JP3166488B2 - ピストン - Google Patents

ピストン

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JP3166488B2
JP3166488B2 JP14402994A JP14402994A JP3166488B2 JP 3166488 B2 JP3166488 B2 JP 3166488B2 JP 14402994 A JP14402994 A JP 14402994A JP 14402994 A JP14402994 A JP 14402994A JP 3166488 B2 JP3166488 B2 JP 3166488B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、クラウン部とスカー
ト部とを一体構造に構成したピストン本体、及び前記ス
カート部に緩衝部材を介在して嵌合した外環部材を有す
るピストンに関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の駆動によって発生する騒音の
一つにスラップ音がある。このスラップ音は、ピストン
がシリンダ内を往復運動する時にピストンのスカート部
がシリンダライナに衝突することによって発生するもの
である。つまり、シリンダ内をピストンが往復運動でき
るように、ピストンとシリンダライナ壁面との間には隙
間が形成されている一方で、燃焼室からのブローダウン
を防止するため、ピストンに形成されたピストンリング
溝にはピストンリングが嵌入しているので、ピストンが
シリンダ内を往復運動する時、ピストンピン軸に垂直な
方向、即ちスラスト方向のシリンダライナ壁面にピスト
ンが衝突してスラップ音が発生する。
【0003】従来、上記スラップ音を低減するために、
種々のピストンが開発されており、例えば、スラップ音
の低減を図ったピストンとして、図10、図11及び図
12に示すような本願出願人が先に出願したピストン
(特願平5ー137009号、以下、「第一従来例」と
いう)がある。このピストンについて、図面を参照しな
がら説明する。図10はピストンの分解斜視図、図11
は図10に示すピストンの組立正面図、及び図12は図
11に示すピストンの線C−Cにおける断面図である。
【0004】上記ピストンは、ピストンリング溝61を
備えたクラウン部52とピストンピン69を挿通するピ
ン孔54が形成されたボス部62を備えたスカート部5
3とを一体構造に構成したピストン本体51、及びスカ
ート部53に緩衝部材56を介在して嵌合した外環部材
57を有するものである。スカート部53の円弧面部分
には、緩衝部材56が嵌入する複数個の凹部55がピン
孔54に対して対称にそれぞれ形成されている。外環部
材57を支持する外環支持部材60はピストンピン69
の軸回りに回動可能に設けられている。また、外環支持
部材60は外環部材57の上下方向相対移動を規制し且
つ外環部材57のスラスト方向相対移動を許容する係止
部67,68を有している。
【0005】外環部材57は、ピストンピン69の軸に
対して対称に配置された二つ割りの半円弧面部材58,
59から構成され、各半円弧面部材58,59の周方向
両側にはそれぞれ円周方向に延びる腕部65を備えてお
り、該腕部65が外環支持部材60の係止部67,68
で形成された溝66に摺動可能に係合している。
【0006】外環支持部材60は、断面円弧状の柱状体
であり、ピストン本体51のスカート部53に形成され
た平坦面63、即ちピン孔54を形成したボス部62に
配置されるものである。溝66は外環支持部材60の上
部と下部にそれぞれ凸状に形成された係止部67,68
によって規定される。溝66の幅Wと腕部65の幅AW
とは略等しく形成されているので、腕部65は溝66に
摺動可能に係合することができる。
【0007】ピストンピン69の直径PDは、ピストン
本体51のピン孔54の内径Dにほぼ等しく形成されて
おり、ピストンピン69はピストン本体51のピン孔5
