JP3166825B2 - フラーレンを含む共重合体及びその製造方法 - Google Patents

フラーレンを含む共重合体及びその製造方法

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JP3166825B2 JP20474496A JP20474496A JP3166825B2 JP 3166825 B2 JP3166825 B2 JP 3166825B2 JP 20474496 A JP20474496 A JP 20474496A JP 20474496 A JP20474496 A JP 20474496A JP 3166825 B2 JP3166825 B2 JP 3166825B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な機能性材料
として有用なフラーレン(fullerene)を主鎖に含む鎖
状ないし架橋された共重合体及びその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】炭素原子のみからなる球状化合物である
フラーレンの存在が明らかにされ、マクロ量の合成法が
確立されたのは1990年になってからである。フラー
レンは炭素60個からなるC60及びそれ以上の偶数個の
炭素からなる高次フラーレン(higher fullerene)の総
称であり、12個の5員環と20個又はそれ以上の5員
環、6員環或いは7員環を含んでいる。特にC60に代表
されるフラーレンは、その特殊な電子系に起因する導電
性、超電導性、光導電性、磁性などの有用な性質などを
備えることから、近年新たな機能性材料として注目され
つつあり、光学素子、電気素子、電子材料、磁性材料等
への用途が見込まれている。即ち、プロトタイプフラー
レン(prototypical fullerene)であるC60は、バック
ミンスターフラーレン(buckyminsterfullerene)又は
バッキーボール(buckyball)とも呼ばれ、ダイヤモン
ド、グラファイトに次ぐ新規な第三の形状を有する結晶
炭素である。その分子構造は載頭二十面体の頂点に配置
された60個の炭素原子のクラスター(分子構造体)で
あり、C60分子は分子サイズの公式サッカーボールに類
似する。
【0003】フラーレンを含む重合体は、フラーレンの
分子サイズが大きいことや、分子の電子準位が半導体的
な範囲にあって電子が容易に伝導することから、機械
的、電気的、磁気的、熱的諸特性において特異な有用な
性質を示すことが期待されている。しかし、フラーレン
を含む重合体の多くは、従来と類似する高分子の主鎖に
フラーレンが側鎖の一部として取り込まれるものであっ
た。これに対して、高分子の主鎖そのものの一部として
フラーレンを取り込むことができれば、フラーレンを介
して高分子の主鎖の性質が決定されるため、高分子の性
質に新たな特性を備えることが期待される。このような
観点から、フラーレンを含む共重合体は、元来のフラー
レンと同じ上述した有用な性質を有することが期待され
ている。しかし、このフラーレンを含む共重合体をC60
そのものを出発モノマーにして製造すると、C60は重合
時にその載頭二十面体のどこに結合を生じさせるかを規
定できないために、載頭二十面体の様々な異なる二つの
位置から結合を生じる。これまで、C60をペンダントグ
ループとして高分子の側鎖に導入する多くの研究がなさ
れている((ア)Patil,A.O.;Schriver,G.W.;Carstensen,
B.;Lundberg,R.D. Polym.Bull.1993,30,187、(イ)Geckel
er,K.E.;Hirsch,A. J.Am.Chem.Soc.1993,115,3850、(ウ)
Hawker,C.J. Macromolecules 1994,27,4836、(エ)Bergbr
eiter,D.E.;Gray,H.N. J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1993,
645、(オ)N.Zharg,S.R. Shricker, and F.Wudl, Chemstr
y of Materials.(1995) 7 441、(カ)S.Shi, K.C.Kheman
i, Q.C.Li and F.Wudl, J.Am.Chem.Soc.(1992) 114 106
56、(キ)M.Berrada, Y.Hashimoto, and S.Miyata, Chem.
