嵌め込み保持した食材302に伝わりに難くなるという事態が生じることになる。
このため、串焼き物300において串刺しした複数の食材302のうち、串焼き物保持部によって保持された食材302A,302Fが他の食材302と比較して焼けないといった問題が生じることになる。
これに対して、第1実施形態の串焼き物保持具10によれば、串焼き物保持体1は、上述したように、串焼き物保持体1の内部に、下方開口空間41Aを備えるとともに、串焼き物保持部31に、下方開口空間41Aと上下方向で連通する連通孔31Aを形成した構成である。このため、串焼き物保持体1に対して下側に有する熱源からの上昇熱が、載置部21や串焼き物保持部31など、上記串焼き物保持体1自体によって上昇することを阻害されることなく、図3(a),(b)に示すように、下方開口空間41Aや連通孔31Aを通じて串焼き物保持部31に保持した食材302に対して熱源からの上昇熱をしっかりと伝えることができる。
従って、串刺しした食材302のうち、串焼き物保持部31により保持した食材302A,302Fに焼き斑が生じることがなく、串刺しした他の食材302B,302C,302D,302Eと同様の焼き具合で焼くことができる。
また、第1実施形態の串焼き物保持具10は、内側壁面42を、上下方向に略鉛直に立ち上がる板状に形成しているため、串焼き物保持部31により保持した食材302A,302Fと、その食材302A,302Fの隣で串刺しされた食材302B,302Eのうち、少なくとも一方の食材(302A,302F、及び/又は、302B,302E)が熱源からの上昇熱が串焼き物保持体1を超えて上昇することを、内側壁面42によって阻害されることを防止することができる。
詳しくは、内側壁面が、例えば、上下方向に略真直ぐに立ち上がる形状に対して傾斜したり、Y方向の厚みが厚い構成となればなる程、串焼き物保持部31により保持した食材302A,302F、及び、その食材302B,302Eの隣で串刺しされた食材302のうち、少なくとも一方の食材302と、熱源との間に、内側壁面が介在する度合いが大きくなる。
このため、たとえ下方開口空間41Aや連通孔31Aを設けた構成であっても、熱源からの上昇熱が内側壁面によって上昇することが阻害され、串焼き物保持体1の上方に有する食材302に対して熱源からの上昇熱を十分に伝えることができないという問題が生じることになる。
これに対して、第1実施形態では、内側壁面42を、上述したように、上下方向に略真直ぐに立ち上がる板状に形成することにより、図3(a),(b)に示すように、熱源からの上昇熱を内側壁面42によって阻害されずにさらに上昇させることができ、串焼き物保持体1の上方に有する食材302A,302B,302E,302Fに対して十分に伝えることができる。
このため、上記串焼き物保持部31により保持した食材302A,302Fをしっかりと炙ることができるという、下方開口空間41Aや連通孔31Aを設けた構成による効果を最大限活かすことができ、しかも、串焼き物保持部31により保持した食材302の隣側で串刺しした食材302B,302Eに対しても、内側壁面42によって上昇熱が阻害されることなく、上昇熱をしっかりと伝えることができる。
従って、上記串焼き物保持部31により保持した食材302A,302F、及び、その隣で串刺しした食材302B,302Eの双方の食材302をしっかりと炙ることができ、串に刺した複数の食材302間で、焼き斑が生じることを、より一層、防ぐことができ、刺しした全ての食材302を均等な焼き具合で焼くことができる。
一方、串焼き物保持体1は、上述したように、外側壁面43を、上方から下方へ進むに従って、他方の串焼き物保持体1に対向する側の内側壁面42に対して離間するよう、すなわち、Y方向対向側に傾斜する傾斜形状で形成している。
外側壁面43を上述した傾斜形状で形成することにより、熱源からの上昇熱が串焼き物300の串301の部分に伝わることを遮断する遮熱手段としての機能を発揮させることができる。
