JP3166072B2 - 水系ポリウレタンを付与した人工皮革 - Google Patents

水系ポリウレタンを付与した人工皮革

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水系ポリウレタンを
付与した人工皮革に関する。より詳しくは、水系ポリウ
レタン樹脂を付与した不織布シート状物を液流染色機で
染色して人工皮革とするに際し、染色時の脱落ウレタン
樹脂の熱分解を抑制し、加工収率の向上と染色機の長期
連続運転を可能とする耐熱性に優れる人工皮革を提供す
る。
【0002】
【従来の技術】極細繊維を主体とする不織布に各種の高
分子化合物を付与、加工を施し人工皮革を得ることは一
般に広く知られている。この場合の高分子化合物は人工
皮革として柔軟で且つ弾力性のある風合、及び耐久性、
寸法安定性などの物性を得るためにポリウレタン樹脂が
多く使われる。
【0003】一般にポリウレタン樹脂は、有機溶剤に溶
解した溶液として不織布シート状物に付与され湿式凝固
される場合が多い。しかしながら、その際に使用される
有機溶剤は引火性で且つ毒性の強い物質であることが多
く、火災や毒性の危険防止の為、溶剤回収に際して非常
に多くの注意を払う必要があった。又、溶剤も高価であ
り希薄溶液からの回収に多大のコストがかかるという欠
点がある。
【0004】一方、昨今の地球環境保全への関心の高ま
りの中、有機溶剤タイプから水系ポリウレタンエマルジ
ョンタイプへの移行は、よりエコロジカルな技術として
注目を浴びて来ている。ところが、水系ポリウレタンか
らなる人工皮革は多くの種類のものが液流染色において
130℃の熱水揉布作用に耐えられず、ウレタン樹脂が
脱落し易いという欠陥があり、脱落ウレタン樹脂が染色
機のストレーナ部や熱交換部に詰まったり、気相機壁に
付着して染色機を激しく汚染するなど工業的安定生産の
観点から欠点があった。これは水性ポリウレタンが水分
散で重合される為、ポリマーの分子量が溶剤系ポリマー
程高くないため成膜が弱く、しかも耐熱性が低いことに
起因すると考えられる。
【0005】本発明者らは先に、特開平07−2290
71号公報において染色時のウレタン樹脂脱落を少なく
し、脱落ウレタン樹脂の染色機汚染を抑制する方法とし
てエマルジョンを乾燥して作成した樹脂フィルムのN,
N′ジメチルホルムアミドでの溶解率が12%以下で、
粘着性が130℃乾熱処理後の接着強度が1.2g/c
m以下の水系ポリウレタンエマルジョンを使用する方法
を完成し、水系ポリウレタン樹脂を適用した人工皮革の
工業的量産技術を完成させた。しかし、生産要求に呼応
して染色機の稼動率が高まるにつれ、液流染色機の機内
に蓄積したウレタン屑の熱分解による生地への再付着に
より、加工収率の低下が新たな問題となってきた。
【0006】一般にポリウレタン樹脂との複合体であ
る人工皮革を液流染色すると、ポリウレタン樹脂が溶剤
系や水系を問わず10%弱程度は染色揉布で脱落する。
しかしながら10%程度の脱落ウレタンと言えど、水系
ポリウレタン樹脂の場合は溶剤系ポリウレタン樹脂に比
し重合度が低く、分子量分布も広い為ポリマーとしての
安定性に乏しく、染色機の稼動が高まるにつれ機内に蓄
積し、除々に熱分解を起して着色を引き起こす原因とな
っていた。また、同時に抜け落ちた極細繊維がマイクロ
フィルターになり、又染色中の気泡がマイクロ化する過
程で分解した脱落ウレタン樹脂が凝集し、粘着性を帯び
た塊りとなり熱交換器の多孔板を閉そくさせたり、該塊
りの一部が激しい染色中の乱流でちぎれて生地に再付着
するといった現象が発生し、例えば、1週間程度の連続
運転しか保たず加工収率も70%程度と低くなるなど、
安定生産が困難な状態となっていた。更に、得られた人
工皮革の中には高度の耐熱性が要求される分野、例えば
カーシート用途等に対して充分な性能を有するとは言え
ないものも発生していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、水系ポリウ
レタン樹脂を付与した人工皮革原反を液流染色機で染色
するに際して、染色時の脱落ウレタン樹脂の熱分解を抑
制し、加工収率を高め、且つ長期間の連続染色を可能と