4に嵌合されて固定される。ピストンピン69は中心孔
75を有しており、この中心孔75にサブピストンピン
70が取り付けられる。サブピストンピン70は小径部
71及び大径部72からなるピン部73と、大径部72
の端部に形成されたキャップ部74とから構成されてい
る。小径部71は、その直径Sd1 がピストンピン69
の中心孔75の内径d1 に等しく形成されており、中心
孔75に圧入することができる。大径部72の直径Ld
2 は外環支持部材60の溝66に形成した孔76の内径
2 よりも少し小さく形成されている。
【0008】上記ピストンの組立は次のようにして行わ
れる。まず、ピストン本体51のピン孔54にピストン
ピン69を挿入して固定し、次いでピストンピン69を
両側から挟むように外環支持部材60をピストン本体5
1のボス部62に当てて、サブピストンピン70の先端
の小径部71をピストンピン69の中心孔75に圧入す
る。これにより、サブピストンピン70の大径部72が
外環支持部材60の孔76に挿入された状態になり、こ
の状態で、外環支持部材60はピストンピン69に対し
て回動可能となる。その後、ピストン本体51のスカー
ト部53に形成された凹部55に緩衝部材56を嵌入
し、次いで二つの半円弧面部材58,59でスカート部
53を両側から挟むようにして、腕部65を外環支持部
材60の溝66に挿入することにより、ピストンは組み
立てられる。両方の腕部65は先端64同士が所定のク
リアランスをもって外環支持部材60に組み付けられ、
ピストン単体の状態では、外環部材57は簡単にはずれ
てしまう。しかし、ピストンをシリンダライナ中に収納
すれば、外環部材57は緩衝部材56からシリンダライ
ナを常に押し開く方向に力を受けてシリンダライナに弾
性支持される。また、ピストンがシリンダライナ中に収
納された状態においては、緩衝部材56が何らかの原因
で仮に離脱するようなことがあったとしても、外環部材
57の腕部65が溝66に係合しているので、外環部材
57がピストン本体51から離脱するという事故は発生
しない。
【0009】上記ピストンの作動は、次の通りである。
外環部材57は外環支持部材60によってピストンピン
69に対する上下方向の相対移動が規制され、且つスラ
スト方向の相対移動が許容されており、しかも外環支持
部材60がピストンピン69に対して回動可能に取り付
けられているので、ピストンの往復運動時に外環部材5
7がスラスト力やピストンピン69の軸回りに回動する
力を受けても、外環部材57の腕部65や外環支持部材
60の係止部67,68に無理な力が作用することもな
く、外環部材57は外環支持部材60に対して滑らかに
スラスト方向に相対移動することができる。また、ピス
トンの往復運動に伴って、ピストン本体51はピストン
ピン69の軸回りに揺動し、スカート部53が緩衝部材
56及び外環部材57を介してシリンダライナ壁面に衝
撃を与える。しかしながら、外環部材57は、ピストン
本体51に対して上下方向に相対移動せず、スラスト方
向に相対移動可能で且つピストンピン69の軸回りに回
動可能に構成されているので、ピストン本体51の揺動
力は緩衝部材56によって緩衝されて外環部材57に伝
達され、その衝撃力は低減されるので、スラップ音は低
減される。
【0010】また、スラップ音の低減を図ったピストン
の別の例として、実開昭53−10008号公報に開示
されたピストン、即ち図15及び図16に示すピストン
がある(以下、「第二従来例」という)。図15はこの
ピストンの縦断面図、図16は図15に示すピストンの
線D−Dにおける一部の断面図である。このピストン8
0は、図15及び図16に示すように、ピストン80の
スカート部81にスカート部外周面上に突出するごとく
複数個の略円柱形状で合成樹脂製の緩衝部材82を固着
し、緩衝部材82のシリンダ83内周面に面する側の端
面84を球面形状にしたものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記第一従