Mater.(1994) 6 2023)。
【0004】一方、C60を高分子の主鎖に含む研究は僅
かながらなされていたが((ク)T.Caoand S.E.Webber, Ma
cromolecules.(1995) 28 3761、(ケ)C.E.Bunker, G.E.La
wson, Y.P.Sun, Macromolecules.(1995) 28 3743、(コ)
T.Cao and S.E.Webber, Macromolecules.(1996) 29 382
6、(サ)A.Camp, A.Lary, and W.T.Ford, Macromolecule
s.(1995) 28 7959)、これらは主鎖中にC60を含んで
も、C60からの結合手の出る位置が載頭二十面体のどこ
から出るかを規定することができず、しかもC60の主鎖
内での取り込みの分量も正確に規制することができなか
った。
【0005】特許公開公報には、フラーレンを主鎖に含
む鎖状の共重合体として、次の式(1)に示すフラーレ
ンと特定のオルガノシラン化合物との共重合構造をもつ
「フラーレン−オルガノシラン共重合体」が掲載されて
いる(特開平7−62105)。この共重合体は、主鎖
にケイ素原子を有するために感光性樹脂としての機能を
有し、かつTHF(テトラヒドロフラン)に可溶である
ため、成膜を容易に行うことができる。このため、成膜
後にこの共重合体の膜に所望のパターンを有するマスク
を介して露光することにより、物性の異なる所望のパタ
ーンを形成することができる。この露光部においてオル
ガノシラン骨格が酸化され、オルガノシロキサン骨格が
生成される。従って、例えば電気伝導度や、屈折率など
について物性の異なるパターンを形成すれば、フラーレ
ンの持つ光学的機能などを発揮する光ファイバや光コン
ピュータなどの実現を期待し得るものである。
【0006】
【化1】
【0007】但し、R1はフラーレン類、nは1以上の
整数、n個のR2及びR3は置換又は非置換の炭化水素基
であれば、全て異なるものであっても同じものであって
もかまわない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記共重合体
は、フラーレンそのものを共重合の出発モノマーとし
ているため、C60は重合時にその載頭二十面体のどこに
結合を生じさせるかを規定できないために、得られた共
重合体は種々の異性体を含み、機能性の純粋さが失われ
る欠点があった。またC60から一重結合の結合手を介
して高分子を形成すると、C60の有する共役二重結合性
が外部に拡大されないため、高分子の電子機能を変化さ
せるうえで不十分であった。そのため、上記フラーレン
−オルガノシラン共重合体などの従来のフラーレンを含
む重合体では、高分子の主鎖にフラーレンを、共役結合
性を主鎖中にまで拡大する形で取り込むことができず、
結果として、従来のフラーレンを主鎖に含む重合体は、
その分子構造に起因して、光学素子、電気素子、電子材
料、或いは磁性材料としての機能を十分に発揮しにくい
不具合があった。
【0009】本発明の目的は、光学素子、電気素子、電
子材料、或いは磁性材料としての機能をより有効に発揮
し得るフラーレンを含む共重合体及びその製造方法を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
図1(c)の右辺に示すように、フラーレンを主鎖に含
む鎖状ないし架橋された共重合体において、フラーレン
からの結合のための二つの引出し部がシクロプロパン環
であることを特徴とするフラーレンを含む共重合体であ
る。フラーレンの表面の二箇所ないしそれ以上の箇所よ
り、シクロプロパン環を介して官能基を有するフラーレ
ン派生体をモノマーとして用い、この官能基を縮合反応
を生じる異なった官能基を有するもう一種類のモノマー
と重合させることで、この官能基の異なる二種類のモノ
マーが必ず交互に主鎖中に並ぶことを可能にする。また
このために二箇所に官能基を有するモノマーでは鎖状の
重合体が得られ、三箇所以上に官能基を有するモノマー
では架橋した重合体となる。ここでフラーレン両側から
の引出し部、即ち双方の分枝をシクロプロパン環にする
ことにより、球状炭素化合物であるフラーレンの内部と
外部とが共役鎖で繋がれる。この構造では、電子がフラ
ーレン内部で動けることは勿論、共役鎖を介してフラー
レン外部においても動くことができる。