詳しくは、上記外側壁面43を上述した傾斜形状で形成することにより、串焼き物300の長さ方向の端部側の串301が露出した部分と熱源との間に該外側壁面43を積極的に介在させることができる。これにより、串焼き物300の長さ方向の両端部側の串301の部分が、熱源からの上昇熱によりダイレクトに加熱されることを防ぐことができ、これら串301の長さ方向の両端側が焦げることがなく、また、串301が金属製の場合は、過度に加熱して熱くなることを防ぐことができる。
さらに、上記外側壁面43を、上述したような傾斜形状で形成することにより、その分、串焼き物保持体1をY方向においての長さを確保することができ、焼き網305に対しても安定して載置することができる。
加えて、上記外側壁面43を、上述したような傾斜形状で形成することにより、保持体本体部41を、一対の串焼き物保持体1,1同士を容易に重ね合わせ易い断面視三角形状とすることができる。このため、図4に示すように、一対の串焼き物保持体1,1は、一方の串焼き物保持体1A(1B)に対して他方の串焼き物保持体1B(1A)を嵌め込む際に互いに干渉することなく容易に嵌め込むことができ、一方の串焼き物保持体1に対して他方の串焼き物保持体1を上方から覆うようにして、コンパクトな形態でスムーズに重ね合わせることができる。
このように、串焼き物保持体1,1同士を互いに重ね合わせることで、不使用時においては、重ね合わせた状態でコンパクトに収納、持ち運びすることができ、一対の串焼き物保持体1,1のうちいずれか一方側が紛失することを防ぐことができる。
また、遮熱突片51には、焼き網305を構成する線材305aに係止する係止爪52を形成している。
上記構成によれば、串焼き物保持体1を焼き網305に載置する際に、係止爪52を、図5中のX部拡大図に示すように、焼き網305を構成する線材305aに係止することにより、焼き網305の表面が凹凸形状であっても串焼き物保持体1を安定して載置することができる。
さらに、上記係止爪52は、互いに対向配置した上記他方の串焼き物保持体1の側へ向けて、すなわち、Y方向対向側へ向けた突出形状で形成している。
上記構成によれば、串焼き物300を串焼き物保持体1に対して持ち上げようとしたとき、串焼き物保持部31に対して食材302がスムーズに外れずに、串焼き物保持体1が焼き網305に対して傾いた場合であっても、係止爪52は、線材305aに対してより係止する方向に突出し、線材305aに対する係止爪52による係止が不測に外れることなく、串焼き物保持体1を焼き網305に対して載置した状態に保つことができる。
具体的には、串焼き物保持体1は、串焼き物保持部31により食材302を嵌め込み保持し、さらに、食材302に付けたタレなどの調味料が食材302と串焼き物保持部31との間に介在して、食材302と串焼き物保持部31とが互いに密着することによって、串焼き物300を持ち上げようとしても、食材302が串焼き物保持部31に対してスムーズに外れないという事態が生じていた。
そして、このように食材302が串焼き物保持部31に対してスムーズに外れない場合において、串焼き物300をその長さ方向の基部側の串301の部分を指先で摘んで強引に持ち上げようとしても、串焼き物300は、図5に示すように、その長さ方向の先端が基端に対して下方を向くように傾斜した姿勢となる。
ところが、串焼き物300は、串焼き物保持体1に対して上述した理由により密着しているため、串焼き物300が上述した傾斜姿勢になるに伴って、串焼き物保持体1は、串焼き物300と一体に焼き網305に対してX方向対向側に傾く方向に力が作用する。
そうすると、Y方向対向側へ向けて突出する突出形状で形成した係止爪52とは逆方向であるY方向非対向側に突出する係止爪152を備えた第1実施形態と異なる構成の串焼き物保持体200の場合、図10示すように、串焼き物300を持ち上げようとするに伴って、上述したように、串焼き物保持体200が意に反してX方向対向側に傾こうとし、この傾く方向は、線材305aに対しての係止爪52の係止が抜けてしまう方向と略一致することになる。このため、図10中のX部拡大図に示すように、係止爪52の係止が意に反して線材305aに対して抜けてしまい、串焼き物保持体1がX方向対向側に傾いて転倒してしまうという問題があった。