来例においては、スラップ音低減効果を得る上で、緩衝
部材56をゴムまたは合成樹脂等の粘弾性を有する材料
で製作するとよいことはわかっていたが、具体的にどの
ような形状が適切かについては特に考慮されなかった。
最近行ったテストにより、緩衝部材56としてゴムを使
用した場合に、その形状の違いによってスラップ音の低
減効果が著しく異なることが判明した。
【0012】例えば、図13はピストンを水平断面で切
断したときの拡大断面図であるが、図13に示すよう
に、緩衝部材56を凹部55に嵌入したときに、緩衝部
材56の外周面79と凹部55の側壁77との間に隙間
が生じないような形状となるように緩衝部材56を製作
した場合、スラップ音低減効果は大きいが、外環部材5
7と凹部55との間でつぶれた緩衝部材56の周縁部5
6Aが凹部55の周囲78にはみ出して、外環部材57
との隙間に入り込むため、外環部材57の外周面で、こ
のはみ出した部分だけシリンダライナへの当たりが強く
なり、ピストンが焼き付きを起こすおそれがあることが
わかった。このはみ出しが生じるのは、緩衝部材56が
ゴムという圧縮変形する材料で製作されているから、当
然の結果である。
【0013】そこで、図14に示すように、緩衝部材5
6の外周面79と凹部55の側壁77との間に約1mm
程度の隙間を設けることによって、緩衝部材56がつぶ
れた時の余裕しろを約1mm程度とり、凹部55の側壁
77に緩衝部材56が当たらないようにしたところ、上
記焼き付きの問題は解決されるものの、緩衝部材56に
よる緩衝効果は低下し、スラップ音の低減効果が落ち、
かえって悪い結果を招くこととなった。その理由は以下
のとおりである。ピストンにかかる筒内圧は約10MP
aであり、この時ピストンがシリンダライナを押し付け
る側圧力は6000N程度になる。また、緩衝部材56
の面積の総計は約10cm2 であるから、緩衝部材56
が受ける面圧は、6000N/10cm2 =6MPaと
なる。一方、一般的なゴムの弾性率は1〜3MPa程度
であるから、6MPaという大きな面圧を受けると、緩
衝部材56は簡単につぶれてしまい、衝撃吸収の機能を
果たすことができない。このような理由から、緩衝部材
56の外周面79と凹部55の側壁77との間に隙間を
設けると、緩衝効果が得られないのである。従って、上
記第一従来例のピストンにおいては、緩衝部材56の衝
撃吸収機能を確保すると同時に緩衝部材56の周縁部5
6Aがピストンとシリンダライナの間に挟まれるのを防
ぐことが課題となっている。
【0014】そこで、上記第二従来例に開示された緩衝
部材82の端面84が球面形状であることに着目して、
上記第二従来例の緩衝部材82を上記第一従来例のピス
トンに適用した場合、緩衝部材82の周縁部56Aが外
環部材57と凹部55の周囲78との間に挟まれる可能
性はかなり低くなると予想される。もっとも上記第二従
来例では、緩衝部材82はフッ素樹脂製が好ましいとし
ており、その場合には上記のような焼き付き等の問題を
考慮する必要はないかもしれない。なぜなら、フッ素樹
脂の弾性率は4×108 Pa程度であるから、緩衝部材
82の圧縮しろは20〜30μm程度といった非常に小
さなものになるからである。しかしながら、フッ素樹脂
は圧縮永久歪みが大きいため、徐々にシリンダライナと
外環部材57との間隙が増大し、これに伴ってスラップ
音低減効果が減少していくことになるので、緩衝部材と
して長期間使用するにはフッ素樹脂は適当ではない。
【0015】また、上記第二従来例のピストンにおいて
は、緩衝部材はシリンダライナの面に直接摺動する関係
上、緩衝部材の材料として摩擦係数の低いフッ素樹脂が
好ましいとしたものと推定されるが、上記第一従来例の
ピストンのように、緩衝部材56がピストンスカート部
53と外環部材57との間に嵌装されているピストンに
おいては、摩擦係数はあまり重要なファクタではない。
むしろ、スラップ音低減効果に優れた材料であるところ
のゴムあるいはゴムと同程度の弾性率を有する材料が緩