【0011】このことを図2を用いて説明する。図2
(a)に示すように、仮にフラーレンより一重結合の手
を出すと、このことは可能であるが、共役結合性は破れ
てしまう。これに対して、本発明では図2(b)に示す
ようにフラーレンよりシクロプロパン環を介した結合手
を引し出しているので、公知のことではあるが、シクロ
プロパン環がその強い変形によって、ある程度二重結合
性を示す。このことから、図2(c)に示すような一重
結合と二重結合とが交互に並ぶ概念的な共役結合を空間
的に延長できる。この共役結合を延ばして、ドーピング
などにより完全に繋がれば、直流的にも導電体を作るこ
とができる。また完全に繋がらなくても交流導電性を生
じるか、又は誘電率を大きくすることができる。更に光
学定数(屈折率)が大きくなるか、或いは非線形光学定
数が大きくなるため、非線形光学素子としての利用が考
えられる。この結果、この共重合体がより有効な光学素
子、電気素子、電子素子、或いは磁性材料としての機能
を発揮し得る。
【0012】請求項2に係る発明は、請求項1に係る発
明であって、フラーレンがプロトタイプフラーレン(C
60)であるフラーレンを含む共重合体である。C60は他
の高次フラーレンと比較して、最も大量に生産可能で、
分離精製し易く入手が容易である上、フラーレン内部に
おける電子の挙動がより活発であるため、機能性材料と
してより好適になる。請求項1及び2に係る共重合体
は、NMP(N-メチル-2-ピロリジノン)及びDMAC
(N,N-ジメチルアセトアミド)に可溶であり、この溶
液をコーティングすれば、薄膜の形態で得られる。
【0013】請求項3に係る発明は、C62(COOH)2
2のビスシクロプロポネイトアダクトモノマー(monom
er of biscycloproponated adduct)を二つのアミノ基
を有しかつ共役二重結合性を有するモノマーにより直接
縮合重合してフラーレンを主鎖に含む鎖状ないし架橋さ
れた共重合体を得るフラーレンを含む共重合体の製造方
法である。球状炭素化合物の異なる二つの位置から分枝
を生じるC62(COOH)22のビスシクロプロポネイト
アダクトをモノマーとしているため、これらの分枝の位
置を予め決めておくことにより反応サイトを決定でき、
主鎖にのみフラーレン(C60)が配位され、カルボン酸と
アミンの脱水共重合反応により、その引出し部がシクロ
プロパン環構造となる。
【0014】請求項4に係る発明は、C62(COOH)2
2のビスシクロプロポネイトアダクトモノマーをm-イ
ソフタル酸とともに二つのアミノ基を有しかつ共役二重
結合性を有するモノマーにより直接縮合重合してフラー
レンを主鎖に含む鎖状ないし架橋された共重合体を得る
フラーレンを含む共重合体の製造方法である。m-イソ
フタル酸を用いると、C62(COOH)22のビスシクロ
プロポネイトアダクトが溶媒に溶け易くなって縮合重合
反応が容易になり、しかも重合体の分子量を調節し易く
なる。
【0015】請求項5に係る発明は、請求項3又は4に
係る発明であって、二つのアミノ基を有しかつ共役二重
結合性を有するモノマーが4,4'-ジアミノジフェニール
エーテルであるフラーレンを含む共重合体の製造方法で
ある。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のフラーレンとしては、プ
ロトタイプフラーレン(C60)が前述した理由で最も好適
であるが、これに限らず、C70、C74、C76、C78、C
80、C82、C84、C90、C96等でもよい。本発明の共重
合体は、例えば図1(c)の左辺に示すようなモノマー
を用いて製造することができる。ここで示された反応で
は、アミノ基を2つ有するモノマーとカルボキシル基を
2つ有するモノマーとの間で縮合により重合が進行す
る。カルボキシル基を有するモノマーとしては、フラー
レンを含むC62(COOH)22を基本とする。この共重
合体は、C62(COOH)22のビスシクロプロポネイト
アダクトモノマーをm-イソフタル酸とともに二つのア
ミノ基を有しかつ共役二重結合性を有するモノマーによ
り直接縮合重合することにより製造することが好ましい
が、m-イソフタル酸を用いることなく、C62(COO
H)22のビスシクロプロポネイトアダクトモノマーを
二つのアミノ基を有しかつ共役二重結合性を有するモノ
マーにより直接縮合重合することにより製造してもよ
い。
【0017】m-イソフタル酸(C64(COOH)2)を