する耐熱性に優れた人工皮革を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、水系ポリ
ウレタン樹脂からなる人工皮革の高温液流染色で発生す
る前述の課題を解決するために使用する水系ポリウレタ
ン樹脂の耐熱性の挙動に着目し、鋭意検討した結果本発
明に到達した。即ち、本発明は、差動走査熱量計(DS
C)による300℃迄の昇温過程で発現する発熱ピーク
の発熱量が50mj/ mg以下で、該発熱ピークのトッ
プ温度が215℃以上である水系ポリウレタン樹脂で、
かつ該ポリウレタン樹脂からなるフィルムの180℃乾
熱処理後のステンレス板との接着強度が700g/cm
以下である水系ポリウレタン樹脂を付与した単糸繊度
0.5d以下の不織布シート状物を染色してなる人工皮
革に関する。
【0009】本発明の水系ポリウレタン樹脂の発熱量の
より好ましい範囲は40mj/mg以下、更に好ましい
範囲は30mj/mg以下であり、発熱ピークのトップ
温度は220℃以上が好ましく、更に好ましくは230
℃以上である。発熱量が50mj/ mgを越えるか、又
は発熱ピークのトップ温度が215℃未満であると、高
圧液流染色工程に於いて前述の非常に厳しい問題が生
じ、安定生産が望め無いばかりか、得られる人工皮革は
高度の耐熱性が要求される分野に対しては不十分であ
る。
【0010】一方、DSCによる300℃迄の昇温過程
で発熱ピークを示さず、発熱量が0mj/ mgであって
も差し支えなく、熱安定性に優れた水系ポリウレタン樹
脂として本発明での使用が可能である。本発明は水系ポ
リウレタン樹脂フィルムのステンレス板との接着強度が
700g/cm以下、好ましく600g/cm以下、更
に好ましくは400g/cm以下である。該接着強度が
700g/cmを越えると、脱落した樹脂が染色機壁や
熱交換器周辺に付着し、分解清掃等によっても容易に除
去することが出来ず、製品に再付着することで製品欠点
を引き起こす原因となる。勿論、ステンレス板と全く接
着性を示さない、即ち該接着強度が0g/cmであって
も何ら本発明の使用に差し支えなく、むしろ染色機内い
に脱落した樹脂を容易に除去することが出来て好まし
い。
【0011】本発明の水系ポリウレタン樹脂は、ポリオ
ール成分としてはポリエチレンアジペートグリコール、
ポリブチレンアジペートグリコールなどのポリエステル
ジオール類、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ
プロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレン
グリコール(PTMG)などのポリエーテルグリコール
類、ポリカーボネートジオール(PCG)類等が適用で
き、イソシアネ ート成分としてはジフェニルメタンー
4、4’ージイソシアネート等の芳香族イソシアネート
(MDI)、ジシクロヘキシルメタンー4、4’ージイ
ソシアネート(H12−MDI)等の脂環族イソシアネ
ート、ヘキサメチレンイソシアネート(HMDI)等の
脂肪族ジイソシアレート等が使用でき、鎖伸長剤として
はエチレングリコール等のグリコール類、エチレンジア
ミン、4、4’ージアミノジフェニルメタン等のジアミ
ン類、更には3官能のアルコール、アミン等を適宜選択
使用することができる。
【0012】重合方法は、本発明のDSC挙動、即ち発
熱量及び発熱ピークのトップ温度を満たし、且つステン
レスとの接着強度範囲を満足しさえすれば、何ら制約さ
れるものでは無く、例えば、強制乳化重合法、イオン化
重合等が用いられる。本発明では、必要に応じて紫外線
吸収剤、酸化防止剤、着色剤などを添加することもでき
る。本発明の好ましい水系ポリウレタン樹脂としては後
述するように、ポリエーテル系の無黄変ポリウレタン樹
脂、ポリカーボネート系の無黄変ポリウレタン樹脂がそ
の耐熱性、耐熱水性、耐光性の性能から好適に用いられ
る。
【0013】以下に、本発明をより具体的な実施態様を
用いて更に詳細に説明する。本発明の特定の水系ポリウ
レタンを得る一つの方法として、耐熱性向上剤としての
酸化防止剤を併用する方法がある。酸化防止剤は水系ポ
リウレタンの重合時に添加しても、重合完了後エマルジ