衝部材の材料として適切である。従って、上記第二従来
例で開示された端面84が球面形状の緩衝部材82を上
記第一従来例のピストンに適用するとすれば、緩衝部材
82の材質としてゴムあるいはゴムと同程度の弾性率を
有する材料を選択するのが妥当である。しかしながら、
緩衝部材82が圧縮変形した時の逃げ容積を何らかの形
で緩衝部材82の周囲に確保しなければ、凹部55の周
囲78に緩衝部材82がはみ出す可能性がないとはいえ
ず、緩衝部材82の周縁部56Aがピストンスカート部
53と外環部材57との間に挟まれて緩衝部材82の一
部がちぎれたり、あるいはピストンが焼き付いたりする
おそれが依然として残っている。
【0016】この発明の目的は、上記課題を解決するこ
とであり、ゴムあるいはゴムと同程度の弾性率を有する
材料で製作された緩衝部材がピストンスカート部と外環
部材との間に嵌装されるピストンにおいて、緩衝部材の
形状を工夫することによって、緩衝部材の周縁部がピス
トンスカート部と外環部材との間に挟まれるのを防ぎ、
焼き付きを防止しつつ衝突減衰性能を確保したピストン
を提供することである。
【0017】
【課題を解決するため手段】この発明は、上記目的を達
成するため次のように構成されている。即ち、この発明
は、ピストンリング溝を備えたクラウン部とピストンピ
ンを挿通するピン孔が形成されたボス部を備えたスカー
ト部とを一体構造に構成したピストン本体、前記スカー
ト部に緩衝部材を介在して嵌合した外環部材、前記ボス
部と前記外環部材との間に設けられ前記外環部材を前記
ピストンピンに対してスラスト方向に相対移動可能に支
持する外環支持部材を有するピストンにおいて、前記緩
衝部材が密着状態で嵌入される凹部を前記スカート部に
形成し、前記緩衝部材の前記外環部材側の面の周縁部を
面取りしてチャンファー部を形成し、前記凹部の側壁と
チャンファー部との間に空間を形成したことを特徴とす
るピストンに関する。
【0018】
【作用】この発明によるピストンは、上記のように構成
されており、次のような作用をする。即ち、このピスト
ンは、ボス部と外環部材の間にはピストンピンに対して
前記外環部材の上下方向相対移動を規制する係止部を備
えた外環支持部材が介在され、前記外環支持部材は前記
外環部材が前記ピストンピンに対してスラスト方向に相
対移動可能に配置されているので、前記外環部材は前記
外環支持部材を介在してピストン往復運動方向即ち上下
方向が前記ピストンピンで支持されることになり、しか
も前記外環部材はスカート部及び前記緩衝部材に対して
スラスト方向に相対移動可能になる。
【0019】従って、ピストンの往復運動に対しては前
記外環部材はピストン本体と共に往復運動するが、前記
外環部材はスラスト方向には前記スカート部に対して相
対移動可能であるので、前記ピストン本体がピストンピ
ン回りに揺動する時に発生する衝突力は前記緩衝部材に
よって緩衝され、スラップ音の発生は抑制され、しか
も、前記緩衝部材では前記外環部材が支持されていない
ので、前記緩衝部材に剪断力が作用することがなく、前
記緩衝部材の耐久性を向上でき、長期にわたってスラッ
プ音低減性能を維持することができる。
【0020】ピストン本体がピストンピン回りに揺動す
る時に発生する衝突力が前記緩衝部材によって緩衝され
るメカニズムは以下のとおりである。即ち、前記緩衝部
材の外周面が凹部に密着して嵌入しているので、前記緩
衝部材が衝撃力を受けた時に、前記緩衝部材は衝撃吸収
の初期段階においては衝撃を弾性変形で受け、その内部
歪みによってエネルギーを吸収し、高面圧になってくる
に従って衝撃を体積圧縮で受けることによって過大な圧
縮変形が防止されるのである。また、前記凹部の側壁と
チャンファー部との間に空間が形成されているので、前
記緩衝部材がつぶれた時に、前記緩衝部材は前記空間を
埋めるように変形し、前記緩衝部材の周縁部がピストン
スカート部と外環部材との間にはみ出すことはない。
【0021】
【実施例】以下、図面を参照しながら、この発明による