用いるのは、共役結合性を有し、重合体の分子量の調節
が容易であるからである。m-イソフタル酸を用いる場
合、C62(COOH)22のビスシクロプロポネイトアダ
クトとm-イソフタル酸のモル比1:xは、xの値が0
〜100の範囲から選ばれる。好ましくは1:0.2〜
1:50の範囲である。このxがゼロ以外の場合には、
本発明の共重合体は、化学構造上、1,4-オキシビスフェ
ニレン・フラーレンビスメタノカーボキシアミドとイソ
フタレンアミドの共重合高分子(poly(1,4-oxybispheny
lene fullerenebismethanocarboxamide-co-isophthalam
ide))で表される。図1(c)の重合量を示すnの値は
10〜10000の範囲から選ばれる。ここにおいて用
いられるフラーレン派生体モノマーはフラーレンからの
結合手がシクロプロパン環を有しているものであれば良
く、重合を生じる官能基までの間に共役二重結合性を有
することが望ましい。
【0018】またアミノ基を有するモノマーとして、二
つのアミノ基を有するモノマーであって、共役二重結合
性を有することが必要である。4,4'-ジアミノジフェニ
ールエーテルが例示される。更に、共重合体の製造時に
用いるC62(COOH)22のビスシクロプロポネイトア
ダクトモノマーは、各種の異性体のうち、図2(b)に
示すトランス−1のみを用いると、主鎖がリニアにな
り、各種特性がより有効に発揮する。しかし、本発明で
は、上記トランス−1のみの異性体に限らず、トランス
−2、トランス−3、又はトランス−4のいずれかのみ
を分別して用いることもできる。
【0019】
【実施例】次に本発明の実施例を比較例とともに説明す
る。 <実施例1> (a) スルフォニウムイリドの合成 スルフォニウムイリド(sulfonium ylide)は公知の方
法により合成した。即ち、1モルの硫化ジメチルを1モ
ルのブロモ酢酸エチルともにN2雰囲気下、室温で24
時間撹拌した。これにより臭化ジメチルエチルスルホニ
ウム((CH3)2SCH2COOC25Br)が析出され
た。濾別した臭化ジメチルエチルスルホニウムを真空下
で乾燥して溶媒を除去した。この臭化ジメチルエチルス
ルホニウムをTHFとともにN2雰囲気下で24時間、
当量のNaHと反応させた。反応液を濾過してNaBr
を除去した後、黄色の残液を蒸発してTHFを除去し、
黄色の油性のスルフォニウムイリド((CH3)2SCH2
COOC25)を得た。
【0020】(b) C62(COOH)22の合成 図1(a)の反応式に示すように、300mlのトルエ
ン中にC60を400mg入れて撹拌してC60のトルエン
溶液を調製し、この溶液をN2雰囲気下で0℃に保った
後、この溶液に、20mlのトルエン中に上記(a)で得
られた181mgのスルフォニウムイリドを溶解したス
ルフォニウムイリドのトルエン溶液を約1時間かけてゆ
っくり滴下してC62(COOEt)22を合成した。この
反応合成物には、モノアダクトと、ビスアダクト(トラ
ンス−1、トランス−2、トランス−3、トランス−
4、e−アダクト)と、トリスアダクトの異性体を有す
る。液体クロマトグラフィの分離カラムを用いて、これ
らの異性体を有する反応合成物から球状炭素化合物のC
60の相対向する両側に分枝を生じるトランス−1のみを
分別した。
【0021】次いで、図1(b)の反応式に示すよう
に、C62(COOEt)22であるトランス−1のみのビ
スアダクト100mgをN2気流下で70mlのトルエ
ンに溶解し、この溶液をモル比で約20倍のNaHとと
もに撹拌しながら、1mlのメタノールを添加すると、
ガス発生とともに生成物であるC62(COOH)22のビ
スアダクトが直ちに析出した。この生成物をトルエン、
ヘキサン、希硫酸で洗浄、濾過し、更にそのpHが7と
なるように水で洗浄した。最後に真空下で一昼夜乾燥
し、約70mgのC62(COOH)22のビスアダクトを
得た。
【0022】(c) 重合 直接縮合重合法により、C60を主鎖に含む鎖状の共重合
体を製造した。即ち、図1(c)の反応式に示すよう
に、上記C62(COOH)22のビスアダクトとm-イソ
フタル酸の混合物(混合モル比1:1)0.2mモル
と、4,4'-ジアミノジフェニールエーテル0.2mモル
と、トリフェニルフォスファイト0.4mモルとをN2
気流下で、NMP1mlに溶解した。この溶液に、0.