なお、図10は、図5に示した状況と同じ状況の下で串焼き物保持体200が奏する作用を説明する作用説明図である。
これに対して、第1実施形態の串焼き物保持体1は、図5に示すように、上記係止爪52を、X方向対向側へ向けて突出する突出形状で形成しているため、串焼き物保持体1が上述したようにX方向前方に傾く方向に力が作用しても、係止爪52が線材305aに対してより積極的に係止する方向に作用することになり(図5中のX部拡大図参照)、意に反して線材305aに対する係止爪52の係止が外れることを防ぐことができる。
従って、串焼き物保持部31に対して食材302を容易に取り外すことができるため、例えば、串焼き物300を串焼き物保持体1に対してスムーズに持ち上げることができ、串焼き物300の焼き具合の調節をスムーズに行うことができる。
以下では、他の実施形態における串焼き物保持具100,160,170について説明する。
但し、以下で説明する串焼き物保持具100,160,170の構成のうち、上述した第1実施形態における串焼き物保持具10と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
(第2実施形態)
第2実施形態の串焼き物保持具100について図6(a),(b),(c)、及び、図7を用いて説明する。
なお、図6(a)は、串焼き物保持体101における2つの串焼き物保持部162を含む一部分を示す外観図であり、図6(b)は、串焼き物保持体101における2つの串焼き物保持部162を含む一部分をY方向の対向側から視た正面図である。図6(c)は、串焼き物保持体101を構成する基材85を展開した状態において、串焼き物保持部82、及びその周辺部分に相当する部分を拡大して示した拡大展開図である。
第2実施形態の串焼き物保持具100を構成する串焼き物保持体101は、串焼き物保持部102に、串301を嵌め込んで保持する串嵌込み溝103を形成した構成である。
詳しくは、串嵌込み溝103は、該串嵌込み溝103を構成する連通孔102Aの外周縁部102aにおいて、Y方向の両側部分を凹状に形成した凹状部分である。
串嵌込み溝103は、串301を嵌め込んで保持することを許容する溝幅、詳しくは、串301の径(太さ)と略同じ大きさであるが、串301の径よりもやや広い溝幅で形成し、串焼き物保持体101の上端部から凹状に形成している串焼き物保持部102の深さと略同じ深さで、串焼き物保持部102の下端部(凹底部)から下方に形成している。
串嵌込み溝103を備えた串焼き物保持部102は、焼き物保持体101を製造する際に、図6(c)に示すように、板状の基材85を打ち抜き加工し、その後、プレス成形することで得ることができる。
具体的には、打ち抜き加工において、基材85を、図6(c)に示すように、正面視円形状の円孔86Aと凹溝86Bとで形成する打ち抜き形状に打ち抜いている。
なお、凹溝86Bは、正面視円形状の円孔86Aの外周縁において、円孔86Aの中心を隔てて互いに対向するY方向と一致する対向部分を円孔86Aの外周縁に対して径外方向に向けて凹状となるよう打ち抜いた打ち抜き部分を示している。
さらに、打ち抜き加工した基材85に対してプレス成形を行うことで、上述した串焼き物保持体101を製造するが、このプレス成形により、凹溝86Bを串嵌込み溝103として形成することができる。
上述した構成により、上述した串嵌込み溝103に串301を嵌め込むことで、上記連通孔102AをY方向の一端側から他端側へ向けて跨ぐようにして串301を保持した状態で、串焼き物300を架け渡すことができる。
そして、図7(a)に示すように、串嵌込み溝103に串301を嵌め込み保持させることにより、串焼き物保持部102で食材302を保持させる場合と比較して低位置(ローポジション)で串焼き物300を保持することができ、熱源に対して近火で食材302を炙ることができる。