ピストンの実施例について説明する。この発明によるピ
ストンの一実施例を図1、図2、図3及び図4を参照し
て説明する。図1はこの発明によるピストンの一実施例
を示す概略図であって、ピストンピン軸方向の左半分が
断面で且つ右半分が外観を示す概略図、図2は図1のピ
ストンのピストンピン軸に直角方向の左半分が断面で且
つ右半分が外観を示す概略図、図3は図1の線A−Aに
おける断面図、及び図4は図1のピストンの分解図であ
る。
【0022】図示のように、このピストンは、ピストン
ヘッド部即ちクラウン部2と、該クラウン部2の外径よ
り小さい外径を有し且つクラウン部2と一体構造のスカ
ート部3とからなるピストン本体1、及びスカート部3
に緩衝部材6を介在して嵌合した外環部材7を有してい
る。クラウン部2には複数のピストンリング溝12が形
成され、各ピストンリング溝12にはピストンリング
(図示せず)が嵌入される。また、ピストン本体1のス
カート部3はピストンピンを嵌合するピン孔4が形成さ
れたボス部13を備えている。また、スカート部3のボ
ス部13は外面が平坦面14に形成されており、平坦面
14にピストンピン(図示せず)が挿通するピン孔4が
形成されている。
【0023】外環部材7は円筒状部材であって、円筒部
にピストンピン挿通用のピン孔8が形成されている。ピ
ン孔8はスカート部3のピン孔4より径が大きく形成さ
れている。外環部材7はピン孔8を挟んで円筒部の上下
に形成された鍔部9,9を有している。外環部材7の内
径はスカート部3の外径より大きく形成されている。ス
カート部3のボス部13は平坦面14に形成され、外環
部材7は円筒状に形成されているから、外環部材7がス
カート部3に嵌合した状態では、ボス部13の平坦面1
4と外環部材7の内面との間には断面円弧状の隙間が形
成される。この隙間に外環支持部材10が配置されてい
る。
【0024】外環支持部材10には、スカート部3のピ
ン孔4に整合するピン孔11が形成されている。また、
外環支持部材10は、ピストンピンに対しては全方向に
相対移動はできない状態であるが、外環部材7に対して
はピストン往復運動方向即ち上下方向には相対移動は規
制され且つ周方向であるスラスト方向には相対移動が可
能に構成されている。また、スカート部3のボス部13
の近傍を除く外面と外環部材7の内面との間には周方向
に延びる隙間17が形成され、該隙間17には緩衝部材
6が介在している。緩衝部材6は、ゴム、合成樹脂等の
粘弾性を有する材料から作製されている。スカート部3
の外面には、スカート部3に対する相対移動を阻止する
ため、複数個の緩衝部材6が嵌入する緩衝部材嵌入用凹
部5が複数個形成されている。
【0025】緩衝部材嵌入用の凹部5の形状は図5及び
図6に示すとおりである。図5は図4のピストンの凹部
5の部分を示す正面図、図6は図5の線B−Bにおける
断面図である。凹部5の形状は長方形部分の両端にそれ
ぞれ半円形部分が形成された形状である。凹部5の底面
15は平坦面であり、側壁16は底面15に対して垂直
に形成されている。
【0026】緩衝部材6の形状は図7及び図8に示すと
おりである。図7は緩衝部材6の平面図、図8は図7の
緩衝部材の正面図である。緩衝部材6はゴム又はゴムと
同程度の弾性率(縦弾性率及び体積弾性率)を有する材
料で製作する。図7から明らかなように、緩衝部材6の
平面形状は長方形部分の両端にそれぞれ半円形部分が形
成された形状であり、図7と図5とを比較するとわかる
ように、緩衝部材6の平面形状は凹部5の形状と全く同
一である。緩衝部材6の輪郭を描く外周面18は底面1
9に垂直に形成されている。緩衝部材6の上面20には
全周にわたって面取りが施され、チャンファー部21が
形成されている。また、緩衝部材6の上面20はスカー
ト部3の曲率半径R1 に等しい曲率半径R2 をもつ円弧
面として形成されている。また、緩衝部材6の厚さは凹
部5の深さよりも若干大きく形成されている。即ち、緩
衝部材6の厚さは、凹部5の深さにピストン本体1と外
環部材7との間隙の大きさを加えた程度の大きさとす