6mMのLiClが0.1mlのピリジンに溶解した液
を加え、110℃で3時間撹拌した。粘度が上昇するに
つれ、NMP10mlを更に加えた。続いてこの溶液を
150mlのメタノール中に注入した。これにより、針
状析出物を得た。この針状析出物をメタノールで3回洗
浄した後、更にメタノール中で30分間煮沸してNM
P、ピリジン及び他の副産物をを除去した。これを真空
下、60℃で12時間乾燥することにより、110mg
の針状析出物を得た。
【0023】<実施例2>共重合時のC62(COOH)2
2のビスアダクトとm-イソフタル酸の混合物の混合モ
ル比を1:5にした以外は、実施例1と同様にして88
mgの針状析出物を得た。
【0024】<実施例3>共重合時のC62(COOH)2
2のビスアダクトとm-イソフタル酸の混合物の混合モ
ル比を1:50にした以外は、実施例1と同様にして7
1mgの針状析出物を得た。
【0025】<実施例4>共重合時のC62(COOH)2
2のビスアダクトとm-イソフタル酸の混合物の混合モ
ル比を1:0(m-イソフタル酸を不使用)にした以外
は、実施例1と同様にして115mgの塊状析出物を得
た。
【0026】<比較例1>プロトタイプフラーレン(C
60)を比較例1とした。
【0027】<比較例2>共重合時のC62(COOH)2
2のビスアダクトとm-イソフタル酸の混合物の混合モ
ル比を0:1(C62(COOH)22のビスアダクトを不
使用)にした以外は、実施例1と同様にして70mgの
針状析出物を得た。
【0028】<得られた針状析出物の特性> (1) 赤外分光分析 実施例1のC62(COOH)22のビスアダクトモノマー
(図3において符号aで示す)のトルエン溶液と実施例
1の最終の針状析出物(図3において符号bで示す)よ
り作製した薄膜について、赤外吸収スペクトルによる分
光分析を行った。その結果を図3に示す。図3の矢印か
ら明らかなように、C=O結合の伸縮モードの赤外吸収
ピークがモノマー(符号a)では1720cm-1であっ
たものが、最終の針状析出物(符号b)では1660c
-1にずれていた。これにより、隣接するC−N結合の
形成が最終の針状析出物に認められ、この針状析出物が
本発明の共重合体であることが認められた。他の実施例
2〜4についても同様の結果が得られた。
【0029】(2) 分子量測定 実施例2の最終の針状析出物について光分散測定を行
い、平均分子量を求めたところ、約6×104であっ
た。更に実施例1〜3の最終の針状析出物について、粘
度係数測定法により平均分子量を求めたところ、分子量
はm-イソフタル酸の混合量が増すにつれて大きくなる
ことが示された。
【0030】(3) 成膜性 実施例1〜3の最終の針状析出物をNMPにそれぞれ溶
解し、各溶液をガラス板にコーティングしてそれぞれ厚
さ0.1〜0.3μmの薄膜を形成した。ここで、モル
比1:50の実施例3の溶液はその真性粘度が1.4g
/dLであり、モル比1:5の実施例2の溶液はその粘
度が1.2g/dLであり、モル比1:1の実施例1の
溶液はその粘度が0.7g/dLであった。実施例1の
共重合体液から形成された薄膜は、濃い茶色を呈し、わ
ずかにひび割れ、可撓性に乏しかった。これに対して実
施例2及び3の共重合体から形成された薄膜は透明な淡
茶色を呈し、ひび割れはなく、可撓性に富んでいた。
【0031】(4) 熱的安定性 実施例2の最終の針状析出物をN2気流中で加熱した。
260℃までその性状に変化はみられず、熱的に安定な
ことが判った。200℃加熱後の実施例2の最終の針状
物について、上記(3)と同様にして成膜性を確認したと
ころ、加熱前と不変であった。
【0032】(5) 紫外可視スペクトル測定 実施例1〜4及び比較例1,2の最終の針状析出物につ
いて、紫外可視スペクトルによる吸収の程度を調べた。
図4に示すように、これらの共重合体のスペクトルは低
モル比の1:50(実施例3)での広い禁止帯幅のイン
シュレータから高モル比の1:1でのより狭い禁止帯幅
のインシュレータまで変化した。カリウムをドープした
モル比1:1の共重合体(実施例1)は室温で約500
Ω・cm-1の抵抗値を示した。このことは実施例の共重
合体が元来のフラーレンの特性を組合せ得ることを示し
ている。図4から明らかなように、C60を含まないm-