ョンの状態で添加しても、あるいは両工程で添加するこ
とも可能である。酸化防止剤は粉体のものが多くそのま
までは均一添加がむつかしい為、予め水溶液にして所定
量を添加する方法が望ましい。酸化防止剤としては一般
的にはヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、
ヒドラジン系が挙げられるが、ヒンダードアミン系の高
分子量グレードのものが特に優れた効果を発揮する。
【0014】ヒンダードアミン系酸化防止剤として「チ
マソーブ944LD」(商品名:チバガイギー社製)を
添加する場合について脂肪族ポリエーテル系の水系ポリ
ウレタン樹脂の耐熱性能の変化について説明する。樹脂
フィルムのDSC挙動としての分解発熱量は、上記酸化
防止剤の添加率と共にほぼ直線的に減少する(図−
1)。同時に発熱ピークのトップ温度も上昇(図−2)
し、大巾な改良効果が達成できる。これら酸化防止剤を
添加したフィルムのステンレス板上で耐熱評価を目視で
行った場合、1重量%以上の添加率では分解着色は認め
られないが、粘着性を接着強度で測定することにより酸
化防止剤の添加量と共にほぼ直線的に低下(図−3)し
ていることが判明した。本発明の水系ポリウレタン樹脂
を得るに際し、酸化防止剤の添加量はウレタン樹脂固形
分に対し0.5〜10重量%の範囲であり、好ましくは
1〜5重量%、より好ましくは1〜5重量%の範囲であ
る。酸化防止剤の添加量が0.5重量%未満では耐熱性
向上効果が不十分である。又、10重量%を越えて添加
しても耐熱性はそれ以上に向上せず、逆に液の泡立ち、
風合性能の低下、コスト高といった悪影響が生じ好まし
くない。
【0015】酸化防止剤は、ポリエステル系の水系ポリ
ウレタンにも適用できるが、ポリエステル系は本来、粘
着が強いものが多くステンレス板との接着強度が700
g/cmを越え、染色機壁に接着したり、脱落ウレタン
が生地に再付着し易いなどの注意が必要である。酸化防
止剤添加による耐熱性改良が130℃の高温液流染色に
よる脱落ウレタンによる弊害を抑制し、染色機の稼動率
と加工収率向上に寄与することは驚くべきことである。
更に、この間の原反の加工収率はウレタン屑の再付着が
原因によるC反の発生はなく、高収率が達成できる。連
続染色の合間にカセイソーダやハイドロサルファイトナ
トリウムによる簡単な洗浄を定期的に組み込めば、染色
機の稼動率は更に向上する。例えば、ポリエーテル系水
系ポリウレタン樹脂にチマソーブ944LDを添加する
場合、添加率は樹脂固形分に対し、望ましくは1重量%
以上添加することで上述の条件を満たすことができる。
【0016】酸化防止剤の中には発泡し易いものもあ
り、使用中に工程内のタンクやバス内で泡立ちによるト
ラブルが発生することも予想される。これに対しては、
脂肪酸エステル系の消泡剤の併用が効果的である。消泡
剤の中でシリコン系や鉱物油系は消泡効果は高いが、不
織布内の繊維同志のスリップ現象を助長する為、使用に
当っては注意を要す。本発明の水系ポリウレタンとして
ポリカーボネート系ウレタンを用いる場合、そのポリマ
ー構造により酸化防止剤を使用しなくてもDSCの分解
発熱量が、50mj/mg以下で発熱ピークのトップ温
度が215℃以上を容易に達成することができる。しか
も、ステンレス板との接着強度も240g/cmと極端
に低く、機壁付着の心配もなく樹脂ポリマーとして極め
て安定している。勿論、酸化防止剤を併用することも可
能である。
【0017】本発明は、液流染色時に湿熱130℃に耐
える水系ポリウレタン樹脂についてなされたものである
が、染色温度が130℃未満ならば水系ポリウレタン樹
脂の耐熱性能は、余力があり染色機の稼動率は更に向上
すると共に、加工収率も100%に限りなく近付けるこ
とも可能である。本発明に用いられる不織布の素材とし
てはポリエステルが好ましいが、これに限定されるもの
ではなく、広く一般の化合繊に適用できる。
【0018】本発明は0.5d以下の極細単繊維からな
る不織布シートに適用される。0.5dを越えた太さの
繊維では不織布の風合いが粗硬で、柔軟で上品な品位の
人工皮革を製造することが出来ない。特に、スエード調
人工皮革の場合優美なライティングエフェクトが得られ