る。
【0027】図9は凹部5に緩衝部材6を嵌入した状態
を示す拡大断面図である。図9に示すように、緩衝部材
6を凹部5に嵌入した状態においては、緩衝部材6の外
周面18と凹部5の側壁16との間には隙間が生じな
い。また、緩衝部材6は上面即ち外環部材7側の面の周
囲にチャンファー部21が形成されている。チャンファ
ー部21は外環部材7側の面の全周にわたって面取りし
て形成したものであり、その大きさはピストン本体1と
外環部材7の間隙がゼロになった時の緩衝部材6のつぶ
れ分を吸収できる程度とする。チャンファー部21を設
けたことにより、緩衝部材6は外周面18と凹部5の側
壁16との間に隙間のない状態で凹部5に嵌入している
が、凹部5の側壁16と緩衝部材6のチャンファー部2
1との間には空間22が形成されている。
【0028】このピストンにおいて、特に、外環部材7
の上下端部には、外環支持部材10に対して外環部材7
が上下方向に規制即ち固定されるように、半径方向内向
きに突出する係止部即ち鍔部9が形成されている。そし
て、外環支持部材10に形成したピン孔11はピストン
ピンに対してクリアランスを形成することなく嵌合して
いる。また、外環部材7がシリンダを構成するシリンダ
ライナと同程度の熱膨張率を有する材料で作製されてい
ることが、外環部材7とシリンダライナとの間に熱膨張
差が発生せず好ましいものである。例えば、シリンダラ
イナが鋳鉄で作製されている場合には、外環部材7は鋳
鉄又は鋼等で作製し、また、シリンダライナがセラミッ
クスで作製されている場合には、外環部材7をセラミッ
クスで作製することが好ましい。
【0029】このピストンは、例えば、凹部5に緩衝部
材6を嵌入したスカート部3に、上下の鍔部9の間に外
環支持部材10を配置した外環部材7を挿入し、次い
で、外環部材7のピン孔8、外環支持部材10のピン孔
11及びスカート部3のピン孔4にピストンピンを挿入
して固定することによって、組み立てられる。このピス
トンは、上記のように組み立てられるが、ピストンが往
復運動すると、外環部材7はピストン本体1と一体的に
往復運動する。そして、ピストンの往復運動に従ってピ
ストン本体1はスラスト方向即ちピストンピン回りで揺
動し、スカート部3が緩衝部材6及び外環部材7を介し
てシリンダライナ壁面に衝撃を与える。しかしながら、
外環部材7は、ピストンピンによってピストン本体1に
対して上下方向に規制されてピストンピンに支持されて
いるが、ピストン本体1に対して周方向に相対移動可能
に構成されているので、ピストン本体1の揺動力は緩衝
部材6によって緩衝されて外環部材7に伝達され、その
衝撃力は低減され、スラップ音は低減される。
【0030】緩衝部材6は外環部材7を介してシリンダ
ライナ壁面から衝撃を受けると、緩衝部材6は弾性変形
してつぶれていく。ゴム製の緩衝部材6は高粘性である
ことから、特に凹部5の底面19に近い部分では弾性変
形する時の逃げ場がなくなり、体積圧縮を受けることに
なると考えられる。ゴムの体積弾性率は2.5×10 9
Pa程度であるから、従来の技術の欄で説明したよう
に、6MPaの面圧が緩衝部材6に作用したとしても、
厚さt=2mmのゴム製緩衝部材6の場合、圧縮しろ
は、 2×6×106 /2.5×109 =4.8×10- 3
m となり、緩衝部材6は6000Nの側圧力(ピストンが
シリンダライナを押し付ける側圧力)を受けることが可
能である。
【0031】このように、緩衝部材6は、衝撃吸収の初
期段階においては、衝撃を緩衝部材6自体の弾性変形で
受け、内部歪みによってエネルギーを吸収する。そし
て、緩衝部材6は高面圧になってくるにつれて衝撃を体
積圧縮で受ける。このようにして過大な圧縮変形を防止
することができる。そして、凹部5の側壁16と緩衝部
材6のチャンファー部21との間には空間22が形成さ
れているので、該空間22が緩衝部材6が圧縮されてつ
ぶれた時の余裕しろとなり、緩衝部材6の周縁部が凹部
5の周囲23にはみ出すことはない。従って、外環部材