なお、図7(b)に示すように、串焼き物保持部102で食材302を保持させた場合には、串嵌込み溝103に串301を嵌め込み保持させる場合と比較して高位置(ハイポジション)で串焼き物300を保持することができ、熱源に対して遠火で食材302を炙ることができる。
このように、串焼き物300における食材302、及び、串301のうち、いずれかを、串焼き物保持体101で保持するかに応じて食材302の火力を調節することができる。換言すると、串焼き物保持体101において、串焼き物300を載置する位置を串焼き物保持部102、及び、串嵌込み溝103のうちいずれの箇所で載置するかに応じて、食材302の火力を調節することができる。
さらに、串嵌込み溝103は、串301を嵌め込み保持可能に形成しているため、串焼き物300に、長さ方向の直交断面視したとき、串301の位置に対して重心位置がズレが有する場合であっても、串焼き物300が意に反して回転することがなく、しっかりと保持することができる。
また、本考案の串焼き物保持具は、第2実施形態の串焼き物保持具100の構成に限定せず、様々な実施形態の串嵌込み溝103を形成することができる。
詳しくは、串嵌込み溝103の深さ、幅は、上述した第2実施形態に限定せず、例えば、串焼き物保持体101に複数形成した串焼き物保持部102ごとに異なる深さ、幅で形成してもよい。
さらに、図示しないが、串嵌込み溝103の他の実施形態として、串嵌込み溝103の幅方向の一端部に、上下方向に沿って、串301を係止する凹状の係止部を複数形成した多段式に構成し、いずれの係止部に串301を係止するかに応じて、串301を保持する高さを変更可能な構成としてもよい。
なお、串嵌込み溝103は、串焼き物保持部102に形成するに限らず、串焼き物保持体101における串焼き物保持部102を形成していない上端部分に凹状に形成してもよい。
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態の串焼き物保持具160について図8(a),(b)を用いて説明する。
なお、図8(a)は、串焼き物保持体161における2つの串焼き物保持部162を含む一部分を示す外観図であり、図8(b)は、串焼き物保持体161を構成する基材80を展開した状態において、串焼き物保持部162、及びその周辺部分に相当する部分を拡大して示した拡大展開図である。
第3実施形態の串焼き物保持具160を構成する串焼き物保持体161には、上記連通孔162Aを通じて上昇する熱の一部を遮断する連通孔遮熱部165を、Y方向に沿って連通孔162Aに配置した構成である。
詳しくは、連通孔遮熱部165は、串焼き物保持部162を構成する連通孔162Aの外周縁部62aにおいて、Y方向の一端側から他端側へ向けて連通孔162Aを横切るようにして片持ち状に突出した突片で形成している。上記連通孔遮熱部165の幅は、上記連通孔162Aを跨ぐようにして載置した串焼き物300の串301の部分の太さに相当する幅で形成している。
連通孔遮熱部165を備えた串焼き物保持部162は、串焼き物保持体161を製造する際に、図8(b)に示すように、板状の基材80を打ち抜き加工し、その後、プレス成形することで得ることができる。
具体的には、打ち抜き加工において、基材80を打ち抜く打ち抜き形状は、図8(b)に示すように、正面視円形状の円孔82Aの中心を通るY方向において、円孔82Aの外周縁の一端から円孔82Aを隔てて対向する他端へ達する手間まで円孔82Aを跨ぐように、円孔82Aの外周縁の一部を突出した形状である。なお、この円孔82Aの外周縁の一部の突出部分を突片部81に設定する。
さらに、基材80を打ち抜く打ち抜き形状は、上記突片部81の突出方向(Y方向)の基端部を、該連通孔遮熱部165の幅方向(X方向)の両側部分に切り込み部82Bを形成した打ち抜き形状である。
さらに、打ち抜き加工した基材80に対してプレス成形を行うことで、上述した串焼き物保持体161を製造するが、プレス成形工程の際には、突片部81をその基端側から水平に折り曲げることによって、該突片部81を上記連通孔遮熱部165として形成している。