ず商品価値が低い。0.5d以下の極細単繊維からなる
不織布が表層となるように構成されれば他の繊維構造体
を組み合わされてもよい。ポリウレタン樹脂を不織布シ
ートに付与する方法には従来公知の方法が適用される
が、ポリウレタン樹脂を含む含浸液に不織布シートを含
浸する方法が好ましい。
【0019】本発明に係る物性の測定方法は次の通りで
ある。 発熱量、トップ温度:差動走査熱量計(DSC、例
えば、SEIKO I&E社製 DSC200/TG/
DTA200)を用い、サンプル重量5〜10mg、昇
温速度10℃/分、空気フローで300℃迄の昇温を行
い、発現ピークの解析を行う。測定するウレタン樹脂フ
ィルムはエマルジョンの原液を0.75mmのアプリケ
ータでガラス板上にコートし、25℃の室温下で20時
間乾燥してフィルムを作成する。次いで130℃の熱風
乾燥機内に上記フィルムをガラス板ごと入れ20分間熱
処理する。ガラス板よりポリウレタンフィルムを剥が
し、130℃の熱水中で20分間処理した後、80℃で
15分間の処理を行い水洗後風乾したものを用いる
【0020】 接着強度:上述の方法で処理作成した
フィルムを0.05mm厚のステンレス板(SUS30
4)上に置き、熱風乾燥機で180℃、20分処理した
後、ステンレス板ごと2cm幅にカットして引張り強伸
度測定機で接着面の強度を測定する。尚、この際剥離す
るウレタンフィルムにテープなどを貼りフィルムの伸び
を止めることで測定精度が向上する。
【0021】
【実施例】以下に実施例などを用いて本発明を更に詳細
に説明するが、本発明はそれらにより何ら限定されるも
のではない。尚、液流染色機の機内の屑の蓄積による運
転稼働の可否は、最大ノズル圧で正常時の85%迄と
し、85%を割る状態となった時を運転停止とした。ま
た、製品の耐熱性は、得られた人工皮革を110℃で1
00時間熱処理した前後での風合いの変化をカンチレバ
ーにて評価し、熱処理により風合いが硬くなったものを
×とし、風合いの変化が全く無いものを○として表し
た。
【0022】(実施例1)直接紡糸法によって単繊維繊
度0.15dのポリエステル極細繊維を製造し、長さ5
mmに切断した後、水中に分散させ、表層用と裏層用の
抄造用スラリーを作った。表層目付100g/m2 、 裏
層目付50g/m2 とし、その中間に75d/36fの
ポリエステル繊維からなるガーゼ状の織物を挿入し、三
層積層構造の不織布シートを連続抄造で製造した。次い
で高速水流の噴射により三次元交絡不織布を得た。高速
水流は孔径0.1mmの直進流噴射ノズルを用いて表層
から40kg/cm2 、裏層から30kg/cm2 の圧
力で噴射処理した。次いで、ピンテンターで乾燥し、目
付200g/m2 、 厚さ0.8mmのシート状物を連続
的に製造した。このシート状物の表層を#400のエメ
リペーパーを用い、ペーパー速度1000m/分でバフ
ィングした。含浸液としてポリエーテル系水系ポリウレ
タンエマルジョン(日華化学社製「エバファノールAP
−12」:強制乳化型非イオン系 固形分40%、平均
粒径0.6μm)を9重量%、感熱剤として硫酸ナトリ
ウム(Na2 SO4 )3重量%からなる含浸液を調合
し、さらに、酸化防止剤として「チマソーブ944L
D」(チバガイギー社製)をウレタン樹脂固形分に対
し、0.5、1.0、3.0重量%をそれぞれ加えた含
浸液を調合した。各々の液に前記不織布シートを含浸後
ピックアップ率120%になるようにマングルで絞り付
着率を合わせた。その後連続的にピンテンター乾燥機で
130℃、3分間で加熱乾燥し人工皮革原反とした。
【0023】この人工皮革原反を800リットルの浴で
浴比1:20になるように日阪製作所製CUT−RA液
流染色機を用いて24時間体制で染色作業を続けた。染
料は分散染料で、濃度は1〜3%owfの淡色専用釜で
130℃、20分の染色をし、その後、二酸化チオ尿
素、カセイソーダー各3g/リットルで80℃、15分
の還元洗浄を行い酸中和後水洗を1サイクルとした。上
記条件で製造した原反を連続的に投入し、液流染色機の
汚れや詰まりの状態を最大ノズル圧の正常時からの保持
率で85%までを連続稼働の目安として、その期間を求
めた。その後、染色機の分解掃除を行い熱交多孔管の詰