7の外周面がシリンダライナに部分的に強く当たるとい
うことはないので、ピストンの焼き付きの問題は発生し
ない。
【0032】なお、この発明によるピストンの一実施例
として、緩衝部材6と凹部5との関係を図1、図2、図
3及び図4に示したタイプのピストンに適用した場合に
ついて説明したが、緩衝部材と凹部との関係を第一従来
例として記載したタイプのピストンに適用してもよいこ
とは言うまでもない。
【0033】
【発明の効果】この発明によるピストンは、上記のよう
に構成されているので、次のような効果を奏する。即
ち、緩衝部材は凹部に密着状態即ち隙間なく嵌入するの
で、緩衝部材は、衝撃吸収の初期段階においては、衝撃
を緩衝部材自体の弾性変形で受け、内部歪みによってエ
ネルギーを吸収する。そして、緩衝部材は高面圧になっ
てくるにつれて衝撃を体積圧縮で受ける。このようにし
て過大な圧縮変形を防止することができる。また、前記
緩衝部材の外環部材側の面の周縁部を面取りしてチャン
ファー部を形成し、凹部の側壁とチャンファー部との間
に空間を形成したので、緩衝部材が圧縮されてつぶれた
時に前記空間が余裕しろとなり、緩衝部材の周縁部がス
カート部と外環部材との間にはみ出すことはなくなり、
ピストンの焼き付きを引き起こすことはなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるピストンの一実施例を示す概略
図であって、ピストンピン軸方向の左半分が断面で且つ
右半分が外観を示す概略図である。
【図2】図1のピストンのピストンピン軸に直角方向の
左半分が断面で且つ右半分が外観を示す概略図である。
【図3】図1の線A−Aにおける断面図である。
【図4】図1のピストンの分解図である。
【図5】図4のピストンの凹部の部分を示す正面図であ
る。
【図6】図5の線B−Bにおける断面図である。
【図7】緩衝部材の平面図である。
【図8】図7の緩衝部材の正面図である。
【図9】凹部に緩衝部材を嵌入した状態を示す拡大断面
図である。
【図10】第一従来例のピストンの分解斜視図である。
【図11】図10に示すピストンの組立正面図である。
【図12】図11の線C−Cにおける断面図である。
【図13】第一従来例のピストンの凹部に緩衝部材を嵌
入した状態を示す拡大断面図である。
【図14】第一従来例のピストンの凹部に別の緩衝部材
を嵌入した状態を示す拡大断面図である。
【図15】第二従来例のピストンを示す縦断面図であ
る。
【図16】図15のピストンの線D−Dにおける一部の
断面図である。
【符号の説明】
1 ピストン本体 2 クラウン部 3 スカート部 4 ピン孔 5 凹部 6 緩衝部材 7 外環部材 10 外環支持部材 12 ピストンリング溝 13 ボス部 16 側壁 18 外周面 21 チャンファー部 22 空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02F 3/00 301 F02F 3/00 F02F 3/00 302

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピストンリング溝を備えたクラウン部と
    ピストンピンを挿通するピン孔が形成されたボス部を備
    えたスカート部とを一体構造に構成したピストン本体、
    前記スカート部に緩衝部材を介在して嵌合した外環部
    材、前記ボス部と前記外環部材との間に設けられ前記外
    環部材を前記ピストンピンに対してスラスト方向に相対
    移動可能に支持する外環支持部材を有するピストンにお
    いて、前記緩衝部材が密着状態で嵌入される凹部を前記
    スカート部に形成し、前記緩衝部材の前記外環部材側の
    面の周縁部を面取りしてチャンファー部を形成し、前記
    凹部の側壁と前記チャンファー部との間に空間を形成し
    たことを特徴とするピストン。
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