上述した構成により、連通孔162Aは、上下方向の連通が連通孔遮熱部165によって、遮断されるが、連通孔162Aにおける上記連通孔遮熱部165に対してX方向の両側は、上下方向に連通する空間を構成している。
このため、図8中において向かって左側の串焼き物保持部162に示すように、串焼き物300のうち串301の部分を串焼き物保持部162に載置した状態で串焼き物保持体161に架け渡した場合、串焼き物保持部162において、串301の下側に連通孔遮熱部165を配置した載置形態とすることができるため、連通孔遮熱部165によって熱源から上昇する上昇熱が下方開口空間41Aを通じて、ダイレクトに串301に伝わることを防ぎ、串301が焦げないように保護することができる。
一方、図8中における向かって右側の串焼き物保持部162に示すように、串焼き物保持部162に食材302を嵌め込み保持した場合においても、連通孔162AのX方向の両側部分は、該連通孔遮熱部165によって塞がれていない空間を有するため、連通孔162Aにおける該空間を通じて下方開口空間41Aから上昇する熱源を上方へと伝えることができ、串焼き物保持部162により保持した食材302をしっかりと炙ることができる。
すなわち、本実施形態の串焼き物保持部162は、串301を載置した場合には、串301が焦げることがなく載置することができ、食材302を保持した場合には、下方開口空間41Aからの上昇熱によりしっかりと食材302を炙ることができる。
よって、通常、串焼き物300の長さ方向の基部側においては、串301を把持し易いように食材302を串刺しないことが多く、一方、串焼き物300の長さ方向の先端側においては、先端部に達する部分まで食材302を串刺ししていることが多いが、上述したように、串焼き物300の長さ方向の基部側は、串301の部分を、串焼き物保持部162の連通孔遮熱部165に沿って載置するとともに、串焼き物300の長さ方向の先端側においては、食材302を串焼き物保持部162に嵌め込み保持させることができる。
従って、一対の串焼き物保持体161は、上述したような一般的な串焼き物300を串301が焼けることなく、且つ、安定した状態で架け渡すことができる。
(第4実施形態)
続いて、第4実施形態の串焼き物保持具170について図9(a),(b),(c)を用いて説明する。
図9(a)は、串焼き物保持体171における串焼き物保持部72を含む一部分を示す外観図であり、図9(b)は、串焼き物保持体171を構成する基材90を展開した状態において、串焼き物保持部72を含む一部分を拡大して示した拡大展開図である。図9(c)は、串焼き物保持体171における串焼き物保持部72を含む一部分の直交断面である。
串焼き物保持体171にも、Y方向に沿って連通孔172Aに配置した構成の連通孔遮熱部175を備えている。連通孔遮熱部175は、連通孔172AのY方向の一端部と他端とに一体に連結している構成である。
このような連通孔遮熱部175を備えた串焼き物保持部72は板状の基材90を打ち抜いた後でプレス加工することで構成している。
基材90を打ち抜く打ち抜き形状は、図9(b)に示すように、正面視円形状の円孔92Aの中心を通るY方向において、円孔92Aを跨ぐように円孔92Aの外周縁の両端部分に一体に連結した連結部91が形成されるような形状としている。なお、連結部91は、少なくとも串301の幅を有し、長さ方向の略中間部分を長さ方向の両側部分に対して幅小に形成している。
このような形状で打ち抜いた基材90をプレス成形で折り曲げる際に、連結部91は、長さ方向の略中間部分が下方開口空間41Aに向けて突出するような形状で屈曲させることで連結部91を連通孔遮熱部175として構成することができる。なお、連結部91は、長さ方向の略中間部分を長さ方向の両側部分に対して幅小に形成しているため、基材90をプレス成形で折り曲げる際には、連結部91の長さ方向の略中間部分において容易に連結部91を折り曲げることができる。
この考案は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。