イソフタル酸と4,4'-ジアミノジフェニールエーテルか
らの共重合体(比較例2)は3.2eVまで吸収が見ら
れず、無色であった。C60の含有量が増えるに従って
(実施例3→実施例2→実施例1→実施例4)、吸収端
が長波長側に伸び、モル比が1:1の共重合体(実施例
1)では1.7eV付近の低いエネルギーまで吸収端が
延び、濃い茶色を呈した。
【0033】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の共重合体は
フラーレンからの結合のための二つの引出し部をシクロ
プロパン環により構成し、フラーレンの共役二重結合性
を高分子主鎖中に拡張することにより、光学素子、電気
素子、電子材料、或いは磁性材料としての機能をより有
効に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の共重合体の製造を工程順に反応式で示
す図。
【図2】共重合体のフラーレンからの結合のための二つ
の引出し部の構造を示す図。
【図3】実施例1のC62(COOH)22のビスアダクト
モノマーと実施例1の最終の針状析出物の赤外吸収スペ
クトル線図。
【図4】実施例1〜4及び比較例1,2の紫外可視スペ
クトルによるエネルギー吸収状況を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 疋田 和康 東京都千代田区大手町1丁目5番1号 三菱マテリアル株式会社開発本部内 (56)参考文献 特表 平8−509232(JP,A) 特表 平10−506106(JP,A) Yihan Wang,et a l.,A Superior Synt hesis of[6,6]−Meth anofullerenes:The Reaction of Sulfon ium Ylides with C▲ 下60▼’ Tetrahedron L etters,(1995)Vol.36,N o.38,pp.6843−6846 Yihan Wang,et a l.,Chemoselective Synthesis and Reso lution of Chiral [1,9]−Methanofulle rene[70]Derivative s,J.Org.Chem.,Aug. 9,1996,Vol.61,No.16,p p.5198−5199 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 69/00 - 69/50 C08G 83/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フラーレンを主鎖に含む鎖状ないし架橋
    された共重合体において、 前記フラーレンからの結合のための二つの引出し部がシ
    クロプロパン環であることを特徴とするフラーレンを含
    む共重合体。
  2. 【請求項2】 フラーレンがプロトタイプフラーレン
    (C60)である請求項1記載のフラーレンを含む共重合
    体。
  3. 【請求項3】 C62(COOH)22のビスシクロプロポ
    ネイトアダクトモノマーを二つのアミノ基を有しかつ共
    役二重結合性を有するモノマーにより直接縮合重合して
    フラーレンを主鎖に含む鎖状ないし架橋された共重合体
    を得るフラーレンを含む共重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 C62(COOH)22のビスシクロプロポ
    ネイトアダクトモノマーをm-イソフタル酸とともに二
    つのアミノ基を有しかつ共役二重結合性を有するモノマ
    ーにより直接縮合重合してフラーレンを主鎖に含む鎖状
    ないし架橋された共重合体を得るフラーレンを含む共重
    合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 二つのアミノ基を有しかつ共役二重結合
    性を有するモノマーが4,4'-ジアミノジフェニールエー
    テルである請求項3又は4記載のフラーレンを含む共重
    合体の製造方法。
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