まりや後部ハッチ周辺の汚れ状態を観察した。尚、酸化
防止剤の添加量が3重量%では原反は4週間で全く異常
は見られなかったが、釜内の状態を把握する為、あえて
4週間後に分解した。得られた結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】尚、期間内に発生したC反の内、脱落ウレ
タンが原因によるC反の発生率は酸化防止剤なしの時で
70%であったが、酸化防止剤が0.5重量%で30
%、同1.0、3.0重量%では上記原因によるC反の
発生は全くなかった。又、それぞれ得られた人工皮革の
耐熱性を評価した結果、酸化防止剤を添加しなかったも
のは風合い硬化が認められ(耐熱性:×)、酸化防止剤
を0.5重量%添加した人工皮革は耐熱性:△、酸化防
止剤を1重量%、3重量%添加した人工皮革の耐熱性は
○であった。
【0026】(実施例2)実施例1で使用した不織布に
ポリカーボネート系ポリウレタンエマルジョン(日華化
学社製「エバファノールAP C−55」:強制乳化型
非イオン系、固形分40%、平均粒径0.7μm)を9
重量%、感熱剤として硫酸ナトリウム(Na2 SO4
3重量%からなる含浸液に含浸した。マングルで絞りピ
ークアップ率120%に合わせ、連続的にピンテンター
乾燥機で130℃で3分間加熱乾燥した。使用したウレ
タン樹脂のフィルム性能は次の表2に示す通りであっ
た。
【0027】
【表2】 この原反を実施例1と同様に液流染色機に投入し、連続
稼働性を確認した所4週間の連続稼働が達成でき、且つ
この間の脱落ウレタンが原因によるC反の発生はなく、
極めて安定した染色加工ができ、得られた人工皮革の耐
熱性は○であった。
【0028】(実施例3)実施例2に於いて、酸化防止
剤として「チマソーブ944LD」(チバガイギー社
製)をウレタン樹脂固形分に対し、1.0重量%添加し
た以外は実施例2と同じポリカーボネート系水系ポリウ
レタンエマルジョン含浸液を調合した。実施例2と同様
にしてマングルで絞りピークアップ率120%に合わせ
連続的にピンテンター乾燥機で130℃、3分間で加熱
乾燥した。使用したウレタン樹脂のフィルム性能は次の
表3に示す通りであった。
【0029】
【表3】 この原反を実施例1と同様に液流染色機に投入し、連続
稼働性を確認した所4週間の連続稼働が達成でき、且つ
この間の脱落ウレタンが原因によるC反の発生はなく極
めて安定した染色加工が出来、得られた人工皮革の耐熱
性は○であり、熱処理による風合い硬化は全く認められ
なかった。
【0030】
【発明の効果】以上の通り、極細繊維を主体としてなる
不織シート状物に特定条件の耐熱性能を有す水系ポリウ
レタンエマルジョンを付与することで液流染色中に脱落
したウレタン樹脂の熱分解を防止することができ、染色
機の長期連続稼働を可能とした。このため耐熱性に優れ
た人工皮革が得られるとともに、染色加工収率が大巾に
向上し、そのために人工皮革の安定な工業生産が可能と
なった。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂フィルムの耐熱性能を示すグラフであり、
酸化防止剤の添加量とDSC分解発熱量との関係を示
す。
【図2】樹脂フィルムの耐熱性能を示すグラフであり、
酸化防止剤の添加量とDSCピーク温度との関係を示
す。
【図3】樹脂フィルムの耐熱性能を示すグラフであり、
酸化防止剤の添加量と、ステンレス板との接着強度との
関係を示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 差動走査熱量計(DSC)による300
    ℃迄の昇温過程で発現する発熱ピークの発熱量が50m
    j/ mg以下で、該発熱ピークのトップ温度が215℃
    以上である水系ポリウレタン樹脂で、かつ該ポリウレタ
    ン樹脂からなるフィルムの180℃乾熱処理後のステン
    レス板との接着強度が700g/cm以下である水系ポ
    リウレタン樹脂を付与した単糸繊度0.5d以下の不織
    布シート状物を染色してなる人工皮革。
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